JP4296464B2 - 電力系統設備保守支援システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統設備保守支援システムに係り、特に、電力系統の設備と保守に関する情報を作業員に提供し、作業員による保守作業を支援するに好適な電力系統設備保守支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道では、列車の運行に必要な電力を常に安定した状態で列車に供給する必要があり、この種の電力管理業務に計算機システムを採用している。電力管理業務は指令所における遠隔監視、遠隔制御を主な業務としており、設備の保守を行う保守区などの現場側に保守開始の許可などの情報伝達を行う連絡業務が重要な位置付けにある。
【0003】
一方、監視、制御においては、システム化が進んでいるが、特開平8−154134号公報に記載されているように、連絡業務は主に指令員による電話連絡、FAX連絡によって対応している。ところが、連絡業務を指令員による電話連絡、FAX連絡によって対応したのでは、同時に行われる保守作業が多い場合には、この連絡の伝達に時間がかかり、終電から始発までの限られた保守時間内において、さらに保守時間が制限されてしまう。このため、連絡業務に要する時間を短縮することによって保守時間を確保することが必要であるとともに、近年の終電時間の延長といったニーズに対応するためにも連絡時間の短縮が必要となっている。
【0004】
また、鉄道の電力設備に関する作業を行うに際しては、作業を行うに当たり、通常は、保守員の安全確保のために停電を行う。すなわち、停電の実施できるような時間帯、通常は終電後から発電前のごく限られた時間内で作業を実施する必要がある。限られた時間内で作業を行う作業員は、電力系統監視システムにより送電状態を監視している指令所の指令員に対して、保守作業上の許可や確認を求める問い合わせを電話により行っている。
【0005】
これに対して、指令員は、終電後の監視を行う時間帯に、電力系統監視システムの表示画面を見ながら状況を判断し、複数の問い合わせ電話に応じるとともに、場合によってはさらにFAXによる設備状況連絡情報を短時間に複数個所へ配信することが余儀なくされている。
【0006】
また、事故や災害、その他の電力設備の保守作業に影響するような事象が発生した場合、指令員からその都度電話やFAXを用いて情報を送っていたのでは、障害復旧を最優先とすることによる情報伝達の遅れや、当該保守作業に要する確認ミスなどによる情報の伝達漏れが発生する場合がある。
【0007】
上記従来技術に関連するものとしては、次のものが挙げられ、特開平6−245378号公報には、指令所と作業現場それぞれに情報処理装置を設け、作業手順と電力系統状態との比較により作業実施の可否を双方に提示するようにした電力系統通報装置に関する技術が開示されている。特開平8−154134号公報には、監視対象の状態が設定した条件と一致した場合、音声やFAXで自動的に現場に通知するようにした設備監視情報自動連絡装置に関する技術が開示されている。特開平8−272855号公報には、鉄道保守員に対して最新の列車運行情報を自動的に通知するようにした鉄道保守員安全管理システムに関する技術が開示されている。特開平11−353332号公報には、現場側携帯端末から送信された位置情報を用いて中央保守サーバから現場携帯情報端末へデータ送信を行うようにした保守支援システムに関する技術が開示されている。特開平10−275013号公報には、現場側の携帯保守端末から中央と無線で情報の授受を行い、設備データや現場状況、故障部位を表示したり、打合せや報告書の作成を行うようにした保守支援システムに関する技術が開示されている。さらに特開2000−295375号公報には、位置情報を用いて、リアル・プッシュ型の情報配信技術を設備保守に適応した情報配信サーバ、監視センタサーバおよび保守員端末に関する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、保守作業に関する情報については、中央側に配置した保守管理サーバにある情報のみを、現場側と中央側双方で参照する方法を採用していることから、保守管理サーバ以外の情報、例えば、電力監視制御システムにおける停電/送電の実施状況などは、この状況を逐次保守管理サーバに転送するための手段がなければ現地側で参照することができない。
【0009】
