JP4282133B2 - 人工衛星の分離姿勢安定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、宇宙空間で二機の人工衛星体からなる人工衛星を分離し、姿勢を安定させる人工衛星の分離姿勢安定装置に関するもので、特に、結合部をクランプバンドを用いて締め上げることにより結合された人工衛星の分離姿勢安定装置に関する。
また、人工衛星の分離等に伴う外乱により人工衛星の姿勢が大きく変動する場合に、人工衛星のスピン軸まわりにスピン運動を与えジャイロ剛性を確保するとともに、スピン軸を進行目標軸方向に漸近させニューテーション運動を減衰させる人工衛星の分離姿勢安定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の人工衛星の分離姿勢安定装置の例として、特開昭58−191700号公報に示された宇宙飛行体の分離装置が知られている。図26はこの公報に示されている従来の宇宙飛行体の分離装置の一実施例を示す概略図である。
図において、2はロケットまたは宇宙船等の親機、1は親機2に対する子機であって、人工衛星等の宇宙飛行体である、3は親機2の一面に設けられ表面に螺旋状の突起を備え、親機2と機械的に結合している螺旋状ガイド、4は子機1の一面に形成され螺旋状の溝を備え、螺旋状ガイド3と嵌合する嵌合部、5はスプリング、6は親機2と子機1を機械的に固定しておくための固定具である。
【0003】
このような従来の分離姿勢安定装置においては、先ず固定具6が解除されるとスプリング5の伸展力により子機1には図26の矢印a方向に分離力が作用する。このとき螺旋状ガイド3、並びに嵌合部4から、円周方向にも分力が作用するため、子機1は矢印bの向きにスピン運動を開始する。
最終的に螺旋状ガイド3と嵌合部4とが完全に離れた時には、子機1には十分な回転運動が与えられており、子機1はスピンが掛けられた安定した姿勢で親機2から分離される。
【0004】
ここで、固定具6としては例えばクランプバンドを用いたバンド式結合装置を使用することが可能であり、実開昭63−187705号公報に示されたバンド式結合装置が知られている。図27は、この公報で引用された従来のバンド式結合装置を示す断面図であり、図28は図27におけるXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。
図27および図28において、21は例えば人工衛星等の宇宙飛行体等の子機10の一部であって、端部に外向きのフランジ26を有する円筒状結合部、22は、例えば宇宙船等の親機20の一部であって、端部に外向きのフランジ23を有する円筒状結合部、28はクランプバンドである。
クランプバンド28は、ばね鋼板等で製作された帯状のバンド25と、このバンド25の中央部、両端部にそれぞれ固定された弧状の挟圧駒24、27を備えている。バンド25の両端部に固定された挟圧駒27の端部には、外方へ突出するタブ29が形成されている。
また、30は2個のクランプバンド28のバンド25同士を結合するための連結ボルト、31は連結ボルト30と係合した分離ナットである。分離ナット31には、爆薬(図示せず)が装填され、この爆薬が起爆すると分離ナット31に内蔵されたナット分割機構(図示せず)により分離ナット31が縦割りに分割される。
【0005】
このような従来のバンド式結合装置においては、バンド25の両端部に取付けられた挟圧駒27に連結ボルト30を挿通し、これに分離ナット31をねじ込んでバンド25同士を緊締するとともに、バンド25に固定された挟圧駒24、27により円筒状結合部21、22の端部外周に形成されたフランジ26、23の外周部を両側面から挟圧することにより親機と子機を結合する。
【0006】
人工衛星分離時には、親機と子機との結合部円周上の複数箇所、図27においては、両側に設けられた分離ナット31の爆薬が起爆され分離ナット31が分割される。すなわち、連結ボルト30と分離ナット31からなる連結ボルト部33、34の切断により、クランプバンド28の緊締が解かれクランプバンド28をフランジ22、26から解放する。
【0007】
また、従来の人工衛星の分離姿勢安定装置の例として、特開昭61−143299号公報に示されたスピンしている機体の姿勢制御方法および姿勢制御装装置が知られている。図29はこの公報に示されている従来のスピンしている機体の姿勢制御方法および姿勢制御装置の一実施例を示す概略斜視図である。図30はこの従来例のサイドジェット装置の噴射方向とトルクの方向との関係を示す線図である。図31はこの従来例のサイドジェット装置の噴射弁の配置を示す平面図である。
図29において、60は機体、40乃至42はレートセンサ、43は演算装置、44はサイドジェット装置である。サイドジェット装置44には4個の噴射ノズル45乃至48が備わっている。
【0008】
機体60は、あらかじめ別の装置により、図のXB−XBで表されるロール軸(スピン軸)まわりに一定の角速度ωsで回転させられている。
レートセンサ40乃至42はそれぞれ機体の主軸方向に沿って取り付けられており、その軸方向の機体60の角速度が測定される。またこの測定値から演算装置43を介して、機体60のオイラー角が計算される。これらの値からニューテーション角および機体60の角運動量ベクトルと進行目標軸方向とのなす角を計算し、両者の和および差の絶対値を求める。
機体60の姿勢制御においては、これらの絶対値の平均を評価関数とし、サイドジェット装置44によってこの評価関数を最小にする方向に一定の大きさのトルクを付加することで、機体60の姿勢を進行目標軸方向に収束させる。
【0009】
ここで、機体60は角速度ωsで回転しているため、図30に示すようにいずれかのノズルの噴射方向、図ではノズル45が評価関数を最小にする方向eoと直角をなした時に瞬間的に噴射することにより、機体60の姿勢を制御する。
【0010】
また、機体60にゆっくりスピンをかけながら、スピン軸を進行目標軸方向に向ける場合には、図31に示すようなサイドジェット装置のノズル配置を用いる。姿勢制御トルクを発生しない場合には、ノズル49乃至52を全部噴射して、スピン軸のXB軸まわりにのみトルクを発生し、ゆっくりとスピンを加速する。図31において、矢印YB、ZBは、スピン軸であるXB軸に対して垂直なYB軸、ZB軸を表し、かつYB軸、ZB軸は互いに垂直である。
姿勢制御トルクを発生する場合には、いずれかのノズルが適当な位置にきた時に、対向するノズルの噴射を瞬間的に止める。例えばノズル49の噴射を止めると、ノズル51によりZB軸まわりの制御トルクを発生することが可能で、これにより機体の姿勢を制御することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のバンド式結合装置を用いて結合された人工衛星の分離姿勢安定装置においては、固定具6として使用されるバンド式結合装置を人工衛星から解放する際に、例えば親機、子機の二機の人工衛星体の結合部円周上の複数箇所、図27の場合においては、円周上の対向する2箇所に配置された連結ボルト30と分離ナット31からなる連結ボルト部の切断タイミングによって、バンド25が挟圧駒27を介して、円筒状結合部21、22のフランジ26、23を緊締する力である初期のバンド張力(締めつけカ)、並びに連結ボルト部の切断時間差等に依存した力積が外乱としてバンド式結合装置から人工衛星に作用し、分離後の人工衛星の姿勢安定性が保たれないという問題点があった。
【0012】
