JP4274454B2 - 電気培養装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気培養装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、電気化学反応によって再生できるエネルギーで生育する鉄還元微生物のような微生物(独立栄養微生物)等の単離培養に適した電気培養装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、微生物を単離培養する技術としては、寒天培地上にコロニーを形成させる方法がある。また、別の単離培養の技術として、多数の小さな凹部が形成されたプレートを使用し、微生物を含む培地を希釈して計算上微生物を1個体だけ含む量を前記プレートの凹部の一つ一つに滴下して単離培養する方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、鉄酸化細菌に代表されるある種の独立栄養微生物は、寒天などの有機物存在下で生育しないことが知られている。このため、鉄酸化細菌等を寒天培地上で単離培養することは困難である。
【0004】
また、鉄酸化細菌等を育成するには定常的に培地に酸化電流を加える必要があるが、多数の凹部を有するプレートを使用して鉄酸化細菌等を単離培養する方法では凹部の一つ一つに陽極と陰極を設ける必要があり、その為の装置類の構造が複雑になると共に取扱いが煩雑になり、実用性に欠ける。
【0005】
本発明は、単離培養に適した電気培養装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、培地に電圧を印加しながら微生物を培養する電気培養装置であって、板状を成す第1の電極と、第1の電極を挟むカバー及びイオン交換体と、第1の電極を貫通しカバー及びイオン交換体により塞がれた互いに独立した複数の培養槽と、培養槽との間にイオン交換体を介して設けられた対極槽と、培養槽と対極槽との間に設けられた微生物の移動を阻止するフィルタと、対極槽内に配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極間に電圧を印加する電源を備えるものである。
【0007】
したがって、第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加することで、第1の電極に形成された培養槽の一つ一つに電圧を印加することができる。各培養槽は互いに独立して形成されており、また、培養槽と対極槽との間には微生物の移動を阻止するフィルタが設けられているので、培養槽間で微生物が移動することはなく、培養槽毎に微生物を単離培養することができる。また、培養槽と対極槽との間にはイオン交換体が設けられているので、微生物の培養に必要なイオンが培養槽から対極槽に流出するのを防止することができる。
【0008】
また、請求項2記載の電気培養装置は、微生物の培養に必要な元素を含むガスを対極槽に供給するガス供給手段を備えたものである。
【0009】
電気培養では微生物の培養に例えば電子及び炭素が必要である。このため、例えば電子の供給源となる水素と炭素の供給源となる二酸化炭素を培養槽に供給する必要がある。ガス供給手段は、例えば水素ガスと二酸化炭素ガスの混合ガスを対極槽に供給する。対極槽に供給された水素及び炭素は培地に溶け、イオン交換体とフィルタを通過して培養槽に移動する。
【0010】
また、請求項3記載の電気培養装置は、第1の電極を立てて配置したものである。
【0011】
したがって、対極槽内に発生したガスは上昇し、第1の電極と第2の電極の間を絶縁することはない。即ち、仮に、第1の電極を水平に配置したとすると、第1の電極の下方に対極槽が設けられることになる。このため、対極槽内の第2の電極の周囲で発生したガスが第1の電極の底に溜まる可能性があり、第1の電極と第2の電極の間を絶縁し培養槽への電圧の印加を妨げる虞も考えられる。これに対し、本発明では第1の電極を立てているので、ガスによる第1の電極の絶縁を防止することができる。
【0012】
さらに、請求項4記載の電気培養装置は、カバーを、注射器の注射針を刺すことができ且つ刺した注射針を引き抜くと孔が塞がる弾性材料で形成したものである。
【0013】
