JP4285796B2 - Viscous damper and seismic isolation structure using the same - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下部構造体と上部構造体との間に、下部構造体に対する上部構造体の相対的な横方向の移動を許容すると共に、この横方向の移動において下部構造体に対して上部構造体に相対的な縦移動を生じさせる免震支承装置が配されている免震構造物に用いて好適な粘性ダンパ及びこのような粘性ダンパを具備した免震構造物に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば美術館、博物館、寺院等の建物内には、仏像、彫刻、陶磁器等の貴重な美術品又は骨董品が展示台上に載置され又は展示ケース内に収容されて展示されているが、展示台又は展示ケースが直接に建物の床上に載置されていると、地震の発生により転倒して美術品が破壊、損傷される虞がある。
【0003】
このため特公昭62−32300号公報に記載された免震支承装置を、展示台又は展示ケースと建物の床と間に介在させて、地震の振動を展示台又は展示ケースに伝達させないで、地震の振動エネルギを適宜に吸収して、美術品の破壊、損傷を回避する免震台に用いることが提案されている。
【0004】
上記の免震支承装置は、下耐圧板と、この下耐圧板上に配された中間耐圧板と、この中間耐圧板上に配される上耐圧板と、中間耐圧板を、水平面内の一の方向に移動可能とするように下耐圧板上で支持して、下耐圧板と中間耐圧板との間に介在されたローラベアリングと、上耐圧板を、水平面内の他の一の方向に移動可能とするように中間耐圧板上で支持して、中間耐圧板と上耐圧板との間に介在された他のローラベアリングとを具備してなるものであるが、この免震支承装置では、振動エネルギに対しての減衰量が必ずしも十分でなく、地震が治まってからも展示台又は展示ケースが振動する虞があり、これを防ぐためにこの種の免震支承装置には粘性ダンパが通常併設される。
【0005】
ところで、粘性体を収容する収容体と、この収容体内に、当該収容体の内壁面と所定の隙間をもって粘性体内に配された抵抗板とを具備した粘性ダンパをこの種の免震支承装置に併設する場合、この免震支承装置が相対的な横方向の移動を許容すると共に、この横方向の移動において下部構造体(下耐圧板又は中間耐圧板)に対して上部構造体(中間耐圧板又は上耐圧板)に相対的な縦移動を生じさせるために、中間耐圧板又は上部構造体に取り付けられた抵抗板に収容体に対して同じく相対的な縦移動を生じさせることになる。
【0006】
上記の粘性ダンパによって生じる粘性剪断抵抗力の大きさは、横方向に沿う収容体の内壁面に対面する抵抗板の粘性体に接する面の面積と、当該収容体の内壁面と抵抗板の面との隙間間隔(距離)と、隙間に配された粘性体の粘性と、収容体と抵抗板との間の相対速度とに関与する結果、上記のように収容体に対して抵抗板に相対的な縦移動が生じると、抵抗板の粘性体への没入量が変化して収容体の内壁面に対面する抵抗板の粘性体に接する面積が変化することになる。このように粘性体に接する抵抗板の面積が変化すると、これに基づいて当該粘性ダンパによって生じる粘性剪断抵抗力の大きさが変化することとなり、地震の振動エネルギを所望に減衰させることができなくなる虞がある。
【0007】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、下部構造体に対する上部構造体の相対的な横方向の移動を許容すると共に、この横方向の移動において下部構造体に対して上部構造体に相対的な縦移動を生じさせる免震支承装置に併用して好適であって、上部構造体に相対的な縦移動が生じて抵抗板の粘性体への没入量が変化しても、これによっては粘性剪断抵抗力の大きさを変化させないで、所望に地震の振動エネルギを減衰させることができる粘性ダンパ及びこのような粘性ダンパを具備した免震構造物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の粘性ダンパは、下部で免震構造物の下部構造体に固定されるようになっている収容体と、この収容体に収容された粘性体と、収容体内に、当該収容体の内壁面と所定の隙間をもって且つ一部の部位が粘性体内に没入されて配されていると共に上部で免震構造物の上部構造体に固定されるようになっている水平移動自在な抵抗板とを具備しており、収容体に対する抵抗板の相対移動において、抵抗板の粘性体内に没入された部位により粘性体を剪断して、この剪断により収容体に対する抵抗板の相対移動のエネルギを減衰させるようにした粘性ダンパであって、収容体には、所定高さに狭窄部が設けられており、抵抗板の粘性体内に没入された部位の両幅広平坦面に対面