JP4285941B2 - ホログラフィック光メモリ装置およびそのメモリ修復方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光信号のみの動作で、データの書込みと読出しを行う、ホログラフィック光メモリ装置およびそのメモリ修復方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
メモリに記録されたデータの自動修復に相当する機能を電子的に行う方法は存在する。たとえば、記憶装置としてのハードディスクドライブを複数用いるシステムにRAID(A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Disks)があり、一台のハードディスクドライブが壊れても、そのドライブを修理または交換後、残りのハードディスクのデータから壊れたハードディスクのデータを復元できるものである(ミラーリング)。CDやDVD等の光ディスクメモリ装置に対してもこの方法は適用することが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来法においては、ディスクの破損の検出やデータの復元の処理は、すべて電子回路が行うことになる。蓄積されたデータを一括して記録・再生することのできるホログラムメモリにおいて、データ修復機能実現のための電子回路を付随させるためには、ホログラムデータを一旦時系列データに変換する必要があり、光・電気変換器、走査光学・機械系、および、データ処理のための電子制御部による装置サイズの増大や処理速度の制約から、ホログラムメモリの利点を損なうという問題がある。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上記電子回路を使用することによる問題を解消し、光信号のみの動作で、データの書込み、読出し、メモリデータ破壊の修復を行い得る、実用性に優れたホログラフィック光メモリ装置およびそのメモリ修復方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、次のような手段をもって課題を解決する手段としている。すなわち、本発明のホログラフィック光メモリ装置は、光信号によってデータの書込みと読出しを行うホログラフィック光メモリ装置において、書込みデータの入力と読出しデータの出力とを兼用するデータ入出力兼用光経路上であって当該光経路方向に間隔を介して配列配置された少なくとも2個のホログラムメモリと、各ホログラムメモリに同一の参照光を同一方向に入力する参照光入力手段と、各ホログラムメモリの前記参照光の入射位置と対向する位置に当該参照光とは反対方向から当該参照光と平行にそれぞれ同一の読出し光を入力する読出し光入力手段と、を備え、前記データ入出力兼用光経路を通して入力されるデータ入力光と前記参照光入力手段により入力される参照光とによりフォトリフラクティブ効果によって各ホログラムメモリに同一の回折格子を形成することで同一の書込みデータを記憶し、前記読出し光入力手段により入力される読出し光によって各ホログラムメモリの記憶データを回折光の形態で前記データ入出力兼用経路を前記データ入力光の入力進行方向とは逆方向に読み出し、一方のホログラムメモリから読み出されたデータ出力の回折光を他方のホログラムメモリから読み出されたデータ出力の回折光に重ねて前記データ入出力兼用光経路を前記データ入力光の入力進行方向とは逆方向に通して出力する構成としたことをもって課題を解決する手段としている。
【0006】
一例として、上記書込みデータの入力光、参照光および読出し光は可視光又は赤外光とする。
【0007】
例えば、ホログラムメモリはLiNbO3をベースとした材料により形成される。
【0008】
また、参照光入力手段はデータの書込み時ばかりでなく各ホログラムメモリからデータを読出す動作期間においても参照光を各ホログラムメモリへ入力する構成にすると、データ出力方向の上流側のホログラムメモリのデータ修復を行う上で有利となる。
【0011】
