以下、図1〜図4に示すパチンコ機に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施例のパチンコ機1を示す斜視図であり、図2は、同パチンコ機1の側面図である。なお、パチンコ機1は、カード式球貸し機2に電気的に接続された状態で、パチンコホールの島構造体の長さ方向に複数個が配設されている。
図示のパチンコ機1は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠3と、外枠3に固着されたヒンジHを介して開閉可能に枢着される前枠4とで構成されている。この前枠4には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上受皿8が装着され、前枠4の下部には、上受皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下受皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータ(発射装置)と連動しており、発射ハンドルの回動角度に応じて動作する打撃槌11(図4参照)によって遊技球が発射される。
上受皿8の右部には、カード式球貸し機2に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、この操作パネル12には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部12aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ12bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ12cとが設けられている。
ガラス扉6の上部には、大当り状態を示す大当りLEDランプP1が配置されている。また、この大当りLEDランプP1に近接して、補給切れ状態や下受皿の満杯状態を示す異常報知LEDランプP2,P3が設けられている。
図3に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイ14が配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、開閉式大入賞口16、複数個の普通入賞口17(最上段以外にも大入賞口16の左右に6つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に入賞感知スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイ14は、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイ14は、左右方向に並ぶ3個の図柄表示部Da〜Dcを有し、図柄始動口15に遊技球が入賞すると、各図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動させる。そして、図柄始動口15への遊技球の入賞時に特定される抽選用乱数値によって抽選決定された停止図柄パターンで停止するようになっている。
この実施例の場合、液晶ディスプレイ14の回りには、大当り状態の予告演出などに活用される多数個のLEDランプP4が連設して配置されている。このLEDランプP4は、液晶ディスプレイをU字状に取り囲むように配置されており、単なる点滅動作だけでなく、U字状の下部基点から開放上部に向けて発光量を増減させて、その後のゲーム進行を遊技者に暗示している。
液晶ディスプレイ14の直ぐ上側には、普通図柄表示部19が設けられている。普通図柄表示部19は1個の普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点に特定された抽選用乱数値により抽選決定された停止図柄を表示して停止するようになっている。
普通図柄表示部19に近接して、図柄始動口15や普通入賞口17への入賞球の保留数を示す保留表示LEDランプP5が設けられている。また、遊技領域5aの左右位置にもサイドLEDランプP6が設けられ、遊技部品である風車にも風車LEDランプP7が内蔵されている。
