JP4290842B2 - 木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置および製造方法 - Google Patents

木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置および製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化石燃料に代わる代替燃料やその他の融解物質を、木質系のバイオマスを原料として製造する融解物質の製造装置および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バイオマスとは、地球の生物圏において、太陽エネルギーを利用して生合成される有機体のことであり、各種の化学成分を原料とすることにより植物、動物および微生物として出現し、それぞれ所定の生態系で形態変化を経て所定のサイクルで無機質に戻るものを総称する言葉である。
【0003】
このようなバイオマスが各種産業の原料として注目されるようになって久しいが、工業材料の原料としての観点からは、木材、パルプ、繊維、ゴム、食料、飼料、薪炭、都市ごみの有機性分、屎尿、農業廃棄物、畜産廃棄物、食品加工廃棄物、下水処理で生成する活性汚泥等をバイオマスと呼ぶのが一般的である。
【0004】
かかるバイオマスは、石炭、石油あるいは天然ガス等の地下資源と比較対照されることが多い。地下資源である石炭等は、過去に太陽エネルギーによる再生サイクルの恩恵に浴していたが、現在ではサイクルから外れて再生されることがないため、使い切ってしまえば後がないという問題点を有しているのに対し、バイオマスは、太陽エネルギーが絶えない限り常に再生サイクルの恩恵に浴しているため、有効に使用すれば無尽蔵な資源であるといえる。
【0005】
かかる背景の基に、特に木質系のバイオマスを原料として化石燃料の代替物を製造したり、融解物質を回収する研究が盛んに行われるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、木質系のバイオマスを原料として化石燃料の代替品を製造したり融解物質を回収するための方法は、木質バイオマスを所定の溶液(液化試薬)と混合し、この混合物を所定圧および所定温度で処理してセルロースやリグニン等を液状物に変換するものが主流であった。液化試薬の種類によって「フェノール液化」と呼ばれたり、「アルコール液化」と呼ばれている。しかしながら、かかる方法では、液化試薬が必須になるため、その分材料コストが嵩む上、得られた液化物は、用いた液化試薬の影響を受けたものになっており、木質系バイオマス本来の特性が生かされたものになっていないばかりか、公害物質を含む材料に変質したり収率も劣るという問題点を有していた。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、液化試薬を用いることなく木質系のバイオマスを直接融解して公害物質を含まない融解物質を高収率で回収することができる木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置および製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、木質バイオマスを原料にして融解物質を製造する製造装置であって、装填された原料を密閉状態で融解する融解室を備えた融解装置と、融解室内に原料を装填する原料装填装置と、融解室内を非酸化環境にする環境調整装置と、融解室に装填された原料を圧縮する圧縮装置と、融解室内の原料を圧縮状態で熱処理する熱処理装置と、熱処理による原料の融解で生成した融解生成物を回収する融解生成物回収装置とからなることを特徴とするものである。
【0009】
この発明によれば、木質バイオマスの原料は、原料装填装置により融解室に装填された状態で、圧縮装置により圧縮され、この状態で周りの環境が空気の存在しない非酸化環境に設定された上で熱処理装置からの熱を得て熱処理されるため、圧力を受けて構成分子同士が互いに作用しやすい状態になっていること、および熱処理時に燃焼することがないことにより、バイオマスを構成しているセルロース、ヘミセルロースおよびリグニン等が適正に融解し、これによって木質バイオマスはレポグルコサンのような融解物質になる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記原料装填装置は、原料をスクリューフィーダの軸心回りの回転で融解室内に装填するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によれば、木質バイオマスの原料は、それを原料装填装置に供給することによりスクリューフィーダの軸心回りに回転に案内されて進行し、融解室に供給される。そして、かかるスクリューフィーダを用いることにより、その回転数の制御で原料の供給量を容易に調節することが可能になる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記原料装填装置は、原料を気流によって融解室内に装填するように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
この発明によれば、原料は、気流によって融解室内に導入されるため、気流として窒素やアルゴン等の不活性ガスを採用することにより、原料を融解室内に導入した上で、融解室内を非酸化環境にすることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、上記融解装置は、内部に上記融解室が形成されたシリンダと、このシリンダに往復動可能に嵌挿されるピストンとから構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、シリンダ内の融解室に原料を装填した状態でシリンダ内に嵌め込んだピストンをシリンダ内に没入させることにより内部の原料はピストンに押圧されて圧縮される。このようなシリンダとピストンとで融解装置を構成することにより、原料圧縮構造を簡単な構成のものにし得た上で、確実な圧縮処理が実現する。
【0016】
特に、シリンダに嵌挿されたピストンによって融解室が密閉状態とされるため、ピストンによる加圧力が、原料に対して一軸的に作用するのではなく、すべての原料粒子の外周面から均等に各原料粒子に作用し、これによって原料の分子構造の変換を均一かつ効果的に行わせることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、上記圧縮装置は、上記ピストンを駆動する油圧機構または電動機構によって構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、油圧機構を採用すれば圧縮装置を小型でありながら大きな圧力を発生させる強力なものにすることが可能であり、電動機構を採用すれば、圧縮装置を簡単な構造にすることが可能になり、いずれも原料の確実な圧縮を実現する上で有効である。