また、現地の保守作業の一手順ごとに指令所や他の複数の施設と連携を取らなければならないような作業の場合、中央の指令所に一度連絡し、その内容を他の作業個所にそれぞれ伝達してもらうか、あるいはテレフォンスピーカを用いて複数の作業個所に一斉に放送する方法を採用することが余儀なくされる。しかも、この方法を採用したのでは、伝達に時間を要したり、場合によっては、その間の全く無関係な作業に対して情報伝達遅れなどの悪影響を及ぼす恐れがある。すなわち、従来技術では、いずれもこのような同時に作業が多発する場合については十分に考慮されていない。
【0010】
さらに、従来技術を用いる際には、現地側の携帯端末には入力機能、記憶機能、表示機能、通信機能といった通常の携帯端末機能の他に、位置発信機能などの付加的機能が要求される。しかも、これらの機能を用いるには、ノートパソコンか、最低でも、ペンで操作できるPDAパッド程度の情報端末を必要とする。このような情報端末は片手だけの操作が困難であり、端末操作中は他の作業を中断せざるをえなくなる。
【0011】
また、鉄道電力系統設備の保守作業を行うときには、一般に、列車を運行しない時間帯に送電を停止して実施している。このため、作業中はリアルタイムの列車運行情報が必要になる機会はほとんどない。しかし、当該電力設備以外の設備の作業などによっては、当該保守作業に影響する周辺電力設備、例えば、遮断器の開閉状態や主回路の通電状態あるいは機器の動作状態が変化することがあるので、このような情報をリアルタイムで把握する手段が要求される。
【0012】
さらに、作業中の事故を防止する観点からは、特定の機器に対する保安鎖錠の実施状況を逐次確認したり、電力系統の通電状態や機器の状態が作業上危険な状態になった場合に、直ちに関連する作業員や指令員に警告する機能も求められている。
【0013】
本発明の課題は、電力系統設備の状態と保守に関する保守支援情報を一元的に管理して保守作業を支援することができる電力系統設備保守支援システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の電力系統設備保守支援システムは、サーバを備え電力系統設備の状態を監視する電力管理システムと、サーバと保守作業情報が蓄積されたデータベースを備え情報伝送路を介して前記電力管理システムと接続され、通信ネットワークを介して外部と通信する通信機能を有する保守支援システムと、表示画面を備え前記通信ネットワークを介して前記保守支援システムと情報を授受する通信機能を有する携帯電話端末とを具備し、
前記電力管理システムは、電力系統設備の状態に関する情報を前記情報伝送路を介して前記保守支援システムに伝送し、
前記保守支援システムは、前記電力管理システムから伝送される電力系統設備の状態に関する情報を受信して前記データベースに蓄積し、前記通信ネットワークを介して前記携帯電話端末からアクセス要求を受信したとき、前記サーバにより前記アクセス要求に基づいて前記データベースに蓄積されている保守作業情報を読み出すとともに、電力系統設備の状態に関する情報であって、周辺電力設備、例えば、遮断器の開閉状態や主回路の通電状態あるいは機器の動作状態を示す当該保守作業に影響する情報を読み出して、前記携帯電話端末の表示画面に視覚情報として表示させるための保守支援情報を生成し、生成した保守支援情報を前記携帯電話端末に送信し、
前記携帯電話端末は、前記通信ネットワークを介して前記保守支援システムから送信される前記保守支援情報を受信し、受信した前記保守支援情報を視覚情報として前記表示画面に表示させ、
さらに、前記保守支援システムは、前記電力管理システムから伝送された電力系統設備の状態に関する情報が、前記データベースに蓄積された設備データテーブルに定義された作業危険状態と一致したとき、前記設備データテーブルで関連端末として定義された前記携帯電話端末に当該作業危険状態に係る電力系統設備の状態に関する情報を緊急送信するように構成されてなることを特徴とする。
【0015】
前記電力系統設備保守支援システムを構成するに際しては、以下の要素を付加することができる。
【0016】
(1)前記保守支援システムは、前記保守支援情報を送信するときに、前記携帯電話端末以外に情報が漏洩するのを防止するための暗号化処理を実行する。
【0017】
(2)前記携帯電話端末は、前記保守支援システムにアクセスするときに、前記保守支援システム以外に情報が漏洩するのを防止するための暗号化処理を実行する。
【0018】
(3)前記保守支援システムは、前記携帯電話端末から暗号化処理が施された情報を受けたときに、受信した情報に対して元の情報に戻すための復号化処理工を実行する。
【0019】
(4)前記携帯電話端末は、前記保守支援システムから暗号化処理が施された情報を受けたときに、受信した情報に対して元の情報に戻すための復号化処理工を実行する。
【0020】
