JP4260889B2 - 白金含有抗腫瘍化合物の毒性を軽減するためのd―メチオニンの医療的使用 - Google Patents

白金含有抗腫瘍化合物の毒性を軽減するためのd―メチオニンの医療的使用 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、ヒトまたは動物の癌化学療法において保護剤を使用することに関する。保護剤とは、抗癌性化学療法化合物の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与した場合、それら化学療法化合物の生体内での抗腫瘍性を実質的に保ったまま、該化学療法化合物の正常体細胞での毒性副作用を防止、軽減、その他改善する化合物である。より具体的には本発明は、D-メチオニンおよびD-メチオニンと構造上関連する化合物を、聴器保護作用、体重減少保護作用、胃腸保護作用、神経保護作用、脱毛保護作用、生存率向上作用を示す保護剤として、シスプラチンなどの白金含有抗悪性腫瘍薬による化学療法と併用することに関する。
関連技術の説明
シスプラチン化学療法
シスプラチン(cis-ジアンミンジクロロ白金(II);CDDP)は広く使用されている抗悪性腫瘍薬である。シスプラチンの投与は、それが使用される癌の種類についても、また最大限の治療効果を得るために個体に使用される量についても増加してきた(Blumenreichら,1985;Forastiereら,1987;Gandaraら,1989)。
シスプラチンの毒性副作用は古くから認識されており、広く報告されている(Lippmanら,1973;Hackerらの総説(1991)も参照されたい)。それらの毒性には、種々の末梢神経障害、骨髄抑制、胃腸毒性、腎毒性および聴器毒性が含まれる(OzolsおよびYoung,1985;Stewartら,1987;Stoterら,1989)。用量を制限する主な要因は当初は腎毒性であったが、現在ではマンニトール、高張生理食塩水のルーチン投与と高液体投与によって、この副作用は(排除されてはいないものの)改善されている。しかし、聴器毒性はまだ制御されていない(Bajorinら,1987;FillastreおよびRaguenez-Viotte,1989)。腎毒性は今なお用量制限要因でありうるが、現在の主な用量制限要因は聴器毒性である(Blumenreichら,1985;Forastiereら,1987;Berryら,1990)。
シスプラチンの主な聴器毒性作用は蝸牛で起こるようである。血管条とコルチ器官の両方で解剖学的変化が起こる。主な組織学的所見には、用量関連性の有毛細胞変性とその支持細胞の損傷がある(AnnikoおよびSobin,1986)。高用量では膜迷路の完全な崩壊が起こりうる(AnnikoおよびSobin,1986)。コルチ器官では、外有毛細胞および内有毛細胞の喪失(基底ターンの外有毛細胞が喪失する傾向にある)(Fleischmanら,1975;Komune,1981;Estremら,1981;Schweitzer,1993)と、支持細胞およびライスナー膜の変質(Komune,1981;Estremら,1981)が認められる。またEstremら(1981)は、外有毛細胞の先端部におけるクチクラ板の軟化とリソソーム体数の増加も報告している。しかしこれらの変化を誘導する機序はほとんどわかっていない。
等価な内耳濃度で比較すると、シスプラチンは最も聴器毒性の強い既知薬物である(MorosoおよびBlair,1983;Koegel,1985;AnnikoおよびSobin,1986;Griffin,1988)。一般にシスプラチンの聴器毒性は不可逆的であり、その発現は潜伏性で、難聴はそのプロトコルの中断後にも進行しうる(Schaeferら,1985;Melamedら,1985;Polleraら,1988;Aguilar-Markulisら,1981;MorosoとBlairによる総説(1983)を参照されたい)。難聴は通常永続的である(Vermorkenら,1983)。場合によっては部分的な回復も起こりうるが、Aguilar-Markulisら(1981)の研究では難聴患者121人のうち1人が完全に回復したにすぎない。難聴は通例、超高音域(9000〜20000Hz)から始まり(Faustiら,1984;Kopelmanら,1988)、次に高い通常聴力測定域に進行して
Figure 0004260889
その患者の、母音ではなく子音を聞き取る能力を低下させる。話を理解できないことと耳鳴りがよくある愁訴である(Kopelmanら,1988)。化学療法を乗り切る患者の数は増えているものの、それにはしばしば聴力障害が伴う。
求核性硫黄保護剤
数多くの含硫黄化合物(例えばチオ、チオールおよびチオエーテル基を持つ物質など)が、動物モデルでCDDP腎保護作用を持つと報告されている(Andersonら,1990;JonesおよびBasinger,1989;Jonesら,1986;1991a,b,c;1992)。これらの化合物はCDDP誘導性のグルタチオン枯渇またはタンパク質スルフヒドリル基へのCDDPの結合を防止することによって作用しうる(HannemanおよびBaumann,1988;NakanoおよびGemba,1989;Gandaraら,1989;Raviら,1991;Schweitzer,1993)。
また、チオ硫酸ナトリウム(STS)とジエチルジチオカルバメート(DDTC)は動物で良好なCDDP聴器保護作用を示す(Ottoら,1988;Churchら,1995;Rybakら,1995)。残念ながらSTSはCDDPの抗腫瘍作用を低下させ(Pfeifleら,1985;Aamdalら,1987)、またCDDP誘導性の体重減少と死亡率を悪化させうる(Ottoら,1988)。DDTCは抗腫瘍作用を妨げないが(Qaziら,1988;Berryら,1989;Dedonら,1984;Borchら,1988)、これは激しい副作用を生じうる(Rothenbergら,1988;Qaziら,1988)。
D-メチオニン
D-メチオニン(D-Met)は、動物で抗腫瘍作用を低下させることなく非常に有効なCDDP腎保護作用を示す含硫黄求核剤である(JonesおよびBasinger,1989)。単一の用量レベルでその一回限りの研究で試験されただけではあるが、D-Metは、Jonesとその共同研究者らによる一連の研究で試験された40種類近い含硫黄剤のなかで、CDDP抗腫瘍作用を妨害しない最も有効なCDDP腎保護剤であった(JonesおよびBasinger,1989;Jonesら,1986;1991a,b,c;1992)。本発明者の知る限り、D-MetはCDDP聴器保護剤として過去に試験されたことがなく、臨床試験もまだ行われていない(Treskesおよびvan der Vijgh,1993)。
含硫黄保護剤とシスプラチン誘導毒性の調節
個々の含硫黄保護剤が腎毒性などの特定の毒性タイプを軽減するのに有効なだけであって、末梢神経障害や聴器毒性などといった他の白金関連合併症の遮断には無効なままであることは、研究によって示されている(Schweitzer,1993)。また、CDDPなどの白金含有化合物の部位特異的(腹腔内)使用後に局所的化学保護剤として有効な薬剤は、十分な全身保護作用を示さないか、もしくは抗腫瘍活性を阻害しうる(Schweitzer,1993)。
すべての含硫黄化合物がCDDP毒性のすべてに対して保護作用を示すわけではなく、どの保護剤がこの目的に有効または無効であるかを予測することは不可能である。例えばセフォキシチン(Jonesら,1992)は腎保護作用を示さない。エチル-L-システイネートとN-(2-メルカプトプロピオニル)グリシン(JonesおよびBasinger,1989)はCDDP腎毒性を激化させる。2-(メチルチオ)ニコチン酸はラットで腎保護作用を示さない(Jonesら,1991b)。ペニシリンGのナトリウム塩はCDDP腎毒性または体重減少に対して保護作用を示さない(Jonesら,1992)。
またチアミン塩酸塩もシスプラチン腎毒性または体重減少に対して保護作用を示さない(Jonesら,1992)。
さらに、あるタイプのCDDP毒性に対して保護作用を示す含硫黄化合物が、他のCDDP毒性に対しては保護作用を示さないことも多く、そのような化合物の特異的抗毒性効果を予測することは不可能である。セファレキシン(Jonesら,1992)はCDDP誘導性の腎機能不全と体重減少に対して保護作用を示すが、奇妙なことに腎臓病を防止しない。セフォキシチン(Jonesら,1992)はCDDP誘導性の体重減少をいくらか防止するが、CDDP腎毒性に対する保護作用は示さない。ペニシリンGのナトリウム塩はCDDP誘導性の腎毒性または体重減少に対して保護作用を示さない(Jonesら,1992)。スルファチアゾールはCDDP腎毒性に対して保護作用を示すが、体重減少に対する保護作用は示さない(Jonesら,1992)。