さらに、本発明の別のホログラフィック光メモリ装置のメモリ修復方法は、上記した本発明のホログラフィック光メモリ装置におけるメモリ修復方法において、2つのホログラムメモリのうち、データ出力方向の下流側のホログラムメモリを修復する場合には、読出し光入力手段によって読出し光を各ホログラムメモリに入力し、記録データが破壊されていない上流側のホログラムメモリから記録データを回折光として読み出し、データ入出力兼用光経路を通してその読出しデータの回折光を下流側のホログラムメモリに出力し、該下流側のホログラムメモリに前記上流側のホログラムメモリから出力された回折光と読出し光入力手段から入力する読出し光とによって上流側のホログラムメモリに書き込まれている回折格子と同じ回折格子を書き込むことで、下流側のホログラムメモリの修復を行い、データ出力方向の上流側のホログラムメモリを修復する場合には、参照光入力手段によって参照光を各ホログラムメモリに入力し、記録データが破壊されていない下流側のホログラムメモリから記録データを回折光として読み出し、前記データ入出力兼用光経路を通してその読出しデータの回折光を上流側のホログラムメモリに出力し、該上流側のホログラムメモリに前記下流側のホログラムメモリから出力された回折光と参照光入力手段から入力する参照光とによって下流側のホログラムメモリに書き込まれている回折格子と同じ回折格子を書き込むことで、上流側のホログラムメモリの修復を行う、構成としたことをもって課題を解決する手段としている。
【0012】
本発明においては、一切の電子回路およびメカニカルな機構を用いず、光によって書換え可能な二つのホログラムメモリと光フィードバック回路を組合せることによって、少なくとも片方のホログラムメモリにあるデータ(回折格子)の一部または全部が消失した場合にも、データのドロップアウト(回折格子の欠落)を自動的に検出し、もう一方のホログラムのデータを用いて消失したデータを修復する方法が提供される。また、光源として半導体レーザ(約760nmまたは約650nm)、および、ホログラム材料として、例えば、Fe2O3ドープ率約0.06重量%の高ドープLiNbO3:Fe結晶を用い、適切な入射光線角度を設定することにより、可視光のみならず半導体レーザの出力である760nm帯の近赤外光での動作も可能になる。
【0013】
これにより、例えば、CDやDVDなどの光ディスクメモリのデータを半導体レーザ(赤〜近赤外)によって一括読取りし、ホログラムメモリに一括書込みする等の応用が可能になる。ここで、通常のCDやDVDにおいてはデータをディスクトラックに沿って順次読取って行く(ランダムアクセス型の光ディスクでもデータの一部を走査して入出力する)のに対し、一括読取りにおいては、図8に示すように、ディスク1枚分を一度に読取るため、データのアクセス速度は飛躍的に向上する。また、一括書込みでは、ディスク1枚分のデータを一度にホログラムメモリに記録する。光源に半導体レーザを用いることの利点としては、上述した波長域以外にも、低価格、高信頼性、低消費電力、コンパクト性などがあげられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に基いて説明する。図1には本発明に係るホログラフィック光メモリ装置の一実施形態例の要部構成が示されている。図1(a)に示される書込み光Sは光源(図示せず)から発せられた可視光あるいは赤外光であり、書込みデータを有している。この書込み光の光路上に第1のホログラムメモリ1と第2のホログラムメモリ2からなる2個のホログラムメモリが配列配置されている。図1(a)では第1のホログラムメモリ1の入射書込み光をS1とし、第1のホログラムメモリ1を透過後第2のホログラムメモリ2へ入射する書込み光をS2としているがS1とS2は同じ書込み光である。
【0015】
第1のホログラムメモリ1と第2のホログラムメモリ2はフォトリフラクティブ効果を利用して書込み光データを回折格子の形態で書込み記憶する機能を有する。ホログラムメモリ1、2の材料は書込み光に感度を有するホログラム材料を用いて形成されるものであり、図示の例ではホログラムメモリ1、2は、フォトリフラクティブ結晶を用いて形成され、例えば、LiNbO3をベースとした材料により形成される。
【0016】
図示されていない光源から発せられた参照光(ホログラム参照光)RFはビームスプリッタBS2により、RF1とRF2に分岐され、参照光RF1は第1のホログラムメモリ1に入射(入力)される。参照光RF2はミラーM2により反射されて第2のホログラムメモリ2へ入力される。ここで、ビームスプリッタBS2とミラーM2は参照光RFを第1のホログラムメモリ1と第2のホログラムメモリ2へ入力する参照光入力手段を構成している。
【0017】
図1(a)はホログラムメモリ1、2へ書込みデータを書込み(記憶)する動作を示しており、書込み光S1と参照光RF1によって第1のホログラムメモリ1に書込みデータが書込み記憶され、書込み光S2と参照光RF2によって第2のホログラムメモリ2に同じ書込みデータ(第1のホログラムメモリ1への書込みデータと同じデータ)が書込み記憶される。このホログラムメモリ1、2へのデータ書き込みは書込み光S(S1、S2)と参照光RF(RF1、RF2)との2つの光を利用したフォトリフラクティブ効果によってなされており、このフォトリフラクティブ効果によるデータ書込み(記憶)の原理を以下に図3に基き簡単に説明する。
