JP4260798B2 - 地下水流向流速測定方法 - Google Patents
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Description
(1)主として、ある任意時刻における短時間での地下水の流向と流速を測定するものであるため、潮位の影響を受ける地域や融雪水の季節変動による影響を受ける地域等では、測定時期と時刻によって測定結果が大きく異なることがあり、該測定結果を用いた影響評価等において大きな課題として残されていた。
(2)外部からトレーサを入れる手法であるため、経済的に自動化することが難しく連続的な測定が困難であるとの課題があった。
(3)ボーリング孔内を流れる地下水の流向流速は複雑であり、地下水流向については、図1に示すような地盤地下水との関係が知られている。
さらに、地下水流速については、ボーリング孔の中心点では最大地盤内を流れる流速の3倍で流れ、ボーリング孔の孔壁付近ではその流速がゼロになるとの結果が報告されている。
従って、ボーリング孔に設置するタイプの地下水流向流速計については、なるべくボーリング孔の軸心線に前記地下水流向流速計の軸心線をあわせて設置しなければならないとの課題があった。
かくして、本発明は前記従来の課題に対処すべく創案されたものであり、地下水の流向及び流速によって絶えず動きが把握できるような目印となる「ひも、棒」などを、撮像部材で連続的に撮像することにより、前記ボーリング孔内で複雑な挙動を示す地下水流向流速を精度良く把握でき、さらにはボーリング孔に設置するタイプの地下水流向流速計について、ボーリング孔の軸心線に前記地下水流向流速計の軸心線をあわせて設置しなくとも精度良く測定できる地下水流動測定方法を提供することを目的とするものである。
前記地下水の流向流速計は、
撮像部材を上方に内包する筒状本体と、前記筒状本体下部と接続支柱を介して接続された測定部底板とを有すると共に、本体下部と測定部底板との空間は開放測定空間とされ、
前記測定部底板の上面には間隔をおいて複数の固定型地下水挙動目印が設けられ、前記撮像部材により前記複数設けられた固定型地下水挙動目印の挙動が撮影されて、前記地下水の正確な流向流速が測定可能な地下水流向流速測定装置を用いた地下水流向流速測定方法であり、
地盤内流れ関数及びボーリング孔内流れ関数を示す式を用いて、ボーリング孔内の多点における流向及び流速を測定し、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を導き出し、更にボーリング孔外での地盤内における地下水の流向及び流速を導きだし、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を把握し、前記地下水流向流速計の軸心線とボーリング孔の軸心線を一致させる作業を必要しない測定を可能としたことを特徴とし、
または、
地中に掘削されたボーリング孔と、該ボーリング孔内に挿入される地下水の流向流速計と、前記地下水の流向流速計の前記ボーリング孔への取り付けを行う取付部材と、を備え、
前記地下水の流向流速計は、
撮像部材を上方に内包する筒状本体と、前記筒状本体下部と接続支柱を介して接続された測定部底板とを有すると共に、本体下部と測定部底板との空間は開放測定空間とされ、
前記測定部底板の上面には間隔をおいて複数の固定型地下水挙動目印が設けられ、前記撮像部材により前記複数設けられた固定型地下水挙動目印の挙動が撮影されて、前記地下水の正確な流向流速が測定可能な地下水流向流速測定装置を用いた地下水流向流速測定方法であり、
地盤内流れ関数及びボーリング孔内流れ関数を示す式を用いて、ボーリング孔内の多点における流向及び流速を測定し、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を導き出し、更にボーリング孔外での地盤内における地下水の流向及び流速を導きだし、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を把握し、前記地下水流向流速計の軸心線とボーリング孔の軸心線を一致させる作業を必要としない地下水流向流速の連続測定を可能としたことを特徴とし、
