JP4263250B2 - 絞り弁用の複数ベーン式流量安定装置 - Google Patents
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Description
本出願は、1995年11月15日に出願された米国特許出願第08/558,174号の一部継続出願である。
技術分野
本発明は弁に関し、さらに詳細には、その内部に流量安定部材を備えた絞り弁に関する。
発明の背景
絞り弁は、広い範囲のプロセス制御システムにおいてプロセス流体のいくらかのパラメータを制御するために用いられる。圧力、水位、pHまたは他の所望のパラメータを制御するために絞り弁を用いるプロセス制御システムにおいては、絞り弁は究極的には流量を制御していることになる。
典型的に、絞り弁は、オリフィスを通して出口側流路に連通した入口側流路と、通過する流体の流量を制御するためにオリフィスに配置された閉止部材とを有している。この閉止部材は、オリフィスに配設されたシートリングに着座する面を有する弁体を含んでいる。作動の間、制御システムは、上記オリフィスを通る(したがって絞り弁を通る)流体の所望の流量を得るために、上記弁体をシートリングの上記面に接近または離間するように動かす。
絞り弁の流量は、一般的に定義づければ、与えられた圧力状態および弁体の位置に対応する定常の値になると考えられる。その結果、システムの設計者は制御システムを設計するときには伝統的に絞り弁の流量を一定値として取り扱う。しかしながら、実際には絞り弁の流量は完全に一定ではなく使用中に変動している。絞り弁の流量の変化は、流量の瞬間的変化や定常的変動として現れ、結果的に、たとえば双安定(bi-stable)の流量となる。弁の流量変化は乱流に関係するものと想像されるが、正確なところは不明である。
しかしながら、乱流は弁におけるほとんどの状態において生じていることは一般的に知られている。乱流は、流体の圧力や流速などが無秩序に変動する、流体流れのイレギュラーな状態である。乱流は、たとえば流体の物理的に大きい動きから物理的に小さい動きまで、また、たとえば迅速且つでたらめな変化から緩慢且つでたらめな変化までを含むような、物理空間およびタイムスケールにわたる変化として現れる。
さらに、弁の作動中は、弁中の流体が弁体とオリフィスとによって生じる流れの抵抗を迅速に通過するようにしなければならない。弁中における流体の乱流および/または高速流は、定常状態にはない弁中の流れの形(フローパターン)になることが推測される。これら非定常なフローパターンは流量の変動を生じるであろう。
異なる流量および流体圧力における大きなまたは小さな変動を生じるであろう流量変動は、絞り弁の内部で、広い範囲の周期で弁を通過する流体の流れに影響を及ぼすことになる。絞り弁内部のある種の流れの乱れは、制御されるプロセスの固有振動数よりかなり高い周波数で、または、典型的なプロセス制御機器が応答し得る周波数レンジよりかなり高い周波数のレンジで生じる。これら高周波数の流れの乱れは騒音として現れ、プロセスに固有に備わっている機械的なフローキャパシタンスによって効果的に除去する(filter out)ことができる。その結果、これら高周波数の乱れは制御システムの作動に重大な影響を及ぼすことはない。
さらに、絞り弁内部におけるある種の攪乱流はプロセスやプロセス制御機器の固有振動数よりも遙かに低い周波数であることがある。プロセス制御システムは、閉ループ運転におけるこれらの低周波数攪乱流を相殺することができる。なぜなら、制御システムはこれら低周波数攪乱流によって生じた流体流れの緩慢な変化を認識することができ、それに応じて絞り弁を調整することができるからである。
しかしながら、プロセスおよびプロセス制御機器と一体となった固有振動数のオーダーの周波数の攪乱流、すなわち、中間周波数の攪乱流はプロセス制御システムに重大な問題を発生させる。なぜなら、プロセス制御機器は、プロセス制御パラメータを変化させることにより、攪乱流が発生したり消滅したりするのとほぼ同じ割合でこれら攪乱流を相殺するものだからである。したがって、プロセス制御機器はこれら中間周波数の攪乱流に時間的に追随することが困難であり、制御機能は不十分であるといえる。