(5)前記保守支援システムは、アクセス要求の送信元と予め登録してある携帯電話端末に一致するか否か照合し、一致した場合に当該アクセス要求の送信元の携帯電話端末に対してのみ前記保守支援情報を送信する。
【0021】
前記した手段によれば、電力系統設備の状態と保守に関する保守支援情報を保守支援システムで一元的に管理し、携帯電話端末から保守支援システムに対してアクセスがあったときには、このアクセスに応答して保守支援情報を加工し、加工された保守支援情報を携帯電話端末に送信するようにしているため、一元的に管理された保守支援情報を保守員に提供することができ、保守作業を円滑に行うことができる。さらに、携帯電話端末は片手で操作できるため、保守作業を円滑に行うことができる。
【0022】
また、通信ネットワークとしてインターネットを用いたときには、市販のハードウエアや開発ツールの適用が可能であり、システムを安価に構築することができる。漏洩防止処理として共通鍵を用いて情報を暗号化することで、情報が漏洩するのを防止することができる。また情報に対して漏洩防止処理を施したときには、この情報に対して元の情報に戻すための加工として、共通鍵を用いて暗号化された情報を復号化することで、元の情報を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すシステムの基本構成図である。図1において、電力系統設備保守支援システムは、WebアプリケーションサーバとWebブラウザ機能を有する携帯電話端末と保守支援システムとの間でデータ転送を行う方式を採用しており、この理由は以下の通りである。
【0024】
(1)市販のハードウエアや開発ツールの適用が可能であり、比較的安価にシステムを構築することが可能であること。
【0025】
(2)携帯電話の高機能化により、電力設備に対する適用が可能になったこと。
【0026】
(3)上記に関連してWWWブラウザ機能を搭載し、ユーザアプリケーションの実行機能を持った携帯電話が普及してきたこと。
【0027】
(4)ネットワーク技術の普及により、セキュリティ技術が向上したこと。
【0028】
(5)Webアプリケーションサーバのプラットフォームの自由度があること。
【0029】
本実施形態におけるシステムでは、携帯電話端末として、市販の高機能携帯電話を用いることにより、機能を構築していくことを基本方針としている。このことは、技術革新の激しい携帯情報端末技術において、その汎用技術を柔軟に適応できるシステムにすることにより、提供するシステムの低価格化を実現し、さらに、将来のシステムへの最新技術の取り込みを意図している。
【0030】
次に、電力系統設備保守支援システムの具体的構成について説明する。電力系統設備保守支援システムは、電力管理システム1、保守支援システム2、アプリケーション対応型携帯電話端末3とを備えて構成されており、電力管理システム1と保守支援システム2は情報伝送路としてのLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)4を介して接続されており、保守支援システム2と携帯電話端末3は通信ネットワークとしてのインターネット5を介して接続されている。
【0031】
電力管理システム1は、電力系統設備の状態を監視しながら管理するシステムとして、中央の指令所に配置されており、電力管理サーバ11、指令卓(指令員が各種の指令を行うためのコンピュータを含む)12、指令員が事務作業を行うためのパーソナルコンピュータ13、表示パネル14を備えて構成されている。パーソナルコンピュータ13は、指令員が保守支援システムの情報を作成・閲覧・加工するための用いられる。指令卓12用のコンピュータの他に、事務作業を行うためのパーソナルコンピュータ13を設けているのは次の利点があるためである。
【0032】
(1)指令卓12の画面と保守支援システムの情報を同時に表示できること。
【0033】
(2)保守支援システムの情報を作成・閲覧・加工する際に、市販のアプリケーションソフトが利用できること。
【0034】
電力管理システム1においては、指令員の操作に応答して、操作卓12から電力系統設備の状態に関する情報が入力されるとともに、指令員の操作にしたがって指令が電力系統設備に伝送され、さらに、電力系統設備の状態が表示パネル14に表示されるとともに、電力系統設備の状態に関する監視情報がLAN4を介して保守支援システム2に伝送されるようになっている。
【0035】
