JP2001231573A - ヒト破骨細胞由来遺伝子 - Google Patents
ヒト破骨細胞由来遺伝子Info
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Abstract
コードするタンパク質、およびその発現を阻害する化合
物のスクリーニング方法の提供を課題とする。 【解決手段】本発明によれば、支持細胞非存在下で、破
骨細胞前駆細胞から破骨細胞への成熟誘導に伴って発現
する新たな破骨細胞成熟関連因子が提供される。該因子
は破骨細胞自身に発現する遺伝子である。したがって、
骨吸収抑制剤の新たな標的分子となり、従来の薬剤とは
作用機序の異なる薬剤を提供することができる。更に本
発明の遺伝子は、破骨細胞の成熟の指標として、骨代謝
に関連する各種疾患の診断、病態解明に有用である。
Description
因子、および該因子を発現する細胞の分化を阻害する化
合物をスクリーニングする方法に関するものである。
は、骨芽細胞による骨形成と、破骨細胞による骨吸収が
バランスよく保たれている必要がある。このバランスが
崩れると骨代謝疾患が生じる。骨代謝疾患としては、骨
粗鬆症、慢性関節リウマチ、変形性関節症、糖尿病にと
もなう骨量の減少、種々のホルモン異常、栄養障害、大
理石病、骨軟化症などが挙げられる。例えば骨粗鬆症
は、骨の石灰質と骨基質が減少することを特徴とする代
表的な骨代謝疾患である。その症状は、破骨細胞による
骨吸収が骨芽細胞による骨形成を上回ることによって発
生する病態といえる。骨粗鬆症には疼痛を伴い、骨の脆
弱化によって骨折が起こりやすくなる。高齢人口の増加
に伴って、骨粗鬆症による骨折は、しばしば寝たきり老
人の原因にもなることから、その治療薬の開発が急務と
なっている。しかし、骨粗鬆症治療薬として優れた有効
性と、安全性を兼ね備えた薬剤は未だ開発されていな
い。従って、骨粗鬆症のための医薬品の開発が強く望ま
れている。
成を担う骨芽細胞との協調の上に成立している。破骨細
胞はマクロファージ系列に属する大型・多核の骨吸収の
ために特化した細胞で、石灰化骨組織を分解できる唯一
の細胞である。破骨細胞の機能については、支持細胞の
共存下という特殊な環境のもとで、その分化過程に関与
する因子の研究が行われてきた。破骨細胞前駆細胞の同
定や単独培養による破骨細胞への分化誘導方法、あるい
は単離方法が確立されていないため、破骨細胞分化誘導
系は様々な系列の血液細胞の混合物であり、破骨細胞の
機能や分化機構の解析を困難にしていた。そのため、現
在までに見つかっている分化誘導因子のほとんどは、支
持細胞であるストローマ細胞、および骨芽細胞から産生
される因子、もしくはこれらの細胞を介した間接的に作
用する分化誘導因子であった。
直接誘導する因子(Osteoclast Differentiation Facto
r)の遺伝子がクローニングされ(Lacey, D.L. et al.,
Cell,93, 165-176, 1998)ヒトやマウスの骨髄細胞や脾
臓細胞から支持細胞の非共存下で破骨細胞を分化誘導す
ることが可能となった。しかし、依然として分化効率は
低く高純度の破骨細胞を得ることは不可能であり、破骨
細胞前駆細胞の単離方法の確立が望まれていた。
単離し、支持細胞非存在下で破骨細胞に成熟させる方法
を確立した(WO99/53023)。この方法によれば、破骨細
胞前駆細胞は、成熟誘導培地に交換後3日間でほぼ100%
の細胞が多核の破骨細胞へ成熟する。ここで用いる成熟
誘導培地として、GM-CSF、IL-3、IL-7、あるいはEotaxi
n1、Eotaxin2、そしてEotaxin3などのサイトカインのい
ずれかを含む培地を利用することにより、破骨細胞への
成熟が達成される。この方法に用いる破骨細胞前駆細胞
は、既に酒石酸耐性酸性フォスファターゼなどの破骨細
胞マーカーのいくつかを発現しており、かなり分化段階
の進んだ細胞である。したがってこの前駆細胞は、言わ
ば単核破骨細胞ともいえるものであるが、DMEM (Dulbec
co’s Modified Eagle Medium)/10%FBSでの培養ではま
ったく成熟誘導が起こらない。これほど明確に、かつ厳
密にコントロールされた破骨細胞誘導系はこれまでに例
がない。この方法によって安定して得られる高純度のヒ
ト破骨細胞は、骨粗鬆症治療薬など破骨細胞機能を調節
する医薬品の開発に用いることができる。
細胞の機能的成熟や活性化に関わる新規因子を提供する
ことである。具体的には、破骨細胞前駆細胞の融合や多
核化、あるいは骨吸収能の発現に関わる因子の提供が本
発明の課題である。また本発明は、該因子の活性を阻害
する化合物のスクリーニング方法、さらにはこのスクリ
ーニング方法により得られる化合物を主成分として含む
医薬の提供を課題とする。
明者らは、支持細胞非存在下における破骨細胞前駆細胞
から破骨細胞への成熟を可能とする方法を確立した。本
発明者らは、以下のような理由により、破骨細胞の成熟
活性化に伴って発現を誘導される遺伝子の検索対象とし
