JP4262407B2 - 衛星間の接続方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ信号とビーコン光とを運搬する光波を用いて、受信者と、受信者から少し離れて位置された送信者との間の接続を確立する方法と装置に関する。ここで、受信者には、その光波を捕捉し、受信される光波から捕捉センサ信号を生成する捕捉受信機が提供される。
【0002】
【従来の技術】
「広角カメラ」は、いわゆるビーコンレーザと共に、2つの衛星間の光通信接続を確立するアラインメントデータを決めるために、時々使用される。より複雑で、故に、光の干渉が起こりやすい探索アルゴリズムをさけるために、そのカメラは、大抵、明確でない円錐形全体を網羅できるように設計される。その不明確な円錐形は、両衛星の慣性系における傾きが不確実であること、および、自身の衛星と相手の衛星の位置が不確実であることにより形成される。不明確な円錐形のために、カメラは約±0.5oの角度領域を網羅しなければならない。しかし、同時に、使用される通信ビームの自然ビーム発散は、ほんの数マイクロラジアンから成る。この状況により、視角の割合、または、製造可能な角度分解能の、非常に広いダイナミックレンジが要求される。さらに、また、広角カメラの光学素子と通信ビームの光探索素子との間のアラインメント誤差はそれらの結果をいっそう悪くする。送信ビームは、必然的な自然メカニズム効果により、区画された立体角領域内で無作為に動く。それ故、通信ビームは、限界帯域幅のみならず、広角カメラの達成可能な限界解像度に基づき、ほんのまれにしかもう一方の衛星を照射しないという可能性が高い。従って、そのもう一方の衛星は、受信される通信ビームと整合する機会が与えられず、そのために、高い角度分解能でより高周波の「追尾」を開始する。通常の場合、通信モードにおけるもう一方の衛星の追尾は、受信される通信光を用いて行われる。高い空間分解能および/または電気的分解能をもつセンサが、空間的な偏光信号(追尾信号)を得るために使用される。
【0003】
さらに、欧州特許公報第831604号から、コヒーレントヘテロダイン受信中に2つの光源の光学アラインメントを確認する装置が既知である。それは、局所レーザと2つの検知器を有している。それらの検知器の各々は、2つの同じ半検知器から成り、それぞれ、隣接するそれらの間のフォトダイオード電極面における細長い一片状の障害物または間隔によって分離される。ここで、その2つの検知器の間隔は、互いに直行して配列される。この配列は、方向選択単一モード受信機として使用される。この場合に、局所レーザのビーム経路と、この装置の望遠鏡とにオブスキュレーション(obscuration)が提供される。これは、光学ヘテロダイン方式受信機の空間ビーム調節のために誤差信号を生成することを可能にする一方、組織的な損失を防ぎ、同時に、優れた信号−雑音比率、および、送信されるデータ信号との最小限の干渉を実現する。
【0004】
最後に、欧州特許公報第844473号から、光学台が既知である。その台構造は、種々の光学ユニットの受信部品を接続するために提供されるアームの熱膨張が起こった場合に、これらの受信部品が、互いに、および、台構造に対して、明確な角度位置を想定する軸を横切って傾くことなく移動できるように設計される。そのような光学台は、最初に述べられた装置に接続できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そのような「追尾センサ」方法は、同時通信や空間追尾誤差の測定を可能にする。しかし、各々の装置は、その調節経費が比較的高いために、特に製造工程において有効でないことが明らかとなっている。
【0006】
それ故、本発明の目的は、結果としてそのようなシステムの調節がより簡単になるように、捕捉段階における衛星間の接続を確立する方法および装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る方法は、データ信号とビーコン光とを運搬する光波(1)を用いて、受信者と、受信者から少し離れて位置された送信者との間の接続を確立する方法である。ここで、受信者には、その光波を捕捉し、受信される光波から捕捉センサ信号を生成する捕捉受信機が提供される。
受信望遠鏡(2)とビームスプリッタ(R4)に伝送される光波(1)は、走査デバイス(5)と捕捉センサ(171)に提供される。
その上、走査デバイス(5)を利用して、有効な信号と、捕捉をより簡単にするために使用される追加信号(Sw,Sm、Sm’)とが得られる。
