JP4277684B2 - 痛み止め薬を製造するためのサイムリンのペプチド類縁体(tap)の利用 - Google Patents

痛み止め薬を製造するためのサイムリンのペプチド類縁体(tap)の利用 Download PDF

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Description

本発明は、痛み止め薬を製造するためのサイムリンのペプチド類縁体(TAP)の利用に関する。
急性の痛み及び慢性の痛みの大半は、炎症反応の結果生じる。痛みを軽減するために推奨されている治療は、最初に炎症反応を軽減することから成ることが多い。
現在のところ、抗炎症薬には、2つの主要な部類:
−非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)
−コルチコステロイド類がある。
NSAID及びコルチコステロイド類は、有益な治療効果(炎症及び痛みの軽減)に不愉快な副作用を結び付けるという欠点を有する。
実際、NSAIDは潰瘍の形成を誘発し、一方、コルチコステロイド類は免疫抑制作用を有する。
理想的な鎮痛抗炎症薬は、副作用を有さず、生理系にも免疫系にも影響を有さない薬物であろう。
さらに、原因が炎症ではない第2の型の痛みがある。この神経性の痛みはさらに、アヘン剤を含む伝統的な治療に難治性であることを特徴とする。例えば、抗炎症剤、癲癇予防剤、抗うつ剤、交感神経遮断薬の使用又はこれらの併用のような異なった治療が実施されている。
しかしながら、神経性の痛みは極めて変幻自在であり、その結果、治療するのは極めて困難である。
従って、これらの検討は、結局、痛みを治療するのに今日利用できる薬物は数に限りがあり、役に立たないこともあるという結果に終わる。また、この無効性は製品に対して獲得された認容性の結果でもありうる。従って、開業医はその処方箋を修正せざるを得なくなる。これを効き目があるようにするには、彼に利用可能なもう1つの部類の薬物が存在しなければならない。
このことによってこの分野における研究の重要性が説明される。
本発明に係るサイムリンのペプチド類縁体は、自己免疫疾患の治療、T細胞の刺激及び移植片拒絶の予防のための薬物に関係するということで、特許及び追加特許、FR7715963、FR7811870及びEP0041019においてすでに記載されている。免疫系に関連したこれらペプチドの特性は亜鉛依存性であることが明らかにされている。事実、ペプチドに含有される亜鉛は、それに四面体構造を与え、それは分子の活性型に相当する。亜鉛の非存在下では、ペプチド類縁体はもはや、いかなる活性も有さない。さらに、その結果、試験管内アッセイで実証されたこれらの特性は生体内試験での免疫系に影響を有さないことが明らかにされている。その上、副次的効果は生じない。これらのペプチドは完全に安全である。
多数の出版物によって、注射した用量に依存してサイムリンは痛覚過敏を誘導する又は軽減することができることが明らかにされている(Safieh-Garabedian et al., Neuroimmunomodulation 6:39-44, 1999)。低用量(ラットにおいてナノグラムの桁;すなわち、0.2〜20μg/kg)では、サイムリンは痛覚過敏を誘導するが、高用量(ラットにおけるミリグラムの桁;言い換えると50〜100μg/kg)では、痛覚過敏を軽減する。従って、免疫系への影響及びこの用量依存性(又は二相性)効果、痛みの誘導又は軽減を考えると、サイムリンの利用は不可能であった。
従って、本発明者は、免疫系に関して不活性である、サイムリンのペプチド類縁体に関心を持った。それらは当初予測した活性を示さなかったが、活性スペクトルを確認し、あらゆる予想に対して、相反する用量依存性効果を示さず、亜鉛依存性なしで鎮痛性の活性だけを有し、最終的に生体内で活性があることが示されることを確認した。
従って、本発明者の知見は、別な方法ですでに安全性が確立されていたこれらのペプチドを用いて、炎症性及び/又は神経性の起源の痛みを治療することを可能にする新しい部類の痛み止め薬を提供することを結果として導いた。
本発明は、痛みを治療することを目指して薬物を製造するための、免疫系に関して不活性であり、且つ鎮痛活性を有する、サイムリンのペプチド類縁体(TAP)の利用に関する。
この適用目的での「免疫系に関して不活性であるサイムリンのペプチド類縁体」は、T細胞特異的な免疫応答に関して不活性である、サイムリンのペプチド類縁体として定義される。特に、これらのペプチドは、例えば、亜鉛のような金属と錯体を形成しない(Dardenne et al., PNAS, 79:5370-5373, 1982)。
