JP4286169B2 - ホルムアルデヒドの検知方法および検知材料 - Google Patents

ホルムアルデヒドの検知方法および検知材料 Download PDF

Info

Publication number
JP4286169B2
JP4286169B2 JP2004086863A JP2004086863A JP4286169B2 JP 4286169 B2 JP4286169 B2 JP 4286169B2 JP 2004086863 A JP2004086863 A JP 2004086863A JP 2004086863 A JP2004086863 A JP 2004086863A JP 4286169 B2 JP4286169 B2 JP 4286169B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formaldehyde
detection material
color
ahmt
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004086863A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005274288A (ja
Inventor
嘉香 関根
美穂 田代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai University Educational Systems
Original Assignee
Tokai University Educational Systems
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai University Educational Systems filed Critical Tokai University Educational Systems
Priority to JP2004086863A priority Critical patent/JP4286169B2/ja
Publication of JP2005274288A publication Critical patent/JP2005274288A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4286169B2 publication Critical patent/JP4286169B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Description

本発明は、比色によるホルムアルデヒドの検知方法および検知材料に関する。
ホルムアルデヒドは人体への影響が懸念されていることから、日本産業衛生学会の許容濃度勧告値も、0.5ppm以下の低濃度に規定されている。ホルムアルデヒドは、昨今、特にシックハウス症候群の原因物質の1つと考えられており、内装建材などからのホルムアルデヒド放散量の管理が重要な課題となっている。このため環境中に含まれるホルムアルデヒド濃度を、現場で簡易に検知できる方法の開発が望まれている。
従来、ホルムアルデヒドの分析方法として、吸光光度法(比色法)、検知管法、定電位電解法、化学発光法などの種々の分析方法が知られている。これらのうちでも比色法は、吸光度計を用いて測定する方法以外に、特別な分析機器を使用せずに基準色と目視で比色する簡易な検知方法への適用可能性もある。
具体例を挙げれば、空気中のホルムアルデヒド検知材料として、リン酸ヒドロキシルアミンと塩基性指示薬との混合物をケイ砂に含浸担持させたもの、キシレンとピロ硫酸の混合物をケイ砂に含浸担持させたものが知られている(非特許文献1参照)。しかしながらこれら方法は、空気中に共存する種々のガスによる干渉を受け、色の変化がホルムアルデヒドに対して選択的ではないという欠点がある。
これに対し、ホルムアルデヒドに高い選択性を示す発色試薬として、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール(以下、AHMTとも記す)が知られている。AHMTは、ホルムアルデヒドとの接触により、以下の反応によりキノイド型の6−メルカプト-s-トリアゾロ[4,3-b]-s-テトラジン(以下、MTTとも記す)を生成して550nm付近に吸収ピークをもつ赤紫色を呈する(たとえば非特許文献2など参照)。
Figure 0004286169
上記AHMTを発色試薬とする吸光法は、アセチルアセトン法、クロモトロプ酸法などに比しても高感度であり、さらに、亜硝酸イオン、亜硫酸イオンの妨害を受けず、また他のアルデヒド類の影響もほとんど受けずにホルムアルデヒドによる発色を発現させることができるので、ホルムアルデヒドに対して高い選択性を有するという利点のある公定法として、JIS K 0303:排ガス中のホルムアルデヒド分析法(定量範囲0.3〜50vol ppm)に規定されている。
