JP4290454B2 - Method for producing gas diffusion electrode, electrolytic cell and electrolysis method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化アルカリ金属水溶液の電解や燃料電池における電極として好適に使用可能な新規なガス拡散電極、その製造方法、及び、該ガス拡散電極を用いた塩化アルカリ金属水溶液の電解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス拡散電極を塩化アルカリ金属水溶液(例えば、塩化ナトリウム水溶液)の電解の陰極として用いた場合、水素発生型の通常の電解方法に比べて、極めて低い電圧で反応を進行させることが可能になり大きな省エネルギー効果が期待できることは公知(例えば、特許文献1)である。該電解におけるガス拡散電極からなる陰極では次の酸素還元反応(1)が進行する。
1/4O2+1/2H2O+e-→OH-・・・・(1)
反応(1)を容易に進行させるためにガス拡散電極にガス状態である酸素と液状態である水を遅滞なく補給する必要があり、ガス拡散電極に関し従来数多くの提案が成されてきた。
【0003】
従来のガス拡散電極は、基板材料、触媒及び疎水性物質から製造される。触媒は貴金属、ラネー銀、ペロブスカイト型イオン結晶、金属フタロシアニン等で疎水性物質はフッ素樹脂等である(例えば、特許文献1)。基板材料は主に電極の強度向上を担い、触媒は主としてカーボンに坦持され反応場を提供し、疎水性物質は電極内部へのガス拡散経路を形成する。
【0004】
また、従来、ガス拡散電極に使用する触媒はカルボン酸の銀塩等から混練熱分解して製造する等の種々の工夫が必要である(例えば、特許文献2)。これは、触媒をガス拡散電極中に均一に分散化し、触媒の比表面積を増大するためである。しかし、上記の提案で製造されるガス拡散電極は性能及び耐久性の点でなお課題を有していた。
【0005】
一方、電極反応を行う反応層と該反応層へのガス供給を行うガス供給層の2層で構成されたガス拡散電極が提案されている(例えば、特許文献3)。これは、反応層が疎水性カーボン、親水性カーボン、フッ素樹脂及び触媒からなり、ガス供給層が疎水性カーボン及びフッ素樹脂からなり、それまでのものに比べて性能及び耐久性に優れるガス拡散電極である。反応層とガス供給層の2層で構成されるガス拡散電極の出現により、塩化アルカリ水溶液電解の電解電圧を比較的長期間安定に低減することが可能となった。
【0006】
しかし、反応層とガス供給層の2層で構成されるガス拡散電極は、高価な貴金属等を触媒として坦持することがなお必須である上に、反応層とガス供給層を個別に製造し積層する等の多くの製造工程が必要である。更に、疎水性と親水性の2種類のカーボンとフッ素樹脂の混合比率や分散状態で性能や耐久性が変化し、所定性能のガス拡散電極を製造する為には多くの工程管理が必要であった。このため、高性能のガス拡散電極は極めて高価なものとなり、高性能かつ安価なガス拡散電極が待望されてきた。
【0007】
近年、反応層とガス供給層の2層で構成されるガス拡散電極の製造工程の簡略化を目的に種々の検討がなされ、導電性多孔体又はメッシュの空隙部にガス供給層形成材料を充填してガス供給層を形成し、その上に反応層形成材料を塗布して反応層を形成したガス拡散電極が提案された(例えば、特許文献4)。
【0008】
その結果、導電性多孔体又はメッシュとガス供給層と反応層との3つの構成からなるガス拡散電極(特許文献4の第4頁、第5欄、上から13行目から同47行目)、及び、導電性多孔体又はメッシュと反応層との2つの構成からなるガス拡散電極(特許文献4の第4頁、第6欄、下から16行目から第5頁、第7欄、上から2行目)が提供されるに至った。しかし、依然として親水性カーボンや触媒の使用は必須である上に、特許文献5に記載されるように、このガス拡散電極の初期特性は優れるものの、使用中に電極特性が劣化し耐久性に課題を有している。これは、ガス拡散電極の反応層に接するガス供給層の表面が親水化してしまい、電極に充分な酸素が供給されないためと説明されている。
【0009】
更に、最近、電極特性の耐久性の問題を解決するために、ガス拡散電極のガス供給層に上記親水化を防ぐ触媒を含有することが提案されている(特許文献5)。
この特許文献5には、更に、ガス拡散電極における反応層をガス供給層の表面を反応層化する製造工程を簡略化したガス拡散電極も提供されている。
【特許文献1】
特開昭54−97600号公報
【特許文献2】
特公昭58−44156号公報
【特許文献3】
特開平4−75260号公報
【特許文献4】
特開平11−50290号公報
【特許文献5】
特開2003−27269号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のガス拡散電極では、酸素還元能を有する触媒を含む反応層の存在は必須とされ、また、電極特性の耐久性には特殊な触媒の使用を必要としていた。この場合には、高価な触媒を用いるために原料費が多大であるばかりでなく、電極中は触媒を均一に分散するために製造管理に多大な費用と労力が必要であり、なおかつ電極特性の耐久性も課題を有するものであった。
【0011】
本発明は、この現状に鑑み、安価で簡便に製造することができ、また、電極特性上も耐久性に優れるガス拡散電極の製造方法、及び該ガス拡散電極を使用する塩化アルカリ金属水溶液の電解槽及び電解方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記目的を達成することに成功した。即ち、本発明者らの研究によると、意外なことに、従来必須とされていたガス拡散電極を構成する反応層とガス供給層とのうち、反応層の存在は電極性能の維持にとってむしろこれを阻害することが見出された。そして、疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートからなるガス拡散電極は、これを水酸化アルカリ金属を製造する塩化アルカリ金属水溶液の電解に使用した場合には、初期性能こそ遜色があるものの、電解使用時間の増大につれて電極特性は急激に向上し、維持できることが判明した。
【0013】
また、上記疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成される多孔質体シートからなるガス拡散電極は、後記するような特定の酸素還元反応処理をすることにより電極特性は大幅に向上することも見出された。従って、この場合には、電極をいずれのガス拡散電極に使用しても、当初から優れた電極特性を有し、かつ長期間使用した場合も優れた特性を維持できるガス拡散電極が提供できることになる。
【0014】
本発明において、上記の特定の多孔質体シートからなるガス拡散電極が何故に上記のような優れた電極特性を示し、かつ、酸素還元反応処理により、何故に優れた性能を有するガス拡散電極を得ることができるかは必ずしも明らかではない。しかし、酸素還元反応処理の場合には特許文献5に記載されている水素発生を伴なう活性化処理と同様な効果を上記多孔質体シートにもたらすものと思われる。
【0015】
かくして、本発明は下記の要旨を特徴とするものである。
(1)疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、親水性カーボン及び触媒を含まず、かつ気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートに対し、その一方の面に水酸化アルカリ金属水溶液を接触させ、他方の面に酸素含有ガス中の酸素濃度が20〜100体積%である酸素含有ガスを接触させて通電する酸素還元反応処理を行うことにより、32重量%で88℃の水酸化ナトリウム水溶液に片面を接触させ、他方の面に酸素含有ガスを供給させ、ガス拡散電極に水酸化ナトリウム水溶液が接する面積を基準とした電流密度が3kA/m 2 の条件で酸素還元反応をさせた場合に、電気抵抗を補正した電位が0.2V vs RHE以上を有するガス拡散電極の製造方法。
(2)多孔質体シートが、導電性シートを具備する上記(1)に記載のガス拡散電極の製造方法。
(3)水酸化アルカリ金属水溶液の濃度が10〜40重量%であり、かつ電流密度が1〜7KA/m2である上記(1)又は(2)に記載のガス拡散電極の製造方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法で製造されたガス拡散電極を使用する塩化アルカリ水溶液の電解槽において、水酸化アルカリ金属水溶液に接触していたガス拡散電極の面を塩化アルカリ水溶液電解槽の陽極に面するように使用する塩化アルカリ水溶液の電解槽。
(5)陽極とガス拡散陰極との間にイオン交換膜を配置して陽極室と陰極室とを形成した電解槽を使用し、陽極室に塩化アルカリ水溶液を供給し、ガス拡散電極に酸素含有ガスを供給して通電して陰極室に水酸化アルカリを製造する塩化アルカリ水溶液の電解方法において、上記ガス拡散陰極が、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法で製造されたガス拡散電極である塩化アルカリ水溶液の電解方法。
【0016】
【発明の実施形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明のガス拡散電極は疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成された多孔質体シートからなる。該多孔質体シートは、従来のガス拡散電極におけるガス供給層と同じく、気体は透過するが液体は漏洩しない性質を有することが必要である。このために、本発明のガス拡散電極を形成する多孔質体シートには、親水性カーボンを含有してはしてはならず、また、好ましくは、親水性カーボンとともにまたは触媒を含有しないことが好適である。
【0017】
本発明のガス拡散電極に親水性カーボンが含有される場合、初期には優れた性能が得られるものの、比較的短期間で失活、電解液の漏洩等が発生し、耐久性が著しく劣るばかりではなく、親水性カーボンの配合割合や均一分散化等が必要となり、製造コストが悪化する。
【0018】
