JP4255094B2 - ヒト破骨細胞由来遺伝子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、破骨細胞成熟関連因子、および該因子を発現する細胞の分化を阻害する化合物をスクリーニングする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
正常な骨組織が維持されていくためには、骨芽細胞による骨形成と、破骨細胞による骨吸収がバランスよく保たれている必要がある。このバランスが崩れると骨代謝疾患が生じる。骨代謝疾患としては、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、変形性関節症、糖尿病にともなう骨量の減少、種々のホルモン異常、栄養障害、大理石病、骨軟化症などが挙げられる。例えば骨粗鬆症は、骨の石灰質と骨基質が減少することを特徴とする代表的な骨代謝疾患である。その症状は、破骨細胞による骨吸収が骨芽細胞による骨形成を上回ることによって発生する病態といえる。骨粗鬆症には疼痛を伴い、骨の脆弱化によって骨折が起こりやすくなる。高齢人口の増加に伴って、骨粗鬆症による骨折は、しばしば寝たきり老人の原因にもなることから、その治療薬の開発が急務となっている。しかし、骨粗鬆症治療薬として優れた有効性と、安全性を兼ね備えた薬剤は未だ開発されていない。従って、骨粗鬆症のための医薬品の開発が強く望まれている。
【0003】
骨代謝は、骨吸収を行う破骨細胞と、骨形成を担う骨芽細胞との協調の上に成立している。破骨細胞はマクロファージ系列に属する大型・多核の骨吸収のために特化した細胞で、石灰化骨組織を分解できる唯一の細胞である。破骨細胞の機能については、支持細胞の共存下という特殊な環境のもとで、その分化過程に関与する因子の研究が行われてきた。破骨細胞前駆細胞の同定や単独培養による破骨細胞への分化誘導方法、あるいは単離方法が確立されていないため、破骨細胞分化誘導系は様々な系列の血液細胞の混合物であり、破骨細胞の機能や分化機構の解析を困難にしていた。そのため、現在までに見つかっている分化誘導因子のほとんどは、支持細胞であるストローマ細胞、および骨芽細胞から産生される因子、もしくはこれらの細胞を介した間接的に作用する分化誘導因子であった。
【0004】
最近、骨芽細胞が産生し破骨細胞の分化を直接誘導する因子(Osteoclast Differentiation Factor)の遺伝子がクローニングされ(Lacey, D.L. et al., Cell, 93, 165-176, 1998)ヒトやマウスの骨髄細胞や脾臓細胞から支持細胞の非共存下で破骨細胞を分化誘導することが可能となった。しかし、依然として分化効率は低く高純度の破骨細胞を得ることは不可能であり、破骨細胞前駆細胞の単離方法の確立が望まれていた。
【0005】
本発明者らは高純度に破骨細胞前駆細胞を単離し、支持細胞非存在下で破骨細胞に成熟させる方法を確立した(WO99/53023)。この方法によれば、破骨細胞前駆細胞は、成熟誘導培地に交換後3日間でほぼ100%の細胞が多核の破骨細胞へ成熟する。ここで用いる成熟誘導培地として、GM-CSF、IL-3、IL-7、あるいはEotaxin1、Eotaxin2、そしてEotaxin3などのサイトカインのいずれかを含む培地を利用することにより、破骨細胞への成熟が達成される。この方法に用いる破骨細胞前駆細胞は、既に酒石酸耐性酸性フォスファターゼなどの破骨細胞マーカーのいくつかを発現しており、かなり分化段階の進んだ細胞である。したがってこの前駆細胞は、言わば単核破骨細胞ともいえるものであるが、DMEM (Dulbecco’s Modified Eagle Medium)/10%FBSでの培養ではまったく成熟誘導が起こらない。これほど明確に、かつ厳密にコントロールされた破骨細胞誘導系はこれまでに例がない。この方法によって安定して得られる高純度のヒト破骨細胞は、骨粗鬆症治療薬など破骨細胞機能を調節する医薬品の開発に用いることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、破骨細胞の機能的成熟や活性化に関わる新規因子を提供することである。具体的には、破骨細胞前駆細胞の融合や多核化、あるいは骨吸収能の発現に関わる因子の提供が本発明の課題である。また本発明は、該因子の活性を阻害する化合物のスクリーニング方法、さらにはこのスクリーニング方法により得られる化合物を主成分として含む医薬の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
先に述べたように、本発明者らは、支持細胞非存在下における破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への成熟を可能とする方法を確立した。本発明者らは、以下のような理由により、破骨細胞の成熟活性化に伴って発現を誘導される遺伝子の検索対象として、この方法が有用であると考えた。
この方法は、従来他の研究者により報告されている未精製造血幹細胞からの分化誘導系とは以下の点で大きく異なる。まずこの系では、高純度に精製された前駆細胞を使用する。支持細胞はもちろんのこと、他の血球系細胞も含まないので、成熟誘導刺激に伴って発現誘導される遺伝子は、いずれも破骨細胞自身が発現するものである。次にこの系で用いる破骨細胞前駆細胞の分化段階は破骨細胞の直前であり、しかも均一な細胞集団である。したがって、この細胞集団から得られる遺伝子の発現プロファイルにはノイズが少なく、他の細胞集団との比較が容易である。つまりこの方法を利用することによって、破骨細胞分化の最終段階(多核化から骨吸収能発現)に関わる遺伝子を効率よく得ることができると考えられる。
【0008】
このような背景のもとで、本発明者らは破骨細胞で高度に発現し前駆細胞には見られない遺伝子をサブトラクション法によって単離し、その構造を明らかにした。本発明の遺伝子を単離するために、本発明者らは一般的なPCRサブトラクション法であるcDNA-RDA(Representational Difference Analysis)法(Hubank, M., et al., Nucleic Acids Res., 1994, 22(25):5640-5648)を基に改良を加えた2通りの方法を試みた。すなわち、Tc-RDA法(Tester-captured RDA)、並びにSSH-RDA法(Suppression Subtractive Hybridization RDA)の2通りの方法である。Tc-RDA法では、ハイブリダイゼーション後にビオチン標識されたテスターDNAだけを固相に捉え、大量の余分なドライバーDNAをPCR増幅前に除去する。この工程によって、バックグランドと偽陽性クローンの増幅が低下し、検出感度を高めることができる。一方のSSH-RDA法は、予めSuppression Subtractive Hybridization法(Diatchenko, L. et al., PNAS, 1996, 93:6025-6030)によりcDNAを均一化し、発現レベルの低い遺伝子を濃縮した後にRDA法で選別する方法である。
その結果、破骨細胞への成熟に伴って誘導されるいくつかの遺伝子の単離に成功した。そしてこれらの遺伝子のうち4つが新規な遺伝子であることを確認した。さらに、この新規遺伝子の発現を阻害する化合物が骨代謝疾患治療薬となりうる可能性を持つことを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、以下のポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質、並びにそれらの使用に関する。
