JP4274792B2 - 新規n−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、及びそれをコードするポリヌクレオチド - Google Patents
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Description
本発明は、複合糖質中の特定の糖鎖構造を認識して、GlcNAcβ1→2Man構造を導入する新規なN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(OMGnT)酵素タンパク質、該タンパク質の活性測定法と製造法、および該タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関するものである。また、該ポリヌクレオチドを導入した細胞、それを用いる糖鎖および糖質(糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質およびそれらの誘導体)の製造方法、ならびに製造された該糖鎖および該糖質(糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質およびそれらの誘導体)に関するものである。
発明の背景
1. 糖タンパク質のO−結合(linked)Man型糖鎖
真核生物由来のタンパク質では、アミノ酸のみから成る単純タンパク質ではなく、糖鎖によって修飾された糖タンパク質が頻繁に見い出される。これら糖鎖は、タンパク質の安定性や立体構造の維持に関与したり、細胞間接着などにおける分子間の認識で重要な役割を果たすことが知られている。糖タンパク質の主要な糖鎖としては、アスパラギンに結合するN−結合(linked)型とセリン(Ser)あるいはスレオニン(Thr)に結合するO−結合型が挙げられる[竹内誠,グリコバイオロジーシリーズ5,グリコテクノロジー,木幡陽・箱守仙一郎・永井克孝編,講談社サイエンティフィック,(1994),191−208]。N−結合型では全てN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)がアスパラギンのアミド基に結合している。一方、O−結合型ではSerあるいはThrの水酸基に結合する糖が異なる数種類が存在する。その中で、マンノース(Man)が結合した一連の糖鎖はO−結合Man型として分類される。この他、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)が結合するムチン型、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合するO−結合GlcNAc型も広く知られている。これらのO−結合型糖鎖はアミノ酸に結合している糖が異なるだけでなく、糖鎖構造全体も大きく違っている[Van den Steen,P.,Rudd,P.M.,Dwek,R.A.,and Opdenakker,G,Crit.Rev.Biochem.Mol.Biol.,(1998),33,151−208]。
O−結合Man型糖鎖は酵母やカビなどの糖タンパク質でしばしば認められる。酵母の場合、構成糖のほとんどはマンノースであるが、リン酸やガラクトース(Gal)が少数結合している場合が知られている。糖鎖構造は不均一で、酵母の種類によっても異なるが、タンパク質にマンノースが直鎖状に1〜3残基結合し、さらにマンノース、ガラクトース、あるいはマンノースリン酸が転移した7糖以下の構造が知られている[Gemmill,T.R.and Trimble,R.B.,Biochim.Biophys.Acta,(1999),1426,227−237]。
生合成についてはパン酵母(Saccharomyces cerevisiae,以下S.cerevisiae)を中心に研究が進められており、図1のような経路で進行すると考えられている。すなわち、最初にProtein O−mannosyltransferase(PMTp)によってSerあるいはThrの水酸基にα−結合でマンノースを転移する反応が起こる[Strahl−Bolsinger,S.,Gentzsch,M.,and Tanner,W.,Biochim.Biophys.Acta,(1999),1426,297−307]。さらに、KRE2p、KTR1p、KTR3pのいずれかによってα−1,2結合でマンノースが伸長され、マンノースが2残基結合した構造が形成される。この糖鎖に引き続きKRE2pが作用すると、α−1,2結合でマンノースが3残基結合した構造となる[Lussier,M.,Sdicu,A.M.,Bussereau,F.,Jacquet,M.,and Bussey,H.,J.Biol.Chem.,(1997),272,15527−15531]。この後の生合成経路は、MNN1p、MNT2p、MNT3pによってα−1,3結合でマンノースがさらに1〜2残基結合する場合[Romero,P.A.,Lussier,M.,Veronneau,S.,Sdicu,A.M.,Herscovics,A.,and Bussey,H.,Glycobiology,(1999),9,1045−1051]と、MNN6pによりマンノースリン酸が転移される場合の2通りに分かれる[Jars,M.U.,Osborn,S.,Forstrom,J.,and MacKay,V.L.,J.Biol.Chem.,(1995),270,24810−24817]。なお、α−1,3結合のマンノースが転移すると、マンノースリン酸の転位反応は阻害される[Nakayama,K.,Feng,Y.,Tanaka,A.,and Jigami,Y.,Biochim.Biophys.Acta,(1998),1425,255−262]。
一方、動物のO−結合Man型糖鎖はほとんど知られていなかったが、近年、相次いで報告された。まずウシ末梢神経のα−dystroglycanから、NeuAcα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→2Manα1→Ser/Thrという構造が見い出された[Chiba,A.,Matsumura,K.,Yamada,H.,Inazu,T.,Shimizu,T.,Kusunoki,S.,Kanazawa,I.,Kobata,A.,and Endo,T.,J.Biol.Chem.,(1997),272,2156−2162]。その後、同様の糖鎖構造はウサギの骨格筋やヒツジの脳由来のα−dystroglycanにも存在することが確認された[Sasaki,T.,Yamada,H.,Matsumura,K.,Shimizu,T.,Kobata,A.,and Endo,T.,Biochem.Biophys.Acta,(1998),1425,599−606、Smalheiser,N.R.,Haslam,S.M,,Sutton−Smith,M.,Morris,H.R.,and Dell,A.,J.Biol.Chem.,(1998),273,23698−23703]。また、ウサギの脳抽出物には、神経回路の構築で重要な役割を果たすと考えられているHNK−1エピトープを含むHSO3→3GlcAβ1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→2Manα1→Ser/Thr構造も報告されている[Yuen,C.−T.,Chai,W.,Loveless,R.W.,Lawson,A.M.,Margolis,T.,and Feizi,T.,J.Biol.Chem.,(1997),272,8924−8931]。これらのことから、O−結合Man型糖鎖は動物においても存在することが明らかである。ただし、動物の糖鎖はシアル酸(NeuAc)、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、グルクロン酸(GlcA)、硫酸基が結合しており、酵母やカビで知られているものとは構造が大きく異なる。
動物におけるO−結合Man型糖鎖の生合成経路はほとんど分かっていない。タンパク質にマンノースを転移する酵素について酵母PMT遺伝子の相同体が取得されているが、機能を確認するには至っていない[Perez Jurado,L.A.,Coloma,A.,and Cruces,J.,Genomics,(1999),58,171−180]。また、ショウジョウバエ(Drosophila)では、体の捻れ(rotated abdomen)を生じる遺伝子変異が酵母PMT遺伝子と高いホモロジーをもつ遺伝子に起きていることが分かっている[Martin−Blanco,E.and Garcia−Bellido,A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1996),93,6048−6052]が、この遺伝子についてもPMT活性をもっているか否かは明らかとなっていない。さらに、タンパク質に結合したマンノースにβ1,2結合のN−アセチルグルコサミンを転移する酵素(OMGnT)などO−結合Man型糖鎖の伸長に関わる酵素については分かっていない。
2. O−結合Man型糖鎖の機能
S.cerevisiaeにはタンパク質にマンノースを転移する酵素として7個のPMTpアイソザイムが存在する。これらのうち3個の遺伝子(PMT1,PMT2,PMT4あるいはPMT2,PMT3,PMT4)を破壊すると生育できなくなる[Strahl−Bolsinger,S.,Gentzsch,M.,and Tanner,W.,Biochim.Biophys.Acta,(1999),1426,297−307]。また、酵母のPMT遺伝子と高い相同性をもつショウジョウバエのrt遺伝子の変異は形態異常の原因となっている[Martin−Blanco,E.and Garcia−Bellido,A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1996),93,6048−6052]。したがって、タンパク質のO−結合Man型糖鎖は生物の生育および形態形成で重要な役割を担っている可能性が考えられる。
動物では、O−結合Man型糖鎖がα−dystroglycanに結合していることが分かっている[Endo,T.,Biochim.Biophys.Acta,(1999),1473,237−246]。α−dystroglycanはβ−dystroglycanと共にdystroglycan遺伝子にコードされる糖タンパク質で、翻訳後に切断されてαおよびβの2成分に分かれる[Ibraghimov−Beskrovnaya,O.,Ervasti,J.M.,Leveille,C.J.,Salughter,C.A.,Sernett,S.W.,and Campbell,K.P.,Nature,(1992),355,696−702]。両者は筋肉や神経組織の基底膜に発現しており、α−dystroglycanが膜貫通タンパク質のβ−dystroglycanの細胞外ドメインに結合した状態で存在する。さらに、細胞外においてα−dystroglycanは細胞外マトリックスのlaminin−1、laminin−2、agrinなどと結合し、細胞内においてβ−dystroglycanは細胞骨格タンパク質のdystrophinなどと結合するので、αおよびβ−dystroglycanは細胞骨格と細胞外マトリックスを繋ぐ役割を果たしていると見なすことができる[Henry,M.D.and Campbell,K.P.,Curr.Opin.Cell Biol.,(1999),11,602−607]。このような複数の分子が結合した複雑な構造体はdystrophin glycoprotein complex(DGC)と呼ばれており、生物の形態形成と密接な関連が示されている。例えば、構成成分のdystrophin[Koenig,M.,Hoffman,E.P.,Bertelson,C.J.,Monaco,A.P.,Feener,C.,and Kunkel,L.M.,Cell,(1987),50,509−517]、laminin−2[Xu,H.,Wu,X.R.,Wewer,U.M.,and Engval,E.,Nature Genet.,(1994),8,297−302]、dystroglycan[Cote,P.D.,Moukhles,H.,Lindenbaum,M.,and Carbonetto,S.,Nature Genet.,(1999),23,338−342]の遺伝子異常は、いずれも重篤な疾患である筋ジストロフィーの原因となっている。
DGC中のα−dystroglycanとlamininの結合には、α−dystroglycan上にあるO−結合型糖鎖の3’−sialyl N−acetyllactosamine(NeuAcα2→3Galβ1→4GlcNAc)構造が重要であることが示されている[Chiba,A.,Matsumura,K.,Yamada,H.,Inazu,T.,Shimizu,T.,Kusunoki,S.,Kanazawa,I.,Kobata,A.,and Endo,T.,J.Biol.Chem.,(1997),272,2156−2162]。この糖鎖構造は、骨格筋由来α−dystroglycanのO−結合Man型糖鎖で実際に認められているので[Sasaki,T.,Yamada,H.,Matsumura,K.,Shimizu,T.,Kobata,A.,and Endo,T.,Biochem.Biophys.Acta,(1998),1425,599−606]、α−dystroglycanとlamininの結合にO−結合Man型糖鎖が重要な役割を果たしている可能性は高い。もしそうであれば、この糖鎖の生合成に必須であるOMGnTに変異が起きるとDGC構造に異常が生じるものと推定され、延いてはOMGnTは今だ解明されていない筋ジストロフィー様の神経疾患や形態異常の原因遺伝子である可能性が考えられる。