【0008】
例えば、走査デバイス(5)からの光が、第1の光波ファイバ(7)を介して、ダイプレクサ(51)まで伝送され、
このダイプレクサ(51)から分離される光が、第2の光波ファイバ(54)を介して、捕捉をより簡単にするために追加信号を提供する検知器(53)まで伝送される。
【0009】
例えば、コヒーレントヘテロダイン受信に関して、第1の光波ファイバ(7)とダイプレクサ(51)を経由して到達する光が、光導波管カプラ(6)に伝送され、この光と、第3の光波ファイバ(13)を通して伝送される局所レーザ(12)からの光とが合成され、その合成光が2つに分離される。それらの各々が、少なくとも1つの誤差信号(Sn)を生成する各々のさらなる光波ファイバ(8または9)を経由してさらなる検知器(10または11)に到達する。
【0010】
例えば、前記の方法を実行する装置は、受信望遠鏡(2)と、ビームスプリッタ(R4)を備えた微調整機構(3)とを含み、走査デバイス(5)と、捕捉センサ(171)とに光学手段(4、FA)を経由して光を提供するように設計される。
走査デバイス(5)を用いて、有効な信号(Sa、Sb、Sn)の他に、捕捉段階において、捕捉センサ信号(Sc)とは無関係に、または、それと共に、追加の信号(Sw、Sm’)も得ることができる。
【0011】
例えば、前記の走査デバイス(5)は、第1の光波ファイバ(7)を経由してダイプレクサ(51)に接続され、その下流に、第2の光波ファイバ(54)を経由して検知器(53)が接続され、捕捉をより簡単にする追加信号(Sm)を提供する。
【0012】
例えば、前記の装置は、その入力が第4の光波ファイバ(52)を経由してダイプレクサ(51)に接続され、コヒーレントヘテロダイン受信に関して、ダイプレクサ(51)から到達する光と、第3の光波ファイバ(13)を介して伝送される局所レーザ(12)からの光とを合成するように設計され、その合成光を2つに分離する光導波管カプラ(6)を含む。その分離された光の各々は、少なくとも1つの誤差信号(Sn)を生成するために、さらなる光波ファイバ(8または9)を経由して、さらなる検知器(10または11)に到達する。
【0013】
例えば、第1の検知器(53)は、システム制御(58)に追加信号(Sm)を配信する弁別器(56)に接続される。
【0014】
例えば、さらなる弁別器(57)は、2つのさらなる検知器(10または11)の下流に接続され、それが、システム制御(58)に対する少なくとも1つの誤差信号(Sn)を配信する。
【0015】
例えば、走査デバイス(5)は、制御装置(14)に接続され、その制御装置が、弁別器(56、57)の少なくとも1つに命令信号(St)を提供する。
【0016】
例えば、受信望遠鏡(2)、および/または、微調整機構(3)に含まれるFPAユニットは、CPA制御(174)またはFPA制御(175)によってシステム制御(58)に接続される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、図面を参照して、以下の実施例に関してより詳細に説明される。図1によると、欧州特許公報第831604号により既知の装置と同様に、Rx波または情報光波1は、受信望遠鏡2、微調整機構3、および、レンズ4から成る受信ユニットによって受信される。また、波1は、ビーコン光を含み、そのビーコン光は、きっちりと束になって到着するのではなく、比較的広角で到着する。
【0018】
上に述べられた装置とは異なり、本発明によると、受信波1は、ファイバ旋回装置5を介して光導波管カプラ6に供給される。偏光保存単一モードファイバ7の終端は、光受信ユニットを介して受信されるビームを光導波管カプラ6に導くためのファイバ旋回装置5に接続できる。さらに、単一モードファイバ8、9を経由して、それぞれ1つの検知器10または11に接続できる。しかし、本発明によると、光受信ユニットを経由して受信されたビームは、好ましくは、データ光のクロマティックダイプレクサ51と単一モードファイバ52を越えて、光導波管カプラ6に導かれる。そのようなファイバ旋回装置5は、本質的に、ファイバを備えた偏向ユニットであり、例えばピエゾ機構を利用することによって駆動され旋回する。好ましくは偏光保存ファイバである、さらなるファイバ13は、局所レーザ12に接続される。それは、局所レーザ12によって生成されたビームを光導波管カプラ6に導き、その後、単一モードファイバ8または9を経由して2つの検知器10または11に導く。検知器10、11は、既知の装置と同様に分離される必要がある。偏向ユニット5は、制御装置14から、バスまたはラインを経由して制御信号Spを受信できる。光導波管カプラ6は、好ましくは、50%−50%カプラである。偏光保存ファイバカプラを利用することによって、単純で、同時に、長期間に渡って本質的に安定なファイバカプラを達成できる。
