JP4257089B2 - アフェレーシス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアフェレーシス装置に関する。より詳しくは本発明は、サイクル中における全血の収集処理を改良することにより、アフェレーシス装置における血液製剤の製造効率を高めることに関する。
【0002】
【従来の技術】
アフェレーシスは、供血者から全血を採取し、遠心分離器内において赤血球からなる高密度成分、主として血小板と白血球からなる中間密度成分、及び血漿からなる低密度成分の各成分へと同心円状に分離する、いわゆる「ドロー」ステップと、所要血液成分を分取した後、遠心分離器内に残った血液成分を供血者に戻す、いわゆる「リターン」ステップを主要な構成部分とする。これまでアフェレーシスは種々の手法により改良されてきており、その中には本出願人が所有する日本特許第2776988号(PCT/US94/01107)に記載されているように、遠心分離器外に分取した低密度成分を遠心分離器に短期間再循環させるいわゆる「ドウェル」ステップや、米国特許第4416654号などに記載されているように、低密度成分をサージ流量、即ち時間と共に増大する流量で遠心分離器内に再循環させ、中間密度成分から血小板等を優先的に流出させるいわゆる「サージ」ステップ等がある。現在一般には、アフェレーシスはこれらの工程を組み合わせて構成される1サイクルを数サイクル繰り返し、所定の血液成分を採取するように行われている。
【0003】
1回のアフェレーシスで採取できる血液成分の量は、一定量以下に制限される。しかし供血者の血液中に占める高、中間密度成分の比率、即ちヘマトクリット値が低い場合には、所定の血小板を採取する過程で体外に循環させる必要のある、1サイクル当たりの全血処理量は増加する。その結果、必然的に供血者に戻すべき血液成分量は増大し、脱血及び返血に要する時間は長くなる。また、血小板アフェレーシスに限らず、一般のアフェレーシスでも、供血者の血圧低下などを防止する観点から、1サイクル当たりの処理量は供血者の体内循環血液量の一定比率以内となるよう制限されており、ヘマトクリット値の低い供血者からアフェレーシスを行う場合は注意が必要である。
【0004】
上記の問題点に対処するため、本出願人が所有する日本特許3196838号では、ドローステップ中に遠心分離器内を通過する血漿の総流量や遠心分離器の回転数を、供血者に応じて選択的に使用することを提案している。この技術によれば、1サイクル当たりの全血処理量を個々の供血者に最適となるよう、可変に制御することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これまでに提案されているアフェレーシスに関する種々の技術の中には、クリティカルフローと呼ばれる技術がある。これは、ドローステップ中に遠心分離器内を通過する血漿の総流量、即ちドローステップで引き込まれる全血中の血漿流量と、全血の稀釈用に循環される血漿流量の合計を「クリティカルフロー」とし、これを一定に維持する技術である。供血者の状態に応じて、全血の供給速度はドローステップの間に変動し、場合によっては0になることもあるが、クリティカルフロー技術によれば、この低下分を補償するように血漿が循環され、遠心分離器を通る流れを安定化し、分離が乱れるのを防止することができる。これはまた、比重が近接している血小板と白血球の分離を改善する効果も有している。上記した日本特許3196838号では、クリティカルフローを有効に用いて1サイクル当たりの全血処理量を制御している。
【0006】