本発明に係るペプチドの利用は、有害な二次的影響を誘導することなく、痛みに対して有効であるという利点を有する。
これらのペプチドは別の方法で、古典的な鎮痛剤よりも10〜100倍低い用量で効き目がある。例えば、ラットでは、非ステロイド系抗炎症剤の4mg/kg及びステロイド系抗炎症剤の200mg/kgに対して、利用される用量はラット当たり1μgの桁(又は5μg/kg)である。50〜200ngの桁/ラット;すなわち、0.25〜1μg/kgの低用量においても活性は見い出された。
特に、本発明に従って利用されるペプチドは以下の配列を有する:
Glu−Ala−Lys−Ser−Gln−Gly−Gly−Ser−Asp
エンドトキシンの足底内注射(局所)又は腹腔内注射(全身性)のいずれかによって誘導したラットにおける炎症及び痛覚過敏の2つのモデルにおいてこれらのペプチドを検討した。これらのペプチドを用いた予備処置によって機械的な痛覚過敏及び熱による痛覚過敏の双方が用量依存性になくなる。さらに、エンドトキシンの足底内注射によるIL−1β、IL−6、TNFα及びNGFの過剰産生は、予備処置によって有意に軽減される。腹腔内注射の場合、敗血症性ショック(痛み、発熱、眠気及び食欲不振)に匹敵する状態の効果を有するが、予備処置は痛覚過敏を予防し、体を正常温度に保つ。
最終的に、これらのペプチドはそのほかの抗炎症剤と同一又はさらに優れた鎮痛効果を有するが、用いた用量すべてについて生理的及び行動的なパラメータにおいていかなる明瞭な変化も誘導しない。
従って、これらのペプチドは鎮痛特性及び/又は抗炎症特性を有する。
これらのペプチドの鎮痛特性は、神経性の痛み(又は神経障害性の痛み)にまで広がる。数種のモデルを用いて異なった病因の神経性の痛み:単神経障害、身体型又は臓器型の別の痛みモデルの2つの動物モデルが調べられている。これらのモデルによって機械的な異痛、及び時には、熱による異痛の有意な軽減を確認することが可能になる。神経障害性の徴候が阻害される一方で、刺激性物質(カプサイシン)の注射により誘導される痛みに関連する行動が軽減される。あらゆる場合において、これらのペプチドは、神経障害性の痛みの場合に利用されるそのほかの治療により誘導されるものより大きい又は同等である阻害効果を有する。
それらの特性を考慮すると、偏頭痛、坐骨神経痛、神経障害及び炎症性起源の急性又は慢性の痛みの治療にこれらのペプチドの利用はさらに特に推奨される。
最適な有効性のために、投与される好ましい用量は0.01〜1mg/kgの間であり、前記投与投薬は、非経口、経皮又は経鼻を含む様々な経路によって行われる。
以下にそれぞれ表す図面を参照しつつ、以下の実施例に照らして、本発明のそのほかの特徴及び利点がさらに良く理解されるであろう。
実施例1.本発明に係るペプチドの鎮痛特性及び抗炎症特性
1.材料及び方法
体重200〜250gの成熟した雄のスプラーグ・ドーリー(Sprague-Dewley)ラットを用いて実験を行った。最適の照明及び温度(12時間の明暗サイクル;22±3℃)条件下にて動物を飼育した。餌及び水は自由に与えた。実験はすべて、意識がある状態で動物に行う痛み実験に関する倫理的指示に準拠して行い(Zimmermann M., 1983, Ethical guidelines for investigations of experimental pain in conscious animals [意識のある動物における実験的痛みの研究に関する倫理的指針]、Pain, 16:109-110)、動物の世話に関する施設の審議会に承認された。
行動的処置
ベースラインを確立するために、注射に先立って連続して3日間にわたって熱による痛み試験及び機械的痛み試験を行った。
機械的な侵害受容性(nociceptive)の閾値は、機械的な足圧迫試験(PP)で決定したが、熱による侵害受容性の閾値は、ホットプレート(HP)、熱湯への足の浸漬(PI)及び尾払い試験(tail flick)を用いて決定した。
2回の連続した加圧の間が5分間隔で、左右の後足に交互に0.20g/cmの一定の圧力を与えることによりPP試験を行う。動物が、激しい屈曲反射を特徴とする典型的な反応を呈すると加圧を停止する。
HP試験では、動物を個別にホットプレート(52.5±0.3℃)に載せる。痛みの閾値は、動物をホットプレートに載せた瞬間から動物が足をなめる又はジャンプするという事実により示される痛みの最初の兆候まで経過する潜伏期間によって測定される。