【0018】
フォトリフラクティブ効果とは、光の照射により媒質の空間電界が発生し、ポッケルス効果を介し、媒質の屈折率が変化する現象である。ホログラムメモリを構成するフォトリフラクティブ結晶は、非点対称な光伝導体であり、光励起により結晶中を自由に移動できる電荷を含んでいる。これらの電荷は、結晶格子中の不純物や欠損から生じている。
【0019】
結晶に照射された2光波の干渉により、干渉縞ができ、結晶内に周期的な光の強度分布I(x)が発生する。ここで、光が強めあう所(明の部分)と、光が打ち消しあう所(暗の部分)が存在し、明の部分では、光エネルギーにより電子が、ドナーから伝導体に励起される。
【0020】
励起されたキャリアは、拡散によりキャリア密度の大きい明部から、励起がほとんど起こらずキャリア密度が小さい暗部へと移動する。明るい部分ほど多くのキャリアが励起されるので、明の部分では励起が再結合を上回り、次第にイオン化されたドナーの密度が増加する。一方、暗の部分ではその逆のことが起きるため、干渉縞の明暗に応じた電荷密度分布ρ(x)が生じる。よって、結晶内で電気的平衡が崩れ、空間電界ESC(x)が発生する。ポッケルス効果を介して、空間電界ESC(x)によって非線形分極PNLが生じ、空間屈折率変化Δn(x)を引き起こす。この空間屈折率変化は、周期的構造をなしており、回折格子として機能する。
【0021】
この原理により、本実施形態例においては、書込み光と参照光とによるフォトリフラクティブ効果により、第1のホログラムメモリ1と第2のホログラムメモリ2に同一の書込みデータが回折格子の形態で書込み記憶される。
【0022】
図1(b)は第1のホログラムメモリ1と第2のホログラムメモリ2に書込み記憶されているデータの読出し動作を示している。このデータ読出しはホログラムメモリ1、2に読出し光RD(RD1、RD2)を入力することにより行われる。読出し光RDは図示されていない光源から発せられ、光源からの読出し光RDはビームスプリッタBS1によりRD1とRD2に分岐され、読出し光RD1は第1のホログラムメモリ1に入射(入力)される。また、読出し光RD2はミラーM1により反射されて第2のホログラムメモリ2に入力する。ここでは、ビームスプリッタBS1とミラーM1は読出し光RD(RD1、RD2)をホログラムメモリ1、2へ入力する読出し光入力手段を構成している。
【0023】
第1のホログラムメモリ1に読出し光RD1が入力されることにより、読出し光RD1は第1のホログラムメモリ1に書込まれている回折格子(書き込みデータ)を透過することによってその回折格子に対応する回折光を発生し、その回折光が読み出された出力データD1としてデータ出力光路を通って出力される。同様に、第2のホログラムメモリ2に書き込み記憶されているデータは読出し光RD2によって回折光の形態で読出され、その読出しの出力データD2は前記第1のホログラムメモリ1を透過して、データ出力光路を通して出力される。このとき、出力データD1の回折光と出力データD2の回折光は同じであるため、これらの出力データD1、D2の回折光は重なり合って(出力データの光強度が倍増されて)出力される。本実施形態例においては、データ出力光路と前記データ入力光路は同じ光路と成して、書き込みデータの入力と読出しデータの出力は共通のデータ入出力兼用光路を通して行われている。
【0024】
なお、本実施形態例においては、第1のホログラムメモリ1と第2のホログラムメモリ2に同じデータ(同じ回折格子)が書込み記憶され、かつ、第1のホログラムメモリ1と第2のホログラムメモリ2から読出されるデータ(回折光)が同じとなるように、第1のホログラムメモリ1に入力する読出し光RD1と参照光RF1とは互いに対向し合う平行光と成し、同様に、第2のホログラムメモリ2に入力する読出し光RD2と参照光RF2とは互いに対向し合う平行光と成している。
【0025】
