JP4273770B2 - 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド、及びこの液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体を吐出する液体吐出装置としては、例えばインクジェット型のプリンタ装置がある。このインクジェット型のプリンタ装置は、インクタンクに収容されたインクをプリントヘッドのヘッドチップに供給し、このヘッドチップに設けられた微小なノズルからインクを吐出することで、印刷対象である記録紙に対して印刷を行う。このようなインクジェット型のプリンタ装置は、ランニングコストが低く、小型化やプリント画像のカラー化等が容易であるといった利点を有することから、一般に広く普及している。
【0003】
また、最近では、ヘッドチップのノズルを記録紙の幅に対応する長さで略直線状に複数並べて配置した、いわゆるライン型のプリンタ装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
一方、従来のように、プリントヘッドを記録紙の幅方向に往復動作させながら印刷を行うプリンタ装置は、一般にシリアル型と呼ばれている。このシリアル型のプリンタ装置では、プリントヘッドをインクタンクが装着された状態で移動させる必要があることから、インクタンクを大型化することが困難である。これに対して、ライン型のプリンタ装置では、プリントヘッドを移動させる必要が無いことから、インクタンクを大型化することができ、また、印刷速度を高めることが可能である。
【0005】
ここで、図35に示すように、ライン型のプリンタ装置が備えるプリントヘッド200について説明する。
【0006】
このプリントヘッド200は、インク201を収容するインクタンク202が連結される連結部203と、インク201を吐出させるヘッドチップ204と、連結部203に連結されたインクタンク202からヘッドチップ204へとインク201を供給するインク供給部205とを備えている。
【0007】
インクタンク202は、インク201を収容するインク収容部206と、インク収容部206内のインク201をヘッドチップ204側へと送り出すインク送出部207と、インク収容部206を外部と連通させる外部連通孔208と、外部連通孔208からインク収容部206内に外部の空気を導入させる空気導入管209とを有している。
【0008】
インク収容部206は、気密性の高い材料によりインク201を収容するための収容空間を形成している。インク送出部207は、インク収容部206と連通されたノズルであり、このインク収容部206の下面中央部から下方に向かって突出して設けられている。
【0009】
そして、このインクタンク202では、インク送出部207の先端がプリントヘッド200の連結部203と連結されることによって、ヘッドチップ204側へのインク201の供給が可能となっている。また、このインクタンク202が連結される連結部203には、連結されたインク送出部207との間からインク201が漏れ出すのを防止するために、Oリング等のシール部材210が設けられている。
【0010】
外部連通孔208は、インク収容部206の上面中央部に設けられている。空気導入管209は、この外部連通孔208からインク収容部206の内部へと下方に向かって延長して設けられている。これにより、インクタンク202では、インク収容部206内のインク201がインク送出部207からヘッドチップ204へと送り出された際に、このインク収容部206内のインク201が減少した分に相当する空気が、外部連通孔208から空気導入管209を通してインク収容部206内に取り込まれることになる。
【0011】
また、この空気導入管209の中途部には、インク収容部206から逆流したインク201がいきなり外部連通孔208から外部に流出することがないように、インク201を一時的に貯留させるバッファ空間としてインク貯留部211が設けられている。
【0012】
ヘッドチップ204は、インク201を吐出するノズル212が形成されたノズル面204aを有し、このノズル面204aには、複数のノズル212が記録紙の幅に相当する長さに亘って略直線状に並んで設けられている。また、このヘッドチップ204には、インクタンク202からインク供給部205を介して供給されたインク201を各ノズル204aへと導くインク流路213が設けられている。
【0013】
また、ヘッドチップ204には、各ノズル212に対応して、インク流路213を通して供給されたインク201を加圧するインク加圧室及びインク加圧室に供給されたインク201を加熱する発熱抵抗体(共に図示せず。)が設けられている。そして、このヘッドチップ204では、インク加圧室に供給されたインク201を発熱抵抗体が加熱することで、インク201に気泡が発生し、この気泡によってインク加圧室内でインク201が加圧され、押し退けられたインク201の液滴201aがノズル212から吐出されることになる。
【0014】
インク供給部205は、インクが充填されるインク室214と、インクタンク202からインク室214へとインク201が流入されるインク流入路215と、インク室214からヘッドチップ204へとインク201が流出されるインク流出路216と、インク室214内のインク流入路215側を開閉する弁217と、弁217をインク流入路215が閉塞される方向に付勢するコイルバネ218とを有している。
【0015】
そして、このインク供給部205では、コイルバネ218の弾性力により弁217がインク流路213を閉塞した状態から、ヘッドチップ204のノズル212からインク201が吐出されると、ヘッドチップ204側に負圧が発生する。このとき、インク流入路215からインク室214へとインク201を引き込もうとする吸引力が発生し、弁217がコイルバネ218の弾性力に抗してインク流入路215を開放する。これにより、インクタンク202からヘッドチップ204へとインク201が供給される。
【0016】
一方、このインク供給部205では、ヘッドチップ204のインク加圧室にインク201が供給されると、インク流入路215からインク室214へとインク201を引き込もうとする吸引力が消滅する。これにより、弁217がコイルバネ218に付勢されてインク流入路215を再び閉塞し、インクタンク202からヘッドチップ204へのインク201の供給が停止される。
【0017】
また、上述したインクタンク202では、インク送出部207から連結部203を介してインク供給部205にインク201が送り出されると、インク収容部206内のインク201が減少すると共に、この減少したインク201に相当する空気が外部連通孔208から空気導入管209を通してインク収容部206内に導入される。これにより、インク収容部206内の圧力を平衡状態に保ちながら、インク201をヘッドチップ204側に適切に供給することができる。
【0018】
以上のように構成されるプリントヘッド200では、ヘッドチップ204のノズル212からインク201の液滴201aを吐出することで、記録紙にドットからなる絵や文字等を記録する。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−36522号公報(第3−4頁、第1図)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したプリントヘッド200を備えるプリンタ装置では、インクタンク202がプリントヘッド200に対して着脱可能に設けられており、インクタンク202内にインク201が無くなった場合に、インクタンク202を連結部203から取り外し、新しいインクタンク202に交換するようにしている。
【0021】
しかしながら、上述したプリントヘッド200では、インクタンク202を取り外す際に、連結部203からエアが巻き込まれて、インク供給部205からヘッドチップ204のインク流路213内にエアが混入することがある。また、このプリントヘッド200を長期に亘って使用しなかった場合には、インク201内に溶け込んでいたエアがインク流路213内で気体となって現れることもある。さらに、ヘッドチップ204のノズル212からインク201が蒸発し、インク201が供給されなくなると、このノズル212からインク流路213内にエアが入り込むこともある。
【0022】
このように、プリントヘッド200では、インク流路213内に気体が溜まると、インク201の流れが悪くなることによって、最悪の場合、ノズル212からインク201が吐出されずに、そこの部分だけがドット抜けとなる印刷不良を引き起こしてしまう。
【0023】
このため、プリントヘッド200では、インク流路213内に溜まった気体を少なくともインク201の吐出不良が発生しないレベルにまで脱気する必要がある。
【0024】
例えば、従来のシリアル型のプリントヘッドでは、上述したエア抜きを行うため、ノズル面を保護するヘッドキャップとそれに繋がるポンプによりエアを含んだインクをノズルから吸引することが行われている。また、従来のライン型のプリントヘッドでは、インク流路内のインクを加圧して循環させたり、ノズルから排出したインクを循環させること等が行われている。
【0025】
しかしながら、上述した従来の脱気方法では、例えばヘッドキャップからインクを吸引する場合には、エアを含んだインクを大量に廃棄しなければならず、一方、インク流路内のインクを循環させる場合には、機構自体が大掛かりとなるといった欠点がある。
【0026】
特に、ライン型のプリントヘッドの場合には、シリアル型のプリントヘッドと構造が異なり、このシリアル型のプリントヘッドと比べてより多くのインクをノズルから排出して脱気しなければならず、このシリアル型のプリントヘッドが備えるインクの受け皿では容量的に不足するといった問題が発生してしまう。このため、ライン型のプリントヘッドに適したインクの廃液処理が要望されている。
【0027】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、簡便な構成によって、流路内に溜まった気体を適切に脱気すると共に、廃液処理を適切に行うこと可能とした液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、そのような液体吐出ヘッドを備えることによって、液体の吐出信頼性を向上させると共に、装置全体の大型化を防ぎつつ、簡便な構成によって適切な廃液処理を行うことを可能とした液体吐出装置を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体供給部と、ヘッド部と、液体吸引部と、廃液収納部とを備える。液体吐出ヘッドは、液体供給部が、液体供給体装着部に装着した液体供給体から連結部を介して液体の供給を受けると共に、この液体を一旦溜めて制御手段により流出動作を制御しながら供給を行う。液体吐出ヘッドは、ヘッド部が、液体供給部から供給量を制御されて液体が供給される液体供給口と、液体が吐出される被液体吐出体の幅と略等しい長さを有する液体流路と、この液体流路の底面部を構成して対向位置に搬送された被液体吐出体に対して液体を吐出する多数個のノズルが長さ方向に並んで形成されたノズル面と、このノズル面と対向する液体流路の上面部に液体供給口と共に設けられて液体流路内に溜まった気体を脱気する脱気口と、各ノズルに相対する液体加圧室と液体加圧素子とを有して液体加圧素子により液体加圧室内で液体を加圧して各ノズルから被液体吐出体に対して液体を吐出させる多数個のヘッドチップとを有する。液体吐出ヘッドは、液体吸引部が、ヘッド部の脱気口と接続された排気管と、この排気管を介して液体流路内から液体と共に溜まった気体を吸引して外部へと排出するポンプとを有する。液体吐出ヘッドは、廃液収納部が、ケース体と、このケース体に収納された廃液収納体とを有し、この廃液収納体に液体吸引部によって気体と共に吸引されて排出された液体を廃液として収納する。液体吐出ヘッドは、液体吸引部のポンプが、液体供給部からヘッド部への液体の供給が行われると共にノズル面の各ノズルから空気吸入が行われない吸引力により液体と共に気体の吸引を行う