【0009】
〔1〕下記(a)または(b)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列のコード領域を含むポリヌクレオチド。
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
〔2〕下記(c)または(d)のいずれかに記載のポリヌクレオチドであって、成熟にともなって破骨細胞前駆細胞において発現が増強するポリヌクレオチド。
(c)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
〔3〕〔1〕または〔2〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質。
〔4〕〔1〕または〔2〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドが挿入されたベクター。
〔5〕〔4〕に記載のベクターを保持する形質転換体。
〔6〕〔5〕に記載の形質転換体を培養し、発現産物を回収する工程を含む、〔3〕に記載のタンパク質を製造する方法。
〔7〕配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドのいずれか、またはその相補鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、少なくとも14ヌクレオチドの鎖長を有するポリヌクレオチド。
〔8〕〔7〕に記載のポリヌクレオチドからなる〔1〕に記載のポリヌクレオチド合成用プライマー。
〔9〕〔7〕に記載のポリヌクレオチドからなる〔1〕に記載のポリヌクレオチド検出用プローブ。
〔10〕配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7に記載のポリヌクレオチドのいずれか、もしくはその一部に対するアンチセンスDNA。
〔11〕〔3〕に記載のタンパク質に対する抗体。
〔12〕〔11〕に記載の抗体からなる破骨細胞の検出用試薬。
〔13〕〔1〕に記載のポリヌクレオチドの発現を指標とする破骨細胞の同定方法。
〔14〕次の工程を含む、破骨細胞への成熟過程を阻害する化合物のスクリーニング方法。
i)標的遺伝子として〔1〕に記載のポリヌクレオチドのいずれかを発現する細胞に被検試料を接触させる工程、
ii)細胞における標的遺伝子の発現レベルを測定し、被検試料を接触させない細胞における発現レベルと比較する工程、
iii)被検試料を接触させない細胞における標的遺伝子の発現レベルと比較して、被検試料と接触させた細胞において標的遺伝子の発現レベルを低下させる試料を選択する工程
〔15〕〔14〕に記載の方法によって選択された化合物を主成分として含む、破骨細胞成熟抑制剤。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、新規破骨細胞成熟関連因子に関する。本発明の成熟関連因子は、支持細胞の非存在下における破骨細胞分化の最終段階において発現する。すなわち、破骨細胞前駆細胞に対する成熟誘導因子の刺激に応答して、破骨細胞前駆細胞において誘導される因子と言うことができる。
本明細書における「破骨細胞」とは、骨組織において骨吸収の機能を有する、大型で多核の細胞をいう。また、本発明における破骨細胞の「成熟」とは、具体的には、破骨細胞前駆細胞における支持細胞非存在下での多核化および骨吸収能の獲得をいう。したがって本発明における「成熟関連因子」とは、破骨細胞において、多核化および/または骨吸収能の獲得にともなって発現が増強する因子と言うこともできる。ここで骨吸収能の獲得とは、まず当該因子自身が破骨細胞による骨吸収作用に直接的に関与している場合、すなわちその因子が破骨細胞に骨吸収作用を与えている場合が含まれる。その他に本発明の破骨細胞成熟関連因子としては、破骨細胞における骨吸収作用を誘導する働きを持つ因子を示すこともできる。すなわち、後者によって前者が誘導される場合には、そのいずれもが本発明の破骨細胞成熟関連因子に含まれる。言いかえれば、本発明の破骨細胞成熟関連因子は、その働きを阻害することによって破骨細胞の条件を満たせなくなる因子と言うこともできる。
【0011】
まず本発明は、下記(a)または(b)のいずれかに記載のポリヌクレオチドに関する。
(a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列のコード領域を含むポリヌクレオチド。
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【0012】
本発明のポリヌクレオチドは、DNA、あるいはRNAであることができる。本発明のポリヌクレオチドは、その長さが制限されず、1本鎖であっても良いし相補鎖との2本鎖を構成したものであることもできる。あるいは本発明のポリヌクレオチドは、各種の標識やタグによって修飾されたものであってもよい。加えて、本発明のポリヌクレオチドは、ゲノムやcDNAに由来するもの、あるいは合成された組換えポリヌクレオチドを含む。
本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列のコード領域からなる。このようなポリヌクレオチドは、当該塩基配列をもとに設計したプライマーを用い、ヒト破骨細胞のmRNAを鋳型としてRT-PCRを行うことによって単離することができる。あるいは、当該塩基配列をもとに設計したプローブを用いて、ヒト破骨細胞のcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。更には、当該塩基配列を持つポリヌクレオチドを化学的に合成することによって得ることもできる。更に、前記ポリヌクレオチドと同じアミノ酸配列をコードし、かつアミノ酸コドンの縮重に基づく異なる塩基配列からなるポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドに含まれる。
【0013】
本発明によるポリヌクレオチドは、そのホモログを含む。本発明のホモログには、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、成熟にともなって破骨細胞前駆細胞において発現が増強するポリヌクレオチドが含まれる。本発明の破骨細胞成熟関連因子のアミノ酸配列である配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列と類似のアミノ酸配列をコードし、しかも破骨細胞に見出すことができるポリヌクレオチドは、本発明に含まれる。
【0014】
本発明におけるホモログには、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、破骨細胞への成熟にともなって破骨細胞前駆細胞において発現が増強するポリヌクレオチドが含まれる。配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは、本発明の破骨細胞成熟関連因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含んでいる。ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、構造的に相同性の高いタンパク質をコードしている可能性が高い。したがって、このようなタンパク質には機能的に同等なタンパク質が多く含まれる。本発明において、高い相同性とは、少なくとも80%以上、好ましくは85%以上の配列の同一性をいう。本発明におけるポリヌクレオチドのホモログは、たとえばマウスやラットのようなヒト以外の種の破骨細胞から得ることができる。本発明において、ストリンジェントな条件とは、たとえば以下のような条件を示すことができる。例えばロングプローブ(50塩基以上)でハイブリダイゼーションを行う場合には、50%の解離を生ずる温度(Tm)の目安を下記計算式から求め、ハイブリダイゼーションの温度を以下のように設定できる。
