JP4294825B2 - プラント最適運転制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷温熱および電力を供給するエネルギープラントにおいて、効率の良い運転を支援・制御するためのプラント最適運転制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来のプラント最適運転制御システムを示す構成説明図である。すなわち、冷温熱および電力を供給するエネルギープラント11からプラント運転データ入力部12を介して入力されたプラント運転データに基づいて、エネルギープラント11の過去の熱負荷データが熱負荷データ記憶手段13に記憶される。熱負荷予測手段16では、前記熱負荷データ記憶手段13に記憶されている過去の熱負荷データ、およびヒューマン・インターフェイス14から気象データ入力部15を介して入力された気象データに基づいて当日または翌日のプラント熱負荷が予測される。プラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶されているプラント構成機器の入出力性能を表す値(以下、特性係数とする)および前記熱負荷予測手段16によって予測されたプラント熱負荷予測値は最適運転計画手段18に入力される。前記最適運転計画手段18は、これらの入力情報に基づき、最適化手法によって求めたプラントの運転台数制御および各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出し、前記プラント制御データをプラント制御データ出力部19を介してエネルギープラント11に送出する。前記エネルギープラント11は最適運転計画手段18から送られてきたプラント制御データにしたがってプラントの運転台数制御および負荷制御を行う。なお、プラント構成機器の特性係数はヒューマン・インターフェイス14から入力される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラント最適運転制御システムでは以下の問題点があった。すなわち、プラント構成機器の特性係数の作成および更新が不定期的または経験的に実施されているために、特性係数として信頼性や合理性を欠いた不適切な値となる恐れがあった。また、経年劣化や気象条件の変化に伴って機器特性が変化した場合に使用者が気付かず、前の係数を継続使用することに起因して現実の機器特性とはかけ離れた値に基づいた運転計画が出力される恐れがあった。さらに、冷水還り温度による冷凍機能力変動が計画に反映されないという問題点もあった。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数をプラント運転データに基づいて常時管理するとともに、還水温度予測に基づいてプラント構成機器の能力を補正して用いることにより、高精度な運転計画に従ったプラント運転制御が行えるプラント最適運転制御システムを提供することを目的とする。また、プラント構成機器の特性係数の変化率を監視し、この変化率が許容値を逸脱する場合に使用者へ通知して特性係数更新の許否を問い合わせる手段を設けることにより、信頼性の高い運転計画を出力するプラント最適運転制御システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のプラント最適運転制御システムは、冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データに基づいて、過去の電力・熱負荷データを記憶する電力・熱負荷データ記憶手段と、前記電力・熱負荷データ記憶手段から読み出された過去の電力・熱負荷データ及び気象データに基づいてプラント電力・熱負荷を予測する電力・熱負荷予測手段と、前記エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数を記憶するプラント構成機器特性係数記憶手段と、前記エネルギープラントから入力されたプラント運転データを記憶するプラント運転データ記憶手段と、前記プラント運転データ記憶手段から読み出されたプラント運転データに基づいて前記プラント構成機器特性係数記憶手段に記憶されたプラント構成機器の特性係数の更新要否を所定の周期で演算処理するとともに、所定の更新条件を満たす場合に特性係数を更新するプラント構成機器特性係数更新手段と、前記電力・熱負荷予測手段により予測したプラント電力・熱負荷と、前記プラント構成機器特性係数記憶手段から読み出されたプラント構成機器の特性係数に基づいて、プラント運転コスト、プラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量が最小となるようにプラントの運転台数制御及び各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出して前記エネルギープラントに送出すると共に、プラント全体負荷熱量から求めた負荷側からエネルギープラント構成機器に戻る還水の還水温度予測値に基づいて、前記プラント構成機器の温度差を作り出す製造能力を、還水温度予測値と送出温度の差を、定格温度と定格能力の積で割り算して補正する最適運転計画手段とを具備することを特徴とするものである。