図32は、図27に示したバンド式結合装置において、連結ボルト部33の連結ボルト30の切断のタイミングが、連結ボルト部34の連結ボルト30の切断のタイミングよりも相対的に早く片切れの状態となった場合に、バンド式結合装置から人工衛星に作用する接触力を模式的に示したものである。
図において、53はクランプバンド、54は人工衛星、55はクランプバンド53と人工衛星54の接触部分でクランプバンド53から人工衛星54に作用する接触力である。連結ボルト30の切断タイミングに時間差が存在すると、図に示すようにクランプバンド53は片側の連結ボルト部34のみが結合した片切れの状態となり、初期に与えられたクランプバンド53のバンド張力は、切断箇所から波動となって人工衛星結合部円周上を伝播しながら解放される。その結果、例えばクランプバンド53の解放中の図に示すような状況では、人工衛星54には図中矢印cで示す向きにこの接触力に起因する力積が作用し、これが二機の人工衛星体それぞれに分配され姿勢外乱として作用する。
【0013】
また、上述した特開昭58−191700号公報では、人工衛星に螺旋状ガイド3並びに嵌合部4を設け、分離に際し人工衛星にスピン運動を与えることで人工衛星の姿勢安定性を確保していたが、螺旋状ガイド3と嵌合部4との噛み合わせやそれらの間の摩擦力により分離が完結しない可能性があるという欠点があった。
【0014】
一方、上述したスピンしている機体の姿勢制御方法および姿勢制御装置においては、例えば前者の実施例では、ニューテーション運動を減衰させるための姿勢制御装置の他に機体にスピンを与えるための装置が別途必要であり、重量やコストの面で問題点があった。また後者の実施例では、機体にスピンをかける場合、並びに機体の姿勢を制御する場合で、ノズルの選択およびその噴射手法に対する切替えが必要であり、サイドジェット装置を構成する各ノズルの噴射を制御するアルゴリズムが複雑になるという欠点があった。
【0015】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、人工衛星結合部外周上の複数箇所にわたり配置された連結ボルト部の切断タイミングに時間差が存在しても衛星の姿勢を安定に分離可能で、さらに人工衛星にスピン運動等の姿勢安定のための付加的な運動並びにその運動を実現するための付加的な姿勢制御装置を用いることなしに、結合している二機の人工衛星体間で安定な分離を実現可能とする人工衛星の分離姿勢安定装置を得ることを目的とする。
【0016】
またこの発明は、人工衛星の分離等に伴う外乱により人工衛星にニューテーション運動が発生してもスピン軸を進行目標軸方向に漸近させることが可能で、さらに外乱等に対する姿勢安定性を確保するためにスピンの加速を行なってジャイロ剛性を確保する際に、スピンの加速に要する以外の特別な姿勢制御装置並びに複雑な姿勢制御アルゴリズムを用いることなしに、人工衛星の姿勢安定を実現可能とする人工衛星の姿勢安定装置を得ることを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る人工衛星の分離姿勢安定装置は、第1および第2人工衛星体のそれぞれの結合部の周方向に設けられた複数の結合部材により、第1人工衛星体と第2人工衛星体とを、第1人工衛星体の機体軸方向である第1機体軸方向および上記第2人工衛星体の機体軸方向である第2機体軸方向に分離可能な状態で結合する人工衛星の分離姿勢安定装置において、第2人工衛星体に、プッシュロッドと、プッシュロッドを第2機体軸方向に押し出す押し出し力を発生するプッシャと、プッシュロッドの端部に回転自在に連結する摩擦パッドを備え、第1人工衛星体に、第1機体軸方向に垂直な作用面を備え、摩擦パッドが作用面を押圧し第1人工衛星体を第2人工衛星体から分離させるとともに、摩擦パッドと作用面との間に第1機体軸方向に垂直な摩擦力を発生させるものである。
【0024】
また、この発明に係る人工衛星の分離姿勢安定装置は、第1人工衛星体のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加手段と、第1人工衛星体の進行目標軸方向に対する第1人工衛星体のスピン軸姿勢を検出する姿勢検出手段と、姿勢検出手段から得られた評価値に基づき、角運動量増加手段の作動するタイミングを生成するタイミング生成手段を備え、人工衛星分離後に、第1人工衛星体のスピン軸方向が進行目標軸方向に最も接近するタイミングで角運動量増加手段を作動させることにより、ニューテーション運動をする第1人工衛星体のスピン速度を上げて姿勢安定性を確保すると同時に、スピン軸方向を進行目標軸方向に漸近させるものである。
【0025】
また、この発明に係る人工衛星の分離姿勢安定装置は、第1人工衛星体のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加手段と、第1人工衛星体のスピン軸に直交する平面内の角速度を検出する角速度検出手段と、角速度検出手段から得られた角速度に基づく位相計算手段と、位相計算手段から得られた位相値に基づき、角運動量増加手段の作動するタイミングを生成するタイミング生成手段を備え、人工衛星分離後に、第1人工衛星体のスピン軸直交方向の角速度の位相が2π[rad]の整数倍経過したタイミングで角運動量増加手段を作動させることにより、ニューテーション運動をする第1人工衛星体のスピン速度を上げて姿勢安定性を確保すると同時に、スピン軸方向を進行目標軸方向に漸近させるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置を示す、第1の人工衛星体である人工衛星の子機100からみた断面図であり、図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
【0028】
図1において、第1の人工衛星体である人工衛星の子機100および第2の人工衛星体である人工衛星の親機200は、それぞれの円筒状結合部121、202が、端部に外向きのフランジ126、223(図2参照)を有し、バンド式結合装置により、分離可能な状態で結合されている。
このバンド式結合装置は、子機100のフランジ126、親機200のフランジ223の周方向に、設けられた2つの結合部材であるによりクランプバンド28により子機100と親機200を結合する。
クランプバンド28は、例えば、ばね鋼板で製作された帯状のバンド25と、このバンド25の中央部、両端部にそれぞれ固定された弧状の挟圧駒24、27を備えている。バンド25の両端部に固定された挟圧駒27の端部には、外方へ突出するタブ29が形成されている。
また、対向する2つのタブ29は、2個のクランプバンド28のバンド25同士を結合するための連結ボルト30が挿通され、分離ナット31が連結ボルト30と係合している。分離ナット31には、爆薬(図示せず)が装填され、この爆薬が起爆すると分離ナット31に内蔵されたナット分割機構(図示せず)により分離ナット31が縦割りに分割される。
【0029】
親機200と子機100は、バンド25の両端部に取付けられたタブ29に連結ボルト30を挿通し、これに分離ナット31をねじ込んでバンド25同士を緊締するとともに、バンド25に固定された挟圧駒24、27により円筒状結合部121、202の端部外周に形成されたフランジ126、223の外周部を両側面から挟圧することにより結合される。
【0030】