【0030】
また、本発明に係る液体吐出装置は、装置本体と、この装置本体のヘッド装着部に着脱される液体吐出ヘッドを備える。液体吐出装置は、装置本体が、被液体吐出体を収納する収納部と、この収納部から被液体吐出体を送り出す搬送部と、被液体吐出体に対して液体を吐出する液体吐出部と、この液体吐出部に対向して配置されたヘッド装着部と、液体吐出部において液体を吐出された被液体吐出体を送り出す排出部とを備える。液体吐出装置は、液体吐出ヘッドが、液体供給部と、ヘッド部と、液体吸引部と、廃液収納部とを備える。液体吐出装置は、液体吐出ヘッドの液体供給部が、液体供給体装着部に装着した液体供給体から連結部を介して液体の供給を受けると共に、この液体を一旦溜めて制御手段により流出動作を制御しながらヘッド部へと供給を行う。液体吐出装置は、液体吐出ヘッドのヘッド部が、液体供給部から供給量を制御されて液体が供給される液体供給口と、液体が吐出される被液体吐出体の幅と略等しい長さを有する液体流路と、この液体流路の底面部を構成して対向位置に搬送された被液体吐出体に対して液体を吐出する多数個のノズルが長さ方向に並んで形成されたノズル面と、このノズル面と対向する液体流路の上面部に液体供給口と共に設けられて液体流路内に溜まった気体を脱気する脱気口と、各ノズルに相対する液体加圧室と液体加圧素子とを有して液体加圧素子により液体加圧室内で液体を加圧して各ノズルから被液体吐出体に対して液体を吐出させる多数個のヘッドチップとを有する。液体吐出装置は、液体吸引部が、ヘッド部の脱気口と接続された排気管と、この排気管を介して液体流路内から液体と共に溜まった気体を吸引して外部へと排出するポンプとを有する。液体吐出装置は、廃液収納部が、ケース体と、このケース体に収納された廃液収納体とを有し、この廃液収納体に液体吸引部によって気体と共に吸引されて排出された液体を廃液として収納する。液体吐出装置においては、液体吸引部のポンプが、液体供給部からヘッド部への液体の供給が行われると共に、ノズル面の各ノズルから空気吸入が行われない吸引力により液体と共に気体の吸引を行う
【0031】
以上のように、本発明によれば、ヘッド部の液体流路を構成する上面部に液体供給口と共に脱気口を設け、この脱気口を介して液体吸引部により液体流路内から気体を含んだ液体を吸引して廃液収納部へと排出して廃液として収納する。本発明によれば、ヘッド部のノズル面から気体を含んだ液体を吐出させることなくかつ装置全体の大型化を防ぎつつ簡便な構成によって液体流路内に溜まった気体を液体の無駄な消費を抑制しながら適切に脱気して液体の吐出信頼性を向上させる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド及び液体吐出装置をプリントヘッド及びプリンタ装置に適用した例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1に示すように、本発明を適用したプリンタ装置1は、被液体吐出体である記録紙に対して、液体であるインクを吐出しながら着弾させることにより、ドットからなる画像や文字等の印刷を行うインクジェット型のプリンタ装置である。また、このプリンタ装置1は、インクを吐出するインク吐出口であるノズルを記録紙の幅に対応する長さで略直線状に複数並べて配置した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。
【0034】
このプリンタ装置1は、本発明を適用した液体吐出ヘッドであるプリントヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)2と、このヘッドカートリッジ2が装着される装置本体であるプリンタ本体3とを備えている。
【0035】
ヘッドカートリッジ2は、図1及び図2に示すように、インクを収容するインクタンク4が装着されるカートリッジ本体5を備え、このカートリッジ本体5には、カラー印刷に対応して、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色からなるインクタンク4y,4m,4c,4kが着脱可能となっている。
【0036】
これら4つのインクタンク4y,4m,4c,4kは、例えば合成樹脂材料等を射出成形することで、全体略直方体状に形成された容器であり、その内部に各色に対応したインクを収容している。また、これら4つのインクタンク4y,4m,4c,4kは、内部の洗浄を行った際に塵埃等の微小な異物が容易に除去されるように、インクと接する内面が外面よりも表面粗さが小さくなっている。また、これら4つのインクタンク4y,4m,4c,4kは、なるべく多くのインクを収容するために、カートリッジ本体5の長手方向に対応した長尺形状とされている。そして、各インクタンク4y,4m,4c,4kは、カートリッジ本体5の短手方向に並んで配置される。
【0037】
なお、これら4つのインクタンク4y,4m,4c,4kは、インクの消費量が最も多いブラックのインクタンク4kが、他のインクタンク4y、4m、4cよりも容量が大きく、他に比べて大きな厚みを有する以外は同じ構造を有している。したがって、これらインクタンク4y,4m,4c,4kの構成を、以下まとめてインクタンク4として説明する。
【0038】
このインクタンク4は、図3に示すように、インクiを収容する液体収容部であるインク収容部6と、インク収容部6内からインクiをカートリッジ本体5へと送り出す液体送出部であるインク送出部7と、インク収容部6を外部と連通させる外部連通孔8と、外部連通孔8からインク収容部6内に外部の空気を導入するための空気導入管9とを有している。
【0039】
インク収容部6は、インクiを収容する収容空間を形成しており、なるべく多くのインクiを収容するため、略々インクタンク4の外形に対応した内形形状を有している。
【0040】
インク送出部7は、インク収容部6と連通されたノズルであり、このインク収容部6の下面中央部から下方に向かって突出して設けられている。また、このインク送出部7は、後述するカートリッジ本体5の連結部20と連結される部分であり、図4及び図5に模式的に示すように、インクが送出される液体送出口であるインク送出口7aと、このインク送出口7aを開閉する弁7bと、この弁7bをインク送出口7aを閉塞する方向に付勢するコイルバネ7cとを有している。一方、後述するカートリッジ本体5の連結部20には、このコイルバネ7cの付勢に抗して弁7bを開放するための開閉ピン10が突出して設けられている。
【0041】
そして、このインク送出部7では、図4に示すように、インクタンク4がカートリッジ本体5に装着される前の状態において、弁7bがコイルバネ7cに付勢されてインク送出口7aを閉塞する。そして、このインク送出部7がカートリッジ本体5の連結部20に連結された際には、図5に示すように、開閉ピン10がコイルバネ7cの付勢力に抗して弁7bを押し上げてインク送出口7aを開放する。これにより、インクタンク4からカートリッジ本体5へのインクiの供給が可能となる。一方、このインク送出部7とカートリッジ本体5の連結部20との連結が解除されて開閉ピン10が退出すると、上述した動作と逆の動作によって、弁7bがコイルバネ7cに付勢されてインク送出口7aを再び閉塞する。このように、インク送出部7は、カートリッジ本体5の連結部20に連結された場合のみインク送出口7aを開放する仕組みとなっている。
【0042】
なお、このインク送出部7のインク送出口7aは、後述するカートリッジ本体5の連結部20に円滑に嵌合されるように、先端に向かって内径が拡径されたテーパー形状を有している。また、インク収容部6の底面部は、このインク送出部7で最も深くなるように形成されており、内部に収容されたインクが集中的にインク送出部7に流入するようになされている。
【0043】
外部連通孔8は、図3に示すように、インク収容部6の上面中央部に設けられている。また、この外部連通孔8は、通気性を有するシール部材(図示せず。)によって閉塞されている。これにより、インクタンク4では、この外部連通孔8から外部にインクiが漏れ出すことを防止すると共に、この外部連通孔8から外部の空気を取り込む際に、インク収容部6内に塵埃等が侵入することを防止している。
【0044】
空気導入管9は、外部連通孔8からインク収容部6の内部へと下方に向かって延長して設けられている。これにより、インクタンク4では、インク収容部6内のインクiがインク送出部7からカートリッジ本体5へと送り出された際に、このインク収容部6内のインクiが減少した分に相当する空気が、外部連通孔8から空気導入管9を通してインク収容部6内に取り込まれることになる。
【0045】
また、この空気導入管9の中途部には、インク収容部6から逆流したインクiがいきなり外部連通孔8から外部に流出することがないように、インクiを一時的に貯留させる液体貯留部であるインク貯留部11が設けられている。このインク貯留部11は、正面から見て長い方の対角線をインク収容部6の長手方向と一致させた略菱形状の内部空間を形成しており、上部側の角部が空気導入管9を介して外部連通孔8と連通されると共に、下部側の角部が空気導入管9を介してインク収容部6と連通されている。これにより、インクタンク4では、インク収容部6から空気導入管9を通して逆流したインクiをインク貯留部11が一時的に貯留することによって、外部連通孔8から外部にインクiが漏れ出すことなく、再度インクiをインク収容部6側に戻すことが可能となっている。
【0046】
また、このインクタンク4は、図2及び図3に示すように、後述するカートリッジ本体5のタンク装着部14に固定するための固定手段である係合段部12及び係止突部13を有している。
【0047】
係合段部12は、インクタンク4の長手方向の一端側に形成された段差部であり、その一端側の側面部から上面部と平行且つ上面部よりも一段低くなされた水平面部12aと、この水平面部12aから上面部に向かって傾斜する傾斜面部12bとを有している。
【0048】
