JP4265220B2 - エンジンの冷却構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に搭載されるエンジンでは、一般的に、適用される車両・エンジンの形式によって異なる冷却水の循環方式が採用される(特許文献1及び特許文献2参照)。例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)式の車両に適用され、車両に横置き(クランクシャフトが車両幅方向に沿う姿勢)で搭載される横置き式エンジンの場合、冷却水がシリンダブロック及びシリンダヘッドの双方の内部をエンジン前方よりエンジン後方へ平行に流れる縦流れ方式が良く用いられる。この縦流れ方式では、例えばシリンダブロックの冷却水流れを制限・調整することによってシリンダヘッド内の冷却水流量とシリンダブロック内の冷却水流量の割合を可変とする2系統冷却を行い易い。一方、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)式の車両に適用され、車両に縦置き(クランクシャフトが車両前後方向に沿う姿勢)で搭載される縦置き式エンジンの場合、上記の縦流れ方式を採用すると、エンジン後方に設けられる冷却水出口にラジエータへの供給配管を接続する必要があり、部品点数の増大・配管の長尺化や、エンジン後方に配管等を配置することによるエンジン全長の長尺化・搭載性の低下等を招くおそれある。そこで、このような縦置き式エンジンでは、冷却水がシリンダブロック内をエンジン前方より後方へ流れた後にシリンダヘッド内をエンジン後方からエンジン前方へ流れるUターン流れ方式が好適に用いられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−101155号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2000−145452号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、冷却水の循環方式が異なる複数のエンジンで、同一形状のシリンダヘッドを共用した例はない。その主な理由としては、縦流れ方式のエンジンとUターン流れ方式のエンジンとでは、シリンダヘッドに要求される冷却水出口の位置が異なり、縦流れ方式では冷却水出口がエンジン後方側(冷却水入口と反対側)に位置し、Uターン流れ方式では冷却水出口がエンジン前方側(冷却水入口と同じ側)に位置するためである。
【0006】
本発明は、このような既存の概念を打破し、冷却水の循環方式が異なるエンジンで同一形状のシリンダヘッドを共用可能とし、生産管理の容易化・低コスト化を図ることを主たる目的としている。言い換えると、Uターン流れ方式のエンジンに適用可能な縦流れ方式のシリンダヘッド、あるいは縦流れ方式のエンジンに適用可能なUターン流れ方式のシリンダヘッドを備えたエンジンの冷却構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
シリンダヘッドのエンジンクランク軸一端側の位置に第1冷却水出口を形成するとともに、シリンダヘッドのエンジンクランク軸他端側の位置に第2冷却水出口を形成する。例えば、縦流れ方式のエンジンに適用した場合、第1冷却水出口にラジエータ供給通路を接続し、第2冷却水出口は閉塞する。Uターン流れ方式のエンジンに適用した場合、第2冷却水出口にラジエータ供給通路を接続し、第1冷却水出口にはヒータ供給通路を接続する。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却方式の異なるエンジン、例えば縦流れ方式を採用するエンジンとUターン流れ方式を採用するエンジンとで、同一形状のシリンダヘッドを用いることができ、生産管理の容易化・低コスト化を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施形態に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るシリンダヘッド14の下面図である。このシリンダヘッド14は、後述するように、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型の車両に横置き(クランクシャフトが車両幅方向に沿う姿勢)に載置されるエンジン(以下、FF横置きエンジンと呼ぶ)10Fと、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型の車両に縦置き(クランクシャフトが車両幅方向に沿う姿勢)に載置されるエンジン(以下、FR縦置きエンジンと呼ぶ)10Rと、の双方に用いることができる。図2〜5は、上記のシリンダヘッド14をFF横置きエンジン10Fに適用したものであり、図6〜10は、上記のシリンダヘッド14をFR縦置きエンジン10Rに適用したものである。なお、必要に応じて、FF横置きエンジン10Fに特有の構成には参照符号の末尾にFを付し、FR縦置きエンジン10Rに特有の構成には参照符号の末尾にRを付している。