したがって、本発明のOMGnTタンパク質を抗原として得られる抗体・抗血清、あるいは本発明のOMGnTをコードするポリヌクレオチドの全部または一部をプローブに用いれば、前述した筋ジストロフィー様の神経疾患や形態異常などによる病変の検出および遺伝子診断等に有用である。
α−dystroglycanは、ハンセン氏病の原因でとして知られる細菌Mycobacterium leprae(以下、M.leprae)の末梢神経Schwann細胞への感染にも関与することが報告されている[Rambukkana,A.,Yamada,H.,Zanazzi,G.,Mathus,T.,Salzer,J.L.,Yurchenco,P.D.,Campbell,K.P.,and Fischetti,V.A.,Science,(1998),282,2076−2079]。ここで筆者らは、M.lepraeがα−dystroglycanと特異的に結合するlaminin−2 α2 chainのGドメイン(LNα2G)と結合し、選択的に末梢神経へ感染することを明らかにしている。さらに、末梢神経や骨格筋から調製したα−dystroglycanにはLNα2Gを介してM.lepraeが結合するのに対し、大腸菌から調製した組み換え体α−dystroglycanではこのような結合が認められないことから、α−dystroglycanの糖鎖がM.lepraeの感染に重要な要素となっていることを示している。
また、α−dystroglycanはLassa fever virus(ラッサ熱ウイルス)などのArena virusやLympohcytic choriomeningitis virus(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)など病原ウイルスの感染ターゲットであることも明らかにされている[Cao,W.,Henry,M.D.,Borrow,P.,Yamada,H.,Elder,J.H.,Ravkov,E.V.,Nichol,S.T.,Compans,R.W.,Campbell,K.P,,and Oldstone,B.A.,Science,(1998),282,2079−2081]。この場合も、ウイルスはウサギ骨格筋由来のα−dystroglycanには結合するが、大腸菌から生産させた組み換え体α−dystroglycanには結合せず、α−dystroglycanの糖鎖が感染で重要な役割をもっていることが示されている。さらに、同じウサギ骨格筋由来の糖タンパク質でもdihydropyridine receptor complexのα2サブユニットには結合しないことから、α−dystroglycanに特異的に結合している糖鎖の感染における重要性が指摘されている。このことから、非常に稀にしか認められないO−結合Man型糖鎖がウイルスのターゲットとなっている可能性は極めて高いと考えられる。
以上のように、α−dystroglycan上のO−結合Man型糖鎖は病原性の細菌やウイルス感染にも深く関わっている可能性が高い。したがって、O−結合Man型糖鎖を含む糖質は、生体に投与されると細菌やウイルスのα−dystroglycanへの結合を抑制することが期待できる。この作用は、前述した病原性細菌やウイルスの感染予防あるいは感染者の治療・症状悪化の防止に有益である。しかし、これらを実施するためには大量のO−結合Man型糖鎖を含む糖質が必要で、本発明のOMGnTを該糖質の合成を利用することにより可能となる。また、OMGnTをコードするポリヌクレオチドを導入した宿主細胞のうち、例えば酵母細胞(詳細は後述)などは安価にヒト型のO−結合Man型糖鎖を生産することができるので有用である。
3. 酵母における哺乳類由来糖タンパク質の生産
S.cerevisiaeに代表される種々の酵母は、組み換え体タンパク質を大量生産させるための宿主としてしばしば用いられている。通常、哺乳類の生理活性タンパク質の多くは生体から極少量しか得られないので、酵母で組み換えタンパク質として安価に大量生産できれば大変有益である。しかし、哺乳類のタンパク質の多くは糖鎖を結合しており、その構造が哺乳類と酵母で大きく違うために、単純に酵母で発現しても医薬品などとして利用できない場合が多い[Romanos,M.A.,Scorer,C.A.,and Clare,J.J.,Yeast,(1992),8,423−488、Eckart,M.R.and Bussineau,C.M.,Curr.Opin.Biotechnol.,(1996),7,525−530]。特に、酵母の糖鎖に含まれるManα1→3Manα1→2構造がヒトにおいて抗原性をもつ点は大きな問題である[Young,M.,Davies,M.J.,Bailey,D.,Gradwell,M.J.,Smestad−Paulsen,B.,Wold,J.K.,Barnes,R.M.R.,and Hounsell,E.F.,Glycoconj.J.,(1998),15,815−822]。
これらの問題を克服するために、近年、酵母の糖鎖構造を哺乳類と同様に変換する技術が開発されつつある。例えば、既に酵母のN−結合型糖鎖を動物の糖鎖構造に変換する技術は確立されている[Chiba,Y.,Suzuki,M.,Yoshida,S.,Yoshida,A.,Ikenaga,H.,Takeuchi,M.,Jigami,Y.,and Ichishima,E.,J.Biol.Chem.,(1998),273,26298−26304]。しかし、もう一つの主要な糖鎖であるO−結合型糖鎖については、そのようなアイディアや技術がなかった。O−結合型糖鎖についても、哺乳類と同様の糖鎖構造に変換する技術が確立されれば、N−結合型糖鎖の変換技術と合わせてほとんどの糖鎖について問題を解消できるものと考えられる。
4. N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnT)
タンパク質のセリンあるいはスレオニンに結合したマンノースにβ1,2結合でN−アセチルグルコサミンを転移する酵素(OMGnT)については、これまで報告がない。しかし、マンノースにN−アセチルグルコサミンを転移するN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnT)としては、GnT−I、GnT−II、GnT−III、GnT−IV、GnT−V、GnT−VIが知られている[Schachter,H.,Brockhausen,I.,and Hull,E.,Methods Enzymol.,(1989),179,351−397]。これらは何れもN−glycanの生合成に関与し、それぞれ固有の基質を認識して転移反応を行う。これまでに、GnT−I[Kumar,R.,Yang,J.,Larsen,R.D.and Stanley P.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1990),87,9948−9952、Sarkar,M.,Hull,E.,Nishikawa,Y.,Simpson,R.J.,Moritz,R.L.,Dunn,R.,and Schachter,H.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1991),88,234−238]、GnT−II[D’Agostaro,GA.,Zingoni,A.,Moritz,RL.,Simpson,RJ.,Schachter,H.and Bendiak,B.,J.Biol.Chem.,(1995),270,15211−15221]、GnT−III[Nishikawa,A,Ihara,Y.,Hatakeyama,M.,Kangawa,K.and Taniguchi,N.,J.Biol.Chem.,(1992),267,18199−18204]、GnT−IV、GnT−V[Shorebah,M.G.,Hindsgaul,O.and Pierce,M.,J.Biol.Chem.,(1992),267,2920−2927]についてはcDNAがクローニングされており、GnT−IVでは−IVa[Yoshida,A.,Minowa,M.T.,Takamatsu,S.,Hara,T.,Oguri,S.,Ikenaga,H.and Takeuchi,M.,Glycobiology,(1999),9,303−310]および−IVb[Yoshida,A.,Minowa,M.T.,Takamatsu,S.,Hara,T.,Ikenaga,H.and Takeuchi,M.,Glycoconj.J.,(1998),15,1115−1123]という2種類のアイソザイムの存在が明らかとされている。このうち同じ酵素活性をもつヒトのGnT−IVaとGnT−IVbとの間にはアミノ酸レベルで62%の同一性が認められる。しかし、類似した酵素反応を触媒するにもかかわらず、マンノースにβ1,2結合でGlcNAcを転移するGnT−IとGnT−II、あるいはマンノースにβ1,4結合でGlcNAcを転移するGnT−IIIとGnT−IVには明確な相同性が存在しない。さらに、GlcNAcの転移様式が異なるGnT間には相同性は見い出せない。これらの知見から、マンノースにN−アセチルグルコサミンを転移する各種のGnT間には相同性がないと一般的に考えられている。
ここでいう「同一性」とは、配列を構成する個々のアミノ酸残基がどの程度一致しているのかを示す表現である。この場合、ギャップの存在を考慮して整列させる処理をした場合も含む表現である。また、ここでいう「相同性」とは、上記同一性に加え更に類似のアミノ酸(例;イソロイシンとロイシン、アスパラギンとグルタミン酸等)も相同の範囲に加えた表現である。
本発明の目的は、新規のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(以下OMGnTという)活性を有するタンパク質(酵素)、該酵素をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む組み換え体ポリヌクレオチド、該組み換え体ポリヌクレオチドを含む哺乳類や酵母等の細胞、該細胞を培地に培養してOMGnT活性をもつ酵素蛋白質を生産する方法と該方法により生産される酵素蛋白質、OMGnTを用いた新規物質の製造法、該ポリヌクレオチドを導入した細胞を培地に培養してO−結合Man型糖鎖と糖質(糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質およびそれらの誘導体)を生産する方法、ならびに該方法により生産されるO−結合Man型糖鎖と糖質(糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質およびそれらの誘導体)を提供することにある。
発明の要約
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、ヒト脳由来RNAからOMGnT cDNAをクローニングすることに成功した。そして、このcDNAの産物がOMGnT活性を示すことを確認することにより、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(22)の発明である。
(1) 糖供与体としてUDP−GlcNAcを、糖受容体として下記式:
で表される部分構造を有する複合糖質をそれぞれ基質とし、下記式:
で表される部分構造を有する糖質を生成する作用を有するN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ。
(2) 糖受容体が糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質およびそれらの誘導体である、上記(1)のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ。
(3) 糖供与体としてUDP−GlcNAcを、糖受容体として下記式:
で表される部分構造を有する複合糖質をそれぞれ基質とし、下記式:
で表される部分構造を有する糖質(糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質およびそれらの誘導体)を生成する作用を有するN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ。
(4) 活性発現に2価のカチオンを要求すること特徴とする、上記(1)から(3)いずれかのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ。
(5) 配列番号2記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(6) 配列番号2記載のアミノ酸配列の少なくとも247位:Serから660位:Thrまでのアミノ酸配列を有するタンパク質。