ドローステップ後に血漿を再循環させる、上記の日本特許第2776988号に記載されたドウェルステップは、供血者からの全血の流入を停止して行われる点でクリティカルフローと大きく異なっている。この日本特許第2776988号ではクリティカルフローとドウェルの両者について言及を行っているが、その実施態様においては、クリティカルフローは遠心分離器内に形成される中間密度成分層の回転軸からの距離がある特定範囲に達する前の期間に行われるのに対し、ドウェルは半径がある特定範囲(サージ半径)に到達した後の時点に行われている。しかし効果の面においては双方共、比重が近接している血小板と白血球をバフィーコート内で整列させ、両者の分離を改善するという共通性を有している。従って、一部共通の目的を有するこれらのステップを統合して処理することができれば、製造効率を改善し、処理時間の短縮にもつながると考えられる。本発明が指向するのは、この課題を解決することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、供血者の全血に関する少なくとも1つの特徴に基づいて、例えば日本特許3196838号に記載のように全血処理量を最適化するよう決定されるクリティカルフローに関わらず、実際のクリティカルフローは一定の高速流量で行われる。これはいわば、ドローステップ中のクリティカルフローによって、ドウェルステップの効果を奏させることを意図したものであり、これによって従来ドウェルステップに要した時間を省略し、製造効率を向上させることが可能になる。他方、これは一般にクリティカルフローの増大によって、通常のクリティカルフローを用いた場合と比較して全血処理量が減少することを意味するが、本発明ではこの減少に応じて追加の全血処理量を決定し、ドローステップ中にこの追加の全血処理量を供給する。これによって、日本特許3196838号の技術によってもたらされる利点を享受しつつ、ドウェルステップを実行するこれまでの技術と同様の分離効率をもって、時間の短縮、製造効率の向上といった効果を得ることができるようになる。
【0008】
即ち本発明によれば、入口ポート及び出口ポートを有し、全血を低密度成分、主として血小板と白血球からなる中間密度成分、及び高密度成分に分離するための遠心分離器と、入口ポート及び出口ポートと選択的に連通され、出口ポートから低密度成分を収集し、収集された低密度成分を入口ポートから遠心分離器へと戻すよう接続された第1の容器と、供血者の全血を入口ポートから遠心分離器へ供給するよう作動される第1のポンプと、低密度成分を第1の容器から入口ポートを介して遠心分離器へ戻すよう作動される第2のポンプと、少なくとも第1のポンプと第2のポンプを制御する制御手段とを有するアフェレーシス装置において、制御手段が、供血者の全血に関する少なくとも1つの特徴に基づいて全血処理量を決定し、決定される全血処理量に関わらず、遠心分離器を介して低密度成分が合計で一定の高速流量で供給されるよう第2のポンプを第1のポンプと共に作動させ、決定される全血処理量に応じて追加の全血処理量を決定し、第2のポンプの作動を継続しながら第1のポンプにより追加の全血処理量を供給することを特徴とするアフェレーシス装置が提供される。
【0009】
本発明で用いられる遠心分離器は、例えば米国特許第3145713号(ここでの参照によって内容を本明細書中に取り入れる)に記載された、標準的なレーサム(Latham)ボウルの如きものであり、入口ポートと出口ポートを有し、収集された全血を各成分に分離するための分離空間を内部に有する。全血を供血者(ドナー)から直接に、或いはバッグの如き容器に一旦プールした後に収集するように延びる可撓性の第1のチューブが、遠心分離器の入口ポートに接続される。蠕動ポンプの如き、正逆回転可能な第1のポンプが第1のチューブに沿って配置される。出口ポートからは可撓性の第2のチューブが延び、分岐を介して第1の容器又はバッグに接続される。この第1の容器からは可撓性の第3のチューブが再び延びて、第1のポンプと遠心分離器の間で、第1のチューブに接続される。やはり蠕動ポンプのような第2のポンプが、第3のチューブに沿って配置され、第1の容器に収集された成分を入口ポートから遠心分離器に戻して循環させることを可能にしている。
【0010】
第1のポンプ及び第2のポンプの動作は、制御手段によって制御可能である。制御手段は典型的にはマイクロコンピュータであり、制御プログラムは予め記憶されていても、後から書き換えられても、或いはカードやスティックなどの形態で適宜組み込まれてもよい。またこの制御手段は、周知の仕方でアフェレーシス装置の他の構成要素、例えば遠心器のモーター、チューブ用のクランプバルブなどを制御することも可能であるが、これについては詳述しない。
