JP4268300B2

JP4268300B2 - Rice fertilizer

Info

Publication number: JP4268300B2
Application number: JP2000019826A
Authority: JP
Inventors: 正浩伊吹山; 誠冨田; 純一須崎; 信行清水
Original assignee: Denki Kagaku Kogyo KK
Current assignee: Denka Co Ltd
Priority date: 2000-01-28
Filing date: 2000-01-28
Publication date: 2009-05-27
Anticipated expiration: 2020-01-28
Also published as: JP2001213679A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物にとって吸収性のよいケイ酸分を多く含む稲作用肥料に関する。
【０００２】
【従来の技術】
稲作に有用なケイ酸質肥料として、従来からケイカル（ケイ酸カルシウム）、並びにケイ酸カリ（ケイ酸カリウム）肥料が用いられている。ケイカルはスラグを原料として製造され、ＳｉＯ₂、ＣａＯ、Ａｌ₂Ｏ₃を主成分とする、主としてアルカリ分とケイ酸を補給するための土壌改質剤である。しかしケイカルは塩酸可溶性ケイ酸分が３０質量％を越えるものの、実際の土壌のｐＨに近いｐＨ＝５〜７程度の領域では、ケイ酸の溶出量が極端に減少し、ケイ酸分の供給源としては非常に効率の悪い資材である。
【０００３】
従って、実際に使用する場合も、田１０００ｍ²当たり２００ｋｇと大量に施肥しなくてはならず、それに要する労力が農家の大きな負担になっている。ケイカルは肥料の三要素のいずれをも含まない資材であるため、他の肥料と混合して使用するのが一般的であり、例えばようりん４０ｋｇをケイカル２００ｋｇと混合して散布するのが広く用いられている処方である。ようりんは、それに含まれるケイ酸分の中性に近いｐＨ域での溶出性が高い事が知られており、燐酸質肥料であると同時にケイ酸質の供給源となっていることが認められている。
【０００４】
また、ケイ酸カリ肥料のケイ酸溶出性は、ケイカルに比べると高いと言われているが、ようりんに比べるとｐＨ＝５〜７では劣っており十分とは言えない。ケイ酸カリ肥料も、ケイカルの場合と同様に、ようりんと混合して施肥されることが多く、ここでもようりんがケイ酸質の供給源としての役割を果たしている。
【０００５】
ケイカルの欠点であるケイ酸質溶出性が低いことを改善するために各種の試みがなされ、中でもケイ酸カリ肥料の溶出性が比較的高いことに着目してカリ成分を加える方法に基づいた、例えばケイ燐酸カリを主成分とする新規肥料組成物（特公平１−２４７５９号公報参照）や緩効性熔成ケイ酸カリ苦土肥料の製造法（特公平２−２３５１４号公報参照）が開示されている。
【０００６】
カリウム成分は、一般に組成物をガラス化しやすくし、ケイ酸質の溶出性を改善するが、その反面、カリ原料が高価であるため得られた製品も高価になる、十分に高いケイ酸溶出性を確保するにはカリ含有量を高くしなければらなず不経済である、更に、カリウムが強アルカリであるため製造設備の炉材を浸食する、カリを加えると溶融物の粘度が上昇するため操業しにくく、それを下げようとして温度を上げるとカリが揮散する等の欠点を有している。
【０００７】
一方、ようりんに含まれるケイ酸分は溶出性が高く、植物による吸収性が高い事が知られている。市販されているようりんに含まれるＳｉＯ₂は２０〜２５質量％程度であるが、ケイ酸含有量を増やすとその溶出性が低下する事が知られている。すなわち、溶成燐肥の一般的な原料配合にケイ石を加えて加熱溶融・急冷して、２％クエン酸水溶液へのケイ酸の溶出性を測定した試験例（工業化学雑誌第６０巻１１０９頁１９５７年）によれば、２％クエン酸水溶液（初期ｐＨが約２）へのケイ酸溶出量は３０質量％程度で頭打ちになると記載されている。
【０００８】
又、特公平２−２３５１４号公報には、ｐＨが４の酢酸ソーダ緩衝液を用いた可溶性ケイ酸の評価法が、植物吸収性との相関性が高いと記載されているが、実際の土壌のｐＨはもっと中性に近く、たまたま試験に使用した組成物のこの方法による溶出性が植物吸収性と一致したと解釈するべきと思われる。ケイ酸質の溶出性試験に関しては未だ公定法がなく、様々な方法が提案されている。
【０００９】
肥料のケイ酸分の溶出性を調べる方法としては、前記したとおりに、２％クエン酸水溶液（ｐＨが約２）を用いる方法、ｐＨの初期値が４の酢酸ソーダ緩衝液を用いる方法が知られているが、いずれも溶出時のｐＨが低く、土壌のｐＨに近いｐＨ＝５〜７付近でのケイ酸の溶出性の評価方法としては不適切である。本発明者らは、先願の特願平１０−２０５２５８号明細書の中で、４質量％クエン酸緩衝液（ｐＨの初期値が５．５）を用いる方法を提案してきた。しかし、前記方法であっても、肥料のケイ酸分溶出量と実際の植物、ことに稲のケイ酸分吸収量との相関は充分に満足できるほどに高いものではない。
【００１０】
本発明者らは、ｐＨ＝５以上の高いｐＨ域で高い溶出性を持つＳｉＯ₂を含む組成を探求した結果、同じ組成であってもその結晶性によって、溶出性が大きく変化すること、そして、特定組成を有する非晶質の組成物が前記高ｐＨ域でケイ酸溶出性を示すことを見い出し、先に特願平１０−２０５２５８号を出願した。
【００１１】
そして、その後、ケイ酸分の溶出性の評価方法と肥料効果（稲による吸収性）について更に検討を続けた結果、水溶液のｐＨ調節剤としてのイオン交換樹脂共存下で測定した（以下イオン交換法と略称する）一ヶ月後のケイ酸分溶出量が一定値以上のものが、肥料効果が高いことを見いだし、また、肥料として使用する粉体の粒度を制御することにより、長期にわたるケイ酸分溶出性を制御できることを見いだし本発明に至ったものである。即ち、本発明者らは、ケイ酸溶出性の評価方法と肥料効果について更に検討を重ね、以降に示すイオン交換法による評価方法が、実際の稲のケイ酸分吸収量と相関することを見いだしたものである。
【００１２】
イオン交換法とは、中性（ｐＨ＝７）付近でのケイ酸分の溶解性評価手法で、以下の手順で行う（参考文献：加藤直人著「農林水産省・農業環境技術研究所報告」１６巻，９−７５頁（１９９８）、加藤，尾和共著ＳｏｉｌＳｃｉ．ＰｌａｎｔＮｕｔｒ．，４３巻，２号，３５１−３５９頁（１９９７））。
【００１３】
即ち、試料０．２０ｇを、あらかじめ水酸化ナトリウム水溶液と希塩酸を用いて逆再生しておいたカルボン酸型イオン交換樹脂（例えばアンバーライトＩＲＣ−５０）２ｇと純水１リットルを入れたポリエチレン瓶に加え、マグネチックスターラーで静かに数分間撹拌した後、所定日数静置する。所定日数経過したら再度マグネチックスターラーで静かに数分間撹拌した後、最低１０分間静置し、上澄み液２ｍｌをメスフラスコ２０ｍｌに分取し、塩酸（１＋１）１ｍｌを添加後、２０ｍｌに希釈する。これをＩＣＰ発光分析法（例えば、日本ジャーレルアッシュＩＣＡＰ−５７５を使用、測定波長例：２５１.６１２ｎｍ、２８８.１５８ｎｍ他）によりＳｉを定量し、ＳｉＯ２に換算する。市販原子吸光分析用標準原液１０００ｍｇ／リットルを希釈して得られる検量線を基づいて定量する。
【００１４】
イオン交換樹脂を用いる目的は、珪酸質肥料から溶出するアルカリ土類金属等のアルカリ性物質が溶液に溶けて生ずるｐＨの上昇を、イオン交換樹脂のイオン交換能を利用して防止することにある。水田の土壌は、中性であり、ｐＨ緩衝能が高いと言われており、イオン交換法を用いると、実際の水田に近い環境下でのケイ酸分の溶出性を測定できると考えられる。
【００１５】
稲がケイ酸分をよく吸収する期間は、田植え期から出穂期までと言われている。この２〜３ヶ月間にわたって、含有するケイ酸分が徐々に溶出し、継続的にケイ酸を供給し続ける肥料が好ましい。従って、イオン交換法で継続的に測定して得た溶出曲線が、初期は勾配が比較的小さく、日数が経過した後も、勾配があまり小さくならない肥料が好ましい。初期のケイ酸分含有量はそれが溶出する限り大きい方が好ましいことは言うまでもない。