図2は本実施形態例におけるホログラムメモリ1、2のメモリ修復動作を示すもので、図2(a)は第1のホログラムメモリ1のメモリ修復動作を示し、図2(b)は第2のホログラムメモリ2のメモリ修復動作を示している。第1のホログラムメモリ1のデータである回折格子の一部または全体が何らかの理由で破損した場合も、図2(a)に示されるように、読出し動作によって第2のホログラムメモリ2の回折光D2が発生するため出力は一時的に低下するもののデータ読み出しは可能である。また、これと同時に、第2のホログラムメモリ2の回折光D2と読出し光RD1によって破損した第1のホログラムメモリ1のデータが再書込みされる。このため、一定時間経過後には、第1のホログラムメモリ1には第2のホログラムメモリ2に記憶されたデータの複製が作られることによって第1のホログラムメモリ1から回折光D1が再び発生し、データの修復が完了する。つまり、第1のホログラムメモリ1の記憶データが破壊されても、読出し動作をそのまま継続することにより、読出し動作がデータ修復動作となって、その記憶データ破壊の検出を行うことなくデータ破壊は自動的に修復される。
【0026】
第2のホログラムメモリ2のデータの一部または全体が何らかの理由で破壊(破損)した場合も、破壊された部分の回折光D2は発生しないが、図2(b)に示されるように、読出し動作によって第1のホログラムメモリ1の回折光D1が発生するため出力は一時的に低下するもののデータ読み出しは可能である。また、第2のホログラムメモリ2のデータ修復時には、第1のホログラムメモリ1の参照光RF1による回折光(参照光RF1により第1のホログラムメモリ1の記憶データを逆方向に読み出した回折光)D2’と参照光RF2によって破損した第2のホログラムメモリ2のデータが再書込みされる。このため、一定時間経過後には、第2のホログラムメモリ2には第1のホログラムメモリ1に記憶されたデータの複製が作られることによって読出し動作により、回折光D2が第2のホログラムメモリ2に再び発生し、データの修復が完了する。したがって、データの読出し動作の全般にわたって参照光RF(RF1、RF2)を入力させておくことにより、第2のホログラムメモリ2のデータ破壊の発生を検出することなく、読出し動作を支障なく継続させながら第2のホログラムメモリ2のデータ修復が自動的に行われる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明のより具体的な一実施例を説明する。なお、この実施例の装置構成は上記実施形態例で説明したものと同じであるので、重複説明は省略する。
【0028】
近赤外域の半導体レーザを光源とするホログラフィック光メモリ装置を実現するには、その波長(使用波長)に感度のあるホログラム材料を組み合わせて用いる必要がある。公知論文(K.Peithmann, A.Wiebrock,K.Buse: “Photorefractive propertiesof highly−doped lithium niobate in the visible and near−infrared", Applied Physics B 68, 777−784 (1999) )では、高ドープLiNbO3:Fe(Fe2O3ドープ率0.06重量%)における最大屈折率変調度Δnは波長λ=760nmに対して2.8×10−4と報告されている。この値をフォトリフラクティブ効果の結合係数γに換算するにはγ=πΔn/(λcos(θ))を用いて、γ=1230が得られる。
【0029】
ここで、λは波長であり、結晶中で伝搬方向と光線との成す角θを20°とした。この値は、可視光域における90度カット(図5におけるψ=90°)BaTiO3結晶の最大結合係数(約300)よりも大きく、45度カットBaTiO3結晶の最大結合係数(約1725)に匹敵する値であるため、このタイプの結晶を用いて半導体レーザの近赤外域でも回折格子の自動修復機能を実現できるようにした。また、LiNbO3:Feは、可視光でも用いることができるため、たとえば、DVDに用いられている赤色650nmの半導体レーザとの組み合わせも可能であり、可視光、近赤外線兼用のシステムを構築できる。そのため、ホログラムメモリ1、2の結晶としてLiNbO3:Feを採用した。
【0030】
LiNbO3:Fe結晶に対する最適光線入射角度については、結合係数のγの角度依存性としてγ=−(A/H)・(M/N)の式を用いた。
ここで、A=ωn0 3reff,H=2ccosθ, M=kgkBT/e,
N=1+(kg 2/kD 2)である。
ただし、λ:波長、θ:図5中の入射角度、ω:角周波数、no:屈折率、kg:格子波数、kB:ボルツマン定数、T:温度、c:真空中の光速、kD:デバイの波数、e:電荷、reff:有効ポッケルス係数である。
【0031】
ここで、高ドープLiNbO3結晶の電気光学係数の絶対的な値は不明であるため、通常のLiNbO3結晶における係数(r13=8.6×10−12[m/V]およびr22=3.4×10−12[m/V])を用いて、入射角特性を計算し、そのピーク値が前記公知論文の値に一致するように結合係数のグラフを描くと、図4のようになる。