(7) 配列番号2記載のアミノ酸配列の少なくとも247位:Serから660位:Thrまでのアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失、挿入および/または置換されたアミノ酸配列を有し、かつ上記(1)から(4)のいずれかに記載のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質
(8) 上記(5)から(7)いずれかのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド。
(9) 配列番号1記載の塩基配列を有する、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド。
(10) 上記(8)または(9)のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドをベクターに挿入したことを特徴とする組み換え体ポリヌクレオチド。
(11) 上記(10)の組み換え体ポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
(12) 上記(10)の組み換え体ポリヌクレオチドを含み、KRE2,KTR1,KTR3遺伝子の少なくとも1個を破壊した酵母細胞。
(13) 上記(10)の組み換え体ポリヌクレオチドを含み、KRE2,KTR1,KTR3遺伝子の三重破壊株である酵母細胞。
(14) 上記(1)から(4)いずれかのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質を生物試料から採取することを含むN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼの製造方法。
(15) 上記(11)から(13)いずれかの細胞を培地に培養し、培養細胞または培養培地からN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質を採取することを含むN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼを製造する方法。
(16) 上記(11)から(13)いずれかの細胞を培養し、培養細胞を遠心分離、破砕し、改変糖鎖構造を有する糖鎖および糖質を得ることを特徴とする、糖鎖構造が改変された該糖鎖および糖質の製造方法。
(17) 糖供与体としてUDP−[3H]GlcNAcを、糖受容体として下記式:
で表される部分構造を有する複合糖質をそれぞれ基質とし、下記式:
で表される糖ペプチドを逆相HPLCで分離検出することを特徴とする、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を測定する方法。
(18) 上記(5)から(7)のいずれかのタンパク質を保持する酵母細胞。
(19) 更にUDP−GlcNAc輸送体を保持する、上記(18)の酵母細胞。
(20) 上記(10)の組み換え体ポリヌクレオチドを含み、KRE2,KTR1,KTR3遺伝子のうちの1個〜3個の遺伝子が破壊されている、上記(18)または(19)の酵母細胞。
(21) 上記(18)から(20)のいずれかの酵母細胞を培養し、培養細胞を遠心分離、破砕し、改変糖鎖構造を有する糖鎖および糖質を得ることを特徴とする、糖鎖構造が改変された該糖鎖および糖質の製造方法。
(22) 前記糖鎖の改変がO−結合Man型糖鎖を哺乳類型GlcNAcβ1→2Man構造へ変換する、上記(21)の方法。
発明の詳細な説明
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のOMGnTをコードするポリヌクレオチドは、以下のようにして単離できる。
ヒトGnT−Iのアミノ酸配列に類似性のあるタンパク質の遺伝子をコードするEST(expression sequence tag)クローンをBLASTを用いてDNAデータベースGenBankで検索する。その結果の高度に類似性を示したクローンの塩基配列情報をもとにプライマーDNAを作製し、ヒト組織(例えば脳)より抽出されたRNAを用いたRT−PCRおよびヒト組織から作製されたcDNAを用いた5’−RACEによってOMGnT cDNAの部分断片を増幅する。増幅された部分cDNAの塩基配列は、例えばpCR−TOPO 2.1(Invitrogen社製)などのプラスミドベクターに挿入して解析する。これらの塩基配列情報を統合して、ヒトOMGnTをコードするcDNAの全塩基配列を決定する。次いでこのcDNAにコードされるOMGnTポリペプチドのアミノ酸配列を確定する。このようにして得られたヒトOMGnTのcDNA配列およびアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号1および2に示した通りである。ヒトOMGnTをコードするcDNAは、取得された部分断片を連結することによって作製することができる。また、ヒトOMGnTをコードするcDNAは、ヒトOMGnTの塩基配列情報をもとにプライマーDNAを作製し、ヒト組織(例えば脳)より抽出されたRNAを用いたRT−PCRによっても得ることができる。
配列番号2のアミノ酸配列あるいは配列番号2のアミノ酸配列のうち247:Ser〜660:Thrの配列において、1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失、挿入および/または置換された配列をコードするポリヌクレオチドを得るには、多くの方法を用いることができる。例えば、点変異または欠失変異を生じさせるためにヌクレオチドを変異原処理する方法;遺伝子を選択的に開裂し、次に選択されたヌクレオチドを除去または付加し、そして遺伝子を連結する方法;オリゴヌクレオチド変異誘発法等が挙げられる[Sambrook,J,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989),15.3−15.113]。このような手法によって作製したポリヌクレオチドを発現させて得られるOMGnT変異体が活性を示せば、本発明開示のOMGnTをコードするポリヌクレオチドと同様に使用することができる。
ここで言う配列番号2のアミノ酸の変異(付加、欠失、挿入、および/または置換)の数が1もしくは複数とあるが、特に数に限定はない。少なくとも1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜数個または1〜10個、最も好ましくは1〜3個である。
これら変異の数は実質的に該変異体がOMGnT活性を有する限りにおいて許容される。さらに、本発明のポリヌクレオチドには、配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%、最も好ましくは97%以上の相同性を有するタンパク質をコードする塩基配列も含まれる。ここで、このような相同性の数値は、例えばBLASTを用いてpositivesとして算出されるものである。
また、本発明のポリヌクレオチドには配列番号1に記載の塩基配列を有するN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド以外に、該ポリヌクレオチド配列の全部または一部と厳格(ストリンジェント)な条件下でハイブリダイズすることにより取得されるポリヌクレオチド配列も含まれる。ここで厳格な条件として、例えばナトリウム濃度が、10〜300mM、好ましくは20〜100mMであり、温度が25〜70℃、好ましくは42〜55℃での条件を挙げることができる。一般にイオン強度が低いほど、および/または温度が高いほど、ストリンジェンシーが高まることが知られている。はじめに低ストリンジェントまたは中ストリンジェントの条件でハイブリダイゼーションを行った後で、高ストリンジェントの条件で洗浄を行う場合にも、高ストリンジェンシーが達成できる。ハイブリダイゼーション条件については、たとえばF.M.Ausubel et al.,Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons社製)に記載があり、これを参照することができる。
上記の方法により得られる本発明のOMGnTをコードするポリヌクレオチドを適当なベクターのプロモーター下流に挿入した組換え体ベクターを作製し、それを宿主細胞に導入し、得られた細胞を培養することにより本発明のOMGnTを製造することができる。用いられるプロモーターは、例えばヒトcytomegalovirus由来プロモーターやサルsimian virus40由来プロモーターである。用いられるベクターは、プラスミドでもバクテリオファージでもよい。例えば、後記の実施例に示されるベクター:pcDNA3.1(Invitrogen社製)を用いることができる。また、OMGnTは本来膜貫通タンパク質であるので、N末端側の膜貫通領域を欠失させ、Igkappa chainの分泌シグナルに置換したタンパク質を発現させることによって、細胞外に可溶化型酵素として製造させることが可能である。組換え体ポリヌクレオチドを導入する宿主細胞としては、原核細胞、真核細胞(動物細胞、酵母細胞、カビ細胞、昆虫細胞など)のように、遺伝子組換え技術で用いられる細胞ならば、いかなる細胞でも用いることができる。例えば、原核細胞としては大腸菌、真核細胞のうち動物細胞としては、ヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣由来のCHO細胞、およびアフリカミドリサル腎臓由来のCOS細胞等の哺乳類細胞を用いることができる。
上記の形質転換は、それぞれの宿主について一般的に行われている方法で行う。例えば、宿主が大腸菌であれば、塩化カルシウム法その他の方法により作製したコンピテント細胞に組換えポリヌクレオチドを含むベクターを温度ショック法あるいはエレクトロポレーション法により導入することが可能である[Sambrook,J,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989),1.74−1.85]。宿主が酵母細胞であれば、塩化リチウム法その他の方法により作製したコンピテント細胞に組換えポリヌクレオチドを含むベクターを温度ショック法あるいはエレクトロポレーション法により導入することが可能である[Becker,D.M.and Guarente,L.,Methods Enzymol.,(1991),194,182−187]。宿主が動物細胞であれば、増殖期等の細胞に組換え体ポリヌクレオチドを含むベクターをリン酸カルシウム法、リポフェクション法またはエレクトロポレーション法により導入することが可能である[Sambrook,J,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989),16.30−16.55]。
このようにして得られた形質転換体を培地に培養することにより、OMGnTタンパク質を産生させることが可能である。形質転換体を培養する場合、培養に使用される培地としては、それぞれの宿主が生育可能な培地ならば良い。例えば、宿主が大腸菌であればLB培地などを用い、宿主が酵母であればYPD培地などを用いる。宿主が動物細胞であれば、Dulbecco’s MEMに動物血清を加えたものなどを用いる。培養は、それぞれの宿主について一般的に用いられている条件で行う。例えば、宿主が大腸菌ならば約30〜37℃で、約3〜24時間行い、必要により通気や撹拌を加えることができる。宿主が酵母であれば約25〜37℃で、約12時間〜2週間行い、必要により通気や撹拌を加えることができる。宿主が動物細胞であれば約32〜37℃で、5% CO2、100%湿度の条件で約24時間〜2週間行い、必要により気相の条件を変えたり撹拌を加えることができる。
培養後、培養菌体あるいは細胞をホモジェナイザー、フレンチプレス、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解によって菌体または細胞を破壊し、菌体外にOMGnTタンパク質を溶出させ、可溶性の画分から該タンパク質を得ることができる。また、目的のタンパク質が不溶性画分に含まれる場合は菌体または細胞を破壊後、遠心分離により不溶性画分を回収し、塩酸グアニジンなどを含む緩衝液などによって可溶性にして回収する方法も用いうる。このほか塩酸グアニジンなどのタンパク質変性剤を含む緩衝液によって直接菌体あるいは細胞を破壊し、菌体外に目的のタンパク質を溶出させる方法もある。
上記の上澄み液からOMGnTタンパク質を精製するには、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行うことができる。これらの方法としては、例えば遠心分離、塩析、溶媒沈殿、透析、限外濾過、分配クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、TLC、イオン交換クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、等電点電気泳動などがある。
上記のようにして動物細胞で大量に発現させたOMGnT:酵素タンパク質の生化学的性質は以下の通りである。
(1)作用
糖供与体としてUDP−GlcNAcを、糖受容体として下記式:
で表される部分構造を有する複合糖質をそれぞれ基質とし、下記式:
で表される部分構造を有する糖質を生成する。
糖受容体となる複合糖質は、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質およびそれらの誘導体(糖質)をいう。