Tm=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(% G+C)-0.63(% formamide)-(600/n)-1.5(% mismatch)
[Na+]はNaイオン濃度[M]、nはプローブの塩基数である。
ハイブリダイゼーション温度=Tm-25℃
もし、100%相同性で100塩基以上のプローブを用いる場合には、温度条件は下記のように設定できる。
(1)65〜75℃(フォルムアミド無添加)
(2)35〜45℃(フォルムアミド存在下)
短いオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合には、以下の計算式を目安に設定できる。
ハイブリダイゼーション温度=Tm-5℃=2℃×(A+Tの数)+4℃×(C+Gの数)-5℃
本発明におけるストリンジェントな条件とは、上記条件下でハイブリダイズした後、0.2×SSC、0.5%SDSの溶液中で65℃にて洗浄する条件でも依然として陽性のシグナルが観察されることを表す。
これらの条件の組み合わせはあくまでも一例である。当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する各種の要素を調整し、目的のストリンジェンシーを経験的に設定することは自明である。ストリンジェンシーを決定する要因には上記条件の他に、例えば、プローブ濃度やハイブリダイゼーション反応時間なども含まれる。
【0015】
その他、一般に真核生物の遺伝子はインターフェロン遺伝子等で知られているように、多型現象(polymorphism)を示すと考えられている(Nishi, T. et al.J. Biochem., 97, 153-159,1985)。この多型現象によって1または複数個のアミノ酸が置換される場合もあれば、塩基配列の変化がアミノ酸配列の変異をもたらさないこともある。これら多型に基づいて塩基配列に変異を生じたポリヌクレオチドも、本発明に含まれる。
【0016】
本発明に含まれるポリヌクレオチドのホモログは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、あるいは配列番号:7に記載の塩基配列のコード領域に対して、少なくとも80%以上、より望ましくは85%以上の塩基配列を持つポリヌクレオチドである。本発明におけるアミノ酸配列や塩基配列の相同性は、たとえばBLAST(Altschul, S. F., et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)や、Genetyx(ソフトウェア開発)の「Lipman-Pearsonアルゴリズム」(Lipman, D. J. and Pearson, W. R. 1985, Science 227:1435-1441)によって求めることができる。
なお、本発明に基づくアミノ酸配列、並びに塩基配列は、その配列を米国NIHのホモロジー検索プログラムBLASTによって検索し、得られた候補配列について、遺伝子解析プログラムGenetyx(ソフトウェア開発)で解析した。その結果、#7-44、#58、および#120については、80%以上の相同性を持つアミノ酸配列、あるいは塩基配列は確認できなかった。#89においては、85%以上の相同性を持つアミノ酸配列、あるいは塩基配列は確認できなかった。#89に対して約80%の相同性を備えたマウスの遺伝子が公知であったが、破骨細胞との関連性は無く、本発明の破骨細胞成熟関連因子は、いずれも新規な遺伝子であることが確認された。
【0017】
加えて本発明は、前記ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質に関する。したがってたとえば本発明は、配列番号:2、4、6、および8のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明において、これらのタンパク質をそれぞれ、OC#89(配列番号:2)、OC#7-44(配列番号:4)、OC#58(配列番号:6)、およびOC#120(配列番号:8)と名づけた。これらのタンパク質は、いずれも破骨細胞において発現が増強する遺伝子によってコードされるタンパク質である。
また本発明は、前記ポリヌクレオチドのホモログによってコードされるタンパク質に関する。このタンパク質は、配列番号:2、4、6、および8のいずれかのアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記ポリヌクレオチドのホモログによってコードされるタンパク質を含む。変異の数は、少なくとも全アミノ酸の15%以内であり、好ましくは全アミノ酸の10%以内である。本発明によるこれらのタンパク質は、破骨細胞成熟関連因子と呼ぶことができる。
【0018】
本発明の破骨細胞成熟関連因子は、破骨細胞から公知の方法によって精製することができる。あるいは、前記アミノ酸配列をコードする遺伝子を利用して組み換え体として得ることもできる。前記アミノ酸配列をコードする遺伝子と、それを利用した組み換え体の製造方法については後に具体的に記載する。
本発明のタンパク質は、破骨細胞への成熟に伴って発現することから、破骨細胞のマーカーとして有用である。また、本発明のタンパク質、あるいはその断片は、その抗体を得るための免疫原として用いることができる。
【0019】
本発明のポリヌクレオチドを用いて、本発明のタンパク質を組み換え体として得ることができる。組み換え体を産生するために必要な操作は、例えば「Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版第1-3巻」(Sambrook, J. et al., Cold Spring Harber Laboratory Press出版 New York 1989年)などの多くの文献に詳細に記述されている。具体的には、発現させたいDNAの上流に翻訳開始コドンを付加し、下流には翻訳終止コドンを付加する。さらに、転写を制御するプロモーター配列(例えば、trp、lac、T7、SV40初期プロモーター)等の制御遺伝子を付加し、適当なベクターに組み込んで宿主細胞内で複製し、機能する発現プラスミドを作製することができる。適切な発現ベクターとしては、例えば、細菌についてはpRSET、pET、pGEMEX、pKK233-2など、酵母についてはpYES2、昆虫細胞についてはpVL1393、pFastBac1、動物細胞についてはpEF-BOS、pSRα、pDR2等が挙げられる。
【0020】
次に、発現プラスミドを適当な宿主細胞に導入して、形質転換体を得る。宿主細胞としては、大腸菌などの原核生物、酵母のような単細胞真核生物、昆虫、哺乳類などの多細胞生物の細胞などが挙げられる。好ましくは、哺乳類の細胞であり、哺乳類の細胞としては、CHO細胞、293細胞、COS7細胞などが例示できる。この形質転換体を培養することにより、タンパク質を産生させることができる。
【0021】