PI試験では、48℃の蒸留水で後足を交互に濡らし、足を引っ込めるという最初の兆候まで経過する潜伏時間を記録する。
TF試験では、各動物の尾を50.5℃の蒸留水に浸漬する。動物が尾を引っ込めることによってわかる潜伏時間を記録する。結果は5分間隔で行われる連続3回の試行に基づく。
薬剤の投与
2つの動物モデル:一方は局所の炎症;他方は全身性の炎症、を用いて、炎症性の痛覚過敏を実施した。
いわゆる局所モデルでは、一方の後足にエンドトキシン(Salmonella typhasa、リポ多糖類、シグマ)の溶液(50μ1の9%生理的な生理食塩水溶液中で1.25μg)を足底内注射することによりラットに投与し、それによって、注射を受けた足に限定された、熱による痛覚過敏及び機械的な痛覚過敏の双方を誘導する。
第2のモデルでは、ラットはエンドトキシン(100μ1の生理的な生理食塩水溶液中で25μg)の腹腔内注射を受ける。
次いで種々の治療が可能である:
プロトコール1(a):異なったラット群(各群でn=5)を以下の様式にてペプチド類縁体(TAP)Glu−Ala−Lys−Ser−Gln−Gly−Gly−Ser−Asp(カナダのクアンタムバイオテクノロジー社[Quantum Biotechnologies, Inc.,]により合成された)で治療した:
−このペプチドの一回の腹腔内注射(50μ1の生理的な生理食塩水溶液中で25μg)を与えるか、又は
−エンドトキシン(ET)(足底内注射による50μ1の生理的な生理食塩水溶液中で1.25μg)の注射に30分先立って、腹腔内注射による異なった用量のこのペプチド(50μlの塩化ナトリウム中1.5及び25μg)で予備治療する、のいずれか。
プロトコール1(b):ペプチド類縁体の有効性をステロイド剤、NSAID、並びにIL−1β及びプロスタグランジンにより誘導される痛覚過敏への拮抗性が知られているペプチドの有効性と比較して見られるそのほかの実験。
TAPの注射に30分先立って、100μ1の生理的な生理食塩水溶液中でのLys−D−Pro−Thr(10mg/kg)の腹腔内注射により一群のラットを予備治療した。このトリペプチドはIL−1βのみで誘導される痛覚過敏の拮抗性で知られている。
第2の群では、TAPの注射に30分先立って、ラットは、100μ1の生理的な生理食塩水溶液中でのLys−D−Pro−Valトリペプチド(10mg/kg)の腹腔内注射を受けた。Lys−D−Pro−Valは、IL−1β及びPEGによって誘導される痛覚過敏の拮抗剤である。
これらのトリペプチドで利用される用量はサフィ−ガラベディアン(Safieh-Garabedian B., Kanaan S.A., Haddad J.J., Abou Jaoude P., Jabbur S.J., Saade N.E., 1997, エンドトキシンが誘導する局所の炎症性痛覚過敏におけるインターロイキン−1β、神経生長因子及びプロスタグランジンE2の関与、Brit. J. Pharmacol., 121:1619-1626)の論文に記載されているものである。
第3の群及び第4の群は、デキサメタゾン及びインドメタシンで治療した。
ET注射の直前及び注射の3時間後、200μg/kgの濃度にて、9%塩化ナトリウム溶液中に溶解したリン酸デキサメタゾンを注射した。
生理食塩水緩衝溶液(pH7.4)に乳糖インドメタシンを溶解することによりインドメタシンを調製し、ET注射の直前及び注射の3時間後、4mg/kgの濃度にて注射した。
前述の実験の試験はすべて、ET注射の9時間後に行った。これは、このモデルにおける痛覚過敏のピークと一致する。生理食塩水溶液(足底内に50〜100μl)の注射は痛みの閾値に有意な変化を示さなかった。
プロトコール2(a):一方のラット群には、ET(50μg)の腹腔内注射を与えたが、他方の群は、ET注射に30分先立って、サイムリンのタンパク質類縁体(TAP)(25μg、腹腔内注射)で予備治療した。
次いで、ET注射の後1時間、3時間及び6時間でTF試験及びPP試験を行った。
プロトコール2(b):異なったラット群(各群、n=5)を以下の様式で治療した。
−50μgのETを1回の腹腔内注射で与えたか、又は
−エンドトキシン注射に30分先立って、TAPペプチド(25μg、腹腔内注射)で予備治療したかのいずれか。
1時間、3時間及び6時間の時点で直腸温を測定した。
対照群には、TAPペプチド(100μ1の生理食塩水溶液中で25μg)の腹腔内注射を与えた。