係止突部13は、インクタンク4の長手方向の他端側の側面部から突出形成された突起部であり、上面部と平行な水平面部13aと、この水平面部13aよりも下方に位置する側面部に向かって傾斜する傾斜面部13bとを有している。
【0049】
一方、カートリッジ本体5は、図2及び図6に示すように、上述した各色に対応したインクタンク4y,4m,4c,4kが装着されるタンク装着部14を有している。
【0050】
このタンク装着部14は、記録紙の幅に対応して全体略直方体状に形成されたカートリッジ本体5の上面部から各インクタンク4y,4m,4c,4kを収納するのに十分な深さで形成された凹部であり、その底面部は、各インクタンク4y,4m,4c,4kがカートリッジ本体5の短手方向に並んで配置されるように、隔壁14aによって仕切られた構造を有している。
【0051】
なお、上述したブラックのインクタンク4kは、他のインクタンク4y,4m,4cに比べて厚みを有することから、このタンク装着部14においても、ブラックのインクタンク4kの装着位置を仕切る隔壁14aの間隔が他のインクタンク4y,4m,4cの装着位置を仕切る隔壁14aの間隔よりも所定の幅だけ広く形成されている。
【0052】
そして、このタンク装着部14には、図2,図6及び図7に示すように、上述したインクタンク4を固定するための固定手段である被係合部15、ラッチレバー16及び板バネ17が設けられている。
【0053】
被係合部15は、上述したインクタンク4に形成された係合段部12の水平面部12aと係合される部分であり、タンク装着部14の長手方向の一端側に位置する開口端から長手方向に所定の幅だけ突出形成されている。
【0054】
ラッチレバー16は、タンク装着部14の長手方向の他端側に位置する底面コーナー部から上方に向かって突出された弾性変位片であり、その先端部がタンク装着部14の側面部に対して近接離間する方向に弾性変位可能となっている。また、このラッチレバー16の先端側には、図8に示すように、上述したインクタンク4の係止突部13が係止される係止孔16aが穿設されている。そして、隔壁14aによって仕切られたタンク装着部14には、図2及び図6に示すように、各インクタンク4y,4m,4c,4kに対応したラッチレバー16y,16m,16c,16kが、それぞれカートリッジ本体5の短手方向に並んで設けられている。
【0055】
板バネ17は、図2,図6及び図7に示すように、タンク装着部14の底面部に設けられ、このタンク装着部14に装着されたインクタンク4を上方に向かって押圧する押圧部材である。この板バネ17は、タンク装着部14の長手方向に沿って配置されると共に、一端がタンク装着部14の底面部に固定され、その中間部が上方に向かって折り曲げられた形状を有している。そして、隔壁14aによって仕切られたタンク装着部14の底面部には、各インクタンク4y,4m,4c,4kに対応した板バネ17y,17m,17c,17kが、それぞれカートリッジ本体5の短手方向に並んで設けられている。
【0056】
インクタンク4は、タンク装着部14に対して、図9に示すように係合段部12が設けられた一端側を、タンク装着部14の内部に斜めに挿入し、この係合段部12の水平面部12aをタンク装着部14の被係合部15に当接させながら、この当接位置を回動支点として、インクタンク4の係止突部13が設けられた他端側を、回動させながらタンク装着部14の内部に挿入する。このとき、インクタンク4の係止突部13は、その傾斜面部13bがラッチレバー16に当接することによって、このラッチレバー16をタンク装着部14の側面部に近接する方向へと弾性変位させる。
【0057】
そして、図10に示すように、インクタンク4がタンク装着部14に装着されると同時に、係止突部13がラッチレバーの係合孔16aに係合される。このとき、ラッチレバー16の先端部がタンク装着部14に装着されたインクタンク4の側面部を押圧すると共に、タンク装着部14の底面部に設けられた板バネ17がインクタンク4の底面部を上方に向かって押圧することから、係合段部12の水平面部12aがタンク装着部14の被係合部15に係止されると共に、係止突部13の水平面部13aがラッチレバーの係合孔16aに係止される。これにより、インクタンク4をカートリッジ本体5のタンク装着部14に適切に固定することができる。
【0058】
一方、このタンク装着部14に装着されたインクタンク4を取り外す際は、ラッチレバー16の先端部をインクタンク4の側面部から離間する方向に弾性変位させる。これにより、上述した係止突部13の水平面部13aとラッチレバー16の係合孔16aとの係止状態が解除される。このとき、板バネ17がインクタンク4の底面部を上方に向かって押圧することから、インクタンク4をタンク装着部14から容易に取り外すことができる。
【0059】
ところで、このタンク装着部14には、同じ構造を有するインクタンク4y,4m,4c,4kが装着されることから、各インクタンク4y,4m,4c,4kを装着する際に、インクタンク4の装着位置を間違える虞れがある。
【0060】
そこで、上述した各色に対応したインクタンク4y,4m,4c,4kをタンク装着部14の所定の位置に間違いなく装着するため、隔壁14aによって仕切られたタンク装着部14の底面部には、図6及び図7に示すように、各インクタンク4y,4m,4c,4kに対応した識別凹部18が設けられている。この識別凹部18は、その形成される位置や数に応じて、各色に対応したインクタンク4の装着位置を区別している。
【0061】
これに対して、上述したインクタンク4の底面部には、図3に示すように、内部に収容されたインクiの種類を識別するための識別突部19が下方に向かって突出形成されている。この識別突部19は、上述したタンク装着部14の各色に対応した識別凹部18に合わせて、その形成される位置や数が異なるようにしている。すなわち、上述した各色に対応した識別凹部18には、各色に対応した識別突部19のみ挿入可能となっている。
【0062】
これにより、カートリッジ本体5では、図9及び図10に示すように、各色に対応したインクタンク4をタンク装着部14の所定の位置に間違いなく装着することができる。
【0063】
なお、上述したインクタンク4を製造する際は、予め全ての識別突部19を形成しておき、その内部に充填されるインクiの色に応じて、不要な識別突部19を切り取るようにすればよい。これにより、各色に対応したインクタンク4y,4m,4c,4kを別個に製造することなく、上述した識別突部19を切り取る工程までは全て同一工程で作製することができ、製造効率を向上させることができる。
【0064】
また、以上のようなインクタンク4が装着されるカートリッジ本体5は、図6,図7及び図11に示すように、上述したインクタンク4のインク送出部7と連結される連結部20と、この連結部20に連結されたインクタンク4からのインクiの供給を行う液体供給部であるインク供給部21と、このインク供給部21により供給されたインクiを吐出するヘッド部22とを有している。
【0065】
連結部20は、図10及び図11に示すように、タンク装着部14の底面中央部に設けられたノズルであり、その先端が上述したインク送出部7のインク送出口7aに嵌合されることによって、インクタンク4のインク送出部7と連結される。また、この連結部20にインクタンク4のインク送出部7が連結された際には、上述した図5に示すように、連結部20の先端部に設けられた上記開閉ピン10がコイルバネ7cの付勢力に抗して弁7bを押し上げて、インク送出口7aを開放する。また、この連結部20には、連結されたインク送出部7との間からインクiが漏れ出すのを防止するために、Oリング等のシール部材23が設けられている。
【0066】
なお、連結部20は、その先端部が上記開閉ピン10を兼ねるようにしてもよい。すなわち、この連結部20の先端部がインク送出口7aに嵌合されると共に、コイルバネ7cの付勢力に抗して弁7bを押し上げてインク送出口7aを開放する構成であってもよい。また、連結部20の先端部は、上述したインク送出部7のインク送出口7aに円滑に嵌合されるように、先端に向かって外径が縮径されたテーパー形状を有している。
【0067】
そして、隔壁14aによって仕切られたタンク装着部14の底面中央部には、図6に示すように、各インクタンク4y,4m,4c,4kに対応した連結部20y,20m,20c,20kが、それぞれカートリッジ本体5の短手方向に並んで設けられている。
【0068】
インク供給部21は、図11,図12及び図13に示すように、インクタンク4から連結部20を介して供給されたインクiが一旦溜められる液体溜め部であるインク溜め部24と、インクiが充填される液室であるインク室25と、インク溜め部24からインク室25にインクiが流入されるインク流入路26と、インク室25からヘッド部22へとインクiが流出されるインク流出路27と、このインク流出路27側と連通されると共に外部と連通された外部連通部28と、インク室25に設けられてインク流出路27を開閉する弁29と、弁29をインク流出路27が閉塞される方向に付勢する第1の弾性部材であるコイルバネ30と、コイルバネ30の付勢力を調整する調整手段である負圧調整ネジ31と、インク流出路27と外部連通部28との間を隔離すると共に、弁29と弁シャフト32を介して連結された第2の弾性部材であるダイヤフラム33とを有している。
【0069】
インク溜め部24は、連結部20の下方に位置して、インクタンク4のインク送出部7から送り出されたインクiが一旦溜められる空間を形成している。
【0070】
インク室25は、略直方体状の空間を形成しており、このインク室25の一側面部と、上述したインク溜め部24との間がインク流入路26により連通されると共に、このインク室25の下面部と、後述するヘッド部22のインク流路42との間がインク流出路27により連通されている。
【0071】
インク流入路26は、インク溜め部24から下方に向かって延長して設けられると共に、その途中からインク室25の一側面部と連通されるように水平方向に延長して設けられている。また、このインク流入路26には、インクi内の不純物を除去するフィルタ34が設けられている。
【0072】
インク流出路27は、インク室25の下面部から外部連通部28と連通されるように下方に向かって延長して設けられると共に、外部連通部28と連通される位置から水平方向に延長して設けられ、その途中から後述するヘッド部22のインク流路42と連通されるように下方に向かって延長して設けられている。また、このインク流出路27のインク室25と外部連通部28との間には、弁シャフト32を貫通した状態で弁29により開閉される流路27aが設けられている。
【0073】
外部連通部28は、流路27aの下方に位置して略円形の空間を形成しており、下面部には、外部と連通されるための外部連通孔28aが設けられている。また、この外部連通部28の内側面には、後述するダイヤフラム33の外周部を保持する保持部35が設けられている。
【0074】