得られたタンパク質は、当業者に周知の硫安沈殿、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、あるいは疎水クロマトグラフィー等の手法を単独あるいは組み合わせて精製することができる(Imai et al. J. Biol. Chem., 271, 21514-21521, 1996)。
また本発明のタンパク質を、HisタグやHAタグのような結合親和性を持つタンパク質との融合タンパク質として発現させることにより、アフィニティクロマトグラフィーを用いた精製方法を適用することもできる。
【0022】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、あるいはその相補鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、少なくとも14ヌクレオチドの鎖長を有するポリヌクレオチドに関する。このようなポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドのためのプローブやプライマーとして有用である。
与えられた塩基配列に基づいてプライマーの塩基配列を設計することは、当業者が通常行いうることである。また、検出すべき塩基配列と公知の塩基配列を比較して、適切なプローブを設計することも当業者には自明である。本発明のDNAをプローブとして用いるときには、ジゴキシゲニンやビオチンのような親和性物質、あるいはFITCやローダミンのような蛍光物質を利用して公知の方法によって標識することができる。必要な塩基配列を持つポリヌクレオチドは、化学的に、あるいは酵素的に合成することによって得ることができる。
【0023】
本発明に基づくプローブ、あるいはプライマーは、本発明のポリヌクレオチドやそれが転写されたmRNAの検出に用いることができる。DNAはサザンブロット法やPCR法により、またmRNAはノーザンブロット法やRT-PCR法により検出することができる。本発明のポリヌクレオチドが破骨細胞への成熟に伴って発現することから、本発明に基づくプローブやプライマーを用いて、破骨細胞の成熟を知るための試薬を得ることができる。この試薬は、たとえば骨代謝状態の診断剤として有用である。すなわち、滑膜組織や関節液等の生体試料における、本発明のプローブやプライマーによる検出シグナルの上昇は、破骨細胞の増加や活性の上昇を意味している。
【0024】
本発明によって決定された破骨細胞成熟関連因子をコードする遺伝子の情報を利用して、プロモーターやエンハンサーを単離することができる。本発明による遺伝子の塩基配列は、配列番号:1、3、5、および7に示すとおりである。更に実施例において確認したとおり、これらの遺伝子は以下のようにマッピングされた。
#89(配列番号:1):Chr.11q12-13(D11S1357-D11S913:62.5-70.9cM)
#7-44(配列番号:3):Chr.3q29(D3S1265-qTEL:228.0-233.0cM)
#58(配列番号:5):Chr.9q33(D9S1821-D9S159:137.6-142.7cM)
#120(配列番号:7):Chr.1q12-21.1(D1S514-D1S2635:157.4-170.1cM)
したがって、この領域を含むゲノムライブラリーを、配列番号:1、3、5、あるいは7に記載の塩基配列に基づくプローブでスクリーニングすることによって、本発明の破骨細胞成熟関連因子のゲノムDNAを単離することができる。たとえば#89(配列番号:1)のゲノムは、ヒト11番染色体のゲノムDNAの断片を含むPACクローンpDJ606g6(アクセション番号AC004126)のDNA配列上に8個のエクソンに分割されて含まれていた。これらの単離されたゲノムDNAをもとに、プロモーターやエンハンサー等の発現制御領域を取得することができる。こうして取得された発現制御領域は、生体における転写調節因子の単離や、発現の制御を目的とする医薬品の開発に利用することができる。
【0025】
また、本発明が明らかにした新規遺伝子の塩基配列に基づいて、該新規遺伝子産物の発現を制御しうるアンチセンスDNAが提供される。本発明によるアンチセンスDNAは、該新規遺伝子の発現亢進によってもたらされる病態の制御に有用である。あるいは該新規遺伝子の破骨細胞における役割を明らかにするための重要なツールとなる。アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNAの鎖長は少なくとも10塩基以上であり、好ましくは15塩基以上である。
【0026】
更に本発明は、本発明のタンパク質に対する抗体に関する。本発明の抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体のいずれをも含む。これらの抗体は、本発明のタンパク質、またはその断片を免疫原として公知の方法に基づいて作成することができる。
たとえば本発明のモノクローナル抗体は、次のようにして得ることができる。まず、本発明のタンパク質を抗原としてマウスやラットやハムスターを免疫し、脾臓またはリンパ節からリンパ球を取り出し、ミエローマ細胞と融合させてKohlerとMilsteinの方法(Nature, 256, 495-497, 1975)、またはその改良法であるUedaらの方法(Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 79, 4386-4390, 1982)等に従ってハイブリドーマを作製する。得られたハイブリドーマのうち、目的とする反応特性を持つ抗体を産生するものをクローニングし、これを培養することによってモノクローナル抗体を産生させることができる。モノクローナル抗体は、免疫原のタンパク質に特徴的に見出される構造を認識するものを選択することにより、そのタンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体とすることができる。本発明のタンパク質に特徴的な構造は、たとえば本発明のタンパク質を構成するアミノ酸配列に特異的に見出されるアミノ酸配列を選択することによって推測することができる。
【0027】
またポリクローナル抗体は、例えば、「Antibodies; A Laboratory Manual, Lane, H.D.ら編」(Cold Spring Harber Laboratory Press出版 New York 1989年)などに記載の方法に従って作製することができる。つまり、精製した本発明のタンパク質、あるいはその断片を抗原として用いて、適切な方法で動物を免疫することにより、抗原となるタンパク質を特異的に認識する抗体を容易に作製し、精製することができる。ポリクローナル抗体を得るための免疫動物としては、一般にマウス、ラット、ハムスター、あるいはウサギ等が用いられる。いずれの場合においても、タンパク質断片を免疫原に用いるには、KLHやアルブミンのようなキャリアータンパク質と結合させることによって、免疫原性を高めることができる。
【0028】
本発明の抗体は、本発明のタンパク質の検出に用いることができる。試料中のタンパク質を抗体によって検出する方法は、イムノブロット法、イムノアッセイ法、あるいは免疫染色法等として公知である。また、これらの検出方法に用いるために、抗体を直接、あるいは間接的に標識する方法も公知である。標識には、一般に酵素、放射性同位元素、あるいは蛍光物質などが用いられる。本発明のタンパク質は、破骨細胞への成熟にともなって発現が増強する。したがって、その免疫学的な検出によって、破骨細胞の成熟を知ることができる。
【0029】
