JP4264220B2 - 空気調和ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内の空調に用いられる空気調和ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷却用熱交換器であるエバポレータと、加熱用熱交換器であるヒータコアを一体ユニットとし、それにより車室内の足元スペースを拡大するとともにコストを削減するようにした車両用空気調和装置(カーエアコンユニット)が開発されている。このような車両用空気調和装置の一例を図8により説明する。図8に示すように、従来の車両用空気調和装置1は、ケーシング2を有し、このケーシング2内に、車両の前方から取り込んだ空気を装置内に導入する空気入口3と、この導入された空気を冷却するエバポレータ5と、このエバポレータ5の後方下部に配置されエバポレータ5からの冷却された空気を加熱するヒータコア6とが配置されている。また、ケーシング2内のヒータコア6の後方には仕切板8が配置され、この仕切板8により、ヒータコア6により加熱された空気を、エバポレータ5からの冷却空気と混合させるために、上方のミックス領域10に導くようになっている。エバポレータ5の後流には、ヒータコア6をバイパスする空気の量を調整するためのエアミックスダンパ12が設けられ、冷却空気の量と加熱空気の量を調整できるようになっている。また、仕切板8とケーシング2の後部との間には、フット通路13が形成されている。さらに、ケーシング2の上部において、ミックス領域10の近傍の部分には、フェース吹出口14が設けられ、このフェース吹出口14より前方側には、デフロスト吹出口15が設けられている。これら吹出口においては、フェース吹出口14およびデフロスト吹出口15に空気を分配するデフロスト兼用フェースダンパ16が設けられており、また、フット通路13にはフットダンパ17が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本車両用空気調和装置においては、デフロスト兼用フェースダンパ16、フットダンパ17等の開閉を制御することで、空調空気が吹き出される吹出口を変更することができるようになっている。また、吹出温度はエアミックスダンパ12の回動角を調整することにより調整することができる。すなわち、エバポレータ5を通過した冷風は、エアミックスダンパ12によってヒータコア6につづく流路と、ヒータコア6をバイパスする流路とに分岐される。ヒータコア6では空調空気が加熱され、暖気となってミックス領域10に導かれる。ミックス領域10では、ヒータコア6をバイパスした冷気と混合して温度が調整された後、各吹出口から吐出する。ここで、仕切板8によって、ヒータコア6を通過した暖気を、ヒータコア6を通過しない冷気が流れるミックス領域10に導く事によって、冷気と暖気の混合が実現されている。
【0004】
しかしながら、エアミックスダンパ12を100%暖気側を開とする場合、すなわち、冷気と暖気とをミックスする必要がない場合でも暖気は仕切板8によって強制的にガイドされてミックス領域10を通過するため、圧力損失が大きく十分な風量を得ることができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、効率を向上させることができる空気調和ユニットを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、エバポレータと、ヒータコアとを備え、該エバポレータとヒータコアとの間に位置してエバポレータを通過した空気をヒータコアに通す温風通路と通さない冷風通路とに分配するエアミックスダンパと、前記ヒータコアの下流に位置し、前記温風通路と冷風通路の合流・非合流を切り替える切替ダンパとを備え、前記切替ダンパ は、回転軸を中心として両端部が回動する構成とされ、前記温風通路と冷風通路とを合流させない非合流位置にある場合には、該切替ダンパの冷風通路側端部と前記ヒータコアの冷風通路側端部とが接し、該切替ダンパによって前記ヒータコア下流側において前記温風通路と冷風通路とが仕切られ、前記温風通路と冷風通路とを合流させる位置にある場合には、該切替ダンパの冷風通路側端部は前記冷風通路中に位置するとともに該切替ダンパの他側端部と前記ヒータコアの他側端部とが接することを特徴とする。
【0007】