【0032】
ここで、各光線の角度は図5で与えられる。図4より、内部入射角θ=20°(外部入射角ψ=51.4°)の時、c軸とz軸との間の角φ=76°で最大の結合係数1230をとる。この光線入射角度を目安にして、できるだけ大きな結合係数を用いることが動作性能の向上につながる。
【0033】
(実験例)
以下に、ホログラムメモリ1、2の結晶としてBaTiO3結晶を用い、アルゴンイオンレーザ(可視域514.5nm緑)を使用して行った回折格子の自動修復機能の実験結果を示す。図6に示す実験系によって、ホログラフィック光メモリ装置を検証した。図6中、Mはミラー、BSはビームスプリッタ、PBSは偏光ビームスプリッタ、HWPは半波長板をそれぞれ示している。図7に実験結果を示す。
【0034】
まず、二つのホログラムメモリ1、2に図7の入力画像に示された円形テスト画像を記録する。テスト画像記録完了時刻を0分0秒として、その後、経過時刻2分30秒からデータの読出しを開始した。経過時刻9分において、第1のホログラムメモリ1の外部から消去光を照射して人為的にデータを破壊した。その直後に、読出しデータ出力の低下が認められるが、数秒後には第1のホログラムメモリ1のデータ修復が完了し、読出し出力も定常値に回復している。
【0035】
また、その後経過時刻約17分において、今度は第2のホログラムメモリ2の外部から消去光を照射して人為的に第2のホログラムメモリ2のデータを破壊した。その直後に、読出しデータ出力の低下が認められるが、数秒後には第2のホログラムメモリ2のデータ修復が完了し、読出し出力も再び定常値に回復している。また、観測時刻25分全体にわたり、テストに用いた円形イメージは安定した形状を維持していることが確認された。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態例(実施例)に限定されること無く様々な実施の形態を採り得る。例えば、読出し光、参照光は共に、データ修復時には参照光として作用する必要があるため、データの自動修復動作を行うためには、書込み光と、参照光と、読出し光は同じ周波数の光を使用することが必要となる。その場合は、書込み光と、参照光と、読出し光の光源の一部又は全部を共有化することも可能となる。
【0037】
また、前記書込み光と、参照光と、読出し光の他に別の波長の読出し光を元の読出し光と同時に入射させ、別の波長の出力光を得るということも可能である。具体的には、可視光の書込み光、参照光、読出し光を使用して、データの書込みと自動修復を行い、データの読出しは波長の異なる赤外光を可視の読出し光(専らデータの自動修復用として使用)と同時に入射させ、赤外光のデータ出力を得る構成とすることができる。
【0038】
この考え方をさらに発展させれば、最初のデータ書込みの際に、赤外光の書込み光と参照光を用いて、ホログラムメモリにデータを書込み、その後のデータの維持・修復は3つの可視光で行いつつ、上記の方法によってデータを赤外光で読出せば、データの書込みと読出しは赤外光で行い、書込まれたデータの維持および自動修復は可視光で行うという構成も可能になる。
【0039】
また、上記実施形態例では、2つのホログラムメモリを配列配置したが、3つ以上の複数のホログラムメモリを配列配置した構成としてもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば次の効果が得られる。
(1)データの修復機能が常時働いているため、データ破損の検出が不要である。
(2)データの修復動作においては、光学系の切替えなどのメカニカルな操作および電子的な制御が一切不要である。
(3)二つのホログラムメモリの他には、ビームスプリッタやミラー等の光学素子のみで構成されるため、組み立てが容易であり、また、半導体レーザの使用により小型化も可能である。
(3)ホログラムメモリをベースにしているため、二次元データの一括書込み/読出しによる高速データアクセスを実現できる。走査系、位置決め、光・電気変換器などが不要である。
(4)可視光域のみならず近赤外域でも動作するため、現行の光ディスクメモリであるCD(約760nm 近赤外)やDVD(約650nm 赤色)とのデータ交換に応用できる。特に、光ディスクに記録されたデータを一括読出して、ホログラムへの一括記録が可能になる。