(2)基質特異性
受容体となる糖質がmannosylnanopeptideの場合を100%とすると、mannose、p−nitrophenyl mannoseには0%の反応性を示す。また、GnT−Iの基質には0%の反応性を示す。
(3)分子量
cDNAの塩基配列から、OMGnTは660アミノ酸残基からなる分子量約71.5Kのタンパク質であると考えられる。但し、OMGnT活性にはC末端側の414アミノ酸残基からなる分子量約51.6Kのタンパク質で十分である。
(4)2価カチオン要求性
活性発現に2価カチオンが必須である。2価カチオンの中では、Mn2+が最大の効果を示し、10mM濃度下Mg2+ではMn2+の約40%程度、Ca2+では同じく約15%程度の効果があった。Mn2+の効果は1〜10mMの範囲で最大である。
(5)速度定数
0.4mM Man−peptide、7.5mM MnCl2,200mM GlcNAc,0.5%(w/v)Triton X−100,10% glycerol,1% BSAを含む125mM MOPSバッファー,pH7.3で37℃、2時間反応させるアッセイ条件で、His−Xpress−sOMGnT(L)のUDP−GlcNAcに対する見かけのKm値は0.73mMである。一方、0.2nmM UDP−GlcNAcを含む同様のアッセイ条件で、His−Xpress−sOMGnT(L)のMan−peptideに対するKm値は1.85mMである。また、His−Xpress−sOMGnT(S)のUDP−GlcNAcに対する見かけのKm値およびMan−peptideに対するKm値は、それぞれ0.57mM、1.36mMである。
(6)他のタンパク質との相同性
本発明のヒトOMGnTポリヌクレオチドがコードするタンパク質はヒトGnT−Iタンパク質とアミノ酸レベルで24.4%の同一性がある。しかし、OMGnTはGnT−I活性をもたず、GnT−IもOMGnT活性をもたない。また、660アミノ酸からなるOMGnTは、445アミノ酸からなるGnT−Iよりも115アミノ酸長く、特にN末端側の領域がより長い点が大きく異なる。
以上の生化学的性質により、本発明のOMGnTは、従来の糖転移酵素では行うことのできなかった下記式の反応を行いうる点において、新規糖転移酵素と認定した。
哺乳類細胞のO−結合Man型糖鎖および糖タンパク質を製造する酵母変異株は、以下のようにして作製することができる。
まず、外来ポリヌクレオチドを導入するための栄養要求性変異形質を保持し、かつ酵母特有の外糖鎖生合成系遺伝子が破壊された酵母変異株を作製する。KR E2、KTR1、KTR3などの標的遺伝子の破壊には、それらのDNA断片が必要であるが、該DNAの塩基配列情報および染色体上の配座はS.cerevisiaeのゲノムプロジェクトにより明らかである[Mewes.H.W.,Albermann,K.,Bahr,M.,Frishman,D.,Gleissner,A.,Hani,J.,Heumann,K.,Kleine,K.,Maierl,A.,Oliver,S.G.,Pfeiffer,F.,and Zollner,A.,Nature,(1997),387(suppl.),7−8]。したがって、米国ATCC(American Type Culture Collection)など公的な機関から標的遺伝子の近傍を含む断片の分与を受けることが可能である[ATCC Recombinant DNA materials,3rd edition,1993]。また、一般的手法にしたがってS.cerevisiaeからゲノムDNAを抽出し、目的遺伝子を取得することも可能である。S.cerevisiaeからゲノムDNAの抽出は、例えば、Cryerらの方法[Cryer,D.R.,Eccleshall,R.,and Marmur,J.,Methods Cell Biol.,(1975),12,39−44]およびP.Philippsenらの方法[Philippsen,P.,Stotoz,A.,and Scherf,C.,Methods Enzymol.,(1991),194,169−182]によって行なうことができる。さらに、標的遺伝子は塩基配列情報をもとにプライマーDNAを作製し、S.cerevisiaeゲノムDNAを鋳型としてPCRにより増幅して得られる。
宿主酵母の栄養要求性変異形質を保持させたまま複数の標的遺伝子を破壊するためには、サルモネラ菌のhisG遺伝子DNA断片がURA3遺伝子の両端に結合されたhisG−URA3−hisGカセットを利用する方法が知られている[Alani,E.,Cao,L.,and Kleckner,N.,Genetics,(1987),116,541−545]。まず、hisG−URA3−hisGカセットを制限酵素を用いてプラスミド上の標的遺伝子に挿入し、破壊された対立遺伝子を含むプラスミドを構築する。このプラスミドをUra −の酵母に形質転換し、染色体の標的遺伝子と置換させることにより遺伝子破壊株を得る。プラスミドを酵母へ形質転換する方法としては、リチウム塩で処理して自然にDNAを取込みやすい状態にしてプラスミドを取り込ませる方法、あるいは電気的にDNAを細胞内に導入する方法を採用できる[Becker,D.M.and Guarente,L.,Methods Enzymol.,(1991),194,182−187]。染色体に挿入されたURA3遺伝子はhisGではさまれており、hisG配列間での相同組み換えを起こし、1コピーのhisGとともに染色体から自然に脱落することがある。この場合、染色体上の標的遺伝子にはなおも1コピーのhisG断片が残って破壊されたままであるが、宿主細胞は再びUra −表現形となる。Ura3 +酵母株は5−フルオロオロト酸(5−FOA)に感受性であるので[Boeke,J.D.,Trueheart,J.,Natsoulis,G.,and Fink,G.R.,Methods Enzymol.,(1987),154,165−174]、5−FOAを加えた培地で培養すれば目的のUra −酵母株を選択的に取得することができる。以上の結果、この酵母株の遺伝子破壊には再び栄養要求性変異形質のURA3マーカーを用いることが可能である。例えば、この方法を繰り返し用いてKRE2、KTR1、KTR3を順次破壊すれば、O−結合Man型糖鎖としてマンノースが1残基結合する栄養要求性三重破壊株(△kre2△ktr1△ktr3)を取得できる。
このような栄養要求性三重破壊株に、本発明のOMGnTをコードするポリヌクレオチドを導入して発現させれば、酵母のO−結合Man型糖鎖を哺乳類で見られるGlcNAcβ1→2Manα1→Ser/Thrにすることができる。酵母固有のO−結合Man型糖鎖は哺乳類に対して免疫原性をもつが、この酵母変異株(OMGnT,△kre2△ktr1△ktr3)の糖鎖ではその点の改善が期待される。また栄養要求性を指標とせず、例えば薬剤耐性を付与する遺伝子をマーカーとし、酵母にOMGnT遺伝子を導入する場合には、既知の三重破壊株である酵母変異株(△kre2△ktr1△ktr3)[Lussier,M.,Sdicu,A.M.,Bussereau,F.,Jacquet,M.,and Bussey H.,J.Biol.Chem.(1997)272,15527−15531]を用いることも可能である。
さらに、この酵母変異株(OMGnT,△kre2△ktr1△ktr3)を宿主とすれば、O−結合Man型糖鎖が哺乳類型(GlcNAcβ1→2Man構造を有する[Chiba,A.,Matsumura,K.,Yamada,H.,Inazu,T.,Shimizu,T.,Kusunoki,S.,Kanazawa,I.,Kobata,A.,and Endo,T.,J.Biol.Chem.,(1997),272,2156−2162;Sasaki,T.,Yamada,H.,Matsumura,K.,Shimizu,T.,Kobata,A.,and Endo,T.,Biochem.Biophys.Acta,(1998),1425,599−606;Smalheiser,N.R.,Haslam,S.M.,Sutton−Smith,M.,Morris,H.R.,and Dell,A.,J.Biol.Chem.,(1998),273,23698−23703;Yuen,C.T.,Chai,W.,Loveless,R.W.,Lawson,A.M.,Margolis,T.,and Feizi,T.,J.Biol.Chem.,(1997),272,8924−8931])である有用な糖質を大量に製造することができる。このためには、酵母で機能するプロモーターの下流に目的の糖タンパク質をコードするポリヌクレオチドを連結し、相同組換えによって宿主酵母細胞に組み込む方法、あるいは、適当な発現プラスミドに挿入して宿主を形質転換する方法を利用する。得られた酵母株を公知の方法により培養すれば、酵母の細胞内または細胞外に目的の糖質が製造される。酵母の培養は、常法に従って行なうことができる。例えば、Difco社から供給される各種の培地成分を添加し、かつプラスミドの複製・保持に必要なマーカーによって供給可能となるアミノ酸を除いた合成培地(炭素源、窒素源、無機塩類、アミノ酸、ビタミン等を含む)等を利用できる[Sherman,F.,Methods Enzymol.,(1991),194,3−21]。培養物(培養液、培養菌体)から糖質を単離精製するためには、公知の分離・精製法を適切に行えばよい。例えば、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、公知のタンパク質の単離精製法、即ち、溶媒抽出、塩析、脱塩、有機溶媒による沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、分子篩を用いたゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、等電点電気泳動等を単独あるいは組み合わせて用いれば、精製標品を得ることができる。
また、O−結合Man型糖鎖が結合した糖質から糖鎖部分を遊離して調製する方法としては、希アルカリによるβ−脱離反応が知られている。例えば、上記精製により得られた糖タンパク質あるいは糖タンパク質を含む細胞を0.05N NaOH、1M NaBH4に溶解して45℃で18時間反応させ、糖鎖を遊離できる。さらに、4N acetic acidでpH6.0に調整した後、AG−50W−X12(H+form)(Bio−Rad社製)カラムに供し、素通り画分および水による洗浄画分を回収する。これをエバポレータで乾固させた後、ホウ酸がなくなるまでメタノール溶解と乾固の操作を繰り返す。得られたサンプルは、ペーパークロマトグラフィーやSuperdex Peptide HR10/30(Amersham Pharmacia Biotech社製)カラムクロマトグラフィー等に供することにより分離精製することができる[Chiba,A.,Matsumura,K.,Yamada,H.,Inazu,T.,Shimizu,T.,Kusunoki,S.,Kanazawa,I.,Kobata,A.,and Endo,T.,J.Biol.Chem.(1997),272,2156−2162、Lussier,M.,Camirand,A.,Sdicu,A−M.,and Bussey,H.,Yeast.(1993),9,1057−1063]。
実施例
以下に本発明を参考例および実施例によって説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されることはない。
(1)参考例および実施例に用いた試薬類
特に指定の無い試薬類は、シグマ製あるいは和光純薬製の最高グレードのものを使用した。また、制限酵素は宝酒造製のものを用いた。
(2)実施例に用いた機器類
RT−PCR(Reverse transcription−polymerase chain reaction)にはAccess RT−PCR System(Promega社製)を、さらに目的のDNA断片を増幅する際には、Advantage cDNA Polymerase Mix(Clontech社製)を用いた。
また、遺伝子配列決定には、ABI PLISM 377 DNA Sequencer(Perkin−Elmer社製)を使用した。
[参考例1]糖受容体Ac−Ala−Ala−Pro−Thr(Man)−Pro−Val−Ala−Ala−Pro−NH2(Man−peptide)の調製
Fmoc−Thr(Man)−OHは次のように合成した。N−iodosuccinimideとtrifluoromethanesulfonic acidの存在下で、phenyl 2,3,4,6,−tetra−O−benzyl−1−thio−D−mannopyranosideとN−benzyloxycarbonyl−L−threonine benzyl ester(Z−Thr−OBzl)を反応させ、benzyl基で保護されたZ−Thr(Man(OBzl)4−OBzlを77%の回収率で得た。触媒による水素添加によって全てのbenzyl基とZ基を脱保護した後、Fmoc−OSuを反応させFmoc−Thr(Man)−OHを75%の回収率で得た。