現在に至るまで、なにが中間周波数の攪乱流を発生させ、また、どのようにしてプロセス中のこれら攪乱流を消滅させ得るのかが判らなかった。さらに、絞り弁などの弁の内部に発生する中間周波数の攪乱流を低減するために幅広く適用しうる方法は知られていない。
発明の概要
弁の上流や弁の入口側流路における準定常状態渦のような攪乱流(乱流)の発生によって生じる弁の流量特性の乱れが生じること、また、これらの渦の発生や消滅が弁の流量特性の明らかな変化に対応していること、が知られている。また、弁に対して可能な限り安定した流量特性を与えるためには、弁の上流や弁の入口側流路における渦の断続的な発生や消滅のような攪乱流を防止することが重要であることも確認されている。
本発明は弁の設計に関するものであり、さらに詳細には、絞り弁などに用いられるシートリングの設計、弁体の設計、流路の設計などに関するものであり、弁の上流または入口側流路における流体の渦の断続的発生の防止により、攪乱流や他の物理現象によって生じる中間周波数の攪乱流(intermediate frequency fluid flow disturbance)を防止するものである。
本発明の一の態様によれば、弁は出口側流路を通して流体出口に連通した入口側流路を備えている。入口側流路と出口側流路との間にはオリフィスが配設されており、弁を通過する流体の流量を変化させるために上記オリフィスに対応して弁体が移動可能に配設されている。また、入口側流路には、入口側流路における攪乱流の断続的な発生を低減するための部材が配設されている。
この攪乱流低減部材は、たとえば、オリフィス部に配設されたシートリングから延設されて入口側流路内に位置するベーンから構成してもよい。このベーンは入口側流路を通る流体の流れ方向に対して平行、直角、または傾斜していてもよい。また、攪乱流低減部材は、たとえば交差形状、Y字形状または他の形状にされた複数枚のベーンを備えていてもよい。さらに、攪乱流低減部材は、シートリングに代えて、入口側流路の壁や弁体に接続されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
本発明の利点は添付図面を参照しつつなされる以下の説明によって明らかとなる。
図1は公知の絞り弁の一例を示す断面図である。
図2はシートリングを有する本発明の絞り弁の第一実施例を示す断面図である。
図3は図2のシートリングの平面図である。
図4は図2のシートリングの側面図である。
図5は図2〜4のシートリングの斜視図である。
図6は図2〜5のシートリングの一部切欠き側面図である。
図7は図2の絞り弁の底面を示すワイヤフレーム図である。
図8は流体流れ方向に垂直な方向に配置された図3〜6のシートリングを有する絞り弁を示すワイヤフレーム図である。
図9は流体流れ方向に対して傾斜した方向に配置された図3〜6のシートリングを有する絞り弁を示すワイヤフレーム図である。
図10は本発明のシートリングの第二実施例を示す斜視図である。
図11は図10のシートリングを他の方向から見た斜視図である。
図12は本発明のシートリングの第三実施例を示す斜視図である。
図13は本発明のシートリングの第四実施例を示す斜視図である。
図14は本発明の第五実施例にかかるシートリングを有する絞り弁を示す断面図である。
図15は本発明の絞り弁の第二実施例を示す断面図である。
図16は図15中の弁体の斜視図である。
図17は本発明の絞り弁の第三実施例を示す断面図である。
図18は本発明の絞り弁の第四実施例を示す断面図である。
図19は本発明の絞り弁の第五実施例を示すワイヤフレーム図である。
図20は本発明の他の実施例にかかる、Y字状ベーン構造を有するシートリングを示す斜視図である。
図21は図20のシートリングの平面図である。
発明の詳細な説明
図1に示すように、従来の絞り弁9は流体入口12と、流体出口14と、上記流体入口12からオリフィス15に至る入口側流路16と、オリフィス15から流体出口14に至る出口側流路18とを含んでいる。バルブプラグ(以下、弁体という)20は弁棒22を介してアクチエータ(図示しない)に連結され、さらに弁体20は、オリフィス15部に配設されたシートリング26の面25から構成される弁座面に当接する外周面24を有している。このシートリング26は弁体20を受け入れるための中央開口を有する環状部材から構成されている。しかしながら、シートリング26のいかなる部分も入口側流路16内に進入していない。