弁29は、例えばゴムやエラストマー等の弾性体が全体略円柱状に形成されてなる。また、弁29は、上述したインク流出路27の流路27aに先端部29aが円滑に嵌合されるように、先端部29aに向かって外径が縮径されたテーパー形状を有している。また、この弁29の中心部には、後述する弁シャフト32の一端が嵌合される嵌合孔29bが穿設されている。
【0075】
コイルバネ30は、その弾性力により弁29をインク流出路27が閉塞される方向に付勢する圧縮コイルバネであり、一端が弁29の上面に連結されると共に、他端が後述する負圧調整ネジ31の先端部に連結されている。そして、このコイルバネ30は、インク室25内において弁29と負圧調整ネジ31との間で圧縮された状態で設けられている。したがって、弁29は、このコイルバネ30に付勢されることによって、定常状態においてインク流出路27の流路27aを閉塞することになる。
【0076】
負圧調整ネジ31は、インク室25の上面からの捻じ込み量を外部から調整することによって、先端部がコイルバネ30を押圧し、このコイルバネ30の圧縮状態を変化させることで、コイルバネ30による弁29がインク流出路27の流路27aを閉塞する方向の付勢力を調整する。すなわち、このインク供給部21では、負圧調整ネジ31によって弁29を開閉動作させるのに必要な負圧の調整を行うことができる。
【0077】
弁シャフト32は、弁29とダイヤフラム33とを連結する連結部材であり、一端が弁29の嵌合孔29bに嵌合されると共に、他端が後述するダイヤフラム33の嵌合孔33bに嵌合された状態で取り付けられている。また、弁シャフト32の他端側には、弁29が開放される方向への移動を規制するストッパ32aが突出して設けられている。
【0078】
ダイヤフラム33は、ゴム等の弾性部材により全体略円盤状に形成されると共に、その中心部と外周部との間に、同心円状にインク流出路27側に膨出された弾性変位部33aを有している。また、このダイヤフラム33の中心部には、上述した弁シャフト32の他端が嵌合される嵌合孔33bが穿設されている。また、このダイヤフラム33の外周部には、上述した外部連通部28の保持部35に保持される肉厚部33cが設けられている。
【0079】
そして、このダイヤフラム33は、嵌合孔33bに弁シャフト32の他端が嵌合されると共に、肉厚部33cが外部連通部28の保持部35に挟み込まれた状態で保持されることによって、インク流出路27と外部連通部28との間を隔離している。これにより、インク流出路27側が密閉された状態となり、ダイヤフラム33の一主面側がインク流出路27内のインクiに臨むと共に、他主面側が外部連通部28の外気に臨むことになる。
【0080】
また、このダイヤフラム33は、弾性変位部33aが弾性変位することで、中心部及び外周部の変形によるインク漏れを防止しつつ、流出路27側に弾性変位可能となっている。また、このダイヤフラム33の弾性変位に連動して、弁シャフト32を介して弁29をコイルバネ30の付勢に抗してインク流出路27の流路27aが開放される方向に押圧することが可能となっている。
【0081】
そして、このインク供給部21では、後述するヘッド部22のノズル40aからインクiが吐出された際に、ヘッド部22側に負圧が発生し、インク流出路27内の圧力が低下する。これにより、インク流出路27内の圧力が外部連通部28側の大気圧よりも低下し、この圧力差に応じてダイヤフラム33がインク流出路27側に弾性変位すると共に、このダイヤフラム33が弁29をコイルバネ30の弾性力に抗してインク流出路27の流路27aが開放される方向に押圧する。これにより、弁29がインク流出路27の流路27aを開放する。そして、上述したインク流出路27内の圧力低下によるインク室25からインク流出路27へとインクiを引き込む吸引力の発生によって、インク流入路26からインク室25へとインクiが流入されると共に、インク室25からインク流出路27へとインクiが流出される。これにより、インクタンク4のインク収容部6からヘッド部22へとインクiを供給することができる。
【0082】
一方、インクタンク4のインク収容部6からヘッド部22へとインクiが供給されて、インク流出路27内の圧力が定常状態に戻ると、このインク流出路27内の圧力と外部連通部28側の大気圧との圧力差がなくなることで、インク流出路27側に弾性変位していたダイヤフラム33が復元力により変形前の状態に戻ると共に、弁29がコイルバネ30に付勢されながら再びインク流出路27の流路27aを閉塞する。これにより、インクタンク4のインク収容部6からヘッド部22へのインクiの供給が停止される。
【0083】
以上のようにして、このインク供給部21では、後述するヘッド部22のノズル40aからインクiを吐出する度に、上述したインクiの供給動作を繰り返す。
【0084】
一方、インクタンク4では、上述したインク供給部21によるインクiの供給動作に連動して、インク収容部6内のインクiがインク供給部21側に供給されると、インク収容部6内のインクiが減少すると共に、この減少したインクiに相当する空気が外部連通孔8から空気導入管9を通してインク収容部6内に導入される。これにより、インク収容部6内の圧力を平衡状態に保ちながら、インク供給部21側にインクiを適切に供給することが可能となっている。
【0085】
なお、上述した各色に対応した連結部20y,20m,20c,20kの下方には、それぞれ上記インク供給部21が設けられている。
【0086】
ところで、このカートリッジ本体5は、インクタンク4に収容されたインクiの残量を検出するための液体残量検出部であるインク残量検出部36を有している。
【0087】
このインク残量検出部36は、図14に示すように、インクタンク4内のインクiの残量を段階的に検出するために、インクタンク4の厚み方向に対応して3つ並んで設けられた上下一対の検出端子37a,37bと、上部側の検出端子37aの上端と下部側の接続端子37bの下端とを電気的に接続する導体板37cとを有し、この導体板37cが図示しない制御回路と電気的に接続された構造を有している。そして、タンク装着部14の上記被係合部15が形成された側の側面部には、各インクタンク4y,4m,4c,4kに対応したインク残量検出部36y,36m,36c,36kが、それぞれカートリッジ本体5の短手方向に並んで設けられている。
【0088】
これに対して、インクタンク4の一端側の側面部には、図3及び図15に示すように、上述したインク残量検出部36の接続端子37a,37bと接触可能な複数の電極端子38が厚み方向に3つ並んで設けられている。これら複数の電極端子38は、インクタンク4の内部から外部へと引き出され、上下方向に延びた形状を有している。
【0089】
そして、このインク残量検出部36では、タンク装着部14にインクタンク4が装着されると、タンク装着部14側の接続端子37a,37bとインクタンク4側の電極端子38とが接触して電気的に接続された状態となる。
【0090】
ここで、インクiは、導電性を有しており、インクタンク4に収容されたインクiの残量に応じて、上下一対の検出端子37a,37b間における電気抵抗値が変化する。すなわち、インクタンク4内にインクiがあれば、電極端子38間で電流が流れることから、電気抵抗値が小さくなり、インクタンク4内にインクiが無ければ、電極端子38間で絶縁されることから、電気抵抗値が大きくなる。
【0091】
したがって、このインク残量検出部36では、図示しない制御回路によって、上下一対の検出端子37a,37b間における電気抵抗値の変化を検出することで、インクタンク4内におけるインクiの残量を検出することが可能となっている。
【0092】
さらに、このカートリッジ本体5は、図6,図7及び図11に示すように、インク供給部21内におけるインクiの有無を検出するための液体検出部であるインク検出部39を有している。このインク検出部39は、図示しない制御回路と電気的に接続された一対の導線39a,39bを有し、それぞれ一端がインク溜め部24内に臨むと共に、他端が後述するヘッド部22のインク流路42内に臨んで取り付けられた構造を有している。
【0093】
そして、このインク検出部39では、上述したインク残量検出部36と同様に、図示しない制御回路によって、一対の導線39a,39b間における電気抵抗値の変化を検出することで、インク供給部21内におけるインクiの残量を検出することが可能となっている。また、上述したインク残量検出部36と組み合わせることで、より詳細なインクiの残量を検出することが可能となっている。
【0094】
ヘッド部22は、図11に示すように、インクiを吐出させるノズル40aが形成されたノズル面40と、このノズル面40よりも上方に位置して、上述したインク供給部21からインクiが供給されるインク供給口41と、このインク供給口41から供給されたインクiを各ノズルへと導くインク流路42とを有している。
【0095】
ノズル面40には、記録紙の幅に相当する長さに亘って略直線状に複数のノズル40aが並んで設けられている。
【0096】
インク供給口41は、インク流路42の上面中央部に設けられ、上述したインク供給部21のインク流出路27と連通されている。
【0097】
インク流路42は、各ノズル40aにインクiが供給されるように記録紙の幅に相当する長さに亘って略直線状に設けられている。
【0098】
また、このヘッド部22には、所定数のノズル40aを組とするヘッドチップ43が千鳥状に配置されている。すなわち、このヘッドチップ43は、インク流路42を挟んで記録紙の幅方向に互い違いに並ぶように配置されている。
【0099】
ヘッドチップ43は、図16に示すように、ベースとなる回路基板44と、複数のノズル40aが形成されたノズルシート45と、回路基板44とノズルシート45との間を各ノズル40a毎に区画するフィルム46と、インク流路42を通して供給されたインクiを加圧するインク加圧室47と、インク加圧室47に供給されたインクiを加熱する発熱抵抗体48とを有している。
【0100】
回路基板44は、シリコン等からなる半導体ウェハ上に、ロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等からなる制御回路を構成すると共に、インク加圧室47の上面部を形成している。
【0101】
ノズルシート45は、ノズル面40に向かって縮径されたノズル40aが穿設されると共に、回路基板44とフィルム46を挟んで対向配置されることで、インク加圧室47の下面部を形成している。
【0102】
フィルム46は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、上述したインク流路42と連通される部分を除いて各ノズル40aの周囲を囲むように形成されている。また、このフィルム46は、回路基板44とノズルシート45との間に介在されることによって、インク加圧室47の側面部を形成している。
【0103】
インク加圧室47は、上述した回路基板44、ノズルシート45及びフィルム46により囲まれることで、各ノズル40a毎にインク流路42から供給されたインクiを加圧する加圧空間を形成している。