WR2721は優れたCDDP腎保護作用を示すが(Mollmanら,1988)、悪心と嘔吐を改善しない(Gloverら,1987)。またWR2721はCDDP聴器保護作用も持たないらしく、Gloverら(1987)は、CDDPに先立ってWR2721を投与された36人の患者のうち20人に、腎保護効果は得られたものの中度ないし重度の難聴を認めている。Rubinら(1995)は、CDDP投与に先立ってWR2721で前処置された患者に有意な聴力域シフトが45%の発生率で起こることを報告した。残念ながらGloverら(1987)の研究もRubinら(1995)の研究も対照群を使用しておらず、どちらもWR2721を投与された患者における高い聴器毒性発生率を報告している。Churchら(1995)は、ハムスターで、WR2721が聴器毒性または死亡率に対して保護作用を示さないことを報告している。
ある含硫黄剤が保護作用を示すことがわかったとしても、その副作用は臨床的適用を阻むほど激しいことがある。またCDDP聴器保護作用を示す薬剤のなかにも、その保護作用が臨床的に使用できないほど首尾一貫しないか、かつ/または、その副作用が臨床的に使用できないほど大きい場合もある。例えばDDTCはCDDP誘導性の腎毒性(Qaziら,1988;Berryら,1989;Gandaraら,1989a,1989bおよび1991)と聴器毒性(Church,1995)に対して保護作用を示すが、聴器毒性に対する保護作用は不完全な場合があり(Gandaraら,1989a;Raviら,1992)、その副作用は激しい(Rothenbergら,1988;Berryら,1990)。その副作用を改善するためにDDTC投与を減らすと、CDDP副作用に対する十分な保護が起こり得ない(Paredesら,1988)。また、代謝産物DDTCの前駆体として使用できるジスルフィラム(アンタビュース)は感覚運動神経障害(ArgovおよびMastiglia,1979)と可逆的錯乱状態を引き起こすことがあり、それが用量制限要因となりうる(Stewartら,1987)。したがってDDTCがCDDP化学保護剤として臨床的に広く使用される見込みはない。これに対しD-Metは、後述するように、明白な副作用を伴うことなく完全な聴器保護作用を示す。
最後に、多くの含硫黄化合物がCDDPの抗腫瘍作用を阻害し、どの薬剤がそのように作用するかまたはしないかを予測することは不可能である。したがってCDDP保護作用を示す多くの薬剤は臨床的には役に立たない。例えばカプトロプリル(Captropril;Jonesら,1992)はCDDP腎毒性に対して保護作用を示すが、これは併せて投与するとCDDPと直ちに反応して沈殿物を形成することにより、抗腫瘍効果を妨げる。L-メチオニンアミド(Jonesら,1991b)は優れたCDDP腎保護作用を示すが、CDDP抗腫瘍作用を損なう。次硝酸ビスマスの投与によってその合成が誘導される含硫黄化合物メタロチオネインはCDDP腎保護作用を示すが、同時にCDDP抗腫瘍作用を阻害する(Naganumaら,1987;Boogaardら,1991;Satohら,1993;Imuraら,1992;Endresenら,1994)。STSは、一部の著者らがその聴器保護作用は不十分であると報告しているものの(Markmanら,1985)、CDDPの腎毒性(Pfeifleら,1985;Howellら,1982)と聴器毒性(Ottoら,1988;Churchら,1995)を軽減する。しかしSTSはおそらく臨床的には役に立たないだろう。というのは、CDDPと併せて投与するとCDDPの抗腫瘍作用を低下させるし(Pfeileら,1985;Aamdalら,1987;Jonesら,1991b)、2つの経路で投与すると腎保護作用を示さない(Jonesら,1991b)からである。また他の薬物が存在しない場合でも、STSは死亡率を増し、体重減少を誘導しうる(Ottoら,1988)。良好なCDDP腎保護作用を示すもう一つの含硫黄化合物ビオチンは抗腫瘍活性を阻害する(Jonesら,1992)。
このように様々な含硫黄化合物が特定の毒性に対する保護剤として作用しうる。C-SH含有化合物とC-S-C含有化合物を比較したところ、C-S-C基の方がラットにおける腎毒性の防止に有効であることが明らかになった(Jonesら,1989)。しかし、C-S-C基を持つ化合物のすべてが有効なシスプラチンアンタゴニストであるとわかったわけではない。
上述の考察は、どの含硫黄求核剤がどのタイプの細胞、組織または器官で白金含有化合物保護作用を示すかを確実に予測することが不可能であることを示している。実際、個々の化合物は一定の組織でのみその保護作用を発揮するようである。したがって特定の求核性硫黄化合物が特定の組織で保護剤として作用できるかどうかは、直接的な実験によってのみ決定することができる。もちろんそのような化合物は、シスプラチンまたはそれに関連する抗腫瘍性白金含有化合物の抗腫瘍効果を実質的に低下させない場合にのみ有用である。
Deeganら(1994)は、重量比1:5のシスプラチン-メチオニンを腹腔内に単回投与された雄ウィスターラットが、シスプラチン誘導性の腎毒性を示さないことを明らかにした。彼らの結果は、シスプラチン-メチオニンが有意な細胞毒性を持ち、しかもシスプラチンに伴う腎毒性を欠くことを示した。この研究者らは、ヒトの癌治療におけるメチオニン併用処置またはシスプラチン-メチオニン化合物の役割を示唆した。しかし彼らは、本発明者が意外にも発見したD-メチオニンの特異的な聴器保護作用、体重減少保護作用、胃腸保護作用、神経保護作用、脱毛保護作用または生存率向上作用を開示も示唆もしていない。また彼らは、D-メチオニンを聴器保護剤、体重減少保護剤、生存率向上剤などとして研究しようという動機づけを何ら与えなかったし、またシスプラチン投与中にメチオニンがそのように作用しうるという合理的な予測を提供したわけでもない。最後に、Deeganらは、本明細書に記述するように人間における種々の毒性に対する保護剤としてメチオニンをどのように使用できるかについて、何の指針も示唆も提示しなかった。Schweitzer(1993;12頁)が指摘しているように、種々の求核性硫黄保護剤はCDDPの化学療法活性を保ったままその腎毒性を遮断もしくは逆転させるのに有効であることが示されているが、各薬剤は個別に考慮される必要がある。抗悪性腫瘍活性および個々のCDDP毒性に対する効果と適切な投与計画は、各化合物それ自体について決定される必要がある。
上述の論点を考慮すると、抗腫瘍活性を妨げず重篤な副作用を何ら引き起こさないと思われる非常に有効な白金含有抗悪性腫瘍剤聴器保護剤、体重減少保護剤、胃腸保護剤、神経保護剤、脱毛保護剤および生存率向上剤としてのD-Metの有用性を予測することは不可能であった。実際、D-Metのこの有益な作用の発見は、既述の含硫黄求核剤が遭遇したその臨床的使用を阻む上述の数多くの重大な問題に照らして、驚くべきことである。
発明の概要
シスプラチンその他の白金含有抗腫瘍化合物の様々な毒性作用の防止または改善に有効であるが、それら化合物の抗悪性腫瘍活性には有意な影響を与えず、しかもそれ自体はその投与の結果として有害な副作用を引き起こさない保護剤は、当技術分野で長らく必要とされてきたが、本発明者はその要求に応えた。驚くべきことに本発明者は、そのような白金含有抗腫瘍化合物による哺乳動物の治療中に、D-メチオニンおよびD-メチオニンと構造上関連する化合物を聴器保護剤、体重減少保護剤、胃腸保護剤、神経保護剤、脱毛保護剤および生存率向上剤として使用しうることを発見した。
したがって本発明はその一態様として、抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている動物または人間の患者における聴器毒性を防止または軽減する方法であって、該患者に抗聴器毒性有効量のメチオニン保護剤を投与することからなる方法を提供する。そのような保護剤は、該白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与できる。またそれらの時間帯を併用することもできる。