図2において、親機200の円筒状結合部202の内周面202aには、円筒状のプッシャ207を固定する固定具211が設けられ、内周面202aに固定されている。プッシャ207から細長の円柱棒であるプッシュロッド206がX2方向に子機100に向かって延びている。プッシュロッド206の先端には、ボールジョイント209を介して円錐台形状の摩擦パッド210が設けられている。これらの固定具211,プッシャ207,プッシュロッド206、ボールジョイント209、摩擦パッド210は、これらを一組として、図1に示すように、円周上に均等に4つ配置されている。
【0031】
図3は、プッシャ207、プッシュロッド206、ボールジョイント209、摩擦パッド210、固定具211の構造の詳細を示す側面図である。図において、プッシャ207は、両側から挟持する三角形状の平板である2つの側板211aと四角形状の平板である底板211bとからなる固定具211の底板211b上に配置され、固定されている。プッシャ207の内部には、円筒状穴が設けられ、コイルスプリングからなる分離ばね209が圧縮され、軸方向ばね力を保持した状態で配設されている、プッシュロッド206の一端には、円筒状のピストン206aが設けられ、分離ばね209と接触している。
この分離ばね209が、図示しない解除機構により解放されると、押し出し力を発生し、プッシュロッド206を親機200の機体軸方向である第2機体軸方向X2に押し出す。
【0032】
プッシュロッド206の他端には、ボールジョイント209が設けられ、プッシュロッド206に固定されている。また、ボールジョイント209は、摩擦パッド210にも固定されている。ここで、ボールジョイント209は、球形状をした端部ともったボールスタッドとこの球形状の部分と球面で接触する凹部をもったシートを備えたもので、例えば、シートをプッシュロッド206に固定し、ボールスタッドを摩擦パッド210に固定することで、摩擦パッド210の中心軸210cをボールジョイント209の球形状の部分を中心に任意の方向に向けることができるものであり、これにより、摩擦パッド210は、プッシュロッド206に回転自在に連結されることになる。
【0033】
摩擦パッド210は、円錐台形状の本体部210bの底面に、例えば、自動車用のブレーキ摩擦材である焼結合金からなり、摩擦係数の高い摩擦面210dを有する焼結パッド210aが固着されている。
また、摩擦パッド210の本体部210bとプッシュロッド206の端部の間には、これらに端部が固定されたコイルスプリング208が放射状に均等に4本配置され、子機100に接触していない状態では、摩擦パッド210が第2機体軸方向X2に向くように、ばね力が調整されている。
【0034】
図2に戻って、子機100の円筒状結合部121の内周面121aには、摩擦パッド210が押圧し、子機100の機体軸方向である第1機体軸方向X1に対して垂直な作用面108aを有する中空円板状の受圧板108が設けられている。
【0035】
次に、この発明の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置の作用を説明する。
子機100と親機200との結合状態において、X1、X2方向と一致し、子機100と親機200とを分離する方向である衛星分離方向XSへ、親機200から子機100を分離する時には、親機200と子機100との間の分離ナット31が分割される。すなわち、連結ボルト30と分離ナット31からなる連結ボルト部33、34の切断により、クランプバンド28の緊締が解かれクランプバンド28をフランジ126、223から解放する。
【0036】
この際、2ヶ所の連結ボルト部33、34が切断される時期である切断タイミングにずれが生じる場合がある。
例えば、図1において、左側の連結ボルト部33の切断タイミングが右側の連結ボルト部34の切断タイミングよりも相対的に早く、クランプバンド28が片切れの状態となった場合、子機100並びに親機200には、クランプバンド28が子機100と親機200とを結合させておく力である接触力に起因する力積がそれぞれ図4に示す矢印f、gの方向に作用する。
その結果、連結ボルト部33、34の切断直後には、子機100と親機200は、それぞれ、衛星分離方向XSに対して垂直な軸方向XT方向である矢印f、gの方向に相対並進運動を始める。また、同時に、子機100と親機200のそれぞれの質量中心を通り、衛星分離方向XSおよび垂直な軸方向XTに共に垂直な軸XU周りである矢印h、j方向に相対回転運動を始める。
【0037】
このような連結ボルト部33、34の切断直後には、右側の連結ボルト部34はまだ切断されておらず、またそこにはクランプバンド28の子機100と親機200とを結合させておく力である接触力は、解放されていないため、その付近のフランジ126、223は、挟圧駒27によってしっかりと把持されている。したがって、子機100と親機200、図4に示すように右側の連結ボルト部34が設けられている配置点Pであたかも回転ヒンジにより結合されているような運動を行なう。
【0038】
図5はこの時の人工衛星の子機100と親機200との結合部分の断面図を示している。
摩擦パッド210はボールジョイント209を介してプッシュロッド206の先端に取り付けられているため、図に示すように子機100と親機200との間で相対姿勢誤差が生じ、第1機体軸方向X1と第2機体軸方向X2との方向が一致しなくても、摩擦パッド210がボールジョイント209を中心に回転し、焼結パッド210a(図3参照)の摩擦面210dが作用面108aに対して全面で接触する。プッシュロッド206、ボールジョイント209を介してプッシャ207から受けた押し出し力を摩擦パッド210は作用面108aに作用させ、摩擦パッド210と作用面108aとの間に第1機体軸方向X1に垂直な摩擦力を発生させる。このように、摩擦パッド210の摩擦面210dが作用面108aに対して全面で接触するので、子機100と親機200との間で相対姿勢誤差が生じ、第1機体軸方向X1と第2機体軸方向X2とが一致しなくても、第1機体軸方向X1と第2機体軸方向X2とが一致している場合と同じ接触面積を確保することができる。このため、第1機体軸方向X1に垂直な摩擦力が十分発生するので、子機100と親機200との相対並進運動および相対回転運動を制限し、減衰させることができる。
【0039】
その結果、人工衛星は、子機100と親機200とに分離されても、クランプバンドの解放に伴う力積に対し相対運動を起こさないので、衛星分離方向XS方向には、子機100と親機200とに分離され相対変位していくものの、他の方向については、あたかも1機の人工衛星であるかのような運動を行ないながら分離する。
このように、衛星分離方向XS方向以外には、あたかも1機の人工衛星として運動を行なうため、見かけ上質量、慣性モーメントは、子機100、親機200のそれぞれの単体の場合よりも大きくなり、外乱等に対する姿勢安定性を増大させることが可能で、安定な姿勢を保ったまま人工衛星を分離することができる。また、摩擦パッド210と作用面108aとの間に発生する摩擦力は、衛星分離方向XS方向の人工衛星の分離運動自体を妨げず、衛星分離方向XSに垂直な方向の相対並進運動並びに軸XUまわりの相対回転運動の減衰に有効である。
【0040】
なお、この実施例では、摩擦パッド210の摩擦面210dの摩擦力を発生させるのに、自動車用のブレーキ摩擦材を用いたが、これに限定するものではなく、温度変化に対する摩擦係数の特性が安定しているのであれば他の材質等であっても良い。
【0041】
実施の形態2.
