JP4270936B2 - アルゴン精製装置及びその運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルゴン精製装置及びその運転方法に関し、詳しくは、空気液化分離装置の粗アルゴン塔から採取される粗アルゴン中に含まれる酸素を水素と反応させることによって除去するためのアルゴン精製装置及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気液化分離装置の粗アルゴン塔から導出した粗アルゴン中に含まれる酸素を除去して粗アルゴンを精製する方法として、前記粗アルゴンに所定量の水素を添加した後、触媒を用いて酸素と水素とを反応させ、生成した水を除去することによって粗アルゴン中から酸素を除去する方法が広く採用されている。この精製方法では、一般的に、粗アルゴンをアルゴン圧縮機で所定圧力に圧縮し、所定量の水素を添加した後、パラジウム触媒を充填した触媒槽に導入することにより行われる。このとき、粗アルゴン中の酸素濃度が高い場合は、反応熱により触媒槽の温度が上昇して危険な状態となる。このため、触媒槽の温度上昇を防止するための一手段として、触媒槽を通過して酸素が除去された状態の精製アルゴンの一部を前記アルゴン圧縮機の吸入側に戻し、この精製アルゴンで粗アルゴンを希釈して酸素濃度を低くすることにより、反応熱による触媒槽の温度上昇を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−125209号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の空気液化分離装置では、精留塔の操作圧力が低下したことにより、粗アルゴン中の酸素濃度が1.5〜2.0体積%程度と低くなっているので、通常は、そのままの状態で触媒槽に導入しても触媒槽の温度が危険温度まで上昇することはないが、空気液化分離装置の操業状態を変更するときに、変更後の操業状態で安定するまでの間に粗アルゴン中の酸素濃度が一時的に上昇することがある。例えば、週に1,2回、30分程度だけ、粗アルゴン中の酸素濃度が上昇することがある。
【0005】
このような場合、前記特許文献1に記載された方法では、粗アルゴン中の酸素濃度が上昇したときに、アルゴン圧縮機の回転数を制御して前記精製アルゴンの戻し量(バイパス量)を変化させることにより、触媒槽に導入する粗アルゴン中の酸素濃度を一定濃度にするとしているが、このように粗アルゴン中の酸素濃度の変動に応じて前記精製アルゴンの戻し量(バイパス量)を変化させる場合は、アルゴン圧縮機の容量をバイパス量が最大となったときを基準として選定する必要があり、例えば、粗アルゴン塔からの粗アルゴンの導出量に対して1.5倍程度の容量の圧縮機を使用する必要があるだけでなく、回転数の制御が可能な圧縮機を選定しなければならない。
【0006】
このため、アルゴン圧縮機として高価なものを使用する必要があり、アルゴン精製装置における設備コストを増加させる大きな要因となっている。また、アルゴン圧縮機の回転数を制御するためには、複雑な制御装置を必要とし、制御に必要な計測器も数多く設置する必要があり、更に設備コストを上昇させることになる。
【0007】
一方、粗アルゴン中の酸素濃度が一時的に上昇したときに、精製装置の運転を停止して粗アルゴンを排出することも考えられるが、その間は精製アルゴンが得られなくなるため、後段の設備に大きな影響が出ることになる。また、予備の触媒槽を直列に設置し、粗アルゴン中の酸素濃度が上昇したときに、両触媒槽で粗アルゴンを順次処理することにより、各触媒槽内で反応させる酸素濃度を減らすことができ、温度上昇を防止できるが、この場合は、予備の触媒槽を設置するためにコストが大幅に上昇することになる。
【0008】
