JP4261422B2 - 心臓装着用弾性ネット - Google Patents

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    • A61F2/2478Passive devices for improving the function of the heart muscle, i.e. devices for reshaping the external surface of the heart, e.g. bags, strips or bands
    • A61F2/2481Devices outside the heart wall, e.g. bags, strips or bands

Description

この発明は、心筋梗塞や拡張型心筋症など重症心不全患者の拡張が懸念される(予防的)もしくはすでに拡張した自己心(治療的)の表面に装着される、高分子材料よりなる弾性糸状でネット状に成形された心臓装着用弾性ネットに関する。
食生活の欧米化等に伴い虚血性心疾患患者は増加しており、拡張型心筋症も増加傾向にある。これらの心疾患は、その原因のいかんに関わらず心不全の進行とともに心室内径が拡大(=拡張)し、心室壁の一次関数的な肥厚と心筋量の3次関数的な増加を必要とする。このような代償的な心筋の肥大が不十分であると(非代償性心不全)、相対的に心筋の厚みが薄くなって心臓の筋肉(心筋)の収縮力が不足し心不全がさらに増悪する。心室が拡大すると僧帽弁の弁輪も拡大して逆流(左房方向)を併発し、前向きの心拍出量(大動脈方向)が減ってさらなる心不全に陥り、拡大が進行する(心不全の悪循環)。
このように拡張型心筋症等のような不可逆的な重症心不全には心移植が適応とされているが、わが国ではこの5年間で20例しか実施されておらず、現実的な治療法となっていない。補助人工心臓については実用化されているものの、移植の繋ぎで使用されるにとどまり、3年間を越える長期予後については、薬物治療と同等との報告がある。
また左室壁を切除して縮小する左室部分切除術の成績も良くなく、左室部分切除術の国内施行例(147例)や国際登録症例(440例)を解析すると、術前状態が良い症例ほど予後も良いことが判明しているが、軽症例に左室部分切除術を施行することには問題があり、悪化時に心移植の受け皿がない現状では適応に限界がある。一方、左室部分切除術と同様の効果がある広背筋を用いた動的左室形成術は、二期的な手術と特殊ペースメーカーを必要とし、即効的ではなく、調節も不可能であるため現在は行われていない。
上述のごとく、重症心不全に陥った心臓の肥大やそれに伴う左室壁の薄肉化について、心外より物理的な手法により、肥大・薄肉化した心筋に対して単に左室を切除するだけでなく、左室壁のラッピング、オーバーラッピング、ひだ形成などにより左室内容量を減じる方法が検討されている。このような左室部分切除術でも動的左室形成術でも、術直後は心室の拡張機能が制限されて拘束性心機能障害をきたすが、長期的には心不全から来るリモデリングを抑制して心不全の悪化を抑制する予防効果が、さらには心内径の縮小による心機能の改善(治療効果)があることもわかっている。しかし、心移植でしか救命できないような末期的症例には、左室部分切除術の成績が不良であったのと同じ理由で、危険であり禁忌である。
また、いわゆる留め金状のデバイスを用いて、強制的に心室内の容量を減じる手法が検討されているが、一部に治療効果が確認されつつあるデバイスもあるが、いずれも開胸手術後、直視下での操作が必要であり手術侵襲も非常に大きい。またいずれのデバイスも基本的には最終的な埋め込みデバイスであり、装着後に行うべき措置、すなわち冠血行再建術など心内操作を行うには非常に不向きである。
さらに静的心筋形成術の実験的検討および臨床治験に関しては、欧米で1件おこなわれているが、素材はダクロン(デュポン社、商品名)で、弾性はなく、装着する際の張力の検討は全くなされていない。またダクロンは心外膜と癒着するため、装着時以外の調節は不可能であり、装着時以降のいかなる外科的操作も極めて困難となる(=各個人における最終手術となっている)。