プラント最適運転制御システム。
【0007】
また本発明は、前記プラント最適運転制御システムにおいて、前記プラント構成機器特性係数更新手段は、前記プラント運転データ記憶手段から読み出されたプラント運転データを機器毎に区分解析する規則を格納した区分解析ルール格納部を備え、この区分解析ルール格納部に格納された区分解析する規則に基づいて、機器毎に1つまたは複数の特性係数を演算することを特徴とするものである。
【0008】
また本発明は、前記プラント最適運転制御システムにおいて、気象データをインターネットの通信インターフェイスから取得することを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記プラント最適運転制御システムにおいて、前記プラント構成機器特性係数更新手段による更新前後のプラント構成機器特性係数を用いて特性の変化率を監視し、変化率が設定値以上の場合は使用者へ通知する特性変化報知手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態例を示す構成説明図である。すなわち、冷温熱および電力を供給するエネルギープラント11からプラント運転データ入力部12を介して入力されたプラント運転データに基づいて、エネルギープラント11の過去の電力・熱負荷データが電力・熱負荷データ記憶手段21に記憶される。電力・熱負荷予測手段23では、前記電力・熱負荷データ記憶手段21に記憶されている過去の電力・熱負荷データ、および気象データ入力部22を介して入力された気象データに基づいて当日または翌日のプラント電力・熱負荷が予測され、最適運転計画手段26に出力される。前記エネルギープラント11からプラント運転データ入力部12を介して入力されたプラント運転データはプラント運転データ記憶手段24に記憶され、前記プラント運転データ記憶手段24から読み出されたプラント運転データはプラント構成機器特性係数更新手段25に入力される。前記プラント構成機器特性係数更新手段25はプラント運転データ中の各プラント構成機器に関する直近のデータを統計的回帰手法を適用して定期的に解析し、その結果をもとに前記プラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶されたプラント構成機器特性係数の作成および更新要否の演算処理を行う。前記演算処理において、更新が自動的に行われるように設定されていれば、更新されたプラント構成機器特性係数はそのままプラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶され、更新条件があらかじめ規定されていれば、更新条件を満足する場合に限り、更新されたプラント構成機器特性係数はプラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶される。なお、プラント構成機器の特性係数はヒューマンインターフェイス14から入力するようにしても良い。プラント構成機器特性係数記憶手段17から読み出されたプラント構成機器特性係数は最適運転計画手段26に出力される。前記最適運転計画手段26はプラント構成機器特性係数記憶手段17から入力されたプラント構成機器特性係数、および前記電力・熱負荷予測手段23によって予測されたプラント電力・熱負荷予測値に基いて、還水温度予測に基づく熱源機能力の補正を行うと共に、この最適運転計画手段26に実装された数理計画法等の最適化手法によってプラント運転コストが最も安価となるようにプラントの運転台数制御および各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出し、前記プラント制御データをプラント制御データ出力部19を介してエネルギープラント11に送出する。前記エネルギープラント11は最適運転計画手段26から送られてきたプラント制御データにしたがってプラントの運転台数制御および負荷制御を行う。
【0013】
なお、最適運転計画手段26で使用する最適化評価基準として、前述のプラント運転コスト以外に、例えばプラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量を設定しても良く、また、複数の評価基準を組み合わせて多目的最適化を行うようにしても良い。