そこで本発明は、粗アルゴン中の酸素濃度が一時的に上昇しても連続して精製アルゴンを得ることができるだけでなく、アルゴン圧縮機として必要最小限の容量を有する圧縮機を使用することが可能で、かつ、アルゴン圧縮機の複雑な回転数制御も不要であり、さらに、触媒槽等の機器の小型化も図れるアルゴン精製装置及びその運転方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のアルゴン精製装置は、空気液化分離装置の粗アルゴン塔から粗アルゴン導出経路に導出した粗アルゴンを圧縮するアルゴン圧縮機と、該アルゴン圧縮機で圧縮した粗アルゴンに水素を添加する水素添加経路と、該水素添加経路から添加された水素と前記粗アルゴン中に含まれる酸素とを反応させる触媒槽とを備えたアルゴン精製装置において、前記粗アルゴン導出経路に、前記粗アルゴンよりも酸素濃度が低い希釈ガスを導入する希釈ガス導入経路を設けるとともに、該希釈ガス導入経路の接続部よりも上流側の前記粗アルゴン導出経路に、該粗アルゴン導出経路から前記粗アルゴンの一部を抜き取る粗アルゴン抜取経路を設け、前記粗アルゴン導出経路における前記希釈ガス導入経路の下流側に、粗アルゴン中の酸素濃度を測定する酸素濃度計を設けるとともに、前記希釈ガス導入経路に、前記酸素濃度計の測定値に基づいて希釈ガスの導入量を調節する導入量調節手段を設けたことを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明のアルゴン精製装置は、前記希釈ガスが、該精製装置の前記触媒槽から導出された精製アルゴンの一部、あるいは、該精製装置の外部から供給される高純度アルゴンであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のアルゴン精製装置の運転方法は、上記構成のアルゴン精製装置の運転方法であって、前記粗アルゴン導出経路を流れる前記粗アルゴン中の酸素濃度を測定し、測定した酸素濃度が上昇したときに、前記希釈ガス導入経路から希釈ガスを導入して前記触媒槽に導入される粗アルゴン中の酸素濃度があらかじめ設定した酸素濃度を超えないように保つとともに、前記粗アルゴン導出経路を流れる粗アルゴンの一部を前記粗アルゴン抜取経路に抜き取って前記アルゴン圧縮機の吸入流量を一定に保つことを特徴としている。
【0012】
さらに、前記酸素濃度の測定を前記希釈ガス導入経路の下流側で行い、測定した酸素濃度があらかじめ設定した酸素濃度以下になるように前記希釈ガス導入経路から導入する希釈ガスの導入量を調節すること、また、前記粗アルゴン抜取経路から前記粗アルゴン抜取経路への粗アルゴンの抜取量は、該粗アルゴン抜取経路に連通する粗アルゴン抜取経路の圧力を検出し、検出した圧力が一定になるように調節することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のアルゴン精製装置の参考例を示すもので、アルゴン精製装置における基本的構成例を示す系統図である。このアルゴン精製装置は、空気液化分離装置の粗アルゴン塔(図示せず)から粗アルゴンを導出する粗アルゴン導出経路11と、該粗アルゴン導出経路11に導出された粗アルゴンを所定圧力に圧縮するためのアルゴン圧縮機12及び圧縮熱を除去するためのアフタークーラー13と、該アルゴン圧縮機12で圧縮した粗アルゴンに所定量の水素を添加する水素添加経路14と、該水素添加経路14から添加された水素と前記粗アルゴン中に含まれる酸素とを反応させる触媒槽15と、触媒槽15での反応で昇温した精製アルゴンを冷却する冷却器16を有する精製アルゴン送出経路17とを備えるとともに、前記粗アルゴン導出経路11を流れる粗アルゴンに希釈ガスを導入混合するための希釈ガス導入経路18と、該希釈ガス導入経路18の接続部よりも上流側の前記粗アルゴン導出経路11に設けられて該粗アルゴン導出経路11から前記粗アルゴンの一部を抜き取るための粗アルゴン抜取経路19とを備えている。