このAHMT発色試薬の呈する赤紫色は、公知の比色法のうちでも、アセチルアセトン法などの黄呈色に比べ、目視で濃淡を判別しうる特異色であり、また上記反応式に示すように、AHMTの発色反応条件は、同様に赤紫色を呈するが加熱下に濃硫酸を用いる他の公定吸光法(クロモトロプ酸法)の厳しい反応条件に比べると温和であり、簡易比色法として好適であると考えられる。
ところが、上記のように多くの利点を有するAHMTの発色反応を利用した環境中のホルムアルデヒドガス(試料ガス)の分析は、AHMT、ホルムアルデヒド、塩基性物質、酸化剤の過ヨウ素酸カリウム(KIO4)を各々反応系に導入する順序が定められており、特に酸化剤の過ヨウ素酸カリウムは、ホルムアルデヒドとAHMTとの接触後の最終ステップに添加するように制約されている。具体的には、前記JISにも示されるように、固体の吸着剤または液体の吸収剤にホルムアルデヒドを捕集した後、塩基性水溶液(NaOH)とAHMT/塩酸溶液とを加え、20分間静置した後、過ヨウ素酸カリウム溶液を加えて、発色体MTTを生成させる。したがって従来提案されている空気中のホルムアルデヒドの分析方法においても、アルカリ溶液からなる捕集液に、空気を導入し、AHMT試薬を添加して15分以上放置した後、過ヨウ素酸カリウムを添加するという上記JISに準ずる手順により発色させている(たとえば特許文献1〜2参照)。
これは、上記反応式に示されるように、AHMT(I)から発色体であるキノイド型MTT(III)を生成させるには、まずMTT(III)の酸化前駆体であるホルムアルデヒド(HCHO)とAHMT(I)との縮合反応物(II)を生成させる必要があるのに対し、予め過ヨウ素酸カリウムを存在させた反応系では、そこに導入されたホルムアルデヒドが、過ヨウ素酸カリウムの強力な酸化作用により酸化されてしまい、AHMTとの縮合反応物(II)を生じないためである。
特開平10−197511号公報 特開平11−118784号公報 ガステック,「気体環境測定ハンドブック」, 1993年,第2巻,p.213-214 三村春雄ら,「衛生化学」,1976年,第22巻,第1号,p.39-41
上記の理由から、ホルムアルデヒドとの接触に先立って、従来のAHMT法を構成する各試薬(AHMT、塩基性物質、過ヨウ素酸カリウム)からなる共存系をホルムアルデヒド検知材料として使用することは本質的に困難である。本発明者は、これら各試薬(AHMT、塩基性物質、過ヨウ素酸カリウム)が共存する系に、ホルムアルデヒドを導入しても発色しないことを、参考例2として後述する実験により確認している。
本発明は、環境中のホルムアルデヒドを、高感度、選択的に、かつ試薬添加順序に制限のない簡易な操作で目視的にも検知しうる発色反応系によるホルムアルデヒドの検知方法、および該反応系を適用し、特に建築材料、日用品等から環境中に放散されるホルムアルデヒド(ガス)の目視による比色検知に有用な固相系の検知材料を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記に鑑み、ホルムアルデヒドガスの比色による簡易な検知方法および特に固相系検知材料を実現化するため、AHMTを用いるホルムアルデヒドの比色法について、特に酸化剤に着目して鋭意検討したところ、従来の過ヨウ素酸カリウムに代えて金属酸化物を用いても発色検知が可能であることを見出した。その呈色は、550nmに極大吸収ピークをもつ赤紫色の特異色であり、かつホルムアルデヒド濃度に依存的で、すなわち定量性のあることを確認した。しかも金属酸化物は、ホルムアルデヒドとの接触に先立って、予めAHMTおよび塩基性物質と共存する系を形成しても、AHMTとホルムアルデヒドとの反応による発色を阻害しないことを見出した。これにより固相系のホルムアルデヒド検知材料の作成が可能であり、上記課題を一挙に解決しうることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ホルムアルデヒドとの反応により酸化発色性の縮合物を形成し得る窒素含有化合物と、金属酸化物とを用いてホルムアルデヒドを比色的に検知する、ホルムアルデヒドの検知方法を提供する。
また本発明は、上記ホルムアルデヒドの検知方法を構築する反応系の特に好ましい態様系として、金属酸化物、ホルムアルデヒドとの反応により酸化発色性の縮合物を形成し得る窒素含有化合物および塩基性物質を、湿潤下に共存する状態で含むホルムアルデヒド検知材料を提供する。
上記ホルムアルデヒド検知材料は、好ましくは、湿潤状態にある固相系である。
固相系のホルムアルデヒド検知材料は、通常、上記湿潤状態を保持し、かつ固相マトリックスを形成するための保湿剤をさらに含んでいてもよい。
本発明に係るホルムアルデヒド検知材料は、発色安定剤をさらに含んでいることが好ましい。発色安定剤としては、たとえばホウ酸を使用することができる。
本発明に係るホルムアルデヒドの検知方法および検知材料において、上記窒素含有化合物の好適例は、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾールである。