すると共に粘性体内に没入された収容体の内壁面は、一方の幅広平坦面に近接した近接面と、この近接面の最下縁及び最上縁に上下方向で隣接して位置していると共に、当該近接面と比較して一方の幅広平坦面からより多く離反した離反面とを具備しており、狭窄部は、収容体の近接面からなる狭窄部位と、この近接面に対面する収容体の内壁面からなる狭窄部位とからなっており、抵抗板は、両狭窄部位間に挿通されており、近接面からなる狭窄部位の最下縁は、収容体に対する抵抗板の相対移動における抵抗板の粘性体内に没入された部位の下縁の最大上昇位置よりも上方に配されており、粘性体は、近接面からなる狭窄部位の最上縁が、抵抗板の移動に伴い上下動する粘性体の上面の最大下降位置よりも下方に配されるように、収容体に収容されており、一方の幅広平坦面から近接面までの距離と当該一方の幅広平坦面から離反面までの距離との比が1/3以下であり、粘性ダンパの性能が、両狭窄部位間を移動する抵抗板の剪断抵抗により決定づけられることを特徴とする。
【0009】
本発明において、収容体は、下部で免震構造物の下部構造体に固定されるようになっており、抵抗板は、上部で免震構造物の上部構造体に固定されるようになっている。収容体は、好ましい例では、本体と、この本体の対向する両内面の少なくとも一方に、より好ましくは両内面に溶接等により固着された矩形体とを具備しており、幅広平坦面に対面する矩形体の側壁面が近接面とされるが、これに代えて、収容体を、本体のみで構成し、この本体の対向する両内面の少なくとも一方を、好ましくは、両内面を適宜変形し若しくは肉厚にして、これにより近接面と離反面とを具備した収容体の内壁面としてもよい。
【0010】
また、近接面は、必ずしも連続面である必要はなく、複数の部分近接面の集合体であってもよい。本体の対向する両内面の夫々に矩形体等を固着して近接面とする場合、この近接面を互いに対面するように、同位置に配する必要はなく、一方の近接面が他方の近接面に対して縦方向及び横方向の少なくとも一方にずれていてもよい。粘性体としては、高粘性を有するシリコン製のものを使用するのが好ましい。
【0011】
本発明では、離反面は、近接面と比較して、抵抗板の幅広平坦面からより多く離反していればよいのであるが、具体的には、好ましくは、幅広平坦面と近接面との距離d1と、幅広平坦面と離反面との距離d2との比d1/d2が1/3以下であればよく、より好ましくは、1/10以下であればよい。
【0012】
上記の粘性ダンパを用いた本発明の免震構造物では、免震構造物の下部構造体と上部構造体との間に、下部構造体に対する上部構造体の相対的な横方向の移動を許容すると共に、この横方向の移動において下部構造体に対して上部構造体に相対的な縦移動を生じさせる免震支承装置が配されている。本発明の免震構造物は、好ましい例では、展示物用の免震台であるが、本発明は、これに必ずしも限定されず、例えば事業用の免震ビル、免震集合住宅、免震戸建住宅等であってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何等限定されないのである。
【0014】
【実施例】
図1及び図2において、本例の粘性ダンパ1は、粘性体2を収容する収容体3と、収容体3内に、当該収容体3の内壁面4と所定の隙間をもって且つ一部の部位5が粘性体2内に没入されて配された抵抗板6とを具備している。
【0015】
収容体3は、底板11、一対の互いに対向する側板12及び13並びに一対の互いに対向する横板14及び15からなる本体16と、側板12及び13の対向面17及び18に夫々溶接等により固着された矩形体19及び20とを具備している。収容体3は、その下部で溶接等により免震構造物の下部構造体21の上面22に固定される。なお、底板11を省いて、収容体3を取り付ける下部構造物21の上面22を底板として用いてもよい。
【0016】
抵抗板6は、その上部で溶接等により免震構造物の上部構造体25の下面26に固定される。
【0017】
収容体3の内壁面4において、収容体3に対する抵抗板6の横方向の相対移動方向、本例では水平方向Hに沿う部位5の平坦面、すなわち幅広平坦面31及び32に夫々対面する収容体3の内壁面33及び34は、平坦面31及び32に近接する近接面35及び36と、近接面35及び36の下縁37及び38に隣接して位置しており、近接面35及び36と比較して平坦面31及び32からより多く離反した離反面39及び40とを具備している。このように本例では、部位5の両平坦面31及び32に夫々対面する矩形体19及び20の側壁面が近接面35及び36とされており、離反面39及び40と同様の離反面41及び42が、近接面35及び36の上縁43及び44に隣接して位置して設けられている。