て、この方法が有用であると考えた。この方法は、従来
他の研究者により報告されている未精製造血幹細胞から
の分化誘導系とは以下の点で大きく異なる。まずこの系
では、高純度に精製された前駆細胞を使用する。支持細
胞はもちろんのこと、他の血球系細胞も含まないので、
成熟誘導刺激に伴って発現誘導される遺伝子は、いずれ
も破骨細胞自身が発現するものである。次にこの系で用
いる破骨細胞前駆細胞の分化段階は破骨細胞の直前であ
り、しかも均一な細胞集団である。したがって、この細
胞集団から得られる遺伝子の発現プロファイルにはノイ
ズが少なく、他の細胞集団との比較が容易である。つま
りこの方法を利用することによって、破骨細胞分化の最
終段階(多核化から骨吸収能発現)に関わる遺伝子を効
率よく得ることができると考えられる。
骨細胞で高度に発現し前駆細胞には見られない遺伝子を
サブトラクション法によって単離し、その構造を明らか
にした。本発明の遺伝子を単離するために、本発明者ら
は一般的なPCRサブトラクション法であるcDNA-RDA(Repr
esentational Difference Analysis)法(Hubank, M.,et
al., Nucleic Acids Res., 1994, 22(25):5640-5648)を
基に改良を加えた2通りの方法を試みた。すなわち、Tc
-RDA法(Tester-captured RDA)、並びにSSH-RDA法(Suppr
ession Subtractive Hybridization RDA)の2通りの方
法である。Tc-RDA法では、ハイブリダイゼーション後に
ビオチン標識されたテスターDNAだけを固相に捉え、大
量の余分なドライバーDNAをPCR増幅前に除去する。この
工程によって、バックグランドと偽陽性クローンの増幅
が低下し、検出感度を高めることができる。一方のSSH-
RDA法は、予めSuppression Subtractive Hybridization
法(Diatchenko, L. et al., PNAS, 1996, 93:6025-603
0)によりcDNAを均一化し、発現レベルの低い遺伝子を濃
縮した後にRDA法で選別する方法である。その結果、破
骨細胞への成熟に伴って誘導されるいくつかの遺伝子の
単離に成功した。そしてこれらの遺伝子のうち4つが新
規な遺伝子であることを確認した。さらに、この新規遺
伝子の発現を阻害する化合物が骨代謝疾患治療薬となり
うる可能性を持つことを見出し、本発明を完成した。す
なわち本発明は、以下のポリヌクレオチド、このポリヌ
クレオチドによってコードされるタンパク質、並びにそ
れらの使用に関する。
に記載のポリヌクレオチド。 (a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、お
よび配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列のコード
領域を含むポリヌクレオチド。 (b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、お
よび配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列から
なるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 〔2〕下記(c)または(d)のいずれかに記載のポリ
ヌクレオチドであって、成熟にともなって破骨細胞前駆
細胞において発現が増強するポリヌクレオチド。 (c)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、お
よび配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列からなる
DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
ポリヌクレオチド。 (d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、お
よび配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列にお
いて1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、お
よび/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質
をコードするポリヌクレオチド。 〔3〕〔1〕または〔2〕に記載のいずれかのポリヌク
レオチドによってコードされるタンパク質。 〔4〕〔1〕または〔2〕に記載のいずれかのポリヌク
レオチドが挿入されたベクター。 〔5〕〔4〕に記載のベクターを保持する形質転換体。 〔6〕〔5〕に記載の形質転換体を培養し、発現産物を
回収する工程を含む、〔3〕に記載のタンパク質を製造
する方法。 〔7〕配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、お