【００１６】
本発明者らは、ケイ酸分を含む肥料を用いて、稲の肥効試験を行ったところ、前記のイオン交換法による１ヶ月後のケイ酸溶出量が、稲による肥料由来のケイ酸分吸収量と相関を示すことを見いだした。しかし、ケイ酸分を多く含む市販の各種肥料を前記イオン交換法で評価したところ、１ヶ月後のケイ酸溶出量が１５質量％を超えるものはなかった。
【００１７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、イオン交換法による１ヶ月後のケイ酸溶出量が１６質量％以上の肥効に優れる稲作用肥料を提供することを目的としている。また、少量の施肥で、実際の土壌のｐＨ＝５〜７付近で、長期にわたってケイ酸分を溶出し、かつ溶出性の高いケイ酸分をＳｉＯ₂換算で３０質量％以上含む稲作用肥料を提供することを目的とする。
【００１８】
更に、本発明は、燐を含有させることにより施用前に燐肥と混合しなくてもよい、ケイ酸を主体として、燐、アルカリ分を含む資材を提供することを目的とする。更に、本発明は、通常のようりん製造設備を用いて容易に製造することができ、カリを含んでいないので前記製造上の問題点を避けることのできるケイ酸質肥料を提供することを目的とする。
【００１９】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、主成分がＭｇＯ、ＳｉＯ ₂ 、ＣａＯ、Ｐ ₂ Ｏ ₅ からなる非晶質の無機粉体であって、該無機粉体がＭｇＯを１４．１〜１６．１質量％、ＳｉＯ ₂ を３０〜５０質量％、Ｐ ₂ Ｏ ₅ を９．２〜１２．８質量％含有し、しかもＤ９０が０．６〜３．０ｍｍ、Ｄ５０が３７μｍ以上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥料である。
【００２１】
また、本発明は、主成分がＭｇＯ、ＳｉＯ₂、ＣａＯ、Ｐ₂Ｏ₅からなる非晶質の無機粉体であって、該無機粉体がＭｇＯを１４．１〜１６．１質量％、ＳｉＯ₂を３０〜５０質量％、Ｐ ₂ Ｏ ₅ を９．２〜１２．８質量％含有し、しかもＤ９０が０．１〜１．０ｍｍ、Ｄ５０が３７μｍ以上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥料である。
【００２３】
また、本発明は、前記の稲作用肥料に更に結合材を加えて造粒してなることを特徴とする稲作用肥料であり、好ましくは、前記結合材が、ポバール、メチルセルロース、リグニン誘導体、でんぷん、蔗糖のいずれか一種以上を含有することを特徴とする前記の稲作用肥料である。
【００２４】
【発明の実施の形態】
本発明は、イオン交換法で測定したときに、１ヶ月以内のケイ酸分溶出量が１６質量％以上である稲作用肥料である。本発明の稲作用肥料は、前記機能を有するので、追肥することなく従来よりも稲の発育を助長することができる。
【００２５】
また、本発明は、主成分がＭｇＯ、ＳｉＯ₂、ＣａＯ、Ｐ₂Ｏ₅からなる非晶質の無機粉体であって、該無機粉体がＭｇＯを１〜２０質量％、ＳｉＯ₂を３０〜５０質量％含有し、しかもＤ90が０．６〜３．０ｍｍ、Ｄ50が３７μｍ以上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥料である。
【００２６】
本発明において、無機粉体の主成分は、ＭｇＯ、ＳｉＯ₂、ＣａＯ、Ｐ₂Ｏ₅から構成され、その合計量は８７質量％以上、好ましくは９０質量％以上あれば良い。従来公知のケイ酸溶出性を有するものの多くは、例えばケイ酸カリ肥料の如くに、カリウムを主成分として含有するのに対し、本願発明の無機組成物はこれを主成分として有していないという特徴がある。これにより、製品価格が高くなる、製造設備の炉材を浸食する、操業しにくい等の欠点を解消することが出来る。
【００２７】
本発明の無機粉体は、ＳｉＯ₂含有量が３０質量％以上である。これより少ないと、十分なケイ酸溶出量が確保できず、ケイ酸質資材或いは肥料としての価値が減少する。５０質量％を越えると大幅にケイ酸溶出性が下がり、中性に近い領域での溶出性が悪くなる。３２〜４３質量％が好ましい範囲である。
【００２８】
ＭｇＯは、無機組成物の溶融温度を下げる効果やケイ酸溶出率を増大させる効果があり、また肥料成分としても有効なので、適当量含有させる必要がある。１質量％以下ではこれらの効果が十分ではなく、２０質量％をこえると施用した植物の肥効成分の吸収性に拮抗作用を生じ、不都合である。上記バランスから、１〜２０質量％、好ましくは７〜１８質量％の範囲がよい。
【００２９】
本発明の無機粉体について、Ｐ₂Ｏ₅量が１〜１６質量％であることが好ましい。Ｐ₂Ｏ₅は、１質量％以下では溶融物の融点が上昇しケイ酸の溶出率が低くなりやすくなると共に、ケイ酸分とのバランス上リン分が不足するためリン肥料を混合散布する必要が生じることがある。一方、１６質量％を越えると、ケイ酸の必要量を散布するとＰ₂Ｏ₅の適切な施用量を超える場合が生じることがあり好ましくない。ケイ酸の溶出率を高くし、リン肥料の混合散布を必要とせず、更に適切なＰ₂Ｏ₅の施用量を維持できるということから前記範囲が選択され、４〜１２質量％の範囲が一層好ましい。
【００３０】
また、本発明の無機粉体について、モル換算した（ＣａＯ＋ＭｇＯ）／（ＳｉＯ₂＋Ｐ₂Ｏ₅）比が１．２〜２．５であることが好ましい。前記比が１．２より小さくなるとケイ酸溶出量が減少する一方、２．５を超えるとＳｉＯ₂含有量の低下や融点の上昇とケイ酸溶出性の低下が起こることがある。１．３〜２．０が好ましい範囲である。
【００３１】
本発明の無機粉体において、主成分を構成する前記の成分の他に、微量成分として有効な硼素やマンガンを含有させることもできる。硼素やマンガンの存在は、後述する製造方法において溶融温度の低下や溶融物の流動性の増加の効果があるし、得られる無機組成物の非晶質化を促し、ケイ酸の溶出性を助長する効果もある。また、不可避的に混入する鉄酸化物やアルミニウムの酸化物などが含まれてもよい。しかし、アルミニウムについては、肥料効果が無く、有効成分の含有量を低下させ、また、量が多くなるとケイ酸分の溶出性に悪影響を及ぼすので、Ａｌ₂Ｏ₃の量は２質量％以下に抑制することが好ましい。
【００３２】
本発明の無機粉体はケイ酸の溶出性を高めるために非晶質であることが必須である。非晶質の程度については、本発明者らの実験的検討結果によれば、ＮＭＲ−２９Ｓｉの半値幅が１３ｐｐｍ以上２３ｐｐｍ以下を示せば充分である。ＮＭＲ−２９Ｓｉの測定方法は、特願平１０−２０５２５８号に記載したとおりである。
【００３３】
本発明に於いて、無機粉体の粒度分布は、Ｄ90が０．６〜３．０ｍｍ、Ｄ50が３７μｍ以上である。ここで、粒度分布は、フルイで測定すればよい。例えば、ＪＩＳＺ８８０１に記載されたフルイを重ねて、試料を最も上のフルイ上に乗せ、タップ振動機にセットする。一定時間の後、各フルイ上に残った粉体の質量を測定し、百分率で表し、粒度分布とする。Ｄ90、Ｄ50は、累積質量％がそれぞれ９０％、５０％の時の粒度を示す。
【００３４】
Ｄ90が前記範囲より大きい場合には、Ｄ50の大きさにも影響されるが、イオン交換法で測定したときに、１ヶ月以内のケイ酸分溶出量が１６質量％以上であるという本発明の目的を達成できないことがある。また、Ｄ50が３７μｍ未満の場合には、前記目的は達成しやすいものの、粒度が細かいために長期に渡ってケイ酸分を溶出することを確保できないことがあるし、施肥後に粉末の微粉部分が雨等により流失されることがあるし、更に、粉砕にコストがかかるので好ましくないからである。更に、本発明の稲作用肥料は、ケイ酸の溶出量が時間と共にゆっくり増加する傾向があるので、特に秋から冬にかけての農閑期に施肥する場合や春のしろかきの前後に施肥する場合に、特に有効である。
【００３５】
一方、本発明の他の一つは、主成分がＭｇＯ、ＳｉＯ₂、ＣａＯ、Ｐ₂Ｏ₅からなる非晶質の無機粉体であって、該無機粉体がＭｇＯを１〜２０質量％、ＳｉＯ₂を３０〜５０質量％含有し、しかもＤ90が０．１〜１．０ｍｍ、Ｄ50が３７μｍ以上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥料であり、前記発明に対して、異なる粒度分布を有していることを特徴としている。
