JP4277131B2 - 脊柱接合アセンブリ及び骨接合装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脊柱接合アセンブリ及び骨接合装置に関し、特に脊柱の手術用に用いられる脊柱接合アセンブリ及び骨接合装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＷＯ９８／１２９７６号公報には、クラウンに対して接触するリンクロッドによって、所定の位置に固定される多軸ねじタイプの固着部材を含む脊柱の骨接合装置が開示されている。ここで、クラウンの下部の丸味のある表面が、コネクタの中に形成されたハウジングの底部に固定されている球形の頭部に、相補的な態様で接触している。この装置の場合、一方に対する他方の動きを確実に防止するため、クラウンとスクリュー頭部との間に作用する単位面積当たりの圧力を十分高くしなければならないので、ロッドとクラウンとの間には非常に高い接触圧力が要求される。このため、望ましい骨接合にとっては有害な不安定性をもたらすおそれがある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、クランプの信頼性が高い脊柱接合アセンブリ及び骨接合装置を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、コネクタ、該コネクタ内に受容され得る骨の固着手段、前記コネクタ内に受容され得る連結部材、及び前記固着手段と接触可能なリングを備え、前記リング及び前記固着手段が前記コネクタ内に取り付けられると、前記連結部材が、前記リング及び前記固着手段に対して同時に接触可能なように構成されていることを特徴とする脊柱接合アセンブリを提供する。
【０００５】
この脊柱接合アセンブリによれば、前記リング上の連結部材は、前記リングを前記固着手段に強制的に接触させて、コネクタ内の所定の位置に前記固着手段を固定する。そして、前記連結部材が前記リング及び前記固着手段に対して同時に接触するので、前述の固定をいっそう強固なものとする。すなわち、同時に、固定用の所定のクランプ力を維持する一方で、固定をより確実なものとすることができる。
【０００６】
前記リングは、少なくとも１つの円錐状の表面を有することが望ましい。
【０００７】
前記リングは、前記固着手段に接触可能な第１の表面を有することが望ましい。
【０００８】
前記リングは、前記コネクタの内壁に接触可能な第２の表面を有することが望ましい。
【０００９】
前記リングは、前記固着手段に接触可能な第１の表面、及び前記コネクタの内壁に接触可能な第２の表面を備えることが望ましく、前記第１の表面及び第２の表面は、軸線が一致するように配置されていることが望ましい。
【００１０】
前記リングは、該リングの軸線に対して垂直で前記連結部材に接触可能な平坦な上縁部を有することが望ましい。
【００１１】
前記リングは、該リングの軸線に対して垂直で平坦な下縁部を有することが望ましい。
【００１２】
前記リングは、前記連結部材と接触することにより、前記内壁と前記固着手段との間で内径が拡がることが望ましい。
【００１３】
前記リングは、前記連結部材と接触することにより、接触前の形状を基準として変形するように配置されていることが望ましい。
【００１４】
前記リングは、壁の厚さが高さに応じて変化していることが望ましい。
【００１５】
前記リングがくさび状の断面を有している場合、このくさび状部は、装置が、前記コネクタの内壁と固着手段との間のくさび部とリングで固定される時に、簡単に所定の位置への固定をいっそう強化する。
【００１６】
前記リングは、スロットを備えることが望ましい。
【００１７】
前記スロットは、前記リングが非閉鎖の環を形成するように配置されていることが望ましい。
【００１８】
前記リングは、該リングの全周に均一に分散した多数のスロットを備えていること
前記固着手段は、略球状の頭部を備えていることが望ましい。
【００１９】
前記頭部は、第１の球状表面及び第２の球状表面を有することが望ましく、該第１の球状表面及び第２の球状表面は、中心が一致しており直径が互いに異なることが望ましい。
【００２０】
前記固着手段は、多軸スクリューを有することが望ましい。
【００２１】
前記アセンブリは、前記連結部材に接触可能なロッキング部材を備えていることが望ましい。
【００２２】
また、本発明に従って、上記の機能のうちの少なくとも１つの機能を示すアセンブリを含む骨接合装置も提供される。
【００２３】
本発明に係るその他の機能や優位性は、好ましい実施の形態に関する以下の説明によって、明らかになるであろう。
【００２４】
【発明の実施の形態】
以下、図１〜図５を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。脊柱接合アセンブリ１は、コネクタ２、連結部材６、及び固着手段４を備えている。本実施形態においては、連結部材６は骨接合ロッドであり、固着手段４は茎状スクリューにより形成されている。アセンブリ１は、このアセンブリ１を所定位置に固定可能なリング８及びロッキング部材１０を更に備えている。
【００２５】
コネクタ２は、このコネクタ２の上部を形成するＵ型開口部２１を備えている。このＵ型開口部２１は、互いに略平行に延びる２つのブランチ２５，２６によって画定される。ブランチ２５，２６の互いに対向して延びる内面はねじ山２４を備えている。更に、コネクタ２はその下部に、内壁２３を有する内部ハウジング２２を備えている。内部ハウジング２２の上部は、Ｕ型開口部２１の底部に面しており、内部ハウジング２２の下部は、反対側のコネクタ２の下面２７に面している。内壁２３は、円錐状に形成されており、下面２７における開口面積がＵ型開口部２１の底部における開口面積よりも小さくなるように設計されている。