したがって、カバーに注射器の注射針を刺すことができる。カバーの培養槽に対向する部分に注射器の注射針を刺し込むと、注射針の先端がカバーを貫通して培養槽に到達する。このため、注射器を使用して培養槽に微生物を移したり、培養槽で培養した微生物を取り出すことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1から図3に本発明を適用した電気培養装置の実施形態の一例を示す。また、図4に嫌気性微生物の電気培養の概念を示す。電気培養装置1は、培地に電圧を印加しながら微生物2を培養するものであって、板状を成す第1の電極3と、第1の電極3を挟むカバー4及びイオン交換体5と、第1の電極3を貫通しカバー4及びイオン交換体5により塞がれた互いに独立した複数の培養槽6と、培養槽6との間にイオン交換体5を介して設けられた対極槽7と、培養槽6と対極槽7との間に設けられた微生物2の移動を阻止するフィルタ8と、対極槽7内に配置された第2の電極9と、第1の電極3と第2の電極9間に電圧を印加する電源(培養電源)10を備えている。
【0016】
微生物2は、例えば嫌気性の微生物である。嫌気性微生物2を培養する場合には、第1の電極3を陽極、第2の電極9を陰極にする。培養槽6には酸化鉄を含む培地11に懸濁させた微生物2を、対極槽7には鉄を含まない培地成分を含んだ溶液12を充填している。
【0017】
第1の電極3は、例えば炭素板であり、立てて配置されている。第1の電極3には一定間隔で貫通孔3aが形成されており、当該貫通孔3a内が培養槽6となっている。即ち、貫通孔3aは他の貫通孔3aから独立した孔であり、貫通孔3aの一つ一つがカバー4及びイオン交換体5によって塞がれた培養槽6となる。培養槽6の容積は、例えば0.25mLになっている。また、培養槽6は、例えば水平方向に6列、上下方向に3列、合計18槽形成されている。即ち、培養槽アレイとなっている。ただし、培養槽6の容積や数は上述の値に限るものではないことは勿論である。
【0018】
カバー4は板状を成しており、注射器の注射針を刺すことができ且つ刺した注射針を引き抜くと孔が塞がる弾性材料、例えばシリコーンゴム等の合成ゴム等で形成されている。このカバー4は押さえ板13によって第1の電極3に押し付けられて密着しており、培養槽6の培地11の漏れを防止している。押さえ板13の培養槽6に対応する部分には貫通孔13aが形成されており、カバー4の培養槽6を塞いでいる部分を露出させている。したがって、カバー4の露出部分に注射器の注射針を刺すことで、注射器内の微生物2を培養槽6に移したり、培養槽6内の微生物2を注射器内に吸入することができる。押さえ板13は支持枠体14によって支えられている。
【0019】
イオン交換体5は、例えばイオン交換膜(以下、イオン交換膜5という)である。また、フィルタ8は、例えばメンブランフィルタである。さらに、第2の電極9は、例えば白金の網電極である。
【0020】
対極槽7はハウジング15内に設けられている。ハウジング15は、第1の電極3との間にフィルタ8、イオン交換膜5、中間プレート16を挟み込んで取り付けられている。中間プレート16には培養槽6に対向する貫通孔16aが形成されており、培養槽6の一つ一つを対極槽7に通じさせると共に、第1の電極3とハウジング15の間をシールしている。
【0021】
ハウジング15と支持枠体14は、押さえ板13、カバー4、第1の電極3、フィルタ8、イオン交換膜5、中間プレート16を挟んだ状態でボルト17及びナット25によって締め付けられ一体化されている。
【0022】
この電気培養装置1は、微生物2の培養に必要な元素を含むガスを対極槽7に供給するガス供給手段18を備えている。ガス供給手段18は例えばチューブであり、ハウジング15を貫通して対極槽7内に延出している。嫌気性微生物2を培養する場合には、ガス供給手段18によって例えば水素と二酸化炭素の混合ガスを供給する。水素は嫌気性微生物2への電子の供給源となり、二酸化炭素は嫌気性微生物2への炭素の供給源となる。
【0023】
ガス供給手段18によりガスの状態で対極槽7内に供給された水素と炭素は、培地(溶液)12、培地11に溶けて培養槽6に移動する。培養槽6内の微生物2は水素から電子を得ると共に、培地11中の3価の鉄イオンに電子を供給して2価に変換する。また、微生物2は炭素を採り入れる。微生物2によって2価に変換された鉄イオンは第1の電極3に電子を供給して3価に戻る。鉄イオンはイオン交換膜5によって対極槽7に流出するのを阻止されるので、培養槽6内で繰り返し利用される。