図6は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置を示す断面図である。図6では、子機100の受圧板108の作用面108bの形状、プッシュロッド256が作用面108bに直接接触する点が図2と異なる。
図において、図1乃至5と同一もしくは同等の部材および部位には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
図6において、プッシャ207から延びたプッシュロッド256は、半球状の形状をなした先端部256aを備えている。
一方、子機100の円筒状結合部121の内周面121aには、子機100の機体軸方向である第1機体軸方向X1に対して垂直な中空円板状の受圧板108が設けられている。受圧板108には、プッシュロッド256が押し当てられ、係合することが可能な半球状の凹部108cを一面に有する作用面108bが設けられている。この凹部108cは、同一の半径を有し、受圧板108の円周方向および半径方向に、それぞれ一定の間隔で規則正しく形成されている。
【0043】
子機100と親機200との結合状態において、親機200から子機100を分離する時に、プッシャ207が第2機体軸方向X2にプッシュロッド256を押し出すと、プッシュロッド256は、凹部108cに噛み合い、凹部108cを押圧する。これにより、プッシュロッド256と凹部108cとの間には、子機100と親機200との相対並進運動および相対回転運動を制限する摩擦力および拘束力を発生させ、子機100と親機200との相対並進運動および相対回転運動を制限し、減衰させることができる。
【0044】
実施の形態3.
図7は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置を示す、第1の人工衛星体である人工衛星の子機100からみた断面図であり、図8は図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図7および8においては、クランプバンド28を受け止めるバンドキャッチャ214が設けられている点が図1および2と異なる。
図において、図1乃至5と同一もしくは同等の部材および部位には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図8において、親機200の円筒状結合部202の外周面202bには、鉤状の断面を有し、平板を折り曲げた形状であって、挟圧駒24側に開口した部材からなる結合部材収容部であるバンドキャッチャ214が設けられている。バンドキャッチャ214は、底部に補強板114aが固着され、端部で補強板114bを介して外周面202bに固着されている。
図7に示すように、バンドキャッチャ214は、結合部材であるクランプバンド28の外側に、円周上に4つ均等に配置されている。
これにより、人工衛星分離時に、子機100、親機200から離脱した結合部材であるクランプバンド28を結合部材収容部であるバンドキャッチャ214を受け止め収容する。
【0046】
次に、この発明の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置の作用を説明する。
クランプバンド28を受け止めるバンドキャッチャ214がない場合は、図4に示すように、子機100並びに親機200には、クランプバンド28が子機100と親機200とを結合させておく接触力に起因する力積がそれぞれ矢印f、gの方向に作用する。その結果、子機100と親機200は、それぞれ、衛星分離方向XSに対して垂直な軸方向XT方向である矢印f、gの方向に相対並進運動を始める。また、同時に、子機100と親機200のそれぞれの質量中心を通り、衛星分離方向XSおよび垂直な軸方向XTに共に垂直な軸XU周りである矢印h、j方向に相対回転運動を始める。このような連結ボルト部33、34の切断直後には、右側の連結ボルト部34はまだ切断されておらず、またそこにはクランプバンド28の子機100と親機200とを結合させておく力である接触力は、解放されていないため、その付近のフランジ126、223は、挟圧駒27によってしっかりと把持されている。したがって、子機100と親機200機、図4に示すように右側の連結ボルト部34が設けられている配置点Pであたかも回転ヒンジにより結合されているような運動を行なう。
【0047】
しかしながら、クランプバンド28をバンドキャッチャ214が受け止めると、クランプバンド28は親機200と一体となり、子機100と親機200とをあわせた運動量は、運動量保存則から保存され、図9の矢印k、lに示すように子機100並びに親機200に、互いに大きさが等しく向きが反対の力積が外乱として作用するのと等価的に考えることができる。したがって、子機100と親機200に作用する力積は向きが反対となるため、摩擦パッド210と作用面108aとの間の接触面では、図4の場合と比較してより大きな相対速度差を生じ、子機100並びに親機200の相対運動減衰のための摩擦力を効果的に発生させることができる。
【0048】
実施の形態4.
図10は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置を示す、人工衛星の子機100からみた断面図であり、図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。図10および11において、図1乃至5と同一もしくは同等の部材および部位には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
図11において、親機200の円筒状結合部202の内部で、フランジ223と固定具211との間には、外縁が円筒状結合部202の内周面202aから延びた円板状の仕切壁216が設けられている。この仕切壁216の中心部には、第2機体軸方向X2であって、第1人工衛星体である子機100に向かって先細に延びたテーパ面215aを有する凸部である相対運動防止ピン215が設けられている。また、仕切壁216のプッシャ207に対向する位置には、端部266aが平坦であるプッシュロッド266が貫通する貫通穴216aが設けられている。
一方、子機100の円筒状結合部121の内周面121aには、プッシュロッド266が押圧し、子機100の第1機体軸方向X1に対して垂直な作用面108dを有する中空円板状の受圧板108が設けられている。受圧板108の内縁は、相対運動防止ピン215のテーパ面215aに対向して設けられ、親機200に向かって広がるテーパ面117aを有し、相対運動防止ピン215に案内される凹部であるガイド穴117が設けられている。
【0050】
子機100と親機200との結合状態において、X1、X2方向と一致した衛星分離方向XSへ、親機200から子機100を分離する時には、プッシュロッド266が作用面108dを押圧する。クランプバンド28が解放され、親機200と子機100との結合が解除されると、子機100と親機200は、衛星分離方向XSへ分離して、相対変位する。この際、子機100は、ガイド穴117が相対運動防止ピン215によって案内される。このとき、子機100と親機200とに相対並進運動、相対回転運動が作用して衛星分離方向XSに垂直な方向に変位しようとしても、ガイド穴117と相対運動防止ピン215との間でこれらの相対並進運動、相対回転運動を制限する拘束力が働く。このようにして、子機100と親機200との間で衛星分離方向であるXS方向以外の相対運動が生じない。
【0051】
実施の形態5.