図柄始動口15は、左右1対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ開放されるようになっている。開閉式大入賞口16は、前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、液晶ディスプレイ14の変動後の停止図柄が「777」などの当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。開閉式大入賞口16の内部に特定領域16bがあり、この特定領域16bを入賞球が通過すると、遊技者に有利な特別遊技が継続される。
開閉式入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このとき、遊技球が特定領域16bを通過していない場合には特別遊技が終了するが、特定領域16bを通過していれば、最大で例えば16回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、開閉板16aの左右位置には派手に点滅する電飾ランプが取付けられている。
図4に示すように、前枠4の裏側には、遊技盤5を裏側から押さえる裏機構板20が着脱自在に装着されている。この裏機構板20には開口部20aが形成され、その上側に賞球タンク21と、これから延びるタンクレール22とが設けられている。裏機構板20の側部には、タンクレール22に接続された払出装置23が設けられ、裏機構板20の下側には払出装置23に接続された通路ユニット24が設けられている。払出装置23から払出された遊技球は、通路ユニット24を経由して上受皿排出口8a(図1)から上受皿8に払出されることになる。
裏機構板20の開口部20aには、遊技盤5の裏側に装着された裏カバー25と、入賞口15〜17に入賞した遊技球を排出する入賞球排出樋(不図示)とが嵌合されている。この裏カバー25に装着されたケースCA1の内部に主制御基板27が配設され、その前側に図柄制御基板28が配設されている(図2参照)。主制御基板27の下側で、裏カバー25に装着されたケースCA2の内部にランプ制御基板29が設けられ、隣接するケースCA3の内部に音声制御基板30が設けられている。
これらケースCA2,CA3の下側で、裏機構板20に装着されたケースCA4の内部には、電源基板26と払出制御基板31が設けられている。この電源基板26には、電源スイッチ33と初期化スイッチ34とが配置されている。これら両スイッチ33,34に対応する部位は切欠かれ、両スイッチを指で同時に操作可能になっている。
発射ハンドル10の後側に装着されたケースCA5の内部には、発射制御基板32が設けられている。そして、これらの回路基板26〜32は夫々独立して構成され、電源基板26と発射制御基板32を除く制御基板27〜31には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路が搭載されている。また、主制御基板27と他の制御基板28〜31とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続され、制御コマンドが一方向に伝送されるようになっている。
図5は、本パチンコ機1の電気的構成を図示したブロック図である。図示の通り、実施例に係るパチンコ機1は、入賞感知スイッチなどの遊技盤情報に基づいて遊技動作を統括的に制御する主制御基板27と、主制御基板27からの制御コマンドに基づいて個々的に動作するサブ制御基板28〜31と、各部に電源電圧を供給する電源基板26とを中心に構成されている。サブ制御基板は、具体的には、液晶ディスプレイ14を駆動する図柄制御基板28と、遊技盤各部に配置されたランプ類を駆動するランプ制御基板29と、遊技動作に進行に合わせてスピーカから音声を発生させる音声制御基板30と、払出モータ54や発射制御基板32の動作を制御する払出制御基板31とで構成される。
図6は、遊技動作を統括する主制御基板27の回路構成を示すブロック図である。図示の通り、主制御基板27は、ワンチップマイコンからなるCPU回路27aと、CPU動作クロックCLKの整数倍の周波数であるクロック信号Φ0を発生するシステムクロック発生部27bと、CPUからのアドレス信号に基づき各部のチップセレクト信号を生成するデコード回路27cと、CPUからのデータを出力するための出力ポート回路27dと、外部データをCPUが取り込むための入力ポート回路27eと、各制御基板に制御コマンドを出力する出力駆動回路27fと、補給切れスイッチや下受皿スイッチを含む各種スイッチ類のON/OFF状態を入力するスイッチ入力回路27gとを中心に構成されている。