または、
前記複数の固定型地下水挙動目印は、前記測定部底板上から略垂直方向に立設された計測棒と、該計測棒の上端に一端が取り付けられたひも状測定目印とを有して構成された、
ことを特徴とするものである。
図2は例えば均質な多孔質媒体内にボーリング孔11が掘削された場合、当該箇所での地下水の流向流速を測定する際に参照される図であり、図には後述する流れ関数の各要素が示されている。すなわちボーリング孔11中心点をOとし、地盤内地下水の流向Aと垂直でかつ点Oを通る線をY軸とし、地盤内地下水の流向Aと平行でかつ点Oを通る線をX軸とする。地盤内地下水は図2左側からボーリング孔11に向かって流入し、ボーリング孔11を流出して図2右側に流れるものである。ここにおいて、ボーリング孔11の半径をrw、ボーリング孔11掘削以前の流速すなわち地盤地下水の流速をU∞(無限遠の流速)、多孔質媒体の物理的透水係数をKとする。
該X−Y座標面において、任意の点Bの位置は、中心点Oからの距離をrとし、該任意の点Bと中心点Oを結ぶ直線と前記X軸により成される角度をθとすれば、rとθの値により一義的に定まる。
この流れ関数による、ボーリング孔11内の流れ関数一定の曲線(流線)の例を図3に示す。
この結果上述の関係式より各計測箇所の流向、流速が定まると供に、地盤内(ボーリング孔外)の流向流速が導き出せる。
まず図5から理解されるように、地下水の流向、流速を測定すべき箇所を決定し、該箇所に地上から地中に向かう略垂直方向に延びるボーリング孔11を穿設する。
そしてそのボーリング孔11内に地下水流向流速計を降下させて挿入し設置固定する。当該設置固定に際しては、従来の地下水流向流速計では、例えばボーリング孔11径と同じ径の整流板を装置下部に設けたり、本体周囲に膨縮可能なパッカを取り付け、孔内に本体挿入後、パッカを膨張させるなどして、装置軸心線とボーリング孔11軸心線をなるべく一致させる手段を要していた。
本発明においても、このような地下水流向流速計の軸心線とボーリング孔11軸心線を一致させての設置が困難なことを考慮し、取り付け部材として、ボーリング孔11内径とほぼ同じ直径でゴム等の弾性材からなるパッカを測定装置下部及び上部に設けた。
ここで、本体1の下部よりさらに下側方向には外周に壁面が設けられておらず、測定すべき地下水が自由に横断して流れる測定部3が形成されている。
この測定部3は、該測定部3の下側に設けられた測定部3底板と前記本体1の下部の間を複数本の接続支柱5で接続され形成されている。
ここで、地下水挙動目印8の設置点は、ボーリング孔11内地下水の複雑な挙動を把握すべく、ボーリング孔11中央部近辺のみではなく、ボーリング孔11外周付近部からボーリング孔11中央部にかけて適宜間隔をおいて、まんべんなく散点状に配置することが必要である。
地下水の中で地下水挙動目印8のひもなどの計測目印7は、図6に示すように地下水の流向に沿ってその先端を下流方向にたなびかせることになる。また該ひもなどの計測目印7の先端は、所定の地下水流速以上の時には測定部3底板上面に対して水平角度になり、流速ゼロの時には測定部3底板上面と垂直角度をなすことになる。したがって所定の地下水流速以下静水までの範囲においては、測定部3底板上面とひもなどの計測目印7の先端のなす角度を参照して地下水流速を測定する。
図8は、本発明による地下水流動測定装置の地下水挙動目印8を複数の計測棒6と該計測棒6の上端に締結されたひもと前記ひもの端部に浮き9を締結して形成したものである。
本実施例では、浮き9は例えばポリプロピレン樹脂等により略円柱状に形成され、測定する現地地下水とほぼ同等の比重に調整するための重り取り付け部を有してなる。調整により測定する現地地下水とほぼ同等の比重の浮きとすることにより、該浮き9の地下水中における挙動は地下水の流速流向に応じたものとなり、かつ優れた視認性を得られるという効果がある。また浮き9と重りの調整により、流速に対する、ひもと浮き9の先端と測定部3底板上面とのなす角度が変更可能となる。その結果、様々な流速の測定が可能となる。