サイトカイン及び神経成長因子(NGF)
これらの実験には組織の試料採取が必要である。エンドトキシン注射の後、1時間(TNFαの測定のために)及び4時間(IL−1β、IL−6及びNGFの測定のために)のいずれかで麻酔(ペンチオバルビタールナトリウム、50mg/kg)によって動物を殺し、後足の皮膚を採取した。
IL−1β、TNFα、IL−6及びNGFの評価を続行する目的で、これらの組織試料を重量測定し、急速凍結して−70℃に保存する。
実験のもう1つのシリーズでは、異なったラット群:ET注射の30分前にTAPで予備治療した一方の群及びTAPのみを注射した他方の群を用いて、上述のように組織を採取する。
0.4MのNaCl、0.05%のツイーン20(登録商標)、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.1mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物、0.1mMの塩化ベンゼトニウム、10mMのEDTA及び20KI/mLのアプロチニンを含有するリン酸緩衝溶液(PBS、pH=7.4)中で組織をホモジネートする。
次いで、1,200gで60分4℃にて混合物を遠心する。ELIZAアッセイを用いて上清中に含有されるサイトカイン及びNGFを測定した。
以下の製造元の推奨される指示書による免疫キット(プロメガ)の助けを借りてNGFを測定する。
IL−1β、TNFα及びIL−6の測定は、サフィ−ガラベディアン(Safieh-Garabedian B., Dardenne M., Kanaan S.A., Atweh S.F., Jabbur S.J., Saade N.E., 2000。サイムリンが誘導した痛覚過敏におけるサイトカイン及びプロスタグランジンの役割、Neuropharmacology 39:1653-1661)により記載されたプロトコールに従って行った。
データの統計学的解析及び処理
異なった侵害受容性試験に関しての痛みの閾値の値を動物の各群について規定した。調べた各薬剤について得られたデータを、注射する前に確立した対照、又は2種類の対照:1回のET注射が与えられた動物の一方のシリーズ及び9%塩化ナトリウム溶液の1回注射を受けた動物のもう一方のシリーズのいずれかと比較した。
サイトカイン及びNGFのレベルの評価については、ETのみ、薬剤のみ又はETに加えて薬剤を注射した動物を用いて得られた値を、9%塩化ナトリウム溶液を注射した対照動物の群を用いて得られた値と比較した。
ANOVAそれに続くボンフェロニの検定を用いて、標準偏差の有意性を立証した。
2.結果
ETの足底内注射により誘導した炎症性痛覚過敏におけるTAPペプチドの効果
ラットの後足へのET(50μlの生理食塩水溶液中に1.25μg)の足底内注射は、機械的な痛覚過敏に関するPP試験(対照の生理食塩水溶液での2.06±0.06に比べて0.87±0.09、P<0.001)によれば、及び熱による痛覚過敏に関するPI試験(対照の生理食塩水溶液での1.97±0.05に比べて1.25±0.04、P<0.001)、HP(対照の生理食塩水溶液での9.24±0.16に比べて6.0±0.18、P<0.001)及びTF(対照の生理食塩水溶液での3.19±0.08に比べて2.40±0.06、P<0.001)によれば、9時間(痛覚過敏のピーク)で測定された侵害受容性の閾値の有意な軽減を誘導した。TAPペプチド(1.5及び25μg)を用いた治療は、ETの注射によって誘導された痛覚過敏を用量依存性の様式で軽減した(図1)。TAPの25μg用量では、種々の応答を引き出す潜伏時間は、PP試験、PI試験、HP試験及びTF試験についてそれぞれ、2.05±0.07秒、1.94±0.005秒、9.12±0.7秒及び3.22秒±0.09秒(ベースライン又は生理食塩水溶液を用いて得られた値に比べてすべての値についてp>0.05)であった。TAPのみ(50μlの生理食塩水溶液中に25μg)の腹腔内注射は、異なった痛み試験における潜伏時間に有意な変化を生じなかった。
TAPペプチドの有効性のそのほかの薬物及び類縁体との比較
ET(1.25μg)の足底内注射により誘導した痛覚過敏に対するTAPの効果を、ステロイド剤、NSAID並びにLys−D−Pro−Val及びLys−D−Pro−Thrペプチドを用いて得られた効果と比較すると、得られた結果は、TAPは、Lys−D−Pro−Val及びLys−D−Pro−Thrペプチドよりもはるかに有効な鎮痛剤であることを実証している(図2)。TAPは、インドメタシン及びデキサメタゾンに似た効果を有するが、はるかに低い濃度である(図2)。