本発明では、ガス拡散電極に親水性カーボンが不純物として含有される場合は許容される。不純物として含まれる場合とは、例えば、ガス拡散電極を製造するに際し、原料に用いる疎水性カーボン及び/又はフッ素樹脂に親水性カーボンが不純物として含まれる場合に、これを除く必要は特にないことを意味する。また、給電体シートを具備する場合も給電体シートに親水性カーボンが不純物として含まれていてもこれを除く必要はない。かくして、本発明では、ガス拡散電極中の親水性カーボンの含有量は好ましくは0.1重量%以下、特には0.01重量%以下であるのが好適である。
【0019】
また、本発明のガス拡散電極には親水性カーボンとともに触媒を含まないことが好ましい。触媒を含まない場合には、ガス拡散電極を安価に製造できる。触媒とは、例えば、白金、銀、ペロブスカイト系酸化物等の酸素ガス還元能を有する触媒機能物質や、銀、白金族、コバルト、マンガン等の、過酸化水素分解能を有する触媒機能物質を意味する。これらの触媒が親水性カーボンとともにガス拡散電極に含有される場合は、上記した親水性カーボンが含有される場合の耐久性への悪影響が加速される。
【0020】
本発明では、ガス拡散電極に触媒が不純物として含有される場合は許容される。不純物として含有される場合とは、本発明のガス拡散電極を製造するに際し、原料に用いる疎水性カーボン及び/又はフッ素樹脂に触媒が不純物として含まれる場合、これを除く必要は特にないことを意味する。また、給電体シートを具備する場合、給電体シートに触媒が不純物として含まれていてもこれを除く必要はない。
【0021】
本発明のガス拡散電極に使用する疎水性カーボンは、電気伝導性を有し、かつ表面に親水基を有しないなら他の限定は特にない。従来のガス拡散電極で使用されてきた疎水性カーボンブラックが好適に使用できる。特に、アセチレンブラック等の黒鉛化度の高くない疎水性カーボンブラックを用いると本発明の効果が容易に得られるため好ましい。逆に、黒鉛化カーボンブラック等の黒鉛化度が高い疎水性カーボンブラックでは、本発明で得られる電圧削減効果に比較的大きくない。本発明で、使用される疎水性カーボンは、平均粒子径が好ましくは0.01〜 10μm、特には0.1〜2μmであるのが好適である。
【0022】
本発明のガス拡散電極に使用するフッ素樹脂は、水酸化アルカリ金属水溶液に耐食性を有し、通常、バインダーとして使用されるものが使用できる。好ましい例は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサプロピレンなどの含フッ素ポリマーの微粒子や微細繊維等である。
【0023】
本発明のガス拡散電極は、多孔質体シートの形状をなすが、シート形状は、通常、シートと認識されるものであればその形状・サイズは限定がない。例えば、投影形状が円形、楕円形、多角形等のあらゆる形状が好適に採用可能であり、使用するセルの形状に合わせて製作すればよい。電極のサイズもセルの大きさにあわせて製作すればよい。本発明のガス拡散電極を形成する多孔質体シートは、平均細孔径が好ましくは0.01〜30μm、特に好ましくは0.02〜2mを有し、また、空気透過係数が好ましくは10-4〜10-1モル/cm2・cmHg・分、特に好ましくは 10-2〜10-1モル/cm2・cmHg・分を有するのが好適である。
【0024】
本発明のガス拡散電極を形成する多孔質体シートの厚みは特に限定はない。ハンドリングに問題がなく、また、電解槽などにおける陽極や膜と干渉しなければ良い。しかし、薄すぎると折れ曲がりやゆがみが発生し易くなりセルへの装着作業が困難となる。また、厚すぎると陽極や膜に過度の圧力がかかり、場合によっては陽極、膜が壊れる。従って、通常は、0.1〜10mmから選択でき、好ましくは0.5〜5mmであり、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0025】
本発明のガス拡散電極には、導電性多孔体を具備させることができる。導電性多孔体を具備させる場合には、ガス拡散電極の電気抵抗がより低くなり、電解電圧の削減効果がより一層高くなるため好ましい。導電性多孔体の材料は、電気抵抗が小さく、使用環境において耐食性を有する材質が使用される。例えば、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル等が好適に使用可能である。また、鉄や銅等の耐食性に乏しいが電気抵抗が小さい材質の表面を耐食性が高い銀、金等で被覆したものを使用できる。無論、白金、ニッケル等を銀、金等で被覆しても良い。導電性多孔体の少なくとも表面は銀や金の耐食性に優れ接触抵抗が著しく小さい物を用いれば、本発明の効果がより一層高くなる。なお、銀や金で鉄、銅、ニッケル等の表面を被覆する方法は、電解めっき、無電解めっき、積層圧延処理、溶射、熱分解による焼結、イオンプレーティング、CVD等の種々の方法が一般に知られており、その中の少なくとも1つを適時選択すればよい。
【0026】
本発明のガス拡散電極に導電性多孔体を具備させた場合、電極内部のガス拡散を阻害されにくいため好ましい。多孔体としては、パンチドメタル、エキスパンドメタル、網、メッシュ、金属発泡体等が広くしようできる。導電性多孔体は通常シート状に形成されて電極に具備されるが、その場合シートは、一枚でも良いし複数でもよく、数に限定はない。また、電極中の一部分のみに配置しても良いし、その有効面全体に配置してもよい。導電性多孔体のシートを電極有効面全体に配置すると電極の機械的強度が向上しハンドリングが容易になる、有効面全体に亘り電気抵抗が低く均一となり有効面全面が均一に作用するなど、特に好ましい。
【0027】
導電性多孔質体シートを電極中に具備させる位置は特に限定されない。ガス拡散電極の厚み方向の中心付近に配置してもよいし、いずれか一方の面に偏った位置に配置してもよいし、また、いずれか一方の表面に積層するように配置しても良い。また、複数の導電性多孔質体シートを種々の位置に配置してもよい。なかでも、ガス拡散電極のいずれか一方の表面に導電性多孔質体シートが一部埋め込まれるように具備させると製造上も性能上も特に好ましい。
【0028】
本発明のガス拡散電極は、上記のように、疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成されるが、これらの材料を使用し、好ましくは導電性多孔体を具備させて本発明のガス拡散電極を製造する方法は以下のような既知の方法が使用できる。即ち、疎水性カーボン粒子、及びフッ素樹脂粉末を好ましくは界面活性剤を使用し、これらをジェットミルなどにより高速で攪拌混合して水中に均一に分散させたスラリーを形成する。このスラリーにアルコールなどを添加して凝集させ、そのまま、又は必要により濾過、乾燥して粉末とする。かかる凝集物又は粉末を含む粘調物をシート状に成形してガス拡散電極を得る。また、導電性多孔体を使用する場合には、凝集物又は粉末を含む粘調物をシート状の導電性多孔体に塗り込みや圧入して充填し、成形することにより製造される。
【0029】
上記のようして製造される、本発明のガス拡散電極は、これを32重量%で88℃の水酸化ナトリウム水溶液に片面を接触させ、他方の面に酸素を含有するガスを供給させ、ガス拡散電極に水酸化ナトリウム水溶液が接した幾何面積を基準とした電流密度が3kA/m2の条件で酸素還元反応をさせた場合に、電気抵抗を補正した電位が0.2V vs RHE以上、好ましくは、0.65V vs RHE以上、更に好ましくは0.7Vvs RHE以上の特性を有することができる。かかる電極特性が、従来、必須とされていた反応層を有しないガス拡散電極によって達成されることは全くの驚きである。
【0030】
本発明で上記のガス拡散電極特性は、本発明で得られた多孔質体シートを、例えば、水酸化アルカリ金属を製造する、イオン交換膜法塩化アルカリ水溶液の電解槽の酸素陰極として配備して使用した場合に、電解時間間の増大に連れて電極特性が向上して達成されることが見出された。電解開始からどの程度の電解時間で達成されるかは電解条件にもよるが、通常 、 〜1ヶ月間で達成されることが判明した。その達成は急激におこり、以降は少なくとも1年以上の長期間にわたって継続する。
【0031】
しかし、使用開始から1ヶ月程度、電解電圧が高い状態での運転を余儀なくされた場合、運転に使用する整流器を該電解電圧を基準に設計・製作せざるを得ない。このため、電圧が低下した後の長期間の運転では整流器が過剰能力となり過剰分の費用が無駄になるばかりではなく、場合によっては、交流/直流変換能力が悪化し電解電圧が低下した割には省エネルギー率が小さくなる。例えば、陽極及び陽イオン交換膜及びガス拡散電極の25対で複極式電解槽を構成し、該複極式電解槽を4槽を直列で配して単一の整流器で塩化アルカリ金属水溶液の電解をなす場合において、使用開始の電解電圧が3.0V/対で使用開始から1ヶ月後の電圧が2.0V/対まで低下し、その後電解電圧が2.0乃至2.3V/対で推移する場合を例に説明する。
【0032】
整流器には、当初、少なくとも、3.0V/対×100対=300Vの直流電圧が必要であるが、その後の5年間は200〜230Vしか整流器負荷がない。整流器は出力負荷の大小で設備費が上下するため、最初の1ヶ月程度のために整流器設備が過大となることは好ましくない。また、通常、整流器の直流/交流変換効率は整流器の出力負荷でことなるため、場合によっては直流/交流変換効率が悪化し本来の省エネルギー効果が十分に得られない。
【0033】
本発明では、ガス拡散電極の特性の発揮を極めて効率よく実施できる方法が見出された。即ち、上記の多孔質体シートを、その片面に水酸化アルカリ金属水溶液を、他面に酸素を含有するガスを接触させて通電処理する(以下、本発明では酸素還元反応処理といこともある)ことにより、極めて短時間にて上記特性に到達できることが見出された。
【0034】
上記酸素還元反応処理は、陽極の存在が必須であり、陽極での反応を利用するものである。陽極の反応は特に限定はなく、例えば、以下の(2)〜(5)の反応から適宜選択される。
OH-→1/4O2+1/2H2O+e-・・・・(2)
1/2H2O→1/4O2+H++e-・・・・(3)
OH-+H2→H2O+e-・・・・(4)
1/2H2→H++e-・・・・(5)
2Cl-→Cl2+2e-・・・・(6)
【0035】
酸素還元反応処理に用いる陽極は、上記陽極反応により適宜選択する。例えば、前記(2)の反応を行う場合はニッケルやニッケル基合金の多孔体電極、前記(3)の反応の場合は少なくとも表面が白金族触媒を有する多孔体電極、前記(4)又は(5)では水素ガス拡散電極から選択すれば良い。また、前記(6)の場合には、塩化アルカリ金属水溶液の電解と同一の陽極を選択すればよい。