【0014】
図2は本発明の他の実施形態例を示す構成説明図である。図中、同一部分は同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、気象データ入力部22をインターネット等の通信インターフェイス27に接続し、インターネット等の通信インターフェイス27から詳細で最新の気象データを取得する。また、プラント構成機器特性係数更新手段25とヒューマン・インターフェイス14との間に特性変化報知手段28を設け、更新前後のプラント構成機器特性係数(傾き・切片)を用いて性能特性の変化率を監視し、この変化率が設定値以上または設定値以下となって許容値を逸脱する場合は使用者へ通知し、使用者が更新を許可した後に更新後のプラント構成機器特性係数を運転計画に用いる。使用者が運転を許可しない場合は、更新前のプラント構成機器特性係数を継続して運転計画に用いる。
【0015】
図3は本発明の最適運転制御システムとエネルギープラントと需要家の関係を示す説明図である。すなわち、エネルギープラント11から最適運転制御システム31に計測信号としてプラント運転データが入力され、最適運転制御システム31からエネルギープラント11に制御指示としてプラント制御データが入力される。エネルギープラント11は電力、ガス、重油、上下水等を消費することによって需要家が必要とする電力や熱を供給するエネルギーシステムである。エネルギープラント11はコージェネレーションシステム(CGS)32、ボイラ33、冷凍機34、熱交換器35や搬送機器、補機、配管系等よりなり、最適運転制御システム31から発停・発電量の指示を受けたコージェネレーションシステム(CGS)32から発電した電力は需要家に電力として電力供給され、コージェネレーションシステム(CGS)32から発生した温水及び蒸気は最適運転制御システム31から発停・製造熱量の指示を受けた冷凍機34に供給され、冷凍機34はこれを駆動源として需要家に冷熱供給を行う。また、最適運転制御システム31から発停・製造熱量の指示を受けたボイラ33から発生した蒸気または温水は熱交換器35を介して需要家に蒸気または温水として供給されるとともに、その一部は冷凍機34の駆動源として利用される。コージェネレーションシステム(CGS)32やボイラ33から発生した蒸気および温水のうち、需要家への供給エネルギーとして利用されなかったものはそれぞれ余り蒸気および余り温水として廃棄または蓄熱されることになる。
【0016】
図4は本発明に係る構成機器の特性係数の自動把握及び計画への反映手順を説明する図である。
【0017】
プラント構成機器の特性係数は、外気温度などの気象条件や経年使用に伴う劣化により本来は大きく変化する。従来の最適運転システム・運転計画システムでは固定した特性係数が用いられていたか、あるいはその利用方法が明確でなかった。
【0018】
本発明では、各構成機器の実運転データより、特性係数の変化を定期的に演算処理するため、常に最新のプラント構成機器の特性係数を運転計画に反映することが可能である。
【0019】
特性係数の自動把握及び計画への反映手順は、図4に示すように、まずエネルギープラント11を構成するコージェネレーションシステム(CGS)32、ボイラ33、冷凍機34、熱交換器35の運転情報を計測し、プラント運転データ入力部を介してプラント運転データ記憶手段にて計測データの収集・蓄積を行う。プラント構成機器特性係数更新手段では、異常データや欠測データの排除を行う目的で前記計測データのデータトリミングを行った後、機器毎の入出力データ分布状態作成を行い、必要に応じて分布状態の確認を使用者に要求する。使用者は分布状態確認を行い、入出力相関関係の作成方針に関する指示をヒューマン・インターフェイスを通じて入力・設定する。プラント構成機器特性係数更新手段ではその作成方針に従い相関関係を作成し・または設定により一定期間毎に自動処理して特性係数を作成する。前回までの特性係数と今回求めた特性係数の間に設定以上の変化がある場合は、特性変化報知手段を介して使用者へ更新の可否を問合わせる。以上の処理は、毎日深夜にあらかじめ設定してある期間分をさかのぼって実施される。そして、例えば翌朝に使用者が更新可否を判断し、更新許可が指示された場合、更新された特性係数を最適運転計画に反映させる。更新された特性係数は、最適運転計画手段の中で、最適計算用制約モデル(以下制約式とする)の形に展開される。
【0020】
例えば冷凍機に関する制約式は次式で表現される。
【0021】
出力冷水熱量=作成した機器特性係数×機器入力エネルギー量
なお、データトリミングは以下の基準に従って実施する。すなわち、