サイトカインにおけるTAPの効果
ラットの後足へのエンドトキシンの注射は、生理食塩水溶液を注射したラット又は何の物質も与えられなかった同一ラットの足と比較して、炎症誘発性サイトカイン及びNGFの濃度の有意な上昇(p<0.001)を誘導した。ET注射後1時間でのTNFαの濃度は、対照生理食塩水溶液の注射後の100.0±8.00pg/足に比べて、345.0±61.0pg/足だった。ET注射後3時間でのIL−1βの濃度は、対照生理食塩水溶液の注射後の400.0±45.0pg/足に比べて、2,850.6±255.4pg/足だった;IL−6の濃度は、対照生理食塩水溶液についての250.0±50.0pg/足に比べて2,831.0±285.0pg/足であり、NGFの濃度は、対照生理食塩水溶液についての9.11±1.6ng/足に比べて23.0±1.73であった。
TAPによる事前治療は、TNFα濃度の上昇を無効にし、IL−1βの濃度(2850.6±255.4から1686.0±266.0pg/足に、p<0.01)、IL−6(2831±285から1158±197.0pg/足に、p<0.001)及びNGF(23.0±1.73から16.73±2.70pg/足に、p<0.001)を有意に低下させた(図3A、3B、3C及び3D)。図3に示すように、対照動物におけるTAP(25g)の注射は、サイトカイン又はNGFの濃度に有意な変化を誘導しなかった。
ETにより誘導される全身性の炎症性痛覚過敏におけるTAPの効果
ET(50μg、i.p.)の注射は、PP試験(対照についての2.03±0.04秒に比べた1.13±0.06、p<0.001)によれば、及びTF試験(対照についての3.08±0.04秒に比べた2.27±0.06、p<0.001)によれば、1時間での侵害受容性の閾値の有意な低下を誘発した。痛覚過敏は、注射後6〜9時間、観察可能で残っていた(図4A及び4B)。ETの全身性投与の30分前でのTAP(25μg)の腹腔内注射による事前治療は、ETにより生じる機械的痛覚過敏(図4A)及び熱による痛覚過敏(図4B)を消失させた。
エンドトキシンは既知の発熱物質であり、その注射は1時間で体温における有意な上昇を誘導した(対照についての37.65±0.16℃に比べた38.43±0.028℃)。その後、温度は6時間で有意に上昇したままだった(図4C)。腹腔内注射(25μg)におけるTAPによる事前治療は、ETにより誘導される体温上昇過程を無効にし、値は対照のそれと有意な差異はなかった(図4C)。
実施例2:神経性病因の痛みに対する本発明に係るペプチド(TAP)の鎮痛特性
1.材料及び方法
これらの試行には成熟した雄のスプラーグ・ドーリー系ラット(250〜300g)を用いた。実験期間にわたって、ラットは標準条件下(1ケージ当たり4〜5匹、12時間の昼夜サイクル、22.2℃)に置き、水及び餌は自由に与えた。必要な外科的処置は、クロルプロマジン(8mg/kg、腹腔内注射)及びアトロピン(0.05mg/kg、同上)を用いた予備麻酔の後、ケタミン(ケタラール(登録商標)、40〜50mg/kg、同上)を用いた深麻酔下で行った。
この検討は、神経性病因の痛みの誘導のための2つの実験プロトコールに基づいていた。第1のプロトコールは単神経障害の2つの動物モデルを利用した。第2のプロトコールは、侵害受容性のシグナル伝達に関係しているとみなされている求心性線維群を活性化することが知られている物質である、カプサイシンの注射に基づいた。
a)プロトコールI:単神経障害の動物モデル
単神経障害の誘導:
CCI(慢性緊縮傷害、慢性の神経緊縮、Bennet G.J. & Xie Y.K., 1988, ヒトで見られるものに似た痛み感覚の障害を生じるラットにおける末梢性の単神経障害、Pain, 33:87-107)に従って、又はSNI(予備の神経の傷害、衰弱させた足の予備の神経、Decosterd I. & Woolf C.J., 2000, 予備の神経の傷害:持続する末梢性の神経障害の痛みの動物モデル、Pain, 87:149-158)に従って、異なったラット群(各群n=6のラット)において単神経障害を誘導した。後部腰部を切開した後、膝窩を覆う皮膚及び脂肪層を切開することにより坐骨神経を暴露した。CCIモデルについては、坐骨三叉形成の近位側に4つのゆるい結紮(クロムメッキした金属の腸線縫合糸、4.0)を配置した。SNIモデルについては、外側膝窩の坐骨神経及び内側膝窩の坐骨神経を単離し、きつく結紮し、区分したが、足の側面を刺激する腓腹神経はそのままにした。