【0019】
偏向ユニットとして、機械的ファイバ旋回装置の代わりに、電気光学偏向器を使用することもできる。ここで、電圧は、電気光学結晶のアパーチャを経由して線形電界勾配を形成する。約1mmのアパ−チャは、そのような偏向器を用いても容易く達成される。
【0020】
検知器10、11は、各々の増幅器15または16を経由して、有効な信号として利用される信号SaまたはSbを配信する。また、これらの信号Sa、Sbの低周波部分は、差動増幅器17の差動入力に供給される。さらに、本発明の装置は、センサ53を含む。このセンサ53は、2つの弁別器56、57、高次のシステム制御58、および、CPA(コースポインティングアセンブリ)ユニット174と共に、好ましくは、単一モードファイバであるファイバ54を経由して、ダイプレクサ51の出力に接続される。捕捉センサ171よりも高速なセンサまたは検知器53は、例えば、フォトダイオードであってもよい。弁別器56、57は、同期式モジュレータや増幅器であってもよく、その入力側は、各々、センサ53または増幅器17の出力に接続される。また、ビームスプリッタとして動作する反射面R4は、微調整機構3に提供される。その微調整機構3は、ビームを、好ましくは適所に固定された焦点装置FAを経由して偏向させる。その後、ビームは、他の形式であっても、とにかく、この型の装置に提供される捕捉センサAS171に到達する。センサ171は、例えば6×8mm2の表面を有する大面積のマトリクスセンサであり、それが走査されるので低速である。システム制御58は、その入力側に、センサ171または弁別器56、57からの出力信号Sc、Sm、および、Snが提供される。
【0021】
システム制御58は、各々、1つのCPAユニット174、電子制御素子FPA(fine pointing assembly:細かな位置決めアセンブリ)175、または、PAA(point−ahead assembly:ポイントアヘッドアセンブリ)ユニットに、ライン191、192、193を経由して信号を配信する種々の出力を有する。加えて、偏向部とも呼ばれる制御ユニット14と双方向に接続される。このために、受信望遠鏡2は、CPAユニット174の出力信号Sgによって制御され、微調整機構3は、ユニット175からの制御信号Sfによって制御され、レンズ4、偏向ユニット5、および、弁別器56、57は、信号So、Sp、または、Stによって制御される(図1)。信号Sp、Stは、リサージュ図形の形成に使用されるような直角位相信号(sinωt、cosωt)である。
【0022】
図2は、この制御運動21によって導かれる光スポット22が、偏向ユニット5の光波ファイバの先端と対立した表面にどのように投影されるかを示す。光スポット22は、制御によって、少なくとも光波ファイバの中心付近まで導ける。
【0023】
図3は、もしファイバ軸による走査が、その光学機械式システムの光軸と同軸で実行されないとすると、検知器10と11における平均輝度信号31が、どのようにオーバーレイされた変調信号32を有するかを示す。システム制御58の仕事は、この変調信号32が最小値、または、零値に到達するように、微調整機構3、ファイバ7の端および/またはレンズ4を動かすことである。
【0024】
図4に見られるように、1つの端末が、3つのチャンネル、すなわち、送信チャンネルTx、受信センサRS1とみなされるファイバ旋回装置5を有する受信チャンネルRx(図1、4)、捕捉センサAS171を有する捕捉チャンネルAx(図1、4)に提供できる。
【0025】
図4によると、チャンネルTxを伝送する場合に、ビーム方向から見て、コリメータ装置KTX、第1の反射面R1、第2の反射面R2、第3の反射面R3、第4の反射面R4、第5の反射面R5、および、四分の一波長板QWP1が配列される。第1の反射面R1は、ポイントアヘッドアセンブリPAAの成分である。第2の反射面R2は、偏光ビームスプリッターPBSの成分であり、送信ビームの偏光を有するビームを反射し、受信ビームの偏光を有するビームをできるだけ損失なく透過できるように具体化される。第4の反射面R4は、例えば、2色性のビームスプリッタDBSによって形成される。第5の反射面R5は、細かな位置決めアセンブリFPA(図1、図4)によって形成される。四分の一波長板QWP1は、これまで線形に偏光された送信チャンネルの光を、円偏光の光に変換して、空間を通して相手の端末に送信する。