【0036】
図4は、酸素還元反応処理を実施する装置の一例を示すもので酸素還元反応槽14と呼ぶ。酸素還元反応槽14は、陽極15を具備し、陽極15により電解液室17とガス室20とに区画される。陽極15の反応の種類によってはイオン交換膜で電解液室と陽極室を区画する必要があるが、陽極15で前記(2)の反応を行う場合には区画する必要ないので有利である。
【0037】
電解液室17に水酸化アルカリ金属水溶液を満たすことにより、処理される多孔質体シート16の片面の少なくとも一部が水酸化アルカリ金属水溶液に接する。多孔質体シート16の全面積に対して水酸化アルカリ金属水溶液に接する面積比率は特に限定は無いが、高いほど良い。好ましくは、50%以上で、更に好ましくは、70%以上である。該面積比率が小さいと処理の効果が十分に発揮されない。また、多孔質体シート16の水酸化アルカリ金属水溶液に接する面の一部が酸素を含有するガスに接触しても何らの問題は無い。
【0038】
また、ガス室20に酸素含有ガスを供給することで多孔質体シート16の上記とは反対面の少なくとも一部が酸素を含有するガスと接触する。多孔質体シート16の全面積に対して酸素含有ガスに接する面積比率は特に限定は無いが、高いほど良い。好ましくは、50%以上で、更に好ましくは、70%以上である。該面積比率が小さいと処理の効果が十分に発揮されない。また、多孔質体シート16の酸素含有ガスに接する面の一部が水蒸気が結露して生じるなどの水に接触しても何らの問題は無い。
【0039】
なお、処理される多孔質体シート16の片面の水酸化アルカリ金属水溶液に接する部位と、他方の面にける酸素含有ガスが接する部位は、できるだけ対面させることが好ましい。上記両者の部位が互いに大きくずれると、酸素還元反応処理の効果が十分に発揮されない。
【0040】
電解液室17に満たす水酸化アルカリ金属水溶液の濃度や温度に特に限定はない。通常、水酸化アルカリ水溶液の濃度は10〜40重量%が使用され、温度は20〜100℃である。
【0041】
陽極15は前記(2)の反応により水酸基イオンが消費され酸素が発生するが、水酸基イオンの消費量と酸素発生量は、成形体シート14の反応(1)による水酸基イオンの発生量と酸素の消費量と同一である。そのため原理的には、電解液室17に水酸化アルカリ金属や水を補給する必要はない。しかし、水蒸気が酸素ガスと同伴し系外に排出される為、水を補給することが望ましい。また、水酸化アルカリ金属水溶液を循環すると、酸素還元反応槽14内の温度の均一化、酸素ガスの円滑な排出が達成され、電解電圧が低減する等の好ましい効果を発揮する。
【0042】
ガス室20に供給するガスは酸素を含有することが必須であり、その他の限定は特にない。しかし、供給するガスが炭酸ガスを含有している場合、多孔質体シート16から電解液室17に漏洩した炭酸ガスが水酸化アルカリ金属水溶液に吸収され水酸化アルカリ金属塩が消費される等が生じるため、ガス室に供給する前に炭酸ガスを除くことが望ましい。また、油分や固形物が含有していると多孔質体シート16の表面及び/又は内部に吸着し性能が低下する場合があるので、通常は、フィルターを通過させ該油分及び/又は該固形物を除去した後にガス室20に供給する。
【0043】
ガス室20に供給する酸素供給量が理論反応量より少ないと多孔質体シート16で水素ガスが発生しガス室内で爆鳴気が形成されたり、成形体シート16の全面に亀裂が発生し処理が不充分な場合がある。従って、酸素ガス供給量は理論反応量以上を供給することが好ましい。酸素ガス供給量の上限は特にないが、供給量が多いと経済的に不利になるため、通常、理論反応量の1.1倍〜4倍、より好ましくは、1.2倍〜2倍に設定される。
【0044】
多孔質体シートに接触させるガス中の酸素濃度は、還元処理に際して水素ガスを発生しない限り特に限定はないが、通常、乾燥濃度で、20〜100体積%が好ましい。酸素濃度が20体積%未満の場合、多孔体から水素ガスが発生しガス室内で爆鳴気が形成される恐れがあり、また、多孔体の全面に亀裂が発生する場合がある。酸素濃度は、好ましくは、35〜100体積%、更に好ましくは60〜100体積%である。なお、陽極15で、反応(2)を行わせる場合には、陽極15で発生した酸素ガスの全量又は一部をガス室20に供給すると系外から供給する酸素の必要量が著しく減るので好ましい。陽極20から発生した酸素ガス中には水蒸気が存在するが、水蒸気を除いても除かなくても処理効果は何ら変わらない。
【0045】
酸素還元反応処理の電流密度は特に限定されない。通常、処理される多孔質体シート16の通電面積に対する電流密度換算で、好ましくは1〜7kA/m2であり、特には好ましくは2〜4kA/m2である。電流密度が低すぎると製造時間が長くなるので好ましくない。逆に高すぎると電力消費が増えたり、場合によっては水素が発生するので好ましくない。
【0046】
上記の酸素還元反応処理を行うことにより、多孔質体シート16の酸素ガス還元過電圧が急激に低下(IR補正電位が急激に上昇)する。かくして、多孔質体シート16の電解面積当たりの電流密度が3kA/m2以上でかつ過電圧が1.0V以下(IR補正電位が0.2V vs RHE以上)を示した時点で処理は終了する。なかでも、好ましくは、電流密度が3kA/m2以上でかつ過電圧が0.55V以下(IR補正電位が0.65V vs RHE以上)を示した時点、更に好ましくは電流密度が3kA/m2の過電圧が0.5V以下(IR補正電位が0.7V vs RHE以上)を示すまで処理を継続すると処理の効果が一層発揮できる。
【0047】
上記酸素還元反応処理したガス拡散電極を使用して、陽極と陰極の間にイオン交換膜を有する電解槽に配備する場合、酸素還元反応処理で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した面を電解槽の陽極面に対面させることが好ましい。例えば、陽イオン交換膜と陰極とによって陽極室と陰極液室とガス室とに区画された構造を有する電解槽にガス拡散電極を配備する場合、酸素還元反応工程で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した面を電解槽の陰極液室に向ける事が好ましい。
【0048】
また、例えば、陽イオン交換膜により陽極室と陰極室との2室に区画された電解槽の陰極室内にガス拡散電極を配備する場合、酸素還元反応工程で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した面を陽イオン交換膜側に向け陽極と対面させることが好ましい。上記と逆向きに該ガス拡散電極を配備することも可能であるが、この場合は本発明の効果が十分に発揮されない。また、酸素還元反応処理で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した部位が電解槽の電解面と一致するように配備すると本発明の効果が最大限に発揮される。
【0049】
上記の酸素還元反応処理において、陽極14で前記(2)の反応を行わせる場合、陽極室と区画するための隔膜が不要であり酸素還元反応処理槽14が極めて単純な構造となる。また、多孔シート16で行う、(1)の反応と陽極14の(2)の反応は逆反応の関係にあるため、装置内で電解液の濃度変化が実質上無いこと、理論分解電圧が0Vで極めて低電力で処理が可能であること、陽極で発生した酸素ガスを用いると消費する酸素のほぼ全量が賄えることなどから、極めて好ましい実施形態の1つである。
【0050】
更に、陽極及び陽イオン交換膜及び該ガス拡散電極の25対で構成した複極式電解槽を4槽を直列で配列して単一の整流器で塩化アルカリ金属水溶液の電解を行う場合において、上記酸素還元反応処理をしないでガス拡散電極を陰極に用いた場合(使用開始時電解電圧が3.0V/対)と、一方、上記酸素還元反応処理したガス拡散電極を陰極に用いた場合(使用開始時電解電圧が2.0V/対の場合)とを例にして、酸素ガス還元反応処理を実施した場合の効果を以下に説明する。
【0051】
酸素還元反応処理を実施すること無く製造されたガス拡散電極を陰極に用いた電解槽のみで運転を開始する場合には、運転開始当初に整流器の出力電圧が300Vと、過大な能力が必要となり、種々の弊害が発生することは前記の通りである。
【0052】
一方、該酸素還元反応処理を実施したガス拡散電極を陰極に用いた電解槽のみで運転を開始する場合には、運転開始当初の整流器の出力電圧は200Vですみ、その後、長期間に亘り200〜230Vの整流器出力電圧となり、適正な整流設備で電解が実施可能となる。
【0053】
また、例えば、酸素還元反応処理をしないガス拡散電極で電解槽を構成した電解槽3つで運転を開始した場合、整流器の出力電圧は230V未満ですむ。さらに、通常、稼動から1ヶ月後以内で電圧が下降する。従って、整流器の出力電圧が180V(2.4V/対)を示した時点で酸素還元反応処理したガス拡散電極を用いた電解槽を1槽系列に付加すれば、整流器の出力電圧が230Vに維持され、適正な整流器能力で常時運転が可能である。
【0054】
このように、酸素還元反応処理しないガス拡散電極と酸素還元反応処理したガス拡散電極の使用数や稼動時期を組合せることで、常に整流器を最適負荷で稼動することが可能となり、ガス拡散電極による省エネルギー効果が最大限に発揮される。
【0055】
更に、酸素還元反応処理において、陽極15で前記(2)の反応以外を用いる場合の例を説明する。陽極15で前記(3)を行わせる場合にはイオン交換膜で陽極室と陰極室を区分する。この時に使用するイオン交換膜は陽イオン交換膜でも陰イオン交換膜でもバイポーラー膜でも良く、フッ素系でも炭化水素系でも良く、市販の膜をそのまま適用可能である。
【0056】
陽極15で前記(4)又は(5)を行う場合は、酸素還元反応槽14は酸素−水素型の燃料電池と実質的に同一の構成となるため、従来の燃料電池をそのまま適用すればよい。この場合、本発明の酸素ガス拡散電極を製造しながら発電が可能であり、好ましい実施形態の1つである。
【0057】
また、陽極15で前記(6)を行う場合には酸素還元反応槽14は塩化アルカリ金属水溶液電解と実質的に同一の構成となるため、従来の塩化アルカリ金属水溶液用の電解槽と同一構造でよい。この場合、塩化アルカリ金属水溶液電解設備の整流器能力で運転が可能な電圧に低下するまで酸素還元反応処理を行えばよく、該陽極15から発生する塩素ガスは製品となるため好ましい実施形態の1つである。