もう一つの態様として本発明は、抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている動物または人間の患者における体重減少を防止または軽減する方法であって、該患者に抗体重減少有効量のメチオニン保護剤を投与することからなる方法を提供する。そのような保護剤は、該白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与できる。またそれらの時間帯を併用することもできる。
もう一つの態様として本発明は、抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている動物または人間の患者における胃腸毒性を防止または軽減する方法であって、該患者に抗胃腸毒性有効量のメチオニン保護剤を投与することからなる方法を提供する。そのような保護剤は、該白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与できる。またそれらの時間帯を併用することもできる。
さらなる態様として本発明は、抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている動物または人間の患者における神経毒性を防止または軽減する方法であって、該患者に抗神経毒性有効量のメチオニン保護剤を投与することからなる方法を提供する。そのような保護剤は、該白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与できる。またそれらの時間帯を併用することもできる。
さらなる態様として本発明は、抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている動物または人間の患者における脱毛を防止または軽減する方法であって、該患者に抗脱毛有効量のメチオニン保護剤を投与することからなる方法を提供する。そのような保護剤は、該白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与できる。またそれらの時間帯を併用することもできる。
さらなる態様として本発明は、抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている動物または人間の患者を延命する方法であって、該患者に延命有効量のメチオニン保護剤を投与することからなる方法を提供する。そのような保護剤は、該白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与できる。またそれらの時間帯を併用することもできる。
本発明のさらなる適用可能範囲は、下記の詳細な説明と図面から明らかになるだろう。しかし、下記の詳細な説明と実施例は、本発明の好ましい態様を示すものではあるが、本発明の思想と範囲内での種々の変更や修正はこの詳細な説明から当業者には明らかになるので、これらは単に例示を目的として記載されるに過ぎないと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
本発明の上述のまたはその他の目的、特徴および利点は、下記の詳細な説明を添付の図面と共に解釈することによって、よりよく理解されるだろう。これらの図面はいずれも例示を目的として記載されるに過ぎず、本発明を限定するものではない。
図1は、a)クリック、b)1000Hzトーンバースト、c)4000Hzトーンバースト、d)8000Hzトーンバーストおよびe)14000Hzトーンバーストを含むすべての刺激に関する種々の動物群の試験後ABR閾値(平均±1S.D.)を表わす。*はCDDP処置対照とp≦0.01レベルで有意に相違することを示す。
図2A〜2Fは、A)無処置対照の中間ターン、B)処置対照(16mg/kg CDDP)の中間ターン、C)16mg/kgのCDDP投与に先立って300mg/kgのD-Metを投与した動物の中間ターン、D)無処置対照の基底ターン、E)処置対照(16mg/kg CDDP)の基底ターン、およびF)16mg/kgのCDDP投与に先立って300mg/kgのD-Metを投与した動物の基底ターンのSEM顕微鏡写真である。
図3は、種々の動物群に関する平均体重減少量をグラムで示している。*はCDDP処置対照とp≦0.01レベルで有意に相違することを示す。
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明は当業者が本発明を実施する際の助けとなるように記載するものであるが、当業者はこの発明の思想と範囲から逸脱することなく本明細書に記載する態様に改良や変更を施しうるので、この詳細な説明を、本発明を不当に限定するものとみなすべきでない。
本明細書で引用する各文献の内容はそのまま参考文献として本明細書の一部を構成するものとする。
実施例1
D-Metの聴器保護作用
この実験では、CDDP(シスプラチン)を具体例とする白金含有抗腫瘍化合物の使用に伴う哺乳動物における種々の毒性副作用の防止に関するD-Metの有効性を立証する。
材料と方法
動物
当業者にはよく知られているように、ラットは人間におけるCDDP毒性を研究するためのモデルとして有用で広く受け入れられている実験動物である。
完全なデータセットを雄ウィスターラット(280〜421g)5匹の群5つについて得た。すべての注射と試験に先立って、すべての動物を1ml/mg(筋肉内投与)のRompunカクテル(86.21mg/mlケタミンと2.76mg/mlキシラジンの溶液)で麻酔した。麻酔は試験中、半分の投与量で必要に応じて追加した。その5群には次に挙げる群を含めた:滅菌生理食塩水に溶解した16mg/kg CDDP(1mg-CDDP/ml-生理食塩水;溶液pH6.3)をHarvard Apparatus社の注入ポンプで30分間にわたって腹腔内注入した処置対照群;CDDPの代わりに等量の生理食塩水(pH6.5)を投与した無処置対照群;3〜5mlの生理食塩水に溶解した75、150または300mg/kg D-Met(溶液pH6.6)を処置対照群と同じCDDP注入の30分前にゆっくり(1〜2分かけて)腹腔内注射した3つの実験群。CDDP(Sigma Chemical社(セントルイス)から購入)とD-Met(Acros Organics社(ペンシルバニア州ピッツバーグ)から購入)は、各実験の前に新たに調製した。処置対照群については、完全なデータセットを伴う5匹を得るために、合計10匹の動物が必要だった。なぜなら、それら動物の50%は試験期間の終了時点まで生き延びなかったからである。無処置対照群と各D-Met前処置群の動物はすべて実験時間の終了時点まで生き延びたので、それぞれ5匹で足りた。
これら動物の保護と利用についてはすべてSouthern Illinois University School of Medicine Laboratory Animal Care and Use Committeeによって承認され、Southern Illinois University School of Medicine Unit for Laboratory Animal Medicineの監視下に行われた。
誘発電位
可聴閾値の評価には聴性脳幹反応試験法(ABR)を使用した。試験はCDDPまたは食塩水(保護剤を使用または不使用)を投与する直前とその3日後に行なった。試験はすべて、二重壁IACブースに入れた動物を使って行なった。
白金/イリジウム針電極を頭頂(非反転)から同側の耳介のすぐ下の点(反転)に設置し、後足に接地電極を置いた。
ABRデータは14000Hz用に特注の高周波数刺激装置を追加したBiological Travelerシステムを使って収集した。ABR閾値は100マイクロ秒のクリックに対する応答と、ブラックマン包絡線(Blackman envelope)によってゲート制御され、1、4、8および14kHzの周波数に中心を持ち10/sの頻度で与えられるトーンバースト(立ち上がり/立ち下がり1msおよびプラトーOms)について測定した。強度系列は各動物につき、クリック刺激については100〜0dBピーク相当SPL(peSPL)で、トーンバーストについては音圧レベル(SPL)で得た(減少10dB)。peSPLという用語は、刺激前基準線から最初のピークまでのクリック刺激の振幅が、同じ刺激前基準線からピークまでの振幅を持つ純音刺激のSPLに相当することを意味する。閾値は反復可能で視認できる応答を引き出しうる最低強度と定義した。