【0026】
受信チャンネルRx1は、これもビーム方向から見ると、四分の一波長板QWP1、第5の反射面R5、2色性のビームスプリッタDBS、第3の反射面R3、反射ビームスプリッタPBS、焦点素子FR1、および、ファイバ旋回装置5、または、受信センサRS1を含む。四分の一波長板QWP1は、空間から到着する相手の端末からの円偏光を線形偏光に変換する。
【0027】
ビームスプリッタPBSの目的は、送信ビームと受信ビームの区別である。それは、本実施の形態において、または、送信ビームと受信ビームが偏光の違いによって異なる場合に必要とされる。例えば、送信ビームと受信ビームが波長の違いによって異なるような他の実施の形態では、PBSの代わりにDBSが使用される。
【0028】
送信チャンネルは、データを相手の端末に送信するために使用され、受信チャンネルは、データを相手の端末から受信するために使用される。それらの場合には、各々のチャネルが走査モードにあり、両端末はすでに互いにおおまかに整列している。粗い位置決め(coarse pointing)アセンブリ174(図1ではCPA)は、おおまかな調整のために使用される。それは、一方では、相手の端末に配置される、ビーコン光を放出する光ビーコンから成り、他方では、そのビーコン光を受信する端末における捕捉チャンネルから成る。その捕捉チャンネルは、2色性スプリッタDBSにおいて受信チャンネルRxを分岐し、捕捉センサASと共に、合焦素子FA(図4)を有する。捕捉センサASの検知範囲AAは、受信センサの検知範囲RAよりも相当に大きい。
【0029】
本発明による装置は、以下のように動作する。光波1は、データ光とも呼ばれるデータを伝える通信ビームを含む。データ光は、まとまって束になっており、「揺れ」のために相手の衛星に当たり、結果として捕捉段階となることはおそらくありえない。ビーコン光は、データ光よりもまとまりが悪く、それによって、相手の衛星を永続的に照射できる。従って、まず、受信されたビーコン光を、捕捉センサ171で追尾できる。同時に、洩れ光を旋回装置5に切り換える試みがなされてもよい。この全てが、相手の衛星による永続的な照射の間に起こるので、もし通信ビームが使用されるなら起こるであろう「瞬間の」効果が起こらない。従って、たとえ、ファイバ旋回装置がすぐに捕捉されなくても、光スポットの位置を捜索する機会がある。
【0030】
光受信ユニット2、3(図1)によって、または、部品FPA、R4、R3、PBS、および、FR1(図4)から受信される光波は、微調整ユニット3を経由して、および、レンズ4、または、制御ユニットが動的でない場合は部品PBS、FR1(図4)の補助により、ファイバ旋回装置5(図1、4)における単一モードファイバ7(図1)のおよそ中央に合焦される。制御ユニット14(図1)が動的である場合は、ファイバ端22の、単一モードファイバ7の中心付近での動き(図2)はファイバ旋回装置5によって引き起こされる。ファイバ端22は、好ましくは、光受信素子の光軸の周りに高周波円運動をする。ファイバ7の端が旋回装置により動かされても、ファイバの端、検知器10、および、検知器11を出ていく光は、やがて空間的に動かなくなる。それよりも、もし、走査の動きが、正確に光スポットと同心で起こらないなら、旋回装置5による回転運動が輝度変調(図3)を引き起こす。
【0031】
一般的に偏向ユニットであってもよい旋回装置5(図1、4)によって引き起こされるファイバ端の高周波機械的走査運動は、例えば、横変位機構、または、屈曲素子を利用することにより制御できる。小さく動く高速横変位ユニットは、例えば、CDプレーヤーのような光学機械式読み取り装置によって既知である。しかし、屈曲素子は、単に、部分に分かれた電極を有する小さなピエゾセラミックチューブから製作される。これらの小さなチューブは、単に、ある領域の適所に固定されるだけであり、故に、ピエゾ効果によって線形方向に曲げることができる。すべてのメカニズムに対して、いわゆるI−Q信号によって制御されることは共通である。その輝度信号のI−Q復調が行われた後、最終的に、光スポット22とファイバ軸の間の空間誤差が得られる。その誤差信号SmとSn(図1)は、システム制御58を経由して、偏り誤差の最小化をもたらす。