【0011】
以下、エンジンクランク軸一端側のことをクランクシャフトから駆動力を取り出すトランスミッションが接続される側であるエンジン後方とするとともに、エンジンクランク軸の他端側のことをトランスミッションが接続される側とは反対側で補器(ウォータポンプ等)及び補器駆動用クランクプーリ・ベルトが取り付けられる側であるエンジン前方とすることで、エンジン前後方向に基づき冷却水の流れを説明することとする。
【0012】
先ず、FF横置きエンジンとFR縦置きエンジンとで共通する基本構成について説明する。図5及び図10は、エンジンを冷却する冷媒としての冷却水が循環する冷却水循環回路を簡略的に示している。この回路には、冷却対象としてのエンジン10と、冷却水を強制的に循環させる循環源としてのウォータポンプ1と、冷却水の熱を外部(大気)に放散する熱交換器としてのラジエータ2と、冷却水の熱を利用して車室内の暖房を行うヒータ3と、冷却水の水温に応じて自動的に作動して冷却水通路の切換・変更を行うサーモスタット4と、が設けられている。また、エンジン10からラジエータ2へ冷却水を供給するラジエータ供給通路5と、ラジエータ2からウォータポンプ1へ冷却水を戻すラジエータ戻り通路6と、エンジン10からヒータ3へ冷却水を供給するヒータ供給通路7と、ヒータ3からウォータポンプ1へ冷却水を戻すヒータ戻り通路8と、エンジン10からウォータポンプ1へ直接的に冷却水を戻すバイパス通路9と、が設けられている。
【0013】
ウォータポンプ1は、エンジン前方に設けられるクランクプーリ及びベルトを介してエンジン10により機械的に駆動され、シリンダブロック12又はシリンダヘッド14に直接的に取り付けられる。ラジエータ2は、車速風を有効に利用するように、車両前部に配置される。エンジン10は、ラジエータ2の直ぐ車両後方のエンジンルーム内に配設される。サーモスタット4は、水温に応じて作動し、ラジエータ戻り通路6の流量を制限・調節する。サーモスタット4によりラジエータ2を通流する冷却水の流量が制限・遮断されると、バイパス通路9を経由して冷却水が循環する。
【0014】
図2及び図6にも示すように、エンジン10は、この実施形態では直列4気筒型であって、例えばアルミニウム合金や鋳鉄によって一体的に鋳造されたシリンダブロック12と、同じくアルミニウム合金や鋳鉄等によって一体的に鋳造されたシリンダヘッド14と、により大略構成される。これらシリンダブロック12とシリンダヘッド14とは、ヘッドガスケット16を介装した状態で、複数のボルト(図示省略)により締結固定される。
【0015】
図示しないエンジンクランク軸はシリンダ30が連なるシリンダ列方向に沿ってシリンダブロック12下方に配設されるとともに、図2及び図6において右側で示されるエンジン後方側のエンジンクランク軸一端側には図示しないトランスミッションが接続されて上記エンジンクランク軸から駆動力がトランスミッションに伝達される。そしてトランスミッションが接続される側とは反対側で、図2及び図6において左側で示されるエンジン前方側のエンジンクランク軸他端側には、例えば図3あるいは図6に示されるウォータポンプ1等の補器が図示しない補器駆動用クランクプーリ・ベルトとともに取り付けられて、エンジンクランク軸の回転が補器に伝達されることでこれらの補器が駆動される。本実施例のエンジン10はエンジン後方からエンジン前方に向かって見たときに左側が排気側となっており、シリンダヘッド14の排気側には排気ポート32が形成される一方、反対側は吸気側とされて図示しない吸気ポートが形成されている。
【0016】
シリンダブロック12及びシリンダヘッド14の内部には、冷却水が通流する空間としてウォータジャケットが鋳造時に一体的に形成されている。ウォータジャケットは、特に燃焼室・シリンダ及び排気系のような加熱し易い部分を十分冷却するように設定されている。シリンダブロック12内のウォータジャケットと、シリンダヘッド14内のウォータジャケットとは、ヘッドガスケット16に形成される複数の水孔16a等を介して通じている。特に、この実施形態ではシシリンダ30の周囲を冷却水で覆うようにリンダブロック12の上面がシリンダ30を残して大きく開放するオープンデッキ型となっており、主としてヘッドガスケット16に形成された水孔によりシリンダブロック12−シリンダヘッド14間の冷却水流れを調整・制限するようになっている。