【0104】
発熱抵抗体48は、インク加圧室47に臨む回路基板44に配置されると共に、この回路基板44の制御回路と電気的に接続されている。そして、この発熱抵抗体48は、制御回路により制御されながら、インク加圧室47内のインク4を加熱する。
【0105】
そして、このヘッドチップ43では、回路基板44の制御回路が発熱抵抗体48を制御し、選択された発熱抵抗体48に対して、例えば1〜3マイクロ秒程度の間だけパルス電流を供給する。これにより、発熱抵抗体48が急速に加熱される。すると、図17に示すように、発熱抵抗体48と接するインク加圧室47内のインクiに気泡bが発生する。そして、図18に示すように、このインク加圧室47内において、気泡bが膨張しながらインクiを加圧し、押し退けられたインクiの液滴がノズル40aから吐出される。また、インクiの液滴が吐出された後は、インク加圧室47にインク流路42を通してインクiが供給されることによって、再び吐出前の状態へと戻る。
【0106】
なお、上述したヘッドチップ43は、回路基板44の一主面上にフィルム46を全面に亘って形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフィルム46をインク加圧室47に対応した形状に成形した後に、この上にノズルシート45を積層することで形成される。
【0107】
また、上述したヘッドチップ43は、発熱抵抗体48によってインクiを加熱しながら吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えば圧電素子等の電気機械変換素子によってインクiの液滴を電気機械的に吐出させる電気機械変換方式を採用したものであってもよい。
【0108】
また、上述した各色に対応したインク供給部21の下方には、それぞれ上記ヘッド部22が設けられている。そして、カートリッジ本体5の底面部には、図19に示すように、各ヘッド部22のノズル面40y,40m,40c,40kが、それぞれカートリッジ本体5の短手方向に並んで設けられて連続したノズル面40を形成している。
【0109】
また、カートリッジ本体5の底面部には、図1及び図2に示すように、上述したノズル面40を保護すると共に、ノズル面40の乾燥を防ぐヘッドキャップ49が設けられている。このヘッドキャップ49は、略矩形状の受け皿であり、後述するプリンタ本体3のキャップ開閉機構108により開閉操作されると共に、閉塞時において、カートリッジ本体5と連続した底面部を形成する。また、このヘッドキャップ49には、開閉動作に伴ってノズル面40と接触しながら、このノズル面40に付着した余分なインクiを除去する清掃ローラ50が回転可能に取り付けられている。
【0110】
ところで、このヘッド部22には、図11に示すように、上述したインク流路42内に溜まった気体を脱気するための脱気口51が設けられている。この脱気口51は、インク流路42の上面部且つインク供給口41を挟んだインク流路42の長手方向の両端部に設けられている。また、インク流路42内におけるインク供給口41と脱気口51との間の上面部は、それぞれ脱気口51がインク供給口41よりも上方に位置するように傾斜面42aとされ、脱気口51の周囲に上部空間部が構成されるようにする
【0111】
これにより、ヘッド部22では、インク流路42内において気体が傾斜面42aに沿って脱気口51側へと流れてインク流路42の上部空間部に溜まるようにする。ヘッド部22は、後述するように脱気口51からその周囲の上部空間部に溜まった気体を排出することによりインクiを大量に排出することなくインク流路42内を少なくともインクiの吐出不良が発生しないレベルにまで脱気することができる。
【0112】
以上のようなヘッドカートリッジ2が装着されるプリンタ本体3は、図1及び図20に示すように、内部への塵埃等の侵入を防ぐために、上部筐体100aと下部筐体100bとから構成される筐体100の内部に組み付けられた構造を有している。
【0113】
上部筐体100aには、上述したヘッドカートリッジ2が装着されるヘッド装着部101が設けられている。このヘッド装着部101は、ヘッドカートリッジ2に対応した開口部102と、この開口部102の周囲を囲むようにしてヘッドカートリッジ2の外周部を保持する保持枠103と、この保持枠103にヘッドカートリッジ2の外周部を固定するためのヘッド固定機構104とを有している。
【0114】
そして、このヘッド固定機構104は、ヘッドカートリッジ2の外周部のうち、前面側中央部及び背面側両端部に設けられた3つの摘み部105と、これら3つの摘み部105に対応して、ヘッド装着部101の保持枠103のうち、前面側中央部及び背面側両端部に設けられた3つの孔部106とを有しており、ヘッド装着部101の保持枠103にヘッドカートリッジ2の外周部を当接した状態で、各摘み部105の先端部を孔部106に挿入させ、この摘み部105を捻りながら、摘み部105の先端部に設けられたフックを孔部106に設けられたバネに係合させることで、ヘッドカートリッジ2をプリンタ本体3に固定する。
【0115】
また、ヘッドカートリッジ2をヘッド装着部101に装着した際には、このヘッドカートリッジ2の下方に位置するノズル面40が、後述する下部筐体100b内の印刷位置に臨むことになる。
【0116】
また、ヘッドカートリッジ2には、図2に示すように、このプリンタ本体3のヘッド装着部101から取り外すための取手部107が取り付けられており、このヘッドカートリッジ2の交換時等において取り外しが容易となっている。
【0117】
また、上部筐体100aには、ヘッドカートリッジ2のヘッドキャップ49を開閉するキャップ開閉機構108が設けられている。このキャップ開閉機構108は、図22に示す印刷時において、ヘッドキャップ49を前面側へと移動させ、ヘッドカートリッジ2のノズル面40を開放する一方、印刷が終了した後には、図20に示すように、上述した動作と逆の動作によってヘッドキャップ49を背面側へと移動させ、ヘッドカートリッジ2のノズル面40を閉塞する。
【0118】
また、上部筐体100aには、図1に示すように、ヘッド装着部101の開口部102を閉塞する蓋体100cが開閉可能に取り付けられている。この蓋体100cは、ヘッド装着部101にヘッドカートリッジ2が装着された状態で、このヘッド装着部101の開口部102を閉塞することが可能であり、ヘッド装着部101の開口部102を閉塞した際には、上部筐体100aと連続した上面部を形成する。また、上部筐体100aの上面部には、後述する記録紙Pの給排紙が行われる前面側に位置して、各種操作を行うための操作ボタン109a,109bや、印刷状態等を表示するための表示パネル110等が設けられている。
【0119】
また、筐体100の前面側は、図21に示すように、下部筐体100b内の図示しないフレームに上部筐体100aの両側面部が軸支されることによって、上部筐体100aが下部筐体100bに対して開閉可能となっている。
【0120】
また、筐体100の前面には、図1及び図20に示すように、記録紙Pの給排紙が行われる給排紙口111が設けられている。そして、この給排紙口111に記録紙Pを収納する収納トレイ112が装着されることによって給紙が可能となり、記録紙Pは、この給排紙口111を通して収納トレイ112の開口端のうち前面側を閉塞する蓋トレイ113上に排紙されることになる。
【0121】
一方、下部筐体100bの内部には、図20及び図22に示すように、収納トレイ112から記録紙Pを給紙する給紙部114と、この給紙部114により給紙された記録紙Pを印刷位置へと搬送する搬送部115と、この搬送部115により搬送された記録紙Pを排紙する排紙部116とが設けられており、これらは、下部筐体100b内の図示しないフレームに組み付けられている。
【0122】
給紙部114は、収納トレイ112から搬送部115へと記録紙Pを給紙するための給紙手段として、収納トレイ112内の記録紙Pを搬送部115へと送り出す給紙ローラ117と、この給紙ローラ117より送り出された記録紙Pを1枚毎に搬送部115へと送り出すための一対の分離ローラ118a,118bとを有し、これらは、下部筐体100b内に設けられた駆動機構(図示せず。)によって互いに連動しながら、図22中矢印A1,A2,A3方向に回転駆動される。
【0123】
給紙ローラ117は、収納トレイ112の背面側の開口端から臨む記録紙Pの上方に配置されており、その外周面が、収納トレイ112内に設けられた紙押上げ機構(図示せず。)により押し上げられた記録紙Pと接触可能となっている。
【0124】
一対の分離ローラ118a,118bは、給紙ローラ117の背面側近傍に位置して、この給紙ローラ117により送り出された記録紙Pを間に挟み込みながら、互いに同一方向に回転駆動される。これにより、給紙ローラ117が記録紙Pを誤って2枚同時に給紙した場合でも、一方の分離ローラ118aが、その外周面に接する1枚の記録紙Pを背面側へと送り出し、他方の分離ローラ118bが、その外周面に接するもう1枚の記録紙Pを前面側の収納トレイ112へと送り返すことによって、1枚のみ反転ローラ119側に送り出すことができる。
【0125】
搬送部115は、給紙部114から排紙部116へと記録紙Pを搬送するための搬送手段として、記録紙Pの送り方向を反転させる反転ローラ119と、この反転ローラ119により反転された記録紙Pを印刷位置へと搬送させる搬送ベルト120とを有している。
【0126】
反転ローラ119は、筐体100内の背面側に配置されており、下部筐体100b内に設けられた駆動機構(図示せず。)によって、図22中矢印B方向に回転駆動される。また、この反転ローラ119の背面側には、この反転ローラ119の外周面に沿って反転される記録紙Pを押さえる複数の押えローラ121a,121b,121cと、反転ローラ119の外周面と対向して記録紙Pの移動を規制する湾曲状の規制板122とが設けられている。
【0127】
また、この反転ローラ119と一対の分離ローラ118a,118bとの間には、記録紙Pを案内する案内板123が下部筐体100b側に位置して設けられている。さらに、この反転ローラ119と及び搬送ベルト120との間には、記録紙Pを案内する案内板124と、この案内板124と対向して記録紙Pの移動を規制する平面状の規制板125とが上部筐体100a側に位置して設けられている。
【0128】
搬送ベルト120は、駆動プーリ126aと被動プーリ126bとの間に巻き掛けられた無端駆動ベルトからなり、下部筐体100b内に設けられた駆動機構(図示せず。)によって駆動プーリ126aが回転駆動されることで、図22中矢印C方向に回転駆動される。これにより、記録紙Pを前面側へと搬送させることができる。また、この搬送ベルト120は、下部筐体100b内に設けられた昇降機構(図示せず。)によって、図22に示す印刷時に搬送動作を行う搬送位置と、図20に示す非駆動時に待避される待避位置との間で昇降可能となっている。これにより、搬送ベルト120は、上述したヘッド装着部101にヘッドカートリッジ2が装着された際に、キャップ開閉機構108によって移動されるヘッドキャップ49との衝突を防ぐことが可能となっている。