Ac−Ala−Ala−Pro−Thr(Man)−Pro−Val−Ala−Ala−Pro−NH2はFmoc固相法により合成した[Mizuo,M.,Muramoto,I.,Kawakami,T.,Seike,M.,Aimoto,S.,Haneda,K.,and Inazu,T.,Tetrahedron Lett.,(1998),39,55−58]。目的のMan−peptideは、糖ペプチド樹脂から脱保護して得た粗標品をGLサイエンス社製C18逆相カラム(Inertsil ODS−3,20×250mm)によるカラムクロマトグラフィーで精製して得た。分離は、45℃、流速10ml/min、0.1% TFA(溶液A)と0.1%TFAを含むアセトニトリル(溶液B)を用いた濃度勾配によって行い、検出には214nmを用いた。濃度勾配は25minまで5%溶液Bで流した後、35minまで直線的に溶液Bの濃度を上昇させ35%にした。得られたMan−peptideの構造は、1H−NMR、アミノ酸組成分析、MALDI−TOF MS(matrix−assisted laser desorption inonization time of flight mass spectrometry)によって確認した。
[実施例1]OMGnT活性の特異的測定法
これまでにOMGnT活性のアッセイ法は報告されていない。そこで、発明者らはOMGnT活性の新規測定法を開発し、以下の実施例に用いた。
0.4mM Man−peptide、0.2mM UDP−[3H]GlcNAc(〜228,000dpm/nmol)、10mM MnCl2、5mM AMP、200mM GlcNAc、2%(w/v)Triton X−100、10% glycerol、2μg/ml antipain、2μg/ml chymostatin、3μg/ml pepstatin A、2μg/ml leupeptin、1mM benzamidine−HCl、1mM PMSF(phenylmethylsulfonyl fluoride)を含む140mM MES[2−(N−morpholino)ethanesulfonic acid]バッファー(pH7.0)に酵素溶液を加えた反応液50μlを調製し、37℃で3時間反応させた後、3分間煮沸して反応を止めた。0.22μm孔のフィルターUltrafree−MC(Millipore社製)で固形物を除いた後、Wakopak 5C18−200カラム(4.6x250mm,和光純薬社製)で分析した。分離は、流速1.0ml/min、溶液Aと溶液Bを用いた濃度勾配によって行った。濃度勾配は10minまで溶液Bの濃度を0%、35minまで直線的に溶液Bの濃度を上昇させ25%に、さらに40minまで直線的に溶液Bの濃度を上昇させ100%とした。ペプチドの検出には214nmを用い、各フラクションの放射能は液体シンチレーションカウンターで測定した。
図2に典型的な結果を示した。30分付近に溶出されたピークが反応産物の[3H]GlcNAcが転移したMan−peptideで、その放射能から活性を算出することができる。
この反応産物のO−結合型糖鎖の構造は以下の方法で調べた。反応産物を500μlの0.05N NaOH、1M NaBH4に溶解して45℃で18時間反応させ、ペプチドから糖鎖を遊離させた。4N acetic acidでpH5.0に調整した後、1mlのAG−50W−X8(H+form)(Bio−Rad社製)カラムに供し、素通り画分と10mlの水で洗浄した画分をまとめて回収した。これをエバポレーターで乾固させ、ホウ酸がなくなるまでメタノールで溶解と乾固の操作を繰り返した。得られたサンプルは60℃でSuperdex Peptide HR10/30(Amersham Pharmacia Biotech社製)カラムクロマトグラフィーに供し、放射能をもつ画分を回収した。この糖鎖をCarboPac PA−1カラム(Dionex社製)を用いてHPAEC−PAD(High−pH anion−exchange chromatography with pulsed amperometric detection)で解析した[Kotani,N.and Takasaki,S.,Anal.Biochem.,(1998),264,66−73]。分離は15mM NaOHを流速1.0ml/minで流して行った。
図3に示したように、得られた糖鎖はGlcNAcβ1→2ManOHの溶出位置と完全に一致し、OMGnTはMan−peptideにβ1→2結合でGlcNAcを転移することが確かめられた。
なお、GlcNAcβ1→2ManOHはGlcNAcβ1→2Man(Dextra Laboratory社製)をNaBH4で還元して調製した[Chiba,A.,Matsumura,K.,Yamada,H.,Inazu,T.,Shimizu,T.,Kusunoki,S.,Kanazawa,I.,Kobata,A.,and Endo,T.,J.Biol.Chem.,(1997),272,2156−2162]。
[参考例2]GnT−I活性測定法
GnT−I活性は、以下に示した吉田らの方法[Yoshida,S.,Suzuki,M.,Yamano,S.,Takeuchi,M.,Ikenaga,H.,Kioka,N.,Sakai,H.,and Komano,T.,Glycobiology,(1999),9,53−58]によって測定した。酵素源を加えて終濃度が100mM MES(pH6.0)、20mM MnCl2、5μM Manα1−6(Manα1−3)Manα1−6(Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−PA(M5GN2−PA;宝酒造社製PA−Sugar Chain O17)、1mM UDP−GlcNAc、100mM GlcNAc、5mM AMP、1% Triton X−100、0.2% BSAとなるよう反応液20μlを調製し、37℃で1時間反応させた。沸騰水中で反応を停止させた後、Nacalai Tesque社製逆相HPLC(Cosmosil 5C18−AR column)で分析した。
糖受容体をManα1−6(Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−PA(M3GN2−PA;宝酒造社製PA−Sugar Chain O16)とした場合も同様の方法で解析した。
[実施例2]OMGnT活性を有する酵素の調製および該酵素の2価カチオン要求性
(1)粗酵素の調製
動物組織または培養細胞1gに対して、9mlの2μg/ml antipain、2μg/ml chymostatin、3μg/ml pepstatin A、2μg/ml leupeptin、1mM benzamidine−HCl、1mM PMSFを含む10mM Tris−HCl(pH7.4)、1mM EDTA、250mM Sucroseを加え、ポッターホモジナイザー(井内社製デジタルホモジナイザー)でホモジナイズした。900xgで10分間遠心分離し、上清をさらに100,000xgで1時間遠心分離し、ミクロソーム画分を沈殿として得た。可溶化した酵素を調製する場合には、この沈殿を5mM AMP、200mM GlcNAc、2%(w/v)Triton X−100、10% glycerol、2μg/ml antipain、2μg/ml chymostatin、3μg/ml pepstatin A、2μg/ml leupeptin、1mM benzamidine−HCl、1mM PMSF(phenylmethylsulfonyl fluoride)を含む140mM MESバッファー(pH7.0)(可溶化バッファーと呼ぶ)に懸濁して超音波処理した後、100,000xgで1時間遠心分離して上清を用いた。
OMGnTは広く動物の臓器および細胞に存在する。例えば哺乳類では、ラット新生児の脳、ラットの脳、ブタの脳、ウシの脳、ラットschwannoma細胞RT−4、マウスmyoblast細胞C2C12から調製した酵素溶液を実施例1に記載した方法で調べたところ、いずれもOMGnT活性を示した(表1)。なお、タンパク質量は、BCA protein assay(Pierce社製)を用いてBSA(bovine serum albumin)を標準物質として定量した。
(2)2価カチオン要求性
表2に、ラット新生児の脳由来OMGnTを用いて酵素活性に対する2価カチオン要求性を調べた結果を示した。本酵素はEDTA(ethylene diamine tetra−acetic acid)の添加で失活し、活性発現には2価カチオン(Mn2+,Mg2+,Ca2+)が必須であった。その効果はMn2+が最大で、Mg2+がそれに次ぎ、Ca2+にも弱い効果が認められた。
*OMGnT標品に10mMの各種金属イオンを添加してOMGnT活性を測定した。10mM MnCl2添加の時のOMGnT活性を100%として表示した。
[実施例3]ヒトOMGnT部分cDNAの単離と塩基配列解析
(1)ヒトGnT−I相同体cDNAの検索
ヒトGnT−Iと高い相同性をもつcDNAを含むEST(expressed sequence tag)クローンをBLASTによってGene Bankで検索した。その結果、AA911248,F11377,W77826,R20086,AA422183を見い出した。さらに、これらcDNAとオーバーラップするcDNAを含むESTクローンを検索した結果、AA843652などが検出された。
これらのcDNA配列を確認するために、ヒトの肝臓、肺、小腸、脳由来のTotal RNA、プライマーhGnTn1 F1:GACCAGTCCTGCTGAAGACAGAT(配列番号3)とプライマーhGnTn1 R1:GGTCCAGGTGGTGAAGTCATCAT(配列番号4)にてRT−PCRによる遺伝子の増幅を行った。RT−PCRは、Access RT−PCR kit(Promega社製)を用い、ヒトの肝臓、肺、小腸、脳由来のTotal RNAはClontech社から購入したものを使用した。その結果、いずれのRNAにおいても約1.1kbのDNA断片が増幅された。ヒト脳のRNAからのRT−PCR産物をTOPO TA cloning kit(Invitrogen社製)を用いてpCR−TOPO 2.1(Invitrogen社製)にサブクローニングし、塩基配列を解析した。塩基配列決定は、Thermo Sequenase II Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いてシーケンス反応後、Perkin Elmer社製377DNAシーケンサーによって解析した。その結果、1069bpのcDNA配列が明らかとなり、ESTのクローンを連結した配列とは7箇所が異なることが判明した。また、この配列にはヒトGnT−Iと高い相同性をもつアミノ酸配列がコードされていることが示唆された。
(2)ヒトOMGnT cDNAの取得
しかし、(1)で得られた配列にはストップコドンが見い出されなかった。そこで、下流の領域を取得するために、ヒト脳由来のTotal RNA、プライマーhGnTn1 F3:CCAGCTCAGGAATGTGGACAGTC(配列番号5)とプライマーhGnTn1 R2:TTCAAGGCCCTCAGGACAGTC(配列番号6)を用いてRT−PCRを行った。その結果、約0.7kbのDNA断片が増幅され、pCR−TOPO 2.1にサブクローニングして塩基配列を解析したところ、ESTクローンで報告されている配列とは4箇所が異なる693bpのcDNA配列が明らかとなった。この配列には、ヒトGnT−Iと高い相同性をもつフレームにストップコドンが認められ、C末端側の遺伝子は完全に得られたと考えられた。
一方、上記のcDNA領域には多くの糖転移酵素で認められる膜貫通ドメインが認められなかったことなどから、構造遺伝子のN末端側はカバーされていないと推定された。そこで、ヒト脳由来のMarathon−Ready cDNA(Clontech社製)を用いて、5’−RACE(Rapid amplification of cDNA ends)を行った。PCRは2段階で行い、1回目はプライマーhGnTn1 R1:GGTCCAGGTGGTGAAGTCATCAT(配列番号4)とプライマーAP1(Clontech社製):CCATCCTAATACGACTCACTATAGGGC(配列番号7)、2回目はプライマーhGnTn1 R5:GCTGAGCTCAATGGCACATCTG(配列番号8)とプライマーAP2(Clontech社製):ACTCACTATAGGGCTCGAGCGGC(配列番号9)を組み合わせて使用した。PCR産物をpCR−TOPO 2.1にサブクローニングして塩基配列を調べたところ、827bpのcDNA配列が明らかとなった。このcDNA配列において、ヒトGnT−Iと高い相同性をもつフレームの上流部分でストップコドンが認められたので、ATG(95−97)が開始メチオニンであると推定された。
以上のRT−PCRおよび5’−RACEから、配列番号1に示したヒトOMGnT cDNAの塩基配列および配列番号2に示したヒトOMGnTのアミノ酸配列が明らかとなった。ヒトOMGnTは660個のアミノ酸からなるタンパク質で、2次構造予測およびハイドロパシー分析によれば、43:Ala〜59:Leuの17アミノ酸が膜貫通領域と推定されるtype II型の膜タンパク質であると考えられる。
なお、ヒトOMGnTをコードするcDNAの作製は、実施例5に記載した。
[実施例4]ヒトOMGnT可溶化型酵素の発現ベクター作製、発現、活性測定および諸性質