この絞り弁9の作動中、図示しないアクチエータは弁棒22と弁体20とをシートリング26に向けてまた逆方向に移動させることによって絞り弁9を閉弁、開弁する。シートリング26の弁座面25に対する弁体の上記外周面24の位置が、弁体20とシートリング26との間における流体流量、すなわち、絞り弁9を通過する流体の流量を決定する。
図2には本発明にかかる絞り弁30が示されている。この絞り弁30はとくに液体用として用いられるものであるが、気体に用いてもかまわない。そして、上記絞り弁9にも似ており、同一部品には同一符号を付している。しかしながら、この絞り弁30のシートリング32は、その入口側流路16内に、準定常状態渦のような乱流が入口側流路16内に発生するのを防止するための部材を有している。
図2〜6に示すように、シートリング32は、絞り弁30内に形成された棚状部42に当接する環状部材40を含んでいる。この環状部材40は弁体20を受け入れる開口すなわち孔44と、弁体20が閉位置にあるときに弁体外周面24が当接すべき面45とを含んでいる。このシートリング32は、環状部材40に接続するための二つの脚部52を有する羽根部(以下、ベーンという)と、二つの脚部52間であって環状部材40の上記開口44に近接した直下に形成された接続部54とを含んでいる。
図2に示すように、上記接続部54は、シートリング32が絞り弁30内に取り付けられたときに、入口側流路16内における弁体20の下面に近接したところに位置する。このシートリング32のベーン50は、入口側流路16に位置したときに、入口側流路16と出口側流路18との間を流れる流体中に渦が発生することを防止し、また、一旦発生した渦を破壊する。具体的には、入口側流路16に渦が発生し始めると、すなわち、オリフィス15に直角な方向以外の方向の速度成分を持つ流れ(回転流)が入口側流路16内に発生し始めると、ベーン50はその渦の回転流れ成分または渦巻き方向流れ成分を阻止し、それによって渦を消散してしまう。この作用は、断続的(間欠的)な渦のような流れの攪乱が絞り弁30内に生じることを妨げる。
シートリング32のベーン50が、入口側流路16内の流体の流れ方向に平行に配置された状態で図2および図7に示されている。しかしながら、ベーン50は図8に示されているように入口側流路16内の流体の流れ方向に垂直な方向に配置してもよく、また、入口側流路16内の流体の流れ方向に対して傾斜して配置してもよい。たとえば、図9には、入口側流路16内の流体の流れ方向に対して45°の角度をなすようにベーン50の接続部54が配置されている。しかしながら、ベーン50を入口側流路16内の流体の流れ方向に平行に配置するのが、絞り弁30内の流れ抵抗を最小にする点で好ましい。
ここで、ベーン50は環状部材40の開口44の中心を横切るように配設され、且つ、V字状の上面を有した単一の直線的な部材として図示されている。しかし、ベーン50は所望によって他の形状に形成してもよい。たとえば、湾曲した部材としてもよく、環状部材40から平行にまたは非平行に延びる複数枚のベーンとしてもよい。また、環状部材40の開口44の所望の部位を横切るように、一枚または複数枚のベーンをそれぞれ環状部材40の任意の二点間に形成してもよい。
図10、11には、絞り弁30に用いられる他の実施例にかかるシートリング60が示されている。このシートリング60は環状部材40に接続された相互に直交する二枚のベーン62、64を有している。これらベーン62、64は相互に90°の角度をなして交差する交差状部材を構成するものとして図10、11に示されているが、これに代えて他の角度をなした交差部材、または、ベーンが平行に形成された部材としてもよい。