【0032】
レンズ4とファイバ端7の合焦面におけるRx光の強度分布間の相対オフセットは、その旋回運動により形成される。故に、もし、そのファイバ軸の走査が光学機械式システムの光学軸と同心で実行されないなら、検知器10、11上において、時間的に不均一な輝度信号を発生させる。従って、走査点検知器は、おおよそ等しい単一モードファイバのモードフィールドによって取り替えられる。走査範囲は、ファイバに結合される光の大幅な信号遅延を防ぐために、モードフィールド範囲の10分の1を越えるべきでない。
【0033】
クロマティックダイプレクサ51を介して導かれる光波は、ビームスプリッタによって、2つのほとんど等しい部分的ビームに分離される。それらは、局所レーザ12からの光が光導波管カプラ6を経由して光フローに結合された後、各々の検知器10と11の一方に供給される。それぞれ、2つの誤差部分信号が2つの検知器10、11によって収集される。それらは、適当なフロントエンドのトランスインピーダンス増幅器15または16を利用することによって、電圧SaまたはSbに変換される。信号SaとSbから空間誤差信号が得られる。それは、回路57の出力において信号Sn(Δx、Δy)として現れ、連続的追尾操作に使用される。補正サインを有する誤差部分信号SaとSbの追加によって、オリジナルデータまたは通信信号に相当する出力信号が他方側に結果として生じる。故に、捕捉センサASや位置決めセンサ173を除いて、そのような装置に存在する追尾センサTSは本発明によって取り替えられる。
【0034】
局所レーザ波のRx波によるオーバレイは、ガラスファイバ中でのみ起こる。故に、局所レーザとRxフィールドとの間の空間的相関度合は等しい1、すなわち、確実に縞のないオーバレイが発生する。従って、調整中の最適化、または、後の操作中の最適化に関して、縞のないことが保証されたオーバレイを想定でき、絶対的な最大増幅値まで調整が実行できる。これは、自由ビームオーバレイと比較して、とても有効であることが示された。本発明の方法と反対に、傾斜角によって生じる干渉縞は、2つの波が互いにオーバーレイする時に起こりうる。その後、最大強度だけを利用して、最適な、すなわち、縞のない調節状態をみることはもはやできない。さらに、主要な最大値と側部の最大値とのレベル間の差が比較的小さい場合には、常に、追尾レギュレータが段階をふまない、および、強度分布の側部の最大値によって調節を実行し、故に、線形調節レンジを相当に制限するという潜在的な危険がある。
【0035】
これまで知られたファイバ旋回装置の使用は、コヒーレントな光ヘテロダイン受信を必要とする。これは、主に、干渉光の効果の効果的な抑制が達成できるからである。しかし、光伝送路が確立される捕捉段階の間、捕捉センサによって網羅されるフィールドにおいて、干渉する自然光源は全くない。故に、本発明によると、たとえヘテロダイン受信は行われなくとも、ファイバ旋回装置は捕捉段階においてすでに使用できる。
【0036】
ファイバ旋回装置は、単一モード設計のために、選択的に狭いフィールドの適用範囲を有するので、とても良好な立体角解像度(サブミクロンラジアン)を達成できる。さらに、ビーコン光のビームは、通信ビームほどきちんと束ねられていないので、広角カメラを使用することによって、すぐに相手の衛星の永続的照射を引き受けることができる。
【0037】
捕捉段階の間に、高出力レーザダイオードから来るビーコンレーザからの光は、例えば、多重モードファイバに結合される。故に、放射光の偏光状態は不定である。従って、ビーコン光と通信光の波長のクロマティックスプリッティングR4中に、本質的に、「高い」損失が受信側で発生する(図4)。使用されるダイプレクサR4は、通信光の伝送損が小さくなるように最適化される。故に、ビーコン光に関して、ビーコン波長の通信チャネルへの「漏話」が常に発生する。すなわち、受信端において、通信光受信機の方にビーコン光が現れる。また、本発明により、ファイバ旋回装置の原理に従って使用されるファイバフロントエンドのため、追尾信号の生成に捕捉チャネルから洩れた光を使用する機会がある。
【0038】
捕捉センサ171と粗い位置決めアセンブリ174は、それ自体知られている方法で動作する。従って、まず始めに、信号Scの助けで、受信ビーコン光を追尾する機会がある。ここで、替わりに、部品58、174、2、FPA、R4、171を経由する制御ループが、センサ171のために、例えば50Hzの台で帯域幅をゆっくり制御する追尾に使用される。