【0017】
シリンダブロック12には、エンジン前方側のクランク軸方向に沿った側壁のうち排気側の側壁に、冷却水入口18が開口形成されている。この冷却水入口18を通して、ウォータポンプ1により加圧された冷却水がエンジン10内に導入される。
【0018】
そして、シリンダヘッド14には、冷却水が吐出され得る冷却水出口20,22が2箇所に形成されている。第1冷却水出口20は、シリンダヘッド14のエンジン後方側で、詳しくはクランク軸端面側の側壁をなすシリンダヘッド後壁に開口形成されている。この第1冷却水出口20は、後述するように、FF横置きエンジンで2系統冷却を行う関係で、ヘッド側出口20aとブロック側出口20bと、の2つの出口に分割構成されている。第2冷却水出口22は、シリンダヘッド14のエンジン前方側のクランク軸方向に沿った側壁のうち排気側の側壁に開口形成されており、上記のシリンダブロックに開口形成された冷却水入口18のほぼ上方に配置されている。
【0019】
このようにシリンダヘッド14に第1冷却水出口20と第2冷却水出口22の2箇所に冷却水出口を形成することにより、後述するように、縦流れを採用するFF横置きエンジン10FとUターン流れを採用するFR縦置きエンジン10Rとで同じ形状のシリンダヘッド14を共用することができる。また、ヘッドガスケット16やシリンダブロック12も、FF横置きエンジン10FとFR縦置きエンジン10Rとで非常に近い形状のものを用いることができる。以下、その構造について詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1〜5を参照して、上記のシリンダヘッド14をFF横置きエンジン10Fに適用した場合について説明する。このエンジン10Fは、ラジエータ2の車両後方であって、ラジエータ2に排気側の側壁が対向する横置き姿勢で車両に搭載される。
【0021】
シリンダブロック12Fのエンジン前方側(補器が取り付けられる側寄り)の排気側の側壁には、冷却水入口18を覆うように、ウォータポンプ1を備えたポンプハウジング24が取り付けられている。このポンプハウジング24(図3)には、ラジエータ戻り通路6の配管6Pの一端が接続されており、このラジエータ戻り通路6の途中に、上記のサーモスタット4が設けられている。シリンダヘッド14のクランク軸端面側の側壁をなすシリンダヘッド後壁には、第1冷却水出口20を覆うように出口ハウジング26(図3)が取り付けられている。第2冷却水出口22は、本実施例のように上記のポンプハウジング24によるか又は適宜なキャップにより液密に閉塞される。ヘッドガスケット16F(図2)には、シリンダブロック12の上面に形成されるブロック開口12a〜12dと、シリンダヘッド14の下面に形成されるヘッド開口14a〜14d(図1参照)と、を連通する水孔16a〜16dが形成されている。
【0022】
第1ブロック開口12aは、冷却水入口18の近傍、つまりエンジン前方寄りの排気側のブロック上面に形成されており、上記の冷却水入口18に直接的に通じている。この第1ブロック開口12aに対応して、比較的大きな第1水孔16aがヘッドガスケット16に形成されている。第2水孔16bは、4つのシリンダ用孔16sの吸気側に、気筒列方向に沿ってほぼ等間隔に形成されている。
【0023】
ウォータポンプ1により加圧された冷却水は、冷却水入口18を通してエンジン内へ導入され、シリンダブロック12内をエンジン前方より後方へ向けて流れるとともに、その一部がブロック開口12a,12b、水孔16a,16b、及びヘッド開口14a,14bを通してシリンダヘッド14へ供給され、シリンダヘッド14内をエンジン前方よりエンジン後方へ向けて流れる。すなわち、このFF横置きエンジンでは、シリンダブロック12内の冷却水流れとシリンダヘッド14内の冷却水流れとが共にエンジン前方から後方へ向けて平行に流れる縦流れ方式に設定されている。
【0024】
シリンダブロック12及びシリンダヘッド14の内部を流れた冷却水は、第1冷却水出口20を通して出口ハウジング26へ吐出される。出口ハウジング26へ吐出された冷却水は、ラジエータ供給通路5(図3)を通してラジエータ2へ供給されるとともに、ヒータ供給通路7を通してヒータ3へ供給される。