また金属酸化物の好適例は、二酸化チタンである。
固相系のホルムアルデヒド検知材料は、上記金属酸化物と塩基性物質の水溶液との混合液に、上記窒素含有化合物の水溶液、付加的に保湿剤および/または発色安定剤を加えて混合し、固化することにより作製することができる。
上記のような本発明に係るホルムアルデヒドの検知方法および検知材料を構成する発色反応系は新規であり、この発色反応系によれば、高感度かつ選択的に、ホルムアルデヒドを検知することができるだけでなく、試薬添加順序に制限のない点で、従来の過ヨウ素酸カリウムを用いるAHMT法に比して操作が簡易であり、またこれにより、AHMTを含む固相系のホルムアルデヒド検知材料を提供しうるという利点も有する。本発明の固相系ホルムアルデヒド検知材料を用いれば、環境中の低濃度ホルムアルデヒドを、特別な測定器具を使用しなくても、目視比色により簡易に検知することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係るホルムアルデヒドの検知方法は、ホルムアルデヒドとの反応により酸化発色性の縮合物を形成し得る窒素含有化合物と、金属酸化物とを用いて、ホルムアルデヒドを比色的に検知する方法である。
上記窒素含有化合物は、ホルムアルデヒドとの反応により酸化発色性の縮合物(酸化前駆体)を形成し、金属酸化物の作用によって呈色しうるものであればよく、特に限定されないが、好ましくは目視比色に好適な赤紫色系を呈色する窒素化合物系の発色試薬である。具体的には、キノイド型の生成物を生じるトリアゾール系の発色試薬であり、たとえば4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール(AHMT)が好適に用いられる。
金属酸化物は、ホルムアルデヒドガスとの不均一反応速度が十分に遅く、ホルムアルデヒドと窒素含有化合物との縮合物を発色させ得るものであれば特に限定されないが、比色反応によってホルムアルデヒドを検知し易いことから白色の金属酸化物が好ましい。
本発明では、金属酸化物として、二酸化チタンが好適に用いられる。二酸化チタンの結晶系は特に限定されない。
本発明において、金属酸化物の作用は、窒素含有化合物との電子的相互作用も考えられ、ホルムアルデヒドおよび窒素含有化合物への単なる酸化ポテンシャルだけで発色反応を説明することは困難である。また金属酸化物は、その光触媒作用を利用する場合であっても、ホルムアルデヒドに対する反応活性は比較的低く、ホルムアルデヒドと窒素含有化合物との縮合物を発色させることができる。
金属酸化物の粒子径は、大きすぎると発色速度が遅くなり、小さすぎると凝集を起こしやすいなど取り扱いが困難になるため、望ましくは平均粒径で5nmから10μmである。また反応効率を高めるために、比表面積の大きい粒子が好ましく、たとえば300m2/g程度以上の粒子が望ましい。
本発明では、窒素含有化合物、塩基性物質および金属酸化物を乾燥状態で混合して反応系を構成することも可能であるが、乾燥状態では、窒素含有化合物が空気酸化により呈色することがあり、これによりバックグラウンド値を上昇させて検知を困難にし、また比色精度が低下するのを避けるため、反応系は湿潤状態に保つことがより望ましい。
このため、窒素含有化合物および塩基性物質は、通常、適切な溶媒の溶液として反応系に供され、上記反応系は、通常、金属酸化物を含む懸濁液として、湿潤状態に保持される。
たとえば本発明の特に好適な態様である窒素含有化合物がAHMTである場合を例にとって具体的に説明すれば、AHMTは水溶液の形態で反応系に供されることが望ましい。AHMT水溶液は、通常、0.1〜1Nの塩酸1Lあたり、AHMTを0.02〜0.2molの量で溶解して調製したAHMT/塩酸溶液で使用することができる。
またAHMTとホルムアルデヒドとの発色反応は、アルカリ条件下で進行する。この反応系では、通常、反応系のpHを13以上の強アルカリにする塩基性物質が好ましく用いられ、具体的に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適である。
塩基性物質は、1〜5Nの水溶液で用いることができ、AHMT溶液を構成する塩酸に対し、物質量として5〜30倍の過剰量で反応系に添加することが好ましい。
なお本発明の発色反応系では、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの弱塩基下では、AHMTの発色反応を進行させることが困難である。
金属酸化物は、AHMT 1molに対し、1.5倍以上の量で反応系に存在させることが好ましい。
上記のAHMT、塩基性物質および金属酸化物を含む発色反応系では、ホルムアルデヒドの導入により、550nmに極大吸収ピークをもつ赤紫色に呈色する。この呈色は、過ヨウ素酸カリウムを用いるAHMT法と同じであり、このことから、前述した反応式中に示すキノイド型発色体(III)と同じ、6−メルカプト-s-トリアゾロ[4,3-b]-s-テトラジン(MTT)の生成によるものと考えられる。