(1)可溶化型糖転移酵素の分泌発現ベクターpcDNA3.1 IHXneoの作製 ヒトOMGnTの可溶化型酵素を発現させるために、分泌発現ベクターを次のように構築した。pSecTag2(Invitrogen社製)をテンプレート、プライマーpcDNA F:TTGACGCAAATGGGCGGTAGGC(配列番号10)とプライマーIg−His R:GAGAACCCCCGGCCGGCTGGGCCGCGTCAC(配列番号11)を用いたPCRによって、Ig kappa chain分泌シグナルのDNAを増幅した。また、pcDNA3.1HisC(Invitrogen社製)をテンプレート、プライマーIg−His F:CCAGCCGGCCGGGGGTTCTCATCATCATCAT(配列番号12)とプライマーpcDNA R:TAGAAGGCACAGTCGAGGCTG(配列番号13)を用いたPCRによって、His−tag、Xpress epitope、multi−cloning siteが連続した遺伝子を増幅した。さらに、これらのPCR産物を混合してテンプレートとし、プライマーpcDNA F:TTGACGCAAATGGGCGGTAGGC(配列番号10)とプライマーpcDNA R:TAGAAGGCACAGTCGAGGCTG(配列番号13)を用いたPCRによって、Ig kappa chain分泌シグナル、His−tag、Xpress epitope、multi−cloning siteが連結したDNAを増幅した。得られた約0.4kbのDNA断片をSacI、ApaIで消化し、pcDNA3.1HisCの同様の部位に挿入して分泌発現ベクターpcDNA3.1 IHXneoを作製した。
(2)ヒトOMGnT可溶化型酵素の分泌発現ベクターsOMGnT(S)/pcDNA3.1 IHXneoおよびsOMGnT(L)/pcDNA3.1 IHXzeoの作製
ヒトOMGnTの可溶化型酵素として、His−Xpress−sOMGnT(S)およびHis−Xpress−sOMGnT(L)の2種類をHEK293T細胞で分泌発現させた。His−Xpress−sOMGnT(S)はヒトOMGnT(配列番号2)の247:Ser以降の414アミノ酸(247:Ser〜660:Thr)、His−Xpress−sOMGnT(L)は66:Ser以降の595アミノ酸(66:Ser〜660:Thr)を各々含むタンパク質である。また、対照としてヒトGnT−Iの可溶化型酵素His−Xpress−sGnT−Iも同様に発現させた。これは、Kumar,R.,Yang,J.,Larsen,R.D.and Stanley P.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1990),87,9948−9952に記載のGnT−1のアミノ酸配列中、39:Ser以降の407アミノ酸を含むタンパク質である。
ヒト可溶化型OMGnT(S)のcDNAは、ヒト脳由来のRNA、プライマーhGnTn1 F4:AAGGATCCTCAGCAGAAGAGGCAGAGTGC(配列番号14)およびプライマーhGnTn1 R4:TTCTCGAGGGTCCTGGAGGAGGTCTCAT(配列番号15)を用いてRT−PCRで増幅した。得られた約1.3kbのDNA断片は、BamHIとXhoIで消化し、pcDNA3.1 IHXneoの同様の部位に挿入して発現プラスミドsOMGnT(S)/pcDNA3.1 IHXneoを作製した。
ヒト可溶化型OMGnT(L)の発現プラスミドsOMGnT(L)/pcDNA3.1 IHXzeoは、次のように作製した。まず、sOMGnT(S)/pcDNA3.1 IHXneoをSacI、ApaIで消化してIg−His−Xpress epitope−sOMGnTをコードする約1.5kbを取得した。このDNA断片をpcDNA3.1 Zeo(+)(Invitrogen社製)の同様の部位に挿入し、sOMGnT(S)/pcDNA3.1 IHXzeoを構築した。次に、ヒト脳由来のRNA、プライマーhGnTn1 F6:GCGGATCCAGTGAAGCCAATGAAGACCCAG(配列番号16)およびプライマーhGnTn1 R6:GCAGCTGCATACACTTCCATAGC(配列番号17)を用いてRT−PCRによってcDNAを増幅した。得られた約1.0kbのDNA断片を、BamHIとPstIで消化し、sOMGnT(S)/pcDNA3.1 IHXzeoの同様の部位に挿入して発現プラスミドsOMGnT(L)/pcDNA3.1 IHXzeoを作製した。
(3)ヒトGnT−I可溶化型酵素の分泌発現ベクターsGnT−I/pcDNA3.1 IHXneoの作製
ヒト可溶化型GnT−IのcDNAは、ヒト脳由来のRNA、プライマーhGnTl F1:CAGGATCCGTCAGCGCTCTCGATGGCGACC(配列番号18)およびhGnTl R1:CTCCTCGAGGAAGGACAGGCAGGTGCTAA(配列番号19)を用いてRT−PCRで増幅した。得られた約1.3kbのDNA断片は、BamHIとXhoIで消化し、pcDNA3.1 IHXneoの同様の部位に挿入して発現プラスミドsGnT−I/pcDNA3.1 IHXneoを作製した。
(4)各種分泌発現ベクターの発現
各分泌発現プラスミドは、ヒト胎児腎臓由来HEK293T細胞で一過性発現させた。通常、HEK293T細胞は10% Fetal Calf Serum(Hyclone社製)、10mM MEM Non−Essential Amino Acids solution(Gibco社製)、2mM Glutamine(Gibco社製)、100units/ml Penicillin/100μg/ml Streptomycin(Gibco社製)を含むD−MEM(Gibco社製#11995−065)で培養した。6ウェルプレートで50−70%コンフルエントの細胞に対して2μgのプラスミドをリン酸カルシウム法でトランスフェクションし、1晩培養した後、培地を交換して48時間培養した[Pear,W.S.,Nolan,G.P.,Scott,M.L.and Baltimore,D.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1993),90,8392−8396]。さらに、無血清培地に交換して48時間培養後、培養上清を回収した。
(5)ヒトOMGnTおよびヒトGnT−Iの可溶化型酵素のウエスタン解析
トランスフェクタントの無血清培地100μlをmicrocon−30で10μlに濃縮して15−25%グラディエントゲルによるSDS−PAGEに供した。SDS−PAGEはLaemmliの方法[Laemmli,U.K.Nature(1970)313,756−762]に基づいて実施した。電気泳動後、タンパク質はMillipore社製PVDF膜(Immobilon−P)にトランスファーした。メンブランは10%スキムミルクでブロッキングした後、1次抗体1/5000 Anti−Xpress Antibody(Invitrogen社製)、2次抗体1/5000 Horseradish Peroxidase linked Anti−mouse Ig whole Antibody(Amersham Pharmacia Biotech社製)と反応させ、ECL western blotting detection reagents(Amersham Pharmacia Biotech社製)で検出した。
図4に示した結果から、His−Xpress−sOMGnT(S)、His−Xpress−sOMGnT(L)、His−Xpress−sGnT−Iの全てがほぼ等量発現していることが確認された。またSDS−PAGEの移動度から、各々の分子量はそれぞれ約52、76、および52KDaと算出された。
(6)ヒトOMGnTおよびヒトGnT−Iの可溶化型酵素の酵素活性
実施例1に記載した方法により、無血清培地中のOMGnT活性を測定した。表3に示したように、His−Xpress−sGnT−Iではほとんど活性が検出されなかったのに対し、His−Xpress−sOMGnT(S)およびHis−Xpress−sOMGnT(L)では有意に高いOMGnT活性が認められた。この結果より、配列番号1に示したOMGnT cDNAは糖転移酵素OMGnTをコードしており、247:Ser以降の414アミノ酸(247:Ser〜660:Thr)に酵素活性領域があることが確かめられた。また、この方法により本来膜結合型タンパク質であるOMGnTの可溶化型酵素を細胞の培養上清に製造させることが可能であることが示された。
一方、参考例2に記載の方法により測定されたGnT−I活性については、His−Xpress−sGnT−Iが500pmol/hr/ml mediumの高い活性を示したのに対し、His−Xpress−sOMGnT(S)、His−Xpress−sOMGnT(L)は共に全く活性を示さなかった。これらの結果から、OMGnTはGnT−I活性をもたないと考えられた。
(7)ヒトOMGnTの可溶化型酵素における基質特異性と速度定数
(7−1)基質特異性
表4に、ヒトOMGnTの可溶化型酵素(His−Xpress−sOMGnT(S)およびHis−Xpress−sOMGnT(L))を用いて糖受容体に関する基質特異性を調べた結果を示した。これら2種類の可溶化型酵素は共にMan−peptideを受容体とするが、Man、p−nitrophenyl Man、M5GN2−PA、M3GN2−PAは受容体としない。Man−peptideを受容体としたときの活性を100%とすると、Man、p−nitrophenyl Man、M5GN2−PA、M3GN2−PAに対しては、共に0%の反応性を示した。
(7−2)速度定数
実施例2の測定法によって求められるHis−Xpress−sOMGnT(L)のMan−peptideに対するKm値は1.85mM、UDP−GlcNAcに対する見かけのKm値は0.73mMであった。また、His−Xpress−sOMGnT(S)のMan−peptideに対するKm値は1.36mM、UDP−GlcNAcに対する見かけのKm値は0.57mMであった。
[実施例5]ヒト全長OMGnT発現プラスミドの作製、OMGnT活性強化細胞の調製および該細胞での活性測定
(1)ヒトOMGnT発現プラスミドOMGnT/pcDNA3.1zeoの作製
ヒトOMGnTのN末端側領域をコードするcDNAを、ヒト脳由来のRNA、プライマーhGnTn1 F5:TTTGCTAGCCAATCCGGTATGGACGACTGG(配列番号20)およびプライマーhGnTn1 R6:GCAGCTGCATACACTTCCATAGC(配列番号17)を用いてRT−PCRで増幅した。得られた約0.9kbのDNA断片は、NheIとPstIで消化し、sOMGnT(S)/pcDNA3.1 IHXzeoの同様の部位に挿入して発現プラスミドOMGnT/pcDNA3.1 zeoを作製した。このプラスミドは、pcDNA3.1 Zeo(+)のNheI、XhoI部位にヒトOMGnTの全長をコードする約2.0kbのcDNAが挿入されたと言い換えることができる。
(2)ヒトOMGnTの発現および活性の測定
発現プラスミドは、実施例3記載の方法と同様にしてHEK293T細胞で一過性発現させた。10cmシャーレで50−70%コンフルエントの細胞に対して15μgのプラスミドをトランスフェクションした。1晩培養した後に培地交換を行い、48時間培養後、細胞を回収した。
実施例2記載の方法により、細胞からミクロソーム画分を調製し、可溶画分および不溶画分のOMGnT活性を実施例1記載の方法で測定した。結果を表5に示す。
OMGnT cDNAトランスフェクタントでは、可溶画分と不溶画分の両方でプラスミドをトランスフェクトしなかったコントロール(プラスミドなし)に対して、それぞれ約120および約140倍の高い活性が検出された。この結果より、配列番号1に示したOMGnT cDNAは糖転移酵素OMGnTをコードしていることが確認された。さらに、OMGnT cDNAトランスフェクタントから調製したミクロソーム画分を界面活性剤存在下で超音波処理しても不溶画分に高い活性が認められることから、OMGnTはアミノ酸配列から予想される通り膜タンパク質であることが示された。また、弱いOMGnT活性がコントロール(プラスミドなし)の可溶画分および不溶画分で検出された。このことは、実施例2で述べたようにOMGnTが広く動物細胞に存在し、酵素源となりうることを示す。
以上のように、OMGnT cDNAを細胞に導入すれば、OMGnT活性を強化した細胞の作出が可能である。
[実施例6]出芽酵母におけるOMGnTの発現および活性測定
(1)OMGnT発現ベクターの構築
OMGnTタンパク質の発現を確認するため、水疱性口内炎ウィルス糖タンパク質(VSV−G)エピトープ配列(Kreis,EMBO J.,5,931−941(1986))をタグとしてN末端に付加したOMGnTを発現するベクターを構築した。すなわち、まず[実施例5]で作製したOMGnT/pcDNA3.1 zeoからKpnIとXhoIでOMGnTの酵素活性領域を切り出し、酵母発現用ベクターYEp352GAP(Kainuma et al.,Glycobiology,9,133−141(1999))のKpnIとXhoI間に挿入した。これをYEp352−OMGnT1と命名した。次にプライマーYF1(TGAATAGATTGGGTAAGATGGACGACTGGAAGCCC:配列番号21)とプライマーYR1(CCCAGTGGCACTCTGCCTCTTCTGC;配列番号22)を用いて、OMGnT/pcDNA3.1zeoを鋳型にしVSV−GエピトープがN末端に付加したOMGnTの部分タンパク質をコードするキメラ遺伝子を増幅した。さらに、このDNA断片を鋳型にして、プライマーYF2(CCCGAATTCATGTACACTGATATTGAAATGAATAGATTGGGTAAG:配列番号23)と上記プライマーYR1を用いてPCR法により増幅を行ない、EcoRI部位を導入した。配列を確認後、制限酵素EcoRIとSacIで処理し、YEp352−OMGnT1のEcoRIとSacI部位に挿入し、目的の発現ベクターYEp−OMGnTを完成させた。