更に本発明は、破骨細胞への成熟過程を阻害する化合物のスクリーニング方法に関する。本発明のスクリーニング方法は、次の工程を含む。
i)本発明のポリヌクレオチドを発現する細胞に被検試料を接触させる工程、
ii)細胞における標的ポリヌクレオチドの発現レベルを測定し、被検試料を接触させない細胞における発現レベルと比較する工程、
iii)被検試料を接触させない細胞における標的ポリヌクレオチドの発現レベルと比較して、被検試料と接触させた細胞において標的ポリヌクレオチドの発現レベルを低下させる試料を選択する工程
【0030】
本発明のスクリーニング方法において、本発明のポリヌクレオチドとは、たとえば配列番号:1、3、5、あるいは7に記載された塩基配列のコード領域を含むDNAを利用することができる。これらのDNAを発現する細胞として、WO99/53023に記載の方法によって破骨細胞前駆細胞から成熟させた破骨細胞を用いることができる。あるいは、本発明のDNAを含む発現ベクターを導入した形質転換体を用いることもできる。一方、本発明のスクリーニングに用いる被検試料には、低分子有機化合物やタンパク質のライブラリー、あるいは動植物や微生物に由来する成分などを用いることができる。
【0031】
細胞における標的ポリヌクレオチドの発現レベルは、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるプローブを用いたノーザンブロッティング法によって確認することができる。標的ポリヌクレオチドの発現レベルは、遺伝子の発現レベルのみならずタンパク質の発現量として追跡することもできる。
【0032】
なお本発明のスクリーニング方法において、標的ポリヌクレオチドの発現レベルとは、タンパク質の持つ生理活性のみならず、タンパク質そのものの発現レベルをも含むものである。本発明のスクリーニングにおける標的タンパク質の発現レベルは、たとえば本発明の抗体を利用したウェスタンブロット法等によって比較することができる。
【0033】
本発明のスクリーニング方法によって選択される化合物は、破骨細胞成熟抑制剤として有用である。本発明の破骨細胞成熟抑制剤は、前記スクリーニング方法によって選択された化合物を有効成分として含み、生理学的に許容される担体、賦形剤、あるいは希釈剤等と混合することによって製造することができる。本発明の破骨細胞成熟抑制剤は、骨代謝の改善を目的として、経口、あるいは非経口的に投与することができる。
経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、溶剤、乳剤、あるいは懸濁剤等の剤型とすることができる。非経口剤としては、注射剤、点滴剤、外用薬剤、あるいは座剤等の剤型を選択することができる。注射剤には、皮下注射剤、筋肉注射剤、あるいは腹腔内注射剤等を示すことができる。
【0034】
投与量は、患者の年齢、性別、体重および症状、治療効果、投与方法、処理時間、あるいは該医薬組成物に含有される活性成分の種類などにより異なるが、通常成人一人あたり、一回につき10μgから1000mgの範囲で投与することができる。しかしながら、投与量は種々の条件により変動するため、上記投与量よりも少ない量で充分な場合もあり、また上記の範囲を超える投与量が必要な場合もある。
また、該化合物がDNAによりコードされうるものであれば、該DNAを遺伝子治療用ベクターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0035】
【実施例】
本発明の各工程において用いた一般的な実験手法(DNAのアガロースゲル電気泳動、ライゲーション反応、大腸菌の形質転換、DNAの制限酵素による消化、ノザン解析など)は「Current Protocols in Molecular Biology」 (F.M. Ausubel et al. Ed., John Wiley & Sons. Inc. )によった。
【0036】
〔実施例1〕 破骨細胞由来新規遺伝子の単離
(1)ヒト破骨細胞前駆細胞の精製と破骨細胞への誘導方法
慢性関節リウマチ患者の関節より関節液を得た。関節液は4℃で試験管中に保存した。なお、以下の操作は原則として無菌条件下にて行った。1〜数十mlの関節液に等量のRPMI1640培地(GIBCO-BRL#22400またはその等価物)を添加した後、1000〜2000rpm、4℃、5分間遠心分離し、顆粒球やリンパ球などを含む細胞画分を得た。この細胞画分を、10%牛胎仔血清を添加したDMEM(GIBCO-BRL#12430-21またはその等価物)にて、37℃、5〜7% CO2下で数週間培養した。この培養により、破骨細胞前駆細胞以外の細胞は死滅し、ほぼ純粋な破骨細胞前駆細胞を得ることができた。
【0037】
精製された破骨細胞前駆細胞を成熟誘導培地(AIM-V培地:GIBCO-BRL#87-0112 400ml、RPMI1640培地:GIBCO-BRL#22400 60ml、ヒトT-STIM with PHA:Beckton Dickinson#40045 40ml、非働化ウシ胎仔血清 50ml、ペニシリン100U、100μg/mlストレプトマイシン)による培養で刺激すると、37℃、48〜96時間で成熟誘導が観察され、破骨細胞を得ることができた。
形態学的観察、TRAP染色、骨吸収能観察によって、得られた細胞が破骨細胞であることを確認した。
【0038】
形態学的観察: May-Giemsa染色(MERCK)により細胞を染色し顕微鏡を用いて観察した。この結果、成熟前の破骨細胞前駆細胞は単球様の形態を有するのに対して、得られた破骨細胞は全て多核(3〜100以上)の巨細胞であることが認められた。
【0039】
TRAP染色: 成熟前の破骨細胞前駆細胞および成熟後の破骨細胞を、酒石酸耐性酸フォスファターゼ(Tartrate-resistant acid phosphatase:TRAP)染色キット(SIGMA Co.)により染色し、顕微鏡を用いて観察した。この結果、 成熟前の細胞(破骨細胞前駆細胞)でもTRAP陽性であるが、成熟後の細胞(破骨細胞)は核周囲に殊に強いTRAP陽性像があることが認められた。
【0040】
骨吸収能: 象牙スライスに成熟前の破骨細胞前駆細胞を加えて、破骨細胞への成熟のおこる条件で培養した。培養後にヘマトキシリン(SIGMA Co.)で象牙スライスを染色し位相差顕微鏡を用いて観察した。成熟前の破骨細胞前駆細胞は象牙スライスに変化を及ぼさないのに対して、成熟後の破骨細胞はリン酸カルシウムを吸収し、吸収された部分の象牙スライスは濃く染色された。また、成熟後の破骨細胞により吸収された象牙スライスを走査電子顕微鏡を用いて観察した結果、中央部に吸収窩の形成が認められた。これは象牙質中のリン酸カルシウムが吸収されたことにより、コラーゲン繊維が露出したことにより形成されたものである。
【0041】
さらに、リン酸カルシウム焼結石英ディスク(OsteologicTM、住商ファーマ)の上で、破骨細胞前駆細胞を成熟させ、リン酸カルシウム焼結石英ディスクを位相差顕微鏡を用いて観察した。成熟前の破骨細胞前駆細胞はリン酸カルシウム焼結石英ディスクに変化を及ぼさないが、成熟後の破骨細胞はリン酸カルシウムの吸収(結晶に空隙のできている部分)が認められた。
以上の結果より、成熟前の細胞が破骨細胞前駆細胞であること、および成熟後の細胞が破骨細胞であることが確認された。
【0042】
(2)破骨細胞成熟に伴って発現誘導される遺伝子の単離
ヒト破骨細胞前駆細胞と破骨細胞それぞれより、AGPC法 (Analytical Biochemistry, 162, 156-159, 1987) により全RNAを調製し、以降のcDNA合成の鋳型とした。cDNA合成は基本的にはGIBCO BRL社製 SuperScript Plasmid Systemを用いてインストラクションマニュアルに従っておこなった。