【0058】
さらに、陽極14で前記(6)の反応を行い酸素還元反応処理を実施した場合は、処理の終了と同時に、酸素還元反応槽14を解体することく電解設備に移動し設置すれば、直ちに塩化アルカリ水溶液電解に供することが可能である。
なお、本発明が提供するガス拡散電極が燃料電池用の電極として好適に使用可能であることは、当業者らには自明である。
【0059】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、参考例及び比較例で「%」は特に断りのない限り、「重量%」を意味する。
【0060】
参考例1
疎水性カーボンブラック50g(AB6、平均粒径500オングストローム、電気化学工業社製)を界面活性剤(20%TRITON X−100)を4%含む水500mlに分散させ、ジェットミルで2回分散操作を行い、カーボンブラックの平均粒径を0.6μm以下にした。これにPTFE40%となるようにPTFEディスパージョンを添加、混合した分散液にエチルアルコールを添加して凝集させた。次いで、濾過、乾燥してガス拡散電極原料粉末を得た。この粉末にソルベントナフサを加え、餅状にし、0.5mm厚のシートにロール成形し、界面活性剤除去、乾燥してガス拡散電極用シートを得た。
【0061】
ガス拡散電極用シートと50メッシュ、0.19mm厚の銀網を380℃、50kg/cm2の圧力で60秒間ホットプレスすることで成形体シートを製造し、該成形体シートをガス拡散電極とした。
【0062】
該ガス拡散電極を図1に示した小型試験電解槽1に装着し、イオン交換膜法食塩電解試験を実施した。小型試験槽1は、DSA(登録商標)と呼ばれる陽極2、フッ素系陽イオン交換膜6、ガス拡散電極10を使用して構成した。陽極2とフッ素系陽イオン交換膜6は密着し、フッ素系陽イオン交換膜6とガス拡散電極10間の距離は6mmとし、電解電圧は記録計で自動記録した。
【0063】
陽極2、フッ素系陽イオン交換膜6、ガス拡散電極10の電解面は56mm×60mmの長方形で、電解電流は10.1A(3kA/m2)の一定とした。陽極室3には310g/リットルの精製食塩水を供給し200g/リットルで排出されるように流量を調整した。陰極液室7(イオン交換膜と陰極の間)へは水酸化ナトリウム水溶液を循環供給し、陰極室出口の水酸化ナトリウム水溶液濃度が32重量%となるように循環液に純水を添加した。陽極室3及び陰極液室7は、内部ヒーター(図示せず)で88℃に調整した。ガス室11へはPSA方式で空気を精製したガス(酸素純度:93体積%)を理論酸素消費量の2倍等量供給した。
【0064】
電解試験開始直後の電解電圧は2.8V、ガス拡散電極の過電圧は1.0V(IR補正電位が0.2V vs RHE)を示した。電解(該ガス拡散電極の酸素還元反応)時間の経過と共にガス拡散電極の過電圧が急激に低下し電解電圧が急激に低下した。電解開始から20日間後の電解電圧は2.3V、ガス拡散電極の過電圧は0.5V(IR補正電位が0.7V vs RHE)を示した。この時点で電解(該ガス拡散電極の酸素還元反応)試験を一旦終了し、ガス拡散電極を観察したが表面は何ら変化していなかった。
【0065】
ガス拡散電極を上記と同じ電解槽に装着し、上記と同一の条件で電解試験を再度開始した所、電解電圧は2.2〜2.3Vで700日間(試験を実施した20日間を含む)に亘り低電圧を維持した。この間の該ガス拡散電極の過電圧は0.4〜0.5V(IR補正電位が0.7〜0.8V vs RHE)を示した。この間の電解電圧変化を、最初の電解試験開始日を0日として図.2の○印で示した。
電解試験終了後に電極を試験電解槽から取り外したが、表面は何ら変化していなかった。
【0066】
また、使用したガス拡散電極に含まれる疎水性カーボンブラックをX回転対陰極形X線回折装置(理学電機社製)でX線解析パターンを測定した結果を図3に示す。疎水性カーボンブラックは、25.5度を中心としたブロードなピークを示した。
【0067】
実施例1
参考例1で製造したガス拡散電極の多孔質体シートを酸素還元反応処理した。酸素還元反応処理は、図4に示した酸素還元槽14に上記多孔質体シート16を装着、電解液室17には32重量%の水酸化ナトリウム水溶液を循環供給し、内部ヒーター図示せず)で88℃に調整した。ガス室17へはPSA方式で空気を精製したガス(酸素純度:93体積%)を理論酸素消費量と等量供給し、加えて、陽極15で発生した酸素ガスを全量供給した。なお、該水酸化ナトリウム水溶液に接触する部位と該酸素ガス含有ガスに接触する部位は何れも56mm×60mmの長方形でほぼ完全に対面させた。電流密度は10.1A(3kA/m2)の一定で成形体シート16の酸素還元反応処理を実施した。
【0068】
処理開始直後の成形体シートの酸素還元過電圧は1.1Vを示したが処理を継続すると過電圧が急激に低下した。過電圧が0.5V(IR補正電位が0.65V vs RHE)を示した時点で処理を終了した。なお、ガス拡散電極の表面に何ら変化は無かった。
【0069】
得られたガス拡散電極を実施例1と同様にして電解試験を実施した。この時、ガス拡散電極の酸素還元槽14の電解液室17に向けた面を、電解槽1の陰極液室7側に向け、酸素還元反応処理で水酸化ナトリウムと接した部位が電解面となるように装着した。電解直後から700日間に亘り、電解電圧は2.2〜2.3Vの低電圧を維持した。電解電圧の経時変化を図.2の●印で示した。
電解試験終了後に電極を電解槽から取り外したが、表面は何ら変化していなかった。
【0070】
実施例2
黒鉛化度の高い疎水性カーボンブラック(昭和電工社製、商品名UFG−10)を使用した以外は実施例2と同様にガス拡散電極を製造した。この場合、酸素還元反応処理を1ヶ月間継続しても過電圧は0.9V(IR補正電位が0.3V vs RHE)を示したのでこの時点で酸素還元反応処理を終了した。
処理したガス拡散電極を実施例1と同様にして電解試験を1ヶ月間実施した。電解電圧は電解開始当初から2.6〜2.7Vで推移した。
電解試験終了後に電極を試験電解槽から取り外したが、表面は何ら変化していなかった。実施例1で製造したガス拡散電極に比較すると性能は若干良くなかった。
【0071】
また、実施例2で使用した疎水性カーボンブラックを実施例1と同様にしてX回転対陰極形X線回折装置でX線解析パターンを測定した結果を図5に示す。疎水性カーボンブラックは、25.9度付近と26.6度付近にシャープなピークを示し、黒鉛化度が高いことが確認された。この結果より、黒鉛化度の高くない疎水性カーボンブラックを用いることが好ましいと判明した。
【0072】
比較例1
ガス室17にPSAで得られた酸素ガスに乾燥窒素を加えた濃度5%の酸素ガスを供給し該成形体シートで30分間水素発生を行わせた以外は実施例1と同様にシートを得た。本シートを装置から取り外した所、表面に多数の亀裂が発生し部分的に亀裂は貫通していた為、ガス拡散電極を製造することは出来なかった。
【0073】
比較例2
参考例1と同様にしてガス拡散電極用シートを製造した。銀触媒を重量比で20%坦持した親水性カーボンブラック(電気化学工業社製、AB−12)5部、疎水性カーボンブラック(電気化学工業社製、AB−6)2部、PTFE3部からなる反応層原料粉末10gに界面活性剤(20%TRITON X−100)10mlとテレピン油5mlを加えたスラリー状にして、上記ガス拡散電極用シートの片面に上塗りした。一方、シートの反対の面に0.19mm厚の銀網を配備し、界面活性剤を抽出装置で除去し、乾燥後、350℃の温度、50kgf/cm2の圧力、60secの条件でホットプレスを行い、
ガス拡散電極を製造した。
【0074】
このガス拡散電極を参考例1と同様にして電解試験を実施した。電解試験直後は電解電圧は2.2V未満であったが、その後電解電圧が徐々に上昇し、300日後には参考例1及び実施例1の電解電圧を超えた。更に電解試験を継続すると、400日目頃からガス室への電解液漏洩が始まり440日目に停止を余儀なくされた。電解電圧の経時変化を図2の△印で示した。
【0075】
電解試験終了後にガス拡散電極を電解槽から取り外したが、ガス室側の表面全体が水酸化アルカリ金属水溶液で塗れており、電極のガス透過能が著しく阻害されていることが判明した。
【0076】
【発明の効果】
本発明が提供するガス拡散電極は、従来のガス拡散電極に比較して製造に要する工程数・管理項目が著しく少なく、かつ、高価な酸素還元反応を促進する触媒も不要であり、極めて安価で簡便に製作できる。しかも、本発明のガス拡散電極は、例えば、塩化アルカリ金属水溶液の電解に用いると長期間に亘り低い電解電圧で実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用される試験電解槽の模式的断面図を示す。
【図2】実施例及び比較例にける電解試験の電圧推移を示す。
【図3】実施例1で使用した疎水性カーボンブラックのX線回折パターンを示す。
【図4】本発明の酸素還元反応処理に使用される1例の酸化還元槽の模式的断面図を示す。
【図5】実施例3で使用した疎水性カーボンブラックのX線回折パターンを示す。
【符号の説明】
1 電解槽
2 陽極
3 陽極室
4 塩水入口
5 塩素ガス出口
6 イオン交換膜
7 陰極液室
8 水酸化ナトリウム水溶液出口
9 水酸化ナトリウム水溶液入口
10 ガス拡散電極
11 ガス室
12 酸素入口
13 酸素出口
14 予備処理槽
15 陽極
16 ガス拡散電極
17 電解液室
18 水酸化ナトリウム入口
19 水酸化ナトリウム出口
20 ガス室
21 ガス入口
22 ガス出口
23 酸素ガス出口[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel gas diffusion electrode that can be suitably used as an electrode in an alkali metal chloride aqueous solution or a fuel cell, a method for producing the same, and an electrolysis method of an aqueous alkali metal chloride solution using the gas diffusion electrode.