また、酵母での発現量を向上させ、かつゴルジ体に効率良く局在させるため、酵母のα−1,6−mannosyltransferaseをコードする遺伝子(OCH1)(Nakayama,et al.,EMBO J.,11,2511−2519(1992))の膜貫通領域部分とOMGnTの酵素活性領域をコードするキメラ遺伝子を作製した。すなわち、まずプライマーYF3(TGAATAGATTGGGTAAGATGTCTAGGAAGTTGTCCC:配列番号24)とプライマーYR2(GGGGAGCTCAAATTTATATCTTGTG:配列番号25)を用いて、W303−1AのゲノムDNAを鋳型にし、OCH1タンパク質の膜貫通領域部分(Met1〜Leu64)にVSV−Gエピトープが付加するようなタンパク質(VSV−G−OchlpTM−OMGnT)をコードするキメラ遺伝子を増幅した。次にこのDNA断片を鋳型にして、上記プライマーYF2と上記プライマーYR1を用いてPCR法により増幅を行ない、EcoRI部位を導入した。配列を確認後、制限酵素EcoRIとSacIで処理し、YEp352−OMGnT1のEcoRIとSacI部位に挿入した。このプラスミドをYEp−OCH1−OMGnTとした。
2種類のプラスミドYEp−OMGnTとYEp−OCH1−OMGnTは各々宿主の出芽酵母(S.cerevisiae W303−1A)に酢酸リチウム法で形質転換した。形質転換後、SD−Ura培地のプレートにまいて、30°Cで2日間培養し、各々の形質転換体を得た。YEp−OMGnTを有する株をSSY1、YEp−OCH1−OMGnTを有する株をSSY2と命名した。
(2)出芽酵母におけるOMGnTの発現確認と活性測定
出芽酵母におけるOMGnT発現の確認はwestern blot法を用いて行なった。
まず、得られた形質転換体を500mlのSD−Ura溶液で液体培養し、集菌した。冷水で洗浄後、スフェロプラスト培地(1Mソルビトールを含む50mMリン酸カリウム(pH7.5))5.7mlに懸濁し、2−メルカプトエタノール9μlと12mgのZymolyase 100Tを300μlのスフェロプラスト培地に溶解し加え、30℃、45分間保温した。1Mソルビトール15mlを加え、遠心後、沈殿を再び1Mソルビトール15mlで洗浄、集菌した。この沈殿にlysis buffer(250mMソルビトール、2μg/mlアンチパイン、2μg/mlキモスタチン、3μg/mlロイペプチン、3μg/mlペプスタチン、1mMベンズアミジン、1mM EDTA、1mM EGTA、1mM PMSFを含む10mMトリエタノールアミン(pH7.2)溶液)を4ml加え、ホモジナイザーで細胞を破壊し、220xgで遠心して上清を回収した。この上清を10,000xgで遠心し、その沈殿画分をlysis buffer 150μlに懸濁し、P2画分とした。上清についてはさらに100,000xgで遠心し、その沈殿画分をlysis buffer 150μlに懸濁し、P3画分とした。
タンパク質量50μgのP2,P3画分それぞれをSDS−PAGEで分離した後、PVDF膜に転写して常法に従いwestern blot解析を行なった。なお一次抗体はマウス抗VSV−G抗体(Clontech社製)を、二次抗体にはラビット抗マウスIg抗体アルカリフォスファターゼ複合体(ICN Pharmaceuticals社製)を用い、検出はSuper Signal Ultra(Pierce社製)を基質としてX線フィルムに露光することで行なった。その結果を図5に示した。ベクターのみの株に比べ、W303−1A/YEp−OMGnTでは数本の、W303−1A/YEp−OCH1−OMGnTでは1本のシグナルが見られたが、W303−1A/YEp−OMGnTのほうがシグナルは強かった。また、いずれにおいても細胞内の小胞体等を含むP2画分に強いシグナルが見られた。
次にそれぞれのP2,P3画分についてOMGnT活性を測定した。なお活性測定は[実施例1]に示した方法で行なった。その結果を表6に示した。ベクターのみのコントロールが全く活性を示さなかったのに対し、SSY1,SSY2はともに明確なOMGnT活性を示した。また、いずれの株においてもP2画分にP3画分よりも多くの活性が検出された。
これらの結果より、活性をもつOMGnTタンパク質が酵母内で発現可能であることが確認された。また、western blotと活性測定の結果を考え合わせると、OMGnTの発現量の低いSSY2のOMGnT比活性が高いと考えられた。よって以後の実施例はOCH1とのキメラ遺伝子を用いて行なった。
[実施例7]酵母特異的O−結合Man型糖鎖を欠損した酵母変異株(△kre2△ktr1△ktr3マーカー保持型三重破壊株)の育種
(1)△kre2マーカー保持型破壊株の作製とその性質
すでに報告のあるpNK51(Alani et al.,Genetics,116,541−545(1987))より、URA3遺伝子の両端にサルモネラ菌hisG遺伝子がダイレクトリピートで結合しているカセット(HUH)をBglIIとBamHIで切断し、大腸菌プラスミドpSP73(Promega社製)のBamHI部位に挿入した。このプラスミドをpSP73−HUHと命名した。
次に、pSP73−HUHをテンプレートとしてHUHカセットの両末端にKRE2遺伝子の一部が付加したDNA断片をPCRで増幅した。付加したKRE2遺伝子のDNA塩基配列はGenBankデータベースにX62647で登録されており(Hill et al.,Genetics,130,273−283(1992))、hisGの外側にKRE2遺伝子の+41〜+80領域(下線で示した)を付加したプライマーYF4(TCATTGCAGGTGCGGTTATTGTTCTCCTCCTAACATTGAAGATGAATTCGAGCTCGGTAC:配列番号26)と、同じくKRE2遺伝子の+1317〜+1278領域(下線で示した)を付加したプライマーYR3(TTTTTTCCAGTTTTTTGGCTTTACCAACCCTTGAGCATCATGCCTGCAGGTCGACTCTAG:配列番号27)を使用した。このPCR産物(△kre2::HUH)を用いてW303−1A(MATa leu2−3,112 his3−11,15 ade2−1 ura3−1 trp1−1 can1−100)を酢酸リチウム法(Ito et al.,J.Bacteriol.,153,163−168(1983))で形質転換した。形質転換後、0.3 M KClを含むSD−Ura(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、ウラシルを除く核酸塩基、およびアミノ酸混合物(20−400mg/L))培地のプレートにまいて、30℃で2日間培養し、形質転換体を得た。
形質転換体よりゲノムDNAを調製し、上記のプライマーYF4とYR3を用いてPCR法によりウラシルマーカーがKRE2領域の染色体に組込まれていることを確認し、SSY3株とした。
本株を、5−FOAを含有したYSD培地(1%酵母抽出液、2%グルコース、アデニン(40mg/L)、ウラシル(20mg/L))にて選抜を行ない、URA3遺伝子脱落株を得た。上記の方法と同様にPCR法を用いてURA3遺伝子を脱落させたkre2破壊株を確認した。△kre2::hisGを含む本株をSSY4株とした。
(2)△kre2△ktr1マーカー保持型二重破壊株の作製とその性質
KTR1遺伝子のDNA塩基配列は、GenBankデータベースにX62941で登録されている(Hill et al.,Genetics,130,273−283(1992))。W303−1AのゲノムDNAを鋳型にし、KTR1遺伝子の5’非翻訳領域(−163〜−139)をコードするプライマーYF5(TGGTGCCTTCTTGCTTCTTTTTTGC:配列番号28)と3’非翻訳領域(+1372〜+1348)をコードするプライマーYR4(GGTAGAAAATATCAGTTGGGTTATC:配列番号29)を用いて、KTR1遺伝子をPCRで増幅した。このDNA断片をpUC118(宝酒造社製)のSmaI部位に挿入し、プラスミドpUC118−KTR1を作製した。本プラスミドをKTR1内部にある2ヶ所のBglII部位で切断後、pSP73−HUHからBglII−BamHIで切断したHUH断片を挿入した。このプラスミドをpUC118−△ktr1::HUHと命名した。このプラスミドを再度上記のプライマーYF5とプライマーYR4でPCR増幅し、得られたPCR断片を用いて、SSY4株を酢酸リチウム法を用いて形質転換した。形質転換後、0.3 M KClを含むSD−Ura培地のプレートにまいて、30℃で2日間培養し、形質転換体を得た。
形質転換体よりゲノムDNAを調製し、上記のプライマーYF5とYR4を用いてPCR法によりウラシルマーカーがKTR1領域の染色体に組込まれていることを確認し、SSY13株とした。
本株を、5−FOAを含有したYSD培地にて選抜を行ない、URA3遺伝子脱落株を得た。上記の方法と同様にPCR法を用いてURA3遺伝子を脱落させたktr1破壊株を確認した。(△kre2::hisG,△ktr1::hisG)を含む本株をSSY14株とした。
(3)△kre2△ktr1△ktr3マーカー保持型三重破壊株の作製
KTR3遺伝子のDNA塩基配列は、GenBankデータベースにZ36074で登録されている(Feldmann et al.,EMBO J.,13,5795−5809(1994))。W303−1AのゲノムDNAを鋳型にし、ktr1遺伝子の5’非翻訳領域(−95〜−71)をコードするプライマーYF6(TCGAAGAAAACAACGTAACTGATGG:配列番号30)と3’非翻訳領域(+1385〜+1361)をコードするプライマーYR5(TTTTGCTTTTCTCTCTTCATCTCCG:配列番号31)を用いて、KTR3遺伝子をPCRで増幅した。このDNA断片をpUC118のSmaI部位に挿入し、プラスミドpUC118−KTR3を作製した。本プラスミドをKTR3内部にある2ヶ所のEcoRV部位で切断後、pSP73−HUHからBglII−BamHIで切断し、Klenow Fragmentで平滑末端化したHUH断片を挿入した。このプラスミドをpUC118−△k tr3::HUHと命名した。このプラスミドを再度上記のプライマーYF6とプライマーYR5でPCR増幅し、得られたPCR断片を用いて、SSY14株を酢酸リチウム法を用いて形質転換した。形質転換後、0.3 M KClを含むSD−Ura培地のプレートにまいて、30℃で2日間培養し、形質転換体を得た。
形質転換体よりゲノムDNAを調製し、上記のプライマーYF6とYR5を用いてPCR法によりウラシルマーカーが△ktr3領域の染色体に組込まれていることを確認し、SSY17株とした。
本株を、5−FOAと0.3 M KClを含むYSD培地にて選抜を行ない、URA3遺伝子脱落株を得た。上記の方法と同様にPCR法を用いてURA3遺伝子を脱落させたktr3破壊株を確認した。(△kre2::hisG,△ktr1::hisG,△ktr3::hisG)を含む本株をSSY18株とした。
[実施例8]△kre2△ktr1△ktr3マーカー保持型三重破壊株におけるOMGnT融合タンパク質(VSV−G−Och1pTM−OMGnT)の発現と細胞表層マンナンタンパク質の糖鎖構造解析
(1)OMGnT発現ベクター(染色体導入型)の構築とSSY18株への導入
[実施例7]で作製したYEp−OCH1−OMGnTから、VSV−G−Och1pTM−OMGnTをコードする領域ならびにプロモーター、ターミネーターの領域をBamHIで切りだした。これを染色体導入型ベクターのpRS403(HIS3マーカー;STRATAGENE社製)のBamHI部位に挿入した後、HIS3内部のNheIで切断し直鎖状にした。このDNA断片を用いてSSY18株の形質転換を行なった。この形質転換は、SSY18株染色体のHIS3と相同的組み換えを起こすことにより目的遺伝子を1コピー染色体上へ導入するものである。形質転換は[実施例6]に従って行ない、形質転換体を得た。形質転換体からゲノムDNAを抽出し、プライマーYF7(AAGTTGAGGGCTATGGAAGTGTATG:配列番号32)とプライマーYR6(CACAACTAACTTTTTCCCGTTCCTC:配列番号33)を用いてPCR法によって目的遺伝子のゲノム上への挿入の確認を行なった。遺伝子がHIS3locusに1コピー導入されていることはプライマーYF8(GCTTTGCTGTGGGAAAAACTTATCG:配列番号34)と上記プライマーYR6を用いてPCR法によって確認した。この形質転換体をSSY11株とした。
(2)ヒトUDP−GlcNAc輸送体(hUGTre12)遺伝子の導入