このような状況下、心移植や人工心臓または上述のようなデバイスとは違い、社会的にも経済的にも負荷や制約のない、全く新しい心不全の低侵襲治療法の開発が望まれていた。
特許文献1に記載された治療用具は、心筋を覆う部分が緻密な繊維(弾性を有していない)で成形加工されたジャケットであり、この素材には弾性がなく、この弾性がないジャケットで心筋を覆うことによって、拡張を防止し、心筋の容量を強制的に低下させるものである。しかし、該特許文献1に提案されたジャケットでは心筋拡張(心不全)の増悪傾向を抑制することはできるが、残存する健常心筋の張り出しなど、自己心筋の回復を促す効果は期待できない。
特表2003−532489号公報
本発明は、上記事情に鑑み、NYHA分類3度以下で心拡大があり心不全がさらに増悪する可能性のある心疾患患者の心機能の保持(=増悪予防)、さらには心機能の改善(=治療)を図ることができる、弾性特性を有する心筋装着用の治療用具、特に生理学的な弾性特性を有する心筋装着用の治療用具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採る。
すなわち、本発明は、
(1)心外膜側から心臓に装着される弾性ネットであって、全体が柔軟性を有する素材で形成され、かつ規則正しい網目状に構成されてなることを特徴とする心臓装着用弾性ネット、
(2)該ネットが柔軟性及び弾性を有する生体適合性高分子材料の糸状物により形成されていることを特徴とする上記(1)記載の心臓装着用弾性ネット、
(3)糸状物が、互いに物理的特性が異なる高分子材料よりなる2種以上の糸状物からなることを特徴とする上記(2)記載の心臓装着用弾性ネット、
(4)糸状物が、ゴム又はエラストマーによる糸状物であることを特徴とする上記(2)又は(3)記載の心臓装着用弾性ネット、
(5)糸状物が、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、及びポリウレタン系ブロック共重合体またはグラフト共重合体から選ばれる材料からなることを特徴とする請求項4記載の心臓装着用弾性ネット、
(6)糸状物を構成するエラストマーのソフトセグメント部の分子量が数平均分子量で850〜2500であることを特徴とする上記(5)記載の心臓装着用弾性ネット、
(7)糸状物が2〜30本の撚り糸をヒートセットしたものであることを特徴とする上記(2)〜(6)のいずれかに記載の心臓装着用弾性ネット、
(8)糸状物1本の伸張応力が2.0〜50.0gであることを特徴とする上記(2)〜(7)のいずれかに記載の心臓装着用弾性ネット、
(9)該ネットの網目がネットの無緊張状態において一辺の長さが0.05〜10mmの多角形であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の心臓装着用弾性ネット、
(10)一辺の長さが0.05〜10mmの多角形が正方形又は菱形であることを特徴とする上記(9)記載の心臓装着用弾性ネット、
(11)該ネットの表面が生理活性物質、抗血栓性材料及び抗菌材料から選ばれる少なくとも1種でコーティングされていることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の心臓装着用弾性ネット、
(12)心臓周囲の最大短径を有する部分にベルト状に装着されることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の心臓装着用弾性ネット、に関する。
本発明の心臓装着用弾性ネットによれば、柔軟性かつ弾性を有するネットであるから、心外膜側から心臓に装着することで、心疾患により拡張した心室壁に加わる張力(ストレス)を減弱する効果がある。また、癒着しにくい、生体適合性材料により構成したことから、不全心における心筋ストレスを、人工的に心筋の特性に類似した生理学的な張力の補助で減弱させることで、不全心のさらなる拡張を阻止(予防)でき、もしくは現在ある病的な拡張を低減(治療)する静的心筋形成術が可能となる。また、調節、着脱も容易であり、補助人工心臓や心臓移植手術など高額な費用が必要な医療技術とは異なり、非常に安価でかつ内視鏡的なアプローチによる簡便な方法で、高い心補助効果が得られる。