保守支援システム2は、電力系統設備の状態と保守に関する保守支援情報を一元的に管理するために、電力系統の設備に関する設備管理データや保守作業情報を蓄積するデータベース21、データベース21に対するアクセスとデータベース21に格納されたデータの編集を行う機能を有する保守支援サーバ22と、ルータ24を介してインターネット5と接続され、保守支援サーバ22の情報を現地作業員に送信するための情報に編集・加工し、携帯電話端末3と直接やり取りを行う通信サーバ23を備えて構成されている。
【0036】
なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、保守支援サーバ22と通信サーバ23をそれぞれ別々のコンピュータ装置としているが、同一のコンピュータ装置に保守支援サーバ22と通信サーバ23の機能を搭載し、保守支援システム2の機能を集約することもできる。
【0037】
携帯電話端末3は、作業員が作業中常時携帯し、インターネット5を経由して通信サーバ23と接続され、インターネット5、ルータ24を介して通信サーバ24と情報の授受を行うとともに、受信した情報を画像表示する機能を備えて構成されている。また、この携帯電話端末3は、携帯電話端末3から通信サーバ23に対して情報を送信する機能を内蔵している。
【0038】
携帯電話端末3の表示画面には、図2に示すように、電力系統設備の保守に関連する視覚情報として、作業に関係する系統状況、作業の可否、作業制約条件、作業のチェックリスト、保守作業連絡用の掲示板などが表示されるようになっており、この表示レイアウトはWeb表示をベースとしたものである。なお、図2では、作業着手許可に関しては、中央の指令員が確認済であるとともに現地の作業員が確認したことを示している。
【0039】
本実施形態においては、携帯電話端末3と通信サーバ23との間の通信にインターネット5を用いているので、両者の間で通信を行うのに専用線を用意したり、携帯電話を作業中常に通話状態にしておく必要もなく、通信コストを低くすることができる。しかし、外部からの不正アクセスによる情報の漏洩や、本システムへの不正アクセスに対する防御が必要となる。
【0040】
そこで、本実施形態においては、携帯電話端末3と通信サーバ23との間の通信には、情報が漏洩するのを防止するための漏洩防止処理として、必ず暗号化処理をして情報のやり取りを行うこととしている。この暗号には、共通鍵を用いているが、更なるセキュリティの確保のためには、共通鍵として毎日異なるものを用いることが望ましい。
【0041】
ここで、暗号化処理のために共通鍵を用いたときには、通信サーバ23と携帯電話端末3との間で共通鍵の一致化を図る必要がある。これには、例えば、鉄道会社側から作業員に当日使う携帯電話端末3を事前に渡しておき、作業終了後に返却させる方法と、作業の事前打合せの際に、共通鍵をダウンロードするアドレスを作業員に連絡し、作業開始時にそのアドレスを閉鎖する方法が考えられる。
【0042】
さらに、作業現場で本システムを運用する携帯電話端末3を、作業開始前に予め通信サーバ23に登録しておき、通信サーバ23は、予め登録された携帯電話端末3以外とは通信ができないようにする。
【0043】
また、通信サーバ23に、ファイアウォール機能を搭載し、インターネット5から保守支援システム2および電力管理システム1に対する不正なアクセスを阻害することもできる。
【0044】
次に、図1に示すシステムの作用を図3のソフトウエア構成図にしたがって説明する。
【0045】
まず、通信サーバ23においては、携帯電話端末3からインターネット5を介してアクセスがあったときには、通信インターフェイス201を用いてインターネット5と情報(データ)の送受信が行われ、受信した情報に対して、送信元判定処理202が実行される。この処理では、受信した情報に対して、受信した情報の送信元と予め登録してある携帯電話端末3とが一致するか否かの照合が行われ、受信した情報が不正な送信元からの情報であるときには、この受信情報を排除するための処理が行われる。一方、照合結果が正しいときには、受信した情報に対して、共通鍵214を用いて復号する復号処理23が実行される。すなわち、暗号化されていた情報に対して元の情報に戻すための加工処理が行われる。
【0046】
復号処理された情報に対しては、要求を受け付けるための要求受け付け処理204が実行され、この要求に基づいて、電力系統設備の現在状態や各設備に関する情報を加工し、加工された情報を携帯電話端末3に表示させるためのデータに生成する表示データ作成処理205が実行される。表示データ作成処理205によって加工・生成されたデータに対しては、電力管理システム1からLAN4、他システムインターフェイス206を介して取り込まれた監視情報に関するデータとともに携帯電話端末3に送信するためのデータ送信処理207が実行される。データ送信処理207が実行されたデータに対しては、共通鍵214を用いて暗号化処理208が実行される。すなわち、携帯電話端末3以外に情報が漏洩するのを防止するための漏洩防止処理が実行される。暗号化されたデータは通信インターフェイス201、インターネット5を介して携帯電話端末3に送信される。