【0011】
本発明によれば、制御手段は供血者の全血に関する少なくとも1つの特徴に基づいてクリティカルフローを決定する。これは換言すれば、供血者のヘマトクリット値、血小板数などに応じて、所望とする血液成分を所要量得るのに必要な、1サイクル当たりの全血処理量を規定するものである。上記した日本特許3196838号の技術によれば、全血処理量は、第2のポンプを可変的に制御して、それによる血漿流量、即ち循環流量を増大又は減少させることによって減少又は増大させることができ、それによってサイクル数が最適化される。従って例えば、標準のクリティカルフローが50mL/分に設定されており、そのままだと全血処理量が所望量の血小板を分取するのに必要な全血処理量を上回ってしまうような場合には、クリティカルフローを例えば80mL/分とするように循環流量を増大させれば、1サイクルで処理可能な全血の量はその分だけ減少する。ドローステップはこのようにして可変的に決定されたクリティカルフローを用いて実行することができる。しかしながら本発明によれば、決定されるクリティカルフローに関わらず、即ちその値が幾らであったとしても、制御手段はクリティカルフローが一定の高速流量となるように制御を行う。一定の高速流量は例えば100mL/分以上であり、第2のポンプはこれを満足するように高速回転される。
【0012】
この高速流量(高速クリティカルフロー)は通常、決定される全血処理量に基づいて規定されるクリティカルフローを上回る。従って全血処理量はその分だけ減少することになり、これに伴って例えば血小板回収率も低下する。しかしながら本発明によれば制御手段はさらに、第2のポンプによる高速クリティカルフローを維持しながら第1のポンプを継続的に作動させて、減少分を補うだけの追加の全血処理量を供給する。この追加の全血処理量は例えば、血小板回収率と同様に低下するサイクル当たりの赤血球量から逆算して、赤血球量低下分をヘマトクリット値で割ることによって求めることができる。通常ドローステップは、分離された血液成分の体積、典型的には遠心分離器内の中間密度成分の体積が所定量に達したことが検出されるまで行われている。例えば本出願人であるHaemonetics Corporationにより市販されている商品名MultiやCCSにおいては、遠心分離器内で分離された血液成分により占有される領域の半径を監視し、この半径が特定の値となったことを検出する光センサが用いられている。本発明による追加の全血処理量の供給は、こうしたセンサによる中間密度成分の検出に基づいて行うことができる。例えば追加の全血処理量の供給は、検出時を起点として所要時間にわたり行われる。
【0013】
なお、本発明による高速クリティカルフローは、供血者の全血に関する少なくとも1つの特徴に基づいて決定されるクリティカルフローに関わらず実行されるものであり、この決定されるクリティカルフローは、追加の全血処理量の供給時に初めて用いられる。従って、制御手段が最初にクリティカルフローを決定することは必ずしも必要ではない。こうした決定は、追加の全血処理量の供給時までに、例えばセンサによる中間密度成分の検出に応じて行うことも可能である。
【0014】
ドローステップの後には、サージステップが行われる。本発明ではドウェルステップは不要であり、高速クリティカルフローによってドウェルを用いた場合と同等の血液分離状態を、より短縮された処理時間でもって得ることができる。サージステップにおいては、血小板などの中間密度成分を遠心分離器から流出させるべく、第2のポンプは血漿を遠心分離器へとサージ流量で供給するよう作動される。サージ流量は、所定期間にわたって増大していく流量である。これによって血小板が、次いでさらに流量を高めると白血球が、遠心分離器から順次流出される。遠心分離器から流出された血液成分は光学ラインセンサーによって監視され、特定の成分が流出されたことが判定される。遠心分離器の出口ポートから延びる第2のチューブの分岐には、それぞれチューブを介して第2及び第3の容器又はバッグが接続されており、光学ラインセンサーの出力に応じてクランプバルブが切り換えられて、流出される血液成分は、遠心分離器の出口ポートと選択的に流体的に連通された第2及び第3の容器又はバッグにそれぞれ収集される。