【００３６】
本発明に於いては、Ｄ90を０．１〜１．０ｍｍとすることで、イオン交換法で測定したときに、１ヶ月以内のケイ酸分溶出量を２０質量％以上に高めることができ、一層好ましいからである。本発明の稲作用肥料は、イオン交換法の溶出率が２．５ヶ月後で８０％以上に達するので、田植え後の追肥として使用するのに好適である。また、粒度分布が窒素、カリなどの他の肥料との混合や造粒に適しているので、容易に所望の組成の複合肥料とすることもできる。
【００３７】
また、本発明は、Ｄ90で０．１〜１．０ｍｍ、Ｄ50で３７μｍ以上の粒度分布を有する前記無機粉体に、結合材を加えて造粒してなる稲作用肥料である。結合材を加えて造粒されているので、短期に多量の可溶性ケイ酸分を提供できる稲作用肥料を作業性良く取り扱うことができる。
【００３８】
結合材としては、肥料の結合材として用いられているものならば用いることができ、例えば、ポバール、メチルセルロース、リグニン誘導体、でんぷん、蔗糖が挙げられる。本発明に於いては、前記結合材のいずれか一種以上を含有していれば良いが、このうち、リグニン誘導体はパルプ廃液として、また蔗糖は廃糖蜜として安価に入手できるので都合がよい。また、でんぷんは、コーンスターチなど安定した品質のものが入手でき、廃糖蜜などより少ない固形分で造粒できるという特徴を持つので好ましい。
【００３９】
また、本発明は、イオン交換法で測定して、２．５ヶ月以内のケイ酸分溶出量が当初含まれていたケイ酸分の６０％以上である稲作用肥料である。この機能を有するが故に、少量の施肥であっても追肥することなく長期に渡ってケイ酸可溶分を供給することができ、稲の発育促進に寄与することができる。
【００４０】
本発明の稲作用肥料の製造方法について、その一例を以下に記述する。製造方法はこれに限定されるわけではない。
【００４１】
原料として、燐鉱石、蛇紋岩、ケイ石、石灰石、フェロニッケル鉱滓、フェロマンガン鉱滓、各種高炉滓、各種製鋼滓、製リンスラグ、フライアッシュ等のＰ₂Ｏ₅、ＣａＯ、ＭｇＯ、或いはＳｉＯ₂を含有する通常の原料類を利用することができる。上記原料の中にはアルミナ分（Ａｌ₂Ｏ₃）を含むものもあるが、Ａｌ₂Ｏ₃の存在は得られる稲作用肥料のケイ酸溶出率を悪化させ、またＡｌ₂Ｏ₃含有量が増加すると他の成分の含有量が実質的に減るので、Ａｌ₂Ｏ₃含有量の増大は好ましくない。Ａｌ₂Ｏ₃が含まれていない原料を使用するか、またはＡｌ₂Ｏ₃が含まれている原料は少量に限定して使用し、得られる無機組成物中のＡｌ₂Ｏ₃量が２質量％以下とすることが好ましい。
【００４２】
前記原料を、揮発分の量等を考慮し、生成物が所望組成となるように、即ち、ＭｇＯを１〜２０質量％、ＳｉＯ₂を３０〜５０質量％含有するように、好ましくはＰ₂Ｏ₅が１〜１６質量％、モル比（ＣａＯ＋ＭｇＯ）／（ＳｉＯ₂＋Ｐ₂Ｏ₅）が１．２〜２．５となるように、更に好ましくはＰ₂Ｏ₅が４〜１２質量％、モル比（ＣａＯ＋ＭｇＯ）／（ＳｉＯ₂＋Ｐ₂Ｏ₅）が１．３〜２．０となるように配合し、高温で溶融する。
【００４３】
前記溶融に用いる炉（溶融炉）は、外熱式電気炉、アーク炉、高周波加熱炉等の電気炉、或いは平炉を初めとするいろいろな燃焼ガス炉等が使用できる。溶融温度は、組成にもよるが１３５０℃以上が望ましい。目標とする組成を有する原料が完全に溶融する温度より、およそ１５０℃以上高い温度で溶融すると、溶融温度から結晶化の進まない温度までの間で十分な冷却速度がとれるので好ましい。前記溶融炉のうち、後述するとおりに、溶融液を急冷することができ、非晶質化した無機粉体を容易に得ることができることから電気炉、並びに平炉が好ましく選択される。
【００４４】
溶融液の急冷は、得られる無機組成物の非晶質化を達成し、ケイ酸の溶出性を高めるために必須である。急冷は、一般には、炉から抜き出した溶融液に溶融液の２０〜４０倍の質量の水を吹き付ける方法や、多量の水中に浸漬する方法等を適用することによって行われる。本発明の無機組成物を得る際の冷却方法としては、溶融温度から１００℃までの所要時間は２０秒以下好ましくは１０秒以下とすることがよく、特に、原料が完全に溶融する温度の上下２００℃の間を５秒以内とする事が望ましいので、このため、ジェット水流を当てて冷却する方法が好ましい。更に、ジェット水流を用いる冷却方法は、溶融液より砂状物を直接に得られ、後工程としての粉砕を省略することもできるという効果も得られる。
【００４５】
砂状物の粒度は、ジェット水圧、水量などにより制御でき、この操作のみで、粒度がＤ90で０．６〜３．０ｍｍ、Ｄ50で３７μｍ以上である無機粉体を得ることもできる。更に、必要に応じて、粉砕して、更に必要ならば分級操作を組み合わせながら、粒度分布をＤ90で０．１〜１．０ｍｍ、Ｄ50で３７μｍ以上とすれば良い。
【００４６】
前記粉砕操作には、ロールクラッシャー、スタンプミル、ローラーミル、ボールミル、ジェットミルなどの各種粉砕機を用いることができる。また、造粒操作には、ペレタイザー、転動造粒機などの各種造粒機を用いることができる。
【００４７】
造粒操作は、以下の手順で例示するとおりに、混合機と造粒機とを併用して２段階で操作することがある。即ち、主原料となる粉体１００質量部に対して、固形分を４０質量％含む廃糖蜜を１２質量部添加し、万能混合機で混合する。これを皿型造粒機に移し、回転させながら水を噴霧する。取り出された水分を含む造粒品を乾燥機で乾燥し、１〜４ｍｍ程度に造粒された粒状の肥料を得る。
【００４８】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
【００４９】
〔実施例１〜３〕りん鉱石（中国産）１ｔに対して、蛇紋岩１．５ｔ、フェロニッケル鉱滓０．３ｔ、ケイ石０．９ｔ、生石灰１．１ｔを混合粉砕し、平炉に供給して加熱溶融した。平炉から流れ出る湯にジェット水流をぶつけ、水砕品を得た。これを試料Ａ（実施例１）とする。
【００５０】
試料Ａは、非晶質で、Ｐ₂Ｏ₅、ＳｉＯ₂、ＭｇＯ、ＣａＯをそれぞれ９．２質量％、３５．０質量％、１６．１質量％、３５．３質量％含んでいた。従って、モル比（ＣａＯ＋ＭｇＯ）／（ＳｉＯ₂＋Ｐ₂Ｏ₅）は１．５９である。また、粒度分布を篩いを用いて測定したところ、２ｍｍ以上が０．４質量％、２ｍｍ未満〜１ｍｍ以上が９．７質量％、１ｍｍ未満が８９．９質量％、４４μｍ以下が３．２質量％であった。
【００５１】
別ロットの水砕品をボールミルで粉砕し、この無機粉体を１００質量部と固形分濃度が４０％の廃糖蜜１２質量部を混合し、パンケーキ型の造粒機で造粒した。これを試料Ｂ（実施例２）とする。
【００５２】
試料Ｂの主原料である無機粉体は、非晶質で、Ｐ₂Ｏ₅、ＳｉＯ₂、ＭｇＯ、ＣａＯをそれぞれ１０．５質量％、３３．７質量％、１５．９質量％、３４．５質量％含んでいた。従って、モル比（ＣａＯ＋ＭｇＯ）／（ＳｉＯ２＋Ｐ２Ｏ５）は１．５９である。また、粒度分布をフルイを用いて測定したところ、５００〜１０５μｍが２０．４質量％、１０５〜４４μｍが３５．５質量％、４４μｍ以下が４４．１質量％であった。
【００５３】
更に、別ロットの水砕品をロールクラッシャーで粉砕し無機粉体を得た。これを１５０μｍの篩いを用いて分級し、篩い下を試料Ｃ（実施例３）とする。
【００５４】
試料Ｃの粒度分布をフルイを用いて測定したところ、１４９μｍ未満〜１０５μｍ以上が４５．４質量％、１０５〜４４μｍが４６．８質量％、４４μｍ以下が７．８質量％であった。この無機粉体は、非晶質で、Ｐ₂Ｏ₅、ＳｉＯ₂、ＭｇＯ、ＣａＯをそれぞれ１２．８質量％、３２．０質量％、１４．１質量％、３５．７質量％含んでいた。従って、モル比（ＣａＯ＋ＭｇＯ）／（ＳｉＯ₂＋Ｐ₂Ｏ₅）は１．５８である。
【００５５】
試料Ａ、試料Ｂ、試料Ｃについて、それぞれイオン交換法でケイ酸分の溶出量を測定した。一ヶ月後と２．５ヶ月後の溶出量測定結果を表１に示す。
【００５６】
【表１】