【0129】
また、この搬送ベルト120には、印刷位置に搬送された記録紙Pをヘッドカートリッジ2のノズル面40に対向させるプラテン板127が設けられている。また、搬送ベルト120は、このプラテン板127の前後が一対のピンチローラ128a,128bによってプラテン板127の厚みに対応して分だけ押し下げられている。また、プラテン板127は、図22に示す印刷位置において、上述したヘッドカーリッジ2のノズル面40と互いに平行且つ所定の距離を以て対向配置される。
【0130】
排紙部116は、搬送部115により搬送された記録紙Pを排紙するための排紙手段として、搬送ベルト120を介して被動プーリ126bと対向配置された拍車129を有し、この拍車129と搬送ベルト120との間から記録紙Pを給排紙口111側へと送り出す。
【0131】
以上のように構成されるプリンタ装置1では、印刷動作が開始されると、先ず、キャップ開閉機構108によってヘッドキャップ49が前面側へと移動し、ヘッドカートリッジ2のノズル面40が開放されると共に、昇降機構によって搬送ベルト120が待避位置から搬送位置と上昇される。
【0132】
次に、収納トレイ112に収納された記録紙Pが紙押上げ機構によって押し上げられると、図22中矢印A1方向に回転する給紙ローラ117の外周面に押し当てられた記録紙Pが給紙される。そして、給紙された記録紙Pは、図22中矢印A2,A3方向に回転する一対の分離ローラ118a,118bの間を通過しながら、図22中矢印X1に示す背面側へと送り出される。
【0133】
次に、背面側に送り出された記録紙Pは、案内板123上を移動しながら、反転ローラ119の外周面に沿って反転され、今度は図22中矢印X2に示す前面側へと送り出される。そして、前面側に送り出された記録紙Pは、案内板124と規制板125との間を通過しながら、図22中矢印C方向に回転する搬送ベルト120によって印刷位置へと搬送される。
【0134】
次に、印刷位置では、プラテン板127がヘッドカーリッジ2のノズル面40と平行且つ所定の距離を以て対向配置されており、このプラテン板127によって押し上げられた記録紙Pがヘッドカーリッジ2のノズル面40と相対向することになる。そして、ヘッドカートリッジ2は、この印刷位置に搬送された記録紙Pに対してインクiを吐出し、着弾させてドットからなる画像や文字等を記録する。
【0135】
次に、印刷が終了した記録紙Pは、搬送ベルト120の駆動によって、この搬送ベルト120と拍車129との間から、図中矢印X3に示す前面側へと送り出され、給排紙口111から蓋トレイ113上に排紙される。
【0136】
最後に、印刷動作が終了すると、昇降機構によって搬送ベルト120が搬送位置から待避位置へと下降されると共に、キャップ開閉機構108によってヘッドキャップ49が背面側へと移動し、このヘッドキャップ49がヘッドカートリッジ2のノズル面40を閉塞する。これにより、プリンタ装置1は、再び図20に示す印刷前の状態に戻る。
【0137】
上述したように、このプリンタ装置1が備えるヘッドカートリッジ2では、図11に示すように、インク流路42の上面部に脱気口51が設けられ、この脱気口51を通してインク流路42内に溜まったエアが脱気されることから、ノズル面40のノズル40aからエアを含んだインクiを吐出させることなく、このインク流路42内に溜まったエアを適切に取り除くことが可能である。
【0138】
したがって、このプリンタ装置1では、ヘッドカートリッジ2の脱気を行うための機構を簡便な構成とし、装置全体の大型化を防ぐと共に、インクiの無駄な消費を抑制しつつ、上述したヘッド部22のインク流路42内に溜まったエアを適切に脱気することが可能である。また、このプリンタ装置1では、ヘッドカートリッジ2によるインクiの吐出信頼性を向上させることで、記録紙Pに対する適切な印刷動作を行うことが可能である。
【0139】
ところで、上述したヘッド部22では、図11に示すように、インク流路42の中央部に上記インク供給口41が配置され、インク流路42の長手方向の両端部に上記脱気口51が配置された構成となっている。しかしながら、本発明は、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば図23Aに示すように、インク流路42の長手方向の一端部にインク供給口41が配置され、インク流路42の長手方向の他端部に脱気口51が配置された構成であってもよい。また、例えば図23B,23C,23Dに示すように、これらインク供給口41や脱気口51がインク流路42の上面部に複数配置された構成であってもよく、その配置や数は任意である。
【0140】
しかしながら、上述したライン状のヘッド部22の場合、インク流路42が記録紙の幅に相当する長さに亘って略直線状に設けられていることから、このインク流路42の長手方向の両端部にエアが溜まり易くなっている。したがって、このヘッド部22のように、インク流路42の中央部にインク供給口41を配置し、インク流路42の長手方向の両端部に脱気口51を配置することによって、このインク流路42内に溜まったエアを中央部のインク供給口41から両端部の脱気口51へと効率よく導くことができる。
【0141】
また、上述した図23A,23B,23C,23Dに示す構成は、何れの場合もインク流路42内におけるインク供給口41と脱気口51との間の上面部が、脱気口51がインク供給口41よりも上方に位置する傾斜面42aとすることが好ましい。これにより、インク流路42内に溜まったエアがインク供給口41に向かうのを防ぎつつ、このインク流路42内に溜まったエアを脱気口51へと適切に導くことができる。
【0142】
さらに、上述したプリンタ装置1では、インク流路42に振動を発生させることによって、このインク流路42内に溜まったエアを脱気口51へと導くようにしてもよい。
【0143】
具体的に、インク流路42の上面部には、図24に示すように、このインク流路42に振動を発生させる振動発生手段として、例えば圧電素子等の電気機械変換素子52が設けられている。そして、この電気機械変換素子52がインク流路42に振動を発生させることで、インク流路42内に溜まったエアをさらに効率良く脱気口51側へと導くことができる。
【0144】
また、このプリンタ装置1では、図20及び図22に示すように、上述したキャップ開閉機構108によってヘッドキャップ49を開閉動作させる際に発生する振動によっても、インク流路42に振動を発生させることができる。これにより、インク流路42内に溜まったエアをさらに効率良く脱気口51側へと導くことができる。
【0145】
なお、上記脱気口51を通して脱気されたエアは、この脱気口51と連通された排気管を通って、例えばカートリッジ本体5の上面部に設けられた排気口から排気されることになる。
【0146】
また、本発明は、インク流路42内に溜まったエアをポンプ等の吸引手段によってインクiと共に上記脱気口51から強制的に吸引し除去する構成としてもよい。そして、このエアを含んだインクiは、廃液としてカートリッジ本体5に備え付けられた排インクタンクに収容される、或いは下部筐体100bの底面部に設けられたスポンジ等のインク吸収体上に廃棄される構成としてもよい。
【0147】
次に、上記ヘッドカートリッジ2の変形例として、図25に示す本発明を適用した別のヘッドカートリッジ150について説明する。
【0148】
このヘッドカートリッジ150は、図25,図26及び図27に示すように、上記カートリッジ本体5に、各色に対応したヘッド部22の脱気口51からエアを含んだインクiを吸引する液体吸引部であるインク吸引部151と、このインク吸引部151により吸引されたインクiを収容する廃液収容部である排インクタンク152とが設けられた以外は、上記ヘッドカートリッジ2と略々同様な構成を有している。したがって、以下の説明では、上記ヘッドカートリッジ2と同等な部位については説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0149】
このヘッドカートリッジ150において、インク吸引部151は、カートリッジ本体5の上面部に、各色に対応したヘッド部22の脱気口51からエアを含んだインクiを吸引する吸引手段であるポンプ153を有している。
【0150】
このポンプ153は、図28に示すように、インクiを吸入する吸入口154と、この吸入口154から吸入されたインクiを排出する排出口155とを有し、その上面部を押圧することで、インクiを排出口155側へと送り出し、その上面部が復元力により元に戻ろうとすることで、吸入口154側にインクiを吸引する吸引力を発生させる。
【0151】
そして、カートリッジ本体5の上面部には、図25,図26及び図27に示すように、各色に対応したポンプ153y,153m,153c,153kが、それぞれカートリッジ本体5の長手方向の両側に配置されている。また、各ポンプ153y,153m,153c,153kは、カートリッジ本体5の長手方向に並ぶように配置されている。
【0152】
また、カートリッジ本体5の上面部には、この上面部を被覆するカバー部材156が設けられている。このカバー部材156は、カートリッジ本体5の上面部から突出するポンプ153と略同等の高さを有しており、その上面部には、カートリッジ本体5の長手方向に並ぶポンプ153y,153m,153c,153kが外部に臨む開口部156aが形成されている。
【0153】
また、ポンプ153y,153m,153c,153kの上面部は、互いに平行に並ぶ一対の連結アーム157によって連結されている。この一対の連結アーム157は、一端側がカバー部材156の開口部156aから臨む側壁156bに片持ち支持されることによって、他端側が各ポンプ153y,153m,153c,153kの上面部を押圧する方向に弾性変位可能とされている。したがって、この連結アーム157の他端側を押圧することで、連結アーム157により連結された各ポンプ153y,153m,153c,153kの上面部を同時に押圧することが可能である。また、このような押圧方法に限らず、各ポンプ153y,153m,153c,153kの上面部を個別に押圧することも可能である。これにより、インク流路42内にエアが溜り、インクiの吐出不良が生じたヘッド部22を選んで後述するエア抜き動作を行うことができる。
【0154】
また、インク吸引部151は、図26及び図29に示すように、各色に対応したヘッド部22の脱気口51y,51m,51c,51kと各ポンプ153y,153m,153c,153kの吸入口154y,154m,154c,154kとの間を連通させる吸引管158と、各ポンプ153y,153m,153c,153kの排出口155y,155m,155c,155kと排インクタンク152との間を連通させる送出管159とを有している。
【0155】