【0014】
また、前記水素添加経路14には、水素の添加量を調節するための流量調節弁21が、前記希釈ガス導入経路18には希釈ガスの導入量を調節するための流量調節弁22が、前記粗アルゴン抜取経路19には粗アルゴンの抜取量を調節するための流量調節弁23が、それぞれ設けられている。
【0015】
空気液化分離装置が安定した運転状態の場合、粗アルゴン塔から粗アルゴン導出経路11に導出された粗アルゴンは、アルゴン圧縮機12で所定圧力に圧縮され、水素添加経路14から酸素に対して化学量論量より僅かに過剰の水素が添加された後、触媒槽15に流入し、該触媒槽15内に充填された触媒、例えばパラジウムの作用で酸素と水素とが反応することにより、粗アルゴン中から酸素が除去されて精製アルゴンとなり、精製アルゴン送出経路17を通って後段の設備に送られる。なお、触媒槽15における酸素と水素との反応で生成した水は、該触媒槽15の下流側で除去される。
【0016】
前記希釈ガスは、その酸素濃度が前記粗アルゴンの酸素濃度よりも低いガスであって、前記希釈ガス導入経路18から粗アルゴン導出経路11に希釈ガスを導入することにより、粗アルゴン中の酸素濃度を低くできるものならば各種組成のガスを使用可能であるが、希釈ガス導入量を少なくするとともに、精製アルゴン送出経路17から後段の設備に送り出す精製アルゴンの組成や送出量を一定に保つためには、微量乃至少量の窒素や水素は含むが、酸素はほとんど含まない精製アルゴンを用いることもできるが、窒素や水素のような不純物を除去した高純度なアルゴン、例えば、一般にアルゴンとして流通している高圧アルゴンガスあるいは液化アルゴンを気化させたアルゴンガスを用いることが特に好ましい。
【0017】
このように形成したアルゴン精製装置は、前記粗アルゴン導出経路11を通って前記アルゴン圧縮機12に吸入される粗アルゴン中の酸素濃度を測定し、測定した酸素濃度が上昇したときに、前記流量調節弁22を開いて希釈ガス導入経路18から希釈ガスを導入し、希釈ガスを粗アルゴンに混合することにより、前記触媒槽15に導入される粗アルゴン中の酸素濃度があらかじめ設定した酸素濃度を超えないように保つことができる。同時に、前記流量調節弁23を開き、粗アルゴン導出経路11を流れる粗アルゴンの一部を前記粗アルゴン抜取経路19に抜き取ることにより、希釈ガス導入後における前記アルゴン圧縮機12の吸入流量を一定に保つことができる。
【0018】
これにより、触媒槽15に高濃度の酸素が流入することがなくなるので、反応熱によって触媒槽15の温度が設計温度以上に上昇することがなくなり、安全で安定した触媒反応を行うことができる。さらに、触媒槽15の処理ガス量が一定なため、触媒槽15を小型化することが可能であり、触媒の充填量も過度に余裕を見込まなくてよいため、触媒槽15における設備コスト及び触媒コストの削減を図れる。また、アルゴン圧縮機12で吸入、圧縮するガス量が一定で、アルゴン圧縮機12を一定回転数で運転することが可能となるため、アルゴン圧縮機12として、通常時に粗アルゴン塔から導出する粗アルゴンの流量に見合う容量の圧縮機を使用することができ、従来のように大容量の圧縮機や回転数制御が可能な圧縮機を使用する場合に比べてアルゴン圧縮機12の設備コストを大幅に削減することができる。加えて、前記アフタークーラー13や冷却器16の小型化による設備コスト、運転コストの削減も図れる。
【0019】
図2は、本発明のアルゴン精製装置の第1形態例を示す系統図である。このアルゴン精製装置は、前記参考例装置に、制御用の計測器等を付加して自動運転を行う例を示している。なお、以下の説明において、前記参考で示したアルゴン精製装置における構成要素と同一の構成要素には、それぞれ同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0020】