各平均値は合計512回の掃引から得た。記録時刻は刺激の発生から15ms後とした。応答は30〜3000Hz帯域のアナログ濾波器に通した。
記録中は直腸温度を監視し、動物の体温を加温パッドで維持した。
電子顕微鏡検査
全身麻酔下に動物を断頭によって犠牲にし、外リンパ腔から固定液を蝸牛に灌流した。一次固定液は0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中4℃の2.5%グルタルアルデヒドとした。耳嚢の第一ターンの下に三面研磨ピックを用いて手で小さな孔をあけた。犠牲にしてから5分以内に、その鼓室階の小さい孔を通してインビトロ灌流を断続的に行ない、その液体を開いた卵円窓から排出させた。灌流固定の後、正円窓膜を除去し、蝸牛をグルタルアルデヒドに浸漬して冷蔵庫に終夜保存した。
グルタルアルデヒド中での終夜固定の後、蝸牛を0.1Mリン酸緩衝液ですすぎ、鼓室階にあけた開口部上に潅流シリンジの管端を大まかに合わせることにより、外リンパ腔を通してその緩衝液で穏やかに灌流した。次に蝸牛を緩衝液中で3回すすいだ。すすぎの後、換気フード内でリン酸緩衝液中の1.5%OsO4(4℃)の灌流により、蝸牛を後固定した。同じ固定液中での15分間の浸漬と回転により固定を続けた。その蝸牛をグルタルアルデヒド固定後と同じように濯いだ。
解剖顕微鏡下に、蝸牛の骨嚢(bony capsule)を注意深く除去した。
次にその組織を50%、70%、85%、95%エタノール(2回)および100%エタノール(3回)で順次脱水した。各標本をPeldriを使って乾燥し、13nmの白金をスパッタコーティングするためにスタブに置いた。組織は日立S-500走査型電子顕微鏡によって観察し、Polaroid製55型landフィルムで写真撮影した。
外有毛細胞に関するターン毎の半定量的分析は次のように行なった。蝸牛の各ターン、頂、中間および基底について、代表的試料を調べた。各試料につき11個の内有毛細胞を、外有毛細胞33個または11個/列のセクションをカウントするためのガイドとした。次に各試料内で損傷または失われた外有毛細胞の数を数えた。
体重
試験前の麻酔薬投与前と、3日後の事後検査前に、各動物の体重をOhaus社の三竿秤で測定した。
統計的分析
ABRデータは、対象要因(群)間の一要因と対象要因内の二要因(周波数と試験前対試験後)との三要因分散分析(ANOVA)を使って分析した。各従属変数を独立して分析した。ANOVAに続いてTukey HSD法に従って検定を行なった。体重減少および/または胃腸保護は、ABR評価と同じタイプの統計的分析を用いて評価した。SEMデータは一元配置分散分析とPost-Hoc Tukey HSD分析を使って各ターン毎に分析した。すべての測定について統計的有意性の基準をp≦0.01とした。
結果
難聴
試験後のABR可聴閾値を図1に示す。予想通り、無処置対照群ではどの刺激に対しても有意な閾値シフトは起こらず、また処置対照群ではどの刺激に対しても著しい可聴閾値シフトが起ったが、高周波数域についてはとりわけ著しくシフトした。CDDPに先立ってD-Metを与えた動物では、75mg/kgおよび150mg/kgのD-Metを投与した動物についてそれぞれ5匹中2匹および5匹中3匹が、どの刺激についても有意なABR閾値シフトがないことによって示される完全な聴器保護を受けた。300mg/kg D-Met投与群については、5匹すべてがすべての刺激条件について完全な聴器保護を受けた(図1)。どのレベルのD-Metを投与した実験群もすべて、無処置対照群と同様に、すべての刺激について処置対照群より有意に低いABR閾値を示した。ここに観察された難聴に対する保護は、蝸牛機構の保護の結果としてのみ起こりうるのではなく、聴神経経路の保護(すなわち神経保護)の結果としても起こりうる。
組織学
組織学的所見(図2)はABR所見と合致した。すべての群が頂部ターンに関して本質的に正常な有毛細胞数を持ち、群間に有意差はなかった。中間および基底ターンについては、処置対照群だけが無処置対照群およびD-Metを前投与した3群とは有意に異なる所見を示し、基底ターンの方が中間ターンよりも一貫して大きな影響を受けた。
体重減少
CDDP誘導性の体重減少はD-Met投与量が増加するほど軽度であった(図3)。300mg/kgを投与した実験群での体重減少は、処置対照群のそれより有意に少なかった。群間の体重減少量は、どの刺激に関する閾値シフトの量とも有意に相関し、14kHz刺激について最も高い相関を示した。
神経保護
生き残った処置対照群動物と比較すると、3日目の朝の時点で、D-Metを投与した動物は顕著に元気が良く、活発で、協調していた。
脱毛
D-Metを投与した動物の外被は対照群動物の外被より顕著に優れており、脱毛が有意に少なかった。
試験期間中の生存
どのレベルのD-Metを与えた動物も15匹中15匹すべてが試験期間の終了時点まで生き延びたのに対して、処置対照群では10匹中5匹だった。
考察
上述の結果は、16mg/kg CDDPの30分前に投与された300mg/kg D-Metが、ABR所見と組織学的所見によって示されるように、完全な聴器保護を与えると共に、CDDPが誘導する体重減少、胃腸毒性、神経毒性、脱毛を軽減し、生存率を向上させることを示している。
特定の理論に束縛されるわけではないが、筆者はD-Metがいくつかの異なる機序のいずれか一つまたはそれ以上によってこれらの保護作用を発揮するとの仮説を立てている。
Schweitzer(1993)によれば、含硫黄化合物はCDDPが細胞内標的分子と相互作用するのを妨げ、求核性酸素または硫黄原子がCDDPの求電子部位と相互作用し、その結合に続いて白金を引き抜くか置換しうる。理論的には、これらの薬剤は白金錯体に対するその高い親和性ゆえに保護作用を示す。CDDPがメチオニンのスルフヒドリル基と反応することは知られている(LempersおよびReedijk,1990)。
CDDPは遊離のD-Metに優先的に結合しうるので、グルタチオンが保護される。還元型グルタチオンは抗酸化物質経路の必須部分である。CDDPは腎グルタチオンレベルを低下させて、脂質過酸化の増加をもたらす(HannemanおよびBaumann,1988;Sugiharaら,1987a,b;Boogaard,1991)。またCDDPは蝸牛および下丘内のグルタチオンレベルも低下させる(Raviら,1991)。さらに最近の研究(Raviら,1995;Rybakら,1995)では、とくに蝸牛抗酸化物質系での変化が調べられている。CDDPの全身投与は還元型グルタチオン(GSH)レベルを低下させ、酵素グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)とグルタチオンレダクターゼ(GR)の活性を低下させる。酸化型グルタチオンまたはグルタチオンジスルフィド(GSSG)は認められなかったことから、単に酸化されたのではなく、総グルタチオンレベルが低下したことが示唆される。Raviら(1995)は、脂質過酸化の増加を反映した蝸牛マロンジアルデヒド(MDA)レベルの上昇も報告している。CDDP投与は一般に遊離基のレベルを上昇させるので(HannemanおよびBaumann,1988)、抗酸化物質系の保全はCDDP副作用の防止にとって重要な意味を持ちうる。
D-Metの前投与によってタンパク質の硫黄基、例えばタンパク質に結合したL-メチオニンなどが保護されうる。CDDPはタンパク質中のメチオニン基とグルタチオンに結合する(LempersおよびReedijk,1990)。Scweitzer(1993)は、チオール類の腎保護作用の説明として、タンパク質スルフヒドリル基に対する白金の結合がCDDP腎毒性の原因となりうることを示唆している(Gandaraら,1989)。タンパク質結合型硫黄基の立体障害性ゆえに、遊離のD-Metの方がCDDPに優先的に結合すると考えることは理にかなっている。この保護はCDDPのD-Metへの優先的結合によって起こりうるものであり、さらにはD-Metは他の含硫黄化合物と同様にタンパク質結合型メチオニンとグルタチオンへのPt結合を打ち消しうるのだろう(LempersおよびReedijk,1990)。メチオニンは血漿結合型Ptを置換できる(AldenおよびRepta,1984)。
CDDPへのD-Met結合は、必須アミノ酸である遊離のL-メチオニン(L-Met)をも保護しうる。ヒトにDL-メチオニンを非経口投与すると、その血漿レベルはD-異性体の方が高くなる(Printenら,1979)。D-MetはヒトではL-Metより代謝されにくいので、よりCDDP結合に利用されやすい形で残り、その結果、タンパク質合成、細胞活性化および代謝に必要なL-Metが保護されることになる。