【００２６】
ロッキング部材１０は、作動手段１１を備えている。この作動手段１１は、本実施形態においては、六角ソケットによる貫通孔としている。この六角ソケットは、作動させるためにスクリュードライバに取り付けられた六角ビットに適合している。更に、ロッキング部材１０は、ねじ山１２を外壁に備えており、このねじ山１２は、ロッキング部材１を受入可能なコネクタ２のブランチ２５，２６間におけるねじ山２４と補い合う。
【００２７】
固着手段４は、本実施形態においては、ボーンスレッド（bone thread）を示す固着部４１と、固着部４１に載せられた略球状の頭部４２とを備える茎状スクリューである。茎状スクリューは多軸スクリューであっても良い。頭部４２は、第１の球状表面４３と、頂部を形成する第２の球状表面４４とを備えている。第１の球状表面４３及び第２の球状表面４４の中心は一致しており、第２の球状表面４４の直径は第１の球状表面４３の直径よりも小さくなっている。
【００２８】
類似の骨接合装置は、ＥＰ−０６１３６６４号公報を参照することができる。
【００２９】
リング８は、環状に形成されており、リング内壁を画定する第１の表面８２と、リング外壁を画定する第２の表面８１と、リング８の軸線Ａに対して垂直で平坦な上縁部８３及び下縁部８４とを備えている。第１及び第２の表面８２，８１は、軸線が一致し、好ましくは円錐状であり、断面視におけるそれぞれの傾きは互いに平行ではない。こうして、上縁部８３におけるリング８の厚みが下縁部８４におけるリング８の厚みよりも大きくなるように、第１及び第２の表面８２，８１が形成されている。この結果、リング８の断面は、テーパ形状を有するくさび形である。但し、第１及び第２の表面８２，８１における断面の傾きの１つは、軸線Ａと略平行であっても良い。
【００３０】
外科医が使用する前に、コネクタ２、固着手段４及びリング８は互いに取り付けられる。固着手段４の頭部４２は、コネクタ２の内部ハウジング２２に挿入される。そして、リング８は、コネクタ２の内部ハウジング２２に挿入される。こうして、固着手段４の頭部４２は、上方にリング８が存在することによって内部ハウジング２２の内部に閉じこめられる。また、リング８自身も、後に示すように内部ハウジング２２の内部に閉じこめられる。内部ハウジング２２の内壁２３は円錐状であり、コネクタ２の下面２７に形成された開口の直径は頭部４２の第１の球状表面４３の直径よりも小さいので、頭部４２は下方へ抜け出ることなく保持される。更に、リング８は、内部ハウジング２２の内部に存在する保持手段２８によって、閉じこめられる。本実施形態においては、保持手段２８は、内部ハウジング２２とＵ型開口部２１との大きさの違いによって生じており、この大きさの違いによって、リング８の上縁部８３が下方から接するリムが形成される。このアセンブリを図４及び図５に示す。
【００３１】
外科手術の間の使用において、外科医は上述したアセンブリを茎状（pedicle）内部に取り付ける。次に、外科医は、連結部材６をコネクタ２のＵ型開口部２１に挿入しながら取り付ける。そして、ロッキング部材１０のねじ山１２を相補的なコネクタ２のねじ山２４に係合させながら、ブランチ２５，２６間にロッキング部材１０を取り付ける。外科医は、六角ソケット１１を使用することにより、ロッキング部材１０の下面１３が連結部材６と接触するようにロッキング部材１０を回転させる。
【００３２】
ブランチ２５，２６間へのロッキング部材１０のねじ込みを継続することにより、外科医はロッキング部材１０を介して連結部材６に力を及ぼし、リング８の上縁部８３に対して後述の状態が生じるまで連結部材６を押圧する。
【００３３】
ロッキングを継続すると、リング８の第１の表面８２が固着手段４における頭部４２の第１の球状表面４３に接触するまで、リング８が内部ハウジング２２の内壁２３に沿ってスライドする。第１の球状表面４３自体は、コネクタ２の内部ハウジング２２における内壁面２３の円錐部に接触する。こうして、アセンブリ１は図２に示す状態になる。
【００３４】
アセンブリの位置の固定が可能となる最終のロッキングの間に、外科医によってロッキング部材１０を用いて与えられたクランプ力は、リング８が頭部４２上でスライドすることを可能にする。これによって、第１の表面８２は、第１の球状表面４３上をスライドし、リング８の第２の表面８１が、その全体又は一部においてコネクタ２の内部ハウジング２２の内壁２３と接触するようになるまで、リング８を変形によって開かせる。その瞬間、連結部材６は、第２の球状表面４４上で点接触するようになる。従って、頭部４２は、リング８及び連結部材６によって直接固定される。即ち、リング８の上縁部８３における２点と、連結部材６における１点の計３点において、頭部４２は接触している。
【００３５】
当然に、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、本発明に関して種々の変更が可能である。
【００３６】
例えば、リング８は、少なくとも１つのスロットを有することが可能である。スロットは、例えば軸線に沿って内周面又は外周面に形成することができる。スロットは、リング８が非閉鎖の環を形成するように配置されていてもよい。
【００３７】