【0039】
弁別器57の出力における信号Snは、基本的に、システム制御58による永続的追尾操作の形で使用される。この場合に、部品57、58、175、3、51、および、5によって定められる内側制御ループが動作する。さらに、部品58、174、および、2によって定められる外側制御ループも動作する。これらの制御ループはとても速い。なぜなら、ある程度ガラスファイバでポイントセンサを構成するセンサ10、11、53は、センサ171よりもずっと速く動作できるからである。これと反対に、弁別器56の出力における信号Smは、ほんの一時的に、すなわち、ほんの最初だけ、例えば、3分の最大期間内で使用できるのみである。システム制御58は、信号Sc、Sm、および、Snが使用できるかどうかを判断する手段を有している。ビーコン光が、比較的広角で受信されるので、信号Scの受信は確かである。故に、この信号Scは、信号Smが使用できるかどうか、すなわち、ファイバ旋回装置が追尾信号を生成するのに十分な洩れ光を受信しているかどうかがシステム制御58によって判断されるまで、最初に使用される。信頼性のために、それが信号Smと共に動作する時から、捕捉段階でセンサ171を連続して実行できる。その後、もし、システム制御58によって、信号Snが有効である、または、通信チャネルが正しく動作していることが判断されれば、それは、より正確な連続的追尾操作のために、この信号Snを引き継ぐ。イネーブル信号S1を利用することによって、この時までに信号Scを絶つことと同じく、イネーブル信号S6を利用することによって、弁別器56から信号Smを絶つことができる。これらのイネーブル信号S1とS6は、弁別器57のさらなるイネーブル信号S7と同じく、同時にCPAやFPAを制御する信号Sc、Sm、および、Snを必要とするシステム制御58で生成される。
【0040】
また、本発明による原理は、インコヒーレントなシステムにも適用する。固有のシステム構造、または、直接検知システムは、時々、相手の衛星からの入力光が、いわゆるアバランシェダイオードに合焦されるように製作される。本来、そのようなシステムは、単一モード受信機ではない、すなわち、受信機は、回折理論によって述べられる限られた回折システムの立体角領域よりもおおきい立体各領域から光を受け取る。そこで、干渉するバックグラウンド放射線を最小にするために、非常に狭い帯域幅を有する光フィルタを使用することが必要である。今までは、そのような、長期間にわたる空間伝達用途のフィルタを製造できなかった。
【0041】
分離追尾レーザは、大抵、相手の衛星を追尾するために使用される。これらのレーザは、優れた波長安定性を提供することで特徴づけられる。また、非常に狭い帯域幅を有する光フィルタ(しばしば「原子線フィルタ」と呼ばれる。)が、受信局の受信ダイオードの前に位置される。そのようなシステムを製作する構造経費は、単一モード受信ユニットを利用することによって大幅に削減できる。結局、これは、複雑さ、所用電力、質量に関する節約につながる。単一モードフロントエンドを用いることによって、受信機の空間受信範囲を回折限界に戻せる。これは、受信機に到達するバックグラウンド放射線の相当の削減につながる。結果として、使用される光バンドパスフィルタに対する要求が、明らかに減少できる。
【0042】
さらに、単一モード受信機を利用することによって、受信チャネルの散乱光抑制(送信チャンネルに対するクロスオーバ)を十分な程度にまで削減できる。かなりの経費をかけて、バンドパスフィルタを用いてのみ製作できた、このタイプの受信機に関して、少なくとも50dBの抑制レンジが達成できる。もし、通信チャンネルにおいて、約5%の受信出力をなしで済ませることができるなら、付加的な追尾システムが完全に省略できる。空間探索処理と共に単一モード受信モジュールを使用すること、例えば、ファイバ旋回原理は、これを実現可能にする。図1において、この状態は、信号Swに対するファイバ旋回装置5のさらなる出力と、それを制御するためにレンズ4が位置されているユニットのさらなる出力との間の可能な付加的接続によって示される。これは、本発明によって、FPA3を直接制御するために、ファイバ旋回装置5のこの追加の出力信号Swを使用できることを意味する。
【0043】