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、上記環境調整装置は、上記融解室内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入装置を備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、融解室内に不活性ガスを供給することにより、融解室内は空気が存在しない非酸化雰囲気になるため、バイオマス原料の熱処理によっても原料は燃焼することがなく、原料の融解処理が適正に行われる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、上記融解装置および上記原料装填装置は、外気の侵入を阻止し得る気密室内に配設され、上記環境調整装置は、気密室内の空気を吸引する真空ポンプを備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、真空ポンプの駆動で気密室内から空気を抜き出すことにより、室内は空気が存在しない非酸化雰囲気になるため、バイオマス原料の熱処理によっても原料は燃焼することがなく、原料の融解処理が適正に行われる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明において、上記熱処理装置は、直流電流またはパルス電流を供給する電力供給装置からの電力を得て上記原料を熱処理するものであることを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、熱処理装置に直流電流又はパルス電流が供給されることにより、ジュール熱で原料は急速に加熱され、融解処理が行われる。そして、特に原料にはパルス電流が供給される場合には、原料がパルスの振動により揺さぶられて緻密化が進行し、原料の粒子同士が互いに接近して影響し合うことにより、より効果的な融解処理が実現する。
【0025】
そして、かかる熱処理においては、ジュール熱による温度上昇過程と、圧力とが相互に関連してセルロース等の高分子の鎖状構造等が融解される。また、融解が生じると同時に電流が原料にも流通することになり、これが融解生成物の性状形成に大きく影響することになる。これらは、供給電流特性の抵抗値の変化を検出することによって確認される。
【0026】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明において、上記融解生成物回収装置は、開閉弁を介して融解室に連通した回収管路を備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
この発明によれば、融解室内は、開閉弁を閉止することにより密閉状態になるとともに、開閉弁の開放で回収通路と連通するため、開閉弁を閉止することによって融解室内で融解処理を行い得るようになる一方、融解処理後に開閉弁を開通することで融解室内の融解生成物は、回収管路を介して系外に導出される。
【0028】
請求項10記載の発明は、木質バイオマスを原料にして融解物質を製造する製造方法であって、木質バイオマスを微粉砕して微粉状原料にする粉砕工程と、微粉状原料を非酸化環境に設定された所定の融解室に装填して密封する原料装填工程と、融解室内の微粉状原料を圧縮する圧縮工程と、圧縮された微粉状原料を熱処理で融解する熱処理工程と、この熱処理工程で得られた融解生成物を回収する回収工程とからなることを特徴とするものである。
【0029】
この発明によれば、木質バイオマスの原料は、粉砕工程で粉砕されることによって表面積が大きくなり、融解処理に有利になる。粉砕工程で微粉砕されることにより形成した微粉状原料は、原料装填工程で非酸化環境に設定された融解室に装填され、圧縮工程で圧縮され、熱処理工程で熱処理されるため、微粉状原料は、圧力を受けて構成分子同士が互いに作用しやすい状態になっていること、および熱処理時に燃焼することがないことにより、高分子構造のバイオマスを構成しているセルロース、ヘミセルロースおよびリグニン等が適正に融解し、これによって木質バイオマスは例えば低分子構造のレポグルコサンのような融解物質に改質される。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、上記微粉状原料として粒子径を120μm以下に粒度調製したものを用いることを特徴とするものである。
【0031】
この発明によれば、120μm以下に粒度調製された微粉状原料を融解処理することにより少なくとも50%の収率で、融解物質である低分子構造のレポグルコサンが得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る木質バイオマスを原料にして融解物質を製造する方法の一実施形態を示す工程図である。この図に示すように、本発明方法は、木質バイオマスBを微粉砕して微粉状原料B1にする粉砕工程P1と、この粉砕工程P1で微粉砕された微粉状原料B1を所定の融解装置2の処理室に装填する原料装填工程P2と、処理室内に密封状態で装填された微粉状原料を所定の圧力で圧縮する圧縮工程P3と、処理室内で加圧された粉状原料を所定の温度にまで加熱して熱処置する熱処理工程P4と、この熱処理工程P4での熱処理により融解して生成した融解物質を回収する回収工程P5とからなり、各工程を順次実行することにより、木質バイオマスBを融解物質に変換し得るものである。
【0033】
上記木質バイオマスBとしては、材木の製材屑、間伐材、紙などのパルプ製品の廃棄物、トウモロコシの茎等が採用される。かかる材料が原料として採用されるのは、これらは、通常、廃棄物として埋立て処理されたり焼却処理されるのであるが、これら木質バイオマスBは、多糖類であるセルロースおよびヘミセルロース並びにフェニルプロパン系の化合物であるリグニンの3物質が主成分であり、いずれも安定した固体の高分子化合物であるが、所定の条件で熱処理することにより融解して融解物質に変換し得るからである。
【0034】
そして、本発明においては、種々の試験の結果、木質バイオマスBを微粉状原料B1にした上で所定の条件で熱処理することにより、単糖類の一種であるアンヒドロ糖の内のレポグルコサンが得られることを突き止めた結果、本発明に到達したのである。
【0035】
かかる木質バイオマスBは、まず粉砕工程P1において微粉砕されて微粉状原料B1とされる。粉砕工程P1では、木質バイオマスBは、まず、ジョークラッシャーやハンマークラッシャー等の粗砕機によって数cmオーダーにまで粗砕され、引き続きロールミルや高速回転ミル等の粉砕機によって数100μm〜数mm程度に粉砕され、最後に圧密剪断ミルや気流式粉砕機等の微粉砕機によって0.01μm〜数100μmにまで微粉砕される。
【0036】
木質バイオマスBがこのように微粉砕されるのは、全体としての表面積を大きくし、これによって熱処理には不利な熱伝導率が極めて小さいという木質バイオマスBの欠点を補い、熱効率を良好にするためであるとともに、微粉砕することによって融解処理の均一化および迅速化を図るためである。
【0037】
本発明においては、微粉状原料B1は平均粒度(平均粒子径)が0.01μm〜120μmになるように粒度調製される。かかる範囲が採用されるのは、木質バイオマスBを0.01μm未満にまで微粉砕するとなると粉砕効率が極端に低下し、経済的でないからであり、また、微粉状原料B1の粒度が120μmを越えると粒子が大きすぎることに起因して微粉状原料B1に対する均一かつ効率的な融解処理が困難になるためである。
【0038】
上記原料装填工程P2においては、0.01μm〜120μmに粒度調製された微粉状原料B1が、予め非酸化環境に設定された所定の融解装置の融解室に装填される。融解室を非酸化環境にするためには、融解装置そのものを減圧室内に配設することが行われる。そして、微粉状原料B1は、減圧室内が所定の真空度に設定された上で融解室内に装填され、つぎの圧縮工程P3で50〜2000kg/cm2の圧力で加圧されて圧縮され、引き続き熱処理工程P4で180℃〜450℃にまで加熱される。本実施形態では、減圧室内は略10Paの真空度に減圧されている。なお、非酸化環境の形成は、融解環境を減圧することのみに限定されるものではなく、融解室内の空気を窒素やアルゴン等の不活性ガス、あるいは還元ガスである水素に置換するようにしてもよい。
【0039】