破骨細胞特異的遺伝子の選別のためのサブトラクション法としては、Tc-RDA法、並びにSSH-RDA法の2通りの方法を用いた。Tc-RDA法はcDNA-RDA法を簡略かつ効率的に改良した方法である。また、SSH-RDA法はSSH法とRDA法を組み合わせたものである。
(a)Tc-RDA法による破骨細胞新規遺伝子(#58, #89, #120)の単離
PCRには、以下に示すオリゴヌクレオチドをプライマーとして利用した。
R-24 5'- AGCACTCTCCAGCCTCTCACCGCA -3' ;(配列番号:9)
R-12 5'- GATCTGCGGTGA -3' ;(配列番号:10)
J-24 5'- ACCGACGTCGACTATCCATGAACA -3' ;(配列番号:11)
J-12 5'- GATCTGTTCATG -3' ;(配列番号:12)
N-24 5'- AGGCAACTGTGCTATCCGAGGGAA -3' ;(配列番号:13)
N-12 5'- GATCTTCCCTCG -3' ;(配列番号:14)
【0043】
前駆細胞(ドライバー)および破骨細胞(テスター)からそれぞれ抽出したRNA5μgから二本鎖cDNAを合成し、制限酵素Sau3AIで消化断片化した後、アタプターR(R-24およびR-12の混合物:配列番号:9および10)をライゲーションした。それぞれの一部をPCRプライマーR-24(配列番号:9)を用いたPCRで増幅した。PCR反応条件は10倍バッファー10μl、2.5mM dNTPs 10μl、100μM R-24 プライマー、2.5U/μl Ex Taq DNA polymerase (宝酒造社製)2μlを混合した反応液100μlを94℃;1分間、72℃;3分間を20回でおこなった。
上記の増幅cDNAのうち破骨細胞に由来するものについて、Sau3AI消化でアダプターRを切断した後、GFX PCR purification kit(ファルマシア社製)を用いてアダプターRを除去し、cDNAを精製した。次にアダプターJ(5’-ビオチン化J-24およびJ-12の混合物:配列番号:11および12)をライゲーションした。
【0044】
ビオチン化アダプターJ付加破骨細胞cDNA 0.4μgとアダプターR付加破骨細胞前駆細胞cDNA 40μgを混合、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿後EE×3(30mM EPPS, 3mM EDTA, pH8.0)4μlに溶解した。ミネラルオイル10μlを重層し、98℃、10分間の処理でcDNAを変性後、5M NaCl 1μlを混合しヒートブロックで67℃20時間インキュベートした。
反応液に5μg/μl コムギ胚芽 tRNAを 8μl混合、サブトラクションバッファー(50mM Hepes, 2mM EDTA, 0.5M NaCl, pH7.6)200μlで希釈した後、ストレプトアビジン結合PCRチューブに移して室温30分間インキュベートし、ビオチン化cDNAを捕捉した。
ストレプトアビジン結合PCRチューブに結合しなかった余分のcDNAを洗浄バッファー(10mM TrisHCl, 1mM EDTA, 0.5M NaCl pH8.0)200μlで5回洗浄し除去した。洗浄液をできるだけ完全に除いた後、上記PCR反応液(ただしプライマーはJ-24プライマー(配列番号:11)を使用)100μlを添加し、94℃;1分間、72℃;3分間を1サイクルとして20サイクルのPCR増幅をおこない、First subtracted cDNA とした。
【0045】
上記GFX PCR purification kitを用いてFirst subtracted cDNAを精製し、Sau3AI消化によりアダプターJを切断した。GFX PCR purification kitで切断したアダプターを除去した後、次にアダプターN(5’-ビオチン化N-24および N-12の混合物:配列番号:13および14)をライゲーションした。
ビオチン化アダプターN付加First subtracted cDNA 10ngとアダプターR付加破骨細胞前駆細胞cDNA 40μgを混合した。これをフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿後EE×3(30mM EPPS, 3mM EDTA, pH8.0)4μlに溶解した。ミネラルオイル10μlを重層し、98℃、10分間の処理でcDNAを変性後、5M NaCl 1μlを混合しヒートブロックで67℃20時間インキュベートした。
反応液に5μg/μl コムギ胚芽 tRNAを 8μl混合、サブトラクションバッファー(50mM Hepes, 2mM EDTA, 0.5M NaCl, pH7.6)200μlで希釈した後、ストレプトアビジン結合PCRチューブに移して室温30分間インキュベートし、ビオチン化cDNAを捕捉した。
ストレプトアビジン結合PCRチューブに結合しなかった余分のcDNAを洗浄バッファー(10mM TrisHCl, 1mM EDTA, 0.5M NaCl pH8.0)200μlで5回洗浄して除去した。洗浄液をできるだけ完全に除いた後、上記PCR反応液(ただしプライマーはN-24プライマー(配列番号:13)を使用)100μlを添加、94℃;1分間、70℃;3分間を1サイクルとして20サイクルのPCR増幅をおこない、Second subtracted cDNA とした。
【0046】
Second subtracted cDNAから任意に選択したクローンについて、破骨細胞前駆細胞と破骨細胞における発現量をノザン解析によって調べ、破骨細胞において発現増強しているクローンについて塩基配列を決定し、3種類の新規遺伝子cDNA断片(OC#58、OC#89、OC#120)を得た。
【0047】
(b)SSH-RDA法による破骨細胞新規遺伝子(#7-44)の単離
操作の前半は、Clontech社製「PCR-Select cDNA-RDA Subtraction Kit」を使用し、インストラクションマニュアルに従って行った。後半は、cDNA-RDA法をアダプター配列が異なる以外は原法(Hubank, M. et al., Nucleic Acids Res., 1994, 22(25):5640-5648)どおりに行った。具体的な操作については以下に述べる。使用したオリゴヌクレオチドは以下の通りである。(配列番号:15〜24はClontechキットに添付)
ただし、Adaptor 1(配列番号:16)は、オリゴヌクレオチドの35番目から44番目が下記のように2本鎖になっており、Adaptor 2R(配列番号:17)は、オリゴヌクレオチドの33番目から42番目が2本鎖になっている。
【0048】
破骨細胞前駆細胞(ドライバー)および破骨細胞(テスター)からそれぞれ抽出したポリA+RNA2μgから2本鎖cDNAを合成し、制限酵素RsaIで消化断片化した後、テスターcDNAを2等分してテスター1および2とし、それぞれにAdaptor 1および2R(配列番号:16および配列番号:17)をライゲーションした。アダプター付加テスターcDNA各10ng (1.5μl)をRsaI消化ドライバーcDNA約300ng(1.5μl)と4×hybridization buffer 1μlを混合、ミネラルオイルを1滴重層してハイブリダイゼーション(68℃、8時間)した。1stハイブリダイゼーション終了後速やかに、予め熱変性しておいたRsaI消化ドライバーcDNA約200ng(1μl)、4×hybridization buffer 1μl、H2O 2μlの混合液1μlと1stハイブリダイゼーション各4μlを混合、ミネラルオイルを1滴重層して68℃、16時間ハイブリダイゼーションを行った。2ndハイブリダイゼーション後、dilution buffer 105μlで希釈し、68℃、7分間加熱した。