行動試験:
1つのケージの個別の区画にラットを入れたが、ケージの床は金属格子からなっており、足蹠軟部組織及びワイヤ付きの足の側面にアクセスすることができた。
機械的な異痛については、後足の足底表面(SNIモデルについては側面表面及びCCIについては中央の足底表面)をフォン・フレイのワイヤ(VFF4.31及び5.07、米国ストールティング社)に接触させたが、それらはそれぞれ、2.041g及び11.749g(18.5mN及び106.7mN)の力に相当した。これらのワイヤの屈曲力は、正常動物における侵害受容性の引込め反射を誘発するには不十分であることが分かっていた。10回の試行により誘導された足引込めの数を、単神経障害の誘導に先立って(ベースライン)及び誘導後に各ラットについて各後足で明らかにした。正常なラットでは、小さい内径のワイヤ(VFF4.31)及びさらに大きい内径(VFF5.07)はそれぞれ、10回の試行当たり、平均1.3±0.2及び2.7±0.3回の反応を誘導した。
神経障害の誘導後、2つの単繊維は10回の試行当たり5回を超える反応を生じた。
寒冷異痛の評価には、チョウイ(Choi et al., 1994, 神経障害性の痛みのラットモデルにおける進行中の痛み及び寒冷異痛の行動的兆候、Pain, 59:369-376)らによって記載された方法を用いた。それは、数滴(およそ50μl)のアセトン溶液を足に塗布し、引込め反応の持続時間を測定することから成る。0.5秒及び20秒がそれぞれ、最小閾値及び最大閾値について任意に選択した値である。
足底表面に向けられた放射熱の侵害受容性の熱線に反応した足の引込め(RP)の持続時間(D)は正常ラットで明らかにされている。単神経障害を誘導した後DRPが増加するということは、痛覚過敏の徴候であるとみなされた。各ラットは最小限、5分毎にセッション当たり2つのRP試験を受けた。
神経障害の徴候は、神経障害を誘導した後7〜10日で最大であった。神経障害のピークに相当するこの期間にTAP注射の効果を試した。
b)プロトコールII:侵害受容性の求心性神経の化学的刺激
このプロトコールは確立されたカプサイシンの特性に基づき、カプサイシンは、神経性の炎症を生じることが知られ、侵害受容性の情報を伝達することで知られている求心性神経線維の特異的な群(「カプサイシン感受性一次求心性神経」又はCSPAと呼ばれる)を選択的に刺激する(概説には、Szolcsanyi J., 1996, 神経性の炎症:軸索反射説の再評価、Geppetti P. & Holzer P. 編、神経性の炎症、3342ページ、[ボーカラトーン,CRCプレス]を参照のこと)。
我々のグループは、それぞれ可逆性の身体型及び臓器型の痛みを誘発するために、2つの方法:低い量のカプサイシンの足底内注射(i.pl.)及び腹腔内注射(i.p.)を適用した。
カプサイシンの足底内注射
カプサイシン(10%ツイーン20のオリーブ油50μlに10μg)の注射によって痛覚過敏を生じたが、そのピークは注射後3〜6時間であり、24時間経つと消失した。後足の背部に0.2kg/cmの一定の圧力をかけることから成る足圧迫試験(PP)を用いて機械的な痛覚過敏を評価した。圧力の適用と侵害受容性の足引込め(retraction)すなわち足屈曲反応との間で経過した時間を機械的な侵害受容の潜伏時間(又は閾値)とみなした。ホットプレート(HP)試験及び足浸漬(PI)試験を用いて熱による痛覚過敏を評価した。
実施例1のようにHP試験及びPI試験を行ったが、ホットプレートの温度は52.5±0.3℃であり、熱湯容器は48±0.3℃であった。
2つの連続した試験の間の5分の間隔を守って、2つの後足で交互にPP試験及びPI試験を行った。
ラットが環境に順応するように注射より1週間先立ってラットを実験室に送り、処置の前に各試験についてベースライン値を得るために、2日又は3日にわたってラットで試験を行った(詳細は、Kanaan S.A. et al., 1996, ラット及びマウスにおけるエンドトキシンで誘導された局所の炎症及び痛覚過敏:炎症性の痛みのための新しいモデル、Pain, 66:373-379)。
カプサイシンの腹腔内注射
この試験は、10%ツイーン20のオリーブ油溶液100μlに20μgのカプサイシンを若干のラットに注射すること(i.p.)及びこれらの注射により誘導される行動を観察することから成る。ギースラー(Giesler G.J. et al., 1976, 中脳水道周囲灰白質の電気刺激による臓器痛の阻害、Pain, 2:43-48)らによって記載された方法に従って、4レベルの行動段階を考案した。