図12は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置を示す、人工衛星の子機100からみた断面図であり、図13は、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。図12および13において、図1乃至5と同一もしくは同等の部材および部位には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】
図13において、子機100の円筒状結合部121の内周面121aの端部近傍には、内周面121aから延びた円板状の仕切壁118が設けられている。この仕切壁118のプッシャ207に対向する位置には、端部266aが平坦であるプッシュロッド266が貫通し、案内されるプッシュロッド貫通部であるガイド穴118aが設けられている。
【0053】
子機100と親機200との結合状態において、X1、X2方向と一致した衛星分離方向XSへ、親機200から子機100を分離する時には、プッシュロッド266が作用面108aを押圧する。クランプバンド28が解放され、親機200と子機100との結合が解除されると、子機100と親機200とは、衛星分離方向XSへ分離して、相対変位する。この際、子機は100は、ガイド穴118aがプッシュロッド266によって案内される。このとき、子機100と親機200とに相対並進運動、相対回転運動が作用して衛星分離方向XSに垂直な方向に変位しようとしても、ガイド穴118aとプッシュロッド266との間でこれらの相対並進運動、相対回転運動を制限する拘束力が働く。このようにして、子機100と親機200との間で相対姿勢誤差が生じない。
【0054】
実施の形態6.
図14は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置を示す、人工衛星の子機100からみた断面図であり、図15は、図14のXV-XV線に沿った断面図である。図14および15において、図1乃至5と同一もしくは同等の部材および部位には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図14において、子機100の円筒状結合部121の内周面121aの端部近傍には、内周面121aから延びた円板状の受圧板128が設けられている。
親機200の円筒状結合部202の固定具211には、図1のプッシャ207と同一の内部構造を備えたプッシャ227が、親機200の質量中心241を通る第2機体軸方向X1を中心軸240として、中心軸240に対して外側に向いた放射方向にプッシュロッド276を押し出すように4つ配置されている。また、中心軸240には、衛星分離方向に子機100を分離するためのプッシュロッド押し出し力を高めるために、図1のプッシャ207と同一の内部構造を備えたプッシャ237が補強的に設けられている。プッシャ237からプッシュロッド286が延びている。
プッシュロッド276の先端は、プッシュロッド276が押圧し、第1機体軸方向X1に垂直な作用面128aに、端部の全面で接触するように作用面128aに平行する平坦面が設けられている。
【0056】
次に、この発明の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置の作用を説明する。
図4に示すように、子機100並びに親機200には、クランプバンド28が子機100と親機200とを結合させておく接触力に起因する力積がそれぞれ矢印f、gの方向に作用する。その結果、子機100と親機200は、それぞれ、衛星分離方向XSに対して垂直な軸方向XT方向である矢印a、bの方向に相対並進運動を始める。また、同時に、子機100と親機200のそれぞれの質量中心を通り、衛星分離方向XSおよび垂直な軸方向XTに共に垂直な軸XU周りである矢印h、j方向に相対回転運動を始める。このように連結ボルト部33、34の切断直後には、右側の連結ボルト部34はまだ切断されておらず、またそこにはクランプバンド28の子機100と親機200とを結合させておく力である接触力は、解放されていないため、その付近のフランジ126、223は、挟圧駒27によってしっかりと把持されている。したがって、子機100と親機200は、図4に示すように右側の連結ボルト部34が設けられている配置点Pであたかも回転ヒンジにより結合されているような運動を行なう。
【0057】
ここで、一般的に、クランプバンド28が子機100および親機200から完全に解放されるのに要する時間は、子機100および親機200とが完全に分離するのに要する時間に比べて無視できるくらい小さい。したがってクランプバンド28が子機100および親機200から完全に解放された後は、図16に示すような相対姿勢誤差を伴って分離運動を開始する。この時、プッシュロッド276から作用面128aを介して、子機100および親機200との間にはプッシュロッド276の押し出し力に起因する姿勢安定のための復元モーメントがそれぞれ矢印q、rのように作用する。
【0058】
親機200に対する子機100の相対運動に着目すると、プッシュロッド276によるこの復元モーメントは、子機100の質量中心141からプッシュロッド276による押し出し力作用線242までの距離、並びに親機200の中心軸240を挟んで対向するプッシュロッド276間の押し出し力の差に依存している。
図17は、この実施の形態におけるプッシュロッド276の配置と例えば図13のようなプッシュロッド266を第2機体軸方向X2に取り付けたプッシュロッド276の配置とを比較した模式図である。
図において点B、Cは親機200の中心軸240を挟んで対向するプッシュロッド276のプッシャ227への取り付け点、点D、Eは対応するプッシュロッド276の押しつけ力が作用する作用面128a上の作用点である。また、点Hは、子機100の質量中心141を表し、点Iは質量中心Hからプッシュロッドの押し出し力作用線242に垂線を下ろした時の足である。
一方、点F、Gは図13のプッシュロッド266の押しつけ力が作用する作用面108a上の作用点である。点Jは、質量中心141からプッシュロッド266の押し出し力作用線243に垂線を下ろした時の足である。
【0059】
図17に示すように、図13および15の親機200におけるプッシュロッドのプッシャへの取り付け点B、Cの位置が同じ場合、質量中心Hから押し出し力作用線方向までの距離HI、HJは、HI>HJの関係を有する。
また、プッシュロッドの押し出し力がプッシャ取り付け点とプッシュロッド作用点の間の距離に比例するとすれば、対向するプッシュロッド間の押し出し力の差BD−CE、BF−CGは、BD−CE>BF−CGの関係を有する。
したがって、図13および15のプッシュロッドの配置におけるそれぞれの復元モーメントであるHIと(BD−CE)との積、HJと(BF−CG)との積は、HI×(BD−CE)>HJ×(BF−CG)の関係を有するので、この実施の形態の分離姿勢安定装置の方が復元モーメントが大きくなり、子機100と親機200の相対並進運動、相対回転運動を制限する拘束力が大きくでき、人工衛星を安定な姿勢で二機の人工衛星を分離することができる。
【0060】
実施の形態7.
図18は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置を示す、人工衛星の子機100からみた断面図であり、図19は、図18のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。図18および19において、子機100の親機200側端部近傍に、子機100と親機200の相対並進運動、相対回転運動を制限する拘束力を発生させる仕切壁138を設けている点が図14および15と異なり、図14乃至15と同一もしくは同等の部材および部位には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
図18において、仕切壁138は、子機100の円筒状結合部121の内周面121aの端部近傍には、内周面121aから延びた円板状であり、中心部には、プッシュロッド286が貫通するガイド穴138bが設けられ、外縁部には、プッシュロッド276が貫通するガイド穴138aが円周上に均等に4つ設けられている。
【0062】
子機100と親機200との結合状態において、X1、X2方向と一致した衛星分離方向XSへ、親機200から子機100を分離する時には、子機100は、ガイド穴138a、138bを貫通するプッシュロッド276、286によって衛星分離方向XSへ案内される。このとき、子機100と親機200とに相対並進運動、相対回転運動が作用して衛星分離方向XSに垂直な方向に変位しようとしても、ガイド穴138a、138bとプッシュロッド276、286との間でこれらの相対並進運動、相対回転運動を制限する拘束力が働く。このようにして、子機100と親機200との間で衛星分離方向であるXS方向以外の相対運動が生じない。
【0063】
実施の形態8.