図20、21に示すシートリング65は、シートリングベース67の中心から周部に向かって放射状に延びる三枚のベーン66を含んだY字状の構造を有している。上記シートリングベース67は、弁体20(図2)を受け入れるための弁座を構成する円状のオリフィス、すなわち開口をその内部に有している。図20、21に示すように、各ベーン66はシートリングベース67に連続した脚部68を有しており、ベーン66同士は相互に約120°開いている(オフセットしている)。しかしながら、所望により、ベーン66同士の開き角度を120°以外の角度、たとえば、三つの角度を相互に違えてもよい。さらに、四枚、五枚、または他の枚数のベーン66をシートリングベース67の中心(または中心以外の点)から外方へ延びるようにしてもよく、これらベーン同士の開き角度を等角度または非等角度にしてもよい。また、一枚以上のベーンをシートリングベース67の円状オリフィスをその中心を通らないように形成してもよい。たとえば、ベーン66をシートリングベース67の周に対する弦となるように、すなわち、シートリングベース67のオリフィスを部分的に横切るように形成してもよい。所望により、図20、21のY字状ベーンを絞り弁30の弁体20(図2)に形成してもよい。
図20、21のY字状ベーン構造はとくに以下の利点を有していると考えられる。すなわち、シートリング65がいわば旋盤の三つ爪チャック(標準的な加工用治具)に保持されているような構造となり、保持荷重が各ベーン66のシートリングベース67への接続点に加わるような構造となる。それにより、シートリング65の加工中に、シートリング65の同心状の面の位置的な捻れが減少する。さらに、図20、21のY字状ベーン構造は、シートリング65を通過する流体によってベーンに加えられる荷重に対して向上した剛性を有することになる。それにより、このベーンは、たとえば図3〜6に示す単一ベーン構造のベーンよりも薄く形成することができる。したがって、ある厚さの単一ベーン構造が疲労破壊に対して敏感である場合でも、図20、21のY字状ベーン構造は同一厚さであってもかかる破壊に対して敏感ではなくなる。さらに、図20、21の三枚ベーン構造は、鋳造によって製造する際に形成されるその複数の湯道や堰によって製造が容易となる。
また、とくに安定流とする必要がない粘性流体に適用するためには、シートリングベース67を変形させることなくベーン66をシートリングベース67から取り除く必要がある。その場合でも、単一ベーン構造に較べてY字状ベーンの鋳造や機械加工のあいだにシートリングベース67に生じる応力は小さく、したがって、たとえば図3〜6に示す単一ベーン構造と比較して、Y字状ベーンの除去後のシートリングベース67の変形は小さいと考えられる。
図12には、絞り弁30に適用しうる他の実施例にかかるシートリング70が示されている。このシートリング70はその環状部材40に連続する円筒体72を含んでいる。円筒体72の壁は環状部材40から任意の長さ延設することができる。しかしながらこの円筒体72の長さは、絞り弁30に要求される最大流量を確保するために、入口側流路16の最も近い面と円筒体72との間に十分な間隙ができるように注意深く選定する必要がある。これは、入口側流路16内に渦が発生することを防止するために円筒体72をシートリング70から下方に十分延ばす必要があり、逆に、絞り弁30の流量キャパシティを減少させるほどには入口側流路16の面に近づけてはいけない。
図13には、図12の円筒体に複数個の長円形の孔74が形成された円筒体が示されている。この孔74は、所望の形状にすることができ、相互に所望の間隔をおいて形成することができる。さらにこの孔74は、この円筒体72が入口側流路16内において渦を破壊し、また渦の発生を防止しつつ、この円筒体72を通過する流体の適正な流量を補償する助けとなる。図12、13に示される実施例は、その環状部材と同心状に配設された円筒体を有しており、それにより、絞り弁30内に装着するときに特別な方向に限定されることがないという利点が生じる。
図12、13の円筒体72は、環状部材40と同心状の円形断面を有する管状を呈しているが、他の形状にしてもよい。たとえば、四角形や六角形などの多角形、または、環状部材40と同心状ではない構造などである。この円筒体には、環状部材40の周における任意の位置または複数の位置から真っ直ぐ下方に伸びる複数のベーンを備えてもよい。