さらに、種々の弾性を有する糸状物で形成する好ましい態様では、治療開始初期には心筋拡張の増悪を抑制するとともに、回復期には健常心筋の張り出しによる回復効果を抑制しない。またこの弾性の程度を調整することにより、心不全の程度に応じた適切な弾性を有するネットを準備し、使用することも可能である。
さらにまた、弾性ネットを、例えば、略正方形、略菱形等の網目よりなる規則正しい網目構造にしたり、弾性ネットを構成するポリマーの物理特性(例えば、ポリマーの分子量、エラストマーおけるソフトセグメントの含有量等)やネットの網目構造(粗密の有無等))等を調節したり、或いは、弾性ネットを互いに物理的特性が異なるポリマーで形成した、少なくとも2種類以上の糸状物で構成したりすることで、心筋各部位に加わる張力に応じた心筋に類似した生理学的な弾性特性を得ることができる。
さらにまた、装着時または調節時にその時点で発生している張力(ネットによるサポート)を網目の大きさもしくは形状から非侵襲的(直視またはレントゲン透視により)に判断することができる。
さらにまた、本発明の心臓装着用弾性ネットは、心臓周囲の最大短径を有する部分(心臓表面)にベルト状に簡単に(内視鏡下で)装着することが可能であり、それ故、心室壁が受ける圧力を効果的に抑制することができ、回復がより促進される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の心臓装着用弾性ネット(以下、単に「弾性ネット」ともいう。)は、柔軟で弾性を有し、さらに充分な力学的強度と耐久性を有するものであることが望ましい。さらに生体内中で使用するため癒着しにくく、生体適合性の高い材料であることが望ましい。このような材料としては、ゴム、エラストマー等が挙げられるが、エラストマー材料がより好ましい。エラストマー材料としては、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー(例えば、ポリウレタンセグメント化ポリエーテルウレタン、セグメント化ポリエーテルウレタンウレア、ポリカーボネートポリウレタン等)、及びポリウレタン系ブロック共重合体またはグラフト共重合体(例えば、ポリウレタン−ポリジメチルシロキサンのブロック共重合体またはグラフト共重合体等)等から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、中でも、ポリウレタン系エラストマーが好ましい。
また、本発明の弾性ネットは、極度に外側から締めつけず、その一方で自己心の拡張を抑制すべく、適度の張力を有する必要がある。従って、ネットは、上記の高分子材料(ゴム、エラストマー)による糸状物で構成されるのが好ましい。かかる糸状物による弾性ネットの形状は、特に限定されないが、平板状、不織布状、編上(ニット)状等が好適であり、心臓の形状にフィットさせやすいという点で編上(ニット)状が好ましい。図1、図2はかかる編上(ニット)状の弾性ネットの具体例を示しており、編上(ニット)状の中でも、該具体例の弾性ネット100、200に示されるように、その軸線方向の一方側端部から他方側端部へと拡径した略円筒形状に編上げられた形状が特に好ましい。図1は円筒の軸線方向の一方側と他方側のそれぞれの端部開口20a、20bを形成するリング状糸状物21C、21Dに対して略平行に走る糸状物21Aと、リング状糸状物21Cと21Dの間に装架した糸状物21Bとが直交して略正方形の網目を形成した弾性ネットであり、図2は円筒の軸線方向の一方側と他方側のそれぞれの端部開口20a、20bを形成するリング状糸状物21C、21Dの間に、互いに反対方向に傾斜する糸状物21A、21Bを装架して、略菱形状の網目を形成した弾性ネットである。