図7は、図4と同様に遊技機背面側から見た図であり、遊技球の貯留とその払出機構の概略を示す図である。なお、電源基板26と払出制御基板31の大きさや具体的構造がやや図4とは異なるが実質的には同一である。図7に示すように、遊技機背面側上部には、ボックス状の賞球タンク21が設けられ、その内部には多数の遊技球が貯留可能とされている。賞球タンク21からは、図7において右側へ行くに従って下方へ緩やかに傾斜してタンクレール22が設けられている。そして、タンクレール22の右側端部には、図8に示すような払出カセット(払出装置)23が連結されている。また、この払出カセット23の遊技球の導入路には、補給切れ検出スイッチ56,56が設けられている。
従って、賞球タンク21及びタンクレール22を通過した遊技球Bは、補給切れ検出スイッチ56,56に監視されつつ図8に示す払出カセット23に導かれる。なお、タンクレール22の上流側下部には、球切れスイッチ22Aが設けられ、賞球タンク21の遊技球がなくなると、球切れスイッチ22AがON状態になるよう構成されている。このスイッチ信号は補給装置(不図示)に伝送されるので、賞球タンク21には遊技球が適宜補給されることになる。
図9は、図8に示す払出カセット23上部を概略的に図示したものであり、(a)は正面図、(b)及び(c)は側面側から見た断面図である。払出カセット23には、左右に平行に2条の上下連通路51,51が、上下方向に沿って配置されている。よって、タンクレール22からの遊技球は、2列に分かれて上下連通路51を下方に進むことになる。
上下連通路51の入口部には、遊技球の供給切れや球詰りを検知する左右一対の補給切れ検出スイッチ56,56が設けられている。この補給切れ検出スイッチ56は、後述する払出回転体52の入口(払出モータ54の入口部)と離間して配置されているが、その離間距離(遊技球の流通距離)は、払出モータ54による遊技球の時間当りの払出量に基づき、補給切れ検出スイッチ56を通過した遊技球が2秒以上経過してから払出モータ54によって排出されるように設定されている。
補給切れ検出スイッチ56は、具体的には、連通路51内に一部を差し込み可能とされた板状検出片58を備えており、板状検出片58は、その上端部58aを払出ユニット本体に軸支されている。この板状検出片58は、軸支部58aを中心に所定範囲を揺動可能とされ、上下連通路51に遊技球がない状態では同図(c)に示すように、板状検出片58が上下連通路51内に差し込まれる方向に付勢されるが、遊技球がある場合には同図(b)に示すように、遊技球自体が板状検出片58を通路51外側に押し戻しながら通過可能とされている。
板状検出片58のこれら移動は、通路51外側に配置されたリミットスイッチ59にて検出される。つまり、リミットスイッチ59の検出レバー59aが、板状検出片58の移動によって押し込まれ、或いはその押し込みが解除されることで、払出用遊技球の有無が検出可能とされる。上下連通路51には、多数の遊技球が密に整列されて下方へ順次進むので、遊技球がある状態では通常、常に板状検出片58が通路51外側に押し戻されており、遊技球がない状態では通常、常に板状検出片58が通路51内に差し込まれている。但し、リミットスイッチに限定される必要はなく、近接スイッチ、光電スイッチ等の非接触型の検出スイッチを用いても良い。
リミットスイッチ59を用いる本実施例の場合、払出カセット23内の遊技球がなくなったり、遊技球の詰まったことで遊技球の補給が停止すると、左補給切れ検出レバー・右補給切れ検出レバー59a,59aが上がり、左補給切れ検出スイッチ及び右補給切れ検出スイッチ56,56がOFF状態となる。この補給切れ検出スイッチ56,56のOFF状態は、球切れ信号として主制御基板27に伝えられ、主制御基板27は、後述する所定条件の成立時に、払出制御基板31に向けて「払出モータ停止」の制御コマンドを出力する。なお、ランプ制御基板29に向けては「ランプP2点灯」の制御コマンドを直ちに出力する。但し、「ランプP2点灯」の制御コマンドは、「払出モータ停止」の制御コマンドと略同時に出力しても良い。この場合には、実際に払出しを停止した際にその原因を外部に報知することになる。
一方、「払出モータ停止」の制御コマンドを受けた払出制御基板31では、払出モータ54の動作を停止させて払出モータの空回り運転を防止している。また、ランプ制御基板29では、異常報知LEDランプP2を点灯させて補給切れ状態を外部に報知している。なお、音声制御基板30や図柄制御基板28では、主制御基板27からの制御コマンドに基づいて「遊技球の補給切れを報知するメッセージ(遊技ホールの係員の呼び出しを促すメッセージ)」の発声や表示を行っても良い。