この発明においては、エアミックスダンパだけではなく切替ダンパが設けられていることにより、冷風と温風とを合流させる必要がない場合に各々圧力損失の少ない流路をとることができ、合流させる必要がある場合には、冷風と温風とが十分に混合するような流路を採用することができる。また、最大冷房時に冷風通路と温風通路とを分離させることで、ヒータコアによる冷風の再熱が防止される。さらに、切替ダンパが温風通路と冷風通路とを合流させない非合流位置にある場合には、切替ダンパが仕切り壁となって冷風がヒータコアによって再熱されることが防止される。切替ダンパが温風通路と冷風通路とを合流させる位置にある場合には、ヒータコアを通過した温風が切替ダンパによってガイドされて冷風通路と合流する。このとき切替ダンパの冷風通路側端部は前記冷風通路中に位置することにより、流路を狭めて、冷風と温風とが混合しやすくする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記の発明において、前記エアミックスダンパは、前記ヒータコアの一側面を閉塞することによりエバポレータを通過した空気の全量を前記冷風通路に送り、前記冷風通路を閉塞することにより全量を前記温風通路に送り、さらに、わずかに前記冷風通路を開とすることにより、前記エバポレータを通過した空気の大部分を前記温風通路に送るとともに前記冷風通路に冷風を少量送ることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明においては、エアミックスダンパによってヒータコアの一側面を閉塞することでエバポレータを通過した空気の全量を冷風通路に送り、また、エアミックスダンパによって冷風通路を閉塞することにより、エバポレータを通過した空気の全量を温風通路に送る。さらに、冷風通路側をわずかに開とすることで、温風通路にはヒータコアによって加熱された温風を送るとともに、冷風通路にはヒータコアを通過しなかった冷風を供給することができる。なお、ヒータコアの一側面を閉塞する際にはヒータコアの側面自体を閉塞する必要はなく、ヒータコアを通る温風通路の流路を閉塞すればよい。また、その際に補助板等を用いてもよい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の空気調和ユニットにおいて、ケーシングを備え、該ケーシング内に前記エバポレータが配置され、前記ヒータコアが該ヒータコアの上端を前記エバポレータに接した状態で設けられ、該ヒータコアの下方が前記冷風通路とされ、該ヒータコアの下端部に接して前記エアミックスダンパの回転軸が位置し、該エアミックスダンパの先端は前記ケーシング内壁に接することで前記冷風通路を閉塞可能とされ、前記温風通路は前記ヒータコアの略上方に延び、下流端にはデフロスト吹出口およびフット吹出口が設けられ、前記冷風通路は、前記温風通路に隣接して上方に延びるとともに下流端にはフェース吹出口が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、冷風通路の下流端部にフェース吹出口が設けられていることにより、切替ダンパで冷風通路と温風通路とを仕切れば、冷風通路を通る冷風はフェース吹出口に滑らかな動線にて直接到達し、温風通路を通る温風はデフロスト吹出口およびフット吹出口に滑らかな動線にて直接到達する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和ユニットにおいて、前記温風通路と前記冷風通路が、前記切替ダンパの下流で隣り合って位置し、前記切替ダンパより下流の前記冷風通路には、該冷風通路内を前記温風通路側と他側とに仕切る仕切板が設けられ、さらに、該仕切板より下流において前記冷風通路と温風通路とを合流させる合流路と、前記冷風通路の前記温風通路側を流れてきた空気の一部を前記温風通路側に分配することができる分配ダンパとが設けられていることを特徴とする。
【0013】
この空気調和ユニットにおいては、仕切板が設けられていることにより、切替ダンパにより冷風通路に合流された温風が、冷風と混合しにくくなる。仕切板の長さに応じて混合領域を変えることができる。すなわち、仕切板を短くすることにより混合領域が長くなり、温風と冷風とを均一に混合することができる。逆に仕切板を長くすることにより、温風と冷風とが混合しにくくなり、仕切板に対して温風通路側は温度の高い空気が流れることとなる。そして、仕切板の下流に合流路および分配ダンパが設けられていることにより、冷風通路の前記温風通路側を流れてきた空気の一部が前記温風通路側に分配される。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空気調和ユニットにおいて、前記仕切板の長さが可変であることを特徴とする。
【0015】