【0015】
処理される全血が供血者から直接に得られている場合、サージステップの後にはリターンステップが行われ、遠心分離器内に残存する血液成分、例えば赤血球と白血球が、供血者に戻される。日本特許第2575769号に記載されるように、この場合に第2のポンプを用いて血液成分を希釈し、返血効率を高めることができる。サイクルはその後所望数だけ繰り返される。なお、1サイクル目において循環される血漿は、遠心分離器から流出が開始された直後から、例えば20g程度が第1の容器に収集されてから導入される。2サイクル目以降は以前のサイクルで収集された血漿を用いることができるため、ドロー開始直後から高速クリティカルフローが達成される。
【0016】
本発明の上述の、及びその他の目的、特徴及び利点は、図面に示した好ましい実施例に関する以下のより特定的な説明から明らかとなろう。図中、同様の参照符号は異なる表示形態においても同じ部材を示すものである。これらの図面は必ずしも正確な縮尺率によるものではなく、本発明の原理を例示するために強調がなされている場合もある。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1及び図2を参照すると、アフェレーシス装置E1は、抗凝固処理された全血をその構成成分に分離するために、標準的なレーサム形式の遠心分離ボウルCB1を用いている。しかしもちろん、遠心分離器は他の形態、例えばブローモールドにより一体成形された遠心分離ボウルであってもよい。遠心分離ボウルCB1は、回転可能なボウル本体と、ロータリシールによってボウル内部と流体的に連通された固定の入口ポートPT1と出口ポートPT2からなる。抗凝固剤を格納するバッグ即ち容器B1は、除菌フィルターF2、ポンプP3、空気検出器D3、チューブT2及びYコネクタC1を介して静脈針付チューブT1と連通している。また静脈針付チューブT1は、チューブT3、血液フィルターF1、バルブV1、ポンプP1、YコネクタC2、チューブT4、及び入口ポートPT1を介して遠心分離ボウルCB1に連通される。遠心分離ボウルCB1の出口ポートPT2は、チューブT5、ラインセンサーL1、3路YコネクタC3、TコネクタC4、バルブV3及びチューブT8を介して、重量計S1に懸架された血漿というラベルのついた容器B3の容器入口ポートPT3と選択的に連通される。空気というラベルの付された容器B2は、チューブT5、バルブV2及びチューブT6を介して、また血小板というラベルの付された容器B4は、チューブT5、バルブV4及びチューブT9を介して、遠心分離ボウルCB1の出口ポートPT2とそれぞれ選択的に連通される。容器B3の容器出口ポートPT4は、チューブT7を介してポンプP2を通って延び、YコネクタC2に接続される。
【0018】
ポンプP1、P2及びP3は、バルブV1、V2、V3及びV4と相俟って、ラインセンサーL1、供血者圧力モニター(DPM)M1、システム圧力モニター(SPM)M2、及び空気検出器D1、D2及びD3により発生される信号に応じて、図示しない制御手段からの指示に従って、アフェレーシス装置E1を通じての流れの方向及び持続時間を制御する。空気検出器D1、D2及びD3は、液体の存在又は不存在を検出する。圧力モニターM1及びM2は、装置E1内での圧力レベルを監視する。ラインセンサーL1は出口ポートPT2からラインセンサーL1を通過する血液成分の存在を検出する。
【0019】
初期動作においては、ポンプP1及びP3が付勢され、アフェレーシス装置E1のチューブT2を容器B1からの抗凝固剤でプライミングする。抗凝固剤は除菌フィルターF2とYコネクタC1を通り、空気検出器D2に到達する。空気検出器D2は、D2における抗凝固剤の存在を検出し、抗凝固剤のプライミングの動作を終了させる。プライミング動作の間、バルブV2は開放されており、抗凝固剤によって遠心分離ボウルCB1から流出された無菌空気が、容器B2に入る。