そして、上記熱処理工程P4において、微粉状原料B1は180℃〜450℃に加熱されるが、上記減圧処理で融解室内にはほとんど空気が存在しないため、微粉状原料B1は燃焼することとなく加圧状態で熱の影響のみを受け、迅速かつ適正に融解されて主成分である高分子のセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンが分解し、融解生成物が得られる。融解生成物としては、液状のものとガス状のものとがある。液状のものは黄褐色若しくは黒色を呈し、この中に多くのレポグルコサンや各種の低分子化合物および炭素が含まれている。
【0040】
また、本実施形態においては、熱処理工程P4における微粉状原料B1の融解処理は、圧縮状態の微粉状原料B1に周波数0.1Hz〜500Hzの交流電源を用いた、ピーク電流値800〜1000Aで所定のパルス幅のパルス電流を付与することによって行われる。
【0041】
そのために微粉状原料B1をパルス電流が供給される容器に装填した状態で圧縮するようにしている。かかる電流の供給によって各型21,22,23に電流が間欠的に流れ、この間欠的な電流供給によるジュール加熱で微粉状原料B1は加熱されて融解される。そして、間欠的な電流供給による微粉状原料B1の粒子の振動で微粉状原料B1の充填が促進されるとともに、熱が各粒子に万遍なく伝導されて効率的な融解処理が実現し、融解室内に融解生成物B2が生成されることになる。なお、容器に供給する電流は、パルス電流に代えて直流電流であってもよい。
【0042】
そして、所定時間が経過した後、融解室内への電力供給が停止されるととも、さらに所定時間が経過した後に微粉状原料B1(このときにはすでに融解生成物B2になっている)に対する圧縮が解除され、その後、回収工程P5が実行されて生成した融解生成物B2が系外に導出される。
【0043】
図2は、熱処理工程P4における微粉状原料B1の温度、供給されるパルス電流の電流値および微粉状原料B1に対する加圧力の推移の一実施形態を示すグラフである。なお、電流値については、実際は0.1〜0.2secのパルス幅で振幅しているが、図示が困難であることからピーク電流値のみを示している。
【0044】
このグラフに示すように、4500kgの重量で加圧された最初は常温の微粉状原料B1は、900Aのパルス電流が供給されることにより略1.3℃/secの昇温速度で加熱され、3分経過後に240℃に到達する。引き続き微粉状原料B1に対するパルス電流の供給が継続されるが、微粉状原料B1の温度は240℃以上には昇温させず、この温度のまま推移する。そしてこの状態が3分間継続された後にパルス電流の供給が停止されて微粉状原料B1の融解処理が完了し、これによって融解室内には融解生成物B2が生成した状態になる。
【0045】
また、パルス電流の供給開始後、略2分が経過した時点で微粉状原料B1の融解が急激に進行してガスが発生し、このガス圧により融解室21a内の圧力が上昇して融解室21a内のトータル圧力が大きくなるため、これを検出して一時的に加圧力を小さくし(図2中のX時点参照)、微粉状原料B1に加わるトータルの圧力が一定になるように制御している。かかる傾向は、パルス電流の供給を停止する直前の6分経過後にも生じる(図2中のY時点参照)。
【0046】
なお、融解処理が完了しても、融解生成物B2の温度が所定の温度になるまで強制冷却はされるが(なお、強制冷却必須ではない)、この間、融解生成物B2に対する加圧状態は維持される。そして融解生成物B2が所定の温度にまで冷却された後に融解生成物B2に対する加圧状態が解除され、融解室から導出される。
【0047】
このようにして得られた融解生成物B2は、淡い黄褐色あるいは黒色を呈した粘性のある液体であり、その主成分は、トリアセタール、トリベンゾアートあるいはトリメチルエーテル等の誘導体の原料になるレポグルコサンであることが確認されている。融解生成物B2の主成分がレポグルコサンであることについては後に「実施例」の欄で微粉状原料B1の粒子径との関係で詳細に説明する。
【0048】
つぎに本発明に係る木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置について図3〜図5を基に説明する。図3〜図5は、本発明に係る融解物質製造装置の第1実施形態を示す断面視の説明図であり、図3は、融解室に微粉状原料B1が装填されつつある状態、図4は、融解室内に装填された微粉状原料B1が圧縮された状態、図5は、融解室内に形成した融解生成物B2が導出されつつある状態をそれぞれ示している。
【0049】
これらの図に示すように、融解物質製造装置1は、微粉状原料B1を融解処理する融解装置2と、この融解装置2に微粉状原料B1を供給する原料供給装置3と、融解装置2の置かれた環境を非酸化環境にする環境調整手段4と、融解装置2に装填された微粉状原料B1を圧縮して減容する圧縮装置5と、融解装置2に装填された微粉状原料B1にパルス電流の形で電力を供給する電力供給装置6と、融解装置2内に生成した融解生成物B2を回収する回収装置7と、融解物質製造装置1の運転制御を行う制御装置8とを備えて構成されている。
【0050】
かかる融解物質製造装置1の内の融解装置2および原料供給装置3は、密封状態でこれらを内装し得る減圧構造物10内に配設されている一方、電力供給装置6および制御装置8は減圧構造物10の外部に設けられ、さらに、圧縮装置5および回収装置7については減圧構造物10の内外に亘って設けられている。
【0051】
上記減圧構造物10は、フロアF上に敷設された基礎F1の上に軟鋼等の構造材によって箱型に構築され、基礎F1に密着配置される底板11と、この底板11の周縁部から立設された、減圧構造物10内の四囲を囲む側板12と、互いに対向した側板12の上縁部間に架設された天板13とを備えて構成され、これら底板11、側板12および天板13により囲繞された空間によって気密状態で減圧し得る減圧室10aが形成されている。
【0052】
また、一の側板12には、減圧室10a内に出入りするための出入口12aが設けられているとともに、この出入口12aを閉止する扉14が設けられている。この扉14は、出入口12aを図略のシール部材を介して閉止した状態で周縁部がボルト止めで側板12に固定され、これによって内部の気密性が確実に維持されるようになっている。かかる扉14が設けられるのは、定期的に、あるいは必要に応じて扉14を開放し、出入口12aから減圧室10a内に入って内部の点検および保守管理を行うためである。
【0053】
上記融解装置2は、円筒状の金属製中型21(シリンダ)と、この中型21が載置されて固定される金属製の下型22と、上記中型21の上方位置に配設される金属製の上型23とからなっている。中型21は、その中心位置に上下方向に延びるように穿設された円柱状の空間からなる融解室21aを有しており、この融解室21a内に原料供給装置3からの微粉状原料B1が装填されるようになっている。
【0054】
上記下型22は、径寸法が中型21の外径寸法と略同一に設定された土台22aと、この土台22aの中心位置に据え付けられた下型本体22bとからなっている。土台22aは、減圧構造物10の底板11の中央部に穿設された底孔11aに内嵌されることによって基礎F1に直接支持された状態になっている。
【0055】
上記下型本体22bは、上下寸法が中型21の高さ寸法の1/3以下に設定されている。かかる下型本体22bは、外周面が中型21の内周面に密着した状態で中型21内に嵌入され、これによって下型本体22bの上面と中型21の内周面とで囲まれた空間に融解室21aが形成されている。
【0056】
上記上型23は、上部が絶縁部材15を介して圧縮装置5に固定された円柱体23aと、この円柱体23aの下面中心位置から垂下された上型本体23b(ピストン)とからなっている。上記減圧構造物10の天板13には中央部に上記円柱体23aを嵌挿する嵌挿孔13aが設けられ、この嵌挿孔13aに環状絶縁材16を介して摺接状態で円柱体23aが嵌挿されることによって上型23が上下動可能に減圧構造物10に装着されるようになっている。