よび配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレ
オチドのいずれか、またはその相補鎖とハイブリダイズ
するポリヌクレオチドであって、少なくとも14ヌクレ
オチドの鎖長を有するポリヌクレオチド。 〔8〕〔7〕に記載のポリヌクレオチドからなる〔1〕
に記載のポリヌクレオチド合成用プライマー。
に記載のポリヌクレオチド検出用プローブ。 〔10〕配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、
および配列番号:7に記載のポリヌクレオチドのいずれ
か、もしくはその一部に対するアンチセンスDNA。 〔11〕〔3〕に記載のタンパク質に対する抗体。 〔12〕〔11〕に記載の抗体からなる破骨細胞の検出
用試薬。 〔13〕〔1〕に記載のポリヌクレオチドの発現を指標
とする破骨細胞の同定方法。 〔14〕次の工程を含む、破骨細胞への成熟過程を阻害
する化合物のスクリーニング方法。 i)標的遺伝子として〔1〕に記載のポリヌクレオチドの
いずれかを発現する細胞に被検試料を接触させる工程、 ii)細胞における標的遺伝子の発現レベルを測定し、被
検試料を接触させない細胞における発現レベルと比較す
る工程、 iii)被検試料を接触させない細胞における標的遺伝子の
発現レベルと比較して、被検試料と接触させた細胞にお
いて標的遺伝子の発現レベルを低下させる試料を選択す
る工程 〔15〕〔14〕に記載の方法によって選択された化合
物を主成分として含む、破骨細胞成熟抑制剤。
因子に関する。本発明の成熟関連因子は、支持細胞の非
存在下における破骨細胞分化の最終段階において発現す
る。すなわち、破骨細胞前駆細胞に対する成熟誘導因子
の刺激に応答して、破骨細胞前駆細胞において誘導され
る因子と言うことができる。本明細書における「破骨細
胞」とは、骨組織において骨吸収の機能を有する、大型
で多核の細胞をいう。また、本発明における破骨細胞の
「成熟」とは、具体的には、破骨細胞前駆細胞における
支持細胞非存在下での多核化および骨吸収能の獲得をい
う。したがって本発明における「成熟関連因子」とは、
破骨細胞において、多核化および/または骨吸収能の獲
得にともなって発現が増強する因子と言うこともでき
る。ここで骨吸収能の獲得とは、まず当該因子自身が破
骨細胞による骨吸収作用に直接的に関与している場合、
すなわちその因子が破骨細胞に骨吸収作用を与えている
場合が含まれる。その他に本発明の破骨細胞成熟関連因
子としては、破骨細胞における骨吸収作用を誘導する働
きを持つ因子を示すこともできる。すなわち、後者によ
って前者が誘導される場合には、そのいずれもが本発明
の破骨細胞成熟関連因子に含まれる。言いかえれば、本
発明の破骨細胞成熟関連因子は、その働きを阻害するこ
とによって破骨細胞の条件を満たせなくなる因子と言う
こともできる。
いずれかに記載のポリヌクレオチドに関する。 (a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、お
よび配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列のコード
領域を含むポリヌクレオチド。 (b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、お
よび配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列から
なるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
いはRNAであることができる。本発明のポリヌクレオチ
ドは、その長さが制限されず、1本鎖であっても良いし
相補鎖との2本鎖を構成したものであることもできる。
あるいは本発明のポリヌクレオチドは、各種の標識やタ
グによって修飾されたものであってもよい。加えて、本
発明のポリヌクレオチドは、ゲノムやcDNAに由来するも
の、あるいは合成された組換えポリヌクレオチドを含
む。本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1、配列
番号:3、配列番号:5、および配列番号:7のいずれ
かに記載の塩基配列のコード領域からなる。このような
ポリヌクレオチドは、当該塩基配列をもとに設計したプ
ライマーを用い、ヒト破骨細胞のmRNAを鋳型としてRT-P
CRを行うことによって単離することができる。あるい
は、当該塩基配列をもとに設計したプローブを用いて、
ヒト破骨細胞のcDNAライブラリーをスクリーニングする
ことによって単離することができる。更には、当該塩基
配列を持つポリヌクレオチドを化学的に合成することに
よって得ることもできる。更に、前記ポリヌクレオチド
と同じアミノ酸配列をコードし、かつアミノ酸コドンの
縮重に基づく異なる塩基配列からなるポリヌクレオチド
は、本発明のポリヌクレオチドに含まれる。
モログを含む。本発明のホモログには、配列番号:2、