【0020】
次いで静脈針付チューブT1が供血者に挿入され,ドローステップが開始される。ドローステップ中、供血者から静脈針付チューブT1を介して採取された全血は、ポンプP3により、容器B1から転送される抗凝固剤とYコネクタC1で混合され、さらにポンプP1により、抗凝固剤が混合された全血は、チューブT3及びチューブT4を介して、入口ポートPT1から遠心分離ボウルCB1に供給される。アフェレーシス装置E1における各ポンプ、バルブ等の動作は、図示しないマイクロコンピュータの制御の下に、所望とするプロトコルに従って行われる。
【0021】
遠心分離ボウルCB1が回転されると、ボウルの底部に導入された抗凝固処理された全血は遠心力により、成分の密度に応じて、赤血球、白血球、血小板及び血漿などの異なる成分へと分離される。ボウルの回転数は例えば4000〜6000rpmの範囲から選択されることができ、典型的には例えば4800rpmである。遠心分離ボウルCB1の内部では、血液成分はより高密度の成分から順に、外側から内側へと同心の層をなす。即ち赤血球層は最も外側へと押しやられ、血漿層は中心付近に存在するようになる。両者の間には、血小板の内側層と、血小板及び白血球の遷移層と、白血球の外側層とから成っているバフィコート層が形成される。血漿層は出口ポートPT2に最も近い成分であり、抗凝固処理された全血が入口ポートPT1を通って遠心分離ボウルCB1に追加されるに際して、出口ポートPT2を介して最初に流出される。
【0022】
ドローステップ中に出口ポートPT2から流出した血漿は、チューブT5、ラインセンサーL1、バルブV3及び容器入口ポートPT3を介して容器B3に収集される。容器B3に収集された血漿はポンプP2により、容器出口ポートPT4からチューブT7、YコネクタC2及びチューブT4を介し、入口ポートPT1を通って遠心ボウルCB1へと循環される。循環される血漿は抗凝固化された全血を希釈し、遠心ボウル内での血液成分の分離を容易にする。ここで本発明によれば、ポンプP2によって循環される血漿の量は、遠心分離ボウルCB1に流入する毎分当たりの総血漿量、即ちクリティカルフローが一定の高速流量となるように制御される。これは例えば、100mL/分又はそれ以上の一定値である。
【0023】
遠心分離ボウルCB1の肩部には光学センサー(図示せず)が適用されており、バフィーコートを監視している。本発明の図示しない制御手段は、光学センサーがバフィーコートを特定の位置、例えば従来であればドウェルステップの開始をトリガした位置に検出すると、ドウェルステップを行うことなく、光学センサーが特定するよりもさらに回転軸に近接した位置にバフィーコートを形成するべく全血の追加採取を行う。この追加採取は、例えば以下の手順により行われる。
(1)1サイクル当たりの全血処理量の算出
全血のヘマトクリット値を用い、ポンプP2による血漿の所与の循環流量及び遠心分離器回転数について、1サイクル当たりで処理可能な全血の量を計算する。所与の循環流量としては例えば最低の循環流量を、所与の遠心分離器回転数としては例えば最大の回転数を選択することができる。しかしながら他の値、例えば20〜30ml/分の範囲内の標準的な循環流量や、4800rpm程度の標準的な回転数を用いて計算を行っても構わない。
(2)サイクル数の決定
得られた1サイクル当たりの全血処理量と、全血について予め測定された血小板数(プリカウント)などを用いて、5単位又は10単位といった目標単位数を満たすのに必要なサイクル数を決定する。最低の循環流量や最大の遠心分離器回転数が上記(1)で用いられている場合には、サイクル数は端数を切り上げて整数とすることによって決定されるが、他の場合には端数を切り下げて整数サイクル数を得るように決定を行うことも可能である。
(3)クリティカルフローの決定
得られたサイクル数を用いて、濃厚血小板製剤を効率的に得るのに最適な循環流量を選択し、これに基づいてクリティカルフローを例えば以下の式により算出する。
【0024】
Qc=Qr+{1−(Ht/100)}×(1−1/ACD)×Qd
式中、Qc=クリティカルフロー(mL/分)