【0025】
第1冷却水出口20のヘッド側出口20aは、シリンダヘッド14内のウォータジャケットに通じている。一方、ブロック側出口20bは、シリンダヘッド14内のウォータジャケットとは直接的に通じておらず、第3ヘッド開口14c(図1),第3水孔16c及び第3ブロック開口12cを介してシリンダブロック12内のウォータジャケットに通じている。出口ハウジング26には、ブロック側出口20bの開度を調整する2系統冷却用のウォータコントロールバルブ(図示省略)が内蔵されている。このウォータコントロールバルブにより水温に応じてブロック側出口20bの開度を調節することにより、シリンダブロック12を通流する冷却水の流量が制限・調節される。
【0026】
また、上述したサーモスタット4(図3及び図5(回路図)を参照)によるラジエータ2のバイパス時にエンジン10からウォータポンプ1へ冷却水を戻すバイパス通路9の一部として、このFF横置きエンジンにおけるヘッドガスケット16F及びシリンダブロック12Fにはシリンダヘッド14に設けられた第4ヘッド開口14dと通じるバイパス用の第4水孔16d及び第4ブロック開口12dが形成されている。
【0027】
次に、図1及び図6〜10を参照して、FR縦置きエンジン10Rについて説明する。このエンジン10Rは、ラジエータ2の車両後方であって、このラジエータ2にシリンダヘッド14のエンジン前方側(補器が取り付けられる側)でクランク軸端面側の側壁をなすシリンダヘッド前壁が対向する縦置きの姿勢で車両に搭載される。
【0028】
シリンダブロック12のエンジン前方側のクランク軸方向に沿った側壁のうち排気側の側壁には、冷却水入口18を覆うように、ウォータポンプ1を備えたポンプハウジング24(図7,図8)が取り付けられている。このポンプハウジング24には、ラジエータ戻り通路6の配管6Pとヒータ戻り通路8の配管8Pとが接続されている。シリンダヘッド14のエンジン前方側の排気側の側壁には、第2冷却水出口22を覆うように、ラジエータ供給通路5の配管5Pの一端が取り付けられている。シリンダヘッド14のエンジン後方側の後壁には、第1冷却水出口20を覆うように、ヒータ供給通路7の配管7Pの一端が取り付けられている。
【0029】
ウォータポンプ1から圧送される冷却水は、冷却水入口18を通してエンジン10の内部に導入され、シリンダブロック12内をエンジン前方から後方へ向けて流れた後、一部が第3ブロック開口12c(図6),第3水孔16c,ブロック側出口20b及びヒータ供給配管7Pを通してヒータ3へ送給されるとともに、大部分がヘッドガスケット16のエンジン後方側で、冷却水入口とはクランク軸方向で反対側の位置に集中的に形成された第5水孔16eと第2水孔16bを通してシリンダヘッド14のエンジン後方部へ導入される。すなわち、縦置きエンジン用のヘッドガスケット16Rでは、冷却水がエンジン後部側よりシリンダヘッド14へ導入され易いように、エンジン後部側、詳しくはエンジン最後尾のシリンダ用孔16sの周囲に、横置きエンジン用のシリンダヘッドガスケット16Fには無かった追加の第5水孔16eが複数形成されている。第5水孔16eは、シリンダブロック12の上面に形成される第2ブロック開口12bと、シリンダヘッド14の下面に形成される第5ヘッド開口14e(図1)と、に通じている。
【0030】
シリンダヘッド14の後部に導入された冷却水は、シリンダヘッド14内をヘッド後方からヘッド前方へ流れた後、第2冷却水出口22及びラジエータ供給配管5Pを経てラジエータ2へ送給される。
【0031】
このようにFR縦置きエンジンでは、冷却水の大部分がシリンダブロック12内をエンジン前方からエンジン後方へ流れた後、シリンダヘッド14内をエンジン後方からエンジン前方へ流れる、いわゆるUターン流れ方式に設定されている。このため、ラジエータ供給配管5Pがラジエータ2に近いエンジン前方側の第2冷却水出口22に接続されることとなり、冷却水がエンジン後方で吐出された場合にラジエータ2に冷却水を供給するために必要とされた配管が不要となるため、配管の簡素化・短縮化を図ることができるとともに、エンジン後方側の配管を簡素化できるために、エンジン全長を短縮化して搭載性の向上を図ることができる。仮にFR縦置きエンジンで縦流れ方式を用いた場合、エンジン後方側に位置する第1冷却水出口20にラジエータ供給通路の配管を接続することとなり、配管の長尺化や車両搭載性の低下を招くおそれがある。
【0032】