絞り弁30に装着される他の実施形態にかかるシートリング90が図14に示されている。このシートリング90は、入口側流路16内に位置し、環状部材40に接続されたバスケット90を有している。このバスケット92は環状部材40に取り付けられた複数本のワイヤと、このワイヤに取り付けられた粗いメッシュのスクリーン94とを有している。ワイヤと粗いメッシュのスクリーン94とは金属や合成樹脂など、所望の材料から形成することができる。
重要なのは、上記スクリーン94は通過流体から粒子や他の物質を取り除くフィルタとして作用するものではないことである。スクリーン94は、絞り弁を通過する液体や気体中の粒子や他の物質を通過させるに十分な大きい孔を有する粗いスクリーンである。これらの孔は粗い通路を構成する。もし、このバスケット90がとくに液体に適用する際にフィルタとして作用するなら、スクリーン94に粒子が蓄積し、流体の通過を妨げ、結果的にスクリーン94上の粒子に流体の過大な力が加わってバスケットが機能しなくなる。当然のことながら、とくに流体が高速で流れるバルブに使用される場合、シートリング90による構造的騒音を取り除く工夫が必要である。
以上に説明した絞り弁およびシートリングの実施例はベーン、バスケット、円筒体など、シートリングに接続されて流体流れを安定させるための構造物を含んでいた。これらの構造物は、弁体や入口側流路の壁のような絞り弁の他の部材に接続することもできる。ただし、これらの部材が入口側流路と出口側流路との間のオリフィスに近接した入口側流路に位置している場合である。
図15には、弁体96に取り付けられた、または弁体96に形成された交差形状のベーン部材95を有する絞り弁30が示されている。図16には上記弁体96とベーン95とが詳細に示されている。このベーン95は、所望のサイズ、所望の形状、Y字状ベーンなどの各種ベーンを含んだ所望の構造のベーン、円筒体、バスケットなど、シートリングに関連して述べた構造のものと同様に、入口側流路16内に位置するように弁体96の底部から延設されている。その結果、ベーン95はオリフィス15の近くに位置し、オリフィス15近傍の流れの攪乱を減少または除去するように作用し、それにより、絞り弁30を通過する流体の流量を安定させる。ある種の形態においては、ベーン95のような構造物を弁体96に取り付けることは弁棒22にトルクを加えるような流体流れを引き起こすかもしれない。その場合、弁棒22に回転防止具を備えればよい。
図17には、入口側流路16の壁に取り付けられた、または当該壁に形成されたベーン97を有する絞り弁30が示されている。このベーン97は絞り弁30の弁箱に一体に鋳造するか、または弁箱の鋳造後に付設するかされる。そしてこのベーン97は、入口側流路16内の流体の流れ方向に沿って形成され、入口側流路16と出口側流路18との間のオリフィス15をほぼ半分まで横切るように延びており、それから入口側流路16の底部に向かって傾斜している。図18には入口側流路16の壁に接続した他の形態のベーン98が示されている。このベーン98は、オリフィス15のほぼ全長にわたって延び、閉位置にある弁体20の輪郭にほぼ対応する形状にされている。図17および図18の実施例は単なる例であり、これに代えて、たとえばシートリングおよび弁体の実施例に関連して述べられまた図示されたベーン、円筒体、バスケットなどを含み、ここで示唆される構造を有する他のいかなる部材も、入口側流路の壁や弁の他の部材に取り付けられることは理解されるべきである。
ベーン、円筒体、他の部材などからなる流れの攪乱を低減する部材が、シートリング、弁体、入口側流路、または弁の他の部品に接続されているか否かに拘わらず、これら流れ攪乱低減部材は入口側流路16と出口側流路18との間のオリフィス15に近接して配置されねばならない。もし、この流れ攪乱低減部材がそれとオリフィスとの間における渦の発生を防止できなければ、弁を通過する流体の流量変動を防止することができないであろう。
シートリングや弁体に接続され、入口側流路内に延びるいかなる流れ攪乱低減部材も、本発明の目的のために入口側流路と出口側流路との間のオリフィスに近接して配置される。