先に説明したように、球切れスイッチ22AのON動作によって賞球タンク21の遊技球が補給されている。従って、補給切れ検出スイッチ56がOFF状態になるのは、払出カセット23の上流側で遊技球が詰まっている場合もあり、そのような球詰まり状態は自然に解消される場合も多い。また、検出スイッチ56のOFF状態を所定時間放置しても、補給切れ検出スイッチ56から払出モータ54までの間には遊技球が残っており、払出モータ54の空回り運転のおそれはない。そこで、補給切れ検出スイッチ56,56のOFF状態を認識した主制御基板27は、所定時間だけ(実施例は2秒)待機することとし、待機時間中連続して補給切れ検出スイッチ56,56のOFF状態が維持されることを条件に、払出制御基板31に「払出モータ停止」の制御コマンドを出力している。
但し、遊技ホールの営業時間中に、メンテナンス等によって電源が遮断され、その後で電源が再投入されたような場合には、メンテナンス時に遊技球が排出され切っている可能性もある。そして、電源再投入直後には、球切れスイッチ22AのON動作による遊技球の補給が間に合わない可能性もある。そこで、電源再投入時には、補給切れ検出スイッチ56,56のOFF状態を認識した主制御基板27は、直ちに払出制御基板31に向けて「払出モータ停止」の制御コマンドを出力するようにしている。かかる動作を実現する制御方法については後述するが、上記の動作によって払出モータ54の回転が禁止されるのでモータの空回り運転が未然に防止される。
さて、払出カセット23の上下連通路51下部には、図10に示すような払出回転体52が設けられている。払出回転体52は、略円柱形状とされ、その外周面には、遊技球を一つずつ受け入れ可能な大きさの凹溝53,53…が複数個、周方向に所定間隔で設けられている。本実施例の払出回転体52では、凹溝53が左右二列状に配置され、それぞれ6個の凹溝53が周方向に60度間隔で配置されている。しかも、左右の列同士では、互いに30度だけ周方向にずれて互い違いに配置されている。そして、この払出回転体52は、払出モータ54の出力軸に連結されて回転可能とされる。
このような構成であるから、前記上下連通路51からの遊技球は、払出回転体52の左右の各凹溝53に順にはまり込んで下方へ排出される。従って、払出モータ54により払出回転体52が30度回転するごとに、左右交互に、左右いずれか一方の凹溝53から遊技球が排出される。払出回転体52から下方へ排出された遊技球は、切換え羽根CHGに誘導されて、図10の場合には左右の賞球計数スイッチ55A,55AをON動作させて下方へ導出される。一方、切換え羽根CHGが、図示の姿勢から直立状態に切り換わると、遊技球は、左右の球貸しスイッチ55B,55BをON動作させて下方へ導出される。なお、賞球計数スイッチ55AをON動作させた遊技球は賞球として計数され、球貸しスイッチ55BをON動作させた遊技球は貸出し球として計数される。
このようにして遊技機1の背面側を下りてきた遊技球は、賞球検出スイッチ55下部の通路ユニット24を介して(図4)、遊技機1の正面側に向けて進んだ後、上受皿排出口8aから上受皿8に排出される(図1)。上受皿8に遊技球が溜まった場合には、自動ないし手動で、下受皿排出口9a(図1)から下受皿9に導出される。ここで、下受皿排出口9aの最奥部には、遊技球が下受皿9を満杯にしたか否かを検知する下受皿スイッチ57が設けられている(図4、図7)。
下受皿スイッチ57は、払出回転体52の出口(払出モータ54の出口部)と離間して配置されているが、その離間距離(遊技球の流通距離)は、払出モータ54による遊技球の時間当りの払出量に基づき、下受皿スイッチ57の位置から上流側に向けて遊技球が蓄積され続けた場合にも、2秒以上経過してから払出回転体52の出口に到達するように設定されている。
図11に示すように、下受皿スイッチ57は、上端部60aを軸支された検出片60と、その検出片60にて操作される検出レバー61a付きリミットスイッチ61とを備えている。そして、下受皿9が遊技球にて満杯になると、図11(b)に示すように、下受皿9に入り切らない遊技球が遊技球誘導通路に溜まるため、検出片60ひいては検出レバー61aを押し込むことになり、下受皿スイッチ57はOFF状態となる。つまり、下受皿9が満杯でない場合には、下受皿スイッチ57はON状態に維持されるが、下受皿9が満杯になった場合には、下受皿スイッチ57はOFF状態とされる。