また、このFR縦置きエンジン10Rでは、シリンダブロック12Rのエンジン前方寄りの冷却水入口18が形成された排気側の側壁に、冷却水入口18の他、隣接するようにバイパス出口28が形成されており、これらの冷却水入口18及びバイパス出口28の双方を覆うようにポンプハウジング24が取り付けられている。冷却水入口18は、ブロック上面に形成された第1開口12aには直接的に通じておらず、シリンダブロック12内のウォータジャケットに通じている。一方、バイパス出口28は、第1開口12aに直接的に通じており、シリンダブロック12内のウォータジャケットには通じていない。
【0033】
上記のサーモスタット4はポンプハウジング24内に設けられており、このサーモスタット4によりラジエータ2側への冷却水流量を制限した場合には、シリンダヘッド14内の冷却水が、バイパス通路9の一部をなす第1水孔16a,第1ブロック開口12a及びバイパス出口28を経てウォータポンプ1へ戻される。すなわち、第1水孔16aは、FF横置きエンジン用ヘッドガスケット16FとFR縦置きエンジン用ヘッドガスケット16Rとで同じ位置・形状に形成されているものの、FF用ガスケット16Fではシリンダブロック12からシリンダヘッド14へ冷却水を供給する供給通路の一部として機能し、FR用ガスケット16Rではシリンダヘッド14からウォータポンプ1へ冷却水を戻すバイパス通路9の一部として機能する。この関係で、FF用ガスケット16F(図2)ではバイパス通路の一部として形成される第4水孔16dがFR用ガスケット16R(図6)では省略されている。
【0034】
以上のような本実施形態によれば、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0035】
シリンダヘッド14に第1冷却水出口20と第2冷却水出口22との2箇所に冷却水出口を形成したので、冷却水循環方式の異なる複数のエンジン、具体的には、縦流れ方式を適用するFF横置きエンジンと、Uターン流れ方式を適用するFR縦置きエンジンとで、同じ形状のシリンダヘッド14を共用することができ、生産管理の容易化、コストの低減化等を図ることができる。
【0036】
Uターン流れのFR縦置きエンジンでは、第1冷却水出口20にヒータ供給通路7の配管7Pを接続し、この第1冷却水出口20をヒータ供給用の水出口として利用することにより、ヒータ供給用の水出口を別途形成する必要がない。
【0037】
ヘッドガスケット16の第1水孔16aを、縦流れのFF横置きエンジンではシリンダブロック12からシリンダヘッド14への冷却水供給通路の一部として利用し、Uターン流れのFR縦置きエンジンではシリンダヘッド14からウォータポンプ1へのバイパス通路9の一部として利用することにより、シリンダヘッド14及びヘッドガスケット16の形状変更を更に抑制することができる。言い換えると、FRエンジン10Rでは、シリンダブロック12Rの冷却水入口18の近傍にバイパス出口28を形成することにより、第1ブロック開口12aや第1水孔16aをバイパス通路9の一部として有効に利用することで、シリンダヘッド14をFF横置きの場合とFR縦置きの場合とで完全に共通化することができる。
【0038】
第1冷却水出口20をエンジンにトランスミッションが接続される側のヘッド後壁(クランク軸端面側の側壁)に開口形成しているため、この第1冷却水出口20により吸気側の側壁に形成される吸気ポートの面積や排気側の側壁に形成される排気ポート32の面積が制限を受けることがなく、出力低下を招くことがない。また、エンジンにトランスミッションが接続される側における、クランク軸端面側の側壁には、ウォータポンプ等の補器及び駆動用プーリ・ベルトが取り付けられることがないので、冷却水出口に接続される冷却水配管が他の部品と干渉することがないという効果も得られる。
【0039】
第2冷却水出口22を排気側の側壁に形成しているため、この第2冷却水出口22により吸気側の側壁に形成される、エンジン出力のために排気ポートに比べてより大きな断面積が必要とされる吸気ポートの面積が制限を受けることがなく、出力低下を招くことがない。また、エンジンにトランスミッションが接続される側と反対側のクランク軸端面側の側壁には、ウォータポンプ等の補器及び駆動用のプーリ・ベルトが取り付けられることになるので、クランク軸方向に沿った側壁に冷却水出口を設けることにより、冷却水出口に接続される冷却水配管が他の部品と干渉することがないという効果も得られる。
【0040】