【0057】
上記上型本体23bには、2個のピストンリング23cが外嵌され、これらピストンリング23cによって上型本体23bが融解室21a内に嵌まり込んだときの融解室21a内の気密性を確実に確保し得るようになされている。
【0058】
上記上型本体23bは、外径寸法が融解室21aの内周面に摺接状態で嵌入されるように寸法設定され、これによって上型本体23bは、圧縮装置5の駆動による円柱体23aの昇降によって融解室21a内で昇降し、下降時に融解室21a内に装填された微粉状原料B1を気密状態で圧縮処理し得るようになっている。
【0059】
上記原料供給装置3は、原料ホッパー31と、この原料ホッパー31の下部に連設されたスクリューフィーダ32とからなっている。上記原料ホッパー31は、上下部が開口した漏斗形状に形成され、上縁部が溶接止めで減圧構造物10の天板13内面に固定されている一方、天板13には原料ホッパー31の上部開口に対応した位置に原料装填口13bが開口されているとともに、この原料装填口13bを塞ぐ蓋体17が設けられている。この蓋体17は、原料装填口13bを閉止した状態で天板13にボルト止めされ、これによって減圧室10a内の気密性が保持されるようになっている。
【0060】
上記スクリューフィーダ32は、円筒状のフィーダー筒32aと、このフィーダー筒32aに内装された、外周面にスクリューを有するスクリュー軸32bと、駆動軸がこのスクリュー軸32bと同心の駆動モータ32cとを備えて構成されている。フィーダー筒32aは、その基端側(図3の左方)が原料ホッパー31に連通しているとともに、先端側が上型本体23bを上昇させて中型21から外した状態(図3)における融解室21aの上部開口に臨むように配置設定されている。また、上記駆動モータ32cは、フィーダー筒32aの基端部に固定されてその駆動軸がスクリュー軸32bに同心で接続されている。そして、駆動モータ32cを駆動させることによりスクリュー軸32bが所定の方向に回転し、これによって原料ホッパー31に装填されている微粉状原料B1がフィーダー筒32a内を通って切り出され、上部が開口した融解室21a内に装填されるようになっている。
【0061】
上記環境調整手段4は、融解室21a内を非酸化環境に調整するために減圧室10a内を減圧するものであり、減圧室10aと連通した吸引パイプ41と、この吸引パイプ41に接続された真空ポンプ42とからなっている。本実施形態においては、真空ポンプ42は、それを連続稼働させることにより気密状態の減圧室10a内の圧力を略10Paの真空度にし得るものが採用されている。
【0062】
従って、原料供給装置3の駆動で微粉状原料B1を融解室21a内に装填した後、真空ポンプ42を駆動して減圧室10a内を真空状態にすることにより、融解室21a内も真空状態になって空気がほとんど存在しなくなるため、融解室21a内の微粉状原料B1を発火点以上の温度にまで加熱しても微粉状原料B1が燃焼することはない。
【0063】
なお、環境調整手段4として、真空ポンプ42に代えて減圧室10a内に窒素やアルゴン等の不活性ガスを導入する圧送ポンプを採用し、不活性ガスタンクからの不活性ガスを減圧室10a内に導入して、空気と置換し、これによって減圧室10a内を非酸化雰囲気に変えるようにしてもよい。
【0064】
上記圧縮装置5は、減圧構造物10の上方位置で上下方向に延びるように配設された所定本数のシリンダ装置51と、各シリンダ装置51の下部に設けられた押圧板52と、上記押圧板52に油圧を供給する油圧ユニット53とからなっている。シリンダ装置51は、シリンダ51aと、このシリンダ51aから下方に突出したピストンロッド51bとからなっている。そして、油圧ユニット53からのシリンダ51a内に対する油圧の供給方向を上下変更することにより、ピストンロッド51bをシリンダ51aに対して進退(昇降)させ得るようになっている。
【0065】
かかるシリンダ装置51のピストンロッド51b下端部は押圧板52の上面に接続されている。従って、油圧ユニット53の駆動でピストンロッド51bをシリンダ51aから出没させることにより押圧板52が昇降し、これによる上型23の昇降によって上型本体23bの下端部が中型21の融解室21a内に没入したり(図4)、融解室21aから外れたり(図3)するようになっている。
【0066】
上記電力供給装置6は、商用電力をパルス変換して上型23および下型22に供給するものであり、周波数60Hzの商用電源60からの交流電流を整流して直流にする整流回路61と、一旦直流に整流された電流を所望のパルス電流に変換するインバータ62と、このインバータ62で形成されたパルスの電圧を所定の電圧(本実施形態では略10000V)に昇圧するトランス63と、このトランス63で昇圧されたパルスを上型23および下型22に向けて出力するパルス出力回路64とからなっている。
【0067】
上記インバータ62は所定個数のトランジスタおよびダイオードを有しているとともに、パルス出力回路64は所定個数のサイリスタを有し、これらトランジスタ、ダイオードおよびサイリスタの作用が適正に制御されることにより、パルス出力回路64から出力されるパルスの特性が調整されるようになっている。パルスの特性としては、パルス波形、パルス幅、パルス間隔、パルス電流値、パルスのピーク電圧値等を挙げることができ、これらのパルス特性の調整要素を種々変更することにより、融解室21a内で下型本体22bの上面および上型本体23bの下面に挟持された微粉状原料B1の融解状態を制御し得るようになっている。かかるパルス特性は、制御装置8によって制御されるが、その詳細については、特願平11−68884号(特開平11−342470号公報)に詳述されている。
【0068】
上記回収装置7は、熱処理工程P4(図1)が終了後の回収工程P5において融解室21a内に生成した融解生成物B2を系外に回収するためのものであり、中型21内に生成した融解生成物B2を冷却する冷却手段71と、融解室21a内の融解生成物B2を系外に導出するための回収管路72と、融解室21aと回収管路72との間の連通状態を開閉する開閉弁構造73とからなっている。
【0069】
冷却手段71は、中型21内に形成された冷却管路71aと、この冷却管路71aに冷却水を送り込む冷却水ポンプ71bとからなっている。そして、熱処理工程P4が終わった時点で冷却水ポンプ71bが駆動されることにより、所定の水源からの冷却水(水道水や工業用水等)が冷却管路71aに流通され、融解室21a内の融解生成物B2は、中型21を介してこの冷却水で所定の温度にまで冷却されるようにしている。
【0070】
なお、この回収装置7を、融解装置2の温度管理用に利用し、融解装置2を予め設定された所定の温度に維持させるようにしてもよい。
【0071】
上記回収管路72は、中型21内であって融解室21aの最下部と外部とが連通するように設けられた中型内管路72aと、この中型内管路72aに接続されて減圧室10aの外にまで引き出された回収パイプ72bとからなっている。中型内管路72aの融解室21a側には、管路よりも内径寸法が若干大きい、後述する開閉弁73cを収納するための弁収納凹部72cが凹設されている。そして、融解室21a内に生成した融解生成物B2は、開閉弁構造73が弁開状態になったときに回収管路72を通って系外に導出されるようになっている。
【0072】
上記開閉弁構造73は、減圧構造物10の側板12外方に固定された弁用シリンダ73aと、この弁用シリンダ73aから進退可能に突出した弁用ピストンロッド73bと、この弁用ピストンロッド73bの先端に固定された開閉弁73cとを備えて構成されている。