【0024】
微生物2に電子を与えることでイオン化された水素イオンは、イオン交換膜5を通過して対極槽7に移動し、第2の電極9から電子を得て水素となる。すなわち、第2の電極9の周囲では、水素ガスが発生する。第1の電極3は立てて配置されており、水素ガスは上昇するので、水素ガスが第1の電極3と第2の電極9との間を絶縁することはない。
【0025】
本発明の電気培養装置1では、第1の電極3に複数の培養槽6を形成して培養槽アレイを構成しているので、電源10によって第1の電極3と第2の電極9との間に電圧を印加するだけで全ての培養槽6に同時に電圧を印加することができる。即ち、培養槽アレイを構成した場合、培養槽6毎に陽極と陰極を設けると電極の数が膨大になるが、本発明では第1の電極3を利用して培養槽アレイを構成しているので、培養槽6毎に第1の電極3を設ける必要がなくなり、電極の数を大幅に減らすことができる。しかも、各培養槽6を一つの対極槽7に通じさせ、この対極槽7に第2の電極9を配置しているので、培養槽6毎に第2の電極9を設ける必要もなくなり、電極の数をさらに減らすことができる。これらのため、電気培養装置1の構造が簡単になり、安価で使い勝手の良い電気培養装置1を提供することができる。
【0026】
この電気培養装置1の培養槽6は小さな培養槽6を複数配列した培養槽アレイとなっているので、多数の凹部を有するプレートを使用して単離培養を行う従来の技術と同様に、単離培養を行うことができる。即ち、微生物2の単離培養を行うのに適した電気培養装置1を提供することができる。
【0027】
各培養槽6はカバー4によって塞がれている。このため、培地11の乾燥を防ぐことができる。多数の凹部を有するプレートを使用して単離培養を行う従来の技術では凹部内の培地の乾燥を防ぐためにプレートとは別部材である蓋を使用していた。このため、使い勝手が悪かった。これに対し、本発明の電気培養装置1では、別部材である蓋を使用していないので、使い勝手に優れている。また、カバー4には注射針を刺すことができるので、注射器を使用して微生物2を移すことができ、使い勝手がさらに良くなる。
【0028】
本発明の電気培養装置1は第1の電極3を立てて配置しており、装置全体が縦型になる。このため、設置に場所をとらない省スペース型の電気培養装置1を提供することができる。また、培養槽6の数を増やしても設置に必要なスペースはさほど大きくならないので、培養槽6の多数化が容易である。
【0029】
微生物2の培養には、温度と雰囲気のコントロールが重要である。このため、例えば、恒温装置内に電気培養装置1を入れて使用する。図5に、恒温装置19内に電気培養装置1を入れて使用する概念を示す。なお、図5には、イオン交換膜5とフィルタ8の記載を省略している。
【0030】
恒温槽20内のガス密閉容器21内に電気培養装置1が収容されている。ガス密閉容器21内には、図示しないガス供給源からガスライン22を通じて対極槽7に供給するガスが送り込まれている。ガス密閉容器21内のガスはミニポンプ23によってガス供給手段18を通じて対極槽7に供給される。ミニポンプ23はポンプ電源24に接続され、電気培養装置1の第1の電極3及び第2の電極9は培養電源10に接続されている。恒温装置19を使用することで、電気培養に適した環境で電気培養を行うことができる。
【0031】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、電気培養装置1を使用して嫌気性微生物2を電気培養していたが、電気培養装置1を使用して好気性微生物を電気培養するようにしても良い。好気性微生物を電気培養する場合には、例えば第1の電極3を陰極とし、第2の電極9を陽極にすることが好ましい。
【0032】
また、上述の説明では、陽極(第1の電極3)は炭素電極であったが、陽極は炭素以外の電極でも良いことは勿論である。また、陰極(第2の電極9)は白金電極であったが、陰極は白金以外の電極でも良いことは勿論である。
【0033】