・指定期間中のデータのY値方向・X値方向毎の平均値を基準として、ある範囲外を除く
(平均値±3σなどの統計的処理にて有効範囲を決める)
・各機器の起動直後30分以内などのデータは利用しない
(起動直後のデータは不安定なため、特性を求める回帰処理に利用しない)
また、トリミング後の有効データのみから特性回帰を行い、機器別の特性係数を作成する時、機器毎に、原点を通る回帰直線であるか/通らない回帰直線であるかを選択することができる。なお、特性は直線回帰することが普通であり、最小二乗法などの統計的手法が一般的である。直線近似では実データとの一致度が低くなる場合は、後で述べる多段階の直線回帰に基づく特性係数を構成することも可能である。
【0022】
図5は本発明に係るプラント構成機器の特性係数および制約式の作成方法を説明する図である。機器の性能実状を反映して適切な運転計画を立案するには、現状の機器の特性を適切に制約式表現に反映することが必要である。制約式は先に例示したように直線式で表すことが前提であるが、直線式では、実際の特性変化と乖離する機器があり、制約式を精度良く表現できない場合がある。
【0023】
これを改善した例として、特開平8−249005号公報に見られるように、入力に対する区分的な一次式を用いて、複数の直線式にて機器の特性を近似する手法が提案されている。しかしながらその入出力範囲の区分手順については明記されていない。この区分の取り方により、機器の特性は大きく変化する可能性があり合理性・統一性のない区分方法では全体の計画傾向を全く異なるものにしかねない。
【0024】
本発明では以下の各機器で共通した手順・方法により区分区間を設定でき、その区分に基づき特性係数を算出し、運転計画に反映できる。なお、機器毎の運転データの区分設定に関する情報は、プラント構成機器特性係数更新手段の中に実装された区分解析ルール格納部(図示せず)に格納される。
【0025】
1)機器1の入出力値分布に示すように、一定時間毎に、蓄積されている機器別の入出力運転データをXY図的にプロットする。区分数を1区分とする場合、すなわち、制約式を単一の直線式で表す場合は切片の有無で、機器1の入出力特性を可変に設定することができる。
【0026】
2)区分数を2区分以上とする場合は、その分布より、無効データのトリミングの後、以下のいずれかにより区分を設定する:
i)区分指定入力:機器の構造・設定などから、変化点となる入力値・出力値が既知の場合、その点を使用者などが入力し、該当する入力値または出力値で区分する。
【0027】
ii)期間による区分:プロットに用いるデータが数ヶ月程度など長期に渡るならば1ヶ月単位などの外気環境の変化が現れる程度の期間毎にて、データ自体を区分する。例えば、夏データ、冬データである。
【0028】
iii)統計的処理による区分:次数を指定した多項式近似処理を行い、多項式近似式を求めた後、微分などで変化率を求める。例えば2次近似の場合であれば一階微分値がある値を超えた点(傾きa′が−α≦a′≦αを越える点)などを利用でき、3次以上の近似の場合であれば極大・極小点などが利用できる。
【0029】
区分方法の選択にあたっては、合理的な区分作成のため、i)→iii)の優先順で適用していくと良い。またいずれの場合も、通常は区分点(もしくはその近傍)で特性直線同士が交わることになる。
【0030】
3)区分毎のデータから最小二乗法などで回帰処理を行い、区分毎の特性係数を算出する。
【0031】
4)特性係数はプラント構成機器の特性係数記憶手段にて格納され、前回までの特性係数に対する更新許可があれば、以後計画で使用可能となる。
【0032】
以上の手順により、プラント構成機器毎に性能実状を反映した特性係数や制約式を使用することが可能となる。
【0033】
図6は本発明に係る特性係数の変化に関して使用者に報知する機能を説明する図である。
【0034】
プラント構成機器の特性係数の更新は、プラント運転制御の全体計画の傾向に大きな変化を生じかねず、特に慎重に行われるべきである。また機器調整時・故障時などの非定常的なデータを、機器本来の特性を表すべき特性係数の作成に利用しないことも必要である。
【0035】
本発明では、
1)一定時間毎に機器特性係数を再作成する。特性係数の作成過程を経た後に、前回の特性係数と比較する。変化率の判定指標には例として次のような判別式がある(この判別式を満たすならば、全体計画への影響は軽微と考え、許可を得る段階をスキップして特性を自動更新する)。
【0036】
判別式:いずれか大きい方(第1の変化率、第2の変化率)<許可率
但し 第1の変化率:|(a1−a2)/a1|
第2の変化率:|(b1−b2)/b1|
更新前の制約式:Y=a1X+b1