さらに、この流れ攪乱低減部材が入口側流路の壁の一個所または二個所以上に形成され、または取り付けられ、また、上記オリフィスの相当の部分を横切るか、相当の範囲を取り囲むように延設されており、入口側流路内に相当の長さで延設されていれば、この流れ攪乱低減部材は入口側流路と出口側流路との間のオリフィスに近接して配置されると考えられる。
上記流れ攪乱低減部材が入口側流路内に深く延びるほど、また、入口側流路と出口側流路との間のオリフィスの周囲または横切る長さが長いほど、入口側流路内の流れの渦や他の攪乱をより一層減少させる傾向がある。この発明の目的のために、流れ攪乱低減部材が、上記オリフィスから入口側流路の底部に向かって延びる仮想円筒(オリフィスと同心状であり且つ弁の呼び径に対応する直径を有するような仮想円筒)内に最小限度に延設しようとするなら、上記攪乱低減部材は上記オリフィスの入口側流路内の重要な部分に延設し、また、オリフィスの重要部分を横切るか取り囲むようにする。また、上記攪乱低減部材は、上記仮想円筒における攪乱低減部材が進入している部位の面と、仮想円筒におけるオリフィスに最も近い中心軸上の点との距離の、少なくとも50パーセントの寸法だけ仮想円筒を横切るかまたは仮想円筒内に進入しているのが好ましい。しかし、上記距離の20パーセントだけ仮想円筒を横切るかまたは仮想円筒内に進入するようにしてもよい。それでもなお、ある程度の効果は奏される。もちろん、上記パーセント間のいかなるパーセントを採用することも可能である。また、上記仮想円筒の直径は弁の呼び径の約1.5倍とするのが好ましい。しかし、他の倍数、たとえば1.0〜1.5倍のうちのいずれの倍数を採用してもよい。
上記攪乱低減部材の形状やその接続構造に拘わらず、この攪乱低減部材を弁を通過する流体(気体、液体に拘わらず)のフィルタとして作用するような構造や形状としてはならない。換言すれば、攪乱低減部材は弁を通過する流体内に存在するかもしれない比較的小さい粒子や破片などを蓄積するようなものであってはならない。結果として、流体の連続的な通過を許し、流体内に存在するかもしれない比較的小さい粒子や破片の通過を許し、流体に対してフィルタ作用を奏しない、十分な大きさの開口を持った粗い通路を、絞り弁30の入口側流路16の流体入口12とオリフィス15との間に配置しなければならない。このような粗い通路は、たとえば、図2における環状部材40とベーン50との間として、図11における環状部材40とベーン62、64との間として、図12、13における円筒体72の端部開口または孔74として、図14における粗いメッシュのスクリーン94の孔として、および、図15、17、18におけるシートリング26内のオリフィス15とベーン95、97、98との間として、それぞれ形成されている。もし攪乱低減部材がフィルタとして作用すれば、この攪乱低減部材は絞り弁を通過する流体の流れを制限するため、定期的に清掃するか取り替えるかしなければならないであろう。しかしながら、流体内に小さい粒子や破片が存在する場合に、いかなる所望のおよび公知の手法によって上記攪乱低減部材の上流に流体用フィルタ機構を備えることを禁止するものではない。
本発明の他の態様によれば、断続的(間欠的)な渦の発生を防止するために絞り弁の入口側流路内に定常的な渦(回転流)を実際に発生させることが望まれる。図19は、その入口側流路102内に定常的な渦を発生させるように構成された絞り弁100の底部を示すワイヤフレーム図である。絞り弁100の入口側流路102は、オリフィス110および出口側流路112を通して、流体入口104と流体出口108とを連通している。よく知られているように、図示しない弁体がこの絞り弁100を開閉するために公知のシートリング114に対して備えられている。
この絞り弁100の入口側流路102はそこに流体の渦を生じさせるための空洞120を有している。この空洞120は、入口側流路102におけるオリフィス110に近接した部位に形成されており、また、シートリング114の中心とは同心状にされていない。言うなれば偏心している。さらに、この空洞120の壁は図示のごとく流体入口104中心に対して対称とはなっていない。この形状は、空洞に流れ込んだ流体が定常的な渦となるように選択されたものである。加えて、空洞120内で生じた渦が定常的であるため、この渦が断続的な渦や流れの攪乱の発生を妨げ、それによって絞り弁100に対し定常な流量を提供することになる。