図20は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置の構成を信号の流れとともに示すフローチャートである。
図において、324は子機100に取り付けられた姿勢センサ、325は姿勢センサの検出値に基づく評価関数を計算する評価関数計算装置、326はタイミング判定装置、327は子機100のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加装置であり、いずれも子機100に取り付けられている。角運動量増加装置327は、例えばガスジェット等のスラスタである。
【0064】
図21は、子機100におけるスピン軸のニューテーション運動を示す模式図であり、子機100に固定された座標系である機体固定座標系の各座標軸方向単位ベクトルをXB、YB、ZBで表す。また、説明の便宜上、各単位ベクトルXB、YB、ZBと方向を同じくする機体固定座標系の各座標軸をXB軸、YB軸、ZB軸と呼ぶ。ここで、XBは人工衛星のスピン軸に一致するものとし、スピン軸は、スピン軸XBと呼ぶ。
同様に慣性座標系の各座標軸方向単位ベクトルをXI、YI、ZIで表し、一般性を失うことなくXIを衛星のスピン軸の進行目標軸方向と仮定し、進行目標軸方向を進行目標軸方向XIと呼ぶ。また、説明の便宜上、各単位ベクトルXI、YI、ZIと方向を同じくする慣性座標系の各座標軸をXI軸、YI軸、ZI軸と呼ぶ。 慣性座標系(XI,YI,ZI)に対する機体固定座標系(XB,YB,ZB)の姿勢をクォータニオン(四元数)qを用いて表現し、そのベクトル部をqv、スカラー部をqsとする。
【0065】
図に示すように、子機100が初期に角運動量ベクトルHWで表される角運動量を持ち、その方向がスピン軸XBの方向と一致しない場合、スピン軸XBが角運動量ベクトルHWのまわりを回転し円錐運動するニューテーションと呼ばれる運動が発生する。
【0066】
角運動量増加装置327の作動によって、スピン軸XB方向の角運動量ベクトルが瞬時にHSだけ増加するものとする。このとき、進行目標軸方向XIと子機100の全角運動量ベクトルの間のなす角θFは次式を満足する。
cosθF=(HW+HS)・XI/‖HW+HS‖
上式において、符号・はベクトル間の内積を表し、符号‖‖はベクトルの大きさを表す。ここでθFが微小であると仮定すれば(θF≪1)
θF≒2√{‖HS‖/(HW・XI+‖HS‖)}×√(qvy 2+qvz 2)
となる。
ここでqvy、qvzはそれぞれqvのYI,ZI軸成分を表している。
すなわち、慣性座標系に対する機体固定座標系の姿勢がニューテーション運動によって変動する場合、それに伴ってクォータニオンのスピン軸直交方向成分の二乗和qvy 2+qvz 2の値も変動するが、角運動量増加装置327の作動後のθFは、この二乗和の平方根に比例することが分かる。
したがって、この二乗和が最小となるタイミングで角運動量増加装置327を作動させれば、子機100の角運動量ベクトルの方向を進行目標軸方向XIに漸近させることができる。
図22はこの様子を示す模式図である。角運動量ベクトルの増加分‖HS‖が初期角運動量の大きさ‖HW‖に比べて十分に大きければ、子機100のスピン軸が進行目標軸方向XIに最も接近するタイミングで角運動量増加装置327を作動させると、角運動量ベクトルと進行目標軸方向とのなす角は、作動前と作動後で
θF<θI (添字Fは作動後、添字Iは作動前)
の関係が成立し、角運動量ベクトルを進行目標軸方向XIに漸近させることができる。さらにニューテーション角φについても図に示すように作動前と作動後で
φF<φI
の関係が成立し、これも同時に減少させることができる。
その結果、子機100の衛星のスピン軸XBを進行目標軸方向XIに漸近させることができる。
【0067】
図20において子機100に搭載された姿勢センサ324によって、慣性座標系に対する機体固定座標系の姿勢(クォータニオン)が検出される。
姿勢センサ324により得られた姿勢値であるクォータニオンqの値を評価関数計算装置325に入力し、検出されたクォータニオンのスピン軸直交方向成分すなわちqのYI,ZI軸成分のスカラー量であるqvy、qvzについて、評価関数計算装置325によって、その二乗和であり、評価値となるqvy 2+qvz 2の値を計算して評価関数計算装置325からタイミング判定装置326に出力する。タイミング判定装置326からこの値が最小になる時期に、角運動量増加装置327への作動指令信号を出力する。すなわち、計算された値qvy 2+qvz 2の最小値の場合にのみ角運動量増加装置327を作動させ、子機100のスピン速度を加速させる。これによって特別な姿勢制御装置を用いることなしに衛星のスピン軸XBを進行目標軸方向XIに漸近させるとともに、子機100に衛星にジャイロ剛性による姿勢安定性を与えることができる。
【0068】
なお、この実施の形態では、姿勢センサ324、評価関数計算装置325、タイミング判定装置326、角運動量増加装置327を子機100に搭載して、親機200と子機100が分離する際及びその後の子機100の姿勢を安定させることができるが、これらのセンサおよび装置を親機200にも同様に搭載すれば、分離する際及びその後の親機200の姿勢を安定させることができる。
【0069】
また、この実施の形態では、子機100の姿勢の表現にクォータニオンを用いたが、これに限定するものではなく、例えばオイラー角を用いて同様の効果を得ることができる。また角運動量増加装置327として、図23に示すように子機100のスピン軸に直交する平面内の円周方向に、スラスタ328、329、330、331を配置すればよい。
【0070】
実施の形態9.