【0049】
2ndハイブリダイゼーション2.5μlを使用して予備検討を行い、飽和直前のPCRサイクル数を決定した。PCR条件は50μl反応中10×Pfu buffer 5μl、2mM dNTPs 5μl、1μg/μl PCR primer 1(配列番号:18)0.5μl、Pfu DNA polymerase 0.5μlの組成で72℃、5分間のFill in反応の後、反応サイクル(94℃、1分⇒60℃、1分⇒72℃、3分)で行った。決定した最適サイクル数で残り100μl(40本分)の2ndハイブリダイゼーションをPCR増幅した。40本の反応液合計2mlをフェノール・クロロホルム抽出、エタノール沈殿後、H2O 50μlに溶解した。DNA濃度を測定し、約1μgを分注、RsaI消化してアダプターを切り離した後、Gene Clean (FUNAKOSHI)によりDNAを精製、アダプターを除去した。
【0050】
精製されたDNA約50ngについてアダプターad2(配列番号:19、20の混合物)をライゲーションした。diluted ad2 cDNA 0.3ng(1μl)、RsaI消化ドライバーcDNA約300ng(1μl)、4×hybridization buffer 1μl、H2O 1μlを混合し、98℃、2分間の熱変性後、68℃、16時間の3rdハイブリダイゼーションを行った。
dilution buffer 53μlで希釈し、68℃、7分間加熱した。このうち2.5μlを使用して上記と同様に予備検討を行い、飽和直前のPCRサイクル数を決定した後、残りのcDNAについてPCR増幅した。増幅したcDNA断片を回収精製した後、約1μg分をRsaI消化、Gene Cleanによりアダプターを除去した。
【0051】
精製されたDNA約50ngについてアダプターad3(配列番号:21、22の混合物)をライゲーションした。diluted ad3 cDNA 10pg(1μl)、RsaI消化ドライバーcDNA約300ng(1μl)、4×hybridization buffer 1μl、H2O 1μlを混合し、98℃、2分間の熱変性後、68℃、16時間の3rdハイブリダイゼーションを行った。
dilution buffer 53μlで希釈し、68℃、7分間加熱した。このうち2.5μlを使用して上記と同様に予備検討を行い、飽和直前のPCRサイクル数を決定した後、残りのcDNAについてクローニングに必要な本数だけPCR増幅した。増幅したcDNA断片を回収精製した後、pGEM-T TA cloning kit (Promega)を用いてクローニングした。これらについて前駆細胞と破骨細胞における発現量をノザン解析によって調べ、破骨細胞において発現増強しているクローンについて塩基配列を決定し、新規遺伝子cDNA断片(OC#7-44)を得た。
2種類のサブトラクション法により、合計4種類の破骨細胞において発現増強する新規遺伝子を得た。単離されたこれらの遺伝子のノザン解析の結果を図1に示す。いずれのクローンも破骨細胞前駆細胞(pOC)と比べて破骨細胞(OC)の方が、発現量が多いことが確認された。
【0052】
(3)新規遺伝子の全量cDNAの単離および染色体座の推定
単離した4種類の新規遺伝子の全長cDNAを得るために、破骨細胞由来粗RNAからGIBCO BRL社製 SuperScript Plasmid Systemを用いて2本鎖cDNAライブラリーを作製し、放射標識した各新規遺伝子cDNA断片をプローブに用いてコロニーハイブリダイゼーションを行った。陽性シグナルを示したクローンを単離し、挿入cDNAサイズがmRNAサイズと一致するものを選別、全長cDNAとして構造解析した。塩基配列の決定はABI PRISM310ジェネティックアナライザーおよびBig Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(アプライドバイオシステム社製)を用いて行った。
決定された配列と一致するESTクラスターをデータベースUniGene(インターネットアドレスhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)で検索することによってこの遺伝子の染色体座が推定されているかを確認した。染色体座が判らないものに関してはRadiation Hybrid Panel GeneBridge (Reaserch Genetics社製)を用いてRHマッピングを行い、染色体座を推定した。
【0053】
(a) 新規遺伝子#89
#89のサブトラクション断片をプローブとして、2031bpの全長cDNAをクローニングし、構造を決定した(配列番号:1)。この配列はホモロジー検索プログラムBLASTで検索したところ、ヒト11番染色体のゲノムDNAの断片を含むPACクローンpDJ606g6(アクセション番号AC004126)のDNA配列上に8個のエクソンに分割されて含まれていた。この遺伝子は581残基のアミノ酸配列(配列番号:2)よりなるORF (open reading frame)を有し、コードされるタンパク質の分子量は約64kDaと予想された。データペースUniGeneの検索の結果、#89の染色体座は、Chr.11q12-13(D11S1357-D11S913:62.5-70.9cM)の領域であった。
【0054】
(b) 新規遺伝子#7-44
#7-44のサブトラクション断片をプローブとして、1030bpの全長cDNAをクローニングし、構造を決定した(配列番号:3)。ORF解析からは、該遺伝子によりコードされるタンパク質は、209アミノ酸(配列番号:4)、分子量約23kDaと予想された。また、3kb mRNAに相当する3kb cDNAもクローニング、塩基配列を決定した結果、ORFは1kb cDNAと同一でコードされるタンパク質は配列番号:4に等しいことが確認された。すなわち3kb mRNAは転写終結が約2kb下流で起こったために3'非翻訳領域が長くなったものであった。
【0055】
データベースUniGeneの検索の結果、#7-44の染色体座は不明であったのでRHマッピングを行った。#7-44の配列の中からゲノムDNAを増幅できるプライマーを選び、GeneBridge4 RHパネルの93種類のDNAを鋳型にPCR増幅した。プライマーの塩基配列を次に示す。
7-44-6:5'-ATCCATGGATCACCTGGAAG-3'(配列番号:23)
7-44-27:5'-GTACGAATTATAAACAAACTTCCC-3'(配列番号:24)
それぞれでの#7-44断片の増幅の有無を1あるいは0で表記したマトリックスをrhmapperプログラム(インターネットアドレスhttp://www.genome.wi.mit.edu/)で解析し、染色体上の位置を推定した。その結果、#7-44遺伝子は3番染色体長腕のテロメア近傍Chr.3q29(D3S1265-qTEL:228.0-233.0cM)に位置していると推定された。
【0056】
(c) 新規遺伝子#58