本発明の弾性ネットは、少なくとも2種以上の物理的特性の異なる高分子材料で構成されていることが好ましい。例えば、糸状物による弾性ネットの場合(図1の例を参照すると)、第1方向の糸(水平方向の糸)21Aには柔軟性の高い糸を使用し、第2方向の糸(垂直方向の糸)21Bには柔軟性は低いが強度が高い糸を使用することが望ましい。こうするとで、不全に陥った心機能の早期回復が期待される。
本発明において、弾性ネットを構成する糸状物には撚り糸を用いることが好ましく、2〜30本の撚り糸をヒートセットした糸状物がより好ましい。特に好適な具体例として、伸張応力が2.0〜15.0g(好ましくは6.9g)の単糸4本を撚り糸にし、約150℃程度の熱で数分間ヒートセットした糸状物が挙げられる。このような複数の単糸を撚り糸にした糸状物により形成される弾性ネットは不全心に陥った脆弱な心筋の内側より加わる圧力を軽減させるとともに、一時的ではあるが安定した千弱心筋の補強効果が期待される。
また、本発明おいて、弾性ネットを構成する糸状物1本の伸張応力は2.0〜50.0gが好ましく、5.0〜8.0gがより好ましい。弾性ネットを構成する糸状物1本の伸張応力がかかる範囲内にあることにより、自己の心内より心室壁に加わる圧力を抑制しながら、心機能の回復が図れるようになり、好ましい。
本発明において、弾性ネットを構成する網目の形状は特に限定されないが、多角形が好ましい。多角形における一辺の長さは、無緊張状態において0.05〜10mmの範囲であることが好ましい。一辺の長さが大きすぎると、不全心の内面側からの血圧に耐えられず、脆弱心筋の拡張を防止できなくなり、回復効果が低減する。したがって、一辺の長さは2.0mm以下がより好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。逆に、一辺の長さが小さすぎると逆に不全心筋の拡張・収縮挙動を機械的に制限することになり、これもまた回復が望めない。したがって、一辺の長さは0.8mm以上がさらに好ましい。また、心筋には一定の血圧がかかっているため、該弾性ネットも概ね均一な構造及び弾性力を有する構造が望ましい。従って、網目の形状としては、多角形の中でも、正多角形が好ましく、正方形又は菱形が特に好ましい。
本発明において、弾性ネットを構成する糸状物の太さ(糸径)は大き過ぎると、成形ネットの張力が大きくなって、外側からのしめつけが大きくなりすぎ、また、小さ過ぎると、逆にしめつけが弱くなり、いずれも回復効果が得られにくくなるため、糸状物の太さ(糸径)は2.0〜50D(デニール)が好ましく、5.0〜8.0Dがより好ましい。
本発明において、弾性ネットに使用する高分子材料(エラストマー)において、ソフトセグメントの含有量は15〜40重量%が好ましく、20〜30重量%が特に好ましい。ソフトセグメント含有量が少なすぎると弾性ネットの柔軟性が低下するため、不全心の心機能の回復の遅延など問題が起こすおそれがあり、また、ソフトセグメント含有量が多すぎると、脆弱心筋の補強効果が低下するおそれがある。また、高分子材料(エラストマー)におけるソフトセグメントの分子量は数平均分子量850〜2500が好ましく、1300〜2300がより好ましい。ソフトセグメントの材料としては、ポリテトラメチレングルコール、ポリエチンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、結晶性や安全性の理由でポリテトラメチレングリコールを用いるのが好ましい。
本発明の弾性ネットは、糸状物による弾性ネットである場合、例えば、糸状物を網目状に重ね、表裏の少なくとも一方から、糸状物の交差部分に150℃程度の熱を所定時間加えて溶融させることにより(ヒートセットすることにより)、ネットを形成し、該ネットを心臓の大きさに合わせてベルト状に裁断することで作製される。