更新後の制約式:Y=a2X+b2
とする。
【0037】
なお、許可率は0.1(=10%)などの値を、機器別にあらかじめ設定しておく。特性が変化している場合、判別式の値が設定されている許可率以上かどうか判定し、設定許可率以下の場合は使用者に通知せず特性係数を自動的に更新する。
【0038】
2)あらかじめ設定した許可率以上の変化があった場合には、使用者に対し該当する特性係数を更新してよいかの、許可/不許可を求める。この手段例として、
i)ヒューマン・インターフェイス画面上へのメッセージやマークの表示
ii)印刷物の夜間の自動印刷
iii)ぺージャー、電子メールなどによる通知送付
を通じて、使用者に機器毎に変化を通知することなどが考えられる。
【0039】
3)使用者から更新許可がでた段階で計画機能に反映し、該当機器の特性係数の更新を行う。更新許可がでない場合は作成結果を破棄する。
【0040】
なお、図10に、本発明の機器特性係数の更新処理を示すフロー図を図示する。
【0041】
図7は本発明に係る冷水還り温度(還水温度)予測と、その影響を計画に反映する機能を説明する図である。すなわち、冷凍機は、[冷水(通常5℃)を製造→空調負荷側へポンプで送出→冷熱を消費され戻ってきた還水(通常12℃)を再度冷却し、冷水として送出する]というサイクルを繰り返す。
【0042】
この時、需要家空調負荷側にて消費される冷熱量が少ない場合、冷水の送還における温度差が小さくなる現象が生じる(送出温度5℃に対し、還水温度が12℃以下になる)。本来は負荷側への送出流量を減少させることで、設計温度差(ΔT=7℃)を確保する。しかし通常は、配管系統末端での送水圧確保や負荷側の急変動を吸収する為にも、ある程度流量を多めに流している。余分量の冷水はバイパス管を通じて冷水熱量を消費されないまま、還水側に戻る。
【0043】
従って、特に低負荷時(冬期〜中間期・昼間に対する夜間)など、冷水負荷熱量が減少する期間には、還り冷水の温度低下は避けられない。
【0044】
冷凍機は機器自身からの冷水送出温度(=5℃)を変化させる機能を持たない。このため、冷水還り温度が低下した状態では温度差を作り出すことができず、見かけ上、製造能力が抑制される。この「能力の低下現象」を、運用計画にも適切に反映する必要があるが、従来は対処されていなかった。
【0045】
本発明では、
1)冷水還り温度を、機器別に計測する。冷凍機の冷水還り温度は、対象系統の負荷熱量と相関が高い。これを利用し[負荷熱量と機器別冷水還り温度]の相関関係式を実データより作成する。(年間データからあらかじめ回帰作成するか、あるいは稼動しながら蓄積される実データより作成する)。通常は以下の一次式にて表現可能である。すなわち、
冷水還り温度=プラント全体負荷熱量×係数a+切片b
の形式で相関関係式を作る。この関係式は機器毎に1つだけ設けるようにしても良いし、機器毎に月別・シーズン別に複数設けるようにしても良い。
【0046】
2)この関係式は将来においても妥当性があり、予測冷水負荷熱量を式のプラント全体負荷熱量に相当する部分に代入すると、その予測時点における各冷凍機の冷水還り温度が予測できることになる。この予測冷水還り温度を冷凍機能力変化のパラメータとして利用すれば、冷凍機能力の低下現象を容易に運用計画に反映することができる。例えば以下の式により冷凍機能力の低下を表現できる。
【0047】
冷凍機の上限能力=(予測冷凍機冷水還り温度−送出温度)/定格温度差×定格能力
図9は、本発明に係る冷水還り温度予測機能の処理を示すフロー図である。
【0048】
このほか推定温度差(予測還り温度−送出温度)が得られることから、必要な流量の変動も予測可能であり、これを用いた制約の記述も可能である。なお、以上の考え方は、冷凍機のみならず、プラント構成機器全てに適用することができる。すなわち、プラント構成機器に戻る還水の還水温度予測値に基づいて、プラント構成機器の能力を補正することにより、高精度な運転計画を作成することができる。
【0049】
図8は本発明に係る運転計画機能を含む各処理を示すフロー図である。すなわち、プラント構成機器の状態データを計測し、データを蓄積する。次に、使用者からの情報入力取得及びインターネットなどからの情報取得機能により負荷予測及び各機の計画能力の補正をし、運転計画をして運転計画を表示すると共に制御データを出力する。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数をプラント運転データに基づいて常時管理するとともに、還水温度予測に基づいてプラント構成機器の能力を補正して用いることにより、高精度な運転計画に従ったプラント運転制御が行えるプラント最適運転制御システムを提供することができる。また、プラント構成機器の特性係数の変化率を監視し、この変化率が許容値を逸脱する場合に使用者へ通知して特性係数更新の許否を問い合わせる手段を設けることにより、信頼性の高い運転計画を出力するプラント最適運転制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示す構成説明図である。