【0047】
また、携帯電話端末3に送信するためのデータに対しては内部データ更新処理209が施されるようになっている。例えば、電力管理システム1において状態変化が検知されたときに、状態変化が検知された監視情報を基に内部データを更新する内部データ更新処理209が実行され、この処理が送信データに反映される。この場合、電力管理システム1の要求に基づいて携帯電話端末3に対して情報を強制的に送信し、必要に応じて自動通話を行う強制送信処理210が実行される。
【0048】
一方、携帯電話端末3は、電話機能、Webページ表示機能、電子メール送受信機能を備えて構成されている。この携帯電話端末3においては、通信サーバ23と情報の授受を行うときに、インターネット5を介してデータの送受信を行うために、通信インターフェイス301による処理が実行される。通信インターフェイス301が情報を受信したときには、受信した情報の送信元と携帯電話端末3に予め登録されている通信サーバ23とが一致するか否かの照合を行うための送信元判定処理302が実行される。このとき送信元が正しいときには、受信した情報が暗号化されているので、暗号化されている情報を復号化するための復号処理303が実行される。さらに復号処理された情報に対して要求の受け付けを行うための要求受け付け処理304が実行され、要求の受け付けられた情報を画面上に表示するための表示処理305が実行される。
【0049】
一方、作業員によって情報を通信サーバ23に送信するための入力処理306が実行されると、入力処理された情報を、共通鍵308を用いて暗号化するための暗号化処理307が実行され、暗号化された情報は通信インターフェイス301、インターネット5を介して通信サーバ23に送信される。
【0050】
ここで、作業員の入力時、例えば、作業員が携帯電話端末3の画面上のチェックボックスにチェックを入れるような場合、図4に示すように、確認ウインドが即座に起動され、「OK」のクリックにより、当該作業の終了情報が携帯電話端末3内の送信データ処理によって作成される。このデータは暗号化されたあと通信インターフェイス301からインターネット5を経由して通信サーバ23に送信される。
【0051】
このデータが通信サーバ23によって受信されると、通信サーバ23内では、インターネット5から受信した情報の送り元が、予め登録された携帯電話端末3であるか否かのチェックが実行され、情報の送り元が正しいときには、入力した情報を復号化して現在状態テーブル(設備データテーブル)212に作業状態を書き込むと同時に、電力管理システム1に対して情報を送信し、チェックを入れた情報に反映させる。この場合、電力管理システム1からの情報に対しても、同様の処理が行われ、電力管理システム1からの情報は通信サーバ23の現在状態テーブルに書き込まれ、暗号化されたあと携帯電話端末3に送信される。
【0052】
また、通信サーバ23は、電力管理システム1と常時情報のやり取りを行うようになっており、電力管理システム1で検知した状態変化は即座に通信サーバ23にも送信されるようになっている。このとき送信された状態変化が、設備データテーブルに定義された作業危険状態と一致したときには、設備データテーブル212で関連端末として定義された携帯電話端末3に対し、保守支援システム2から情報が緊急に送信される。
【0053】
さらに、現地側においても、リアルタイムで電力系統状態を把握する必要が生じるケースのときには、通信サーバ23に予め登録した携帯電話端末3に対して、当該作業個所および隣接設備において検知した状態変化に関する情報が送信される。このとき携帯電話端末3側でこの情報を受信した際は、通信サーバ23に対して受信信号を送信し、携帯電話端末3内の情報を更新する。これにより、現地側においても、リアルタイムで電力系統の状態を把握することができる。
【0054】
