JP4286063B2 - Bearing device with built-in rotation speed sensor - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の車輪を回転自在に支持する軸受装置のうち、特に車輪の回転速度を検出するセンサを内蔵した回転速度センサ内蔵軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の自動車には、ABS(アンチロックブレーキシステム)やTCS(トラクションコントロールシステム)を装備したものが増えてきている。これらの制御システムを備えた自動車では、通常、車輪用の軸受装置として、制御に必要な車輪の回転速度を検出するためのセンサを内蔵したものが使用されている。
【0003】
この種の回転速度センサ内蔵軸受装置の一例を図3に示す。この軸受装置は、図3(a)に示すように、外輪51と、外輪51の内周側に挿入された状態で回転する軸部材52と、外輪51と軸部材52との間に転動自在に配された玉53と、軸部材52の一端部に固定されたエンコーダ54と、外輪51の一端部に装着されて外輪51の一端の開口を塞ぐカバー55と、カバー55と一体にモールドされたカバー補強材56と、カバー55にエンコーダ54の一部と対向するように取り付けられたセンサ57とで基本的に構成されている。そして、外輪51および軸部材52をそれぞれ図示省略した懸架装置および車輪に固定することにより、車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するとともに、センサ57でエンコーダ54の回転により発生する磁界変動を検出し、これを回転速度に比例する電気信号に変換して図示省略したABSやTCSの制御部に出力するようになっている。
【0004】
また、図3(b)に示すように、前記カバー55へのセンサ57の取付けは、カバー55の厚み方向に貫通するセンサ取付穴58にセンサ57の挿入部57aを挿入することによって行っており、センサ57の挿入部57aの外周面に設けた環状溝59にOリング60を組み込むことにより、センサ取付穴58から装置内部への異物の侵入の防止を図っている。
【0005】
この例のように、自動車の脚まわりで使用される回転速度センサ内蔵軸受装置では、泥水等の異物が装置内部に侵入しないように、カバーを貫通するセンサ取付穴にOリング等のゴム製のシール部材を組み込んでいる場合が多い(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−319027号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の軸受装置では、Oリング等のゴム製のシール部材が、組込時の捩じれや締め代の不足により十分なシール性を得られず、装置内部へ泥水等の異物が侵入してしまうことがある。また、長期間使用しているうちに、劣化(硬化、ひび割れ)によって異物が侵入するようになることもある。装置内部へ異物が侵入すると、転動体と外輪または軸部材との間に異物が巻き込まれて軸受としての寿命が短くなるだけでなく、センサやエンコーダに異物が付着することにより、回転速度の検出精度が低下してABSやTCSが正常に作動しなくなるおそれもある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、シール性に優れた回転速度センサ内蔵軸受装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、固定部材に固定される金属製の外輪と、外輪の内周側に挿入された状態で回転する軸部材と、前記外輪と軸部材との間に転動自在に配された複数の転動体と、前記軸部材の一端部に固定されたエンコーダと、前記外輪の一端部に装着されて外輪の一端の開口を塞ぐ合成樹脂製のカバーと、このカバーと一体にモールドされたカバー補強材と、前記カバーのセンサ取付穴に前記エンコーダの一部と対向するように取り付けられ、エンコーダの回転による磁界変動を検出して回転速度に比例する信号を出力するセンサとを備えた回転速度センサ内蔵軸受装置において、前記カバーは、有蓋円筒状に形成されその筒部が前記外輪の一端部の内周に圧入されるものとし、前記カバー補強材を非磁性金属材料で有蓋円筒状に形成し、このカバー補強材を前記カバーの筒部内周面から蓋部内側面にかけてモールドして、カバー補強材の蓋部で前記センサ取付穴の前記エンコーダと対向する側の開口を塞いだ構成を採用したのである。
【0010】
すなわち、カバーのセンサ取付穴のエンコーダと対向する側の開口を、非磁性材料で有蓋円筒状に形成したカバー補強材の蓋部で塞ぐことにより、回転速度の検出精度に影響を及ぼすことなく、センサ取付穴がカバーを貫通しないようにして、装置内部への異物の侵入経路を減らし、装置全体のシール性を向上させたのである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。この回転速度センサ内蔵軸受装置は、自動車の車輪用で、図1に示すように、外輪1と、外輪1の内周側に挿入された状態で回転する軸部材2と、外輪1と軸部材2との間に転動自在に配された複数の転動体としての玉3と、軸部材2の一端部に固定されたエンコーダ4と、外輪1の一端部に装着されて外輪1の一端の開口を塞ぐカバー5と、このカバー5と一体にモールドされたカバー補強材としての芯金6と、カバー5にエンコーダ4の一部と対向するように取り付けられたセンサ7とで基本的に構成され、センサ7でエンコーダ4の回転により発生する磁界変動を検出し、これを回転速度に比例する電気信号に変換して図示省略したABSやTCSの制御部に出力するものである。
【0012】