また、本発明においては、上記の高分子材料(糸状物)を使用して弾性ネットを作製(成型加工)した後、さらにその表面を生理活性物質(例えば、ヘパリン、低分子ヘパリン、エポキシ化ヘパリン、コンドロイチン硫酸等)、抗血栓性材料(例えば、ウロキナーゼ、ワーファリン、トロンボモジュリン等)、及び抗菌材料から選ばれる一種又は二種以上の材料でコーティングしても良い。抗菌材料としては、例えば、アンピシリン、塩酸タランピシリン、ヘタシリンカルシウム、フェノキシメチルペニシリンカリウム、ベンジルペニシリンベンザチン等のペニシリン系抗生剤;、塩酸クリンダマイシン、塩酸リンコマイシン等のリンコマイシン系抗生剤;硫酸カナマイシン、硫酸フラジオマイシン等のアミノグリコキシド系抗生剤;セファクロル、セファドロキシル、セフロキシムアキセチル等のセフェム系抗生剤;ホスホマイシンカルシウム等のホスホマイシン製剤、ミデカマイシン、リン酸オレアンドマイシン、キタサマイシン等のマクロライド系抗生剤;クロラムフェニコル等のクロラムフェニコル系抗生剤;塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、塩酸ミノサイクリン等のテトラサイクリン系抗生剤;エノキサシン、オフロキサシン、シノキサシン等のキノロン系抗菌剤;チアンフェニコール等のクロラムフェニコール系抗菌剤;銀及びその塩等の抗菌剤;硝酸イソコナゾール、硝酸エコナゾール等の抗真菌剤等が挙げられる。
これら生理活性物質、抗血栓性材料及び抗菌材料等は、それぞれ、1種の材料(物質)であっても2種以上の材料(物質)を併用してもよい。
本発明の弾性ネットは、少なくとも心筋部分が覆われるようにその大きさ、形状が設定されるが、心房部や心尖部(心臓の末端部)(図5参照)が覆われると、これらの動きが該弾性ネットによって規制され、自己心の拍動に不整が発生するおそれがある。よって、心筋部分のみを覆うベルト状であるのが好ましい。図3は図1の弾性ネット10を心筋部分に装着した状態、図4は図2の弾性ネット20を心筋部分に装着した状態を示している。本発明の弾性ネットにおける「ベルト状」とは、図3、図4に示されるように、心臓(心筋)に装着したときに、実質的に一定幅の帯状をなして着止され得る形態を有していることを意味する。特に、ベルトの大きさ(ベルトの周長、ベルト幅)を心臓周囲の最大短径を有する部分を包囲する大きさとし、心臓周囲の最大短径を有する部分に装着するのが好ましい。ここで、「心臓周囲の最大短径を有する部分」とは、心室部分(図5参照)での最大外周長となる部分(図6は心室部の横断面を示し、通常、心室部の横断面は略楕円又は長円形状であり、長径と短径が規定される。)を意味している。
本発明の心臓装着用弾性ネットは、柔軟性及び弾性を有する生体適合性高分子材料で形成されており、心外膜側から心臓に装着することで、人工的に心筋の特性に類似した生理学的な張力による補助により、心疾患により拡張した心室壁に加わる張力(ストレス)を減弱させることができ、不全心のさらなる憎悪を抑制し(予防)、ないし病的な拡張を低減(治療)する静的心筋形成術が可能となり、自己心機能を回復させることができる。
また、心筋に対して着脱、調節可能であり、弾性ネットを開胸せず、低侵襲法により、不全心の心筋に装着することも可能であり、従前の治療用具に比較して、簡便かつ適用上の安全性が高く、従って、従前の治療法に比べて患者の肉体的な負担も軽減され、医療機関に対して安価で供給することが可能となる。
本発明の弾性ネットは、規則正しい網目構造からなるネットであるのが好ましく、柔軟性及び弾性を有する生体適合性高分子材料の物理特性や網目構造(粗密の有無)を調節することによって、拡張の程度に応じて心筋に類似した生理学的な弾性特性を有するものとすることができる。
本明細書中の物性(特性)は以下の方法で測定した値である。
1.エラストマーのソフトセグメントの分子量(数平均分子量)
GPCにて測定(ポリスチレン換算)。KR−406HQセミミクロカラム(Shodex社製)を用いて分子量分布の測定を行った。
2.エラストマーのソフトセグメントの含有量
エラストマー調製時の原料中のソフトセグメントの仕込み重量比より算出した。