以上のように本発明を具体的な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上記実施形態では、FF横置きエンジンで2系統冷却を行うために、第1冷却水出口20がヘッド側出口20aとブロック側出口20bと、の2つの出口に分割構成されているが、2系統冷却を行わないような場合、両出口20a,20bを一体化、あるいはブロック側出口20bを省略して、第1冷却水出口20を1つのみとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンのシリンダヘッドの下面図。
【図2】縦流れ方式のFF横置きエンジンの分解斜視図。
【図3】上記FF横置きエンジンの斜視図。
【図4】上記FF横置きエンジンのシリンダブロックの上面図。
【図5】上記FF横置きエンジンの冷却水循環回路。
【図6】Uターン流れ方式のFR縦置きエンジンの分解斜視図。
【図7】上記FR縦置きエンジンの斜視図。
【図8】同じく上記FR縦置きエンジンの斜視図。
【図9】同じくFR縦置きエンジンの斜視図。
【図10】上記FR縦置きエンジンの冷却水循環回路。
【符号の説明】
5…ラジエータ供給通路
7…ヒータ供給通路
10…エンジン
12…シリンダブロック
14…シリンダヘッド
16…ヘッドガスケット
18…冷却水入口
20…第1冷却水出口
22…第2冷却水出口
Claims (6)
- シリンダヘッドのエンジンクランク軸一端側の位置に形成される第1冷却水出口と、シリンダヘッドのエンジンクランク軸他端側の位置に形成される第2冷却水出口と、を有するエンジンの冷却構造において、
上記第1冷却水出口は、冷却水がシリンダブロック内及びシリンダヘッド内の双方をエンジンクランク軸他端側よりエンジンクランク軸一端側へ流れる縦流れ方式のエンジンに適用される場合、エンジンからラジエータへ冷却水を供給するラジエータ供給通路と接続され、
上記第2冷却水出口は、冷却水がシリンダブロック内をエンジンクランク軸他端側よりエンジンクランク軸一端側へ流れた後、シリンダヘッド内をエンジンクランク軸一端側よりエンジンクランク軸他端側へ流れるUターン流れ方式のエンジンに適用される場合、エンジンからラジエータへ冷却水を供給するラジエータ供給通路と接続され、
かつ、上記第2冷却水出口が、シリンダヘッドのクランク軸方向に沿った側壁のうち排気側の側壁に開口形成されていることを特徴とするエンジンの冷却構造。 - 上記第1冷却水出口は、上記Uターン流れ方式のエンジンに適用される場合、エンジンからヒータへ冷却水を供給するヒータ供給通路と接続される請求項1に記載のエンジンの冷却構造。
- 上記第1冷却水出口が形成されるエンジンクランク軸一端側が、上記エンジンにトランスミッションが接続される側であるとともに、上記第1冷却水出口が、シリンダヘッドのクランク軸端面側の側壁に開口形成されている請求項1又は2に記載のエンジンの冷却構造。
- 上記第2冷却水出口が形成されるエンジンクランク軸他端側が、上記エンジンにトランスミッションが接続される側と反対側である請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの冷却構造。
- 上記第2冷却水出口は、上記縦流れ方式のエンジンに適用される場合、シリンダブロックの冷却水入口を覆うポンプハウジングにより閉塞される請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの冷却構造。
- エンジンにトランスミッションが接続される側のクランク軸一端側の位置に形成される第1冷却水出口と、エンジンにトランスミッションが接続される側と反対側のクランク軸他端側の位置に形成される第2冷却水出口と、を有するシリンダブロックにおいて、
上記第1冷却水出口は、冷却水がシリンダブロック内及びシリンダヘッド内の双方をエンジンクランク軸他端側よりエンジンクランク軸一端側へ流れる縦流れ方式のエンジンに適用される場合、エンジンからラジエータへ冷却水を供給するラジエータ供給通路と接続され、
上記第2冷却水出口は、冷却水がシリンダブロック内をエンジンクランク軸他端側よりエンジンクランク軸一端側へ流れた後、シリンダヘッド内をエンジンクランク軸一端側よりエンジンクランク軸他端側へ流れるUターン流れ方式のエンジンに適用される場合、エンジンからラジエータへ冷却水を供給するラジエータ供給通路と接続され、
かつ、上記第2冷却水出口が、シリンダヘッドのクランク軸方向に沿った側壁のうち排気側の側壁に開口形成されていることを特徴とするシリンダヘッド。
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