浮き9の長手方向の大きさとひもからなる全長は、実施例1のひもなどの計測目印7の長さと同様に複数の地下水挙動目印8の設置点間隔との関係から定められる。そして、全ての地下水挙動目印8において同一とすることが好ましい。該長さの測定から地下水流速を測定するためである。
本実施例では、撮像部材2の撮影時間、撮影データ処理方法を予めパソコン10にて設定することにより、該設定事項が自動処理される。すなわち測定データの保存のみならず、撮影制御、データ編集、各測定点の補正演算等までも自動処理されるものである。このことにより、長期間連続的に測定可能となる。
このように、ボーリング孔11内の各測定点の挙動を同時に長期間連続測定することにより、ボーリング孔11内の地下水流動の複雑な挙動を各測定点ごとで補正することが可能となり、各測定点の挙動から正確な地盤地下水の流向流速の算定が可能となる。
また、潮位の影響を受ける地域や融雪水の季節変動による影響を受ける地域等における、これらの影響要因と地下水流動の挙動変動の相関関係も解明されるものと考えられる。
2 撮像部材
3 測定部
4 下部パッカ
5 支柱
Claims (3)
- 地中に掘削されたボーリング孔と、該ボーリング孔内に挿入される地下水の流向流速計と、前記地下水の流向流速計の前記ボーリング孔への取り付けを行う取付部材と、を備え、
前記地下水の流向流速計は、
撮像部材を上方に内包する筒状本体と、前記筒状本体下部と接続支柱を介して接続された測定部底板とを有すると共に、本体下部と測定部底板との空間は開放測定空間とされ、
前記測定部底板の上面には間隔をおいて複数の固定型地下水挙動目印が設けられ、前記撮像部材により前記複数設けられた固定型地下水挙動目印の挙動が撮影されて、前記地下水の正確な流向流速が測定可能な地下水流向流速測定装置を用いた地下水流向流速測定方法であり、
地盤内流れ関数及びボーリング孔内流れ関数を示す式を用いて、ボーリング孔内の多点における流向及び流速を測定し、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を導き出し、更にボーリング孔外での地盤内における地下水の流向及び流速を導きだし、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を把握し、前記地下水流向流速計の軸心線とボーリング孔の軸心線を一致させる作業を必要しない測定を可能とした地下水流向流速測定方法。
- 地中に掘削されたボーリング孔と、該ボーリング孔内に挿入される地下水の流向流速計と、前記地下水の流向流速計の前記ボーリング孔への取り付けを行う取付部材と、を備え、
前記地下水の流向流速計は、
撮像部材を上方に内包する筒状本体と、前記筒状本体下部と接続支柱を介して接続された測定部底板とを有すると共に、本体下部と測定部底板との空間は開放測定空間とされ、
前記測定部底板の上面には間隔をおいて複数の固定型地下水挙動目印が設けられ、前記撮像部材により前記複数設けられた固定型地下水挙動目印の挙動が撮影されて、前記地下水の正確な流向流速が測定可能な地下水流向流速測定装置を用いた地下水流向流速測定方法であり、
地盤内流れ関数及びボーリング孔内流れ関数を示す式を用いて、ボーリング孔内の多点における流向及び流速を測定し、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を導き出し、更にボーリング孔外での地盤内における地下水の流向及び流速を導きだし、ボーリング孔内の中心点を含む孔内全域の流向流速の分布を把握し、前記地下水流向流速計の軸心線とボーリング孔の軸心線を一致させる作業を必要としない地下水流向流速の連続測定を可能とした地下水流向流速測定方法。
- 前記複数の固定型地下水挙動目印は、前記測定部底板上から略垂直方向に立設された計測棒と、該計測棒の上端に一端が取り付けられたひも状測定目印とを有して構成された、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の地下水流向流速測定方法。
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