以下のようにレベルを定義した:0=正常な行動;1=腹部筋肉の軽い収縮;2=一方の側面の収縮及び臀部垂下の脱臼;3=腹部筋肉の有意な収縮及び2本の後足の伸展。
動物の行動を評価するために、最適な観察用に45°に傾けた鏡の上に置いた透明なケージに各ラットを入れた。
ポリグラフを用いて1人の観察者が正常行動及び侵害受容性行動を書き留め、ポリグラフの記録を評価するために、もう1人の観察者が30分間にわたって各レベルに相当する時間を数えた。2人の観察者はいずれも投与された注射も予想される効果も知らなかった。
注射された薬物
使用したTAPペプチドは実施例1で使用されたのと同一である。
カプサイシン(8−メチル−N,バニリル−ノナンアミド、シグマ#M1022)は、10%ツイーン20のオリーブ油溶液に溶解し、適当な濃度にてi.p.又はi.pl.で投与した。
データの解析
神経障害に罹っているラットにおいて行った実験の間、単神経障害の誘導に先立って確立したベースライン条件を参照して、動物の各群において、異痛及び痛過敏を評価した。例えば、各VFFによって誘導した足の引込めの回数の平均を各群の全ラットについて計算し、注射後異なった時間にTAPで治療した後、この平均値の変動を割り出した。規定における異痛及び熱に関する痛覚過敏について同じ方法を続けた。
カプサイシンのi.p.注射を含む実験をしている間に、カプサイシンの注射に先立って(ベースライン条件)及び注射後の様々な時間間隔(3、6、9及び24時間)でラットの各群について、各痛み試験(PP、HP又はPI)を用いて行った測定値の平均値を算出した。カプサイシンの30分前にTAPを注射し(i.p.)、カプサイシンの注射後、同一の時間間隔で様々な痛み試験の潜伏時間を測定した。
カプサイシンのi.p.注射については、カプサイシンのみ又はTAP後にカプサイシンを与えられた動物について、各行動レベルに相当する全時間を測定した。治療後の神経障害の徴候又は痛み試験の変動は、ANOVA次いでその後ボンフェロニの検定によって評価した。治療の有無における痛みスコアの変動は、5%の有意性レベル(p<0.05)を仮定してスチューデントの両側検定によって評価した。
2.結果
神経障害の徴候におけるTAP注射の効果
CCI又はSNIによって誘導される神経障害の対象とされた2群のラット(群当たり6匹のラット)におけるTAP(100μl中5μg、i.p.)の注射は、神経障害の徴候すべてにおいて有意な減衰を生じた(図5及び6)。この効果は、注射後2時間にて機械的な異痛で最大だった。注射後75分の寒冷異痛、CCIモデルにおける痛み刺激に対する過剰反応及びSNIモデルにおける神経障害の徴候のすべてで最大であった。しかしながら、SNIモデルでは、TAPによって寒冷異痛はほどほどに軽減されたにすぎなかった。注射後3〜4時間にTAPの効果の可逆性が認められた。
2つのモデルに続くことによってラットのほかの群において1μg及び25μgのTAPの用量効果を評価した。図7は、5μg/ラットの用量を用いて神経障害の徴候の減衰が最大であったことを示す。
連続5日間にわたるTAP(100μl中1μg)による毎日の治療によって、異痛の徴候の進行性の軽減並びに各注射の効果の増強作用を生じる。この増強作用の最も明らかな証拠は、TAPの単回注射によってわずかしか変化しなかった寒冷異痛の阻害が増加したことである(参考、図11)。
神経障害の徴候におけるTAPによる治療の効果を、そのほかの2つのラット群(n=6)におけるメロキシカン(5mg/kg、i.p.)又はモルヒネ(4mg/kg、i.p.)のいずれかを注射して観察されるものと比較した。TAPによる治療は、そのほかの2つの薬剤で観察されるよりも、触覚異痛及び熱による痛覚過敏の大きな軽減を誘導し、これははるかに低い用量である。図10はこの比較を表す。SNIで誘導される神経障害の対象とされた異なるラット群(n=6)に注射によって各薬剤を投与する。測定はすべて、各薬剤の活性のピーク時(注射後45〜60分)に行った。治療に先立って神経障害の対象とされたラットにおいて行われた測定に相当する対照。
カプサイシンのi.pl.注射により誘導された痛覚過敏におけるTAPによる治療の効果