【図2】本発明の他の実施形態例を示す構成説明図である。
【図3】本発明の最適運転制御システムとエネルギープラントと需要家の関係を示す説明図である。
【図4】本発明に係る構成機器の特性係数の自動把握及び計画への反映手順を説明する図である。
【図5】本発明に係るプラント構成機器の特性係数および制約式の作成方法を説明する図である。
【図6】本発明に係る特性係数の変化に関して使用者に報知する機能を説明する図である。
【図7】本発明に係る冷水還り温度(還水温度)予測と、その影響を計画に反映する機能を説明する図である。
【図8】本発明に係る運転計画機能を含む各処理を示すフロー図である。
【図9】本発明に係る冷水還り温度予測機能の処理を示すフロー図である。
【図10】本発明の機器特性係数の更新処理を示すフロー図である。
【図11】従来のプラント最適運転制御システムを示す構成説明図である。
【符号の説明】
11 エネルギープラント
12 プラント運転データ入力部
14 ヒューマン・インターフェイス
17 プラント構成機器特性係数記憶手段
19 プラント制御データ出力部
21 電力・熱負荷データ記憶手段
22 気象データ入力部
23 電力・熱負荷予測手段
24 プラント運転データ記憶手段
25 プラント構成機器特性係数更新手段
26 最適運転計画手段
27 通信インターフェイス
28 特性変化報知手段
Claims (4)
- 冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データに基づいて、過去の電力・熱負荷データを記憶する電力・熱負荷データ記憶手段と、
前記電力・熱負荷データ記憶手段から読み出された過去の電力・熱負荷データ及び気象データに基づいてプラント電力・熱負荷を予測する電力・熱負荷予測手段と、
前記エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数を記憶するプラント構成機器特性係数記憶手段と、
前記エネルギープラントから入力されたプラント運転データを記憶するプラント運転データ記憶手段と、
前記プラント運転データ記憶手段から読み出されたプラント運転データに基づいて前記プラント構成機器特性係数記憶手段に記憶されたプラント構成機器の特性係数の更新要否を所定の周期で演算処理するとともに、所定の更新条件を満たす場合に特性係数を更新するプラント構成機器特性係数更新手段と、
前記電力・熱負荷予測手段により予測したプラント電力・熱負荷と、前記プラント構成機器特性係数記憶手段から読み出されたプラント構成機器の特性係数に基づいて、プラント運転コスト、プラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量が最小となるようにプラントの運転台数制御及び各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出して前記エネルギープラントに送出すると共に、プラント全体負荷熱量から求めた負荷側からエネルギープラント構成機器に戻る還水の還水温度予測値に基づいて、前記プラント構成機器の温度差を作り出す製造能力を、還水温度予測値と送出温度の差を、定格温度と定格能力の積で割り算して補正する最適運転計画手段と
を具備することを特徴とするプラント最適運転制御システム。 - 前記プラント構成機器特性係数更新手段は、前記プラント運転データ記憶手段から読み出されたプラント運転データを機器毎に区分解析する規則を格納した区分解析ルール格納部を備え、この区分解析ルール格納部に格納された区分解析する規則に基づいて、機器毎に1つまたは複数の特性係数を演算することを特徴とする請求項1記載のプラント最適運転制御システム。
- 気象データをインターネットの通信インターフェイスから取得することを特徴とする請求項1又は2記載のプラント最適運転制御システム。
- 前記プラント構成機器特性係数更新手段による更新前後のプラント構成機器特性係数を用いて特性の変化率を監視し、変化率が設定値以上の場合は使用者へ通知する特性変化報知手段を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のプラント最適運転制御システム。
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