配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8のい
ずれかに記載のアミノ酸配列において1若しくは数個の
アミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加した
アミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌク
レオチドであって、成熟にともなって破骨細胞前駆細胞
において発現が増強するポリヌクレオチドが含まれる。
本発明の破骨細胞成熟関連因子のアミノ酸配列である配
列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列
番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列と類似のアミ
ノ酸配列をコードし、しかも破骨細胞に見出すことがで
きるポリヌクレオチドは、本発明に含まれる。
1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7
に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条
件下でハイブリダイズし、破骨細胞への成熟にともなっ
て破骨細胞前駆細胞において発現が増強するポリヌクレ
オチドが含まれる。配列番号:1、配列番号:3、配列
番号:5、および配列番号:7のいずれかに記載の塩基
配列からなるポリヌクレオチドは、本発明の破骨細胞成
熟関連因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含ん
でいる。ストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
ることができるポリヌクレオチドは、構造的に相同性の
高いタンパク質をコードしている可能性が高い。したが
って、このようなタンパク質には機能的に同等なタンパ
ク質が多く含まれる。本発明において、高い相同性と
は、少なくとも80%以上、好ましくは85%以上の配列の同
一性をいう。本発明におけるポリヌクレオチドのホモロ
グは、たとえばマウスやラットのようなヒト以外の種の
破骨細胞から得ることができる。本発明において、スト
リンジェントな条件とは、たとえば以下のような条件を
示すことができる。例えばロングプローブ(50塩基以
上)でハイブリダイゼーションを行う場合には、50%の
解離を生ずる温度(Tm)の目安を下記計算式から求め、
ハイブリダイゼーションの温度を以下のように設定でき
る。 Tm=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(% G+C)-0.63(% formam
ide)-(600/n)-1.5(% mismatch) [Na+]はNaイオン濃度[M]、nはプローブの塩基数であ
る。 ハイブリダイゼーション温度=Tm-25℃ もし、100%相同性で100塩基以上のプローブを用いる場
合には、温度条件は下記のように設定できる。 (1)65〜75℃(フォルムアミド無添加) (2)35〜45℃(フォルムアミド存在下) 短いオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合に
は、以下の計算式を目安に設定できる。 ハイブリダイゼーション温度=Tm-5℃=2℃×(A+Tの数)+
4℃×(C+Gの数)-5℃ 本発明におけるストリンジェントな条件とは、上記条件
下でハイブリダイズした後、0.2×SSC、0.5%SDSの溶液
中で65℃にて洗浄する条件でも依然として陽性のシグナ
ルが観察されることを表す。これらの条件の組み合わせ
はあくまでも一例である。当業者であれば、ハイブリダ
イゼーションのストリンジェンシーを決定する各種の要
素を調整し、目的のストリンジェンシーを経験的に設定
することは自明である。ストリンジェンシーを決定する
要因には上記条件の他に、例えば、プローブ濃度やハイ
ブリダイゼーション反応時間なども含まれる。
ーフェロン遺伝子等で知られているように、多型現象(p
olymorphism)を示すと考えられている(Nishi, T. et a
l.J.Biochem., 97, 153-159,1985)。この多型現象によ
って1または複数個のアミノ酸が置換される場合もあれ
ば、塩基配列の変化がアミノ酸配列の変異をもたらさな
いこともある。これら多型に基づいて塩基配列に変異を
生じたポリヌクレオチドも、本発明に含まれる。
ログは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、
あるいは配列番号:7に記載の塩基配列のコード領域に
対して、少なくとも80%以上、より望ましくは85%以上の
塩基配列を持つポリヌクレオチドである。本発明におけ
るアミノ酸配列や塩基配列の相同性は、たとえばBLAST
(Altschul, S. F., et al. (1997) Nucleic Acids Res.