＊溶出量；肥料全質量に対する溶出したケイ酸分質量の割合
溶出率；肥料中のケイ酸分質量に対する溶出したケイ酸分質量の割合
【００５７】
〔参考例１〕
市販のケイカル砂状品を、ボーミルを用いて粉砕し、１４９μｍの篩いで分級した。この篩い下を試料Ｄとする。試料Ｄのイオン交換法で測定した一ヶ月後のケイ酸分溶出量を表１に示す。
【００５８】
〔比較例１、２〕市販のケイカル砂状品（比較例１）と市販のケイカル粒状品（比較例２）のケイ酸分の溶出量を、イオン交換法で測定した。一ヶ月後と２．５ヶ月後のケイ酸分溶出量を表１に示す。
【００５９】
〔肥料効果試験〕
実施例１〜２、比較例２の肥料について、当該肥料中に含まれるケイ酸分が稲に吸収される割合を測定するために、稲のポット栽培による肥効試験を行った。試験条件は表２および表３の通りである。尚、ＳｉＯ₂で３．０ｇ、Ｐ₂Ｏ₅で０．９４ｇになるように、各種肥料および試薬を混合して施肥した。なお、使用したケイカルのＳｉＯ₂含有量は３５．７質量％である。試験結果を表４に示す。
【００６０】
【表２】