検知材料とホルムアルデヒドとの反応時間は、AHMTの濃度、金属酸化物の種類、量、アルカリ条件などによっても異なるが、明所(光照射下)で、ホルムアルデヒドとの接触後30分以上放置することが望ましい。定量分析ではこの放置を一定時間に定めることが望ましい。
特にAHMTを用いるホルムアルデヒドの検知方法は、ホルムアルデヒドを選択的に、かつ高感度で比色的に検知することができる。また、目視による比色でも充分に検知することができる。さらに呈色はホルムアルデヒド濃度依存性があることから、実施例3として後述するように、吸光度計などを用いる検量線法によりホルムアルデヒド濃度を高い精度で定量分析することができる。本発明では、このように吸光度計を用いてホルムアルデヒドを測定する場合であっても、予めAHMTなどの窒素含有化合物、塩基性物質および金属酸化物を共存させた状態でホルムアルデヒドと接触させることができるため、分析操作が簡易である。
上記反応系は、そのまま(湿潤状態)で液系試料を調製し、吸光度計などを用いる比色分析に利用することもでき、また固相系検知材料とすることもできる。固相系検知材料は、従来AHMTでは実現が困難であったホルムアルデヒドの目視による簡易な比色検知に有用であり、本発明のホルムアルデヒド検知材料の好ましい態様例である。
固相系を形成する際には、上記したように窒素含有化合物、特にAHMTの空気酸化による呈色を避けるため、固相系を湿潤状態に保つことが望ましい。
このため固相系のホルムアルデヒド検知材料は、通常、湿潤状態を保持し、かつ固相マトリックスを形成するための保湿剤をさらに含むことが望ましい。この保湿剤は、窒素含有化合物、塩基性物質および金属酸化物に対して化学的に不活性であれば特に限定されないが、寒天、ゼラチン、ペクチンなどのゲル化剤、コラーゲン、保水性のポリマーなどを好適に用いることができる。寒天は、固化速度の遅い試薬レベルの寒天が好ましく使用される。
保湿剤の使用量は、その種類などによっても異なり、検知材料を固相系で、かつ保湿状態で保持できる量で使用すればよい。
本発明に係るホルムアルデヒド検知材料は、それを固相で使用する場合、さらに発色安定剤を含むことができる。発色安定剤としては、たとえばホウ酸を使用することができる。ホウ酸の添加により、ブランク(ホルムアルデヒド非接触検知材料)の発色が抑制され、サンプルとブランクとの色のコントラストが明瞭になる効果が得られる。ホウ酸は、通常、0.1〜1%程度の水溶液で使用することができ、金属酸化物と塩基性物質の水溶液との混合液に対し、同等の液の量で用いることができる。
固相系のホルムアルデヒド検知材料は、好ましくは上記金属酸化物と塩基性物質の水溶液との混合液(懸濁液)に、窒素含有化合物の水溶液(塩酸溶液)、必要に応じて保湿剤および/または発色安定剤を加えて混合し、固化することにより作製することができる。
この際、金属酸化物、塩基性物質、窒素含有化合物および発色安定剤を含む系に、最後に保湿剤を添加すれば、発色安定剤による発色安定性の効果を安定して発揮しやすい。
本発明に係る固相系のホルムアルデヒド検知材料は、ホルムアルデヒド(ガス)の存在する空間に曝露すると、色の変化が起こり、目視によってホルムアルデヒドの存在を確認することができる。
検知材料の使用方法の一例としては、たとえば、固相系のホルムアルデヒド検知材料を、捕集容器の空間内などに固定し、該空間をたとえば壁面などに密封固定して、所定時間放置し、壁面から放散されるホルムアルデヒドの捕集量に対して量応答的に発色する色を、色見本と比色することにより、放散量を半定量的に判定することができる。
色の変化は光照射下でも暗所でも起こる。したがって捕集容器は透明でもよく、不透明でもかまわない。ただし金属酸化物が光触媒作用をもつ二酸化チタンである場合には、紫外線を含む光照射下の方が、呈色反応が速く進行し、発色も強くなる。したがってこの場合には、紫外線透過性の捕集容器を使用すれば、30分程度で高感度に発色することができる。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、吸光度は、紫外可視分光光度計(島津製作所製UV-mini1240)を用い、対照:蒸留水、光路長:1cmの条件で測定した。
<ホルムアルデヒドの検知>
二酸化チタン(石原テクノ製ST-01、アナターゼ型、平均粒径7nm、比表面積320m2/g)0.01g、5N水酸化ナトリウム水溶液2mL、および0.034mol/LのAHMT/0.2N塩酸溶液2mLを加えた試験管中に、4μg/mLのホルムアルデヒド水溶液2mLを加えると、溶液は赤紫色を呈した。最大吸収波長は550nmであった。
<発色速度の検討>