出芽酵母の糖タンパク質中の糖鎖は主にマンノースから合成されており、ゴルジ体でのGlcNAc付加は起こらないと考えられている。従ってOMGnTの糖供与体であるUDP−GlcNAcがゴルジ体内に不足している可能性が考えられた。そこでヒトにおいて細胞質からゴルジ体へUDP−GlcNAcを輸送することが明らかとなっているヒトUDP−GlcNAcトランスポーター遺伝子(hUGTre12)を導入した。hUGTre12の酵母での発現は石田らによって報告されている(Ishida et al.,J.Biochem.,126,68−77(1999))。この発現用ベクターをテンプレートにして、プライマーYF9(AGAGCGGCCGCAAAATGTTCGCCAACCTAA:配列番号35)とプライマーYR7(TTTTGTCGACTAGACGCGTGAAGCATGCCC:配列番号36)でPCR法によりUDP−GlcNAcトランスポーター遺伝子領域を増幅した。この配列を確認後、NotIとSalIで切断し、発現ベクターpG3−N(Chiba et al.,Biochem.J.,308,405−409(1995))のNotIとSalI部位間と置換した。次にこのプラスミドからNaeIとSmaIで、プロモーター領域を含むUDP−GlcNAcトランスポーター遺伝子断片を切り出し、染色体導入型ベクターのpRS404(TRP1マーカー;STRATAGENE社製)のSmaI部位に挿入した後、TRP1内部のBstXIで切断し直鎖状にした。このDNA断片を用いてSSY11株の形質転換を行なった。形質転換は[実施例6]に従って行ない、形質転換体を得た。形質転換体からゲノムDNAを抽出し、プライマーYF10(TTTGTGCCAACCAGTGTCTTTTTCC:配列番号37)とプライマーYR8(TAAGTGCACTAGGGTCCGGTTAAAC:配列番号38)を用いてPCR法によって目的遺伝子のゲノム上への挿入の確認を行なった。遺伝子がHIS3 locusに1コピー導入されていることはプライマーYF11(ACGCGTATATTTCTACCAATCTCTC:配列番号39)と上記プライマーYR8を用いてPCR法によって確認した。この形質転換体をSSY12株とした。
(3)酵母細胞表層マンナンタンパク質の分離とそのO−結合Man型糖鎖の構造解析
酵母細胞表層マンナンタンパク質の分離はChibaらの方法(Chiba et al.,J.Biol.Chem.,273,26298−26304(1998))にて、そのO−結合Man型糖鎖はIwaseらの方法(Iwase et al.,Anal.Biochem.,206,202−205(1992))に基づいて行なった。各種酵母株を500ml容坂口フラスコに入れた0.3 M KClを含むYPAD培地150mlにおいて、30℃で24時間培養し、菌体を遠心分離によって集めた。これを2mlの20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁し、オートクレーブ中で121℃、1時間加熱した。冷却後、遠心分離し、上清を取り、固形物は、もう一度2mlの20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を加えて同様に加熱、遠心分離し、上清を集めた。全抽出液を合わせて、3倍量のエタノール中に注加した。生じた白色の沈殿物を乾燥させた。これを1mlのH2Oに懸濁し、H2Oに対して透析後、凍結乾燥しマンナンタンパク質を得た。
次に得られたマンナンタンパク質に対し、ヒドラジン分解法でO−結合型糖鎖を分離した。ヒドラジン分解はヒドラクラブ(ホーネン社製)を用いて行ない、方法はマニュアルにしたがった。分解条件は65°C,3時間とした。分解後、再度N−アセチル化を行なった後、減圧乾固しO−結合型糖鎖調製品とした。
得られた糖鎖に対し蛍光標識(ピリジルアミノ化、PA化という)を行なった。PA化はPAL Station(宝酒造社製)を用いて行ない、方法はマニュアルにしたがった。反応後の糖鎖を500μlのH2Oに懸濁し、粗PA化オリゴ糖調製品とした。
粗サンプルについては、未反応の2−アミノピリジンを除去するため、アンモニア水を200μl加えた後、さらに等量になるようにフェノール:クロロホルム(1:1)を加え、激しく振盪してPA化オリゴ糖を含む水層を回収した。これを7回繰り返し、未反応の2−アミノピリジンを除去した。上清について0.22μmのフィルターで濾過し、PA化オリゴ糖調製品とした。
O−結合型糖鎖へのGlcNAc転移を確認するため、得られたPA化オリゴ糖調製品をJack bean(タチナタマメ)のβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ(生化学工業社製)で消化して解析した。PA化オリゴ糖調製品20μlを減圧乾固した後、17.8μlのH2Oにけん濁、1M NaOAc 0.2μl、HexNAc’ase 2μl(20mU)を加えて、37℃で一晩反応した。100°C、5分処理して反応停止後、0.22μmのフィルターを通し、HPLCで分析した。
アミノカラムを用いたHPLCにより、PA化オリゴ糖は鎖長の違いで分離することが可能である。カラムはSHODEX AsahiPak NH2P−50(4.6x250mm、昭和電工社製)を使用し、溶媒は、200mM酢酸−トリエチルアミン緩衝液(pH7.0)とアセトニトリルとの10:90の混合液(A液)、200mM酢酸−トリエチルアミン緩衝液(pH7.0)とアセトニトリルとの40:60の混合液(B液)を用いた。予め溶媒Aを流速1.0ml/minで流すことによりカラムを平衡化し、試料注入直後から溶媒Bの割合を60分かけて100%まで直線的に上昇させ、PA化オリゴ糖を分離した。
OMGnT発現株(SSY11株、SSY12株)および親株から調製したPA化オリゴ糖調製品の構造解析結果を図6(A,C,E)に示した。SSY11株およびSSY12株には、親株では認められなかったMan−GlcNAcの明確なピークが検出された。Man−Man(M2)を基準とすると、Man−GlcNAcの生産量はSSY12株の方がSSY11株よりも多かった。さらにJack beanのβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼで消化すると、Man−GlcNAcのピークは顕著に減少し、GlcNAcがβ結合していることが確かめられた(図6、D,F)。これらの結果と先に実施例4で示したOMGnTの酵素学的性質を勘案すれば、OMGnTを発現させることによって、酵母細胞壁のO−結合Man型糖鎖は哺乳類型のGlcNAcβ1→2Man構造に変換できたと言える。
産業上の利用可能性
本発明によれば、新規なN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(OMGnT)、その可溶化型酵素、およびそれらの活性測定方法、製造方法ならびに該酵素をコードするポリヌクレオチドが提供される。
本発明のOMGnTにより、既知の糖転移酵素では形成できなかった複合糖質を生産することが可能となり、複合糖質性の医薬品、試薬、および食品の製造や改良に役立つとともに、あらゆる生体高分子の表面糖鎖構造の改変や解析に有用である。
また本発明のOMGnTをコードするポリヌクレオチドは、形態異常、神経疾患などの病変の診断や治療、および微生物や動物等を利用した複合糖質製品の糖鎖構造の改変に有用である。
さらに、本発明のOMGnTタンパク質を抗原として得られる抗体・抗血清、あるいは本発明のOMGnTをコードするポリヌクレオチドの全部または一部をプローブに用いれば、動物各組織、血液、血球成分、培養細胞、および微生物等のキャラクタライズが可能であり、形態異常や神経疾患などの病変の検出および診断等に有用である。
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本発明の説明のために多数の参考文献を引用したが、それらの開示の全体を本明細書に参照として取り入れるものとする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)におけるO−結合Man型糖鎖生合成経路を示す。
図2は、逆相HPLCによるOMGnT活性測定を示す。
パネルAはラット脳由来のミクロソーム画分を反応液に添加して転移反応を行なった場合のパターン、パネルBは添加しない場合のパターンである。[3H]GlcNAcが転移したMan−peptideの溶出位置をパネルA中に矢印で示した。点線は、アセトニトリルの濃度勾配(%)を示す。
図3は、OMGnT反応生成物のHPAEC−PADによる糖鎖構造解析を示す。
図中の矢印I、II、IIIは、それぞれGlcNAcβ1→6ManOH、GlcNAcβ1→4ManOHとGlcNAcβ1→3ManOH、GlcNAcβ1→2ManOHの溶出位置を示す。
図4は、動物細胞で発現した可溶化型酵素His−Xpress−sOMGnT(S)、His−Xpress−sOMGnT(L)、His−Xpress−sGnT−Iのウエスタンブロット解析を示す。
図5は、酵母細胞で発現した膜結合型OMGnT、OCH1−OMGnTのウエスタンブロット解析を示す。P2,P3,supはそれぞれ10,000×gで遠心した沈殿画分、100,000×gで遠心した沈殿画分、100,000×gで遠心した上清画分を表す。膜結合型OMGnT、OCH1−OMGnTそれぞれの発現した位置を矢印で示した。
図6は、酵母細胞表層マンナンタンパク質から得られたO−結合型糖鎖の順相HPLCによる糖鎖構造解析を示す。パネルAは親株(SSY18)の糖鎖構造解析の結果を示し、パネルBはその糖鎖をβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ処理したものである。パネルCは膜結合型OMGnTをコードする遺伝子を導入した株(SSY11)の糖鎖構造解析の結果を示し、パネルDはその糖鎖をβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ処理したものである。パネルEは膜結合型OC H1−OMGnTをコードする遺伝子を導入した株(SSY12)の糖鎖構造解析の結果を示し、パネルFはその糖鎖をβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ処理したものである。
Claims (8)
- N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドをベクターに挿入してなる組み換え体ポリヌクレオチドを含み、KRE2,KTR1,KTR3遺伝子の少なくとも1個を破壊した酵母細胞であって、
該ポリヌクレオチドが、
(1) 配列番号2記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(2) 配列番号2記載のアミノ酸配列においてその少なくとも247位:Serから660位:Thrまでのアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(3) 配列番号1記載の塩基配列を含む、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド、又は
(4) 配列番号2記載のアミノ酸配列において、その少なくとも247位:Serから660位:Thrまでのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、欠失、挿入および/または置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
からなる群から選択され、
該N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ又は該タンパク質が、
(5) 糖供与体としてUDP−GlcNAcを、糖受容体として下記式:
で表される部分構造を含む複合糖質をそれぞれ基質とし、下記式:
で表される部分構造を含む糖質を生成する作用を有するN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼであるか、あるいは、
(6) 糖供与体としてUDP−GlcNAcを、糖受容体として下記式:
で表される部分構造を含む複合糖質をそれぞれ基質とし、下記式:
で表される部分構造を含む糖アミノ酸、糖ペプチドまたは糖タンパク質からなる糖質を生成する作用を有するN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、
である、
ことを特徴とする前記酵母細胞。 - KRE2,KTR1,KTR3遺伝子の三重破壊株である、請求項1記載の酵母細胞。
- 前記N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼを発現し保持する、請求項1記載の酵母細胞。
- 更にUDP−GlcNAc輸送体を保持する、請求項3記載の酵母細胞。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の酵母細胞を培養し、培養細胞を遠心分離、破砕し、改変糖鎖構造を含む糖鎖および糖質を得ることを特徴とする、糖鎖構造が改変された該糖鎖および糖質の製造方法。
- 前記糖鎖の改変がO−結合Man型糖鎖を哺乳類型GlcNAcβ1→2Man構造へ変換する、請求項5記載の方法。
- 酵母細胞のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を測定することをさらに含む、請求項5記載の方法。
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