【００６１】
【表３】

【００６２】
【表４】

【００６３】
【発明の効果】
本発明の稲作用肥料は、土壌中への可溶性ケイ酸を多く含み、施肥後１月以内に１６質量％以上もの可溶性ケイ酸を供給できるという従来品にはない特徴を有し、燐酸分を含んでいるので、従来広く用いられているケイカルに比べて、施肥量を少なくできるし、燐酸質肥料とケイ酸質肥料との混合が不要であり、農家における省力化に有用である。
【００６４】
更に、本発明の稲作用肥料は、ケイ酸質の吸収性が良いので、作物の病虫害発生が抑えられること、稲が倒れにくくなること、緩効性であるから肥あたりを起こさないこと、雨水に流亡せず肥料散布の回数を減らせること、等の数々の利点を有する特徴を持つ。更に、その組成中にはカリウム等のアルカリ金属元素を含有しないので製造しやすい、カリ含有肥料に比べて安価に製造できるという特徴を有し、産業上有用なものである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a rice fertilizer containing a large amount of silicic acid that is well absorbed by plants.
[0002]
[Prior art]
As siliceous fertilizers useful for rice cultivation, conventionally, calcium (calcium silicate) and potassium silicate (potassium silicate) fertilizers have been used. Keikal is manufactured from slag as a raw material and is a soil modifier mainly composed of SiO ₂ , CaO, and Al ₂ O ₃ for supplementing mainly alkali components and silicic acid. However, although silicic acid has a soluble silicic acid content exceeding 30% by mass, silicic acid elution is extremely reduced in the region of pH = 5-7, which is close to the actual pH of the soil, and the silicic acid supply source. As a very inefficient material.
[0003]
Therefore, even when actually used, it is necessary to fertilize a large amount of 200 kg per 1000 m ^{2 of} rice fields, and the labor required for this is a great burden on the farmers. Because calcium is a material that does not contain any of the three elements of fertilizer, it is common to use it mixed with other fertilizers. For example, 40 kg of Yorin is mixed with 200 kg of calcium and sprayed widely. It is a prescription. Yoryu is known to have high elution in the pH range close to neutrality of the silicic acid contained in it, and it is recognized that it is a phosphate fertilizer and at the same time a source of silicic acid. It has been.
[0004]
Moreover, although it is said that the silicic acid dissolution property of a potassium silicate fertilizer is high compared with a calcium, it is inferior in pH = 5-7 compared with a yorin, and it cannot be said that it is enough. Potassium silicate fertilizers are often fertilized in a mixed manner with Yorin as in the case of Kyal, and Yorin also plays a role as a source of siliceous material here.
[0005]
Various attempts have been made to improve the low silicic acid dissolution property, which is a disadvantage of the calcium, and based on the method of adding potash components, focusing on the relatively high dissolution property of potassium silicate fertilizer, among others, for example A novel fertilizer composition (see Japanese Patent Publication No. 1-24759) and a method for producing a slow-release molten potassium silicate fertilizer (see Japanese Patent Publication No. 2-3523) are disclosed. ing.
[0006]
The potassium component generally facilitates vitrification of the composition and improves the elution of silicic acid, but on the other hand, the product obtained is expensive because the potash raw material is expensive. It is uneconomical to increase the potash content to ensure the resistance, and furthermore, since potassium is a strong alkali, it will erode the furnace material of the manufacturing equipment, and adding potash will increase the viscosity of the melt It is difficult to operate, and has the disadvantage that if the temperature is raised to lower it, potash will be volatilized.
[0007]
On the other hand, it is known that silicic acid contained in yolin has a high elution property and a high absorbability by plants. It is known that SiO ₂ contained in phosphorus is about 20 to 25% by mass as commercially available, but its elution is lowered when the silicic acid content is increased. That is, a test example in which silicic acid was dissolved in a 2% citric acid aqueous solution by adding silica to a general raw material composition of dissolved phosphorus fertilizer and then heating, melting and quenching (Industrial Chemical Journal Vol. 60, 1109) (1957) describes that the amount of silicic acid eluted in a 2% aqueous citric acid solution (initial pH is about 2) reaches a peak at about 30% by mass.
[0008]
JP-B-2-23514 discloses that the method for evaluating soluble silicic acid using a sodium acetate buffer solution having a pH of 4 has a high correlation with plant absorbability. It is believed that the pH of the solution is more neutral and that the dissolution of the composition used in the test by chance was interpreted as consistent with plant absorption. There is still no official method for silicic acid dissolution test, and various methods have been proposed.
[0009]
As described above, as a method for examining the elution property of the silicic acid content of the fertilizer, a method using a 2% citric acid aqueous solution (pH is about 2) and a method using a sodium acetate buffer having an initial pH value of 4 are known. However, both have low pH at the time of elution, and are inappropriate as methods for evaluating the elution of silicic acid at a pH close to pH = 5-7. In the specification of Japanese Patent Application No. 10-205258, the present inventors have proposed a method using a 4 mass% citrate buffer solution (the initial value of pH is 5.5). However, even with the above method, the correlation between the silicic acid elution amount of the fertilizer and the silicic acid absorption amount of the actual plant, particularly rice, is not high enough to be satisfactorily satisfied.
[0010]
As a result of searching for a composition containing SiO ₂ having a high elution property in a high pH range of pH = 5 or higher, the present inventors have found that the elution property is greatly changed depending on the crystallinity of the same composition, and The inventors have found that an amorphous composition having a specific composition exhibits silicic acid elution in the high pH range, and filed Japanese Patent Application No. 10-205258 earlier.
[0011]
And then, as a result of further investigation on the evaluation method of silicic acid elution and fertilizer effect (absorption by rice), the measurement was conducted in the presence of an ion exchange resin as a pH regulator of an aqueous solution (hereinafter referred to as ion exchange method). It is abbreviated as) that the amount of silicic acid eluted after one month is more than a certain value, and it has been found that the effect of fertilizer is high, and by controlling the particle size of the powder used as fertilizer, The present inventors have found that the dissolution property can be controlled and have arrived at the present invention. That is, the present inventors have further investigated the evaluation method of silicic acid elution and the fertilizer effect, and found that the evaluation method by the ion exchange method shown below correlates with the actual silicic acid absorption of rice. It is a thing.
[0012]
The ion exchange method is a method for evaluating the solubility of silicic acid near neutrality (pH = 7), and is performed according to the following procedure (reference: Naoto Kato, “Report from the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, National Institute for Agro-Environmental Technology” 16, pp. 9-75 (1998), Kato and Owa, Soil Sci. Plant Nutr., 43, 2, 351-359 (1997)).
[0013]
That is, 0.20 g of a sample was placed in a polyethylene bottle containing 2 g of a carboxylic acid ion exchange resin (for example, Amberlite IRC-50) that had been reversely regenerated using an aqueous sodium hydroxide solution and dilute hydrochloric acid, and 1 liter of pure water. In addition, after gently stirring for several minutes with a magnetic stirrer, leave it for a predetermined number of days. After a predetermined number of days, the mixture is gently stirred again with a magnetic stirrer for several minutes, then allowed to stand for a minimum of 10 minutes, 2 ml of the supernatant is taken up in 20 ml of a volumetric flask, 1 ml of hydrochloric acid (1 + 1) is added, and then diluted to 20 ml. This is quantified by ICP emission analysis (for example, using Japanese Jarrel Ash ICAP-575, measurement wavelength example: 251.612 nm, 288.158 nm, etc.) and converted to SiO2. Quantification is based on a calibration curve obtained by diluting 1000 mg / liter of a standard stock solution for atomic absorption analysis.
[0014]
The purpose of using an ion exchange resin is to prevent an increase in pH caused by dissolving an alkaline substance such as an alkaline earth metal eluted from silicic fertilizer in a solution by utilizing the ion exchange ability of the ion exchange resin. It is said that the paddy soil is neutral and has a high pH buffering capacity, and it is considered that the elution of silicic acid in an environment close to an actual paddy field can be measured using the ion exchange method.
[0015]
It is said that the period when rice absorbs silicic acid well is from rice planting to heading. A fertilizer in which the silicic acid content contained is gradually eluted over the period of 2 to 3 months and the silica is continuously supplied is preferable. Therefore, it is preferable to use a fertilizer in which the elution curve obtained by continuous measurement by the ion exchange method has a relatively small gradient at the beginning, and the gradient does not become so small even after the number of days has passed. Needless to say, it is preferable that the initial silicic acid content is as large as it dissolves.
[0016]
The present inventors conducted a fertilizer effect test of rice using a fertilizer containing silicic acid. As a result, the elution amount of silicic acid after one month by the above ion exchange method was found to be derived from fertilizer derived from rice. It was found that there is a correlation with the amount of absorption. However, when various commercially available fertilizers containing a large amount of silicic acid were evaluated by the ion exchange method, no silicic acid elution amount after 15 months exceeded 15% by mass.
[0017]
[Problems to be solved by the invention]
The object of the present invention is to provide a rice fertilizer that excels in fertilization effect with a silicic acid elution amount after 16 months by an ion exchange method of 16% by mass or more. In addition, with a small amount of fertilizer, a rice action fertilizer that elutes silicic acid content over a long period of time around the pH = 5-7 of the actual soil and contains 30% by mass or more of highly soluble silicic acid content in terms of SiO ₂ The purpose is to provide.
[0018]
Furthermore, an object of the present invention is to provide a material mainly containing silicic acid and containing phosphorus and alkali, which does not need to be mixed with phosphorus fertilizer before application by containing phosphorus. It is another object of the present invention to provide a siliceous fertilizer that can be easily produced using a normal phosphorus production facility and does not contain potash, so that the production problems can be avoided. And
[0019]
[Means for Solving the Problems]
That is, the present invention is an amorphous inorganic powder composed mainly of MgO, SiO ₂ , CaO, P ₂ O ₅ , wherein the inorganic powder contains 14.1 to 16.1% by mass of MgO. the SiO ₂ 30 to 50 wt%, the P ₂ O ₅ containing 9.2 to 12.8 wt%, yet D90 is 0.6～3.0Mm, inorganic powder having a particle size distribution D50 is not less than 37μm It is a rice action fertilizer characterized by comprising
[0021]
Further, the present invention is an amorphous inorganic powder composed mainly of MgO, SiO ₂ , CaO, P ₂ O ₅ , wherein the inorganic powder contains 14.1 to 16.1 % by mass of MgO. Inorganic powder containing 30 to 50% by mass of SiO ₂ and 9.2 to 12.8% by mass of P ₂ O ₅ and having a particle size distribution in which D90 is 0.1 to 1.0 mm and D50 is 37 μm or more. It is a rice action fertilizer characterized by comprising
[0023]
Further, the present invention is a rice action fertilizer obtained by adding a binder to the above rice action fertilizer and granulating it. Preferably, the binder is made of poval, methylcellulose, lignin derivative, starch. The above-mentioned rice action fertilizer characterized by containing at least one of sucrose.
[0024]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
This invention is a rice action fertilizer whose silicic acid content elution amount within one month is 16 mass% or more when measured by an ion exchange method. Since the rice action fertilizer of this invention has the said function, it can promote the growth of rice rather than the conventional without additional fertilization.
[0025]
Further, the present invention is an amorphous inorganic powder composed mainly of MgO, SiO ₂ , CaO, P ₂ O ₅ , wherein the inorganic powder contains 1 to 20% by mass of MgO and 30 of SiO ₂ . A rice fertilizer characterized by containing as a main component an inorganic powder having a particle size distribution of ˜50 mass%, D90 of 0.6 to 3.0 mm, and D50 of 37 μm or more.
[0026]
In the present invention, the main component of the inorganic powder is composed of MgO, SiO ₂ , CaO, P ₂ O ₅ , and the total amount may be 87% by mass or more, preferably 90% by mass or more. Many of the conventionally known silicic acid elution properties include potassium as a main component, such as potassium silicate fertilizer, while the inorganic composition of the present invention does not have this as a main component. There is. As a result, it is possible to eliminate defects such as high product prices, erosion of furnace materials in manufacturing facilities, and difficulty in operation.
[0027]
The inorganic powder of the present invention has a SiO ₂ content of 30% by mass or more. If it is less than this, a sufficient silicic acid elution amount cannot be secured, and the value as siliceous material or fertilizer decreases. When it exceeds 50% by mass, the elution of silicic acid is greatly lowered, and the elution in a region close to neutrality is deteriorated. 32-43 mass% is a preferable range.
[0028]