実施例1において、ホルムアルデヒド水溶液を添加した後、蒸留水2mLをさらに加えて全量で8mLとした試験液を2本作成し、実験室内の明所および暗所で別々に放置し、それぞれの吸光度(吸収波長550nm)を経時的に測定した。ホルムアルデヒドを含まないブランク溶液についても同様に測定した。これら結果を図1に示す。図1(A)は明所での結果を、図1(B)は暗所での結果を示す。
これら図に示されるように、明所の方が暗所よりも呈色反応が速く進行し、より高い吸光度を示すが、いずれの場合も吸光度は経時的に増加した後、120分でほぼ一定値に到達することが確認できた。
<検量線の作成>
実施例1において、試験管に加えるホルムアルデヒド水溶液の濃度を0〜5μg/mLの範囲で変化させ、蒸留水2mLを加えて全量で各8mLとした後、それぞれ明所で一定時間(60分間)放置して発色させた後、吸収波長550nmにおける吸光度(対照:蒸留水、光路長:1cm)を測定し、吸光度(y)とホルムアルデヒド濃度(x)との関係をプロットしたところ、良好な直線関係の検量線(y=0.163x+0.015,R2=0.984)が得られた。結果を図2に示す。
<固相系検知材料の作製>
二酸化チタン(石原テクノ製ST-01、アナターゼ型、粒径7nm、比表面積320m2/g)0.01gを5N水酸化ナトリウム水溶液0.05mLに加えて懸濁させ、外径31mm、高さ15mmのガラス製シャーレに加えた。この懸濁液に、0.034mol/LのAHMT/0.2N塩酸溶液を0.05mL、35g/Lの寒天(関東化学製、鹿1級)溶液を0.8mL加えて、冷却固化してホルムアルデヒド検知材料を調製した。これを2つ準備した。
<ホルムアルデヒド曝露>
上記検知材料の一方を、ホルムアルデヒド臭のする実験台の引き出し内に6時間放置して、ホルムアルデヒドガスに曝露した。他方はホルムアルデヒドガスに曝露せず、ブランクとした。曝露試験後の検知材料は、ブランクよりも、赤紫色が強くなった。両者の色を目視により、RGB階調の色見本と比較した。
ホルムアルデヒド曝露した検知材料のRGB値は、R:254、G:205、B:254であり、ブランクのRGB値は、R:254、G:226、B:254であった。
<固相系検知材料の作製>
5g/Lのホウ酸水溶液0.05mLをさらに加えた以外は実施例4と同様に固相ホルムアルデヒド検知材料を2つ準備した。すなわち、ガラス製シャーレ内の二酸化チタン0.01gの5N水酸化ナトリウム水溶液0.05mL懸濁液に、0.034mol/LのAHMT/0.2N塩酸溶液を0.05mL、5g/Lのホウ酸水溶液0.05mL、35g/Lの寒天(関東化学製、鹿1級)溶液を0.8mL加えて、冷却固化してホルムアルデヒド検知材料を調製した。
<ホルムアルデヒド曝露>
実施例4と同様にアルデヒドガス曝露試験を行ったところ、ブランクに比べて赤紫色が強くなった。両者の色を目視により、RGB階調の色見本と比較した。
ブランクのRGB値がR:254、G:250、B:254であるに対し、ホルムアルデヒド曝露した検知材料のRGB値は、R:254、G:236、B:254であり、実施例4に比べてブランクとの色差が明瞭であった。
<ホルムアルデヒド曝露>
ガラスの板の上に、100μg/mLのホルムアルデヒド水溶液5μLを滴下し、その上に、実施例5と同様に作製した固相ホルムアルデヒド検知材料を含むガラス製シャーレを、固相面を下方に向けて被せて密閉し、水滴から放散されるホルムアルデヒドガスに2時間、室温にて曝露した。その結果、曝露させないブランクに比べて赤紫色が強く発現した。
両者の色を目視により、RGB階調の色見本と比較した。
ブランクRGB値が、R:254、G:254、B:254であるのに対し、曝露したサンプルはR:254、G:230、B:254であり、水滴から発生するホルムアルデヒドガスを有意に検知することができた。
参考例1
試験管に4μg/mLのホルムアルデヒド水溶液2mL、5N水酸化ナトリウム水溶液2mL、0.034mol/LのAHMT/0.2N塩酸溶液2mL、0.033mol/Lの過ヨウ素酸カリウム/0.2N水酸化ナトリウム水溶液2mLを順次加えると、溶液は赤紫色(最大吸収波長550nm)を呈した。
参考例2
試験管に5N水酸化ナトリウム水溶液2mL、0.034mol/LのAHMT/0.2N塩酸溶液2mL、0.033mol/Lの過ヨウ素酸カリウム/0.2N水酸化ナトリウム水溶液2mLを加えた後、最後に4μg/mLのホルムアルデヒド水溶液2mLを加えても呈色反応は起こらなかった。
この参考例1および2から、従来のAHMT法は、実施例1と同濃度のホルムアルデヒドで発色するが、酸化剤(過ヨウ素酸カリウム)の添加順序が変わると発色しないことを確認した。
本発明に係るホルムアルデヒドの検知方法および検知材料を用いると、建材、日用品等から室内空気に放散されるなどして環境中に含まれるホルムアルデヒドを検出することができるので、環境保全対策に利用することができる。
本発明のホルムアルデヒド検知材料と、ホルムアルデヒドとの反応による吸光度の明所(A)または暗所(B)での経時変化を示す図である。 本発明のホルムアルデヒド検知材料によるホルムアルデヒド検出の検量線を示す図である。