この発明においては、仕切板の長さを変えることにより、分配ダンパによってフェース吹出口と温風通路に導かれる空気の温度差を変えることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の空気調和ユニットにおいて、前記分配ダンパは、前記冷風通路下流端の前記フェース吹出口を開閉するフェースダンパであり、該フェースダンパは、温風通路側の端部を回転軸として冷風通路側の他端側が揺動することにより、前記フェース吹出口を閉塞しかつ前記合流路を開放する全閉状態と、前記フェース吹出口を開放しかつ前記合流路を閉塞する全開状態との間で開度を変えることができ、該フェースダンパが中間開度の場合に、該フェースダンパに対して温風通路側を流れる空気が前記温風通路側に導かれ、他側を流れる空気が前記フェース吹出口に導かれることを特徴とする。
【0017】
このように、フェースダンパによって冷風通路の前記温風通路側を流れてきた空気の一部を前記温風通路側に分配することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示したものは本実施形態に係る空気調和ユニット20である。該空気調和ユニット20は、ケーシング21を備え、該ケーシング21内にエバポレータ22が配置され、さらに、ヒータコア23がその端部をエバポレータ22の上部に近接した状態で設けられている。ヒータコア23を通過する通路が温風通路Hとされ、ヒータコア23を下方にバイパスする通路が冷風通路Cとされている。ヒータコア23の下端部にはエアミックスダンパ25が設けられている。エアミックスダンパ25の回転軸がヒータコア23の下端部に接し、エアミックスダンパ25の先端は、最も下方に回動したときにケーシング21の内壁に接することで前記冷風通路Cを閉塞可能とされている。また、最も上方に回動したときには、補助壁26と接することで、ヒータコア23の一側面、すなわち温風通路Hを閉塞可能とされている。
【0019】
ヒータコア23の下流側には、温風通路Hと冷風通路Cの合流・非合流を切り替える切替ダンパ30が設けられている。切替ダンパ30は、回転軸31を中心として両端部が一体に回動する構成とされ、前記温風通路Hと冷風通路Cとを合流させない位置(図で2点鎖線)にある場合には、該切替ダンパ30の冷風通路側端部30Cと前記ヒータコア23の冷風通路側端部23Cとが接することで、ヒータコア23下流側において前記温風通路Hと冷風通路Cとが仕切られる。切替ダンパ30の他側端部30Hは、補助壁32と接している。この状態で、温風通路Hはヒータコア23の略上方に延び、その下流端部にデフロスト吹出口35およびフット吹出口36が設けられている。冷風通路Cは、図のように温風通路Hに隣接する位置においてヒータコア23の背部を上方に延び、その下流端部にフェース吹出口37が設けられている。デフロスト吹出口35およびフェース吹出口37はケーシング21の略上部、フット吹出口36はケーシング21の前面に設けられている。また、デフロスト吹出口35およびフット吹出口36には、デフロスト兼用フットダンパ38が、フェース吹出口37にはフェースダンパ39が設けられている。フェースダンパ39は、全開の時に補助板32と接するようになっている。切替ダンパ30が温風通路と冷風通路とを合流させる位置(図の実線)にある場合には、切替ダンパ30の冷風通路側端部30Cは冷風通路C中に位置するとともに切替ダンパ30の他側端部30Hとヒータコア23の他側端部23Hとが接する。切替ダンパ30の冷風通路側端部30C近傍では流路幅を狭めたミックス領域34となっている。
【0020】
次に、本例の車両用空気調和装置のフェースモードにおける動作を図2により説明する。フェースモードは、フェース吹出口37から、所望の温度に温調された空気を吹き出すようにしたモードである。このフェースモードにおいては、フェースダンパ39を全開状態とし、切替ダンパ30を温風通路Hと冷風通路Cとを合流させる位置にする。そして、エアミックスダンパ25を所定の開度状態とすることにより、所望の温度の空気がフェース吹出口37から吹き出すようにする。エアミックスダンパ25によってヒータコア23を通過した温風は、切替ダンパ30によってミックス領域34に導かれる。ヒータコア23を通過しない冷風は、冷風通路Cを通り、ミックス領域34にて温風と混合される。その後フェース吹出口37から吐出される。このとき、切替ダンパ30の端部30Cが冷風通路Cにまで延びていることにより、通路を狭くさせ冷風と温風とを混合しやすくさせている。さらに、切替ダンパ30は温風が下降するようにガイドするため、合流してからフェース吹出口37までの距離lが長くなる。この距離lは従来の空気調和ユニットでのミックス領域10からフットダンパ17までの距離l0(図8参照)と比較して長くなっている。このため、より長い混合時間をとることができ、均一に混合することができる。