ラットでウォーカー256癌肉腫に対して測定されているように、幸いにしてD-MetはCDDPの抗腫瘍作用を阻害しない(JonesおよびBasinger,1989)。実際、メチオニン(おそらくラセミ混合物)の前投与は、CDDP細胞毒性に対し、NHIK3025試験管内ヒト子宮頸癌腫in situ癌細胞を感受性とした(MelvikおよびPetterson,1987)。
腫瘍細胞と比較した場合の非腫瘍細胞におけるD-MetのCDDP保護作用は、いくつかの要因で説明できる。メチオニン代謝は腫瘍細胞と非腫瘍細胞では明らかに異なるが(Hoffman,1985)、それらの相違がどのようにして弁別的なCDDP作用をもたらしうるかは解明されていない。CDDPの毒性作用も腫瘍細胞と非腫瘍細胞では異なりうる。CDDPの抗腫瘍作用は主としてシスプラチンのDNAとの(主にN-7ビスグアニン位での)反応に起因する。まず一付加物が形成され、続いて迅速な鎖内架橋が起こり、それが細胞毒性を引き起こす(Tognellaらの総説(1990)を参照されたい)。細胞質ゾルリガンド画分と核タンパク質画分への白金の結合も何らかの役割を果たしうるが、その受容体と相互作用はまだ明確でない(Schweitzer、1993)。正常細胞で有意なDNA結合が起こる可能性は低い。なぜなら迅速に分裂する腫瘍細胞とは異なり、どこかで適時に開いているDNA複製フォークは少ないからである。非腫瘍細胞では、上述のように主として、遊離型またはタンパク質結合型のアミノ酸との結合、および抗酸化物質経路の不活化に付随して毒性作用が起こりうる。
CDDP反応のタイミングも腫瘍細胞と非腫瘍細胞では異なりうる。ラットにおけるウォーカー256癌肉腫によるCDDPの取り込みは極めて迅速で投与後最初の数分間に起こり、注射後15分以内に完了する迅速な再分布がそれに続く(JonesおよびBasinger,1989)。CDDPの腫瘍細胞への取り込みは極めて迅速なので、DNAビスグアニン基(とりわけ開いた複製フォークにあるもの)への結合は、CDDPのメチオニンとの反応よりも速く起こりうる。
CDDPの腎臓への取り込みも迅速であるが(JonesおよびBasinger,1989)、タンパク質へのCDDP結合は比較的遅い。Schweitzer(1993)によって調査されているように、静脈内シスプラチン投与に続いてシスプラチンの90%が2時間以内にタンパク質結合型となり、非結合型白金と結合型白金の半減期はそれぞれ25〜50分と53〜73時間である。白金組織レベルはゆっくりと減衰する。白金は高用量投与後1週間を過ぎてもまだ測定でき、患者が次の治療サイクルを開始する時点で結合型断片はまだ存在しうる。血管条とコルチ器官での白金取り込みは少なくとも24時間にわたって増加し、それは用量関連性の累積的聴器毒性の基礎を成しうるが(Schweitzer,1993)、蝸牛への取り込み前にCDDPがD-Metに結合する時間を与えることにもなりうる。
ただし腫瘍細胞でも非腫瘍細胞でも、CDDP毒性は複雑であり、D-Metの保護作用には多くの要因が関与しうる。
モルモットにおける体重減少と外有毛細胞損失の正の相関は示されているが(Tangeら,1982;Hoeveら,1988)、どちらの研究も著しい対象間変動性に言及している。上述のデータは刺激周波数が上がるにつれて増加する閾値損失と体重減少の間の正の相関を明らかにしている。300mg/kg D-Met前投与による体重減少の有意な軽減は、D-MetがCDDPの胃腸毒性の一部をも緩和しうることを示唆している。D-Metによる体重減少の改善は、腎毒性その他の因子の低下とも関係するだろう。
この試験で3つのD-Metレベルのいずれを前投与しても、それによってCDDP死亡例が無くなったことは、それら動物の総合的な健康状態の著しい改善を証明している。それゆえD-Met前投与は、CDDPその他の白金含有抗腫瘍薬のLD50レベルをシフトさせるのに役立ち、化学療法中により高いレベルのそれら薬剤を安全に使用できるようにするため、それに伴って癌治癒率の向上が見込まれる。
医療的使用
上述のデータによると、哺乳動物において、D-MetはCDDP誘導性の聴器毒性を防止し、CDDP誘導性の体重減少を軽減し、CDDP誘導性の胃腸毒性、神経毒性および脱毛に対して保護作用を示し、CDDP治療中の生存率を改善する。人間におけるCDDP誘導性難聴はほとんど常に永続的であるので、この難聴の防止は多くの重要な結果をもたらす。聴器毒性を防止することができれば、聴覚を残せるだけでなく、おそらくはより高用量のシスプラチンその他の白金含有抗悪性腫瘍薬を化学療法中にルーチンに使用することができ、それは人間の患者における抗腫瘍療法の有効性を増大させることになる。
本明細書において「聴器毒性」という用語は、耳の構造上または機能上の有害なまたは病的な何らかの変化、例えば聴力および平衡の変化などを包含するが、これらに限るわけではない。聴性機能変化には、例えば難聴、その他何らかの刺激に対する可聴閾値の変化、音知覚の変化(例えば補充、すなわち音の大きさの知覚の異常増大)、音の同定、位置決定、認識、識別もしくは処理を行う能力の変化、および/または音の歪み、あるいは従来の聴覚試験によって測定される何らかの異常が含まれうる(ただしこれらに限るわけではない)。またこの用語には響鳴(耳鳴り)(外部信号に対する応答ではない何らかの音知覚を含む)も含まれる。さらに聴器毒性には、平衡または前庭系の感覚的なまたは実測される機能的変化、例えば誘発性または自発性のめまい、平衡障害、乗り物酔いを感じやすくなること、悪心、嘔吐、眼振、失神、ふらつき、眩暈感、前庭または平衡障害に付随する視標追跡障害、あるいは何らかの前庭または平衡機能試験で測定される異常など(ただしこれらに限るわけではない)も含まれる。構造上の変化としては、外耳から皮質に至る(その間のすべての経路と皮質自体を含む)聴器または前庭経路のあらゆる細胞内変化、細胞外変化、多細胞変化または器官変化を挙げることができる。
「聴器保護剤」という用語は、聴器毒性を防止または改善する薬剤、あるいは聴器毒性に対してその他の保護作用を示す薬剤を指す。
「神経毒性」という用語には、神経系またはその任意の部分の構造上または機能上のあらゆる有害なまたは病的な変化が含まれるが、これらに限るわけではない。神経機能変化としては、中枢また末梢の神経障害、例えば一般的な「ストッキング・アンド・グローブ」パターン、刺痛、感覚消失、しびれ、振動感覚の低下、深部腱反射の低下、感覚失調、神経炎、巣状脳症、失語症、自律性ニューロパシー、体位性低血圧、筋無力症様症候群、筋痙攣、頭痛、発作、視覚神経路または視神経路の障害に付随する失明または視覚障害、乳頭浮腫、聴覚神経路の障害に付随する難聴、および/または味覚消失などを挙げることができるが、これらに限るわけではない。構造上の変化には、末梢系と中枢系の両方を含む神経系の任意の場所における細胞内または細胞外変化、多細胞変化もしくは器官変化が含まれうる。神経毒性は白金含有抗腫瘍化合物による治療中またはその後に発現しうる。
「神経保護剤」という用語は神経毒性を防止または改善する薬剤あるいは神経毒性に対してその他の保護作用を示す薬剤を指す。
「胃腸毒性」という用語は、胃腸系またはその任意の部分の構造上または機能上の有害なもしくは病的な変化を包含するが、これらに限るわけではない。胃腸変化としては、例えば即発性または後発性の悪心、嘔吐、食道逆流、口内炎、胃腸路に沿った出血、下痢、体重減少および/または食欲不振が挙げられる。胃腸毒性は白金含有抗腫瘍化合物による治療中またはその後に発現しうる。
「胃腸保護剤」という用語は、胃腸毒性を防止または改善する薬剤あるいは胃腸毒性に対してその他の保護作用を示す薬剤を指す。
上述の結果に鑑み、医師または獣医師は後述の化合物と方法を使用することにより、哺乳動物(とりわけ人間)の上記パラメーターのいずれをも、当技術分野で日常的に使用される標準的試験法で測定して、化学療法処置前レベルの約70%〜約80%のレベル、より好ましくは化学療法処置前レベルの約80%〜約90%のレベル、最も好ましくは化学療法処置前レベルの約90%〜約100%のレベルに維持できるだろう。それらの化合物と方法は、猫や犬などの家庭用ペットの治療にも使用できる。