(5)光源として半導体レーザを用いることにより、低価格、高信頼性、低消費電力である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例のホログラフィック光メモリ装置の要部構成をデータの書込み動作(図1(a))とデータ読出し動作(図1(b))とともに示す図である。
【図2】同実施形態例装置のデータ修復動作の説明図である。
【図3】フォトリフラクティブ効果の説明図である。
【図4】LiNbO3結晶における結合係数の角度依存性の説明図である。
【図5】LiNbO3結晶の光学的性質の説明図である。
【図6】一実施例のホログラフィック光メモリ装置の評価実験装置の説明図である。
【図7】図6の実験装置を使用して行ったメモリ修復実験結果を示す図である。
【図8】ホログラフィック光メモリ装置を用いたデータの一括書込みと一括読出し状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1のホログラムメモリ
2 第2のホログラムメモリ
S、S1、S2 書込み光
RD、RD1、RD2 読出し光
RF、RF1、RF2 参照光(ホログラム参照光)
Claims (5)
- 光信号によってデータの書込みと読出しを行うホログラフィック光メモリ装置において、書込みデータの入力と読出しデータの出力とを兼用するデータ入出力兼用光経路上であって当該光経路方向に間隔を介して配列配置された少なくとも2個のホログラムメモリと、各ホログラムメモリに同一の参照光を同一方向に入力する参照光入力手段と、各ホログラムメモリの前記参照光の入射位置と対向する位置に当該参照光とは反対方向から当該参照光と平行にそれぞれ同一の読出し光を入力する読出し光入力手段と、を備え、前記データ入出力兼用光経路を通して入力されるデータ入力光と前記参照光入力手段により入力される参照光とによりフォトリフラクティブ効果によって各ホログラムメモリに同一の回折格子を形成することで同一の書込みデータを記憶し、前記読出し光入力手段により入力される読出し光によって各ホログラムメモリの記憶データを回折光の形態で前記データ入出力兼用経路を前記データ入力光の入力進行方向とは逆方向に読み出し、一方のホログラムメモリから読み出されたデータ出力の回折光を他方のホログラムメモリから読み出されたデータ出力の回折光に重ねて前記データ入出力兼用光経路を前記データ入力光の入力進行方向とは逆方向に通して出力する構成としたホログラフィック光メモリ装置。
- 書込みデータの入力光、参照光および読出し光は可視光又は赤外光とした請求項1記載のホログラフィック光メモリ装置。
- ホログラムメモリはLiNbO3をベースとした材料により形成されている請求項1又は請求項2記載のホログラフィック光メモリ装置。
- 参照光入力手段はデータの書込み時ばかりでなく各ホログラムメモリからデータを読出す動作期間においても参照光を各ホログラムメモリへ入力する構成とした請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のホログラフィック光メモリ装置。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載されたホログラフィック光メモリ装置のメモリ修復方法において、2つのホログラムメモリのうち、データ出力方向の下流側のホログラムメモリを修復する場合には、読出し光入力手段によって読出し光を各ホログラムメモリに入力し、記録データが破壊されていない上流側のホログラムメモリから記録データを回折光として読み出し、データ入出力兼用光経路を通してその読出しデータの回折光を下流側のホログラムメモリに出力し、該下流側のホログラムメモリに前記上流側のホログラムメモリから出力された回折光と読出し光入力手段から入力する読出し光とによって上流側のホログラムメモリに書き込まれている回折格子と同じ回折格子を書き込むことで、下流側のホログラムメモリの修復を行い、データ出力方向の上流側のホログラムメモリを修復する場合には、参照光入力手段によって参照光を各ホログラムメモリに入力し、記録データが破壊されていない下流側のホログラムメモリから記録データを回折光として読み出し、前記データ入出力兼用光経路を通してその読出しデータの回折光を上流側のホログラムメモリに出力し、該上流側のホログラムメモリに前記下流側のホログラムメモリから出力された回折光と参照光入力手段から入力する参照光とによって下流側のホログラムメモリに書き込まれている回折格子と同じ回折格子を書き込むことで、上流側のホログラムメモリの修復を行う、ホログラフィック光メモリ装置のメモリ修復方法。
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