【0073】
弁用ピストンロッド73bは、側板12を貫通して減圧室10a内に納められている一方、上記中型21には弁収納凹部72cに連通するようにロッド装着孔21bが穿設されている。かかる弁用ピストンロッド73bは、その先端側がロッド装着孔21bに摺接状態で嵌入されている。
【0074】
弁用ピストンロッド73bの先端部に開閉弁73cが取り付けられている。開閉弁73cは、弁収納凹部72cに摺接状態で嵌入されるように寸法設定され、開閉弁73cが弁収納凹部72cに嵌まり込んだ状態では、図3に示すように、融解室21aと中型内管路72aとの連通が遮断される一方、弁用シリンダ73aの駆動で弁用ピストンロッド73bが突出した状態では、図5に示すように、開閉弁73cが弁収納凹部72cから外れて融解室21aと回収管路72とが連通されるようになっている。
【0075】
上記制御装置8は、融解物質製造装置1を総合的に制御するものであり、各所に設けられたセンサからの検出信号に基いて電力供給装置6等に向けて制御信号を出力し、これによって微粉状原料B1の最適な融解処理を実現させ得るようになっている。かかる制御を行うために、中型21には熱電対からなる温度センサ81が埋設されているとともに、圧縮装置5の押圧板52近傍には上型23の変位量を検出するための変位センサ82が設けられている。また、下型本体22bと基礎F1との間には、微粉状原料B1に対する圧縮装置5の加圧力を検出するための圧力センサ83が設けられている。
【0076】
通常、これらのセンサ81,82,83からはアナログ信号が出力されるため、このアナログ信号をデジタル信号に変換する変換器が制御装置8と各センサとの間に介設されるが、図3〜図6においては、変換器の図示を省略している。なお、変換器の機能を制御装置8に備えさせてもよい。以下図6を基に制御装置8について説明する。
【0077】
図6は、制御装置8による微粉状原料B1の融解処理の制御を説明するためのブロック図である。この図に示すように、制御装置8は、いわゆるコンピュータにより構成され、中央演算処理装置であるCPU8aと、各種のデータやプログラムを記憶する記憶装置8bと、所定のデータや作業指示を入力したり、センサによる検出結果や各種の演算結果を出力する入出力装置8cとからなる基本構成を有している。
【0078】
かかる制御装置8には、温度センサ81、変位センサ82および圧力センサ83からの検出信号が適宜入力され、これらの検出信号に基いて所定のプログラムが実行されることにより、電力供給装置6、油圧ユニット53、駆動モータ32c、真空ポンプ42および冷却水ポンプ71bに所定の制御信号が出力され、これによる各機器の有機的な連動によって微粉状原料B1の融解処理が適正に実行されることになる。
【0079】
以下、かかる制御およびこの制御と並行して実行される各種の操作について、微粉状原料B1の融解室21a内への装填から融解生成物B2の系外への導出に到るまで経時的に説明する。
【0080】
微粉状原料B1を融解処理するに際しては、まず、蓋体17を開放して原料ホッパー31の原料装填口13bを開放し、必要量の微粉状原料B1を原料ホッパー31内に装填してから蓋体17を閉止して減圧室10a内を密封状態にする。この状態では、図3に示すように、上型23は上昇位置に位置しており、上型本体23bの下端部と中型21の上縁部との間には微粉状原料B1を融解室21a内に装填するための隙間が形成されている。また、減圧室10a内は常圧のままである。
【0081】
原料ホッパー31内への微粉状原料B1の装填が完了すると、制御装置8から真空ポンプ42に向けて起動信号が出力されることにより真空ポンプ42は駆動し、空気が吸引除去されて10Paにまで減圧され、これによって減圧室10a内は空気が極めて少ない非酸化環境になる。この真空ポンプ42の運転は、微粉状原料B1の融解処理が完了するまで継続される。
【0082】
ついで、真空ポンプ42の起動から所定時間が経過し、減圧室10a内が10Paに到達した時点で制御装置8から駆動モータ32cに向けて起動信号が出力される。そして、この起動信号による駆動モータ32cの駆動でスクリュー軸32bが軸心回りに回転し、原料ホッパー31内の微粉状原料B1は、この回転で原料ホッパー31から切り出されてフィーダー筒32aを先端側(図3の左方)に向けて移動し、上部開口から融解室21a内に装填される。
【0083】
微粉状原料B1の装填量については、駆動モータ32cの駆動時間で制御されるようにしている。具体的には制御装置8に図略のタイマーが内装され、このタイマーに駆動モータ32cの駆動時間を入出力装置8cから入力設定することにより行うようにしている。従って、駆動モータ32cの駆動開始後所定時間が経過すると、制御装置8から駆動モータ32cに向けて停止信号が出力され、これによって融解室21a内に予め設定された所定量の微粉状原料B1が装填されることになる。
【0084】
融解室21a内に所定量の微粉状原料B1が装填されると、制御装置8から油圧ユニット53に向けてシリンダ装置51を駆動させるための駆動信号が出力される。この駆動信号を受信した油圧ユニット53は、ピストンロッド51bが突出するようにシリンダ51aに油圧を送り、これによるピストンロッド51bの突出で上型23は下降し、上型本体23bが中型21の融解室21aに嵌まり込み、融解室21a内の微粉状原料B1が上型本体23bによって押圧されて圧縮される。
【0085】
そして、微粉状原料B1の圧縮状態は圧力センサ83によって検出され、この検出信号が制御装置8に入力される。一方、制御装置8には、微粉状原料B1に対する加圧量(例えば4500kg)が入力されており、この加圧量に到達すると、これ以上の加圧を中止するように油圧ユニット53に向けて制御信号が出力されるようになっている。従って、融解室21a内の微粉状原料B1は、所定の加圧量で圧縮された状態が維持されることになる。
【0086】
微粉状原料B1が所定の加圧量で加圧された状態になると、今度は、制御装置8から電力供給装置6に向けて起動信号が出力され、これによる起動で電力供給装置6は、商用電源60からの電流を整流回路61で整流し、インバータ62でパルスを発生させ、トランス63で昇圧し、最後にパルス出力回路64から所定のパルス電流が上型23および下型22に向けて出力される。
【0087】
なお、微粉状原料B1に対する加圧前でも、上型23および下型22にパルス電流を供給するように構成してもよい。
【0088】
このパルス電流は、融解装置2を流通するとともに、一部は融解室21a内で圧縮された微粉状原料B1に上型本体23bの下面および下型本体22bの上面から振動的に供給され、微粉状原料B1は、この熱処理でセルロース等の成分が融解して液状の融解生成物B2になる(図4)。
【0089】
そして、パルス電流が供給されている間、温度センサ81からの検出信号が制御装置8に入力され、これによって制御装置8は、微粉状原料B1の温度が適正であるか否かを判別し、適正でないときは電力供給装置6に向けて制御信号を出力し、微粉状原料B1の温度が予め設定された適正な温度になるようなパルス電流が出力されるようにする、いわゆるPID制御が実行されるようにしている。
【0090】
かかる電力供給装置6からの微粉状原料B1に対するパルス電流供給が完了すると(すなわち、融解室21a内に融解生成物B2が生成した状態になると)、今度は制御装置8から冷却手段71の冷却水ポンプ71bに向けて駆動信号が出力され、これによる冷却水の供給で融解生成物B2は中型21を介して冷却される。
【0091】
なお、冷却手段71は、これを温度管理手段に変えて融解装置2の温度管理用に使用してもよい。
【0092】