本明細書の記述は、白金含有抗腫瘍化合物(例えばCDDP)の望ましくない副作用を軽減し、より高い癌治癒率が得られるようにそれら抗腫瘍化合物の投与を増やし、さらにはそれら抗腫瘍化合物に伴う毒性に抵抗できないために現在それら抗腫瘍化合物を使用する治療プロトコルから除外されている弱い患者をその治療プロトコルに含めうるような治療法の設計を可能にする。D-MetがCDDP抗腫瘍作用を妨害しないことを考慮すると(JonesおよびBasinger,1989;MelvikおよびPetterson,1987)、抗悪性腫瘍有効量の白金含有抗腫瘍化合物(例えばCDDP)の投与前、投与中または投与後に、あるいはそれらの時間帯を種々組み合せて、D-Metを投与することはとりわけ有用である。
後述するように、D-MetおよびD-Metと構造上関連する化合物は、化学療法中に、CDDPなどの白金含有抗腫瘍化合物と共に使用できる。
メチオニンとその誘導体
D-Metは様々な目的で人間に投与されてきた。例えばC標識D-MetはX線撮影に使用されており(Meyerら,1985)、またDL-メチオニンは非経口栄養補給のために投与されている(Printenら,1979)。D-Metは栄養学的研究のためにも、人間に安全に経口投与されている(Kajiら,1987;Kiesら,1975;Steginkら,1986)。経口メチオニン剤は尿のpHを制御するための大衆薬として販売されている(Drug Facts and Comparisons,1991)。肝臓疾患歴がある患者には禁忌で、高用量のメチオニンを長期間投与すると小児の成長が阻害される可能性がある。
本発明で有用なメチオニンの類縁体または誘導体は、メチオニン成分またはチオエーテル基を含むメチオニン様成分を含有し、かつ、有効な化学療法量で投与される抗腫瘍白金配位化合物と共に使用した場合に聴器保護剤効果、体重減少保護剤効果、胃腸保護剤効果、神経保護剤効果、脱毛保護剤効果および/または生存率向上効果を発揮する化合物である。本発明で使用できる構造上D-Metに関連する化合物のなかには、C-S-C(チオエーテル)成分を含有するものがある。それら化合物には次の構造式を持つ化合物または製薬上許容できるその塩がある(ただしこれに限らない):
Figure 0004260889
[式中、mは0から3までの整数である;nは1から3までの整数である;X=-OR1、-OCOR1、-COOR1、-CHO、-CH(OR12または-CH2OH;Y=-NR2R3または-OH;R1=H、または炭素原子数1〜6(好ましくは炭素原子数1〜4)の置換または非置換、直鎖、分枝鎖または環状アルキル基;R2=H、または炭素原子数1〜6(好ましくは炭素原子数1〜4)の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基;R3=H、または炭素原子数1〜6(好ましくは炭素原子数1〜4)の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基]。
本明細書にいう低級アルキル基と低級アシル基(それ自体、またはここに定義する種々の置換基を含有するもの)は、その主鎖に1個ないし6個の炭素原子を含有し、全部で最高約15個の炭素原子を含有できる。それら低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。本明細書にいう置換アルキル基および置換アシル基の置換基としては、例えばアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、O、S、N、Pまたはハロゲン(Cl、F、BrまたはI)原子から選択される基を挙げることができる。また、これらアルキル基、シクロアルキル基等の置換基は、O、S、N、Pまたはハロゲン(Cl、F、BrまたはI)原子で置換されていてもよい。これらアルキル基、シクロアルキル基等の置換基には、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどの低級アルコキシ基や、ハロ、ニトロ、アミノ、ケトなどの基がある。
本明細書にいうアルケニル基(それ自体、またはここに定義する種々の置換基を持つもの)は、その主鎖に2個ないし6個の炭素原子を含み、全部で最高約15個の炭素原子を持つ低級アルケニルであることが好ましい。それらは置換された直鎖または分枝鎖であってもよく、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどである。
本明細書にいうアルキニル基(それ自体、またはここに定義する種々の置換基を持つもの)は、その主鎖に2個ないし6個の炭素原子を含み、全部で最高約15個の炭素原子を持つ低級アルキニルであることが好ましい。それらは置換された直鎖または分枝鎖であってもよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどがある。
本明細書にいうアリール成分(それ自体、またはここに定義する種々の置換基を持つもの)は約6個ないし約15個の炭素原子を含有でき、フェニルを包含する。置換基としてはアルカンオキシ、保護ヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミドなどが挙げられる。フェニルは好ましいアリールである。
本明細書にいうヘテロアリール成分(それ自体、またはここに定義する種々の置換基を持つもの)は約5個ないし約15個の原子を含有でき、フリル、チエニル、ピリジルなどを包含する。置換基としては、アルカンオキシ、保護ヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノおよびアミドが挙げられる。
本明細書にいうアシルオキシ基はアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリール基を含有しうる。
メチオニンまたはメチオニン様成分の主骨格を構成する炭素原子、すなわちメチル基とメチレン基は、上に種々記述したように置換されていてもよい。
そのようなメチオニン保護剤の非限定的な例としては、D-メチオニン(D-Met)、L-メチオニン、D-メチオニンとL-メチオニンの混合物、ノルメチオニン、ホモメチオニン、メチオニノール(methioninol)、ヒドロキシメチオニン、エチオニン、または製薬上許容できるそれらの塩がある。本発明のメチオニン保護剤はD-、L-またはDL-型のいずれでもよく、製薬上許容できるそれらのN-(モノカルボン酸およびジカルボン酸)アシル誘導体とアルキルエステル類をも包含する。典型的アシル誘導体には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、およびスクシニル誘導体がある。典型的エステル誘導体には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびブチルエステルがある。D-Metは好ましい化合物である。
メチオニンは上述した他の化合物と共に「メチオニン保護剤」と総称できる。これらの化合物は単独で、また互いに種々組み合せて、本明細書に記述する方法で使用できる。
これらの化合物は水溶性の酸または遊離塩基の形で、あるいは生理学的に許容できる塩類、例えば有機酸および無機酸によって形成される酸付加塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩など)やナトリウムやカリウムなどの陽イオンを含む塩として投与できる。これらの化合物は、当技術分野でよく知られているように、製薬上許容できる担体、賦形剤および希釈剤、例えば滅菌蒸留水、リンゲル液、生理食塩水、5%グルコース、デキストロース、果糖、ショ糖や、それらの混合物などを使って、人間または動物への投与用に製剤化できる。抗微生物剤、保存剤などを含めることもできる。経口投与用組成物には着色料や着香料を含めることができる。ここに記述する方法で投与するために本発明の化合物を製剤化するその他の方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(第15版,Mack Publishing Company,ペンシルバニア州イーストン,1975)に認めることができる。
抗腫瘍性白金化合物