例えば、セグメント化ポリウレタンにおいては、PTMG(ポリテロラメチレングリコール)よりなるソフトセグメント1部(重量部)に対し、MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を2部(重量部)仕込み、鎖伸長剤としてPDA(1,2−プロピレンジアミン)、を1.1部(重量部)仕込む場合、ソフトセグメントの含有量は約25重量%である。
3.糸状物の伸長応力
JIS L 1095(単糸引張強伸度測定試験)を実施して測定した。
4.糸状物の太さ
糸状物を所定長さ(数メートル)採取し、その重さを測定した。この糸を9000mを1gとした時の単位をデニールとし、それに換算して算出した。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(1)自己心拍出量の測定法
自己心拍出量は基本的にはスワンガンツ・カテーテルという心拍出量測定用カテーテルを使用して測定した。具体的には当該カテーテルを下肢より下大静脈より挿入して右心房に固定し、そのカテーテルの末端を心拍出量測定用のコンピュータに接続した。その後冷凍した5%ブドウ糖液をカテーテルを介して注入し、その温度変化より計測して心拍出量を算出した。
(2)心駆出率の測定法
自己心機能の拍出能力を示す心駆出率の測定は心拍出量の計測値より算出するが、左室の拡張期末期容量;EDV(ml)と収縮期末期容量;ESV(ml)をそれぞれ計測し、下記の計算式より求めた。
心駆出率(%)=(EDV−ESV)/EDV×100
(3)心圧容積の測定法
心圧容積解析装置により、1心周期中の心室内圧Pと心室容積Vを同時計測してプロットした。該プロットによって心圧−容積の反時計周りの閉ループが形成され、このループで囲まれた面積Sが心臓の仕事量、ループの幅(Vd−Vs)が1回の心拍出量を示す。また、ループの形状から心不全の詳細(病態)が分かる。
実施例1及び比較例1
1.心筋形成用弾性ネットの作製
数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール(PTMG;三菱化学社製PTMG-2000)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び1.2−プロピレンジアミンより製造されたセグメント化ポリエーテルウレタンウレア弾性糸(ソフトセグメント含有量:約25重量%)を用い、以下の作業によって弾性ネットを作製した。
まず、セグメント化ポリエーテルウレタンウレア弾性糸(糸径:20D)の4本を一束にするため、撚りを加えてヒートセット(150℃×1分)し、撚り糸(糸径:80D)を得た。次に、この撚り糸を用いて、1mm四方の格子目の網目が形成されるように糸を縦、横に網目状に重ね合わせ、該重ね合わせ部分を中心に150℃で1分間ヒートセットし、溶融接着した。そして、このネットを実験用動物の心臓サイズに適合させるために裁断し、70mm×70mmの弾性糸によるネットを作製した。
2.動物実験による急性効果
ラットの心筋に上記弾性ネットを装着する実験を行った。まず通常の方法でラットに麻酔を導入して正中切開にて開胸し、心膜解放後心臓を露出した。冠状動脈の一部プロリン糸にて結紮して急性心筋梗塞(AMI)を作製し、上記の弾性ネットを装着した後、自己心拍出量の変化(%SV;%)並びに心駆出率(EF;%)を測定し、ネットの有無で比較検討した。
急性心筋梗塞(AMI)作成後、急性期(冠状動脈;LAD結紮10分後、30分後)の%SVに関しては両者に有意な差は認められなかったが、心駆出率(EF)に関してはネットを装着することによる効果が見られ、心駆出率の低下が抑制された。
結果を表1に示した。
Figure 0004261422
3.動物実験による慢性効果