吸引管158は、可撓性を有するチューブからなり、下方に位置するヘッド部22の脱気口51y,51m,51c,51kと、それよりも上方に位置するポンプの吸入口154y,154m,154c,154kとの間で、互いに並行しながら引き回されている。すなわち、この吸引管158は、その一端側にヘッド部22の脱気口51を形成するノズルの先端が差し込まれ、その他端側にポンプ153の吸入口154を形成するノズルの先端が差し込まれることによって、下方に位置するヘッド部22の脱気口51と、それよりも上方に位置するポンプ153の吸入口154との間を連通している。
【0156】
送出管159は、可撓性を有するチューブからなり、上方に位置するポンプ153y,153m,153c,153kの排出口155y,155m,155c,155kと、それよりも下方に位置する排インクタンク152との間で、互いに並行しながら引き回されている。すなわち、この送出管159は、その一端側にポンプ153の排出口155を形成するノズルの先端が差し込まれ、その他端側が排インクタンク152の内部に臨むことによって、上方に位置するポンプ153の各排出口155と、それよりも下方に位置する排インクタンク152との間を連通している。
【0157】
なお、送出管159の他端側は、例えば集合管によって1本又は複数本の送出管にまとめられた後、排インクタンク152の内部に臨む構成となっている。また、送出管159の他端側は、このような構成に限定されず、それぞれが別個に排インクタンク152の内部に臨む構成であってもよい。
【0158】
排インクタンク152は、図26に示すように、例えば合成樹脂材料等を射出成形することで、全体略直方体状に形成された容器であり、その上面部には、送出管159の他端側が差し込まれる差込み口160と、通気を行う通気口161とが設けられている。そして、この排インクタンク152は、カートリッジ本体5の側面部に設けられた排タンク装着部162に装着されている。
【0159】
以上のように構成されるヘッドカートリッジ150では、エア抜き動作としてポンプ153の上面部を押圧する操作とポンプ153の上面部が復元力により元に戻ろうとする操作とを繰り返す。すると、ポンプ153の吸入口154側に発生した吸引力によって、ヘッド部22のインク流路42内に溜まったエアがインクiと共に、脱気口51から吸引管158を通ってポンプ153の吸入口154へと吸引される。そして、このエアを含んだインクiは、ポンプ153の吸入口154から吸入され、ポンプ153の排出口155から排出されることで、この排出口155から送出管159を通って排インクタンク152へと送り出される。そして、このエアを含んだインクiは、廃液として排インクタンク152内に収容される。
【0160】
なお、ポンプ153による吸引力は、ヘッド部22の脱気口51からエアを含んだインクiを吸引することによって、少なくともインク供給口41からインク流路42内にインクiが流入し、且つ、ノズル40aからエアを吸引しない程度の圧力とすることが好ましく、ここでは、例えば200〜600mmH2O程度の吸引力が発生するように設定されている。
【0161】
以上のように、このヘッドカートリッジ150では、インク吸引部151のポンプ153によってインク流路42内に溜まったエアをインクiと共に脱気口51から吸引することから、ノズル面40のノズル40aからエアを含んだインクiを吐出させることなく、このインク流路42内に溜まったエアを適切且つ確実に取り除くことが可能である。
【0162】
したがって、このヘッドカートリッジ150では、インクiの無駄な消費を抑制しつつ、上述したヘッド部22のインク流路42内から溜まったエアを適切に脱気することが可能である。また、プリンタ装置1では、適切な脱気によりこのヘッドカートリッジ150におけるインクiの吐出信頼性を向上させることで、記録紙Pに対する適切な印刷動作を行うことが可能である。
【0163】
また、このヘッドカートリッジ150では、各色に対応したエアを含んだインクiが、廃液として1つの排インクタンク152内にまとめて収容されることから、簡便な構成によってインクiの廃液処理が可能となる。また、プリンタ装置1では、このヘッドカートリッジ2側に排インクタンク152が装着される排タンク装着部162が設けられることによって、プリンタ本体3の大型化を防ぐと共に、インクiの廃液処理を簡便な構成により行うことによって、更なる低コスト化が可能である。
【0164】
なお、上述したヘッドカートリッジ150では、各色に対応したヘッド部22の脱気口51y,51m,51c,51kからエアを含んだインクiを吸引するポンプ153y,153m,153c,153kが設けられた構成となっている。しかしながら、本発明は、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、各色に対応した吸引管158の他端側を集合管によって1本又は複数本の吸引管158にまとめた後に、1つ又は複数のポンプ153によってエアを含んだインクiをまとめて吸引する構成としてもよい。
【0165】
また、上述したヘッドカートリッジ150では、上記吸引管158の中途部に、エアを含んだインクiがインク流路42側に逆流することを防ぐための逆止弁が設けられた構成としてもよい。
【0166】
また、上述したヘッドカートリッジ150では、ポンプ153によってエアを含んだインクiを強制的に吸引し除去することから、上記ヘッドカートリッジ2のように、必ずしもインク流路42内におけるインク供給口41と脱気口51との間の上面部が、脱気口51がインク供給口41よりも上方に位置するような傾斜面42aとする必要はない。
【0167】
また、上述したヘッドカートリッジ150では、1つの排インクタンク152が設けられた構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、各色に対応した排インクタンクが設けられた構成であってもよい。
【0168】
また、上述した排インクタンク152では、図30に示すように、内部にスポンジ等の液体吸収体であるインク吸収体163が設けられた構成であってもよい。
【0169】
この場合、排インクタンク152に収容された廃液は、廃棄されることなく、この排インクタンク152の上面部に設けられた開口部164から自然乾燥によって水分が蒸発されることになる。また、この場合には、ヘッドカートリッジ150の交換時等において、振動や排インクタンク152の傾き等によって、内部に収容された廃液が周囲に漏れ出るのを防ぐことが可能である。
【0170】
また、図31に示すように、上述した排インクタンク152の代わりに、袋165を排タンク装着部162に装着し、この袋165内にエアを含んだインクiが廃液として収容される構成としてもよい。
【0171】
この袋165は、排タンク装着部162に対して着脱可能であり、その上面部に送出管159の他端側が差し込まれる差込み口166と、通気を行う通気口167とを有している。
【0172】
この場合、袋165内に廃液がある程度溜まったから、袋165を廃棄し、新しい袋165に交換することが可能なことから、排タンク装着部162を小さくし、上述したヘッドカートリッジ150を小型化することが可能である。
【0173】
また、上述した排インクタンク152は、例えば図32,図33及び図34に示すように、排タンク装着部162に対して着脱可能とされた構成であってもよい。
【0174】
図32に示す場合には、排インクタンク152側に被係止部である段付部168を設け、排タンク装着部162側に係止部である係止爪169と、排インクタンク152の移動を規制する規制突部である立上り壁170とを設けた構成とする。この場合、排インクタンク152が立上り壁170により移動が規制された状態で、係止爪169が段付部168に係止されることによって、排インクタンク152を排タンク装着部162に適切に固定することが可能である。
【0175】
図33に示す場合には、排インクタンク152側に係止部である一対の係止爪171を設け、排タンク装着部162側に被係止部である一対の貫通孔172を設けた構成とする。この場合も、一対の係止爪171が一対の貫通孔172に係止されることによって、排インクタンク152を排タンク装着部162に適切に固定することが可能である。
【0176】
図34に示す場合には、排インクタンク152の一端側に設けられた位置決め突部173を排タンク装着部162側に設けられた位置決め凹部174に係合させた状態で、排インクタンク152の他端側に設けられた固定部175をネジ176によって排タンク装着部162に固定する。この場合も、排インクタンク152を排タンク装着部162に適切に固定することが可能である。
【0177】
上述した図32,図33及び図34に示す場合には、排インクタンク152を排タンク装着部162に対して着脱可能とすることによって、この排インクタンク152自体を交換する或いは内部に収容された廃液のみを廃棄することが可能である。したがって、容量の大きい排インクタンク152を用いる必要がなくなり、この排インクタンク152が装着される排タンク装着部162も小型化することが可能なことから、上述したヘッドカートリッジ150を小型化することが可能である。
【0178】
なお、上述したプリンタ装置1では、プリンタ本体3に対してヘッドカートリッジ2,150が着脱可能とされると共に、カートリッジ本体5に対してインクタンク4が着脱可能とされることによって、これらヘッドカートリッジ2,150及びインクタンク4が消耗品として取り扱われており、容易に交換が可能となっている。しかしながら、本発明は、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、ヘッドカートリッジ2がプリンタ本体3に一体に設けられた構成であってもよく、インクタンク4がカートリッジ本体5に一体に設けられた構成であってもよい。
【0179】
また、以上は、本発明をプリンタ装置に適用した例について説明したが、本発明は、以上の例に限定されるものではなく、液体を吐出する他の液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に広く適用することが可能である。例えばファクシミリやコピー機、液体中のDNA等を吐出する液体吐出装置、プリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出したりする液体吐出装置等にも適用可能である。
【0180】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、液体吸引部がヘッド部の脱気口から気体を含んだ液体を吸引することから、ノズル面のノズルから気体を含んだ液体を吐出させることなく、流路内に溜まった気体を適切に脱気することが可能であり、液体の吐出信頼性を大幅に向上させることが可能である。そして、液体の無駄な消費を抑制しながら、液体吸引部により吸引された液体、すなわち気体を含んだ液体が廃液として廃液収容部に適切に収容されることから、簡便な構成による液体の廃液処理が可能となり、装置全体の大型化を防ぐと共に、更なる低コスト化が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】ヘッドカートリッジの構成を示す斜視図である。