前記外輪1は、一端側の外周面に設けた取付部1aを懸架装置(図示省略)にボルト止めされて固定されるようになっている。一方、前記軸部材2は、他端側の外周面にフランジ8aを有するハブ8と、ハブ8の一端側の外周に取り付けられた内輪9とからなり、ハブ8のフランジ8aをハブボルト10により図示省略した車輪に固定される。これらの外輪1および軸部材2は、金属製で、外輪1とハブ8との間および外輪1と内輪9との間に、保持器11に保持された複数の玉3が1列ずつ配されている。また、外輪1の他端側内周面とハブ8の外周面との間の隙間は、シール装置12により塞がれている。
【0013】
前記エンコーダ4は、内輪9の一端部外周に嵌め込まれる筒状の取付部4aと、取付部4aの一端の鍔部に取り付けられたエンコーダ本体4bとからなる。エンコーダ本体4bは、ゴム磁石、焼結磁石、樹脂製磁石等の永久磁石を環状に形成して、円周方向に交互にS極とN極とが現れるように着磁したもので、円周方向の回転によって磁界変動を生じるようになっている。なお、エンコーダ本体としては、ギア型のパルサリングを使用することもできる。
【0014】
前記カバー5は、合成樹脂で有蓋円筒状に形成されており、その筒部5aが外輪1の一端部の内周に圧入されて外輪1に装着され、蓋部5bで外輪1の一端の開口を塞いでいる。筒部5aには外輪1の一端面と当接するフランジ13が形成されており、これによりカバー5全体が外輪1に対して軸方向に精度よく位置決めされ、カバー5に取り付けたセンサ7の位置管理が容易に行える。
【0015】
また、図2にも示すように、カバー5の蓋部5bには筒状のセンサ取付部14が設けられ、その内周側に形成されたセンサ取付穴15にセンサ7の挿入部7aが挿入されるようになっている。一方、カバー5には、その筒部5a内周面から蓋部5b内側面にかけて、有蓋円筒状に形成された芯金6が一体にモールドされており、この芯金6の蓋部6aによってセンサ取付穴15のエンコーダ4と対向する側の開口が塞がれている。
【0016】
前記芯金6は、厚さが約0.3mmの非磁性鋼(この例では、SUS 430 )の板材で形成されており、蓋部6aを有している分、従来の円筒状のものよりもカバー5の強度を高めることができる。また、非磁性であるため、回転速度の検出精度には影響を及ぼさない。なお、芯金の材質は、非磁性鋼に限らず、磁性がなく、補強材としての強度を有するものであればよい。また、蓋部の厚みも、センサの挿入部とエンコーダ本体との間隔を変えない範囲で変更が可能である。
【0017】
前記センサ7は、外装部分が合成樹脂製で、挿入部7aをカバー5のセンサ取付穴15に挿入することによりカバー5に取り付けられている。その挿入部7aは、芯金6の蓋部6aを挟んでエンコーダ本体4bの一部と所定の間隔をおいて対向しており、エンコーダ本体4bとの対向面の近傍に、エンコーダ4の回転によって発生する磁界変動を検出する検出部(図示省略)を内蔵している。この検出部は、センサ7内で出力ケーブル16の一端部に接続されており、検出した磁界変動を回転速度に比例する電気信号に変換した後、この電気信号をケーブル16を介して出力するようになっている。
【0018】
この軸受装置は、上記の構成であり、カバー5のセンサ取付穴15のエンコーダ4と対向する側の開口を、非磁性鋼板で有蓋円筒状に形成した芯金6の蓋部6aで塞いでいるので、従来の装置に比べて、センサ取付穴がカバーを貫通していない分、装置内部への異物の侵入経路が少なく、装置全体のシール性が優れている。
【0019】
なお、この発明は、実施形態で説明した自動車の車輪用に限らず、異物の侵入の可能性が高い場所で使用される回転速度センサ内蔵軸受装置に有効に適用することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、回転速度センサ内蔵軸受装置のカバー補強材を非磁性材料で有蓋円筒状に形成し、その蓋部でカバーのセンサ取付穴のエンコーダと対向する側の開口を塞いで、センサ取付穴がカバーを貫通しないようにしたので、装置内部への異物の侵入経路を減らし、装置全体のシール性を向上させることができる。
【0021】
従って、軸受装置の寿命を延長することができるとともに、長期間にわたって回転速度の検出精度の低下を防止でき、検出した回転速度を用いて制御を行うシステムの安定化を図ることができる。
【0022】
また、Oリング等のシール部材を削減できるので、装置の構造および組立作業が簡単になり、コストの低減も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の回転速度センサ内蔵軸受装置の正面断面図
【図2】図1の軸受装置の要部拡大断面図
【図3】aは従来の回転速度センサ内蔵軸受装置の正面断面図、bはaの要部拡大断面図
【符号の説明】
1 外輪
1a 取付部
2 軸部材
3 玉
4 エンコーダ
4a 取付部
4b 本体
5 カバー
5a 筒部
5b 蓋部
6 芯金
6a 蓋部
7 センサ
7a 挿入部
8 ハブ
8a フランジ
9 内輪
10 ハブボルト
11 保持器
12 シール装置
13 フランジ
14 センサ取付部
15 取付穴
16 ケーブル[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
BACKGROUND OF THE
[0002]
[Prior art]
In recent automobiles, those equipped with ABS (anti-lock brake system) and TCS (traction control system) are increasing. In automobiles equipped with these control systems, a bearing device for a wheel is usually used which has a sensor for detecting the rotational speed of a wheel necessary for control.