MgO has the effect of lowering the melting temperature of the inorganic composition and the effect of increasing the elution rate of silicic acid, and is also effective as a fertilizer component, so it needs to be contained in an appropriate amount. If the amount is less than 1% by mass, these effects are not sufficient, and if it exceeds 20% by mass, the absorbability of the applied fertilizer component of the applied plant is antagonized, which is inconvenient. From the above balance, the range of 1 to 20% by mass, preferably 7 to 18% by mass is good.
[0029]
For the inorganic powder of the present invention, it is preferred that P ₂ O ₅ content is 1 to 16 mass%. When P ₂ O ₅ is less than 1% by mass, the melting point of the melt rises and the silicic acid elution rate tends to be low, and the phosphorus content is insufficient due to the balance with the silicic acid content. May occur. On the other hand, if the amount exceeds 16% by mass, the amount of P ₂ O ₅ may be exceeded when the required amount of silicic acid is sprayed. The above-mentioned range is selected because the elution rate of silicic acid is increased, the mixed application of phosphorus fertilizer is not required, and an appropriate P ₂ O ₅ application rate can be maintained, and the range of 4 to 12% by mass is further increased. preferable.
[0030]
The inorganic powder of the present invention preferably has a (CaO + MgO) / (SiO ₂ + P ₂ O ₅ ) ratio of 1.2 to 2.5 in terms of mole. When the ratio is less than 1.2, the silicic acid elution amount decreases. On the other hand, when the ratio exceeds 2.5, the SiO ₂ content may decrease, the melting point may increase, and the silicic acid elution property may decrease. 1.3 to 2.0 is a preferable range.
[0031]
In the inorganic powder of the present invention, boron or manganese that is effective as a trace component can be contained in addition to the above-mentioned components constituting the main component. The presence of boron and manganese has the effect of lowering the melting temperature and increasing the fluidity of the melt in the production method described later, promotes amorphousization of the resulting inorganic composition, and promotes the elution of silicic acid. There is also an effect. Also, iron oxides and aluminum oxides inevitably mixed may be included. However, for aluminum, there is no fertilizer effect, reducing the content of active ingredients, and increasing the amount adversely affects the elution of the silicic acid content, so the amount of Al ₂ O ₃ is 2% by mass or less. It is preferable to suppress.
[0032]
It is essential that the inorganic powder of the present invention is amorphous in order to enhance the dissolution property of silicic acid. As for the degree of amorphousness, it is sufficient if the half-value width of NMR-29Si is 13 ppm or more and 23 ppm or less, according to the results of experimental studies by the present inventors. The measuring method of NMR-29Si is as described in Japanese Patent Application No. 10-205258.
[0033]
In the present invention, the particle size distribution of the inorganic powder is such that D90 is 0.6 to 3.0 mm and D50 is 37 μm or more. Here, the particle size distribution may be measured with a sieve. For example, the sieves described in JIS Z 8801 are stacked and the sample is placed on the uppermost sieve and set on the tap vibrator. After a certain time, the mass of the powder remaining on each sieve is measured, expressed as a percentage, and the particle size distribution. D90 and D50 indicate the particle sizes when the cumulative mass% is 90% and 50%, respectively.
[0034]
When D90 is larger than the above range, it is influenced by the size of D50, but when measured by the ion exchange method, the elution amount of silicic acid within one month is 16% by mass or more. Sometimes the goal cannot be achieved. In addition, when D50 is less than 37 μm, the above-mentioned purpose can be easily achieved, but since the particle size is fine, it may not be possible to ensure that the silicic acid component is eluted over a long period of time. This is because it may be washed away by rain or the like, and further, it is not preferable because the cost for pulverization is high. Furthermore, since the rice action fertilizer of the present invention tends to increase the amount of silicic acid slowly with time, it is particularly effective when fertilized during the agricultural off-season from autumn to winter or before and after spring scouring. It is.
[0035]
On the other hand, another aspect of the present invention is an amorphous inorganic powder whose main component is MgO, SiO ₂ , CaO, P ₂ O _5, and the inorganic powder contains 1 to 20% by mass of MgO. A rice fertilizer comprising 30-50% by mass of SiO ₂ , an inorganic powder having a particle size distribution of D90 of 0.1 to 1.0 mm and D50 of 37 μm or more as a main component. The present invention is characterized by having a different particle size distribution.
[0036]
In the present invention, when the D90 is 0.1 to 1.0 mm, the amount of silicic acid eluted within one month can be increased to 20% by mass or more when measured by the ion exchange method. This is because it is more preferable. The rice action fertilizer of the present invention is suitable for use as additional fertilizer after rice planting because the elution rate of the ion exchange method reaches 80% or more after 2.5 months. Moreover, since the particle size distribution is suitable for mixing and granulation with other fertilizers such as nitrogen and potash, it is possible to easily obtain a composite fertilizer having a desired composition.
[0037]
Further, the present invention is a rice action fertilizer obtained by adding a binder to the inorganic powder having a particle size distribution of D90 of 0.1 to 1.0 mm and D50 of 37 μm or more. Since it is granulated by adding a binder, it can handle rice-operating fertilizer that can provide a large amount of soluble silicic acid in a short time with good workability.
[0038]
Any binder can be used as long as it is used as a fertilizer binder. Examples thereof include poval, methylcellulose, lignin derivatives, starch, and sucrose. In the present invention, any one or more of the above-mentioned binders may be contained, but among them, lignin derivatives can be obtained as pulp waste liquor and sucrose can be obtained as waste molasses at low cost. Also, starch is preferable because it has a feature that it can be obtained in stable quality such as corn starch and can be granulated with less solid content than waste molasses.
[0039]
Moreover, this invention is a rice action fertilizer which is 60% or more of the silicic acid content originally contained within 2.5 months as measured by the ion exchange method. Since it has this function, even if it is a small amount of fertilizer, it can supply a silicic acid soluble part over a long period without additional fertilization, and it can contribute to the growth promotion of rice.
[0040]
An example of the method for producing rice fertilizer of the present invention is described below. The manufacturing method is not limited to this.
[0041]
As raw materials, P ₂ O ₅ , CaO, MgO, or SiO ₂ such as phosphate ore, serpentine, silica, limestone, ferronickel iron, ferromanganese iron, various blast furnace steel, various steelmaking steel, phosphorus slag, fly ash, etc. The usual raw materials to contain can be utilized. Some of the above raw materials contain alumina (Al ₂ O ₃ ), but the presence of Al ₂ O ₃ deteriorates the silicic acid elution rate of the resulting rice fertilizer, and the content of Al ₂ O _{3 is} low. Increasing the content substantially reduces the content of other components, so an increase in the Al ₂ O ₃ content is undesirable. A raw material not containing Al ₂ O ₃ is used, or a raw material containing Al ₂ O ₃ is limited to a small amount, and the amount of Al ₂ O ₃ in the resulting inorganic composition is 2 mass. % Or less is preferable.
[0042]
The raw material, taking into account the amount or the like of the volatiles, such product has a desired composition, i.e., the MgO 1 to 20 wt%, a SiO ₂ so as to contain 30 to 50 wt%, preferably P ₂ O ₅ is 1 to 16 wt%, a molar ratio (CaO + MgO) / as (SiO ₂ + P ₂ O ₅₎ is 1.2 to 2.5, more preferably P ₂ O ₅ is 4-12 wt%, molar ratio (CaO + MgO) / (SiO 2 + P 2 O 5) is blended so that 1.3 to 2.0, melts at a high temperature.
[0043]
As the furnace (melting furnace) used for melting, an electric furnace such as an external heating electric furnace, an arc furnace, a high-frequency heating furnace, or various combustion gas furnaces including a flat furnace can be used. The melting temperature is preferably 1350 ° C. or higher although it depends on the composition. When the raw material having the target composition is melted at a temperature higher by about 150 ° C. or more than the temperature at which it completely melts, a sufficient cooling rate can be obtained between the melting temperature and a temperature at which crystallization does not proceed. Among the melting furnaces, as will be described later, an electric furnace and a flat furnace are preferably selected because the molten liquid can be rapidly cooled, and an amorphous inorganic powder can be easily obtained.
[0044]
The rapid cooling of the melt is essential for achieving an amorphous state of the resulting inorganic composition and enhancing the elution of silicic acid. The rapid cooling is generally performed by applying a method of spraying water having a mass 20 to 40 times that of the melt to the melt extracted from the furnace, a method of immersing in a large amount of water, or the like. As a cooling method for obtaining the inorganic composition of the present invention, the time required from the melting temperature to 100 ° C. is preferably 20 seconds or less, preferably 10 seconds or less. Since it is desirable that the time between 200 ° C. is within 5 seconds, a method of cooling by applying a jet water flow is preferable. Further, the cooling method using a jet water stream can also obtain an effect that a sand-like material can be obtained directly from the melt and pulverization as a post-process can be omitted.
[0045]
The particle size of the sandy substance can be controlled by the jet water pressure, the amount of water, and the like, and by this operation alone, an inorganic powder having a particle size of 0.6 to 3.0 mm at D90 and 37 μm or more at D50 can be obtained. Further, if necessary, the particle size distribution may be adjusted to 0.1 to 1.0 mm at D90 and 37 μm or more at D50 while further combining classification operations if necessary.
[0046]
Various crushers such as a roll crusher, a stamp mill, a roller mill, a ball mill, and a jet mill can be used for the crushing operation. Moreover, various granulators, such as a pelletizer and a rolling granulator, can be used for granulation operation.
[0047]
As illustrated in the following procedure, the granulation operation may be performed in two stages by using a mixer and a granulator together. That is, 12 parts by mass of waste molasses containing 40% by mass of solid content is added to 100 parts by mass of powder as a main raw material, and mixed with a universal mixer. This is transferred to a dish granulator and sprayed with water while rotating. The granulated product containing the extracted moisture is dried with a dryer to obtain a granular fertilizer granulated to about 1 to 4 mm.
[0048]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail based on examples and comparative examples.
[0049]
[Embodiments 1 to 3] 1.5t of serpentinite, 0.3t of ferronickel ore, 0.9t of quartzite, and 1.1t of quicklime are mixed and ground to 1t of phosphate ore (from China) and supplied to a flat furnace. And melted. Jet water flow was struck against the hot water flowing out of the flat furnace to obtain a granulated product. This is designated as Sample A (Example 1).
[0050]
Sample A was amorphous and contained 9.2% by mass, 35.0% by mass, 16.1% by mass, and 35.3% by mass of P ₂ O ₅ , SiO ₂ , MgO, and CaO, respectively. Therefore, the molar ratio (CaO + MgO) / (SiO ₂ + P ₂ O ₅ ) is 1.59. Further, when the particle size distribution was measured using a sieve, 2 mm or more was 0.4 mass%, less than 2 mm to 1 mm or more was 9.7 mass%, less than 1 mm was 89.9 mass%, and 44 μm or less was 3.2 mass. %Met.
[0051]
A granulated product of another lot was pulverized with a ball mill, and 100 parts by mass of this inorganic powder and 12 parts by mass of waste molasses having a solid content concentration of 40% were mixed and granulated with a pancake type granulator. This is designated as Sample B (Example 2).
[0052]
The inorganic powder, which is the main raw material of Sample B, is amorphous, and P ₂ O ₅ , SiO ₂ , MgO, and CaO are 10.5% by mass, 33.7% by mass, 15.9% by mass, and 34.%, respectively. It contained 5% by mass. Therefore, the molar ratio (CaO + MgO) / (SiO2 + P2O5) is 1.59. Moreover, when the particle size distribution was measured using a sieve, 500 to 105 μm was 20.4 mass%, 105 to 44 μm was 35.5 mass%, and 44 μm or less was 44.1 mass%.
[0053]
Furthermore, a granulated product of another lot was pulverized with a roll crusher to obtain an inorganic powder. This is classified using a 150 μm sieve, and the sample under the sieve is designated as Sample C (Example 3).
[0054]
When the particle size distribution of the sample C was measured using a sieve, the particle size was less than 149 μm to 105 μm or more, 45.4 mass%, 105 to 44 μm was 46.8 mass%, and 44 μm or less was 7.8 mass%. This inorganic powder was amorphous and contained 12.8% by mass, 32.0% by mass, 14.1% by mass and 35.7% by mass of P ₂ O ₅ , SiO ₂ , MgO and CaO, respectively. . Therefore, the molar ratio (CaO + MgO) / (SiO ₂ + P ₂ O ₅ ) is 1.58.
[0055]
For sample A, sample B, and sample C, the elution amount of silicic acid was measured by the ion exchange method. Table 1 shows the results of elution amount measurement after one month and after 2.5 months.
[0056]
[Table 1]