[0002]
[Prior art]
When the gas diffusion electrode is used as a cathode for electrolysis of an alkali metal chloride aqueous solution (for example, an aqueous sodium chloride solution), the reaction can proceed at a very low voltage compared to a conventional hydrogen generation type electrolysis method. It is known (for example, Patent Document 1) that an energy saving effect can be expected. The following oxygen reduction reaction (1) proceeds at the cathode comprising the gas diffusion electrode in the electrolysis.
1 / 4O2+ 1 / 2H2O + e-→ OH-(1)
In order to facilitate the reaction (1), it is necessary to replenish the gas diffusion electrode with oxygen in a gas state and water in a liquid state without delay, and many proposals have been made regarding the gas diffusion electrode.
[0003]
Conventional gas diffusion electrodes are made from a substrate material, a catalyst and a hydrophobic material. The catalyst is a noble metal, Raney silver, perovskite type ionic crystal, metal phthalocyanine or the like, and the hydrophobic substance is a fluororesin or the like (for example, Patent Document 1). The substrate material is mainly responsible for improving the strength of the electrode, the catalyst is mainly supported on carbon to provide a reaction field, and the hydrophobic substance forms a gas diffusion path into the electrode.
[0004]
Conventionally, the catalyst used for the gas diffusion electrode requires various devices such as kneading and pyrolyzing from a silver salt of carboxylic acid (for example, Patent Document 2). This is because the catalyst is uniformly dispersed in the gas diffusion electrode and the specific surface area of the catalyst is increased. However, the gas diffusion electrode manufactured by the above proposal still has problems in terms of performance and durability.
[0005]
On the other hand, a gas diffusion electrode composed of two layers, a reaction layer that performs an electrode reaction and a gas supply layer that supplies a gas to the reaction layer, has been proposed (for example, Patent Document 3). This is a gas diffusion electrode in which the reaction layer is composed of hydrophobic carbon, hydrophilic carbon, fluororesin and catalyst, and the gas supply layer is composed of hydrophobic carbon and fluororesin, which is superior in performance and durability compared to the conventional ones. It is. With the advent of a gas diffusion electrode composed of two layers, a reaction layer and a gas supply layer, the electrolysis voltage of alkaline chloride aqueous solution electrolysis can be stably reduced for a relatively long period of time.
[0006]
However, a gas diffusion electrode composed of two layers, a reaction layer and a gas supply layer, is still essential to carry an expensive noble metal or the like as a catalyst, and the reaction layer and the gas supply layer are manufactured separately. Many manufacturing processes such as lamination are required. Furthermore, the performance and durability change depending on the mixing ratio and dispersion state of the two types of carbon and fluororesin, hydrophobic and hydrophilic, and many process controls are necessary to produce a gas diffusion electrode with a predetermined performance. It was. For this reason, a high-performance gas diffusion electrode has become extremely expensive, and a high-performance and inexpensive gas diffusion electrode has been awaited.
[0007]
In recent years, various studies have been made for the purpose of simplifying the manufacturing process of a gas diffusion electrode composed of two layers, a reaction layer and a gas supply layer, and the gas supply layer forming material is filled in the voids of the conductive porous body or mesh. Thus, there has been proposed a gas diffusion electrode in which a gas supply layer is formed and a reaction layer forming material is applied thereon to form a reaction layer (for example, Patent Document 4).
[0008]
As a result, a gas diffusion electrode comprising three structures of a conductive porous body or mesh, a gas supply layer, and a reaction layer (4th page, fifth column of Patent Document 4, 13th line to 47th line from above) And a gas diffusion electrode comprising two structures of a conductive porous body or mesh and a reaction layer (Patent Document 4, page 4, column 6, bottom 16 to page 5, page 7, column 7, top From the second line). However, the use of hydrophilic carbon and a catalyst is still essential, and as described in Patent Document 5, although the initial characteristics of this gas diffusion electrode are excellent, the electrode characteristics deteriorate during use and there is a problem in durability. have. This is explained because the surface of the gas supply layer in contact with the reaction layer of the gas diffusion electrode becomes hydrophilic, and sufficient oxygen is not supplied to the electrode.
[0009]
Furthermore, recently, in order to solve the problem of durability of electrode characteristics, it has been proposed that the gas supply layer of the gas diffusion electrode contains a catalyst for preventing the above-mentioned hydrophilization (Patent Document 5).
Further, Patent Document 5 also provides a gas diffusion electrode that simplifies the manufacturing process of making the reaction layer in the gas diffusion electrode the reaction layer on the surface of the gas supply layer.
[Patent Document 1]
JP 54-97600 A
[Patent Document 2]
Japanese Examined Patent Publication No. 58-44156
[Patent Document 3]
JP-A-4-75260
[Patent Document 4]
Japanese Patent Laid-Open No. 11-50290
[Patent Document 5]
JP 2003-27269 A
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, in the conventional gas diffusion electrode, the presence of a reaction layer containing a catalyst having oxygen reduction ability is essential, and the use of a special catalyst is required for durability of electrode characteristics. In this case, not only the raw material cost is large because an expensive catalyst is used, but also a large amount of cost and labor are required for production management in order to disperse the catalyst uniformly in the electrode, and the electrode characteristics are also reduced. Durability also has a problem.
[0011]
In view of the present situation, the present invention is a gas diffusion electrode that can be easily manufactured at low cost and has excellent durability in terms of electrode characteristics.ofProduction method and alkali metal chloride aqueous solution using the gas diffusion electrodeElectrolytic cell andAn object is to provide an electrolysis method.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies, the present inventors have succeeded in achieving the above object. That is, according to the research by the present inventors, surprisingly, the presence of the reaction layer among the reaction layer and the gas supply layer constituting the gas diffusion electrode, which has been essential in the past, is rather rather for maintaining the electrode performance. Was found to inhibit. And the gas diffusion electrode which consists of a porous sheet | seat which is formed from hydrophobic carbon and a fluororesin, and a gas permeate | transmits but a liquid does not leak was used for the electrolysis of the alkali metal chloride aqueous solution which manufactures an alkali metal hydroxide. In some cases, although the initial performance is inferior, it has been found that the electrode characteristics can be rapidly improved and maintained as the electrolytic use time increases.
[0013]
In addition, it has been found that the gas diffusion electrode comprising a porous sheet formed from the hydrophobic carbon and the fluororesin can greatly improve the electrode characteristics by performing a specific oxygen reduction reaction treatment as described later. It was. Therefore, in this case, it is possible to provide a gas diffusion electrode that has excellent electrode characteristics from the beginning even if the electrode is used for any gas diffusion electrode and can maintain excellent characteristics even when used for a long time. Become.
[0014]
In the present invention, the gas diffusion electrode made of the above specific porous sheet exhibits the above excellent electrode characteristics, and the oxygen diffusion reaction treatment provides a gas diffusion electrode having excellent performance. It is not always clear whether it can be obtained. However, in the case of the oxygen reduction reaction treatment, it is considered that the same effect as that of the activation treatment accompanied with hydrogen generation described in Patent Document 5 is brought to the porous sheet.
[0015]
Thus, the present invention is characterized by the following gist.
(1) formed from hydrophobic carbon and fluororesin,Free of hydrophilic carbon and catalyst, andPorous sheet that allows gas to pass through but does not leak liquidOn the other hand, an oxygen reduction reaction treatment in which an alkali metal hydroxide aqueous solution is brought into contact with one surface and an oxygen-containing gas with an oxygen concentration of 20 to 100% by volume in contact with the other surface is energized. By doing this, one side is brought into contact with a 32 wt% sodium hydroxide aqueous solution at 88 ° C., an oxygen-containing gas is supplied to the other side, and the current density is based on the area where the sodium hydroxide aqueous solution is in contact with the gas diffusion electrode. 3kA / m 2 When the oxygen reduction reaction is performed under the conditions of, the electric potential corrected electric potential has 0.2V vs RHE or moreA method for producing a gas diffusion electrode.
(2) The above (1), wherein the porous sheet comprises a conductive sheet.)Gas diffusion electrode as describedManufacturing method.
(3) Concentration of alkali metal hydroxide aqueous solution is 10 to 40% by weightOrCurrent density of 1-7KA / m2The above (1)Or (2)The manufacturing method of the gas diffusion electrode of description.
(4)the aboveAny of (1) to (3)In the alkaline chloride aqueous solution electrolytic cell using the gas diffusion electrode produced by the production method described in 1., the surface of the gas diffusion electrode in contact with the alkaline metal hydroxide aqueous solution faces the anode of the alkaline chloride aqueous solution electrolytic cell. Electrolyzer of alkaline chloride aqueous solution used for
(5) Using an electrolytic cell in which an ion exchange membrane is disposed between the anode and the gas diffusion cathode to form an anode chamber and a cathode chamber, an aqueous alkali chloride solution is supplied to the anode chamber, and an oxygen-containing gas is supplied to the gas diffusion electrode. In the electrolysis method of an alkali chloride aqueous solution for supplying and energizing to produce alkali hydroxide in the cathode chamber, the gas diffusion cathode comprises:It is a gas diffusion electrode manufactured by the manufacturing method according to any one of (1) to (3) above.Electrolysis method of aqueous alkali chloride solution.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention is described in detail below. The gas diffusion electrode of the present invention comprises a porous sheet formed from hydrophobic carbon and fluororesin. The porous sheet is required to have a property of allowing gas to pass through but not liquid to leak, like the gas supply layer in the conventional gas diffusion electrode. For this reason, the porous sheet forming the gas diffusion electrode of the present invention must not contain hydrophilic carbon, and preferably does not contain any catalyst together with the hydrophilic carbon. Is preferred.
[0017]
When hydrophilic gas is contained in the gas diffusion electrode of the present invention, excellent performance is obtained in the initial stage, but inactivation in a relatively short period of time, leakage of the electrolyte, etc. occur, and the durability is remarkably inferior. However, the blending ratio of hydrophilic carbon, uniform dispersion, and the like are required, and the manufacturing cost deteriorates.