【図3】インクタンクの構成を示す断面図である。
【図4】インクタンクのインク送出口が閉塞された状態を示す模式図である。
【図5】インクタンクのインク送出口が開放された状態を示す模式図である。
【図6】ヘッドカートリッジを上面から見た平面図である。
【図7】ヘッドカートリッジの構成を示す断面図である。
【図8】ヘッドカートリッジのラッチレバーを示す要部正面図である。
【図9】ヘッドカートリッジにインクタンクを装着する動作を説明するための断面図である。
【図10】ヘッドカートリッジにインクタンクが装着された状態を示す断面図である。
【図11】インクタンクが装着されたヘッドカートリッジの構成を示す断面図である。
【図12】ヘッドカートリッジのインク供給部が閉塞された状態を示す断面図である。
【図13】ヘッドカートリッジのインク供給部が開放された状態を示す断面図である。
【図14】ヘッドカートリッジのヘッド装着部の構成を示す側面図である。
【図15】インクタンクの構成を示す側面図である。
【図16】ヘッドカートリッジのヘッド部の構成を示す断面図である。
【図17】インクの吐出動作を説明するための図であり、インク加圧に気泡が発生した状態を示す断面図である。
【図18】インクの吐出動作を説明するための図であり、気泡によりノズルからインクの液滴が吐出された状態を示す断面図である。
【図19】ヘッドカートリッジを下面から見た平面図である。
【図20】プリンタ装置の構成を示す透視側面図である。
【図21】プリンタ装置の上部筐体が下部筐体に対して開放された状態を示す透視側面図である。
【図22】プリンタ装置の印刷動作を説明するための透視側面図である。
【図23】ヘッド部の別の構成例を示す模式図である。
【図24】ヘッド部のインク流路に電気機械変換素子が設けられた構成を示す断面図である。
【図25】別のヘッドカートリッジを前面側から見た斜視図である。
【図26】別のヘッドカートリッジを背面側から見た斜視図である。
【図27】別のヘッドカートリッジの構成を示す正面図である。
【図28】ポンプの構成を示す断面図である。
【図29】インク吸引部の構成を示す斜視図である。
【図30】排インクタンク内にインク吸収体が設けられた構成を示す断面図である。
【図31】排タンク装着部に袋が装着された構成を示す断面図である。
【図32】排インクタンクが排タンク装着部に対して着脱可能とされた構成を示す断面図である。
【図33】排インクタンクが排タンク装着部に対して着脱可能とされた別の構成を示す断面図である。
【図34】排インクタンクが排タンク装着部に対して着脱可能とされた別の構成を示す断面図である。
【図35】従来のプリントヘッドを説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 プリンタ装置(液体吐出装置)、2 ヘッドカートリッジ(液体吐出ヘッド)、3 プリンタ本体、4 インクタンク、5 カートリッジ本体、6 インク収容部、7 インク送出部、8 外部連通孔、9 空気導入管、11 インク貯留部、14 タンク装着部、20 連結部、21 インク供給部、22 ヘッド部、40 ノズル面、40a ノズル、41 インク供給口、42 インク流路、42a 傾斜面、43 ヘッドチップ、49 ヘッドキャップ、51 脱気口、52 電気機械変換素子、100 筐体、100a 上部筐体、100b 下部筐体、101 ヘッド装着部、108 キャップ開閉機構、111 給排紙口、112 収納トレイ、113 蓋トレイ、114 給紙部、115 搬送部、116 排紙部、117 給紙ローラ、118a,118b 分離ローラ、119 反転ローラ、120 搬送ベルト、127 プラテン板、129 拍車、150 別のヘッドカートリッジ(液体吐出ヘッド)、151 インク吸引部、152 排インクタンク、153 ポンプ、158 吸引管、159 送出管、162 排タンク装着部、163 インク吸収体、165 袋

Claims (10)

  1. 液体供給体装着部に装着した液体供給体から連結部を介して液体の供給を受けると共に、この液体を一旦溜めて制御手段により流出動作を制御しながら供給を行う液体供給部と
    上記液体供給部から供給量を制御されて上記液体が供給される液体供給口と、上記液体が吐出される被液体吐出体の幅と略等しい長さを有する液体流路と、この液体流路の底面部を構成して対向位置に搬送された上記被液体吐出体に対して上記液体を吐出する多数個のノズルが長さ方向に並んで形成されたノズル面と、このノズル面と対向する上記液体流路の上面部に上記液体供給口と共に設けられて上記液体流路内に溜まった気体を脱気する脱気口と、上記各ノズルに相対する液体加圧室と液体加圧素子とを有して上記液体加圧素子により上記液体加圧室内で上記液体を加圧して上記ノズルから上記被液体吐出体に対して上記液体を吐出させる多数個のヘッドチップとを有するヘッド部と、
    上記ヘッド部の上記脱気口と接続された排気管と、この排気管を介して上記液体流路内から上記液体と共に溜まった上記気体を吸引して外部へと排出するポンプとを有する液体吸引部と、
    廃液収納体を有し、この廃液収納体に上記液体吸引部によって上記気体と共に吸引されて排出された上記液体を廃液として収納する廃液収納部とを備え、
    上記液体吸引部の上記ポンプが、上記液体供給部から上記ヘッド部への上記液体の供給が行われると共に上記ノズル面の上記各ノズルから空気吸入が行われない吸引力により上記液体と共に上記気体の吸引を行うことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 上記液体としてイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックのいずれか1色のインクを収容して上記液体供給体装着部に着脱される上記液体供給体からなる少なくとも4色のインクインクカートリッジからそれぞれ所定色のインクが供給される各色用の上記ヘッド部を備え、
    上記各ヘッド部の上記ノズル面に対向する印刷位置に搬送された上記被液体吐出体である記録紙に各色インクを吐出することにより所定のカラー印刷を行うプリントヘッドを構成することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 上記廃液収納部が、各色の上記ヘッド部から相対する上記液体吸引部によりそれぞれ排出される上記廃液を一括して収納することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 各色の上記液体吸引部が、それぞれの上記ポンプの作動部を連結部材により互いに連結することによって一括作動が可能に構成され、各色の上記ヘッド部の上記液体流路内から上記廃液収納部への上記廃液の排出処理が一括して行われることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 上記廃液収納部の上記廃液収納体は、上記液体吸引部により吸引した上記廃液を吸収する液体吸収体を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 上記廃液収納部の上記廃液収納体は、上記液体吸引部により吸引した上記廃液を収容する着脱自在な袋体を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 被液体吐出体を収納する収納部と、この収納部から上記被液体吐出体を送り出す搬送部と、上記被液体吐出体に対して液体を吐出する液体吐出部と、この液体吐出部に対向して配置されたヘッド装着部と、上記液体吐出部において上記液体を吐出された上記被液体吐出体を送り出す排出部とを備える装置本体と、
    上記装置本体の上記ヘッド装着部に着脱される液体吐出ヘッドを備え、
    上記液体吐出ヘッドが、
    液体供給体装着部に装着した液体供給体から連結部を介して上記液体の供給を受けると共に、この液体を一旦溜めて制御手段により流出動作を制御しながら供給を行う液体供給部と、
    上記液体供給部から供給量を制御されて上記液体が供給される液体供給口と、上記液体が吐出される被液体吐出体の幅と略等しい長さを有する液体流路と、この液体流路の底面部を構成して対向位置に搬送された上記被液体吐出体に対して上記液体を吐出する多数個のノズルが長さ方向に並んで形成されたノズル面と、このノズル面と対向する上記液体流路の上面部に上記液体供給口と共に設けられて上記液体流路内に溜まった気体を脱気する脱気口と、上記各ノズルに相対する液体加圧室と液体加圧素子とを有して上記液体加圧素子により上記液体加圧室内で上記液体を加圧して上記ノズルから上記被液体吐出体に対して上記液体を吐出させる多数個のヘッドチップとを有するヘッド部と、
    上記ヘッド部の上記脱気口と接続された排気管と、この排気管を介して上記液体流路内から上記液体と共に溜まった上記気体を吸引して外部へと排出するポンプとを有する液体吸引部と、
    廃液収納体を有し、この廃液収納体に上記液体吸引部によって上記気体と共に吸引されて排出された上記液体を廃液として収納する廃液収納部とを備え、
    上記液体吸引部の上記ポンプが、上記液体供給部から上記ヘッド部への上記液体の供給が行われると共に上記ノズル面の上記各ノズルから空気吸入が行われない吸引力により上記液体と共に上記気体の吸引を行うことを特徴とする液体吐出装置。
  8. 上記液体としてイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックのいずれか1色のインクを収容して上記液体供給体装着部に着脱される上記液体供給体からなる少なくとも4色のインクインクカートリッジからそれぞれ所定色のインクが供給される各色用の上記ヘッド部を備え、
    上記液体吐出ヘッドが、上記各ヘッド部の上記ノズル面に対向する印刷位置に搬送された上記被液体吐出体である記録紙に各色インクを吐出することにより所定のカラー印刷を行うプリントヘッドを構成することを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
  9. 上記廃液収納部が、各色の上記ヘッド部から相対する上記液体吸引部によりそれぞれ排出される上記廃液を一括して収納することを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
  10. 各色の上記液体吸引部が、それぞれの上記ポンプの作動部を連結部材により互いに連結することによって一括作動が可能に構成され、各色の上記ヘッド部の上記液体流路内から上記廃液収納部への上記廃液の排出処理が一括して行われることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
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