JP4258688B2 - 片手洗い出来る食器洗い具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は片方の手だけで食器を洗う事の出来る道具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食事をした後の、食器の洗浄作業は、毎日毎度欠かす事の出来ない作業であり、通常この作業は片方の手で食器を持ち、もう片一方の手で、タワシ、スポンジ、ブラシ等の洗い具である洗浄体を持って、これに水、洗剤等を掛け、両者を擦り合わしてよごれを落とし、水で濯いで食器を洗っている。又実公昭49−36844『洗浄用具』の様に、重錘台に芯棒を間隔をあけて三本取付け、この芯棒の周囲に洗毛を植毛した洗浄用具や、実公昭55−49733『コップ等洗浄器』の様に、スポンジ材とブラシ毛を組合わせた物を、円筒状容体の外周部内側と、中心部と、中心部の上部に設け、これにコップを被せて洗うコップ等洗浄器があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、世の中には両手が自由に動く、健康な人ばかりでは無い。元々の身体障害者や、脳拘束を患って後、身体の半分がまひして、片手が動かなく成った人も多くおられる。この様な人達でも自分自身で食事の支度、後片付けをしなくてはならない人は、大変不便な思いをして、毎日毎度欠かす事の出来ない食器の洗浄作業をされている。又、電気を使って、湯水を食器に噴射させ、食器の洗浄作業をする、自動食器洗い機もあるが、これには当然動力源が必要だし、購入費、設置スペース、も必要となる。又実公昭49−36844『洗浄用具』の場合にはコップ、グラスにしか対応していないし、多種多用の大きさや形状を持つ食器全般に対応していない、それと食器洗浄後の洗浄用具そのものの洗浄に手間暇が掛かる、それと構成が複雑で高価に成る、それと濯ぐ作業の場合、一々水槽の水を張りかえるのは無駄が多い。又実公昭55−49733『コップ等洗浄器』の場合にはコップ、グラスにしか対応していないし、外周部の円筒状容体が、邪魔になって多種多用の大きさや形状を持つ食器全般に対応出来なくしている。以上いずれも、観点が片手だけで食器を洗う事に着目しているものが無く、本発明は片手だけで食器を洗う事が出来る道具を提供する事を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
1、動かない台への着脱手段(既知、公知済み)5をケース1に備える。この着脱手段5とは次の事である。
イ…吸盤。 ロ…流し台の排水穴の内径にかん合する外径を持った突出し部を、ケース1の下部に備える、図9A、B参照。 ハ…鉄塊等の重錘(重り)。 ニ…コの字形のかん合部をケース1から持出して、流し台の前かまちや、水の入った重たい水槽(台所用洗い桶)の外周立上がり部へはめ込む、図9C、D参照。
2、本発明に於いては図7Aに示す様に、ケース高さより背を高くして洗浄体2をケース1の中へ差し込む、この時洗浄体がケースからはみ出る大きさは、対象物である被洗浄体によって適当な大きさが異なるのであえて特定しない。
3、本発明に於いては図7Bに示す様に、洗浄体2にクレバス3を設ける、このクレバス3を設けるには次の方法がある。
イ…単塊の洗浄体2に切込みを入れてクレバス3を設ける(図7B参照)。
ロ…単塊の洗浄体2を複数個ケース1に入れたものとし、この複数の単塊の境目がクレバス3と成る(図7B、C参照)。このクレバスの溝幅は、対象物となる被洗浄体の大きさや形や使用する人の能力に因り適当な溝幅が決まるのであえて特定しない。例えば力の強い人は、押圧力の強い溝幅が0cmのもの、逆に力の弱い人は、押圧力の弱い溝幅が1cm程度のものとすれば良い。又クレバスの形状も、平面、曲面、球面、波形面、及びこれらの組合わせが有り、これも被洗浄体である対象物や、洗う人の体力能力に因り適当な形状が決められる。