上記2の方法と同様にラットで急性心筋梗塞モデルを作製し、弾性ネットの装着の有無による慢性効果を、心圧容積解析装置を用いて行った。具体的にはラットの冠状動脈(LAD)を結紮後、42日間(6週間)生存させ、その後の最大収縮期並びに最大拡張期における心圧容積変化(μL)を測定した。冠状動脈;LADを結紮後6週間後に測定した結果では、当該弾性ネットを使用したラット群ではネットを使用しなかったラット群に比較して有意に、最大収縮期容量並びに最大拡張期容量ともに、容量の低下が認められた。これらの結果より、慢性期において弾性ネットを使用することにより、不全心の進行を抑制するとともに、自己心筋へのストレスがより正常な状態を維持していることが確認された。結果を表2に示した。
Figure 0004261422
表中、EDV:End Diastolic Volume;最大心拡張期容量
ESV:End Systolic Volume;最大心収縮期容量
本発明の心臓装着用弾性ネットは、柔軟性、生体適合性に優れ、かつ癒着低減効果に優れるため、心外膜側から心臓に装着することで、心疾患により拡張した心室壁に加わる張力(ストレス)を減弱することが可能であり、その結果、不全心のさらなる拡張の阻止(予防)、心機能の改善を図ることができる。さらに該弾性ネットは自己心に対して非侵襲的に適用することが可能であるため、臨床的な適用が容易であることより、潜在的に存在する心不全予備群を掘り起こすことも可能となり、産業界に寄与することが大である。
本発明の心臓装着用弾性ネットの第1具体例を模式的に示した斜視図である。 本発明の心臓装着用弾性ネットの第2具体例を模式的に示した斜視図である。 図1の弾性ネットを心臓(心筋)への装着した状態を模式的に示した斜視図である。 図2の弾性ネットを心臓(心筋)への装着した状態を模式的に示した斜視図である。 心臓の模式縦断面図である。 心臓の心室部の横断面を簡略化して示した図である。
符号の説明
1 上行大動脈
2 肺動脈
3 大動脈弁
4 僧帽弁
5 肺動脈弁
6 左室
7 左室心尖部
8 右室
9 三尖弁
10 下大静脈
11 右心房
12 上大静脈
13 弾性ネット上部
14 平行型弾性ネット
15 弾性ネット下部
16 直交型弾性ネット
20a、20b 略円筒状ネットの円筒両端の開口部
21A〜21D 糸状物
100、200 弾性ネット

Claims (8)

  1. 心外膜側から心臓に装着される弾性ネットであって、該ネットは柔軟性及び弾性を有する生体適合性高分子材料の撚り糸からなる伸張応力が2.0〜50.0gの糸状物によって規則正しい網目状に構成され、該ネットの網目がネットの無緊張状態において一辺の長さが0.05〜10mmの正方形又は菱形であることを特徴とする心臓装着用弾性ネット。
  2. 糸状物が、互いに物理的特性が異なる高分子材料よりなる2種以上の糸状物からなることを特徴とする請求項記載の心臓装着用弾性ネット。
  3. 糸状物が、ゴム又はエラストマーによる糸状物であることを特徴とする請求項1又は2記載の心臓装着用弾性ネット。
  4. 糸状物が、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、及びポリウレタン系ブロック共重合体またはグラフト共重合体から選ばれる材料からなることを特徴とする請求項記載の心臓装着用弾性ネット。
  5. 糸状物を構成するエラストマーのソフトセグメントの分子量が数平均分子量で850〜2500であることを特徴とする請求項記載の心臓装着用弾性ネット。
  6. 糸状物が2〜30本の撚り糸をヒートセットしたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の心臓装着用弾性ネット。
  7. 該ネットの表面が生理活性物質、抗血栓性材料及び抗菌材料から選ばれる少なくとも1種でコーティングされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の心臓装着用弾性ネット。
  8. 心臓周囲の最大短径を有する部分にベルト状に装着されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の心臓装着用弾性ネット。
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