そして、融解生成物B2が予め設定された所定の温度にまで冷却されたことを温度センサ81からの検出信号によって確認されると、制御装置8から真空ポンプ42に向けて停止信号が出力され、真空ポンプ42は停止する。そして、真空ポンプ42が停止すると、外気が真空ポンプ42および吸引パイプ41を逆流し、減圧室10a内が徐々に常圧に戻される。
【0093】
そして、減圧室10a内が完全に常圧に戻った頃合いを見計らって制御装置8から油圧ユニット53に駆動信号が出力され、ピストンロッド51bのシリンダ51a内への没入によって上型23が上昇し、融解室21aは開放状態になる。この状態で、制御装置8は、弁用シリンダ73aが駆動して開閉弁73cが開となるように油圧ユニット53に向けて駆動信号を出力するため、弁用ピストンロッド73bの突出で開閉弁73cが弁収納凹部72cから融解室21a内に突出し(図5)、回収管路72が融解室21aと連通する。融解室21a内の融解生成物B2は、連通した回収管路72を通って系外に導出されることになる。
【0094】
このようにして得られた融解生成物B2は、常温にまで冷却すると固形化するため、通常の合成樹脂と同様に射出成形用の原料として使用することが可能である。また、かかる成形品は基本的に木質系であるため、自然界に放置すると生分解してしまうため、別途廃棄物処理を行う必要がなく、地球環境の保全を図る上で有効である。
【0095】
また、融解生成物B2の固形化したものを微粉砕してその少量を新たな微粉状原料と混合した上で融解装置2により処理すると、すでに融解生成物になっているものが新たな微粉状原料を誘導することにより、より効率的に融解生成物を得ることができる。
【0096】
さらに、微粉状原料B1に金属の微粉等の導電性物質を混入することにより、融解室21a内でのパルス電流の供給時に、金属粉を介して微粉状原料B1中に電流が流れることになり、これによるジュール加熱で微粉状原料B1のより効率的な融解処理が実現する。
【0097】
図7は、本発明に係る融解物質製造装置の第2実施形態を示す断面視の説明図である。この実施形態は、減圧構造物10を用いない点、非酸化環境を形成するのに真空環境をつくらずに融解室21a内に窒素やアルゴン等の不活性ガスを導入するようにしている点が、および融解室21a内への微粉状原料B1の供給を不活性ガスの気流に同伴させて行うようにしている点が第1実施形態のものと相違している。
【0098】
第2実施形態の融解装置2aは、図7に示すように、内部に融解室21aを備え、かつ、開口を上方に向けて据え付けられるシリンダ201と、このシリンダ201に摺接状態で嵌挿されるピストン202とからなる基本構成を有している。ピストン202にはピストンリング209が外嵌され、これらのピストンリング209によって、融解室21a内の気密性が確保されるようにしている。
【0099】
上記シリンダ201の周壁の適所(融解室21a略1/3の深さ位置)には、原料装填通路210が穿設されているとともに、この原料装填通路210の上部位置には出口位置が共通するように斜めに不活性ガス導入通路211が設けられている。原料装填通路210には、上記同様のスクリュー軸32bが内装され、このスクリュー軸32bの軸心回りの回転によって、図略の原料ホッパーからの微粉状原料B1を融解室21a内に供給し得るようになっている。
【0100】
上記不活性ガス導入通路211には、その内周壁面に摺接状態で嵌挿されるピストンを備えた第1バルブロッド213が嵌挿されている。この第1バルブロッド213の下端部には、上記原料装填通路210の融解室21a側の開口を開閉する原料バルブ214が設けられ、図略の駆動機構の駆動による第1バルブロッド213の進退によって原料バルブ214が開閉するようになっている。
【0101】
一方、融解装置2aの近傍には、窒素やアルゴン等の不活性ガスを貯蔵した不活性ガス源9が設けられている。この不活性ガス源9からの不活性ガスは、不活性ガス導入通路211に連通するようにシリンダ201に穿設された不活性ガス通路212を通り、不活性ガス導入通路211および開通している原料バルブ214を介して融解室21a内に導入される。そして、このガス流により、スクリュー軸32bで原料装填通路210の開口まで運ばれた微粉状原料B1が融解室21a内に導入されるようになっている。
【0102】
そして、第2実施形態の融解装置2aにおいては、原料装填通路210、スクリュー軸32b、不活性ガス導入通路211、第1バルブロッド213、不活性ガス通路212および不活性ガス源9によって本発明に係る原料供給装置3aが形成されている。
【0103】
また、シリンダ201には、融解室21aを挟んで上記不活性ガス導入通路211に対向した位置に熱処理で生成した融解生成物B2を導出するための生成物導出通路216が穿設されている。そして、この生成物導出通路216の上部には、上記第1バルブロッド213と同一構成の第2バルブロッド217を嵌挿するためのロッド嵌挿孔215が設けられている。ロッド嵌挿孔215と生成物導出通路216とは上流側で合流している。
【0104】
上記第2バルブロッド217の先端部には、製品バルブ218が設けられ、図略の駆動手段の駆動による製品バルブ218の開閉動作で、生成物導出通路216の融解室21a側の開口が閉止されたり開放されたりするようになっている。
【0105】
上記ピストン202は、ピストン軸203回りに回動自在にピストンロッド204に連結されているとともに、このピストンロッド204は、クランク206のクランク軸205回りに回動自在に軸支されている。また、クランク206は、その基端側が電動モータ208の駆動軸207に固定されている。従って、電動モータ208の駆動による駆動軸207の回転によって、クランク206が駆動軸207回りに回転し、これによるクランク軸205の駆動軸207回りの旋回によってピストンロッド204が上下動してピストン202がシリンダ201内で往復動を行うことになる。
【0106】
かかる融解装置2aには、シリンダ201およびピストン202に電力供給装置6からの電力(直流電流またはパルス電流)が供給され、シリンダ201及びピストン202のジュール発熱により、融解室21a内に装填された微粉状原料B1が融解処理されるようになっている。
【0107】
そして、第2実施形態においては、ピストン202の上方位置(上死点)に向かう移動に同期して原料バルブ214が開放されるとともに、製品バルブ218が閉止され、この状態でスクリュー軸32bの駆動により微粉状原料B1が融解室21aに向かって送り込まれるとともに、不活性ガス源9からの不活性ガスが不活性ガス通路212および不活性ガス導入通路211を介して融解室21a内に噴出され、この噴出流によって微粉状原料B1が円滑に融解室21a内に導入されるようになっている。
【0108】
そして、ピストン202が上死点に到達したときに原料バルブ214が閉止され、ついで電力供給装置6からの電力が融解装置2aに供給され、これによって融解装置2aはジュール加熱されることになる。また、電力供給装置6からの電力供給に同期して電動モータ208の駆動でピストン202が下降させられ、これによって融解室21a内の微粉状原料B1が加圧されることになる。なお、電力の供給は常時であってもよい。
【0109】
この加圧と、上記加熱との相乗作用によって融解室21a内の微粉状原料B1は迅速かつ確実に融解処理され、融解室21a内には液状の融解生成物B2が生成する。そして、融解処理に当り、融解室21a内は不活性ガスの充満で非酸化雰囲気になっているため、微粉状原料B1の燃焼で融解処理が適正かつ円滑に行い得なくなるという不都合は起こらない。
【0110】
この融解生成物B2は、製品バルブ218が開放されることにより、生成物導出通路216を通って系外に導出されることになる。以上で、微粉状原料B1の1バッチの融解処理が完了するが、かかる操作を繰返すことにより、微粉状原料B1は略連続的に融解生成物B2に変換されることになる。