Claims (7)

  1. 4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾールと、二酸化チタンとを用いてホルムアルデヒドを比色的に検知する、ホルムアルデヒドの検知方法。
  2. 前記4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、前記二酸化チタンとともに塩基性物質が湿潤下に共存する反応系において、ホルムアルデヒドを比色的に検知する請求項1に記載の方法。
  3. 二酸化チタン4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾールおよび塩基性物質を、湿潤状態にある固相系で含むホルムアルデヒド検知材料。
  4. 前記二酸化チタンの平均粒径が5nm〜10μmである請求項3に記載のホルムアルデヒド検知材料。
  5. 前記二酸化チタンの比表面積が300m /g以上である請求項3または4に記載のホルムアルデヒド検知材料。
  6. 前記湿潤状態を保持し、かつ固相マトリックスを形成し得る保湿剤をさらに含む請求項ないしのいずれかに記載のホルムアルデヒド検知材料。
  7. 発色安定剤をさらに含む請求項ないしのいずれかに記載のホルムアルデヒド検知材料。
JP2004086863A 2004-03-24 2004-03-24 ホルムアルデヒドの検知方法および検知材料 Expired - Fee Related JP4286169B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004086863A JP4286169B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 ホルムアルデヒドの検知方法および検知材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004086863A JP4286169B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 ホルムアルデヒドの検知方法および検知材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005274288A JP2005274288A (ja) 2005-10-06
JP4286169B2 true JP4286169B2 (ja) 2009-06-24

Family

ID=35174127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004086863A Expired - Fee Related JP4286169B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 ホルムアルデヒドの検知方法および検知材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4286169B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5096306B2 (ja) * 2008-12-24 2012-12-12 日本電信電話株式会社 ホルムアルデヒド検知シート
JP6083065B2 (ja) * 2012-06-22 2017-02-22 株式会社 京都モノテック ガスセンサとそのガスセンサを用いたガス検出装置
WO2020013005A1 (ja) * 2018-07-13 2020-01-16 日本電気硝子株式会社 ガス検出材料
JP7301284B2 (ja) * 2018-07-13 2023-07-03 日本電気硝子株式会社 アルデヒド系ガス検出用材料及びノナナールガス検出用材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005274288A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Claver et al. Determination of hypochlorite in water using a chemiluminescent test strip
WO1997016720A1 (fr) Procede de dosage d'une substance et eprouvette de mesure
Du et al. A rapid point-of-care optical ion sensing platform based on target-induced dye release from smart hydrogels
Takagai et al. “Turn-on” fluorescent polymeric microparticle sensors for the determination of ammonia and amines in the vapor state