【0021】
なお、フェースダンパ39を閉、デフロスト兼用フットダンパ38をフット側を開とすることで、フットモードとすることができる。
【0022】
最大冷房のフェースモードにする場合、図3に示すように切替ダンパ30を温風通路Hと冷風通路Cとを合流させない位置にする。これにより、冷風通路Cとヒータコア23周囲の空間とが完全に分離されるため、冷風通路Cの空調空気がヒータコア23によって再熱されることが防止され、冷房効率を向上させることができる。また、切替ダンパ30の端部30Cは図2の状態と比較して冷風通路Cから後退するため、通路が広くなり、冷風の圧力損失、騒音を防ぐことができる。
【0023】
次に、最大性能デフロストモードにおける動作を図4により説明する。デフロストモードにおいては、デフロスト兼用フットダンパ38をデフロスト側を開とし、エアミックスダンパ25を100%暖房側とする。また、切替ダンパ30は温風通路Hと冷風通路Cとを合流させない位置にする。フェースダンパ39は全開とすることで補助板32と接し、フェース吹出口37に温風通路Hの温風が供給されない状態となる。このモードでは、エバポレータ22を通過した空気は、全量がヒータコア23を通過して加熱される。そして、切替ダンパ30によりガイドされてデフロスト吹出口35より吹き出される。このように、ヒータコア23の略上方にデフロスト吹出口35が位置し、切替ダンパ30によってガイドされることにより、圧力損失が低減されて従来より多量の風量を得ることができる。なお、デフロスト兼用フットダンパ38を切り替えることで、フット吹出口36に風を送る最大暖房のフットモードとすることができる。
【0024】
さらに、図5に示すように、上記最大暖房のフットモード時および最大性能デフロストモード時において、エアミックスダンパ25をわずかに冷房側を開とすることにより、若干の冷風が冷風通路Cに流入し、フェース吹出口37から吹き出すことができる。これにより乗員の顔にはわずかに冷風が吹き付けられることになり、顔の火照りが防止され、快適な環境を得ることができる。
【0025】
以上のように、本例の空気調和ユニットにおいては以下の効果を得ることができる。
(1)ミックス領域34と各吹出口との距離が従来より長いため、冷風と温風との混合距離を長くとることができ、冷温風の混合が良くなり、吹き出し温度のバラツキが無くなる。
(2)温風、冷風の最大風量が必要な場合、切替ダンパ30を温風通路Hと冷風通路Cとを合流させない位置とすることにより、冷温風を滑らかな動線にて吹出口に導くことができる。このため、圧力損失を低減することができ、効率の向上が実現する。
(3)また、最大冷房時には、図3のように冷風はヒータコアからの再熱を防止することができる。
(4)最大フットモード、デフロストモード時に、図5に示すようにフェース吹出口にわずかに冷風を供給することができるため、顔火照りが無くなり快適な環境を得ることができる。
【0026】
なお、空気調和ユニット全体の配置方向は上記実施形態に限定されるものではなく、いかなる向きであってもよい。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6に示したものは本第2実施形態の空気調和ユニットである。なお、既に示した上記実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、説明を省略する。切替ダンパ30より下流の冷風通路Cには、冷風通路C内を温風通路H側と他側とに仕切る仕切板40が設けられている。この仕切板40は適当な構成により長さが可変となっている。さらに、仕切板40より下流において冷風通路Cと温風通路Hとを合流させる合流路41が設けられている。また、フェースダンパ39が、冷風通路Cの温風通路H側を流れてきた空気の一部を温風通路H側に分配することができる分配ダンパとして用いられている。フェースダンパ39は、温風通路H側の端部を回転軸として冷風通路C側の他端側が揺動することにより、フェース吹出口37を閉塞しかつ合流路41を開放する全閉状態と、フェース吹出口37を開放しかつ合流路41を閉塞する全開状態との間で開度を変えることができる。そして、フェースダンパ39が中間開度の時に、フェースダンパ39に対して温風通路H側を流れる空気が温風通路H側に導かれ、他側を流れる空気がフェース吹出口37に導かれるようになっている。
【0028】