下受皿満杯スイッチ57のOFF信号は、満杯エラー信号として主制御基板27に伝送される。そして、満杯エラー信号を受けた主制御基板27は、直ちにランプ制御基板29に「ランプP3点灯」の制御コマンドを送ると共に、所定条件成立時に払出制御基板31へ「払出モータ停止」の制御コマンドを送る。制御コマンドを受けたランプ制御基板29は満杯異常ランプP3を点灯させ、一方、払出制御基板31では、払出モータ54を停止させることになる。なお、「ランプP3点灯」の制御コマンドは、「払出モータ停止」の制御コマンドと略同時に出力しても良い。この場合には、実際に払出しを停止した際にその原因を外部に報知することとする。
この実施例では、満杯エラー信号を受けた主制御基板27は、直ちにランプ制御基板29に「ランプP3点灯」の制御コマンドを送るが、これは、遊技客に対して、下受皿9から遊技球を取り出すことを促すためであり、また、払出モータ54を動作させ続けると、やがて払出回転体52の出口に遊技球が詰まってしまい、回転できないモータを無理に回転させようとすることでモータを破損させるおそれがあるからである。
但し、下受皿スイッチ57と払出ユニット23との間には、距離的な余裕があるので、下受皿スイッチ57のOFF状態を認識した主制御基板27は、所定時間(実施例では2秒)待機することとし、連続して下受皿スイッチ57のOFF状態が維持されることを条件に、払出制御基板31に「払出モータ停止」の制御コマンドを出力している。なお、2秒待機することにより、満杯異常ランプP3の点灯を見た遊技者が、遊技球を下受皿から他のケースに移し変えることも期待できる。なお、ランプ制御基板29に向けた制御コマンドの送出時に、音声制御基板30に向けて「遊技球の移し変えを促すメッセージ」の発声を指示する制御コマンドを送出しても良い。また、図柄制御基板に向けて「遊技球の移し変えを促すメッセージ」の表示を指示する制御コマンドを送出しても良い。
もっとも、遊技ホールの営業時間中に、メンテナンス等によって電源が遮断され、その後電源が再投入されたような場合には、メンテナンス時に払出モータ54をテスト運転して、相当量の遊技球が既に詰まっている可能性もある。そこで、電源再投入時には、下受皿スイッチ57のOFF状態を認識した主制御基板27は、直ちに払出制御基板31に向けて「払出モータ停止」の制御コマンドを出力するようにしている。この制御によって、払出モータ54が直ちに停止されるのでモータの破損が未然に防止される。
図12及び図13は、主制御基板27の制御プログラムを示すフローチャートである。主制御基板27の制御プログラムは、電源投入後に実行され通常は無限ループ処理(ST10,ST11)で終わる初期処理プログラム(図12)と、所定時間(実施例では4ms)毎に起動されるタイマ割込み処理(Maskable Interrupt禁止可能割込み)プログラム(図13)と、電源電圧が所定値を下回るとNMI(Non Maskable interrupt)信号によって駆動されてCPUのレジスタ値をバックアップするNMI処理プログラム(不図示)とで構成されている。
以下、図13を参照しつつタイマ割込み処理から説明する。4m秒間隔でタイマ割込みが生じると、CPUを割込み禁止状態に設定した後(ST21)、各レジスタの内容はスタック領域に退避される(ST22)。次に、大当り用カウンタや当り用カウンタの更新処理である乱数作成処理が行われる(ST23)。
大当り用カウンタは、液晶ディスプレイ14の変動動作後の停止図柄を決定するカウンタであり、当り用カウンタは、普通図柄表示部の停止図柄を決定するカウンタである。これらが4ms毎に更新されることで、遊技球の入賞時やゲート通過時における抽選用乱数列として活用される。但し、大当り用カウンタは、所定の数値範囲を一巡する毎に、ステップST10の処理で更新されている初期値に変更され、これによって生成させる数値列を不規則なものとしている。
次に、スイッチ入力管理処理が行われる(ST24)。スイッチ入力管理処理とは、遊技球の入賞に係わる入賞感知スイッチや、補給切れ検出スイッチ56や下受皿スイッチ57などのエラースイッチの入力処理である。次に、エラー管理処理に移行し(ST25)、エラースイッチのON/OFF状態に対応した処理が行われる。図13(b)は、エラー管理処理の一部を具体的に図示したものであり、最初に下受皿スイッチ57がON状態(正常)か否かを判定し(ST50)、正常であれば、タイマ変数TMR1を16進数01F5に初期設定するが(ST51)、OFF状態(異常)であれば、初期設定することなくタイマ変数TMR1をデクリメントしている(ST52)。