また、上述の説明では、第1の電極3を立てて配置することで電気培養装置1を縦型にしていたが、第1の電極3を立てて配置する場合に限るものではない。例えば、第1の電極3を寝かせた状態で配置し、電気培養装置1を横型にしても良い。なお、電気培養装置1を横型にする場合には、例えば、対極槽7にガス抜き孔を設け、このガス抜き孔から対極槽7内に発生したガスを抜くようにすることが好ましい。ガス抜き孔からガスを抜く方法としては、例えば、対極槽7内に液流を生じさせて発生したガスをガス抜き孔に導く方法、対極槽7の天井部に微少な勾配を設けて発生したガスをガス抜き孔に誘導する方法、電気培養装置1自体を振とうさせてガスを拡散させガス抜き孔に導く方法等が考えられる。なお、ガス抜き孔として、例えば、寝かせた状態での対極槽7の側面部に設けられた孔を利用しても良く、培養槽6の一部を貫通するように設けられた孔を利用しても良い。
【0034】
【実施例】
上述の電気培養装置1及び恒温装置19を使用して嫌気性微生物2の単離培養を行った。炭素電極(第1の電極3)と白金電極(第2の電極9)間に1.2Vの電圧を印加した。また、ガス密閉容器21内を水素:二酸化炭素=4:1の混合ガスの雰囲気にした。ガス密閉容器21内の温度を30度、圧力を1.5気圧にした。ガス密閉容器21内の混合ガスをミニポンプ23を使用して電気培養装置1の対極槽7に循環通気させた。
【0035】
嫌気的に鉄(III)イオンを還元して増殖可能な微生物2である、鉄酸化細菌JCM7811株をモデル微生物2として使用し、電気培養装置1の特性を確認した。本菌株は、通常好気的環境で鉄を酸化し増殖するが、嫌気鉄呼吸による増殖も確認されており、モデル微生物として使用した。培地成分は40mMの三価鉄を含む無機培地を使用した。なお、培地の組成を表1に、その中の金属溶液の組成を表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
まず、電気培養装置1の電気化学的増幅能を確認するため、初期微生物濃度を5.3×106cells/mLから5.3×10cells/mL(1培養槽6当たり13菌体相当)まで段階的に6種類、10倍ずつ変化させた培地11を準備し、各培養槽6に充填した。その概念を図6に示す。3個×6列に並んでいる培養槽6に対し、列毎に微生物濃度を順番に変化させている。同じ列の3個の培養槽6については、同じ微生物濃度の培地11を充填した。そして、通電状態で14日間嫌気的に培養したものと、非通電状態で14日間嫌気的に培養したものについて、微生物濃度変化を確認した。
【0039】
通電状態での培養の結果を図7に、非通電状態での培養の結果を図8にそれぞれ示す。微生物の増殖に必要な三価鉄が再生される電気培養では、電気をかけない場合に比べ、すべての濃度域に於いて電気培養装置1の菌濃度が10倍以上、上回っていた事が確認された。また、最低濃度である13菌体相当の極低濃度から開始した培養区からも、電気培養の結果109cells/mLという高濃度菌体が取得できた事が同時に確認された。
【0040】
次に、微生物2の単離培養の可能性を調べるため、同微生物2を初期濃度3.4cells/mL、すなわち培養槽当たり1匹以下になるように希釈した培養液を充填し、通電状態で14日間培養を実施した。その結果を図9に示す。18箇所の培養槽6のうち16箇所から、優位な増殖結果が確認され、電気培養装置1が1個体からの微生物培養を可能にするものである事が確認された。
【0041】
同様に、同微生物2を初期濃度0.34cells/mLに希釈した培養液を充填し、通電状態で14日間培養を実施した。その結果を図10に示す。この場合にも、複数の培養槽6で優位な増殖結果が確認された。
【0042】
上述の通り、嫌気鉄呼吸によって増殖する微生物2を、高濃度まで単離培養可能なアレイ電気培養装置1を製作し、モデル微生物2を用いて、その単離培養能力を確認した。電気培養装置1の有する機能は、これまで培養困難であった天然の微生物2の同定、および有効利用の大きな手助けとなるものであり、微生物2を利用した汚染土壌修復や酵素などの有用物質生産等、産業界に大きく貢献するものと思われる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の電気培養装置では、板状を成す第1の電極と、第1の電極を挟むカバー及びイオン交換体と、第1の電極を貫通しカバー及びイオン交換体により塞がれた互いに独立した複数の培養槽と、培養槽との間にイオン交換体を介して設けられた対極槽と、培養槽と対極槽との間に設けられた微生物の移動を阻止するフィルタと、対極槽内に配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極間に電圧を印加する電源を備えているので、培養槽の一つ一つに簡単に電圧を印加することができる。このため、単離培養に適した電気培養装置を提供することができる。また、電極の数を少なくすることができるので、装置の構造を簡単なものにすることができ、安価に提供することができると共に、使い勝手を良くすることができる。