25:3389-3402)や、Genetyx(ソフトウェア開発)の「L
ipman-Pearsonアルゴリズム」(Lipman, D. J. and Pear
son, W. R. 1985, Science 227:1435-1441)によって求
めることができる。なお、本発明に基づくアミノ酸配
列、並びに塩基配列は、その配列を米国NIHのホモロジ
ー検索プログラムBLASTによって検索し、得られた候補
配列について、遺伝子解析プログラムGenetyx(ソフト
ウェア開発)で解析した。その結果、#7-44、#58、およ
び#120については、80%以上の相同性を持つアミノ酸配
列、あるいは塩基配列は確認できなかった。#89におい
ては、85%以上の相同性を持つアミノ酸配列、あるいは
塩基配列は確認できなかった。#89に対して約80%の相同
性を備えたマウスの遺伝子が公知であったが、破骨細胞
との関連性は無く、本発明の破骨細胞成熟関連因子は、
いずれも新規な遺伝子であることが確認された。
よってコードされるタンパク質に関する。したがってた
とえば本発明は、配列番号:2、4、6、および8のい
ずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発
明において、これらのタンパク質をそれぞれ、OC#89
(配列番号:2)、OC#7-44(配列番号:4)、OC#58
(配列番号:6)、およびOC#120(配列番号:8)と名
づけた。これらのタンパク質は、いずれも破骨細胞にお
いて発現が増強する遺伝子によってコードされるタンパ
ク質である。また本発明は、前記ポリヌクレオチドのホ
モログによってコードされるタンパク質に関する。この
タンパク質は、配列番号:2、4、6、および8のいず
れかのアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ
酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ
酸配列からなり、かつ前記ポリヌクレオチドのホモログ
によってコードされるタンパク質を含む。変異の数は、
少なくとも全アミノ酸の15%以内であり、好ましくは全
アミノ酸の10%以内である。本発明によるこれらのタン
パク質は、破骨細胞成熟関連因子と呼ぶことができる。
胞から公知の方法によって精製することができる。ある
いは、前記アミノ酸配列をコードする遺伝子を利用して
組み換え体として得ることもできる。前記アミノ酸配列
をコードする遺伝子と、それを利用した組み換え体の製
造方法については後に具体的に記載する。本発明のタン
パク質は、破骨細胞への成熟に伴って発現することか
ら、破骨細胞のマーカーとして有用である。また、本発
明のタンパク質、あるいはその断片は、その抗体を得る
ための免疫原として用いることができる。
明のタンパク質を組み換え体として得ることができる。
組み換え体を産生するために必要な操作は、例えば「Mo
lecular Cloning: A Laboratory Manual第2版第1-3
巻」(Sambrook, J. et al.,Cold Spring Harber Labor
atory Press出版 New York 1989年)などの多くの文献
に詳細に記述されている。具体的には、発現させたいDN
Aの上流に翻訳開始コドンを付加し、下流には翻訳終止
コドンを付加する。さらに、転写を制御するプロモータ
ー配列(例えば、trp、lac、T7、SV40初期プロモータ
ー)等の制御遺伝子を付加し、適当なベクターに組み込
んで宿主細胞内で複製し、機能する発現プラスミドを作
製することができる。適切な発現ベクターとしては、例
えば、細菌についてはpRSET、pET、pGEMEX、pKK233-2な
ど、酵母についてはpYES2、昆虫細胞についてはpVL139
3、pFastBac1、動物細胞についてはpEF-BOS、pSRα、pD
R2等が挙げられる。
導入して、形質転換体を得る。宿主細胞としては、大腸
菌などの原核生物、酵母のような単細胞真核生物、昆
虫、哺乳類などの多細胞生物の細胞などが挙げられる。
好ましくは、哺乳類の細胞であり、哺乳類の細胞として
は、CHO細胞、293細胞、COS7細胞などが例示できる。
この形質転換体を培養することにより、タンパク質を産
生させることができる。
安沈殿、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交
換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、
逆相クロマトグラフィー、あるいは疎水クロマトグラフ
ィー等の手法を単独あるいは組み合わせて精製すること
ができる(Imai et al. J. Biol. Chem., 271, 21514-2
1521, 1996)。また本発明のタンパク質を、HisタグやH
Aタグのような結合親和性を持つタンパク質との融合タ
ンパク質として発現させることにより、アフィニティク