これは、下受皿スイッチ57が連続してOFF状態を維持するか否かを判定するための計時処理である。すなわち、下受皿スイッチ57が正常状態に戻ればタイマ変数TMR1が01F5Hに初期設定されるが、異常状態が続くとタイマ変数TMR1はデクリメントされてやがてゼロとなる。なお、割込み周期が4msであるから、異常状態が約2秒持続するとタイマ変数TMR1がゼロとなる。
補給切れ検出スイッチ56も同様であり、補給切れ検出スイッチ56がON状態(正常)か否かを判定し(ST53)、正常であれば、タイマ変数TMR2を16進数01F5に初期設定するが(ST54)、OFF状態(異常)であれば、初期設定することなくタイマ変数TMR2をデクリメントしている(ST55)。
続いて、大入賞口の開放などに関する処理を行い(ST26)、次に当り状態(電動チューリップの開放)か否かに関する普通図柄処理を行う(ST27)。また大当り状態か否かに関する処理を行っている(ST28)。その後、電動チューリップや大入賞口の開閉タイミングに関係するタイマ管理処理や、主制御基板から各制御基板に伝送されるコマンド作成処理が行われる(ST29)。
図13(c)は、ステップST29の処理のうち、補給切れ検出スイッチ56と下受皿スイッチ57に関する部分だけを抽出したものである。ステップST52やST55の処理によってデクリメントされたタイマ変数TMR1,TMR2の値が判定され(ST60)、何れかのタイマ変数がゼロであると、「払出モータ停止」の制御コマンドが作成される(ST61)。先に説明したように、連続して01F5H回のエラースイッチのOFF状態(異常)によってタイマ変数はゼロとなるが、2秒待機しても異常状態が回復されないので、払出モータを停止させるための制御コマンドを作成するのである。
続いて、情報出力やエラー表示コマンドの作成処理が行われた後(ST30)、「払出モータ停止」の制御コマンドも含めて、ステップST27やST28などの処理で生成されているコマンドが各制御基板に出力される(ST31)。例えば、「払出モータ停止」は払出制御基板31に伝送され、制御コマンドを解釈実行する払出制御基板31の制御に従い払出モータ54の動作が停止される。ステップST31の処理が終われば、各レジスタの値が復帰されると共に割込み許可状態に変更されて、割込み処理ルーチンからメインルーチンに戻る(ST32〜33)。
ところで、この遊技機では、動作中に電源電圧が所定値を下回ると、主制御基板と払出制御基板のCPUにNMI(Non Maskable interruptマスク不能の割込み)がかかるように構成されている。そして、NMIの割込みがかかると、CPUの全てのレジスタがRAMエリアに保存されと共に、このRAMを含むRAMの作業領域はバックアップ電源によって電圧が維持されるようになっている。一方、電源復旧後には、保存されているレジスタの値がゲーム中断前の状態に復元され、中断されたゲームが正常に再開される。以下、この点も踏まえて、電源投入後の主制御基板27の動作内容を図12のフローチャートに基づいて説明する。
電源が投入されると、CPUが割込み禁止状態に設定された後、CPUのレジスタの初期設定がされ、CPUが割込みモード2に設定されるなど内蔵レジスタの設定が行われる(ST1〜4)。その後、RAMクリア信号とバックアップフラグとがチェックされる(ST5,ST6)。RAMクリア信号は、初期化スイッチ34に対応したものであり、営業開始時のように、パチンコ機1の前枠4を前方に開いた状態で初期化スイッチ34を押圧操作しながら電源スイッチ33をオン側に切り替えると、RAMクリア信号がON状態になっている。
RAMクリア信号がON状態であれば(ST5:YES)、RAMに記憶保持されている遊技情報の全てが消去処理された後、CPUは、第1図柄表示手段14に表示する初期図柄を設定したり、この遊技制御の実行中に周期的に割込み処理を実行させる割込み周期を設定する等の初期処理を行った後、EI命令を実行して自らを割込み許可状態にする(ST9)。
その後は、無限ループ状に繰り返される初期値乱数作成処理と外れ図柄用の乱数処理とが行われる(ST10〜11)。なお、初期値乱数作成処理は、大当り用カウンタの初期値を順次更新する処理であり、外れ図柄用の乱数処理は、割込み処理おいて特別図柄の抽選に外れた場合に液晶ディスプレイ14に描かれる外れ図柄パターンを規定するものである。