図24は、この発明の別の実施の形態である人工衛星の分離姿勢安定装置の構成を信号の流れとともに示すフローチャートである。
図において、332は人工衛星スピン軸と直交する二軸に取り付けられた角速度センサ(例えば、ジャイロ)、333は角速度センサの検出値に基づく位相計算装置、334はタイミング判定装置、335は子機100のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加装置であり、いずれも子機100に搭載されている。角速度センサ332は、例えば、ジャイロであり、角運動量増加装置335は、例えばガスジェット等のスラスタであり、その配置は図23と同様である。
【0071】
図25は、子機100のスピン軸に直交する角速度成分のYB−ZB平面における位相を示す模式図である。
図21と同様に、機体固定座標系(XB,YB,ZB)、並びに慣性座標系(XI,YI,ZI)を定める。
子機100の角速度をωで表現し、そのXB、YB、ZB軸成分をそれぞれωx、ωy、ωzで表す。
【0072】
親機200から分離する子機100が、角運動量増加装置35の作動前に子機100がニューテーション運動を行なっている場合、子機100の角速度のスピン軸直交方向成分は次式で与えられる。
ωy=ωy0cos(Ωt)−ωz0sin(Ωt)
ωz=ωy0sin(Ωt)−ωz0cos(Ωt)
ここでωy0,ωz0はそれぞれωy,ωzの初期値であり、tは時刻を表す。
これを図25に示すYB―ZB平面で見れば、角速度成分(ωy,ωz)が原点Oを中心に、速度Ωで回転しているように見える。
【0073】
仮に初期状態で子機100のスピン軸XBが進行目標軸方向XIと一致しているとすれば、実施の形態8で示した評価関数値qvy 2+qvz 2の値は、角速度ωy,ωzを用いて次のように表わされる。
qvy 2+qvz 2=(ωy0 2+ωz0 2)/Ω2×sin2(Ωt/2)
したがって角運動量増加装置335の作動後の進行目標軸方向XIと子機100の角運動量ベクトルとの間のなす角は近似的に次式で与えられる。
θF≒2√{‖HS‖/(HW・XI+‖HS‖)}×
√{(ωy0 2+ωz0 2)/Ω2}×|sin(Ωt/2)|
すなわちΩt=2nπ(n=1,2,・・・)なるタイミングで角運動量増加装置335を作動させることによって、子機100の角運動量ベクトルの方向を進行目標軸方向XIに漸近させることができる。
これは図25のYB―ZB平面で見れば、子機100のスピン軸直交方向の角速度(ωy,ωz)の位相が、初期値(ωy0,ωz0)の位相と同じになる時である。ここで角運動量ベクトルの増加分‖HS‖が初期角運動量の大きさ‖HW‖に比べて十分に大きければ、スピン軸XBの方向はほぼ衛星の角運動量ベクトルHW+HSの方向と一致し、ニューテーション運動の振幅も同時に減少させることができる。
【0074】
図24において、角速度センサ332により子機100のスピン軸直交方向の角速度ωy、ωZが検出される。次に位相計算装置333によって、検出された角速度のYB―ZB平面における位相が計算される。次に、この計算値に基づきタイミング判定装置334で角運動量増加装置335の作動信号を生成する。すなわち計算された位相が初期角速度の位相と同一な場合にのみ角運動量増加装置335を作動させ、子機100のスピン速度を加速させる。これによって特別な姿勢制御装置を用いることなしに、子機100のスピン軸XBを進行目標軸方向XIに漸近させるとともに、子機100にジャイロ剛性による姿勢安定性を与えることができる。
【0075】
なお、この実施の形態では、角速度センサ332、位相計算装置333、タイミング判定装置334、角運動量増加装置335を子機100に搭載して、親機200と子機100が分離する際及びその後の子機100の姿勢を安定させることができるが、これらのセンサおよび装置を親機200にも同様に搭載すれば、分離する際及びその後の親機200の姿勢を安定させることができる。
【0076】
【発明の効果】
この発明に係る人工衛星の分離姿勢安定装置は、第1および第2人工衛星体のそれぞれの結合部の周方向に設けられた複数の結合部材により、第1人工衛星体と第2人工衛星体とを、第1人工衛星体の機体軸方向である第1機体軸方向および第2人工衛星体の機体軸方向である第2機体軸方向に分離可能な状態で結合する人工衛星の分離姿勢安定装置において、第2人工衛星体に、プッシュロッドと、プッシュロッドを第2機体軸方向に押し出す押し出し力を発生するプッシャと、プッシュロッドの端部に回転自在に連結する摩擦パッドを備え、第1人工衛星体に、第1機体軸方向に垂直な作用面を備え、摩擦パッドが作用面を押圧し第1人工衛星体を第2人工衛星体から分離させるとともに、摩擦パッドと作用面との間に第1機体軸方向に垂直な摩擦力を発生させるので、摩擦パッドが作用面に対して全面で接触するので、第1人工衛星体と第2人工衛星体との間で相対姿勢誤差が生じ、第1機体軸と第2機体軸との方向が一致しなくても、第1機体軸と第2機体軸との方向が一致している場合と同じ接触面積を確保することができる。このため、第1機体軸方向に垂直な摩擦力が十分発生するので、第1人工衛星体と第2人工衛星体との間での相対並進運動および相対回転運動を制限し、減衰させることができる。
【0083】
また、この発明に係る人工衛星の分離姿勢安定装置によれば、第1人工衛星体のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加手段と、第1人工衛星体の進行目標軸方向に対する第1人工衛星体のスピン軸姿勢を検出する姿勢検出手段と、姿勢検出手段から得られた評価値に基づき、角運動量増加手段の作動するタイミングを生成するタイミング生成手段を備え、人工衛星分離後に、第1人工衛星体のスピン軸方向が進行目標軸方向に最も接近するタイミングで角運動量増加手段を作動させることにより、ニューテーション運動をする第1人工衛星体のスピン速度を上げて姿勢安定性を確保すると同時に、スピン軸方向を進行目標軸方向に漸近させるので、人工衛星の分離等に伴う外乱により第1、第2人工衛星体にニューテーション運動が発生してもスピン軸を進行目標軸方向に漸近させることが可能で、さらに外乱等に対する姿勢安定性を確保するためにスピンの加速を行なってジャイロ剛性を確保する際に、スピンの加速に要する以外の特別な姿勢制御装置並びに複雑な姿勢制御アルゴリズムを用いることなしに、人工衛星体の姿勢を安定させることができる。
【0084】
また、この発明に係る人工衛星の分離姿勢安定装置によれば、第1人工衛星体のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加手段と、第1人工衛星体のスピン軸に直交する平面内の角速度を検出する角速度検出手段と、角速度検出手段から得られた角速度に基づく位相計算手段と、位相計算手段から得られた位相値に基づき、角運動量増加手段の作動するタイミングを生成するタイミング生成手段を備え、人工衛星分離後に、第1人工衛星体のスピン軸直交方向の角速度の位相が2π[rad]の整数倍経過したタイミングで角運動量増加手段を作動させることにより、ニューテーション運動をする第1人工衛星体のスピン速度を上げて姿勢安定性を確保すると同時に、スピン軸方向を進行目標軸方向に漸近させるので、人工衛星の分離等に伴う外乱により第1、第2人工衛星体にニューテーション運動が発生してもスピン軸を進行目標軸方向に漸近させることが可能で、さらに外乱等に対する姿勢安定性を確保するためにスピンの加速を行なってジャイロ剛性を確保する際に、スピンの加速に要する以外の特別な姿勢制御装置並びに複雑な姿勢制御アルゴリズムを用いることなしに、人工衛星体の姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の人工衛星の分離姿勢安定装置を子機100側から見た断面図である。