4、ケース周壁のクレバス延長上にはスリット4を設ける、これは食器の位置をガイド、サポートする為のものである。それは軟質材である洗浄体だけでは、被洗浄物並びに洗浄体を保持し難いからである。例えば洗浄体をスポンジに、被洗浄体をお皿にした例をとって説明する。この場合ケース1が無くてスポンジが平板の上に接着されて自立していると考えて貰いたい。スポンジにクレバスを設けて、そこにお皿をはめて擦りあわせる、するとスポンジとお皿の接触面には摩擦が起きる、摩擦が起きるとスポンジは摩擦に追随して、すりあわせる方向へ動く。しかし共に動いてしまっては、摩擦動作による洗浄作業が出来ない事となる。かと言ってスポンジに、曲げ強度が高くなる要素を持たすと、柔軟性が減ったり、硬く成ったりして洗浄体として不適当な物に成ってしまう。そこでケース周壁に因ってスポンジをずらす力が働いても、これを受けて対抗するのがスリット以外のケース周壁の役目である。
5、試作品に於いては図10に示す様に、着脱手段の一つである吸盤のカップ部外面に紐を付け、この紐を二個以上の吸盤に繋げる。こうすれば二個以上の吸盤に渡っている紐の途中を指で引掛けて引張る事により簡単に吸盤を外す事が出来る。
【0005】
【作用】
本発明の片手洗い出来る食器洗い具に於いては、まずケースを着脱手段によって、流し台水槽底などへ固定する。次にそのケースの中へ、ケース高さより背を高くして洗浄体2を差し入れる。するとケースと洗浄体は固定される。この固定された洗浄体に被洗浄体を押し当てて動かせば洗浄作業が出来る。しかし洗浄体は材料変形による量は、共に動くのでこの変形量より多くの移動量をもって被洗浄体を押し当てて動かせば、そこには摩擦が起り、この事により被洗浄体に付着している汚れが落とされ洗浄作業が出来る。以上の事が片手で出来る。例えば被洗浄体が茶碗であれば、これを洗浄体に上から覆い被せて、前後に動かしたり、水平回転などさせると茶碗内面の洗浄作業ができる。しかし茶碗は外面も洗浄しなければならないので、茶碗を取上げてひっくり返し外面を洗浄体に押し当てて滑らして洗浄する事となる。しかしこれでは内面の洗浄作業は簡単だが外面の洗浄作業は健常者でも非常にやり難い、そこで次に外面洗浄について述べる。
【0006】
本発明の片手洗い出来る食器洗い具に於いては、洗浄体にクレバス3が設けられている。このクレバスを設けるには、単塊の洗浄体にカッター等で切込みを入れても良いし、単塊を複数個寄せ集めて、その境目をクレバスとしても良い。クレバスに溜まった汚れを洗浄する事を考えれば単塊を複数個寄せ集める方が、洗浄体そのものの洗浄がし易い。この洗浄体をケース1の中へ入れる。このケースには少なくともクレバスの延長上の周壁にはスリット4が設けられている。これは図3、図5に示す様に被洗浄体である食器をガイドする作用がある。即ち食器をはめ込む溝の役をするからである。そしてスリット以外のケース周壁は洗浄体を保持する作用がある。なぜなら柔軟性に富んだ洗浄体は多様な形の食器に馴染むと言った特性があるが、それ故に自立し難い特性を合わせ持つ、例えば図4の様にクレバスに食器を入れて洗おうとすれば、食器外面に押された、洗浄体は外側へそりくり返ってしまう、図4の様にケース周壁がなければ、洗浄体は足もとからそりくり返ってしまって食器外面から離れてしまう。これでは洗浄が出来ないので、そのそりくりを起こさせない為に周壁で洗浄体を後ろから押して支えているのである。図4の様の状態で食器をスリットの底まで差込んでも洗浄体は食器外面のほぼ上から下まで接触する事が可能になる事が理解戴けると思う。
【0007】
この片手洗い出来る食器洗い具の一例に於いては、着脱手段が吸盤であるので台への固定は、吸盤が押し付けられる動作をすれば食器洗い具は固定される。食器洗浄作業が終わればケースから、スポンジ等の洗浄体を引張り出して、その濯ぎ作業、水絞りが終わって一連の作業がすめば固定されていたケースを流し台等から外す事となる。吸盤の場合、吸着力に打勝つ強い力をもって引張れば吸盤は外れるが、本発明は片手しか動かない人を対象としているので、軽い力で外れる吸盤を利用する。吸盤のカップ部外面に引張り用の紐が付いているものは公知であるが、この紐を二個以上の吸盤に繋げる事で図10の如く指で引掛けて引張る事が出来る。繋がれていない一本の細い紐を、濡れた手で引張るのには、滑る為、強く握らなければならないが、二個以上の吸盤に渡っている紐の途中を指で引掛けて軽く引張れば簡単に吸盤が外れ、これに繋がっているケースが台から外れて全ての作業が終了となる。