* Elution amount: Ratio of eluted silicic acid mass to total fertilizer mass Elution rate: Ratio of eluted silicic acid mass to fertilizer silicic acid mass [0057]
[ Reference Example 1 ]
A commercially available calcium sandy product was pulverized using a bo mill and classified with a 149 μm sieve. This sieve is referred to as sample D. Table 1 shows the amount of silicic acid eluted after one month as measured by the ion exchange method of sample D.
[0058]
[Comparative Examples 1 and 2] The elution amount of silicic acid content of a commercially available calcium sandy product (Comparative Example 1) and a commercially available calcium granular product (Comparative Example 2) was measured by an ion exchange method. Table 1 shows the amount of silicic acid eluted after one month and after 2.5 months.
[0059]
[Fertilizer effect test]
About the fertilizer of Examples 1-2 and the comparative example 2, in order to measure the ratio by which the silicic acid content contained in the said fertilizer is absorbed by the rice, the fertilization effect test by the pot cultivation of the rice was done. Test conditions are as shown in Tables 2 and 3. Various fertilizers and reagents were mixed and fertilized so as to be 3.0 g with SiO ₂ and 0.94 g with P ₂ O ₅ . The SiO ₂ content of the used calcium is 35.7% by mass. The test results are shown in Table 4.
[0060]
[Table 2]