このように構成された空気調和ユニットにおいては、フェース・フットモード時(図6の状態)において、各ダンパを以下の状態とする。切替ダンパ30は温風通路と冷風通路とを合流させる位置で、フェースダンパ39は中間開度とする。またデフロスト兼用フットダンパ38をフット側を開とする。このような状態とすることにより、ヒータコア23を通過した温風は、冷風通路Cに合流する際に、図の矢印のように切替ダンパ30の冷風通路側端部30Cを回り込むように流れ、温風の外側を冷風が流れる。そして、仕切板40が設けられていることにより、仕切板40の温風通路H側を温風が、外側を冷風が流れ、互いに混合が防止される。その後仕切板40とフェースダンパ39との間の混合領域42において温風と冷風の混合が進む。そして温風(混合により温度が低下している)はフェースダンパ39の一側に導かれて下流のフット吹出口36に送られる。冷風はフェースダンパ39の他側に導かれてフェース吹出口37に送られる。
【0029】
図7に、仕切板40の長さと空調温度との関係を示した。仕切板40が短く混合領域42が長い場合には、混合領域42において温風と冷風とが混合しやすい。したがって、図7(a)の様にフット吹出口36から吹き出される空調空気温度とフェース吹出口39から吹き出される空調空気温度とはほぼ等しく、温度幅は小さい。仕切板40が長く混合領域が短い場合には、混合領域42においては温風と冷風はあまり混合しない。したがって、図7(b)のようにエアミックスダンパ25の開度に対してフット吹出口36から吹き出される空調空気温度は上がりやすく、温度幅が大きい。
【0030】
このように、仕切板40を設けることによって、フェース・フットモード時において、フット吹出口36からはフェース吹出口39から吹き出される空調空気より高い温度の空調空気を吹き出すことができる。さらに、仕切板40の長さを変えることにより、フット吹出口36から吹き出される空調空気の温度を変えることができる。なお、上記の例では仕切板40の長さは可変としたが、空調装置の仕様によっては適当な長さで固定され可変とされていなくてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては以下の効果を得ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、エアミックスダンパだけではなく切替ダンパが設けられていることにより、冷風と温風とを合流させる必要がない場合に各々圧力損失の少ない流路をとることができる。したがって、最大冷暖房時に風量を落とすことなく、効率のよい運転を行うことができる。また、冷房時に冷風通路と温風通路とを分離させることができるため、冷風の再熱が防止されて効率を向上させることができる。さらに、切替ダンパが温風通路と冷風通路とを合流させない非合流位置にある場合には、切替ダンパが仕切り壁となって冷風がヒータコアによって再熱されることが防止される。切替ダンパが温風通路と冷風通路とを合流させる位置にある場合には、切替ダンパの冷風通路側端部は前記冷風通路中に位置することにより、流路を狭め、冷風と温風とを混合しやすくし、温調性能を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、エアミックスダンパによって温風通路と冷風通路とを閉塞可能であるとともに、フットモードおよびデフロストモード時において冷風通路をわずかに開とすることで、冷風通路にはヒータコアを通過しなかった冷風を供給することができる。したがって、乗員の顔の火照りを抑えることができ、快適な環境を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、切替ダンパで冷風通路と温風通路とを仕切れば、冷風通路を通る冷風はフェース吹出口に滑らかな動線にて直接到達し、温風通路を通る温風はデフロスト吹出口およびフット吹出口に滑らかな動線にて直接到達する。したがって圧力損失を抑えることができる。
請求項4に記載の発明によれば、フット吹出口からはフェース吹出口から吹き出される空調空気より高い温度の空調空気を吹き出すことができる。
請求項5に記載の発明によれば、仕切板の長さを変えることにより、分配ダンパによってフェース吹出口と温風通路に導かれる空気の温度幅を変えることができる。
請求項6に記載の発明によれば、フェースダンパによって冷風通路の前記温風通路側を流れてきた空気の一部を前記温風通路側に分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態として示した空気調和ユニットの側断面図である。