シスプラチン(CDDP;cis-ジアンミンジクロロ白金(II))は、精巣癌、卵巣腫瘍、その他様々な癌の治療に現在最も頻繁に使用されている抗腫瘍性白金配位化合物である。CDDPを臨床的に使用する方法は当技術分野でよく知られている(Nicolini,1987)。例えばCDDPは月に一度、一日で6時間にわたる遅い静脈内注入によって投与できる。局所性病巣の場合は、局所注射によってCDDPを投与できる。腹腔内注入も使用できる。多剤療法の一部である場合または患者が高用量に対して副作用を示す場合は、CDDPを一処置あたり10mg/m2程度の低投与量でも投与できる。より一般的な臨床投与量は最低値で一処置あたり約30mg/m2、最大値は約120〜約150mg/m2である。D-Metその他のメチオニン保護剤と共に使用する場合は、これらの投与量を増やすことができる。
CDDPは、抗腫瘍活性を持つイオンの形態にある白金を与えることが当技術分野でよく知られている広範な水溶性白金配位化合物群の典型例である。本発明方法に有用な文献公知の抗腫瘍性白金配位化合物には、例えばtrans-ジアミンジクロロ白金(II)、cis-ジアミンジアクア白金(II)イオン、cis-ジアミンジクロロ白金(II)イオン、クロロ(ジエチレントリアミン)白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミン)白金(II)、ジアンミン(1,1-シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)(カルボプラチン)、スピロプラチン(spiroplatin)、ジクロロ-trans-ジヒドロキシビスイソプロポラミン白金IV(dichlorotrans-dihydroxybisisopropolamine platinum IV)(イプロプラチン(iproplatin))、ジアンミン(2-エチルマロナト)白金(II)、エチレンジアミンマロナト白金(II)、アクア(1,2-ジアミノジクロヘキサン)スルファト白金(II)(aqua(1,2-diaminodiclohexane)sulfatoplatinum(II))、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4-カルボキシフタラト)(1,2-ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)(イソシトラト)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)-cis-(ピルバト)白金(II)および(1,2-ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II)がある。
メチオニン保護剤の投与
本発明のメチオニン保護剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第15版,Mack Publishing Company,ペンシルバニア州イーストン,1975)に記述されているように、経口的または非経口的に、例えば腹腔内に、あるいは静脈内注射や静脈内注入などによって投与できる。上述のようにこれらの保護剤は、白金含有化学療法剤を局所注射によって投与する場合は、局所投与によって与えることもできる。メチオニン保護剤の局所投与は、当技術分野で知られているようにこの目的に合わせて設計された医薬製剤を用いた局所適用(局所注射など)によって行いうる。
白金含有化学療法剤の投与と同時に行われる本発明メチオニン保護剤の投与は数種類の方法で行ないうる。例えばそれぞれを個別に製剤化し、ここに記述する任意のルートで同時に別々に投与することができる。また、両者を一つの経路で投与できる単一の剤形に一緒に含めてもよい。白金含有化学療法剤の場合と同様に、メチオニン保護剤はその投与量を一日で投与できる。
投与量
上述のメチオニン保護剤は、抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている動物および人間の患者を処置する方法において、聴器毒性、体重減少、胃腸毒性、神経毒性、脱毛を防止または軽減するため、および延命のために使用できる。これらの方法は、白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に、適当な有効量のメチオニン保護剤をその患者に投与することからなる。これらの時間帯を組み合せて使用してもよい。
非経口投与する場合、メチオニン保護剤の有効量は約0.1mg/kg-体重〜約500mg/kg-体重、より好ましくは約1mg/kg-体重〜約400mg/kg-体重、さらに好ましくは約10mg/kg-体重〜約300mg/kg-体重、さらに好ましくは約1mg/kg-体重〜約100mg/kg-体重の範囲にありうる。好ましい量は約10mg/kg-体重〜約75mg/kg-体重である。
またメチオニン保護剤の有効量を抗癌有効量の白金含有化学療法剤に対してモル:モルの形で表わすこともできる。この有効量は、モルベースでメチオニン保護剤:白金含有化学療法剤として、約4:1〜約167:1、より好ましくは約4.25:1〜約100:1、最も好ましくは約4.68:1〜約20:1の範囲にありうる。モルベースで約18.75:1の投与量比が好ましい比である。必要であれば、例えば本明細書に記載の方法による有効性の監視や所期の効果を得るための滴定などといった通常の最適化を行なうことにより、種々の白金含有化学療法剤についてこれらの比率を修正することができる。
経口投与する場合は、上述の非経口投与量によって達成される血清レベルと等価な血清レベルをもたらす量で、メチオニン保護剤を与えるべきである。当業者は、このような有効経口投与量を、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(第15版,Mack Publishing Company,ペンシルバニア州イーストン,1975)に記述されているような従来の試験管内または生体内法により、容易に決定できる。
医療計画
種々の本発明方法では、有効量の含硫黄保護剤を有効量の白金含有化学療法剤の投与に先立って、その投与と同時に、もしくはその投与後に投与できる。これらの時間帯を組み合せて使用することもできる。有効量のメチオニン保護剤の前投与は、白金含有化学療法剤投与前の約36時間以内に行なうことができ、後投与は白金含有化学療法剤投与後の約36時間以内に行なうことができる。より好ましくは、前投与は白金含有化学療法剤の投与前約25時間以内に行なうことができ、後投与は白金含有化学療法剤の投与後約25時間以内に行いうる。より好ましくは、前投与は白金含有化学療法剤の投与前約6時間以内に行なうことができ、後投与は白金含有化学療法剤の投与後約1時間以内に行いうる。さらに好ましくは、有効量のメチオニン保護剤の前投与は白金含有化学療法剤の投与前約1時間以内に行なうことができ、後投与は白金含有化学療法剤の投与後約1時間以内に行いうる。さらに好ましくは、有効量のメチオニン保護剤の前投与は白金含有化学療法剤の投与前約半時間以内に行なうことができ、後投与は白金含有化学療法剤の投与後約半時間以内に行いうる。
白金含有化学療法剤は上述のように非経口的に、例えば遅い静脈内注入によって、あるいは局所注射によって投与できる。メチオニン保護剤は経口的に、静脈内注射や遅い注入により非経口的に、あるいは腹腔内に投与できる。
白金含有化学療法剤による遅発性の毒性作用が観察されている。本メチオニン保護剤の保護効果は、患者の化学療法中および/またはその後に、必要に応じてまたは目的に応じて、それらを補足的に投与することによって増強しうる。したがって本明細書に記載の方法はさらに、約0.1mg/kg-体重〜約500mg/kg-体重、より好ましくは約1mg/kg-体重〜約400mg/kg-体重、さらに好ましくは約10mg/kg-体重〜約300mg/kg-体重、さらに好ましくは約1mg/kg-体重〜約100mg/kg-体重の範囲にある補足量のメチオニン保護剤を毎日または毎週非経口投与することからなりうる。好ましい量は約10mg/kg-体重〜約75mg/kg-体重である。
また、毎日または毎週非経口投与されるメチオニン保護剤の有効量は、白金含有化学療法剤の抗癌有効量に対してモル:モルの形で表わすこともできる。この有効量は、モルベースでメチオニン保護剤:白金含有化学療法剤として、約4:1〜約167:1、より好ましくは約4.25:1〜約100:1、最も好ましくは約4.68:1〜約20:1の範囲にありうる。モルベースで約18.75:1の投与量比が好ましい。
毎日投与される経口または非経口投与量は上記の低い方の範囲内にありうる。経口投与する場合、日用量または週用量は、上述した種々の非経口投与量の投与によって達成されるものと等価な血清レベルを達成するように計画すべきである。