Qr=ポンプP2による血漿の循環流量(mL/分)
Ht=供血者のヘマトクリット(%)
ACD=抗凝固処理全血/抗凝固剤の流量比
Qd=ポンプP1による全血の収集流量(mL/分)
である。
【0025】
ここで、例えば日本特許3196838号の技術を用いた従来装置を使用して蓄積したデータによれば、所与の遠心分離器回転数について、クリティカルフローによるサイクル当たり赤血球量及び血小板回収率の間には相関性があることが判明している。そこで例えば表1のように相関関係を定めておき、初期パラメータとして用いると都合がよい。このような場合にサイクル当たり処理量Vp(mL)は、サイクル当たり赤血球量Vr(mL)と供血者のヘマトクリットHt(%)から、Vp=Vr÷(Ht/100)により算出される。
【0026】
【表1】
Figure 0004257089
【0027】
例えば高速クリティカルフローとして100mL/分を使用した場合、上記のように供血者の全血のヘマトクリット値その他の特徴に基づいて決定されるクリティカルフローが50mL/分であったとする。これと同様の効果を得るためには、1サイクルあたりに赤血球量の差に基づいて得られる追加処理量Vp’=(Vr50−Vr100)×100/Htを追加処理する必要がある。例えばHtが40%の場合、全血の追加処理量は25mLとなる。この全血の追加採取により、従来は遠心分離器回転数及びクリティカルフローの調節で達成されたサイクル当たり処理量と血小板回収率の制御が、遠心分離器の回転数を一定にし、高速クリティカルフローを行った場合にも可能となる。高速クリティカルフローを、特に従来のドウェル速度と同等以上の速度で実施することにより、ドウェルの効果を保持した状態でドウェルに要した時間を省略することが可能となる。
【0028】
但し、上記の例はあくまでも表1のパラメータを用いた場合である。実際には各献血ルームで用いる血球カウンターのばらつきや定期的な較正などに応じて、各献血ルームで蓄積した実際値のデータを用いて、これらのパラメータの調節を行うことが有用な場合がある。
【0029】
所定の追加採血終了後、ドローステップは完了し、サージステップが開始されて血小板が採取される。サージにおいては、ポンプP2の速度は例えば5〜10ml/分の増分で増大され、約200〜250ml/分の血小板サージ速度に達するまで、血漿を循環させる。この血小板サージ速度は、血小板は遠心分離ボウルCB1を出て行くことができるが赤血球又は白血球は出て行けない速度である。ボウルを出て行く血漿は血小板で曇ったようになり、この曇りがラインセンサーL1によって検出される。ラインセンサーL1は、チューブT5を通る血液成分に光を照射するLEDと、血液成分を通過した後に光を受信する光電検出器とからなる。光電検出器により受信される光の量は、チューブT5を流れる液体の密度と相関される。
【0030】
血小板が最初に遠心分離ボウルCB1から出始めると、ラインセンサーL1の出力は減少し始める。バルブV4は開かれ、バルブV3は閉じられて、血小板は容器又はバッグB4に集められる。遠心分離ボウルCB1から血小板の大部分が取り出されたならば、流出してくる液体の曇りは少なくなる。この曇りの減少はラインセンサーL1によって検出される。その後バルブV4が閉じられて採取が終了する。任意選択的に、白血球バッグ(図示せず)を用いて、白血球の採取を開始することができる。
【0031】
血小板及び/又は白血球が採取された後、装置E1はリターンステップを開始する。リターンの間、遠心分離ボウルCB1の回転は停止され、遠心分離ボウルCB1内に残留する血液成分は、バルブV1を開き静脈針付チューブT1を介して供血者へと、ポンプP1を逆回転して戻される。リターンの間に空気が遠心分離ボウルCB1に入ることができるように、バルブV2もまた開かれる。容器B3からの血漿は、遠心分離ボウルCB1内の濃縮された血液成分を希釈する。即ちポンプP2は血漿を遠心分離ボウルCB1内の戻り成分と混合させ、戻される赤血球成分を血漿で希釈してリターン時間をスピードアップさせる。ボウル内の残りの血液成分が供血者に戻された場合にリターンステップは終了される。