【0008】
【実施例】
次に図面を参照しながら本発明の片手洗い出来る食器洗い具を説明する。図1は本発明の全容を表す斜視図である。符号1はケースである、分り易く言えば上面が開放された箱、容器である。水掛かりの場所で使用するものだから、材質は合成樹脂やステンレス等の金属が適当であろう。このケースの形や種類は図7に示す様に種々考えられるが水廻り用品の原則として水垢が付着する事を考えると洗い易い為にはなるべく凹凸の少ない単純な形が良いだろう。底には洗剤が溜る様にスリットの最下部をケース底から少し上げて水溜り部を作っておけば何回も洗剤が使えて汚水発生を減らす事が出来る。この場合、濯ぎ専用の為のもう一つの本発明具を設置すれば便利である。濯ぎ専用を設けるなら、ケース底に排水用栓を設けても良いし、ケースを水はけの良いネット状(網状)の物で製作すれば水はけが良く、水道蛇口から出る水の下で本発明具を使用すれば能率良く作業が出来る。
【0009】
符号2は洗浄体である、材質は海綿、スポンジ、不織布塊、等が考えられるが、海綿、又はスポンジが価格的には兼価であろうし、ネットでくるまれたスポンジは洗浄効果が優れていてスポンジが長持ちする。
【0010】
符号3は食器の一部が挟み込み出来る洗浄体同士の境目である、これをクレバスと称する、クレバスの中を通り抜ける際に抵抗するのは洗浄体に触れて起こる摩擦力のみである。従って食器を洗浄する際、界面活性剤である洗剤を使用する場合と、水だけで濯ぐ場合とでは当然水だけで濯ぐ場合の方が摩擦抵抗力が高い、従ってレストラン等で大量の食器を洗う場合、洗剤を使用する洗い専用と濯ぎ専用を設けて、濯ぎ専用の物は若干クレバスの溝幅を広げた物を使用すれば、食器を挟み込む力が弱いので能率が上がる。又業務用に使う場合、被洗浄体である食器の形が決まってるのであれば。これに対応した形のクレバスに成るように洗浄体の形を作れば、適応する洗い具が出来る。例えば、お皿ばかり洗うのであればクレバスをお皿の形に合わしたバナナカーブの形にしておけば、軽い力でお皿のほぼ表裏面全体に洗浄体を接触させる事が出来るので、能率良く洗浄作業が出来る。
【0011】
符号4はケース周壁の一部を切り欠いたスリットである。スリットとはケース周壁の一部を上部から下部へ向かって欠き込んだ壁の無い部分であり、被洗浄体である食器の一部が通過出来る部位の事である。このスリットの深さはケース底迄切り込んでも良いし、ケース底より少し上げれば、水溜り部分が出来るので、洗剤の混じった水を溜める事が出来、この溜まった水に食器が通過して接触したり、洗浄体を上から一旦押え付けて放してやれば、洗浄体が洗剤の混じった水を吸込むので、何回も使え、洗剤、水の節約に成り、又排水の回数が少なく成って、排水の発生量を減らす事に成る。本発明は摩擦に因って食器を洗おうとしている。因って洗浄体か被洗浄体のどちらかを固定しないと、相対する物を動かしても摩擦が起こらない、この為には洗浄体を固定する方が有利である。なぜならば洗うべき食器が仮に10ケとすれば食器を固定するのには20回の着、脱が必要になるが洗浄体の方を固定するのであれば2回で済むからである。この理由でまずケースを着脱手段5により、動かない台、例えば流し台水槽や洗い桶に固定する。次に洗浄体を固定するのにはどんな方法があるか、発明者が最も悩んだところである。接着やくくったりピンを貫通する方法では、頻繁に取外しするのに手間暇が掛かって面倒である。さんざん悩んだ挙句ある日フッと閃いたのが顔を出して箱に入れると言う最も原始的で基本的な考えであった。シンプル故に安価、取扱い簡単、掃除洗浄が容易、コンパクトに成るといった要求が全て満たされたのである。次にスリットの無い箱に、クレバスの有る物を想像して貰いたい。