以下、説明をステップST5の処理に戻すと、停電状態からの復旧時のように、初期化スイッチ34がOFF状態であった場合には、ステップST5の判定に続いて、バックアップフラグBFLの内容が判定される(ST6)。バックアップフラグBFLとは、NMI処理において退避されていたバックアップデータが、元の状態に復帰されているか否かを示すデータであり、この実施例では、不図示のNMI割込み処理においてバックアップフラグBFLが5AHとされ、図12のステップST16の処理においてゼロクリアされるようになっている。
今、停電状態などからの復旧時であれば、図12のステップST6の判定において、バックアップフラグBFLの内容が5AHとなる。そこで、次にCPUは、RAMのSP記憶エリアから読み出した16ビットデータをCPUのスタックポインタSPに書き込む(ST12)。次に、停電時のNMI処理においてバックアップされていたRAMエリアのデータを読み出して、バックアップ復帰コマンドを作成・伝送する(ST13)。なお、これには、払出制御基板、図柄制御基板及びランプ制御基板の各基板の通電復帰時コマンド作成・伝送処理が含まれる。
ここで払出制御基板用のバックアップ復帰コマンド作成・伝送処理は、エラー信号を再チェックして、遊技者の現状に合わせた制御コマンドを払出制御基板に出力するための準備動作を意味する。例えば、停電前に上受皿8が満杯であるエラー状態であった場合、バックアップデータによってエラー状態が保存されているが、停電によって遊技者が遊技球を回収する可能性も高いので、改めてエラー信号の現状を確認しているのである。
但し、補給切れ検出スイッチ56と下受皿スイッチ57については、電源復旧までの状態に係わらず、ステップST13におけるスイッチ入力の基づいて独特の処理を行っている。図12(b)は、その処理内容を例示したものであり、補下受皿スイッチ57がOFF状態であって下皿満杯状態であればタイマ変数TMR1を1に設定し(ST41)、また、給切れ検出スイッチ56がOFF状態であって補給玉切れ状態であればタイマ変数TMR2を1に設定している(ST43)。
このタイマ変数TMR1,TMR2は、停電前アドレスに復帰した後のタイマ割込みにおいてデクリメント処理されるので(ST52,ST55)、タイマ変数の値はゼロとなり、直ちに「払出モータ停止」の制御コマンドが生成され払出制御基板に伝送される(ST61,ST31)。従って、電源復旧後は、2秒間待機することなく払出モータの運転が停止され、モータの空回りや無理なモータ駆動が未然に防止される。
これらの停電復帰時コマンド作成・伝送処理が終われば、CPUはPOP命令を実行して、スタックエリアからAFレジスタを除く各レジスタ(BC,DE,HL)の値を復帰させる(ST15)。この処理によって、停電時からの復帰処理は一応完了するので、そのことを示すべくバックアップフラグBFLをゼロクリアする(ST16)。最後に、停電前が割込み禁止状態であったか否かをチェックして、割込み禁止状態のままで処理を終えるか、或いは割込み許可状態に戻して処理を終える(ST17)。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、上記実施例では、上受皿8と下受皿9とを連通する遊技球誘導通路に、下受皿満杯検出スイッチ57を設けた例について説明したが、このスイッチは下受皿に設けてもよい。
また、タイマ変数TMR1,TMR2を1に初期設定する処理をステップST12以降に設けたが、営業開始時の電源投入であるか、メンテナンスや停電時からの復旧時かに係わらず、常にステップST40〜43の例外処理を行うようにしても良く、例えば、ステップST4とステップST5の間に、ステップST40〜43の処理を設けても良い。
上記実施例の説明では、払出装置23の払出動作を直接的に禁止したが、例えば、発射制御基板32によって制御される発射モータの動作を禁止すれば、その後は賞球が発生しなくなるので、間接的に、払出装置23の払出動作を禁止できることになる。なお、払出装置23の払出動作を直接的に禁止する場合でも、必ずしも、主制御基板27において該当する制御コマンドの送出を待機する必要はない。例えば、補給切れや下受皿満杯を検出すると主制御基板27は直ちに該当する制御コマンドを送出するが、払出制御基板31側でその制御コマンドの実行を待機すれば良い。
また、補給切れ検出スイッチ56や下受皿満杯スイッチ57からの信号を必ずしも主制御基板27で受ける必要はなく、例えば、払出制御基板31で直接受けても良いのは勿論である。