JP4271838B2 - ホトニック結晶及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホトニック結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体単結晶は、特定の原子が周期的且つ規則的に配列してなる物質である。その電子伝搬特性は、半導体結晶中の原子間隔によって決定される。すなわち、半導体はエネルギーバンドギャップを有しており、このエネルギーバンドギャップは、電子の波動性及び原子の周期ポテンシャルに起因して決定される。
【0003】
一方、ホトニック結晶は、光に対してポテンシャル差を有する物質、すなわち屈折率差を有する物質を光の波長程度の周期で配列してなる3次元構造体である。このようなホトニック結晶なる物質は、ヤブラノビッチ(Yablonovich)氏等によって提案されてきた。
【0004】
ホトニック結晶内においては、光の波動性の拘束条件によって光伝搬特性が制限されている。すなわち、ホトニック結晶中における光の伝搬は、半導体中の電子の伝搬と同様に制限を受ける。ホトニック結晶中においては、光に対する禁止帯、所謂ホトニックバンドギャップが存在し、このバンドギャップの存在によって、特定の波長帯域の光は結晶内を伝搬できなくなる。
【0005】
従来、様々なホトニック結晶が提案されている。例えば、サブミクロンサイズの粒子を光の波長程度の周期で配列してなるものがある。マイクロ波帯であれば、粒子としてのポリマー球を空間中に配列するものが知られている。
【0006】
この他、ポリマー球を金属内で固化させた後で化学的にポリマー球を溶解することにより周期的微小空間を金属中に形成するもの、金属中に等間隔で穴を穿設するもの、固体材料中にレーザを用いて屈折率が周囲と異なる領域を形成するもの、光重合性ポリマーをリソグラフィ技術を用いて溝状に加工したもの等がある。これらの加工によって形成されたホトニック結晶は、その構造によって一意的に決定されるホトニックバンドギャップを有することとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のホトニック結晶は可塑性が低く、そのホトニックバンドギャップを変化させることができない。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、外力によって変形することによりホトニックバンドギャップが変化可能なホトニック結晶及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係るホトニック結晶は、ゲル状の物質内に、複数の気泡が規則的に混入してなることを特徴とする。この場合、ゲルは外力によって変形するため、そのホトニックバンドギャップを容易に可変することができ、また、気泡の混入は比較的容易であるため、その製造が簡便となる。
【0009】
本発明に係るホトニック結晶の製造方法は、二次元状に配列した複数の孔を有するファイバオプティカルプレート(FOP)を介してゾル状の物質内に気体を混入し、ゾル状の物質をゲル化することにより、上記ホトニック結晶を形成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るホトニック結晶の製造方法は、1又は複数のノズルを介してゾル状の物質内に気体を混入し、前記ゾル状の物質をゲル化することにより、上記ホトニック結晶を形成することを特徴とする。
【0011】
上述の製造方法によれば、ホトニックバンドギャップが可変なホトニック結晶を容易及び/又は高速に製造することができる。
【0012】
また、これらの方法は、FOPの孔やノズルの開口が予め並んだ状態で用いるので、物質の加工性が高く、また、ホトリソグラフィ技術等を用いた方法と比較して加工時間を短縮させることができる。更に、ゾルやゲルの価格は、貴金属等と比較して低価格であるので、製造コストを低減させることができる。更に、気泡の形成位置は、FOPの孔やノズルの開口位置を調整することにより、任意の位置に設定することができるので、その距離を制御し、形成時のホトニックバンドギャップを制御することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係るホトニック結晶及びその製造方法について説明する。
【0014】
図1は実施の形態に係るホトニック結晶10を説明するための斜視図である。このホトニック結晶10は、ゲル状の物質1内に、複数の気泡2が規則的に混入してなる。ホトニック結晶10に波長帯域Δλ(λ1を含む)の光を入射すると、ホトニックバンドギャップに応じて、特定の波長帯域λ1の成分のみがホトニック結晶10を透過する。ゲルは外力Fによって変形するため、ホトニック結晶10のホトニックバンドギャップが容易に変化する。この変化によって、ホトニック結晶10を通過する上記波長帯域λ1が変化する。この気泡2の混入は比較的容易であるため、その製造が簡便となる。
【0015】
図2は実施の形態に係るホトニック結晶10の製造方法を説明するための製造装置の斜視図である。ホトニック結晶10は、二次元状に配列した複数の孔Hを有するファイバオプティカルプレート(FOP)3を介してゾル状の物質1内に気体を混入し、この気体によって気泡2を形成し、ゾル状の物質1をゲル化することにより形成される。
【0016】
詳説すれば、プラスチック製の容器4内にはFOP3、このFOP3の孔H内に気体を送り込むための気体通路5が配置されており、これらは移動機構6によって上下方向Zに移動可能である。この容器4内にゾル状の物質1を入れ、気体通路5内に圧縮空気を上記気体としてパルス的に送り込むと、すなわち、所定期間の間、圧縮空気を導入した後これを停止すると、複数の孔Hに対応して複数の気泡2がゾル状の物質1内に形成され、第1層目の気泡層が形成される。