上記空洞120は絞り弁100内に滑らか且つほぼ円形に形成されたのものとして描かれている。換目すればほぼ円形断面を有するものとして描かれている。しかしながら、この空洞は、入口側流路102内に定常渦を発生させるものである限り、いかなる他の形状を選択してもよい。
前述した、弁の入口側流路内に配設された攪乱低減部材や非対称形の空洞の目的は、入口側流路内における渦の発生を防止したり定常渦を発生させることによって弁通過流量を安定させることである。入口側流路内に配設されたいかなる所望の形状を有するいかなる部材も、それが入口側流路内における流体流れの渦流成分がシートリングや弁体の領域に至ることを防止するように作用する限り、本発明の範囲内のものであると考えられる。さらに、入口側流路内に配設されたいかなる所望の形状を有する空洞も、および/または、弁の入口側流路内に流体の定常渦を発生させるいかなる他の部材も、本発明の範囲内のものであると考えられる。以上に示された渦防止部材および渦発生部材はとくに流れ上がり(flow up)タイプ、すなわち流体が弁体の下から弁体の上側に流れるタイプのグローブ弁、およびアングル弁に使用されるものとして説明したが、これらの部材は他の所望の弁にも適用することができる。たとえば、流れ下がり(flow down)タイプの弁、すなわち流体が弁およびオリフィスを上から下側に通過するタイプの弁、および/または、自動または手動で制御される弁などである。
以上に示された入口側流路および出口側流路はともに、それらの間に形成されたオリフィスよりもかなり長い寸法にされているが、これら流路は他のいかなる所望の長さにもでき、および/または、流体入口は上記攪乱低減部材の上流におけるいかなる位置に規定することもできる。
以上の詳細事項は理解を明確にするためにのみ説明したものであり、かかる事項からの不必要でない限定となる変更は当業者にとって自明である。
Claims (8)
- 入口側流路と、
出口側流路と、
上記入口側流路と出口側流路との間に配設された、弁を通過する流体の量を調節するためのオリフィスと、
上記オリフィス部に配設された、上記入口側流路内に位置する三枚のベーンを有する構造部材であって、ベースを構成するリングを含んでおり、前記三枚のベーンのそれぞれがオリフィスを跨いで延びる第一部分を有しており、該三枚のベーンのそれぞれが、ベーン自身は前記ベースから離間した状態で、脚部を介して前記ベースに連結されている構造部材とを備えており、
上記ベーンが、上記入口側流路内における中間周波数の攪乱流の断続的発生を低減するものである弁。 - 上記三枚のベーンが、オリフィスを通過する流体の流れ方向に見てY字状に連結されてなる請求項1記載の弁。
- 上記三枚のベーンが、上記オリフィスの中心から放射状にオリフィス周囲に向かって延設されており、オリフィスの中心軸に垂直な面内において相互に約120°の角度をなして形成されてなる請求項1記載の弁。
- 上記構造部材がシートリングを有してなる請求項1記載の弁。
- 上記構造部材に受け入れられる弁体を有してなる請求項1記載の弁。
- 流体入口と流体出口との間に配設された可動弁体を備えた弁に使用されるシートリングであって、
その中に上記弁体を受け入れるための開口を有する環状部材と、
複数の脚部を介して上記環状部材に連結されたベーン部材であって、上記開口にわたるように前記流体入口に向かって延びる三枚のベーンを有し、前記脚部が上記開口に近接し、上記三枚のベーンが上記開口から離間しているベーン部材とを備えており、
上記三枚のベーンが、上記入口側流路内における中間周波数の攪乱流の断続的発生を低減するものであるシートリング。 - 上記三枚のベーンが、上記開口を通過する流体の流れ方向に見てY字状に連結されてなる請求項6記載のシートリング。
- 上記三枚のベーンが、上記開口の中心から放射状に開口周囲に向かって延設されており、上記開口の中心軸に垂直な面内において相互に約120°の角度をなして形成されてなる請求項6記載の弁。
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