【0032】
ドロー、サージ及びリターンからなるこのサイクルは、前述のようにして決定された回数だけ実行される。なおドローの間、特に最初のサイクルで循環用の血漿が未だ得られていない場合、遠心分離ボウルCB1に入る抗凝固処理された全血は、他の容器からの生理的食塩水の如き溶液で希釈するように構成することもできる。
【0033】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、供血者の全血の少なくとも1つの特徴に応じて決定されるクリティカルフローに関わらず、即ち予定される全血処理量を達成するのに必要なクリティカルフローに関わらず、ドローステップの間に一定の高速クリティカルフローを行い、さらに追加の全血処理量の供給を行うことによって、予定した全血処理量を処理したと同等の効果を達成する。またこれによって従来のドウェルステップを不要にでき、従来の類似した機能を統合して血液製剤の製造効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアフェレーシス装置の好ましい実施例の概略図である。
【図2】図1のアフェレーシス装置に用いるための使い捨てシステムの概略図である。
【符号の説明】
E1 アフェレーシス装置
CB1 遠心分離ボウル
P1−P3 ポンプ
T1−T9 チューブ
V1−V4 バルブ
B1−B4 バッグ

Claims (6)

  1. 入口ポート及び出口ポートを有し、全血を低密度成分、主として血小板と白血球からなる中間密度成分、及び高密度成分に分離するための遠心分離器と、
    前記入口ポート及び前記出口ポートと選択的に連通され、前記出口ポートから低密度成分を収集し、収集された低密度成分を前記入口ポートから前記遠心分離器へと戻すよう接続された第1の容器と、
    供血者の全血を前記入口ポートから前記遠心分離器へ供給するよう作動される第1のポンプと、
    低密度成分を前記第1の容器から前記入口ポートを介して前記遠心分離器へ戻すよう作動される第2のポンプと、及び
    少なくとも前記第1のポンプと前記第2のポンプを制御する制御手段とを有するアフェレーシス装置において、
    前記制御手段が、
    前記供血者の全血に関する少なくとも1つの特徴に基づいてクリティカルフローを決定し、
    決定されるクリティカルフローに関わらず、前記遠心分離器へと低密度成分が合計で、前記決定されるクリティカルフローを上回る一定の高速流量で供給されるよう、前記第2のポンプを前記第1のポンプと共に作動させ、
    前記決定されるクリティカルフローと前記高速流量に応じて、当該高速流量と当該クリティカルフローとの差に基づいて、追加の全血処理量を決定し、
    前記第2のポンプの作動を継続しながら前記第1のポンプにより前記追加の全血処理量を供給することを特徴とするアフェレーシス装置。
  2. 前記遠心分離器と関連して動作するよう配置されたセンサーを有し、前記追加の全血処理量の供給が、前記センサーによる検出に基づいて行われ、前記センサーが前記遠心分離器内で前記中間密度成分により占有される領域の回転軸からの半径を監視し、前記半径が特定の値となったことを検出する、請求項1の装置。
  3. 前記少なくとも1つの特徴が前記全血のヘマトクリット値である、請求項1又は2の装置。
  4. 前記制御手段が、前記追加の全血処理量の供給後に、中間密度成分を前記遠心分離器から流出させるべく、低密度成分を前記第1の容器から前記入口ポートへと加速流量で供給するよう前記第2のポンプを作動する、請求項1からの何れか1の装置。
  5. 前記クリティカルフローが前記中間密度成分を所要量で分取すべく決定され、前記少なくとも1つの特徴が前記全血の血小板数を含み、前記高速流量が前記クリティカルフローよりも大きい、請求項1からの何れか1の装置。
  6. 前記一定の高速流量が100mL/分以上である、請求項1からの何れか1の装置。
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