【0017】
第1層目の気泡層を形成した後、移動機構6によってFOP3を下方に移動させ、気体通路5内に圧縮空気を上記気体としてパルス的に送り込むと、上記と同様に第2層目の気泡層が形成され、以後、第N層目の気泡層まで、同様の工程を繰り返す。
【0018】
ここで、六面体の容器4内は、ゾル状の物質1で満たされており、全ての面に物質1が接触しているものとする。この場合、気体の混入によって、容器4内の物質1の容積が気泡の体積分だけ増加する。この増加分は、物質排出用通路7を介して容器4の外部へと排出される。物質排出用通路7の途中に、これを通過する物質の圧力が一定となるような制御弁を設けておけば、上記増加分だけ物質1が外部へと排出されることで、各気泡層の形成を同様の圧力条件下で行うことができる。
【0019】
気泡層の形成後、物質1をゲル化することで、ホトニック結晶10が完成する。ホトニック結晶10の光学特性は、母材としての物質1と気泡2の屈折率差に依存するので、物質1としてはゲル化し易く、ゲル化した際の屈折率が大きな材料を用いることが重要である。
【0020】
例えば、ゾルの材料として、紫外線硬化樹脂を混ぜたものを用い、ゲル化は、これに紫外線を照射することにより行うことができる。代表的な紫外線硬化樹脂は、アクリルアミドに架橋剤及び光重合開始剤を混ぜたものであり、従来から多くのものが知られている。
【0021】
また、上述のホトニック結晶10は、ゾル状の物質1内に、FOP3に代えて、1又は複数のノズル(図示せず)を介して気体を混入し、ゾル状の物質1をゲル化することにより形成することとしてもよい。このノズルとしては、インクジェットプリンタに用いられるものと同一の機構、すなわち、マイクロエレクトロメカニックシステム(MEMS)を用いることができる。
【0022】
インクジェットプリンタに用いられるインク吹出機構には、マッハジェット方式、バブルジェット方式、サーマルインクジェット方式があり、マッハジェット方式は圧電素子によって、バブルジェット方式及びサーマルインクジェット方式はインクに熱を加えて生じる気泡によって、インクを射出している。すなわち、インクの代わりに、上記気体をノズルから射出する。マッハジェット方式の場合は空気を直接射出し、バブルジェット方式及びサーマルインクジェット方式は、無色のインクに熱を加えて生じる気泡を射出する。ここで、気泡は、ゲル物質との間の屈折率差を形成するためのものなので、インクは適当な屈折率が得られれば、有色であってもよい。
【0023】
上述のホトニック結晶10の製造方法によれば、ホトニックバンドギャップが可変なホトニック結晶を容易及び/又は高速に製造することができる。
【0024】
また、これらの方法は、FOP3の孔やノズル(図示せず)の開口が予め並んでいる状態に用いるものなので、物質1の加工性が高く、また、ホトリソグラフィ技術等を用いた方法と比較して加工時間を短縮させることができる。更に、ゾルやゲルの価格は、貴金属等と比較して低価格であるので、製造コストを低減させることができる。更に、気泡2の形成位置は、FOP3の孔やノズル(図示せず)の開口位置を調整することにより、任意の位置に設定することができるので、その距離を制御し、形成時のホトニックバンドギャップを制御することができる。
【0025】
また、ファブリペロー干渉計や多層膜鏡(ダイクロイックミラー)も、0次元或いは1次元のホトニック結晶であるので、上述のホトニック結晶10は、このような用途にも応用できる。また、上述のような柔らかいホトニック結晶10は、今後、その気泡の大きさや配列の安定性、その制御性を向上させるための機械的精度、ゲルの長期安定性、温度安定性、光ファイバや他の光学部品との接続方法、ゲル封入容器、毎回同様の外力Fを印加できる外力印加機構等について研究が進められるものと期待される。
【0026】
以上、説明したように、従来のホトニックバンドギャップは、通常、サブミクロンサイズの粒子を光の波長程度の周期で配列してなるが、上記実施形態では、ゲル状の物質1内に、複数の気泡2を光の波長程度の周期で規則的に混入してなり、ゲルは外力Fによって容易に変形するので、ホトニックバンドギャップ、すなわち、透過光波長帯域を容易に可変することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のホトニック結晶によれば、外力によってホトニック結晶が変形することによりホトニックバンドギャップを変化させることができ、また、その製造方法は簡易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るホトニック結晶10を説明するための斜視図である。
【図2】実施の形態に係るホトニック結晶10の製造方法を説明するための製造装置の斜視図である。
【符号の説明】
1…物質、2…気泡、3…FOP、4…容器、5…気体通路、6…移動機構、7…物質排出用通路、10…ホトニック結晶、F…外力、H…孔。
Claims (3)
- ゲル状の物質内に、複数の気泡が規則的に混入してなることを特徴とするホトニック結晶。
- 二次元状に配列した複数の孔を有するファイバオプティカルプレートを介してゾル状の物質内に気体を混入し、前記ゾル状の物質をゲル化することにより、請求項1に記載のホトニック結晶を形成することを特徴とするホトニック結晶の製造方法。
- 1又は複数のノズルを介してゾル状の物質内に気体を混入し、前記ゾル状の物質をゲル化することにより、請求項1に記載のホトニック結晶を形成することを特徴とするホトニック結晶の製造方法。
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