比較的長くてもよい受信ファイバ7を使用することによって、光素子から比較的十分離れたところで、受信機のフロントエンドRFE、すなわち、検知器10、11、および、増幅器15、16を収容できる。その光波ファイバは、このために、柔軟な保護ケーブル内に収容できる、または、柔軟な被覆を有することができる。従って、RFEで生成される熱は、最適なことに、光素子から分離される。そして、もはや、RFEによって導かれる光学的サブシステムにおける熱的な調節不良を懸念する必要はない。それ故、光学部品2、3、4、および5は、電子データ素子、および、遠隔電子ユニットに位置されたPFEから比較的遠く離れて調節できる。ファイバの一部が可動であるために、たとえ、低周波追尾誤差信号(BW〜10KHz)を前部に送り返す目的で、電子ユニットから光学ヘッドまで同軸ケーブルを延長することが必要であっても、長いマイクロ波線を使用することによってもたらされるすべての問題(ダンピング、EMC(電磁気的適合性))を取り除ける。
【0044】
さらに、本発明による装置は、以下の点で効果がある。それは、優れた長期間安定性を有すること、ビームオーバレイと共に、比較的単純なアルゴリズムを利用して最適化できること、高周波データフロー(クロック速度=1000Mbps)に関して、ファイバ旋回装置と遠隔受信機フロントエンドRFE(ケーブル長>3m)との間の接続線の特に大きなダンピングが起こらないこと、任意の追加の電線駆動素子を必要としないこと、EMC干渉に関して問題がないこと、帯域幅が1GHzよりも十分大きいRFEが、広帯域システムで使用できること、および、HF電子素子からの大きな熱発生が光学素子付近で防げることである。本発明による装置は、述べられた欧州特許公報第844473号による光学ベンチの部品16、26を効果的に取り替えることができる。
【0045】
本発明の実施の形態に関して、システム制御58および/または制御14は、光波ファイバ7の可動端の、情報波1の焦点22の中心周りにおける動きが、レンズ4が静止している時に引き起こされるように設計できる。
【0046】
本発明のもう1つの実施の形態に関して、システム制御58は、光波ファイバ7の中心の周りに情報波1の合焦光スポット22を動かすために、光波ファイバが静止している時にレンズ4を動かす。
【0047】
本発明による装置は、欧州特許公報第831604号に述べられる装置と同じまたは類似の目的に使用できる。
【0048】
そのようなシステムにおいて、例えば、光半導体増幅器、エルビウムドープのファイバ増幅器、または、NdドープまたはYbドープのファイバ増幅器のような光導波増幅器が、送信機に提供できる。干渉するバックグラウンド光を抑制するために、単一モード波の光導波管6による空間的フィルタリングが提供できる。
【0049】
述べられた実施の形態は、単に、そのような装置の用途を説明する手段であり、これらから当業者によって即座に明らかになる他の実施の形態も本発明の基本概念を含む。
【0050】
【発明の効果】
本発明を利用することにより、同時通信や空間追尾誤差の測定が可能となるようなシステム形成の構造支出がかなり削減でき、最終的に、複雑さ、所用電力、および、質量についてなされる要求を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による装置の図式的なブロック図。
【図2】 光波ファイバの前部における光スポットの動きの図式的な図。
【図3】 ファイバ軸が光学機械式システムの光軸の周りに同心に回転しない場合の、検知器における時間的に不均一な輝度信号の略図。
【図4】 端末において受信ビームの予定の位置からのずれを校正する装置の略図。
【符号の説明】
1 光波
2 受信望遠鏡
3 微調整機構
4 レンズ
5 ファイバ旋回装置
6 光導波管カプラ
7、8、9、13、52、54 光波ファイバ
10、11 検知器
12 局所レーザ
14 制御装置
15、16 増幅器
17 差動増幅器
51 ダイプレクサ
53 センサ
56、57 弁別器
58 システム制御
171 捕捉センサ
174 CPA制御
175 FPA制御
Claims (10)
- 光波(1)を用いて、受信機と、受信機から離れて位置する送信機との間の接続を確立する方法であって、
前記送信機が、前記受信機へ、データ信号を搬送する第1束状光波および前記データ信号を搬送する第1束状光波を受信するためのアラインメントに使用する第2広角ビーコン光波を、同時的に送信し、前記受信機は、前記第2広角ビーコン光波から捕捉センサ信号を生成する捕捉受信機を備え、前記第2広角ビーコン光波を捕捉し、
前記光波(1)が、受信望遠鏡(2)とビームスプリッタ(R4)を介して、偏向ユニットである走査デバイス(5)と捕捉センサ(171)へ送られ、