近接面35及び36の最上縁でもある上縁43及び44は、収容体3に対する抵抗板6の相対移動、本例では地震による収容体3に対する抵抗板6の縦方向である垂直方向Vの相対移動における粘性体2の上面45の最大下降位置よりも下方に配されている。したがって、本例では、収容体3には、近接面35からなる狭窄部位と、近接面35に対面する収容体3の内壁面であって近接面36からなる狭窄部位とからなって、粘性体2を収容する収容体3内を狭窄する狭窄部が所定高さに設けられており、抵抗板6の粘性体2内に没入された部位5の平坦面31に対面する収容体3の内壁面33は、平坦面31に近接した近接面35と、近接面35の下縁37及び上縁43に隣接して位置していると共に、当該近接面35と比較して平坦面31からより多く離反した離反面39とを具備しており、抵抗板6は、近接面35からなる狭窄部位及び近接面36からなる狭窄部位の両狭窄部位間に挿通されており、粘性体2は、近接面35からなる狭窄部位の最上縁でもある上縁43が、抵抗板6の移動に伴い上下動する粘性体2の上面45の最大下降位置よりも下方に配されるように、収容体3に収容されている。
【0018】
近接面35及び36の最下縁でもある下縁37及び38は、収容体3に対する抵抗板6の垂直方向Vの相対移動における部位5の下縁51の最大上昇位置よりも上方に配されている。したがって、近接面35からなる狭窄部位の最下縁でもある下縁37は、収容体3に対する抵抗板6の相対移動における抵抗板6の粘性体2内に没入された部位5の下縁51の最大上昇位置よりも上方に配されている。
【0019】
部位5の平坦面31及び32と近接面35及び36との距離d1と、部位5の平坦面31及び32と離反面39及び40並びに41及び42との距離d2との比d1/d2は、1/3以下であり、より好ましい例では、1/10以下である。
【0020】
以上の粘性ダンパ1では、収容体3に対する抵抗板6の水平方向Hの相対移動において、部位5により粘性体2を剪断してこの剪断により収容体3に対する抵抗板6の水平方向Hの相対移動のエネルギを減衰させるようになっている。そして、粘性ダンパ1では、離反面39及び40並びに41及び42に比較して近接面35及び36が平坦面31及び32に十分に近接して位置しているため、離反面39及び40並びに41及び42と平坦面31及び32との間で生じる粘性剪断抵抗に比較して近接面35及び36と平坦面31及び32との間で生じる粘性剪断抵抗が十分に大きくなり、離反面39及び40並びに41及び42と平坦面31及び32との間で生じる粘性剪断抵抗を無視できることになり、結局、上記の剪断により生じる粘性剪断抵抗は、近接面35及び36と平坦面31及び32との間で生じる粘性剪断抵抗に実質的に依存することになる。このように粘性ダンパ1では、その性能が、近接面35からなる狭窄部位及び近接面36からなる狭窄部位の両狭窄部位間を移動する抵抗板6の剪断抵抗により決定づけられる。
【0021】
したがって、粘性ダンパ1では、地震において収容体3に対して抵抗板6に水平方向Hの相対移動に加えて垂直方向Vの相対移動が生じて抵抗板6の粘性体2への没入量(部位5の粘性体2に接する面積)が変化しても、その垂直方向Vの相対移動により、部位5の下縁51が近接面35及び36の下縁37及び38を超えて上昇せず、しかも、抵抗板6の粘性体2への没入量の変化に起因する粘性体2の上面45の変動において粘性体2の上面45が近接面35及び36の上縁43及び44を超えて下降しない限り、近接面35及び36と平坦面31及び32との粘性体2を介在した面積が一定であり、かつ部位5による粘性体2の剪断で生じる粘性剪断抵抗が、主に、近接面35及び36と平坦面31及び32との間で生じる粘性剪断抵抗に依存した値となる結果、この値でもって収容体3に対する抵抗板6の水平方向H及び垂直方向Vの相対移動のエネルギが減衰されるようになっている。換言すれば、粘性ダンパ1では、収容体3に対して抵抗板6の相対的な縦移動が生じて抵抗板6の粘性体2への没入量が変化しても、これによっては粘性剪断抵抗力の大きさを変化させないで、所望に地震の振動エネルギを減衰させることができるのである。
【0022】
次に、粘性ダンパ1を免震構造物としての展示物用の免震台61に用いた例を図3及び図4に示す。図3及び図4において、免震台61は、下部構造物としての下部枠体62と、下部枠体62に対して上部構造物(次の上部枠体64に対しては下部構造物となる)としての中間枠体63と、下部構造物としての中間枠体63に対して上部構造物としての上部枠体64と、下部枠体62と中間枠体63との間及び中間枠体62と上部枠体64との間に夫々配された複数の免震支承装置65とを具備しており、粘性ダンパ1は、免震支承装置65と同様に、下部枠体62と中間枠体63との間及び中間枠体63と上部枠体64との間に夫々配されている。免震台61の上部枠体64に固定して展示ケース66等が載置される。
【0023】