【0111】
第2実施形態の融解装置2aによれば、減圧構造物10を採用しない分設備コストが安価になる。
【0112】
また、第2実施形態の融解装置2aは、内燃機関と略同一の構造を有しているため、電動モータ208を採用せずに駆動軸207を出力軸とし、微粉状原料B1を燃料として融解室21a内に導入するとともに、ピストン202により圧縮された状態での融解生成物B2の生成タイミングに合わせて融解室21a内に燃焼空気あるいは燃焼触媒を導入するようにして生成した融解生成物B2を燃焼させるようにすれば、融解装置2aを内燃機関として利用することが可能になる。
【0113】
【実施例】
木質バイオマスの微粉状原料の粒子径と融解処理によって得られる融解生成物中のレポグルコサンの量との関係を確認する確認試験を以下の要領で実施した。採用した試験装置は、図3に示すものと基本的に同一機能を備えたものであるが、略5grの微粉状原料を装填し得る小規模のものである。
【0114】
試験に先立って、微粉状原料の試料を規模調製した。用意した試料は粒度が1μm、10μm、44μm、120μmおよび200μmのものの合計5種類である。これらの試料のそれぞれについて3grを試験装置の融解室に装填し、4500kgの力で圧縮した状態で試料にパルス電流を供給して融解処理を行った。パルス電流の供給開始から略3分で目標温度の240℃に到達した。この温度を2分〜3分継続することで、試料は完全に融解処理されることが確認された。
【0115】
そして、試験装置から取り出した各粒度毎の融解生成物中に含まれるレポグルコサンの量を検量した。この検量においては、レポグルコサンがスルホラン液に溶解することを利用した。具体的には、常温で固形の融解生成物を所定の粒度に粉砕してスルホラン液中に所定時間浸漬したのち液切りを行って乾燥して秤量し、浸漬前との重量比で(すなわち、減量分がスルホラン液に溶解したレポグルコサンである)レポグルコサンの量を算出した。
【0116】
試験結果を図8に示す。図8は、横軸に対数目盛りで微粉状原料の粒子径を設定し、縦軸に融解生成物中のレポグルコサンの割合(収率)を10進数目盛りで設定した、微粉状バイオマスの粒子径とレポグルコサン収率との関係を示すグラフであるが、このグラフに示すように、粒子径が200μmのものは、レポグルコサンの収率が20%と非常に低いのに対し、粒子径が小さくなっていくほど収率が増加していくことが判る。
【0117】
そして、粒子径が200μmから120μmにかけては収率が急激に増加しており、120μmでは収率が50%になっている。その後は徐々にではあるが粒子径が小さくなるに従って収率が上昇し、1μmでは略98%がレポグルコサンになっていることが確認された。これから推すと、粒子径が0.1μm以下になると、99%以上がレポグルコサンになるものと予測される。
【0118】
この試験の結果、レポグルコサンの収率を少なくとも50%以上確保するためには、木質バイオマスの微粉の粒子径を0.1μm〜120μmに設定するのが好適であることが判る。
【0119】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、装填された原料を密閉状態で融解する融解室を備えた融解装置と、融解室内に原料を装填する原料装填装置と、融解室内を非酸化環境にする環境調整装置と、融解室に装填された原料を圧縮する圧縮装置と、融解室内の原料を圧縮状態で熱処理する熱処理装置と、熱処理による原料の融解で生成した融解生成物を回収する融解生成物回収装置とから融解物質製造装置を構成したため、木質バイオマスの原料は、原料装填装置により融解室に装填された状態で、圧縮装置により圧縮され、この状態で周りの環境が空気の存在しない非酸化環境に設定された上で電力供給装置からの電力を得て熱処理され、圧力を受けて構成分子同士が互いに作用しやすい状態になっていること、急速加熱と加圧との相乗効果が有効に作用すること、および熱処理時に燃焼することがないことにより、バイオマスを構成している高分子のセルロース、ヘミセルロースおよびリグニン等が適正に融解し、これによって木質バイオマスをレポグルコサンのような低分子化合物に変換することができる。
【0120】
請求項2記載の発明によれば、原料装填装置を、原料をスクリューフィーダの軸心回りの回転で融解室内に装填するように構成したため、スクリューフィーダの軸心回りに回転で木質バイオマスの原料を融解室に供給することができる。そして、かかるスクリューフィーダを用いることにより、その回転数の制御で原料の供給量を容易に調節することができる。
【0121】
請求項3記載の発明によれば、原料を気流によって融解室内に装填するように構成したため、気流として窒素やアルゴン等の不活性ガスを採用することにより、原料を融解室内に導入した上で、融解室内を非酸化環境にすることができ好都合である。
【0122】
請求項4記載の発明によれば、融解装置を、内部に上記融解室が形成されたシリンダと、このシリンダに往復動可能に嵌挿されるピストンとから構成したため、シリンダ内の融解室に原料を装填した状態でシリンダ内に嵌め込んだピストンをシリンダ内に没入させることにより内部の原料をピストンで圧縮することができる。このようなシリンダとピストンとで融解装置を構成することにより、原料圧縮構造を簡単な構成のものにし得た上で、確実な圧縮処理を実現することができる。
【0123】
特に、シリンダに嵌挿されたピストンによって融解室が密閉状態とされるため、ピストンによる加圧力が、原料に対して一軸的に作用するのではなく、すべての原料粒子の外周面から均等に各原料粒子に作用し、これによって原料の分子構造の変換を均一かつ効果的に行わせることができる。
【0124】
請求項5記載の発明によれば、上記ピストンを駆動する油圧機構または電動機構で圧縮装置を構成したため、圧縮装置を小型でありながら大きな圧力を発生させる強力なものにすることが可能であり、原料の確実な圧縮を実現することができる。
【0125】
請求項6記載の発明によれば、環境調整装置を、融解室内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入装置により構成したため、融解室内に不活性ガスを供給することにより、融解室内は空気が存在しない非酸化雰囲気になり、バイオマス原料の熱処理によっても原料は燃焼することがなく、原料の融解処理を適正に行うことができる。
【0126】
請求項7記載の発明によれば、融解装置および上記原料装填装置を外気の侵入を阻止し得る気密室内に配設し、環境調整装置を、気密室内の空気を吸引する真空ポンプによって構成したため、真空ポンプの駆動で気密室内から空気を抜き出すことにより、室内は空気が存在しない非酸化雰囲気になり、バイオマス原料の熱処理によっても原料は燃焼することがなく、従って、原料の融解処理を適正に行うことができる。
【0127】
請求項8記載の発明によれば、熱処理装置として直流電流またはパルス電流を供給する電力供給装置からの電力で原料の加熱を行うものを採用したため、圧縮状態の原料は、ジュール熱で加熱され、この加熱で融解処理を行うことができる。そして、特にパルス電流を採用することにより、原料がパルスの振動に揺さぶられて緻密化が進行し、原料の粒子同士が互いに接近して影響し合うことにより、より効果的な融解処理を実現することができる。
【0128】
請求項9記載の発明によれば、融解生成物回収装置を、開閉弁を介して融解室に連通した回収管路を備えて構成したため、融解室内は、開閉弁を閉止することにより密閉状態になるとともに、開閉弁の開放で回収通路と連通し、開閉弁を閉止することによって融解室内で融解処理を行い得るようにすることができる一方、融解処理後に開閉弁を開通することで融解室内の融解生成物を、回収管路を介して系外に導出することができ、これらの操作を繰返すことによって連続処理を実現することができる。