[0003]
An example of this type of bearing device with a built-in rotational speed sensor is shown in FIG. As shown in FIG. 3A, this bearing device rolls between an
[0004]
3B, the
[0005]
As shown in this example, in a bearing device with a built-in rotational speed sensor used around the legs of an automobile, a sensor mounting hole that penetrates the cover is made of rubber such as an O-ring so that foreign matter such as muddy water does not enter the inside of the device. In many cases, a seal member is incorporated (for example, see Patent Document 1).
[0006]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 10-319027
[Problems to be solved by the invention]
However, in the conventional bearing device as described above, a rubber seal member such as an O-ring cannot obtain a sufficient sealing performance due to twisting during mounting or insufficient tightening allowance, and foreign matter such as muddy water enters the device. May intrude. In addition, foreign matter may enter due to deterioration (hardening, cracking) during long-term use. If foreign matter enters the inside of the device, foreign matter gets caught between the rolling elements and the outer ring or shaft member, which not only shortens the service life of the bearing, but also detects the rotational speed by attaching foreign matter to the sensor or encoder. There is also a risk that the accuracy will be reduced and the ABS and TCS will not operate normally.
[0008]
Therefore, an object of the present invention is to provide a bearing device with a built-in rotational speed sensor that is excellent in sealing performance.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the present invention provides a metal outer ring fixed to a fixing member, a shaft member rotating in a state of being inserted on the inner peripheral side of the outer ring, and between the outer ring and the shaft member. A plurality of rolling elements arranged to be freely rollable, an encoder fixed to one end portion of the shaft member, a cover made of synthetic resin that is attached to one end portion of the outer ring and closes an opening of one end of the outer ring, Cover reinforcement material molded integrally with the cover, and attached to the sensor mounting hole of the cover so as to face a part of the encoder, detects a magnetic field variation due to the rotation of the encoder and outputs a signal proportional to the rotation speed In the bearing device with a built-in rotation speed sensor, the cover is formed in a covered cylindrical shape, and its cylindrical portion is press-fitted into the inner periphery of one end portion of the outer ring. a metal material Formed in the lid cylinder, the cover reinforcing material is molded over the lid portion side from the cylinder inner peripheral surface of the cover, closing the encoder and the side facing the opening of the sensor mounting hole in the lid of the cover stiffeners The configuration was adopted.
[0010]
That is, by covering the opening of the cover sensor mounting hole on the side facing the encoder with a lid portion of a cover reinforcing material formed in a covered cylindrical shape with a nonmagnetic material, without affecting the detection accuracy of the rotational speed, By preventing the sensor mounting hole from penetrating the cover, the entry path of foreign matter into the inside of the device was reduced, and the sealing performance of the entire device was improved.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. This bearing device with a built-in rotational speed sensor is for an automobile wheel, and as shown in FIG. 1, an
[0012]
The
[0013]
The
[0014]
The
[0015]
Further, as shown in FIG. 2, a cylindrical
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
This bearing device has the above-described configuration, and the opening of the
[0019]
The present invention is not limited to the automobile wheel described in the embodiment, and can be effectively applied to a bearing device with a built-in rotation speed sensor that is used in a place where there is a high possibility of entry of foreign matter.
[0020]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the cover reinforcing member of the rotation speed sensor built-in bearing device is formed of a nonmagnetic material in a covered cylindrical shape, and the cover portion closes the opening of the cover sensor mounting hole on the side facing the encoder. Thus, since the sensor mounting hole is prevented from penetrating the cover, it is possible to reduce the entry path of foreign matter into the apparatus and improve the sealing performance of the entire apparatus.
[0021]
Accordingly, it is possible to extend the life of the bearing device, to prevent a decrease in detection accuracy of the rotational speed over a long period of time, and to stabilize the system that performs control using the detected rotational speed.
[0022]
Further, since the number of sealing members such as O-rings can be reduced, the structure and assembly work of the apparatus can be simplified, and the cost can be reduced.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a front sectional view of a bearing device with a built-in rotational speed sensor according to an embodiment. FIG. 2 is an enlarged sectional view of a main part of the bearing device of FIG. , B is an enlarged sectional view of the main part of a [Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
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