まず、前記粗アルゴン導出経路11における前記希釈ガス導入経路18の接続部より下流側には、酸素分析計31及び流量計32と、これらの測定値から粗アルゴン中の酸素量を算出する演算器33と、アルゴン圧縮機12への粗アルゴンの流量を一定に保つための流量調節弁34とが設けられている。また、前記水素添加経路14には、前記演算器33で算出した酸素量に基づいて前記流量調節弁21の開度を調節する流量指示調節計35が設けられている。さらに、前記希釈ガス導入経路18には、前記酸素分析計31の分析結果に基づいて前記流量調節弁22の開度を調節する流量指示調節計36が設けられており、前記粗アルゴン抜取経路19には、粗アルゴン導出経路11内の圧力に応じて前記流量調節弁23の開度を調節する圧力指示調節計37が設けられている。なお、希釈ガス導入経路18は、精製アルゴン又は高純度アルゴンが流れるアルゴン経路38から分岐した状態で設けられている。
【0021】
次に、このアルゴン精製装置の運転方法を説明する。まず、基本的条件として、空気液化分離装置の安定運転時において、粗アルゴン塔から導出される粗アルゴンは、流量が1000Nm3/h、酸素濃度が1.5体積%、圧力が5kPa(ゲージ圧、以下同様)であり、触媒槽15は設計酸素濃度が2.1体積%、粗アルゴン圧縮機12は容量が1000Nm3/h、吐出圧力が350kPaであるとする。そして、アルゴン圧縮機12に吸入される粗アルゴン中の酸素濃度の制御設定値を1.7体積%に設定したとする。
【0022】
ここで、空気液化分離装置の操業状態を変更する操作を行ってから安定運転に至るまでの間に、粗アルゴン塔から導出する粗アルゴン中の酸素濃度が最大2.5体積%まで上昇するとした場合、粗アルゴン導出経路11を流れる粗アルゴン中の酸素濃度が1.7体積%を超えると、前記酸素分析計31からの信号によって前記希釈ガス導入経路18の流量指示調節計36における流量設定値(初期値はゼロ)が増加し、流量調節弁22が開方向に作動して希釈ガス導入経路18から粗アルゴン導出経路11への希釈ガスの導入が始まる。この希釈ガスの導入により、粗アルゴン導出経路11内のガス量が増加して経路内の圧力が上昇すると、前記粗アルゴン抜取経路19の圧力指示調節計37が経路内の圧力を所定の5kPaに保つように作動し、前記流量調節弁23を開方向に作動させて粗アルゴン導出経路11内から適当量の粗アルゴンを粗アルゴン抜取経路19に抜き取って系外に排出する。
【0023】
このような操作は、粗アルゴン塔から導出する粗アルゴン中の酸素濃度が上昇傾向にある間は繰り返し行われる。したがって、希釈ガス導入経路18から導入する希釈ガスに酸素をほとんど含まないアルゴンガスを使用した場合、例えば、粗アルゴン塔から導出する粗アルゴン中の酸素濃度が徐々に上昇して2.5体積%になったときでも、希釈ガス導入経路18から200Nm3/hの希釈ガスを導入することにより、触媒槽15に流入する粗アルゴン中の酸素濃度を2.0体積%に希釈することができる。このとき、粗アルゴン抜取経路19からは、粗アルゴン導出経路11内の圧力を5kPaに保つため、希釈ガス導入量に見合う200Nm3/hの粗アルゴンが抜き取られることになり、したがって、アルゴン圧縮機12に吸入される希釈ガス導入後の粗アルゴンの流量が1000Nm3/hに保たれることになる。
【0024】