前記走査デバイス(5)を利用して、前記データ信号を搬送する第1束状光波を受信するためのアラインメントに使用する追加信号(Sw,Sm、Sm’)と前記データ信号とを取得する、
ことを特徴とする方法。 - 走査デバイス(5)からの光が、第1の光波ファイバ(7)を介して、ダイプレクサ(51)まで伝送され、
このダイプレクサ(51)から分離される光が、第2の光波ファイバ(54)を介して、前記データ信号を搬送する第1束状光波を受信するためのアラインメントに使用する追加信号を提供する検知器(53)まで伝送される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - コヒーレントヘテロダイン受信により、第1の光波ファイバ(7)とダイプレクサ(51)を経由して到達する光が、光導波管カプラ(6)に伝送され、前記到達する光と、第3の光波ファイバ(13)を通して伝送される局所レーザ(12)からの光とが合成され、その合成光が2つに分離され、前記2つに分離された光の各々が、さらなる光波ファイバ(8または9)を経由して、少なくとも1つの誤差信号(Sn)を生成する各々のさらなる検知器(10または11)に到達することを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 受信機と、受信機から離れて位置する送信機との間の接続を確立する装置であって、
受信望遠鏡(2)と、ビームスプリッタ(R4)を備えた微調整機構(3)とを含み、データ信号を搬送する第1束状光波および前記データ信号を搬送する第1束状光波を受信するためのアラインメントに使用する第2広角ビーコン光波を、同時的に受信し、
前記ビームスプリッタ(R4)は、偏向ユニットである走査デバイス(5)と、捕捉センサ(171)とに光学手段(4、FA)を経由して光を提供するように設計され、
前記走査デバイス(5)を利用して、前記データ信号(Sa、Sb、Sn)、および、捕捉センサ信号(Sc)と独立してもしくは前記捕捉センサ信号(Sc)と共に捕捉段階において利用される追加信号(Sw、Sm’)を得る
ことを特徴とする装置。 - 前記走査デバイス(5)は、第1の光波ファイバ(7)を経由してダイプレクサ(51)に接続され、その下流に、第2の光波ファイバ(54)を経由して検知器(53)が接続され、前記検知器は、前記データ信号を搬送する第1束状光波を受信するためのアラインメントに使用する追加信号(Sm)を提供することを特徴とする請求項4に記載の装置。
- 光導波管カプラ(6)を備え、
前記光導波管カプラ(6)は、入力が第3の光波ファイバ(52)を経由してダイプレクサ(51)に接続され、
コヒーレントヘテロダイン受信により、ダイプレクサ(51)から到達する光と、第4の光波ファイバ(13)を介して伝送される局所レーザ(12)からの光とを合成し、合成光を2つに分離するように設計され、
その分離された光の各々が、少なくとも1つの誤差信号(Sn)を生成するために、さらなる光波ファイバ(8または9)を経由して、さらなる検知器(10または11)に到達することを特徴とする請求項5に記載の装置。 - 前記検知器(53)が、弁別器(56)に接続され、
前記追加信号(Sm)が、システム制御部(58)へ配信されることを特徴とする請求項5または6に記載の装置。 - さらなる弁別器(57)が、2つの前記さらなる検知器(10または11)の下流に接続され、前記さらなる弁別器(57)が、システム制御部(58)へ前記少なくとも1つの誤差信号(Sn)を配信することを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
- 前記走査デバイス(5)が制御装置(14)に接続され、
その制御装置が、前記弁別器および前記さらなる弁別器(56、57)の少なくとも1つに命令信号(St)を提供することを特徴とする請求項6または7に記載の装置。 - 受信望遠鏡(2)、および/または、微調整機構(3)に含まれる微細位置決めアセンブリ(FPA)ユニットが、粗ポインティングアセンブリ(CPA)制御部(174)または微細ポインティングアセンブリ(FPA)制御部(175)によってシステム制御部(58)に接続されることを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載の装置。
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