[0061]
[Table 3]

[0062]
[Table 4]

[0063]
【The invention's effect】
The rice-acting fertilizer of the present invention has a feature that is not found in conventional products, including a large amount of soluble silicic acid in the soil and capable of supplying more than 16% by weight of soluble silicic acid within one month after fertilization. As a result, it is possible to reduce the amount of fertilization compared to the conventionally widely used calcium, and it is not necessary to mix phosphate fertilizer and siliceous fertilizer, which is useful for labor saving in farmers.
[0064]
Furthermore, since the rice action fertilizer of the present invention has a good siliceous absorbability, the occurrence of disease and pest damage in crops is suppressed, the rice is less likely to fall down, and since it is slow-acting, it does not cause fertilization, rainwater It has a number of advantages, such as being able to reduce the number of fertilizer sprays without being washed away. Furthermore, since the composition does not contain an alkali metal element such as potassium, it is easy to produce, and can be produced at a lower cost than a potash-containing fertilizer, which is industrially useful.

Claims

Amorphous inorganic powder comprising MgO, SiO ₂ , CaO, P ₂ O _{5 as a} main component, wherein the inorganic powder is 14.1 to 16.1 % by mass of MgO and 30 to 50 of SiO ₂ . The main component is an inorganic powder containing 9.2 to 12.8% by mass of P ₂ O ₅ and having a particle size distribution with D90 of 0.6 to 3.0 mm and D50 of 37 μm or more. Rice fertilizer characterized by

Amorphous inorganic powder comprising MgO, SiO ₂ , CaO, P ₂ O _{5 as a} main component, wherein the inorganic powder is 14.1 to 16.1 % by mass of MgO and 30 to 50 of SiO ₂ . Mainly composed of inorganic powder having a particle size distribution containing 9.2 to 12.8% by mass of P ₂ O ₅ , D90 of 0.1 to 1.0 mm, and D50 of 37 μm or more. Rice fertilizer characterized by

A rice action fertilizer obtained by adding a binder to the rice action fertilizer of claim 2 and granulating it.

4. The rice action fertilizer according to claim 3 , wherein the binder contains at least one of poval, methylcellulose, lignin derivative, starch, and sucrose.