各免震支承装置65は、同様に構成されており、下部枠体62と中間枠体63との間に配された免震支承装置65の夫々は、円弧上面71を有して下部枠体62に固着された下部ローラ受け72と、円弧下面73を有して中間枠体63に固着された上部ローラ受け74と、下部ローラ受け72及び上部ローラ受け74間に配されたローラ75とを具備しており、中間枠体63と上部枠体64との間に配された免震支承装置65の夫々は、同じく円弧上面71を有して中間枠体63に固着された下部ローラ受け72と、円弧下面73を有して上部枠体64に固着された上部ローラ受け74と、下部ローラ受け72及び上部ローラ受け74間に配されたローラ75とを具備している。
【0024】
下部枠体62と中間枠体63との間に配されて、下部枠体62に対して中間枠体63を免震支持する免震支承装置65は、ローラ75の下部ローラ受け72と上部ローラ受け74との間での転動により下部枠体62に対する中間枠体63の水平方向HにおけるH1方向の移動を許容し、H1方向の移動において下部枠体62に対して中間枠体63に縦移動、すなわちV方向の移動を生じさせ、中間枠体63と上部枠体64との間に配されて、中間枠体63に対して上部枠体64を免震支持する免震支承装置65は、ローラ75の下部ローラ受け72と上部ローラ受け74との間での転動により中間枠体63に対する上部枠体64の水平方向HにおいてH1方向に直交するH2方向の移動を許容し、H2方向の移動において中間枠体63に対して上部枠体64に縦移動、すなわちV方向の移動を生じさせる。
【0025】
下部枠体62と中間枠体63との間に配された粘性ダンパ1においては、その収容体3は、下部で溶接等により下部枠体62の上面に固定され、その抵抗板6は、上部で溶接等により中間枠体63の下面に固定されており、中間枠体63と上部枠体64との間に配された粘性ダンパ1においては、その収容体3は、下部で溶接等により中間枠体63の上面に固定され、その抵抗板6は、上部で溶接等により上部枠体64の下面に固定されている。
【0026】
以上の免震台61では、地震により床76が水平方向H1又はH2に振動した場合、下部枠体62に対して中間枠体63が水平方向H1に又は中間枠体63に対して上部枠体64が水平方向H2に相対的に移動されると共に、下部枠体62に対して中間枠体63が又は中間枠体63に対して上部枠体64が垂直方向Vに移動されて、展示ケース66への床76からの水平方向H1又はH2の振動の伝達を防止するようになっている。そして、免震台61では、下部枠体62に対する中間枠体63の水平方向H1及び垂直方向Vの相対移動において又は中間枠体63に対する上部枠体64の水平方向H2及び垂直方向Vの相対移動において、粘性ダンパ1により粘性剪断抵抗が生じて、当該相対移動のエネルギが減衰される。しかも、免震台61では、下部枠体62に対して中間枠体63が又は中間枠体63に対して上部枠体64が垂直方向Vに移動されても、上記のように抵抗板6の粘性体2への没入量の変化に影響されることなしに、粘性ダンパ1により所望の粘性剪断抵抗が生じる結果、地震による床76に対する展示ケース66の垂直方向V及び水平方向H1又はH2の相対的な振動が可及的速やかに減衰されることになる。
【0027】
上記の粘性ダンパ1では、側板12及び13の対向面17及び18に夫々固着された矩形体19及び20により近接面35及び36と離反面39及び40並びに41及び42とを形成したが、これに代えて、図5に示すように側板12及び13の中間部を断面コ字状に曲折させて、近接面35及び36と離反面39及び40並びに41及び42とを形成してもよい。
【0028】
また、図6に示すように、近接面35及び36が垂直方向Vにおいて互いにずれて対面するように、矩形体19及び20とを側板12及び13の対向面17及び18に夫々溶接等により固着してもよく、この場合には、近接面35及び36の最下縁は、下側の近接面36の下縁38となり、近接面35及び36の最上縁は、上側の近接面35の上縁43となり、下縁38を部位5の下縁51の最大上昇位置よりも上方に配し、上縁43を粘性体2の上面45の最大下降位置よりも下方に配する。
【0029】
更に、図7に示すように、近接面35及び36の夫々が垂直方向Vにおいて断続されて配された複数の部分近接面35a及び35b並びに36a及び36bの集合体からなるように、夫々複数の部分矩形体19a及び19b並びに20a及び20bからなる矩形体19及び20を側板12及び13の対向面17及び18に夫々溶接等により固着してもよく、この場合には、近接面35及び36の最下縁は、下側の部分近接面36bの下縁38bとなり、近接面35及び36の最上縁は、上側の部分近接面35aの上縁43aとなり、下縁38bを部位5の下縁51の最大上昇位置よりも上方に配し、上縁43aを粘性体2の上面45の最大下降位置よりも下方に配する。