【図2】 同空気調和ユニットにおいてフェースモードとした場合の各ダンパ位置と空気の流れを示した側断面図である。
【図3】 同空気調和ユニットにおいて最大冷房のフェースモードとした場合の各ダンパ位置と空気の流れを示した側断面図である。
【図4】 同空気調和ユニットにおいてデフロストモードとした場合の各ダンパ位置と空気の流れを示した側断面図である。
【図5】 同空気調和ユニットにおいて、デフロストモードとした場合の各ダンパ位置と空気の流れを示した側断面図であり、フェース吹出口から若干の冷風を吹き出す場合である。
【図6】 本発明の第2実施形態として示した空気調和ユニットの側断面図である。
【図7】 仕切板の長さと温度幅との関係を示した図である。
【図8】 従来の空気調和ユニットの側断面図である。
【符号の説明】
22 エバポレータ
23 ヒータコア
25 エアミックスダンパ
30 切替ダンパ
35 デフロスト吹出口
36 フット吹出口
37 フェース吹出口
40 仕切板
41 合流路
C 冷風通路
H 温風通路
Claims (6)
- エバポレータと、ヒータコアとを備え、該エバポレータとヒータコアとの間に位置してエバポレータを通過した空気をヒータコアに通す温風通路と通さない冷風通路とに分配するエアミックスダンパと、前記ヒータコアの下流に位置し、前記温風通路と冷風通路の合流・非合流を切り替える切替ダンパとを備え、
前記切替ダンパは、回転軸を中心として両端部が回動する構成とされ、前記温風通路と冷風通路とを合流させない非合流位置にある場合には、該切替ダンパの冷風通路側端部と前記ヒータコアの冷風通路側端部とが接し、該切替ダンパによって前記ヒータコア下流側において前記温風通路と冷風通路とが仕切られ、
前記温風通路と冷風通路とを合流させる位置にある場合には、該切替ダンパの冷風通路側端部は前記冷風通路中に位置するとともに該切替ダンパの他側端部と前記ヒータコアの他側端部とが接することを特徴とする空気調和ユニット。 - 請求項1に記載の空気調和ユニットにおいて、前記エアミックスダンパは、前記ヒータコアの一側面を閉塞することによりエバポレータを通過した空気の全量を前記冷風通路に送り、前記冷風通路を閉塞することにより全量を前記温風通路に送り、さらに、わずかに前記冷風通路を開とすることにより、前記エバポレータを通過した空気の大部分を前記温風通路に送るとともに前記冷風通路に冷風を少量送ることが可能に構成されていることを特徴とする空気調和ユニット。
- 請求項1または2に記載の空気調和ユニットにおいて、ケーシングを備え、該ケーシング内に前記エバポレータが配置され、前記ヒータコアが該ヒータコアの端部を前記エバポレータの上部に近接した状態で設けられ、該ヒータコアの下方が前記冷風通路とされ、該ヒータコアの下端部に接して前記エアミックスダンパの回転軸が位置し、該エアミックスダンパの先端は前記ケーシング内壁に接することで前記冷風通路を閉塞可能とされ、前記温風通路は前記ヒータコアの略上方に延び、下流端にはデフロスト吹出口およびフット吹出口が設けられ、前記冷風通路は、前記温風通路に隣接して上方に延びるとともに下流端にはフェース吹出口が設けられていることを特徴とする空気調和ユニット。
- 請求項1から3のいずれかに記載の空気調和ユニットにおいて、前記温風通路と前記冷風通路が、前記切替ダンパの下流で隣り合って位置し、前記切替ダンパより下流の前記冷風通路には、該冷風通路内を前記温風通路側と他側とに仕切る仕切板が設けられ、さらに、該仕切板より下流において前記冷風通路と温風通路とを合流させる合流路と、前記冷風通路の前記温風通路側を流れてきた空気の一部を前記温風通路側に分配することができる分配ダンパとが設けられていることを特徴とする空気調和ユニット。
- 請求項4に記載の空気調和ユニットにおいて、前記仕切板の長さが可変であることを特徴とする空気調和ユニット。
- 請求項4または5に記載の空気調和ユニットにおいて、前記分配ダンパは、前記冷風通路下流端の前記フェース吹出口を開閉するフェースダンパであり、該フェースダンパは、温風通路側の端部を回転軸として冷風通路側の他端側が揺動することにより、前記フェース吹出口を閉塞しかつ前記合流路を開放する全閉状態と、前記フェース吹出口を開放しかつ前記合流路を閉塞する全開状態との間で開度を変えることができ、該フェースダンパが中間開度の場合に、該フェースダンパに対して温風通路側を流れる空気が前記温風通路側に導かれ、他側を流れる空気が前記フェース吹出口に導かれることを特徴とする空気調和ユニット。
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