このような運転を行う際に、酸素分析計31の測定点における粗アルゴン中の酸素濃度が1.7体積%を超えたことを酸素分析計31が検出してから、流量調節弁22が開方向に作動して希釈ガスの導入が開始されるまで、あるいは、導入量が増加するまでの間に時間差(制御遅れ)が生じたとしても、酸素分析計31における酸素濃度の制御設定値を適当な数値、この場合は1.7体積%に設定しておくことにより、触媒槽15に流入する粗アルゴン中の酸素濃度が、設計酸素濃度である2.1体積%を超えないように調節することができる。
【0025】
一方、酸素分析計31の測定値が減少傾向となると、酸素分析計31からの信号によって流量指示調節計36における流量設定値が減少し、流量調節弁22が閉方向に作動して希釈ガス導入経路18から粗アルゴン導出経路11への希釈ガス導入量を減少させる。同時に、希釈ガス導入量の減少によって粗アルゴン導出経路11内の圧力が低下するので、圧力指示調節計37が経路内の圧力を保つように流量調節弁23を閉方向に作動させ、粗アルゴン導出経路11から粗アルゴン抜取経路19へ抜き取る粗アルゴン量を減少させる。
【0026】
このように、酸素分析計31が測定した酸素濃度に応じて流量指示調節計36が流量調節弁22を自動的に開閉し、希釈ガス導入経路18から粗アルゴン導出経路11への希釈ガス導入量を調節するとともに、粗アルゴン抜取経路19の圧力変動に応じて圧力指示調節計37が流量調節弁23を自動的に開閉し、粗アルゴン導出経路11から粗アルゴン抜取量を調節することにより、触媒槽15に導入される粗アルゴン中の酸素濃度を常に一定値以下に保てるとともに、アルゴン圧縮機12の吸入流量を略一定に保つことができる。
【0027】
図3は、本発明のアルゴン精製装置の第2形態例を示す系統図である。このアルゴン精製装置は、前記希釈ガス導入経路18を前記精製アルゴン送出経路17における冷却器16の二次側(下流側)から分岐させ、該精製アルゴン送出経路17を流れる精製アルゴンの一部を前記希釈ガスとして用いる例を示している。したがって、希釈ガス導入時には、精製アルゴンの一部が希釈ガス導入経路18に分岐して粗アルゴン導出経路11に導入されることになる。
【0028】
図4は、本発明のアルゴン精製装置の第3形態例を示す系統図である。このアルゴン精製装置は、前記希釈ガス導入経路18から導入する希釈ガスを液化アルゴンから得るようにした例を示している。すなわち、希釈ガス導入経路18の上流側を、送ガス蒸発器41を介して液化アルゴン貯槽42に接続し、希釈ガス導入時には、液化アルゴン貯槽42から導出した液化アルゴンを送ガス蒸発器41で気化し、気化したアルゴンガスを希釈ガスとして希釈ガス導入経路18から粗アルゴン導出経路11へ導入するようにしている。
【0029】
第2形態例及び第3形態例に示した各アルゴン精製装置は、前記第1形態例装置と同様にして運転することができる。なお、第2形態例装置では、希釈ガスとして精製アルゴンの一部を粗アルゴン導出経路11へ導入する際に、精製アルゴン送出経路17から後段の設備に送出する精製アルゴンの流量が変化するが、液化アルゴン等を別途用意する必要がないという利点があるので、粗アルゴン中の酸素濃度の上昇が僅かな場合や短時間の場合には、ほとんど問題なく使用することができる。
【0030】
また、各形態例において、希釈ガス導入量を決定するための酸素濃度の測定は、希釈ガス導入経路18の接続部より上流側の粗アルゴン導出経路11で行うことも可能であるが、水素添加量を決定するために通常設けられている酸素分析計31を希釈ガス導入量調節用に用いることにより、設備コストの増加を抑えることができる。さらに、粗アルゴン抜取経路19への粗アルゴンの抜取量は、アルゴン圧縮機吸入量や希釈ガス導入量を測定し、この流量に基づいて流量調節弁23を開閉させることもできるが、流量調節弁23として、一次側圧力を一定に保つ保圧弁を用いることができるので、アルゴン圧縮機吸入量や希釈ガス導入量から弁開度を演算する必要が無くなり、設備コストの上昇を抑えることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、触媒槽に流入する粗アルゴン中の酸素濃度を一定濃度以下に調節することができるので、触媒槽の温度が過度に上昇することを防止できる。同時に、過剰量の粗アルゴンを抜き取ることにより、アルゴン圧縮機における処理量を略一定にすることができるので、容量が小さな圧縮機を使用することができ、しかも、回転数制御も不要であるから、アルゴン圧縮機に要するコストを従来に比べて大幅に削減することができる。また、触媒槽に流入する粗アルゴンも一定流量となるので、触媒槽の小型化や触媒充填量の削減も図れ、全体として大幅なコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルゴン精製装置の参考例を示す系統図である。
【図2】本発明のアルゴン精製装置の第1形態例を示す系統図である。
【図3】本発明のアルゴン精製装置の第2形態例を示す系統図である。
【図4】本発明のアルゴン精製装置の第3形態例を示す系統図である。
【符号の説明】
11…粗アルゴン導出経路、12…アルゴン圧縮機、13…アフタークーラー、14…水素添加経路、15…触媒槽、16…冷却器、17…精製アルゴン送出経路、18…希釈ガス導入経路、19…粗アルゴン抜取経路、21,22,23…流量調節弁、31…酸素分析計、32…流量計、33…演算器、34…流量調節弁、35…流量指示調節計、36…流量指示調節計、37…圧力指示調節計、38…アルゴン経路、41…送ガス蒸発器、42…液化アルゴン貯槽
Claims (4)
- 空気液化分離装置の粗アルゴン塔から粗アルゴン導出経路に導出した粗アルゴンを圧縮するアルゴン圧縮機と、該アルゴン圧縮機で圧縮した粗アルゴンに水素を添加する水素添加経路と、該水素添加経路から添加された水素と前記粗アルゴン中に含まれる酸素とを反応させる触媒槽とを備えたアルゴン精製装置において、前記粗アルゴン導出経路に、前記触媒槽から導出された精製アルゴンの一部又は前記アルゴン精製装置の外部から供給される高純度アルゴンを希釈ガスとして導入する希釈ガス導入経路を設けるとともに、該希釈ガス導入経路の接続部よりも上流側の前記粗アルゴン導出経路に、該粗アルゴン導出経路から前記粗アルゴンの一部を抜き取る粗アルゴン抜取経路を設け、前記粗アルゴン導出経路における前記希釈ガス導入経路の下流側に、粗アルゴン中の酸素濃度を測定する酸素濃度計を設けるとともに、前記希釈ガス導入経路に、前記酸素濃度計の測定値に基づいて希釈ガスの導入量を調節する導入量調節手段を設けたことを特徴とするアルゴン精製装置。
- 請求項1記載のアルゴン精製装置の運転方法であって、前記粗アルゴン導出経路を流れる前記粗アルゴン中の酸素濃度を測定し、測定した酸素濃度が上昇したときに、前記希釈ガス導入経路から希釈ガスを導入して前記触媒槽に導入される粗アルゴン中の酸素濃度があらかじめ設定した酸素濃度を超えないように保つとともに、前記粗アルゴン導出経路を流れる粗アルゴンの一部を前記粗アルゴン抜取経路に抜き取って前記アルゴン圧縮機の吸入流量を一定に保つことを特徴とするアルゴン精製装置の運転方法。
- 前記酸素濃度の測定を前記希釈ガス導入経路の下流側で行い、測定した酸素濃度があらかじめ設定した酸素濃度以下になるように前記希釈ガス導入経路から導入する希釈ガスの導入量を調節することを特徴とする請求項2記載のアルゴン精製装置の運転方法。
- 前記粗アルゴン抜取経路から前記粗アルゴン抜取経路への粗アルゴンの抜取量は、該粗アルゴン抜取経路に連通する粗アルゴン抜取経路の圧力を検出し、検出した圧力が一定になるように調節することを特徴とする請求項2記載のアルゴン精製装置の運転方法。
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