【0030】
また、近接面35及び36を互いに同一の面積をもって形成する必要はなく、図8に示すように、近接面35の面積を近接面36の面積よりも小さくしてもよく、更に、図9に示すように、平坦面31に近接する近接面35を省いて、粘性ダンパ1を形成してもよい。この場合、狭窄部は、近接面36からなる狭窄部位と、この近接面36に対面する収容体3の内壁面33の一部の壁面からなる狭窄部位とからなる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、下部構造体に対する上部構造体の相対的な横方向の移動を許容すると共に、この横方向の移動において下部構造体に対して上部構造体に相対的な縦移動を生じさせる免震支承装置に併用して好適であって、上部構造体に相対的な縦移動が生じて抵抗板の粘性体への没入量が変化しても、これによっては粘性剪断抵抗力の大きさを変化させないで、所望に地震の振動エネルギを減衰させることができる粘性ダンパ及びこのような粘性ダンパを具備した免震構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一実施例の側面断面説明図である。
【図2】図1の実施例の粘性ダンパの分解斜視図である。
【図3】図1の実施例を免震台に用いた例の正面図である。
【図4】図3の例の側面図である。
【図5】本発明の好ましい他の実施例の側面断面説明図である。
【図6】本発明の好ましい更に他の実施例の側面断面説明図である。
【図7】本発明の好ましい更に他の実施例の側面断面説明図である。
【図8】本発明の好ましい更に他の実施例の側面断面説明図である。
【図9】本発明の好ましい更に他の実施例の側面断面説明図である。
【符号の説明】
1 粘性ダンパ
2 粘性体
3 収容体
4、33、34 内壁面
5 部位
6 抵抗板
31、32 平坦面
35、36 近接面
37、38 下縁
39、40 離反面
43、44 上縁
45 上面
51 下縁[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention allows the relative movement of the upper structure relative to the lower structure between the lower structure and the upper structure, and the upper structure relative to the lower structure in this lateral movement. BACKGROUND OF THE
[0002]
[Problems to be solved by the invention]
For example, in buildings such as museums, museums, temples, precious artworks or antiques such as Buddha statues, sculptures, ceramics, etc. are placed on display stands or housed in display cases. If the table or the display case is placed directly on the floor of the building, there is a risk that the artwork will be destroyed and damaged due to a fall due to the occurrence of an earthquake.
[0003]
For this reason, the seismic isolation device described in Japanese Examined Patent Publication No. 62-32300 is interposed between the exhibition stand or the display case and the floor of the building so that the earthquake vibration is not transmitted to the display stand or the display case. It has been proposed to absorb the vibration energy of the earth appropriately and use it for a base-isolated table that avoids the destruction and damage of works of art.