リング断面のくさび形状に起因する傾斜形状は、リングの全周全体にわたって連続である代わりに、スロットによって分離され、「傘」構造を形成する複数のセクターから構成されていてもよい。
【００３８】
上記の種々の変更は、リング８の容易な変形を可能とし、このことは、一方では、コネクタ２の内部ハウジング２２の中にリング８を入れることを容易にし、もう一方では、外科手術において最終のロッキングを容易にする効果を奏する。
【００３９】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によればクランプの信頼性が高い脊柱接合アセンブリ及び骨接合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る好ましい実施形態を示す外観斜視図である。
【図２】図１に示した実施形態におけるII−II線部の断面図である。
【図３】好ましい実施形態に係るリングの外観斜視図である。
【図４】連結部材が取り付けられる前の図１の態様を示す外観斜視図である。
【図５】図４に示した実施形態におけるＶ−Ｖ線部の断面図である。
【符号の説明】
１ 脊柱接合アセンブリ
２ コネクタ
４ 固着手段
６ 連結部材
８ リング
１０ ロッキング部材
１１ 作動手段
１２ ねじ山
２５、２６ ブランチ
４１ 固着部

Claims (18)

1. コネクタ、
   該コネクタ内に受容され得る骨の固着手段、
   前記コネクタ内に受容され得る連結部材、及び
   前記固着手段の頭部と接触可能なリングを備え、
   前記リング及び前記固着手段が前記コネクタ内に取り付けられる場合、前記連結部材が、前記リング及び前記固着手段の頭部に対して、同時に接触可能なように構成されており、
   これによって、前記連結手段は、前記リング及び前記固着手段の頭部に対して下向きの力を及ぼすことを特徴とする脊柱接合アセンブリ。
2. 前記リングは、少なくとも１つの円錐状の表面を有することを特徴とする請求項１に記載の脊柱接合アセンブリ。
3. 前記リングは、前記固着手段に接触可能な第１の表面を有することを特徴とする請求項１又は２に記載の脊柱接合アセンブリ。
4. 前記リングは、前記コネクタの内壁に接触可能な第２の表面を有することを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
5. 前記リングは、前記固着手段に接触可能な第１の表面、及び前記コネクタの内壁に接触可能な第２の表面を備え、前記第１の表面及び第２の表面は、軸線が一致するように配置されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の脊柱接合アセンブリ。
6. 前記リングは、該リングの軸線に対して垂直で前記連結部材に接触可能な平坦な上縁部を有することを特徴とする請求項１〜５の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
7. 前記リングは、該リングの軸線に対して垂直で平坦な下縁部を有することを特徴とする請求項１〜６の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
8. 前記リングは、前記連結部材と接触することにより、前記内壁と前記固着手段との間で内径が拡がることを特徴とする請求項１〜７の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
9. 前記リングは、前記連結部材と接触することにより、接触前の形状を基準として変形するように配置されていることを特徴とする請求項１〜８の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
10. 前記リングは、壁の厚さが高さに応じて変化していることを特徴とする請求項１〜９の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
11. 前記リングは、スロットを備えていることを特徴とする請求項１〜１０の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
12. 前記スロットは、前記リングが非閉鎖の環を形成するように配置されていることを特徴とする請求項１１に記載の脊柱接合アセンブリ。
13. 前記リングは、該リングの全周に均一に分散した多数のスロットを備えていることを特徴とする請求項１１に記載の脊柱接合アセンブリ。
14. 前記固着手段は、略球状の頭部を備えていることを特徴とする請求項１〜１３の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
15. 前記頭部は、第１の球状表面及び第２の球状表面を有し、該第１の球状表面及び第２の球状表面は、中心が一致しており直径が互いに異なることを特徴とする請求項１４に記載の脊柱接合アセンブリ。
16. 前記固着手段は、多軸スクリューを有することを特徴とする請求項１〜１５の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
17. 前記アセンブリは、前記連結部材に接触可能なロッキング部材を備えていることを特徴とする請求項１〜１６の何れかに記載の脊柱接合アセンブリ。
18. 請求項１〜１７の何れかに記載の脊柱接合アセンブリを備えている骨接合装置。

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