図3の状態でスリットが無ければお皿はスリットの深さ分だけ上に、せり上がって飛び出す、すると洗浄体とお皿の接触面積が減るので図3と同じ接触面積を得ようとすれば洗浄体を上へ伸ばした大きな物が必要と成る。ところがそうすると洗浄体はケースからハネ出す長さが大きくなって、洗浄体は外へそりくり返ってお皿に接触しなくなる。結局、洗浄体材料の曲げ強度には限界があって、長いハネ出し部を作ると被洗浄体に接触しなくなる事がわかった。そこで曲げ強度の高いスポンジを作ると今度は材料が堅く成って多様な食器の形に追随する、柔軟な洗浄体の条件に適さない事と成る。次にスリットの有るケースに洗浄体を入れたものを考えて貰いたい、するとケースに入った洗浄体は外側方には出られない。スリットが有ると、そこから食器の一部の出入れは可能になるが、洗浄体は出ない。
【0012】
図7Gはケース周壁の一部を開けしめ出来る様にした、開閉機構を持たした実施例の一例である。ケースに開閉機構を持たしたものは公知であり、筆箱から電子レンジに至るものまで、山程種類が有り、図7Gのように蝶番とラッチを使ったものは一般に知られている。他、周壁を底板に差込む事や、スライド式扉にするなど、使い勝手のよいものを採用すれば良い。ケースに開閉機構があれば、洗浄体のケースへの出入れが容易であるのとケース内面の洗浄がし易い利便がある
【0013】
5は着脱手段であり、公知の手段がある。(図9…A、B、C、D参照)
【0014】
【発明の効果】
本発明品に於いては、片手だけで食器が洗える。コップ等は、片手だけで食器の内外両面が同時に洗える。紐つき吸盤の物については吸盤の着脱が簡単な為これに繋がっている食器洗い具も簡単に着脱出来る。以上本発明は、片手しか使えない人でも食器を簡単に洗える事を可能にしたものであるが両手を使える人にとっては更に便利なものと成り、茶碗、皿、どんぶり鉢、コップ、杯、箸、スプーン、庖丁、灰皿に至るまで、殆どの食器に対応している食器洗い具が提供出来た。又食事を作るのは好きだが後片付けは嫌いだと言う人にも、本発明品を使って貰えば迅速に効率良く食器洗いが出来るのでその不満を軽減出来る、又迅速に効率良く食器洗いが出来る事は、湯、水、洗剤の使用量を減らす事が出来る。又湯飲み茶碗やコップに於いては、片方の手の指先だけを濡らせば簡単に洗浄作業が出来るので、職場に於ける男性でも自分の使った湯飲み茶碗を即座に洗浄してしまえるのでお茶汲みの女性の負担を軽減出来る。取止めの無い人権意識の高揚が、使い捨てコップや食器の導入を促進し、限り無くゴミを増やす風潮に歯止めをかける事にも貢献したい。又戦後最悪の景気低迷時代に、この発明がたとえ50人でも100人でもの雇用を作り出す事が出来たならと願う次第である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明全体を表す斜視図である。
【図2】図1のケースと洗浄体を分解した平面図、正面図、側面図である。
【図3】お皿を洗っている場合の斜視図である。
【図4】茶碗を洗っている場合の斜視図である。
【図5】コップを洗っている場合の斜視図である。
【図6】吸盤が壁付の場合の図面である。
【図7】色々な実施例を表す図面である。
【図8】盃を洗う場合の実施例を表す図面である。
【図9】着脱手段の実施例を表す図面である。
【図10】着脱手段の紐付き吸盤を表す図面である。
【図11】ケースに設けた摩擦抵抗増加手段貫通穴、突起を表す図面である。
【符号の説明】
1…ケース
2…洗浄体
3…クレバス
4…スリット
5…着脱手段
6…紐
7…溝幅
Claims (1)
- 台への着脱手段(5)を備えたケース(1)に、ケース高さより背を高くして洗浄体(2)を差し込んだ食器洗い具であり、洗浄体(2)には被洗浄体である食器の一部を挟み込める境目(以下、クレバスと言う)(3)をケース周壁の上端部の上下に渡って設け、ケース周壁には、その上端部よりも下側にあるクレバスを露出させる様、欠き込み(以下、スリットと言う)(4)を設けた事を特徴とする片手洗い出来る食器洗い具。
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