[0018]
In the present invention, it is allowed when the gas diffusion electrode contains hydrophilic carbon as an impurity. The case where it is contained as an impurity means that, for example, when manufacturing a gas diffusion electrode, when hydrophobic carbon and / or fluorocarbon resin used as a raw material contains hydrophilic carbon as an impurity, it is not particularly necessary to remove this. means. Further, even when the power supply sheet is provided, even if hydrophilic carbon is contained as an impurity in the power supply sheet, it is not necessary to remove this. Thus, in the present invention, the content of hydrophilic carbon in the gas diffusion electrode is preferably 0.1% by weight or less, particularly 0.01% by weight or less.
[0019]
The gas diffusion electrode of the present invention preferably contains no catalyst together with hydrophilic carbon. When no catalyst is included, the gas diffusion electrode can be manufactured at low cost. The catalyst means, for example, a catalytic functional substance having oxygen gas reducing ability such as platinum, silver, perovskite oxide, and a catalytic functional substance having hydrogen peroxide resolution such as silver, platinum group, cobalt, manganese, etc. . When these catalysts are contained in the gas diffusion electrode together with the hydrophilic carbon, the adverse effect on the durability when the hydrophilic carbon is contained is accelerated.
[0020]
In the present invention, when the gas diffusion electrode contains a catalyst as an impurity, it is allowed. The case where it is contained as an impurity means that when the gas diffusion electrode of the present invention is produced, when the catalyst is contained as an impurity in the hydrophobic carbon and / or fluororesin used as a raw material, it is not particularly necessary to remove this. To do. Further, when the power supply sheet is provided, it is not necessary to remove the catalyst even if the power supply sheet contains a catalyst as an impurity.
[0021]
The hydrophobic carbon used in the gas diffusion electrode of the present invention has electrical conductivity and has a hydrophilic surface.BaseIf there is no, there is no other limitation. Hydrophobic carbon black that has been used in conventional gas diffusion electrodes can be suitably used. In particular, it is preferable to use a hydrophobic carbon black such as acetylene black which does not have a high degree of graphitization because the effects of the present invention can be easily obtained. Conversely, hydrophobic carbon black having a high degree of graphitization such as graphitized carbon black is not relatively large in the voltage reduction effect obtained in the present invention. In the present invention, the hydrophobic carbon used preferably has an average particle diameter of 0.01 to 10 μm, particularly 0.1 to 2 μm.
[0022]
The fluororesin used for the gas diffusion electrode of the present invention has corrosion resistance to an alkali metal hydroxide aqueous solution, and those usually used as a binder can be used. Preferable examples include fine particles and fine fibers of fluorine-containing polymers such as polytetrafluoroethylene and polyhexapropylene.
[0023]
The gas diffusion electrode of the present invention has the shape of a porous sheet, and the shape and size of the sheet are not limited as long as it is normally recognized as a sheet. For example, any shape such as a circular shape, an elliptical shape, or a polygonal shape can be suitably employed, and it may be manufactured according to the shape of the cell to be used. What is necessary is just to produce the size of an electrode according to the size of a cell. The porous sheet forming the gas diffusion electrode of the present invention has an average pore diameter of preferably 0.01 to 30 μm, particularly preferably 0.02 to 2 m, and an air permeability coefficient of preferably 10-Four-10-1Mol / cm2· CmHg · min, particularly preferably 10-2-10-1Mol / cm2It is preferred to have cmHg · min.
[0024]
The thickness of the porous sheet forming the gas diffusion electrode of the present invention is not particularly limited. There is no problem in handling, and it does not have to interfere with the anode or membrane in an electrolytic cell or the like. However, if it is too thin, bending and distortion are likely to occur, making it difficult to mount the cell. On the other hand, if it is too thick, excessive pressure is applied to the anode and the film, and in some cases, the anode and the film are broken. Therefore, it can usually be selected from 0.1 to 10 mm, preferably 0.5 to 5 mm, and more preferably 0.5 to 1.5 mm.
[0025]
The gas diffusion electrode of the present invention can be provided with a conductive porous body. When the conductive porous body is provided, it is preferable because the electric resistance of the gas diffusion electrode becomes lower and the effect of reducing the electrolysis voltage becomes higher. As the material of the conductive porous body, a material having a small electrical resistance and having corrosion resistance in the use environment is used. For example, silver, gold, platinum, palladium, nickel and the like can be suitably used. In addition, it is possible to use a surface of a material having low corrosion resistance such as iron or copper but coated with silver, gold or the like having high corrosion resistance. Of course, platinum, nickel or the like may be coated with silver, gold or the like. If at least the surface of the conductive porous body is excellent in the corrosion resistance of silver or gold and has a remarkably small contact resistance, the effect of the present invention is further enhanced. The method of coating the surface of iron, copper, nickel, etc. with silver or gold includes various methods such as electrolytic plating, electroless plating, laminating and rolling treatment, thermal spraying, thermal decomposition sintering, ion plating, and CVD. Generally known, at least one of them may be selected in a timely manner.
[0026]
When the gas diffusion electrode of the present invention is provided with a conductive porous body, it is preferable because gas diffusion inside the electrode is hardly inhibited. As the porous body, a punched metal, an expanded metal, a net, a mesh, a metal foam and the like can be widened. The conductive porous body is usually formed in a sheet shape and provided in the electrode. In that case, the sheet may be one sheet or plural sheets, and the number is not limited. Moreover, you may arrange | position to only one part in an electrode, and may arrange | position to the whole effective surface. When the conductive porous sheet is arranged on the entire electrode effective surface, the mechanical strength of the electrode is improved and handling becomes easier, the electric resistance is low and uniform across the entire effective surface, and the entire effective surface acts uniformly. preferable.
[0027]
The position at which the conductive porous sheet is provided in the electrode is not particularly limited. It may be arranged near the center of the thickness direction of the gas diffusion electrode, may be arranged at a position biased to any one surface, or may be arranged so as to be laminated on any one surface. good. Moreover, you may arrange | position a some electroconductive porous body sheet | seat in a various position. In particular, it is particularly preferable from the viewpoint of production and performance that the conductive porous sheet is partially embedded in one of the surfaces of the gas diffusion electrode.
[0028]
As described above, the gas diffusion electrode of the present invention is formed from hydrophobic carbon and fluororesin, and these materials are used, and preferably a conductive porous body is provided to produce the gas diffusion electrode of the present invention. The following known methods can be used. That is, hydrophobic carbon particles and fluororesin powder are preferably used with a surfactant, and these are stirred and mixed at high speed by a jet mill or the like to form a slurry uniformly dispersed in water. Alcohol or the like is added to the slurry to agglomerate, and as it is or if necessary, filtered and dried to obtain a powder. A viscous material containing such aggregates or powder is formed into a sheet to obtain a gas diffusion electrode. Moreover, when using an electroconductive porous body, it is manufactured by apply | coating or press-fitting into a sheet-like electroconductive porous body the viscous thing containing an aggregate or a powder, and shape | molding.
[0029]
The gas diffusion electrode of the present invention produced as described above has one side brought into contact with an aqueous solution of sodium hydroxide at 32% by weight and 88 ° C., and a gas containing oxygen is supplied to the other side. The current density is 3 kA / m based on the geometric area where the sodium hydroxide aqueous solution is in contact with the diffusion electrode.2When the oxygen reduction reaction is performed under the above conditions, the electric potential corrected electric potential is 0.2 V vs RHE or higher, preferably 0.65 V vs RHE or higher, more preferably 0.7 V vs RHE or higher. it can. It is quite surprising that such electrode characteristics are achieved by a gas diffusion electrode that does not have a reaction layer, which has heretofore been essential.
[0030]
In the present invention, the gas diffusion electrode characteristics described above are obtained by deploying the porous sheet obtained in the present invention as, for example, an oxygen cathode of an electrolytic cell of an alkali ion chloride membrane aqueous solution for producing an alkali metal hydroxide. It has been found that, when used, electrode properties are improved with increasing electrolysis time. It has been found that the degree of electrolysis time from the start of electrolysis depends on the electrolysis conditions, but is usually achieved in ˜1 month. The achievement is abrupt and thereafter continues for a long period of at least one year.
[0031]
However, if the operation is forced to be performed at a high electrolysis voltage for about one month from the start of use, the rectifier used for the operation must be designed and manufactured based on the electrolysis voltage. For this reason, in the long-term operation after the voltage drops, not only does the rectifier become excessive capacity and the excess cost is wasted, but in some cases the AC / DC conversion capacity deteriorates and the electrolytic voltage decreases. The energy saving rate becomes smaller. For example, a bipolar electrolytic cell is constituted by 25 pairs of an anode, a cation exchange membrane and a gas diffusion electrode, and the bipolar electrolytic cell is arranged in series, and a single rectifier is used for the alkali metal chloride aqueous solution. In the case of electrolysis, the electrolysis voltage at the start of use is 3.0 V / pair, the voltage one month after the start of use is reduced to 2.0 V / pair, and then the electrolysis voltage is 2.0 to 2.3 V / pair. The case of transition will be described as an example.
[0032]
The rectifier initially requires at least a DC voltage of 3.0V / pair × 100 pairs = 300V, but only 200-230V rectifier loads for the next five years. Since the equipment cost of the rectifier increases and decreases depending on the output load, it is not preferable that the rectifier equipment becomes excessive for the first month. In addition, since the DC / AC conversion efficiency of the rectifier usually varies depending on the output load of the rectifier, the DC / AC conversion efficiency may deteriorate in some cases, and the original energy saving effect cannot be obtained sufficiently.
[0033]
In the present invention, a method has been found that can exhibit the characteristics of the gas diffusion electrode very efficiently. That is, the porous sheet is energized by contacting an alkali metal hydroxide aqueous solution on one side and a gas containing oxygen on the other side (hereinafter sometimes referred to as oxygen reduction reaction treatment in the present invention). It has been found that the above characteristics can be reached in a very short time.
[0034]
In the oxygen reduction reaction treatment, the presence of an anode is essential, and a reaction at the anode is used. The reaction of the anode is not particularly limited, and is appropriately selected from the following reactions (2) to (5), for example.