【0129】
請求項10記載の発明によれば、木質バイオマスを微粉砕して微粉状原料にする粉砕工程と、微粉状原料を非酸化環境に設定された所定の融解室に装填して密封する原料装填工程と、融解室内の微粉状原料を圧縮する圧縮工程と、圧縮された微粉状原料を熱処理で融解する熱処理工程と、この熱処理工程で得られた融解生成物を回収する回収工程とから融解物質の製造方法を構成したため、木質バイオマスの原料を、粉砕工程で粉砕されることにより表面積を大きくすることで融解処理に有利なものにすることができる。そして、粉砕工程で微粉砕されることにより形成した微粉状原料は、原料装填工程で非酸化環境に設定された融解室に装填され、圧縮工程で圧縮され、熱処理工程で熱処理されるため、微粉状原料は、圧力を受けて構成分子同士が互いに作用しやすい状態になっていること、および熱処理時に燃焼することがないことにより、バイオマスを構成しているセルロース、ヘミセルロースおよびリグニン等が適正に融解し、これによって木質バイオマスを例えばレポグルコサンのような融解物質に容易に改質することができる。
【0130】
請求項11記載の発明によれば、微粉状原料として粒子径を120μm以下に粒度調製したものを用いるようにしたため、少なくとも50%の収率で、融解物質であるレポグルコサンを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木質バイオマスを原料にして融解物質を製造する方法の一実施形態を示す工程図である。
【図2】熱処理工程における微粉状原料の温度、微粉状原料に供給されるパルス電流の電流値および微粉状原料に対する加圧力の推移の一実施形態を示すグラフである。
【図3】本発明に係る融解物質製造装置の一実施形態を示す断面視の説明図であり、融解室に微粉状原料が装填されつつある状態を示している。
【図4】本発明に係る融解物質製造装置の一実施形態を示す断面視の説明図であり、融解室内に装填された微粉状原料が圧縮された状態を示している。
【図5】本発明に係る融解物質製造装置の一実施形態を示す断面視の説明図であり、融解室内に形成した融解生成物が導出されつつある状態を示している。
【図6】制御装置による微粉状原料の融解処理の制御を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明に係る融解物質製造装置の第2実施形態を示す断面視の説明図である。
【図8】横軸に対数目盛りを設定し、縦軸に融解生成物中のレポグルコサンの割合(収率)を10進目盛りで設定した、微粉状バイオマスの粒子径とレポグルコサン収率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 融解物質製造装置 10 減圧構造物
10a 減圧室 11 底板
11a 底孔 12 側板
12a 出入口 13 天板
13a 嵌挿孔 13b 原料装填口
14 扉 15 絶縁部材
16 環状絶縁材 17 蓋体
2 融解装置 21 中型
21a 融解室 21b ロッド装着孔
22 下型 22a 土台
22b 下型本体 23 上型
23a 円柱体 23b 上型本体
3 原料供給装置 31 原料ホッパー
32 スクリューフィーダ
32a フィーダー筒 32b スクリュー軸
32c 駆動モータ 4 環境調整手段
41 吸引パイプ 42 真空ポンプ
5 圧縮装置 51 シリンダ装置
51a シリンダ 51b ピストンロッド
52 押圧板 53 油圧ユニット
6 電力供給装置 60 商用電源
61 整流回路 62 インバータ
63 トランス 64 パルス出力回路
7 回収装置 71 冷却手段
71a 冷却管路 71b 冷却水ポンプ
72 回収管路 72a 中型内管路
72b 回収パイプ 72c 弁収納凹部
73 開閉弁構造 73a 弁用シリンダ
73b 弁用ピストンロッド
73c 開閉弁 8 制御装置
81 温度センサ 82 変位センサ
83 圧力センサ 8a CPU
8b 記憶装置 8c 入出力装置
F フロア F1 基礎
2a 融解装置 3a 原料供給装置
201 シリンダ 202 ピストン
203 ピストン軸 204 ピストンロッド
205 クランク軸 206 クランク
207 駆動軸 208 電動モータ
209 ピストンリング

Claims (11)

  1. 木質バイオマスを原料にして融解物質を製造する製造装置であって、装填された原料を密閉状態で融解する融解室を備えた融解装置と、融解室内に原料を装填する原料装填装置と、融解室内を非酸化環境にする環境調整装置と、融解室に装填された原料を圧縮する圧縮装置と、融解室内の原料を圧縮状態で熱処理する熱処理装置と、熱処理による原料の融解で生成した融解生成物を回収する融解生成物回収装置とからなることを特徴とする木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  2. 上記原料装填装置は、原料をスクリューフィーダの軸心回りの回転で融解室内に装填するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  3. 上記原料装填装置は、原料を気流によって融解室内に装填するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  4. 上記融解装置は、内部に上記融解室が形成されたシリンダと、このシリンダに往復動可能に嵌挿されるピストンとから構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  5. 上記圧縮装置は、上記ピストンを駆動する油圧機構または電動機構によって構成されていることを特徴とする請求項4記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  6. 上記環境調整装置は、上記融解室内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入装置を備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  7. 上記融解装置および上記原料装填装置は、外気の侵入を阻止し得る気密室内に配設され、上記環境調整装置は、気密室内の空気を吸引する真空ポンプを備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  8. 上記熱処理装置は、上記原料に直流電流またはパルス電流を供給する電力供給装置からの電力を得て熱処理するものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  9. 上記融解生成物回収装置は、開閉弁を介して融解室に連通した回収管路を備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造装置。
  10. 木質バイオマスを原料にして融解物質を製造する製造方法であって、木質バイオマスを微粉砕して微粉状原料にする粉砕工程と、微粉状原料を非酸化環境に設定された所定の融解室に装填して密封する原料装填工程と、融解室内の微粉状原料を圧縮する圧縮工程と、圧縮された微粉状原料を熱処理で融解する熱処理工程と、この熱処理工程で得られた融解生成物を回収する回収工程とからなることを特徴とする木質バイオマスを原料にした融解物質の製造方法。
  11. 上記微粉状原料として粒子径を120μm以下に粒度調製したものを用いることを特徴とする請求項10記載の木質バイオマスを原料にした融解物質の製造方法。
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