#58のサブトラクション断片をプローブにして、3995bpの全長cDNAをクローニングし、構造を決定した(配列番号:5)。ORF解析からは、該遺伝子によりコードされるタンパク質は、746アミノ酸(配列番号:6)、分子量約85kDaと予想された。データベースUniGeneの検索の結果、#58の染色体座はChr.9q33(D9S1821-D9S159:137.6-142.7cM)の領域であった。
【0057】
(d) 新規遺伝子#120
#120のサブトラクション断片をプローブにして、1648bpの全長のcDNAをクローニングし、構造を決定した(配列番号:7)。ORF解析からは、該遺伝子によりコードされるタンパク質は、409アミノ酸(配列番号:8)、分子量約46kDaと予想される。データベースUniGeneの検索の結果、#120の染色体座は、Chr.1q12-21.1(D1S514-D1S2635:157.4-170.1cM)の領域であった。
【0058】
〔実施例2〕 新規遺伝子産物の推定アミノ酸解析
(a) 新規遺伝子OC#89によりコードされるタンパク質確定したヒトOC#89 cDNAの塩基配列(配列番号:1)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:2)を配列表に示す。ヒトOC#89 cDNAは全長2,031bpからなり、3’非翻訳領域にポリA付加シグナルが見られた。この遺伝子は581個のアミノ酸配列よりなるORF (open reading frame)を有し、12カ所に疎水性の強い領域(下線)を有する遺伝子であることが明らかになり、膜タンパク質であることが推定される。この581個のアミノ酸からなるタンパク質の分子量は、計算によると63,556Daであった。
【0059】
ホモロジー検索プログラムBLASTを用いて検索された類似タンパク質とのアミノ酸配列の類似性解析を遺伝子解析プログラムGenetyx(ソフトウェア開発社製)で行ったところ、#89はマウスcAMP inducible 1 protein (Genbank accession# AC121080)と80%、ラットヒスチジントランスポーター(Genbank accession# AB000280)と51%のホモロジーを示した。
また、ラットヒスチジントランスポーター(Yamashita, T. et al., J. Biol. Chem. 272: 10205-10211, 1997)との類似性からヒトOC#89は12回膜貫通トランスポーターファミリーのうちでも、プロトン勾配依存性ペプチドシンポーターのサブファミリーに属する新規トランスポーターであることが推定された。骨吸収部位におけるpH勾配を利用したペプチド(例えば骨基質タンパクの分解産物など)の能動輸送に関わっている可能性が考えられ、破骨細胞の骨吸収機能発現に重要であると考えられた。
【0060】
(b) 新規遺伝子OC#7-44によりコードされるタンパク質
ホモロジー検索の結果、新規遺伝子OC#7-44は4回膜貫通のテトラスパン(Tetraspan)ファミリーに属することが分かったが、そのいずれともホモロジーは低かった(約30%)。テトラスパンファミリーに属する膜タンパクはCD9、CD37、CD53、CD63、CD81、CD82、CD151など主に血球系細胞に発現する膜蛋白であり、インテグリンなど細胞接着因子と複合体を形成し細胞増殖や活性化の調節、細胞凝集に関わっているものと予想されている。成熟誘導刺激をうけた破骨細胞前駆細胞がお互い細胞融合して多核になるために#7-44テトラスパン膜タンパクが機能している可能性が考えられる。
【0061】
(c) 新規遺伝子OC#58によりコードされるタンパク質
ホモロジー検索の結果、新規遺伝子OC#58の産物は、既知の何れのタンパク質ともホモロジーがなかった。いくつかのESTとの相同性が見出されたが、その多くは非翻訳領域に相当する部分であった。該タンパク質は細胞内局在推定プログラムPSORT II(インターネットアドレスhttp://psort.nibb.ac.jp:8800/)による解析の結果、56.5%:核、30.4%:細胞質、8.7%:細胞骨格、4.3%:液胞であることが分かった。また、ドメイン構造検索プログラムPfam(インターネットアドレスhttp://www.sanger.ac.uk/)による解析結果から、不完全ではあるがPH (Pleckstrin homology)ドメインを有することより、核あるいは細胞質のシグナル伝達アダプター分子である可能性が考えられる。
【0062】
(d) 新規遺伝子OC#120によりコードされるタンパク質
ホモロジー検索の結果、新規遺伝子OC#120の後半部分約60アミノ酸が、マウスc-Jun leucine zipper interactive (PIR#B46132)とほぼ一致した。マウスで報告されたアミノ酸配列は、本発明のOC#120のマウスにおけるホモログの部分配列である可能性が考えられた。タンパク質ドメイン構造検索プログラムPfamによる解析の結果、C末端にロイシンジッパー様のコイルドコイル構造、N末端側に明確なPH (Pleckstrin homology)ドメインを持つこと、また細胞内局在推定プログラムPSORT IIによる解析では、73.9%:核、13.0%:細胞質、4.3%:細胞骨格、4.3%:液胞であることが分かった。したがってこの遺伝子産物は、転写因子、あるいはシグナル伝達アダプター分子である可能性が考えられる。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、破骨細胞への成熟に伴って発現が増強する新規な遺伝子を提供する。これらの遺伝子やその発現産物は、破骨細胞の成熟の指標として有用である。本発明の破骨細胞成熟関連因子は、破骨細胞への成熟に伴って、この細胞自身が発現する遺伝子である。したがって、破骨細胞の成熟状態を知る指標として、特異的で、しかも直接的な情報を与える。
本発明によれば、前記破骨細胞成熟関連因子の遺伝子発現を阻害する化合物のスクリーニング方法が提供される。本発明によってスクリーニングされる該成熟関連因子の発現阻害物質は、破骨細胞への成熟を阻害する物質として、骨粗鬆症やリウマチにおける骨破壊等の各種骨代謝疾患の治療に有用であると考えられる。さらに、本発明の新規遺伝子は、その発現レベルを測定することで、骨代謝に関連する各種疾患の診断、病態解明のための指標として有用である。
また、本発明の破骨細胞成熟関連因子は、支持細胞非存在下で、破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への成熟誘導に伴って発現する因子として見出されたものであることから、従来のストローマ細胞、および骨芽細胞と関連した因子とは違う新規なものである。よって該因子は、骨吸収抑制の新たな標的分子となり、従来の薬剤とは作用機序の異なる、新たな薬剤の研究開発に貢献すると考えられる。
【0064】
【図面の簡単な説明】
【図1】各クローンの単核破骨細胞と多核破骨細胞における発現量をノザン解析した結果を示す図。図中pOC、OCはそれぞれ単核破骨細胞、多核破骨細胞を表す。U937は単球系骨髄性白血病細胞株(ATCC#: CRL-1593.2)を表す。
Claims (2)
- 下記(a)または(b)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域を含むポリヌクレオチド。
(b)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - 請求項1に記載のポリヌクレオチドの発現量を指標とする破骨細胞前駆細胞と破骨細胞の間における破骨細胞の同定方法。
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