[0004]
The seismic isolation bearing device includes a lower pressure plate, an intermediate pressure plate disposed on the lower pressure plate, an upper pressure plate disposed on the intermediate pressure plate, and the intermediate pressure plate in a horizontal plane. The roller bearing interposed between the lower pressure plate and the intermediate pressure plate, and the upper pressure plate are supported in the other direction in the horizontal plane. It is supported on the intermediate pressure plate so as to be movable, and is provided with other roller bearings interposed between the intermediate pressure plate and the upper pressure plate. In order to prevent the display stand or display case from vibrating even after the earthquake has ceased, there is usually a viscous damper in this type of seismic isolation bearing device. It is attached.
[0005]
By the way, this type of seismic isolation device includes a viscous damper that includes a container that houses a viscous body, and a resistance plate that is disposed in the container with a predetermined clearance from the inner wall surface of the container. In the case where it is also provided, this seismic isolation device allows relative lateral movement, and the upper structure (intermediate pressure plate) with respect to the lower structure (lower pressure plate or intermediate pressure plate) in this lateral movement. In addition, in order to cause a relative vertical movement in the upper pressure-resistant plate), a relative vertical movement with respect to the container is caused in the resistance plate attached to the intermediate pressure-resistant plate or the upper structure.
[0006]
The magnitude of the viscous shear resistance generated by the viscous damper is defined by the area of the surface of the resistance plate that contacts the inner wall surface of the container along the lateral direction and the surface of the container and the surface of the resistance plate. As a result of being involved in the gap interval (distance) between the container and the viscosity of the viscous body disposed in the gap and the relative speed between the container and the resistance plate, as described above, relative to the resistance plate When the vertical movement occurs, the amount of immersion of the resistance plate into the viscous body changes, and the area of the resistance plate that contacts the inner wall surface of the container changes in contact with the viscous body. When the area of the resistance plate in contact with the viscous body changes in this way, the magnitude of the viscous shear resistance generated by the viscous damper changes based on this, and the vibration energy of the earthquake cannot be attenuated as desired. There is a fear.
[0007]
The present invention has been made in view of the above-described points, and an object of the present invention is to permit the relative lateral movement of the upper structure relative to the lower structure, and to lower the lower structure in this lateral movement. Suitable for use in seismic isolation devices that cause the vertical movement of the upper structure relative to the structure, and the vertical movement of the upper structure causes the resistance plate to be immersed in the viscous body. A viscous damper capable of damping the vibration energy of an earthquake as desired without changing the magnitude of the viscous shear resistance force even if the amount changes, and a seismic isolation structure equipped with such a viscous damper. It is to provide.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The viscous damper of the present invention includes a container that is fixed to the lower structure of the seismic isolation structure at a lower part, a viscous body that is accommodated in the container, and an inner body of the container. A horizontally movable resistance plate having a predetermined clearance and a part of the wall surface and a part of which is immersed in the viscous body and fixed to the upper structure of the seismic isolation structure at the upper part. In the relative movement of the resistance plate with respect to the container, the viscous body is sheared by a portion immersed in the viscous body of the resistance plate, and the energy of the relative movement of the resistance plate with respect to the container is attenuated by this shearing. The container is provided with a constricted portion at a predetermined height, facing the both wide flat surfaces of the portion of the resistance plate that has been immersed in the viscous body and being immersed in the viscous body. The inner wall of the container is wide on one side The proximity surface adjacent to the carrier surface is adjacent to the lowermost edge and the uppermost edge of the proximity surface in the vertical direction, and is separated from one wide flat surface more than the adjacent surface. The constriction part is composed of a stenosis part consisting of the proximity surface of the container and a stenosis part consisting of the inner wall surface of the container facing this proximity surface. The lowermost edge of the constricted part composed of the adjacent surface is inserted above the part, and the uppermost position of the lower edge of the part immersed in the viscous body of the resistance plate in the relative movement of the resistance plate to the container is higher than the maximum rising position. The viscous body is placed in the container so that the uppermost edge of the constricted portion consisting of the adjacent surface is disposed below the maximum descending position of the upper surface of the viscous body that moves up and down as the resistance plate moves. The distance from one wide flat surface to the adjacent surface The ratio of the distance to the separating surface from one of the wide flat surface is 1/3 or less, the performance of the viscous damper, characterized in that dictated by the shear resistance of the resistive plate to move between the stenosis.