このように、本実施形態によれば、電力系統設備の状態と保守に関する保守支援情報を保守支援システム2で一元的に管理し、携帯電話端末3から保守支援システム2に対してアクセスがあったときには、このアクセスに応答して保守支援情報を加工し、加工された保守支援情報を携帯電話端末3に送信するようにしているため、一元的に管理された保守支援情報を保守員に提供することができ、保守作業を円滑に行うことができる。さらに、携帯電話端末3は片手で操作できるため、保守作業を円滑に行うことができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電力系統設備の状態と保守に関する保守支援情報を保守支援システムで一元的に管理し、携帯電話端末から保守支援システムに対してアクセスがあったときには、このアクセスに応答して保守支援情報を加工し、加工された保守支援情報を携帯電話端末に送信するようにしているため、一元的に管理された保守支援情報を保守員に提供することができ、保守作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステムの基本構成図である。
【図2】携帯電話端末の表示画面の表示例を示す図である。
【図3】図1に示すシステムの作用を説明するためのソフトウエア構成図である。
【図4】携帯電話端末の送信時の表示例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 電力管理システム
2 保守支援システム
3 携帯電話端末
4 LAN
5 インターネット
11 電力管理サーバ
12 指令卓
21 データベース
22 保守支援サーバ
23 通信サーバ
24 ルータ
Claims (6)
- サーバを備え電力系統設備の状態を監視する電力管理システムと、サーバと保守作業情報が蓄積されたデータベースを備え情報伝送路を介して前記電力管理システムと接続され、通信ネットワークを介して外部と通信する通信機能を有する保守支援システムと、表示画面を備え前記通信ネットワークを介して前記保守支援システムと情報を授受する通信機能を有する携帯電話端末とを具備し、
前記電力管理システムは、電力系統設備の状態に関する情報を前記情報伝送路を介して前記保守支援システムに伝送し、
前記保守支援システムは、前記電力管理システムから伝送される電力系統設備の状態に関する情報を受信して前記データベースに蓄積し、前記通信ネットワークを介して前記携帯電話端末からアクセス要求を受信したとき、前記サーバにより前記アクセス要求に基づいて前記データベースに蓄積されている保守作業情報を読み出すとともに、電力系統設備の状態に関する情報であって、周辺電力設備、例えば、遮断器の開閉状態や主回路の通電状態あるいは機器の動作状態を示す当該保守作業に影響する情報を読み出して、前記携帯電話端末の表示画面に視覚情報として表示させるための保守支援情報を生成し、生成した保守支援情報を前記携帯電話端末に送信し、
前記携帯電話端末は、前記通信ネットワークを介して前記保守支援システムから送信される前記保守支援情報を受信し、受信した前記保守支援情報を視覚情報として前記表示画面に表示させ、
さらに、前記保守支援システムは、前記電力管理システムから伝送された電力系統設備の状態に関する情報が、前記データベースに蓄積された設備データテーブルに定義された作業危険状態と一致したとき、前記設備データテーブルで関連端末として定義された前記携帯電話端末に当該作業危険状態に係る電力系統設備の状態に関する情報を緊急送信するように構成されてなる電力系統設備保守支援システム。 - 請求項1に記載の電力系統設備保守支援システムにおいて、前記保守支援システムは、前記保守支援情報を送信するときに、前記携帯電話端末以外に情報が漏洩するのを防止するための暗号化処理を実行することを特徴とする電力系統設備保守支援システム。
- 請求項1または2に記載の電力系統設備保守支援システムにおいて、前記携帯電話端末は、前記保守支援システムにアクセスするときに、前記保守支援システム以外に情報が漏洩するのを防止するための暗号化処理を実行することを特徴とする電力系統設備保守支援システム。
- 請求項3に記載の電力系統設備保守支援システムにおいて、前記保守支援システムは、前記携帯電話端末から暗号化された情報を受けたときに、受信した情報に対して元の情報に戻すための復号化処理を実行することを特徴とする電力系統設備保守支援システム。
- 請求項2に記載の電力系統設備保守支援システムにおいて、前記携帯電話端末は、前記保守支援システムから暗号化された情報を受けたときに、受信した情報に対して元の情報に戻すための復号化処理を実行することを特徴とする電力系統設備保守支援システム。
- 請求項1、2、3、4または5のうちいずれか1項に記載の電力系統設備保守支援システムにおいて、前記保守支援システムは、アクセス要求の送信元と予め登録してある携帯電話端末に一致するか否か照合し、一致した場合に当該アクセス要求の送信元の携帯電話端末に対してのみ前記保守支援情報を送信することを特徴とする電力系統設備保守支援システム。
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