カプサイシン(50μl中10μg)の足底内注射は、様々な痛み試験の時に観察される潜伏時間の有意な低減(痛覚過敏)を生じた。この低減は注射後3時間経ってから6時間までで最大であり24時間で消失した(Saade N.E., Massaad C.A., Ochoa-Chaar C.I., Atweh S.F., Safieh-Garabedian B., Jabbur S.J., 2000, カプサイシンの足底内注射により誘導される痛覚過敏への神経ペプチド及びヒスタミンの寄与の可能性、J. Neurosci. Abst. suppl. 11, Vol. 12:123)。異なったラット群(各群でn=5のラット)に、カプサイシン又はTAP(i.p.)次いで30分後1.5又は25μg/ラットにてカプサイシンのいずれかを注射した。TAPによる事前治療は、カプサイシンによって誘導された痛覚過敏の用量依存性の減衰を生じた(図8)。用量が高ければ高いほど、TAPの注射はカプサイシンにより誘導された痛覚過敏の完全な予防に関与した。25μg用量のTAPの注射は、様々な痛み試験の時に観察された潜伏時間の有意な加減を生じなかった(図8、対照)。
カプサイシンにより誘導される臓器痛におけるTAP注射の効果
カプサイシン(100μl中20μg)のi.p.注射を受けたラット(n=6)は、36分の合計観察時間にわたって、0.2±0.3分にわたるレベル0、2.51±0.45分にわたるレベル1、21.5±0.8分にわたるレベル2及び11.84±0.43分にわたるレベル3に相当する反応を有した(図9)。
もう1つのラット群(n=6)では、カプサイシン(20μg、i.p.)の注射に先立ったTAP(ラット当たり200μl中50μg)の注射によって以下のスコアを生じた:レベル0に相当する0.82±0.18分、レベル1に相当する12.89±2.5分、レベル2に相当する15.62±0.9分及びレベル3に相当する6.67±0.09分。従って、TAPによる事前治療は、カプサイシンにより誘導された侵害受容性スコアの左へのシフトを生じた(図9)。
実施例3:注射用溶液製造のためのTAPの利用
−TAP:0.05mg
−無菌の、発熱物質の入っていない蒸留水:1.0ml
ろ過による滅菌、アンプル、ビン又は複数回投与用ビンへの充填。
投与の可能性のある経路は、腹腔内、皮下、大脳内、筋肉内及び皮内への注射である。
エンドトキシンの注射により誘導された痛覚過敏の用量依存性の軽減を表す。 ステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤及び鎮痛性トリペプチドと比較した本発明に係るペプチドの抗痛覚過敏効果の比較検討を表す。 炎症誘発性サイトカイン及びNGFの濃度の低下による、本発明に係るペプチドでの予備治療の抗炎症効果を表す。 敗血症性ショックのシミュレーションであるエンドトキシンの全身性注射により誘導された痛み(A及びB)及び発熱(C)に対する予備治療の効果を表す。 本発明に係るペプチドで予備治療した、CCI(坐骨神経の慢性圧迫)単神経障害を持つラットにおける異痛(害にならない刺激により誘導される異常な痛み)及び痛過敏(中程度の強さの侵害受容性刺激に対する過剰反応)の阻害を表す。 本発明に係るペプチドで予備治療した、SNI(力を奪った足の予備神経の痛み)単神経障害を持つラットにおける異痛及び痛過敏の阻害を表す。 前述の2つの型の神経障害を有するラットにおける本発明に係るペプチドの用量検討を表す。 カプサイシンの注射により誘導した痛覚過敏(身体型の神経性の痛み)を有するラットにおける本発明に係るペプチドの用量検討を表す。 カプサイシンの腹腔内注射により誘導された臓器痛(臓器型の痙攣性の痛み)の本発明に係るペプチドによる減衰を表す。 神経障害に対する異なった薬剤の比較を表す。 TAPを用いた毎日の治療の効果を表す。

Claims (5)

  1. 痛みの治療用の薬物を製造するための、免疫系に関して不活性であり、亜鉛を含まず、痛み止め活性を有する、サイムリンのペプチド類縁体Glu−Ala−Lys−Ser−Gln−Gly−Gly−Ser−Aspの利用。
  2. 前記薬物が鎮痛特性及び/又は抗炎症特性を有することを特徴とする請求項1に記載のペプチドの利用。
  3. 偏頭痛、坐骨神経痛、神経障害及び/又は急性又は慢性の炎症性の痛みの治療のための、請求項1または2に記載のペプチドの利用。
  4. 投与される用量が1μg〜10mg/kgの間である請求項1〜に記載のペプチドの利用。
  5. 非経口経路又は経鼻経路による投与ができるように前記薬物が処方される請求項1〜に記載のペプチドの利用。
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