【0044】
また、請求項2記載の電気培養装置では、微生物の培養に必要な元素を含むガスを対極槽に供給するガス供給手段を備えているので、対極槽を通じて培養槽に元素を供給することができると共に、独立した培養槽の一つ一つにガス供給手段を設ける必要がないので、装置の構造をより一層簡単なものにすることができる。
【0045】
また、請求項3記載の電気培養装置では、第1の電極を立てて配置しているので、対極槽内に発生したガスによって第1の電極と第2の電極との間が絶縁されてしまうのを防止することができる。
【0046】
さらに、請求項4記載の電気培養装置では、カバーが、注射器の注射針を刺すことができ且つ刺した注射針を引き抜くと孔が塞がる弾性材料で形成されているので、注射器を使用して培養槽に微生物を移したり、培養槽で培養した微生物を取り出すことができる。このため、電気培養装置が使い勝手の良いものとなり、また、培養槽の一つ一つに対して微生物の移し替えを正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した電気培養装置の実施形態の一例を示し、その要部を示す分解斜視図である。
【図2】同電気培養装置の横断面図である。
【図3】同電気培養装置の正面図である。
【図4】嫌気性微生物の電気培養の概念図である。
【図5】同電気培養装置を使用する恒温装置の概略構成図である。
【図6】初期微生物濃度を変えて植菌を行う様子を示す培養槽アレイの概念図である。
【図7】通電状態で培養を行った結果を示す図である。
【図8】通電しない状態で培養を行った結果を示す図である。
【図9】初期濃度が3.4cells/mLの培養液を充填して電気培養を行った結果を示す図である。
【図10】初期濃度が0.34cells/mLの培養液を充填して電気培養を行った結果を示す図である。
【符号の説明】
1 電気培養装置
2 微生物
3 第1の電極
4 カバー
5 イオン交換膜(イオン交換体)
6 培養槽
7 対極槽
8 フィルタ
9 第2の電極
10 電源
11 培地
18 ガス供給手段
Claims (4)
- 培地に電圧を印加しながら微生物を培養する電気培養装置であって、板状を成す第1の電極と、前記第1の電極を挟むカバー及びイオン交換体と、前記第1の電極を貫通し前記カバー及びイオン交換体により塞がれた互いに独立した複数の培養槽と、前記培養槽との間に前記イオン交換体を介して設けられた対極槽と、前記培養槽と前記対極槽との間に設けられた微生物の移動を阻止するフィルタと、前記対極槽内に配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極間に電圧を印加する電源を備えることを特徴とする電気培養装置。
- 微生物の培養に必要な元素を含むガスを前記対極槽に供給するガス供給手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電気培養装置。
- 前記第1の電極を立てて配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の電気培養装置。
- 前記カバーは、注射器の注射針を刺すことができ且つ刺した注射針を引き抜くと孔が塞がる弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気培養装置。
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KR101849844B1 (ko) * | 2016-05-19 | 2018-04-19 | 포항공과대학교 산학협력단 | 전자 공급을 이용한 미세조류의 배양 방법 및 이를 이용한 배양 장치 |
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JP2004016023A (ja) | 2004-01-22 |
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