[0009]
In the present invention, the container is fixed to the lower structure of the base isolation structure at the lower part, and the resistance plate is fixed to the upper structure of the base isolation structure at the upper part. Yes. In a preferred example, the container includes a main body and at least one of both opposing inner surfaces of the main body, more preferably a rectangular body fixed to both inner surfaces by welding or the like, and faces the wide flat surface. The side wall surface of the rectangular body is a proximity surface, but instead, the container is composed of only the main body, and at least one of both opposing inner surfaces of the main body, preferably both inner surfaces are appropriately deformed or It is good also as an inner wall surface of the container which made it thick and thereby comprised the proximity | contact surface and the separation surface.
[0010]
Further, the proximity surface is not necessarily a continuous surface, and may be an aggregate of a plurality of partial proximity surfaces. When a rectangular body or the like is fixed to each of both opposing inner surfaces of the main body to make a proximity surface, it is not necessary to place the proximity surfaces in the same position so that the proximity surfaces face each other, and one proximity surface is the other proximity surface However, it may be displaced in at least one of the vertical direction and the horizontal direction. As the viscous material, a silicon material having high viscosity is preferably used.
[0011]
In the present invention, the separation surface only needs to be separated from the wide flat surface of the resistance plate more than the proximity surface. Specifically, preferably, the separation surface is preferably formed between the wide flat surface and the proximity surface. The ratio d1 / d2 between the distance d1 and the distance d2 between the wide flat surface and the separating surface may be 1/3 or less, more preferably 1/10 or less.
[0012]
In the seismic isolation structure of the present invention using the above viscous damper, relative lateral movement of the upper structure relative to the lower structure is allowed between the lower structure and the upper structure of the seismic isolation structure. In addition, a seismic isolation bearing device is provided that causes a relative vertical movement of the upper structure relative to the lower structure in this lateral movement. In a preferable example, the seismic isolation structure of the present invention is a seismic isolation table for exhibits, but the present invention is not necessarily limited to this, for example, a business-use seismic isolation building, seismic isolation housing, seismic isolation It may be a detached house.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, embodiments of the present invention will be described in more detail based on preferred examples shown in the drawings. The present invention is not limited to these examples.
[0014]
【Example】
1 and 2, the
[0015]
The
[0016]
The
[0017]
On the
[0018]
The lower edges 37 and 38 that are also the lowermost edges of the proximity surfaces 35 and 36 are arranged above the maximum rising position of the
[0019]
The ratio d1 / d2 between the distance d1 between the
[0020]
In the
[0021]
Therefore, in the
[0022]
Next, an example in which the
[0023]
Each of the seismic
[0024]
The seismic
[0025]
In the
[0026]
In the base isolation table 61 described above, when the
[0027]
In the
[0028]
Further, as shown in FIG. 6, the
[0029]
Further, as shown in FIG. 7, each of the proximity surfaces 35 and 36 includes a plurality of
[0030]
Further, it is not necessary to form the proximity surfaces 35 and 36 with the same area as each other. As shown in FIG. 8, the area of the
[0031]
【The invention's effect】
According to the present invention, the horizontal movement of the upper structure relative to the lower structure is allowed, and the vertical movement of the upper structure relative to the lower structure is caused in the horizontal movement. It is suitable for use with seismic isolation bearing devices, and even if the relative displacement of the superstructure occurs and the amount of immersion of the resistance plate into the viscous body changes, this will affect the magnitude of the viscous shear resistance. It is possible to provide a viscous damper capable of damping the vibration energy of an earthquake as desired without changing the above, and a seismic isolation structure equipped with such a viscous damper.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory side sectional view of a preferred embodiment of the present invention.
FIG. 2 is an exploded perspective view of the viscous damper of the embodiment of FIG.
FIG. 3 is a front view of an example in which the embodiment of FIG. 1 is used for a base isolation table.
4 is a side view of the example of FIG. 3. FIG.
FIG. 5 is an explanatory side sectional view of another preferred embodiment of the present invention.
FIG. 6 is an explanatory side sectional view of still another preferred embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a side cross-sectional explanatory view of still another preferred embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a side cross-sectional explanatory view of still another preferred embodiment of the present invention.
FIG. 9 is an explanatory side sectional view of still another preferred embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (4)
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