この補足メチオニン保護剤は、静脈内注射または遅い注入により非経口的に、あるいは腹腔内に投与できる。
医療計画の最適化
本発明の聴器毒性防止または軽減法では、患者の聴覚系および前庭系に関連する種々のパラメーターを当技術分野周知の方法で試験することにより、処置前基準値を設定できる。メチオニン保護剤の投与後と、化学療法の過程およびその後に聴器毒性作用を従来の試験法で監視し、その結果を処置前に得たものと比較することにより、何らかの変化が起っているかどうかを知ることができる。何らかの障害が観察されたら、白金含有化学療法剤の抗悪性腫瘍効力を実質上損なうことなくさらなる聴器毒性変化を軽減または防止するように、それ以降の白金含有化学療法剤の投与と併用して投与される保護剤の量および/または投与時間を調節できる。体重減少、胃腸毒性、神経毒性、脱毛および総合的な患者の状態/生存性に関する処置パラメーターの同様の修正も、それらに関する保護剤の保護作用を最適化するために行い得る。これは例えば処置前と処置後の値(例えば患者の体重、患者の身体的/医学的/生理学的状態など)を適当に試験比較し、必要に応じてプロトコルを調節することによって達成しうる。
以上のように本発明を説明したが、これを様々に変更できることは明らかだろう。そのような変更は本発明の思想と範囲からの逸脱であると見なすべきではなく、当業者に自明であるような変更態様および等価態様は、下記請求の範囲に包含されるものとする。
引用文献
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Claims (12)

  1. 抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている患者における聴器毒性を防止または軽減するための医薬組成物であって、次に挙げる構造式を持つ化合物および製薬上許容できるその塩からなる群より選択されるメチオニン保護剤を抗聴器毒性有効量で含有する組成物:
    Figure 0004260889
    [式中、mは0から3までの整数である;nは1から3までの整数である;X=-OR 1 、-OCOR 1 、-COOR 1 、-CHO、-CH(OR 1 2 または-CH 2 OH;Y=-NR 2 R 3 または-OH;R 1 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アルキル基;R 2 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基;R 3 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基]
  2. 抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている患者における神経毒性を防止または軽減するための医薬組成物であって、次に挙げる構造式を持つ化合物および製薬上許容できるその塩からなる群より選択されるメチオニン保護剤を抗神経毒性有効量で含有する組成物:
    Figure 0004260889
    [式中、mは0から3までの整数である;nは1から3までの整数である;X=-OR 1 、-OCOR 1 、-COOR 1 、-CHO、-CH(OR 1 2 または-CH 2 OH;Y=-NR 2 R 3 または-OH;R 1 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アルキル基;R 2 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基;R 3 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基]
  3. 抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている患者における脱毛を防止または軽減するための医薬組成物であって、次に挙げる構造式を持つ化合物および製薬上許容できるその塩からなる群より選択されるメチオニン保護剤を抗脱毛有効量で含有する組成物:
    Figure 0004260889
    [式中、mは0から3までの整数である;nは1から3までの整数である;X=-OR 1 、-OCOR 1 、-COOR 1 、-CHO、-CH(OR 1 2 または-CH 2 OH;Y=-NR 2 R 3 または-OH;R 1 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アルキル基;R 2 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基;R 3 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基]
  4. 抗癌有効量の白金含有化学療法剤による治療を受けている患者を延命するための医薬組成物であって、次に挙げる構造式を持つ化合物および製薬上許容できるその塩からなる群より選択されるメチオニン保護剤を延命有効量で含有する組成物:
    Figure 0004260889
    [式中、mは0から3までの整数である;nは1から3までの整数である;X=-OR 1 、-OCOR 1 、-COOR 1 、-CHO、-CH(OR 1 2 または-CH 2 OH;Y=-NR 2 R 3 または-OH;R 1 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アルキル基;R 2 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基;R 3 =H、または炭素原子数1〜6の置換または非置換、直鎖または分枝鎖アシル基]
  5. メチオニン保護剤がD-、L-またはDL-型である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物
  6. メチオニン保護剤が、D-メチオニン、L-メチオニン、D-メチオニンとL-メチオニンの混合物、メチオニノール、ヒドロキシメチオニン、エチオニン、製薬上許容できるそれらの塩、およびそれらの組み合せからなる群より選択される請求項1〜4のいずれかに記載の組成物
  7. メチオニン保護剤がD-メチオニンである請求項6に記載の組成物
  8. メチオニン保護剤がL-メチオニンである請求項6に記載の組成物。
  9. メチオニン保護剤がヒドロキシメチオニンである請求項6に記載の組成物。
  10. 白金含有化学療法剤がcis-ジアンミンジクロロ白金(II)、trans-ジアミニジクロロ白金(II)(trans-diaminidichloroplatinum(II))、cis-ジアンミンジアクア白金(II)イオン、クロロ(ジエチレントリアミン)白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミン)白金(II)、ジアンミン(1,1-シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)、スピロプラチン、ジクロロ-trans-ジヒドロキシビスイソプロポラミン白金IV(イプロプラチン)、ジアンミン(2-エチルマロナト)白金(II)、エチレンジアミンマロナト白金(II)、アクア(1,2-ジアミノジクロヘキサン)スルファト白金(II)(aqua(1,2-diaminodyclohexane)sulfatoplatinum(II))、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4-カルボキシフタラト)(1,2-ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)(イソシトラト)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)-cis-(ピルバト)白金(II)および(1,2-ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II)からなる群より選択される請求項1〜4のいずれかに記載の組成物
  11. 白金含有化学療法剤がcis-ジアンミンジクロロ白金(II)である請求項10に記載の組成物
  12. 口投与または非経口投与される請求項1〜4のいずれかに記載の組成物
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