OH-→ 1 / 4O2+ 1 / 2H2O + e-(2)
1 / 2H2O → 1 / 4O2+ H++ E-.... (3)
OH-+ H2→ H2O + e-.... (4)
1 / 2H2→ H++ E-(5)
2Cl-→ Cl2+ 2e-.... (6)
[0035]
The anode used for the oxygen reduction reaction treatment is appropriately selected depending on the anode reaction. For example, in the case of carrying out the reaction (2), a porous electrode made of nickel or a nickel-base alloy, in the case of the reaction (3), a porous electrode having at least a platinum group catalyst on the surface, the above (4) or (5 ) May be selected from hydrogen gas diffusion electrodes. In the case of (6), the same anode as in the electrolysis of the alkali metal chloride aqueous solution may be selected.
[0036]
FIG. 4 shows an example of an apparatus for carrying out the oxygen reduction reaction process and is called an oxygen reduction reaction tank 14. The oxygen reduction reaction tank 14 includes an anode 15, and is partitioned into an electrolyte solution chamber 17 and a
[0037]
By filling the electrolytic solution chamber 17 with an alkali metal hydroxide aqueous solution, at least a part of one surface of the porous sheet 16 to be treated comes into contact with the alkali metal hydroxide aqueous solution. The ratio of the area in contact with the alkali metal hydroxide aqueous solution to the total area of the porous sheet 16 is not particularly limited, but the higher the better. Preferably, it is 50% or more, more preferably 70% or more. If the area ratio is small, the effect of the treatment is not sufficiently exhibited. Moreover, there is no problem even if a part of the surface of the porous sheet 16 in contact with the alkali metal hydroxide aqueous solution is in contact with a gas containing oxygen.
[0038]
In addition, by supplying an oxygen-containing gas to the
[0039]
In addition, it is preferable that the site | part which contact | connects the alkali metal hydroxide aqueous solution of the single side | surface of the porous body sheet 16 processed and the site | part which the oxygen-containing gas in the other side touches as much as possible. If the two parts are greatly deviated from each other, the effect of the oxygen reduction reaction treatment is not sufficiently exhibited.
[0040]
There are no particular limitations on the concentration or temperature of the aqueous alkali metal hydroxide solution that fills the electrolyte chamber 17. Usually, the concentration of the aqueous alkali hydroxide solution is 10 to 40% by weight, and the temperature is 20 to 100 ° C.
[0041]
In the anode 15, hydroxyl ions are consumed and oxygen is generated by the reaction (2). The consumption and oxygen generation amount of the hydroxyl ions are the same as the amount of hydroxyl ions generated and oxygen generated by the reaction (1) of the molded body sheet 14. It is the same as consumption. Therefore, in principle, it is not necessary to replenish the electrolytic solution chamber 17 with alkali metal hydroxide or water. However, it is desirable to replenish water because water vapor is accompanied by oxygen gas and discharged outside the system. Further, when the alkali metal hydroxide aqueous solution is circulated, the temperature in the oxygen reduction reaction tank 14 is made uniform, smooth discharge of oxygen gas is achieved, and preferable effects such as reduction of the electrolysis voltage are exhibited.
[0042]
The gas supplied to the
[0043]
If the amount of oxygen supplied to the
[0044]
The oxygen concentration in the gas brought into contact with the porous sheet is not particularly limited as long as hydrogen gas is not generated during the reduction treatment, but it is usually preferably 20 to 100% by volume in terms of dry concentration. When the oxygen concentration is less than 20% by volume, hydrogen gas is generated from the porous body, and there is a risk that squealing gas is formed in the gas chamber, and cracks may occur on the entire surface of the porous body. The oxygen concentration is preferably 35 to 100% by volume, more preferably 60 to 100% by volume. When the reaction (2) is performed at the anode 15, it is preferable to supply all or part of the oxygen gas generated at the anode 15 to the
[0045]
The current density of the oxygen reduction reaction treatment is not particularly limited. Usually, in terms of current density with respect to the energization area of the porous sheet 16 to be treated, preferably 1 to 7 kA / m.2And particularly preferably 2 to 4 kA / m2It is. If the current density is too low, the production time becomes longer, which is not preferable. On the other hand, if it is too high, power consumption increases, or hydrogen is generated in some cases, which is not preferable.
[0046]
By performing the oxygen reduction reaction process, the oxygen gas reduction overvoltage of the porous sheet 16 is rapidly reduced (the IR correction potential is rapidly increased). Thus, the current density per electrolytic area of the porous sheet 16 is 3 kA / m.2The process ends when the overvoltage is 1.0 V or less (IR correction potential is 0.2 V vs RHE or more). Among them, the current density is preferably 3 kA / m.2When the overvoltage is 0.55 V or less (IR correction potential is 0.65 V vs. RHE or more), the current density is more preferably 3 kA / m.2If the process is continued until the overvoltage of 0.5 V or less (IR correction potential is 0.7 V vs RHE or more), the effect of the process can be further exhibited.
[0047]
When the gas diffusion electrode subjected to the oxygen reduction reaction treatment is used and disposed in an electrolytic cell having an ion exchange membrane between the anode and the cathode, the oxygen reduction reaction treatment makes contact with the aqueous alkali metal hydroxide solution toward the electrolyte chamber 17. It is preferable to make the finished surface face the anode surface of the electrolytic cell. For example, when a gas diffusion electrode is provided in an electrolytic cell having a structure partitioned into an anode chamber, a catholyte chamber, and a gas chamber by a cation exchange membrane and a cathode, water is directed toward the electrolyte chamber 17 in the oxygen reduction reaction step. The surface in contact with the alkali metal oxide aqueous solution is preferably directed to the catholyte chamber of the electrolytic cell.
[0048]
Further, for example, when a gas diffusion electrode is provided in the cathode chamber of an electrolytic cell partitioned into two chambers of an anode chamber and a cathode chamber by a cation exchange membrane, an alkali hydroxide is directed toward the electrolyte chamber 17 in the oxygen reduction reaction step. It is preferable that the surface in contact with the metal aqueous solution faces the anode toward the cation exchange membrane. Although it is possible to dispose the gas diffusion electrode in the reverse direction, the effect of the present invention is not sufficiently exhibited in this case. In addition, the effect of the present invention can be maximized if the oxygen reduction reaction treatment is arranged so that the portion in contact with the alkali metal hydroxide aqueous solution toward the electrolytic solution chamber 17 coincides with the electrolytic surface of the electrolytic cell.
[0049]
In the above oxygen reduction reaction treatment, when the reaction (2) is performed at the anode 14, a diaphragm for partitioning from the anode chamber is unnecessary, and the oxygen reduction reaction treatment tank 14 has a very simple structure. Further, since the reaction (1) and the reaction (2) of the anode 14 performed in the porous sheet 16 are in a reverse reaction relationship, there is substantially no change in the concentration of the electrolyte in the apparatus, and the theoretical decomposition voltage is 0V. This is one of the very preferred embodiments because it can be processed with extremely low power, and the oxygen gas generated at the anode can cover almost all of the consumed oxygen.
[0050]
Furthermore, in the case of performing electrolysis of an alkali metal chloride aqueous solution with a single rectifier by arranging four bipolar electrolytic cells composed of 25 pairs of an anode, a cation exchange membrane and the gas diffusion electrode in series, When the gas diffusion electrode is used as the cathode without oxygen reduction reaction treatment (electrolytic voltage at the start of use is 3.0 V / pair), while when the gas diffusion electrode subjected to the oxygen reduction reaction treatment is used as the cathode (use The effect when the oxygen gas reduction reaction treatment is performed will be described below, taking as an example the case where the starting electrolysis voltage is 2.0 V / pair.
[0051]
When the operation is started only in the electrolytic cell using the gas diffusion electrode manufactured without performing the oxygen reduction reaction treatment as a cathode, the output voltage of the rectifier is 300 V at the beginning of the operation, and an excessive capacity is required. As described above, various adverse effects occur.
[0052]
On the other hand, when the operation is started only in the electrolytic cell using the gas diffusion electrode subjected to the oxygen reduction reaction treatment as the cathode, the output voltage of the rectifier at the beginning of the operation is only 200V, and thereafter, the output voltage is 200 over a long period. The output voltage of the rectifier becomes ˜230 V, and electrolysis can be performed with an appropriate rectification facility.
[0053]
Further, for example, when the operation is started with three electrolytic cells in which the electrolytic cell is configured with gas diffusion electrodes that are not subjected to the oxygen reduction reaction treatment, the output voltage of the rectifier is less than 230V. Furthermore, the voltage usually drops within one month after operation. Therefore, if an electrolytic cell using a gas diffusion electrode subjected to an oxygen reduction reaction treatment is added to one tank series when the output voltage of the rectifier shows 180 V (2.4 V / pair), the output voltage of the rectifier is maintained at 230 V. It is possible to always operate with proper rectifier capability.
[0054]
In this way, by combining the number of gas diffusion electrodes that have not been subjected to oxygen reduction reaction treatment and the number of gas diffusion electrodes that have been subjected to oxygen reduction reaction treatment and the operation timing, it becomes possible to always operate the rectifier at the optimum load. The energy saving effect is maximized.
[0055]
Furthermore, in the oxygen reduction reaction treatment, an example will be described in which the anode 15 uses a method other than the reaction (2). When (3) is performed at the anode 15, the anode chamber and the cathode chamber are separated by an ion exchange membrane. The ion exchange membrane used at this time may be a cation exchange membrane, an anion exchange membrane or a bipolar membrane, and may be a fluorine type or a hydrocarbon type, and a commercially available membrane can be applied as it is.
[0056]
When the above (4) or (5) is performed at the anode 15, the oxygen reduction reaction tank 14 has substantially the same configuration as that of the oxygen-hydrogen type fuel cell, so that the conventional fuel cell may be applied as it is. . In this case, power generation is possible while manufacturing the oxygen gas diffusion electrode of the present invention, which is one of the preferred embodiments.
[0057]
Further, when the above (6) is performed at the anode 15, the oxygen reduction reaction tank 14 has substantially the same structure as that of the alkali metal chloride aqueous solution electrolysis, and therefore has the same structure as the conventional electrolytic cell for the alkali metal chloride aqueous solution. Good. In this case, the oxygen reduction reaction treatment may be performed until the voltage drops to a voltage that can be operated with the rectifier capability of the alkali metal chloride aqueous solution electrolysis facility, and the chlorine gas generated from the anode 15 becomes a product, which is one of the preferred embodiments. It is.