Moliner-Martínez et al. Improved detection limit for ammonium/ammonia achieved by Berthelot's reaction by use of solid-phase extraction coupled to diffuse reflectance spectroscopy
Kuswandi et al. Characterisation of a Hg (II) ion optrode based on Nafion®-1-(2-thiazolylazo)-2-naphthol composite thin films
KR20040104579A (ko) 가스 중의 포름알데히드 농도의 측정방법 및 측정장치
Koncki et al. Optical chemical sensing based on thin films of Prussian Blue
JP4456131B2 (ja) ホルムアルデヒドの濃度測定方法
Tanaka et al. Coloration reactions between NO2 and organic compounds in porous glass for cumulative gas sensor
Safavi et al. Design and evaluation of a thorium (IV) selective optode
Tan et al. A novel optical ammonia sensor based on reflectance measurements for highly polluted and coloured water
RU2008110956A (ru) Система мечения
WO2001069237A1 (fr) Specimen avec capacite de separation de composant solide
JP4286169B2 (ja) ホルムアルデヒドの検知方法および検知材料
Klimant et al. A fiber optical sensor for heavy metal ions based on immobilized xylenol orange
Rastegarzadeh et al. An optical redox chemical sensor for determination of iodide
Moustafa et al. A highly selective bulk optode based on 6-{4-(2, 4-dihydroxy-phenyl) diazenyl) phenyl}-2-oxo-4-phenyl-1, 2-dihydro-pyridine-3-carbonitrile incorporating chromoionophore V for determination of nano levels of cadmium
Navas et al. Air analysis: determination of hydrogen peroxide by chemiluminescence
Mahendra et al. Investigation of a Cu (II) fibre optic chemical sensor using fast sulphon black F (FSBF) immobilised onto XAD-7
Pourbasheer et al. Design of a novel optical sensor for determination of trace amounts of copper by UV–visible spectrophotometry in real samples
JP3955911B2 (ja) 尿中のアルブミン測定方法、尿中のアルブミン測定用指示薬、および尿中のアルブミン測定用試験片
JP3889989B2 (ja) ガス中のホルムアルデヒド濃度の測定方法および測定装置
JP4223981B2 (ja) ホルムアルデヒド検知材料およびその製造方法
CN111337485A (zh) 一种基于银纳米簇纳米酶的六价铬比色检测方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070319

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090310

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090324

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120403

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees