JP4269450B2 - 複合icカード用アンテナシートおよびそれを用いた複合icカード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は情報記憶媒体に関し、詳しくは、オフィス・オートメーション(Office Automation、いわゆるOA)、ファクトリー・オートメーション(Factory Automation、いわゆるFA)、あるいはセキュリティー(Security)の分野等で使用されるICカード等に代表される情報媒体において、電力の受給と信号の授受を電気接点を介して行う接触型と、電源電力の受電、並びに信号の授受を電磁結合方式によってICカードに電気接点を設けることなく非接触状態で行う非接触型の双方の機能を有する複合ICカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体メモリー等を内蔵するICカードの登場により、従来の磁気カード等に比べて記憶容量が飛躍的に増大するとともに、マイクロコンピュータ等の半導体集積回路装置を内蔵することによってICカード自体が演算処理機能を有することで情報媒体に高いセキュリティー性を付与することができるようになった。
【0003】
ICカードはISO(International Organisation for Standardisation)で国際的に規格化されており、一般的にICカードはプラスチックなどを基材とするカード本体に半導体メモリー等のICが内蔵され、カード表面に外部読み書き装置との接続のために金属製の導電性端子が設けられており、そのICカードと外部読み書き装置とのデータの交信のためにICカードを外部読み書き装置のカードスロットに挿入して用いるものである。
これは、大量データ交換や決済業務等交信の確実性と安全性が求められる用途、例えばクレジットや電子財布応用では好都合である。
【0004】
一方、入退室等のゲート管理への適用に際しては、認証が主たる交信内容であって、交信データ量も少量の場合が多く、より簡略な処理が望まれる。この問題を解決するために考案された技術が非接触ICカードである。
【0005】
これは、空間に高周波電磁界や超音波、光等の振動エネルギーの場を設けて、そのエネルギーを吸収、整流してカードに内蔵された電子回路を駆動する直流電力源とし、この場の交流成分の周波数をそのまま用いるか、或いは逓倍や分周して識別信号とし、この識別信号をアンテナコイルやコンデンサ等の結合器を介してデータを半導体素子の情報処理回路に伝送するものである。
【0006】
特に、認証や単純な計数データ処理を目的とした非接触ICカードの多くは、電池とCPU(Central Processing Unit 中央処理装置)を搭載しないハードロジックの無線認証(Radio FrequencyIdentification)であり、この非接触ICカードの出現によって、磁気カードに比較して偽造や改竄に対する安全性が高まるとともに、ゲート通過に際してカードの携帯者はゲート装置に取り付けられた読み書き装置のアンテナ部に接近させるか、携帯したカードを読み書き装置のアンテナ部に触れるだけでよく、カードをケースから取り出して読み書き装置のスロットに挿入するというデータ交信のための煩雑さは軽減された。
【0007】
近年になって、多目的な用途に1枚のカードで対応することを目的として前者の外部端子を持つ接触型の機能と後者の無線通信によってデータ交信する非接触型の機能を有する複合型のICカードが考案されている。接触型のCPU処理という高いセキュリティー性と非接触型の利便性という双方の利点を結合したものである。
【0008】
ここで一般的な複合ICカードの構造の一例について図3に示す。
図3に示すように、複合ICカード(13)はカード基材(7)、アンテナシート(11)、カード基材(7’)からなるカード本体(12)と、接触通信用のICモジュールの端子電極(2)、ICモジュールの基板(3)、接触通信機能と非接触通信機能とを有するICチップ(4)、ICモジュール側の接続端子(5)からなるICモジュール(1)で構成されている。
アンテナシート(11)上には非接触通信用のアンテナ(10)と、アンテナ側の接続端子(8)が設けられている。カード基材(7)にはICモジュール(1)の装着穴(6)が設けられており、装着穴(6)に埋め込まれたICモジュール(1)のICモジュール側の接続端子(5)がアンテナ側の接続端子(8)と接続されている。
【0009】
また、複合ICカードは一般的に以下のように製作される。
巻線やエッチングによって形成された非接触通信用の金属製のアンテナ(10)とアンテナ側の接続端子(8)を有するアンテナシート(11)がカード基材(7、7’)によって挟み込まれラミネート加工される。その後ICモジュールの装着穴(6)がザグリ加工等により開けられてカード本体(12)が製作される。
【0010】
このとき、アンテナシート(11)とICモジュール(1)との接続のための2つのアンテナ側の接続端子(8)はカード本体のICモジュール装着穴(6)の内部で露出している。また、ICモジュールの一方の面は外部機器との接続のための接触通信用の金属の端子電極(2)が形成されて、もう一方の面にはICチップ(4)が実装され、アンテナ側の接続端子(8)との接続のための接続端子(5)が設けられている。この接続端子(5)には導電性接着剤が塗布される。そして導電性接着剤が塗布されたICモジュール側の接続端子(5)と、カード本体(12)のICモジュール装着穴(6)の内部で露出しているアンテナ側の接続端子(8)とが重なり合うようにICモジュール(1)がカード本体の装着穴(6)に据え付けられた後、熱と圧力を加えてICモジュール側の接続端子(5)とアンテナ側の接続端子(8)とが結合されて実装を終了する。
【0011】
以上のような工程で、複合ICカードは製作されており、カード本体中に収納されるアンテナシート上のアンテナを、図4のような巻線アンテナとした場合、アンテナとアンテナ側の接続端子は、通常、工程の簡略化のため、一本の導線によりアンテナシート上に形成されることになる。
【0012】
しかし、このように一本の導線により形成されただけの接続端子では、例えばザグリによりICモジュールの埋設穴を形成する際、図4の接続端子(8)上のA点付近の銅線が断線する危険性が高い。ザグリの後工程であるICモジュール装着で、ICモジュール側の接続端子がB点付近に接続された場合、A点が断線しているため、非接触通信において、B点には電流が流れず、ICモジュールにも電流が流れなくなるため、複合ICカードが通信不良となってしまうという問題があり、不良品が多発して歩留まりも悪く、生産性の低いものであった。
【0013】
解決策として断線を防ぐために、アンテナ側の接続端子(8)に銅箔等の金属板を用いたとすると、少なくとも数mm角の微小な金属板を、導線を周回に巻き形成したアンテナと接続させなければならないため、これでは製造工程が複雑になってしまうという問題を生じた。
【0014】
また、別の解決策として導線を数回交差させ断線しないようにすると、製造工程が複雑になるという問題点だけでなく、接続端子(8)の厚みが厚くなり、ICモジュールが埋設できないという問題も生じた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、一本の導線からなる巻線アンテナと接続端子を備え、例えばザグリ等により接続端子が断線してもICモジュール装着後に非接触にて通信を行うことができ、しかも製造工程は複雑にならない構造の複合ICカード用アンテナシートと、前記アンテナシートを収納しICモジュール搭載後の歩留まりの良い複合ICカードを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、接触あるいは非接触のいずれかで、外部読み書き装置からの情報をカード本体内部に収納された少なくとも1つのICチップで処理し、外部読み書き装置と相互通信を行う複合ICカードにおいて、カード本体内部に収納されているアンテナシートが、導線を周回に巻き形成した巻線アンテナと、導線を連続して折り返し形成した接続端子とを備えたアンテナシートであって、接続端子の導線が連続して折り返す点で溶接されており、接続端子が断線してもICモジュール埋設後に非接触にて通信を行え、製造工程も複雑にならない構造の複合ICカード用アンテナシートを提供する。
【0017】
また本発明は上記発明の複合ICカード用アンテナシートを収納し、ICモジュール搭載後の歩留まりの良い複合ICカードを提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の巻線アンテナが収納される複合ICカードの一実施例の構造を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように複合ICカード(13)はカード基材(7)、アンテナシート(11)、カード基材(7’)を用いたカード本体(12)と、接触通信用のICモジュールの端子電極(2)、ICモジュールの基板(3)、接触通信機能と非接触通信機能とを有するICチップ(4)、ICモジュール側の接続端子(5)を用いたICモジュール(1)で構成されている。
アンテナシート(11)上には、非接触通信用の巻線アンテナ(9)と、アンテナ側の接続端子(8)が設けられている。カード基材(7)にはICモジュール(1)の装着穴(6)が設けられており、装着穴(6)に埋め込まれたICモジュール(1)のICモジュール側の接続端子(5)がアンテナ側の接続端子(8)と接続されている。
【0020】
本発明の複合ICカードは以下のように製作される。
一本の導線によって形成された非接触通信用の巻線アンテナ(9)とアンテナ側の接続端子(8)を有するアンテナシート(11)が塩化ビニール樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のカード基材(7、7’)を用いて、射出成形方式、熱ラミネート方式によりカード化される。その後ICモジュールの装着穴(6)がザグリ加工等により開けられてカード本体(12)が製作される。
【0021】
このとき、アンテナシート(11)とICモジュール(1)との接続のための2つのアンテナ側の接続端子(8)はカード本体のICモジュール装着穴(6)の内部で露出している。また、ICモジュールの一方の面は外部機器との接続のための接触通信用の金属の端子電極(2)が形成されて、もう一方の面にはICチップ(4)が実装され、アンテナ側の接続端子(8)との接続のための接続端子(5)が設けられている。この接続端子(5)には導電性接着剤が塗布される。そして導電性接着剤が塗布されたICモジュール側の接続端子(5)と、カード本体(12)のICモジュール装着穴(6)の内部で露出しているアンテナ側の接続端子(8)とが重なり合うようにICモジュール(1)がカード本体の装着穴(6)に据え付けられた後、熱と圧力を加えてICモジュール側の接続端子(5)とアンテナ側の接続端子(8)とが結合されて実装を終了する。
【0022】
図2は本発明のアンテナシートの詳細図である。アンテナシート(11)は30〜200μm程度の厚みの塩化ビニール樹脂、ABS樹脂、PET樹脂等からなるシート上に、直径が0.01〜0.25mm程度の銅製の導線を、周回に巻いた巻線アンテナ(9)と、導線を連続して折り返したアンテナ側の接続端子(8)を工程の簡略化のため、一本の導線により形成する。アンテナ側の接続端子(8)は単に一本の導線から形成するだけでなく、図のC点のように導線を連続して折り返す方向の両端は、溶接により接続している。
【0023】
これは、例えばザグリによりICモジュールの装着穴を形成すると、接続端子(8)はICモジュール装着穴の内部で露出する予定であるが、同時に接続端子(8)の導線が断線してしまうことがあるための解決策である。もし溶接がなく、接続端子(8)上のA点付近の銅線が断線し、ザグリの後工程であるICモジュール装着で、ICモジュール側の接続端子がB点付近に接続された場合、A点が断線しているため、非接触通信において、B点には電流が流れず、ICモジュールにも電流が流れなくなるため、複合ICカードは通信不良となってしまう。
【0024】
接続端子の溶接は、アンテナシートの基材が溶けないように主にレーザーにより行うことができるが、アンテナシートはシート上に形成されなくとも、単に導線を周回に巻いた巻線アンテナ(9)と、導線を連続して折り返したアンテナ側の接続端子(8)とが、一本の導線により形成されているものでも良いので、その場合は、導線を連続して折り返す方向の両端が溶接されれば他の方法でも構わない。
【0025】
溶接の精度は、図2におけるC点のように導線を連続して折り返す方向の両端が接続されればさほど精密に溶接する必要はないが、溶接後の厚みは厚くならないようにしなければならない。厚みが厚くなってしまうと、ICモジュールが装着できなくなるためである。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
図2のように、厚み100μmの塩化ビニール樹脂製シート上に、直径が0.1mmの銅線を周回に巻いたアンテナと、銅線を連続して折り返した接続端子を形成し、アンテナシートを得た。アンテナ側の接続端子を、連続して折り返す方向の両端でレーザーを用い溶接し、図1のように厚み330μmの塩化ビニール樹脂製のカード基材2枚で挟み込むようにラミネートした。塩化ビニールでアンテナシートを収納したカード本体に、ICモジュールを装着する穴をザグリにより形成したところ、装着穴で露出しているアンテナ側の接続端子の導線の断線が確認された。
【0027】
こうしてザグリ工程まで行い、アンテナ側の接続端子の導線の断線が確認されているカード本体を1000枚製造し、同じ材料、方法を用いて、アンテナ側の接続端子を連続して折り返す方向の両端で溶接を行わないアンテナシートをカード基材に収納し、ザグリ工程まで行い、アンテナ側の接続端子の導線の断線が確認されているカード本体1000枚も製造し、両カード本体にICモジュールを搭載した。ICモジュール側の接続端子とカード基材中に収納されたアンテナ側の接続端子は、導電性接着剤が塗布されたICモジュールの接続端子とカード本体のアンテナ側の接続端子とが重なり合うように、ICモジュールがカード本体の装着穴に据え付けられた後、熱と圧力を加えてICモジュール側接続端子とアンテナ端子とを結合した。
【0028】
溶接を行い、断線も確認されているアンテナシートを収納した複合ICカードは非接触通信において通信不良が発生しなかったのに対し、溶接を行っておらず、断線も確認されている複合ICカードでは50%の通信不良が発生した。よって本発明における溶接をおこなったアンテナシートを収納した複合ICカードは、溶接をおこなっていないアンテナシートを収納した複合ICカードに比べ、良好な結果を得ることができた。
【0029】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから下記に示す如き効果がある。即ち、接触あるいは非接触のいずれかで、外部読み書き装置からの情報をカード本体内部に収納された少なくとも1つのICチップで処理し、外部読み書き装置と相互通信を行う複合ICカードにおいて、カード本体内部に収納されているアンテナシートが、導線を周回に巻き形成した巻線アンテナと、導線を連続して折り返し形成した接続端子とを備えたアンテナシートであって、接続端子の導線が連続して折り返す点で溶接されており、アンテナシートをカード基材中に収納し、ザグリ等により接続端子が断線しても、ICモジュール装着後に非接触にて通信を行え、製造工程も複雑にならない複合ICカード用アンテナシートを提供することができる。
【0030】
また、接続端子の導線が連続して折り返す点で溶接されている複合ICカード用アンテナシートを収納しているので、ICモジュール搭載後の歩留まりの良い複合ICカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンテナシートが収納される複合ICカードの一実施例の構造を示す斜視図である。
【図2】本発明のアンテナシートの構造を示す詳細説明図である。
【図3】複合ICカードの一例の構造を示す斜視図である。
【図4】アンテナシートの一例の構造を示す詳細説明図である。
【符号の説明】
1‥‥ICモジュール
2‥‥ICモジュールの端子電極
3‥‥ICモジュール基板
4‥‥ICチップ
5‥‥ICモジュール側の接続端子
6‥‥ICモジュールの装着穴
7‥‥カード基材
7’‥カード基材
8‥‥アンテナ側の接続端子
9‥‥巻線アンテナ
10‥‥アンテナ
11‥‥アンテナシート
12‥‥カード本体
13‥‥複合ICカード
Claims (2)
- 接触あるいは非接触のいずれかで、外部読み書き装置からの情報をカード本体内部に収納された少なくとも1つのICチップで処理し、外部読み書き装置と相互通信を行う複合ICカードにおいて、カード本体内部に収納されているアンテナシートが、導線を周回に巻き形成した巻線アンテナと、導線を連続して折り返し形成した接続端子とを備えたアンテナシートであって、接続端子の導線が連続して折り返す点で溶接されている事を特徴とする複合ICカード用アンテナシート。
- 請求項1に記載の複合ICカード用アンテナシートを収納していることを特徴とする複合ICカード。
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JP33599399A JP4269450B2 (ja) | 1999-11-26 | 1999-11-26 | 複合icカード用アンテナシートおよびそれを用いた複合icカード |
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