【図2】 図1のII-II線に沿った断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の人工衛星の分離姿勢安定装置のプッシャ、プッシュロッド、ボールジョイント、摩擦パッド、固定具211の構造の詳細を示す側面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の人工衛星の分離姿勢安定装置におけるの親機と子機との分離時に生じる親機と子機の運動を示す模式図である。
【図5】 この発明の実施の形態1の人工衛星の分離姿勢安定装置の人工衛星分離時における断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態2の人工衛星の分離姿勢安定装置の断面図である。
【図7】 この発明の実施の形態3の人工衛星の分離姿勢安定装置を子機100側から見た断面図である。
【図8】 図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【図9】 この発明の実施の形態3の人工衛星の分離姿勢安定装置におけるの親機と子機との分離時に生じる親機と子機の運動を示す模式図である。
【図10】 この発明の実施の形態4の人工衛星の分離姿勢安定装置を子機100側から見た断面図である。
【図11】 図10のXI-XI線に沿った断面図である。
【図12】 この発明の実施の形態5の人工衛星の分離姿勢安定装置を子機100側から見た断面図である。
【図13】 図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
【図14】 この発明の実施の形態6の人工衛星の分離姿勢安定装置を子機100側から見た断面図である。
【図15】 図14のXV-XV線に沿った断面図である。
【図16】 この発明の実施の形態6の人工衛星の分離姿勢安定装置における親機と子機とが完全に分離した後の親機と子機の運動を示す模式図である。
【図17】 この発明の実施の形態6の人工衛星の分離姿勢安定装置における親機と子機に生じる復元モーメントを示す模式図である。
【図18】 この発明の実施の形態7の人工衛星の分離姿勢安定装置を子機100側から見た断面図である。
【図19】 図18のXIX-XIX線に沿った断面図である。
【図20】 この発明の実施の形態8の人工衛星の分離姿勢安定装置の構成を信号の流れとともに示すフローチャートである。
【図21】 この発明の実施の形態8の人工衛星の分離姿勢安定装置における人工衛星のスピン軸のニューテーション運動を示す模式図である。
【図22】 この発明の実施の形態8の人工衛星の分離姿勢安定装置の角運動量増加装置の作動前と作動後で、角運動量ベクトル並びにスピン軸が進行目標軸方向に漸近する様子を示す模式図である。
【図23】 この発明の実施の形態8の人工衛星の分離姿勢安定装置の角運動量増加装置の配置を示す模式図である。
【図24】 この発明の実施の形態9の人工衛星の分離姿勢安定装置の構成を信号の流れとともに示すフローチャートである。
【図25】 この発明の実施の形態9の人工衛星の分離姿勢安定装置の第1人工衛星体のスピン軸に直交する角速度成分のYB−ZB平面における位相を示す模式図である。
【図26】 従来の人工衛星の分離装置の概略断面図である。
【図27】 従来のバンド式結合装置を示す断面図である。
【図28】 図27のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。
【図29】 従来の人工衛星の姿勢制御装置の概略を斜視図である。
【図30】 従来のサイドジェット装置の噴射方向とトルクの方向との関係を示す模式図である。
【図31】 従来のサイドジェット装置の噴射弁の配置を示す模式図である。
【図32】従来のバンド式結合装置を用いた人工衛星の分離時にクランプバンドが片切れの状態となった場合の人工衛星に作用する接触力を示す模式図である。
【符号の説明】
28 クランプバンド、100 子機(第1人工衛星体)、108a、108b、108d 作用面、108c 凹部、141、241 質量中心、200 親機(第2人工衛星体)、206、266、276、286 プッシュロッド、207、227、237 プッシャ、210 摩擦パッド、214 バンドキャッチャ(結合部材収容部)、215 相対運動防止ピン(凸部)、215a テーパ面、216a 貫通穴(プッシュロッド貫通部)、240 中心軸、324姿勢センサ(姿勢検出手段)、325 評価関数計算装置、326、334 タイミング判定装置、327、335 角運動量増加装置、、XS 衛星分離方向、X1 第1機体軸方向、X2 第2機体軸方向、XB スピン軸、XI 進行目標軸方向。
Claims (3)
- 第1および第2人工衛星体のそれぞれの結合部の周方向に設けられた複数の結合部材により、上記第1人工衛星体と上記第2人工衛星体とを、上記第1人工衛星体の機体軸方向である第1機体軸方向および上記第2人工衛星体の機体軸方向である第2機体軸方向に分離可能な状態で結合する人工衛星の分離姿勢安定装置において、
上記第2人工衛星体に、
プッシュロッドと、
上記プッシュロッドを上記第2機体軸方向に押し出す押し出し力を発生するプッシャと、
上記プッシュロッドの端部に回転自在に連結する摩擦パッドを備え、
上記第1人工衛星体に、
上記第1機体軸方向に垂直な作用面を備え、上記摩擦パッドが上記作用面を押圧し上記第1人工衛星体を上記第2人工衛星体から分離させるとともに、上記摩擦パッドと上記作用面との間に上記第1機体軸方向に垂直な摩擦力を発生させることを特徴とする
人工衛星の分離姿勢安定装置。 - 上記第1人工衛星体のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加手段と、
上記第1人工衛星体の進行目標軸方向に対する第1人工衛星体のスピン軸姿勢を検出する姿勢検出手段と、
上記姿勢検出手段から得られた評価値に基づき、上記角運動量増加手段の作動するタイミングを生成するタイミング生成手段を備え、
上記人工衛星分離後に、
上記第1人工衛星体のスピン軸方向が上記進行目標軸方向に最も接近するタイミングで上記角運動量増加手段を作動させることにより、
ニューテーション運動をする上記第1人工衛星体のスピン速度を上げて姿勢安定性を確保すると同時に、
上記スピン軸方向を上記進行目標軸方向に漸近させる
ことを特徴とする請求項1記載の人工衛星の分離姿勢安定装置。 - 上記第1人工衛星体のスピン軸方向の角運動量を増加させる角運動量増加手段と、
上記第1人工衛星体の上記スピン軸に直交する平面内の角速度を検出する角速度検出手段と、
上記角速度検出手段から得られた角速度に基づく位相計算手段と、
上記位相計算手段から得られた位相値に基づき、上記角運動量増加手段の作動するタイミングを生成するタイミング生成手段を備え、
上記人工衛星分離後に、
上記第1人工衛星体のスピン軸直交方向の角速度の位相が2π[rad]の整数倍経過したタイミングで上記角運動量増加手段を作動させることにより、
ニューテーション運動をする上記第1人工衛星体のスピン速度を上げて姿勢安定性を確保すると同時に、
上記スピン軸方向を上記進行目標軸方向に漸近させる
ことを特徴とする請求項1記載の人工衛星の分離姿勢安定装置。
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