[0058]
Further, when the oxygen reduction reaction treatment is carried out by performing the reaction (6) at the anode 14, the oxygen reduction reaction tank 14 is dismantled and moved to the electrolytic equipment at the same time as the treatment is completed. It can be subjected to alkaline aqueous electrolysis.
It is obvious to those skilled in the art that the gas diffusion electrode provided by the present invention can be suitably used as an electrode for a fuel cell.
[0059]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically by way of examples. However, the present invention is not limited to these examples. The following examplesReference examples and comparative examples“%” Means “% by weight” unless otherwise specified.
[0060]
referenceExample 1
Hydrophobic carbon black 50g (AB6, average particle size 500 angstrom, manufactured by Denki Kagaku Kogyo Co., Ltd.) is dispersed in 500 ml of water containing 4% of a surfactant (20% TRITON X-100) and dispersed twice by a jet mill. The average particle size of carbon black was 0.6 μm or less. A PTFE dispersion was added to this so that PTFE was 40%, and ethyl alcohol was added to the mixed dispersion to cause aggregation. Subsequently, it filtered and dried and obtained gas diffusion electrode raw material powder. Solvent naphtha was added to this powder to form a bowl, roll-formed into a 0.5 mm thick sheet, the surfactant removed and dried to obtain a gas diffusion electrode sheet.
[0061]
Gas diffusion electrode sheet, 50 mesh, 0.19 mm thick silver mesh, 380 ° C., 50 kg / cm2A molded product sheet was produced by hot pressing for 60 seconds at a pressure of 2 to obtain a gas diffusion electrode.
[0062]
The gas diffusion electrode was attached to the small test electrolytic cell 1 shown in FIG. 1, and an ion exchange membrane salt electrolysis test was performed. The small test tank 1 was configured using an
[0063]
The electrolytic surfaces of the
[0064]
The electrolysis voltage immediately after the start of the electrolysis test was 2.8 V, and the overvoltage of the gas diffusion electrode was 1.0 V (IR correction potential was 0.2 V vs. RHE). Over time of electrolysis (oxygen reduction reaction of the gas diffusion electrode), the overvoltage of the gas diffusion electrode rapidly decreased and the electrolysis voltage rapidly decreased. The
[0065]
When the gas diffusion electrode was installed in the same electrolytic cell as above and the electrolysis test was restarted under the same conditions as above, the electrolysis voltage was 2.2 to 2.3 V for 700 days (including 20 days when the test was performed). The low voltage was maintained over the period. During this time, the overvoltage of the gas diffusion electrode was 0.4 to 0.5 V (IR correction potential was 0.7 to 0.8 V vs RHE). Figure 1 shows the change in the electrolysis voltage during this period, with the first electrolysis test start date as
The electrode was removed from the test electrolytic cell after the electrolytic test was completed, but the surface did not change at all.
[0066]
Further, FIG. 3 shows the results of measuring the X-ray analysis pattern of the hydrophobic carbon black contained in the used gas diffusion electrode with an X-rotating counter-cathode X-ray diffractometer (manufactured by Rigaku Corporation). Hydrophobic carbon black showed a broad peak centered at 25.5 degrees.
[0067]
Example1
referenceOf the gas diffusion electrode produced in Example 1PorousThe body sheet was subjected to an oxygen reduction reaction treatment. The oxygen reduction reaction process is performed in the oxygen reduction tank 14 shown in FIG.PorousThe body sheet 16 was mounted, and 32 wt% aqueous sodium hydroxide solution was circulated and supplied to the electrolyte chamber 17 and adjusted to 88 ° C. with an internal heater (not shown). The gas chamber 17 was supplied with a gas purified by the PSA method (oxygen purity: 93% by volume) in an amount equivalent to the theoretical oxygen consumption, and in addition, the oxygen gas generated at the anode 15 was supplied in its entirety. In addition, both the site | part which contacts this sodium hydroxide aqueous solution and the site | part which contact | connects this oxygen gas containing gas were the rectangles of 56 mm x 60 mm, and were made to face almost completely. The current density is 10.1 A (3 kA / m2), The oxygen reduction reaction treatment of the molded body sheet 16 was performed.
[0068]
The oxygen reduction overvoltage of the molded sheet immediately after the start of the treatment showed 1.1 V, but the overvoltage suddenly decreased when the treatment was continued. The process was terminated when the overvoltage showed 0.5 V (IR correction potential was 0.65 V vs. RHE). There was no change on the surface of the gas diffusion electrode.
[0069]
The obtained gas diffusion electrode was subjected to an electrolytic test in the same manner as in Example 1. At this time, the surface of the gas diffusion electrode facing the electrolyte chamber 17 of the oxygen reduction tank 14 is directed toward the catholyte chamber 7 side of the electrolytic tank 1, and the portion in contact with sodium hydroxide in the oxygen reduction reaction treatment is the electrolytic surface. Attached to be. The electrolysis voltage maintained a low voltage of 2.2 to 2.3 V for 700 days immediately after electrolysis. Fig. 1 shows the change over time of the electrolysis voltage. It is indicated by 2 ●.
The electrode was removed from the electrolytic cell after the electrolysis test was completed, but the surface did not change at all.
[0070]
Example2
A gas diffusion electrode was produced in the same manner as in Example 2 except that hydrophobic carbon black having a high graphitization degree (trade name UFG-10, manufactured by Showa Denko KK) was used. In this case, even if the oxygen reduction reaction treatment was continued for one month, the overvoltage showed 0.9 V (IR correction potential was 0.3 V vs RHE), so the oxygen reduction reaction treatment was terminated at this point.
The treated gas diffusion electrode was subjected to an electrolysis test for 1 month in the same manner as in Example 1. The electrolysis voltage was 2.6 to 2.7 V from the beginning of electrolysis.
The electrode was removed from the test electrolytic cell after the electrolytic test was completed, but the surface did not change at all. Example1Compared to the gas diffusion electrode manufactured in Example 1, the performance was slightly poor.
[0071]
Examples2Example of hydrophobic carbon black used in1FIG. 5 shows the results of measuring the X-ray analysis pattern using the X-rotating cathode type X-ray diffractometer in the same manner as described above. Hydrophobic carbon black showed sharp peaks around 25.9 degrees and 26.6 degrees, confirming that the degree of graphitization was high. From this result, it was found that it is preferable to use hydrophobic carbon black having a low graphitization degree.
[0072]
Comparative Example 1
Example except that oxygen gas having a concentration of 5% obtained by adding dry nitrogen to oxygen gas obtained by PSA was supplied to the gas chamber 17 and hydrogen was generated in the molded body sheet for 30 minutes.1A sheet was obtained in the same manner as above. When this sheet was removed from the apparatus, a large number of cracks occurred on the surface, and the cracks partially penetrated, so that a gas diffusion electrode could not be manufactured.
[0073]
Comparative example2
referenceA gas diffusion electrode sheet was produced in the same manner as in Example 1. From 5 parts of hydrophilic carbon black (AB-12, manufactured by Denki Kagaku Kogyo Co., Ltd.), 20 parts by weight of silver catalyst supported by weight ratio, 2 parts of hydrophobic carbon black (AB-6, manufactured by Denki Kagaku Kogyo Co., Ltd.), 3 parts PTFE A slurry of 10 g of the reaction layer raw material powder to which 10 ml of a surfactant (20% TRITON X-100) and 5 ml of turpentine oil were added and coated on one side of the sheet for gas diffusion electrode. On the other hand, a silver net having a thickness of 0.19 mm is provided on the opposite side of the sheet, the surfactant is removed by an extraction device, and after drying, a temperature of 350 ° C., 50 kgf / cm.2Hot press under the conditions of 60 seconds,
A gas diffusion electrode was manufactured.
[0074]
This gas diffusion electrodereferenceThe electrolytic test was carried out in the same manner as in Example 1. Immediately after the electrolysis test, the electrolysis voltage was less than 2.2 V, but then the electrolysis voltage gradually increased and after 300 days,Reference example1 andExample 1Exceeded the electrolysis voltage. When the electrolysis test was further continued, the electrolyte solution leaked into the gas chamber from about the 400th day and was forced to stop on the 440th day. The change with time in the electrolysis voltage is indicated by Δ in FIG.
[0075]
After the electrolysis test, the gas diffusion electrode was removed from the electrolytic cell, but the entire surface on the gas chamber side was painted with an aqueous alkali metal hydroxide solution, and it was found that the gas permeability of the electrode was significantly inhibited.
[0076]
【The invention's effect】
The gas diffusion electrode provided by the present invention requires significantly fewer steps and management items for production than conventional gas diffusion electrodes, and does not require an expensive catalyst for promoting oxygen reduction reaction. Easy to manufacture. Moreover, when the gas diffusion electrode of the present invention is used for electrolysis of an aqueous alkali metal chloride solution, for example, it can be implemented at a low electrolysis voltage for a long period of time.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows a schematic cross-sectional view of a test electrolytic cell used in an example of the present invention.
FIG. 2 shows voltage transitions of electrolysis tests in examples and comparative examples.
3 shows an X-ray diffraction pattern of hydrophobic carbon black used in Example 1. FIG.
FIG. 4 is a schematic cross-sectional view of an example redox tank used in the oxygen reduction reaction treatment of the present invention.
5 shows an X-ray diffraction pattern of hydrophobic carbon black used in Example 3. FIG.
[Explanation of symbols]
1 Electrolysis tank
2 Anode
3 Anode chamber
4 Salt water inlet
5 Chlorine gas outlet
6 Ion exchange membrane
7 Catholyte compartment
8 Sodium hydroxide aqueous solution outlet
9 Sodium hydroxide aqueous solution inlet
10 Gas diffusion electrode
11 Gas chamber
12 Oxygen inlet
13 Oxygen outlet
14 Pretreatment tank
15 Anode
16 Gas diffusion electrode
17 Electrolyte chamber
18 Sodium hydroxide inlet
19 Sodium hydroxide outlet
20 Gas chamber
21 Gas inlet
22 Gas outlet
23 Oxygen gas outlet
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