ロマトグラフィーを用いた精製方法を適用することもで
きる。
るいはその相補鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチ
ドであって、少なくとも14ヌクレオチドの鎖長を有す
るポリヌクレオチドに関する。このようなポリヌクレオ
チドは、本発明のポリヌクレオチドのためのプローブや
プライマーとして有用である。与えられた塩基配列に基
づいてプライマーの塩基配列を設計することは、当業者
が通常行いうることである。また、検出すべき塩基配列
と公知の塩基配列を比較して、適切なプローブを設計す
ることも当業者には自明である。本発明のDNAをプロー
ブとして用いるときには、ジゴキシゲニンやビオチンの
ような親和性物質、あるいはFITCやローダミンのような
蛍光物質を利用して公知の方法によって標識することが
できる。必要な塩基配列を持つポリヌクレオチドは、化
学的に、あるいは酵素的に合成することによって得るこ
とができる。
マーは、本発明のポリヌクレオチドやそれが転写された
mRNAの検出に用いることができる。DNAはサザンブロッ
ト法やPCR法により、またmRNAはノーザンブロット法やR
T-PCR法により検出することができる。本発明のポリヌ
クレオチドが破骨細胞への成熟に伴って発現することか
ら、本発明に基づくプローブやプライマーを用いて、破
骨細胞の成熟を知るための試薬を得ることができる。こ
の試薬は、たとえば骨代謝状態の診断剤として有用であ
る。すなわち、滑膜組織や関節液等の生体試料におけ
る、本発明のプローブやプライマーによる検出シグナル
の上昇は、破骨細胞の増加や活性の上昇を意味してい
る。
連因子をコードする遺伝子の情報を利用して、プロモー
ターやエンハンサーを単離することができる。本発明に
よる遺伝子の塩基配列は、配列番号:1、3、5、およ
び7に示すとおりである。更に実施例において確認した
とおり、これらの遺伝子は以下のようにマッピングされ
た。 #89(配列番号:1):Chr.11q12-13(D11S1357-D11S91
3:62.5-70.9cM) #7-44(配列番号:3):Chr.3q29(D3S1265-qTEL:228.0
-233.0cM) #58(配列番号:5):Chr.9q33(D9S1821-D9S159:137.6
-142.7cM) #120(配列番号:7):Chr.1q12-21.1(D1S514-D1S263
5:157.4-170.1cM) したがって、この領域を含むゲノムライブラリーを、配
列番号:1、3、5、あるいは7に記載の塩基配列に基
づくプローブでスクリーニングすることによって、本発
明の破骨細胞成熟関連因子のゲノムDNAを単離すること
ができる。たとえば#89(配列番号:1)のゲノムは、
ヒト11番染色体のゲノムDNAの断片を含むPACクローンpD
J606g6(アクセション番号AC004126)のDNA配列上に8
個のエクソンに分割されて含まれていた。これらの単離
されたゲノムDNAをもとに、プロモーターやエンハンサ
ー等の発現制御領域を取得することができる。こうして
取得された発現制御領域は、生体における転写調節因子
の単離や、発現の制御を目的とする医薬品の開発に利用
することができる。
塩基配列に基づいて、該新規遺伝子産物の発現を制御し
うるアンチセンスDNAが提供される。本発明によるアン
チセンスDNAは、該新規遺伝子の発現亢進によってもた
らされる病態の制御に有用である。あるいは該新規遺伝
子の破骨細胞における役割を明らかにするための重要な
ツールとなる。アンチセンス配列を用いて、効果的に標
的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNAの鎖
長は少なくとも10塩基以上であり、好ましくは15塩基以
上である。
る抗体に関する。本発明の抗体は、モノクローナル抗体
およびポリクローナル抗体のいずれをも含む。これらの
抗体は、本発明のタンパク質、またはその断片を免疫原
として公知の方法に基づいて作成することができる。た
とえば本発明のモノクローナル抗体は、次のようにして
得ることができる。まず、本発明のタンパク質を抗原と
してマウスやラットやハムスターを免疫し、脾臓または
リンパ節からリンパ球を取り出し、ミエローマ細胞と融
合させてKohlerとMilsteinの方法(Nature, 256, 495-4
97, 1975)、またはその改良法であるUedaらの方法(Pr
oc. Natl. Acad. Sci.USA, 79, 4386-4390, 1982)等に
従ってハイブリドーマを作製する。得られたハイブリド
ーマのうち、目的とする反応特性を持つ抗体を産生する
ものをクローニングし、これを培養することによってモ
ノクローナル抗体を産生させることができる。モノクロ
ーナル抗体は、免疫原のタンパク質に特徴的に見出され
る構造を認識するものを選択することにより、そのタン
パク質を特異的に認識するモノクローナル抗体とするこ
とができる。本発明のタンパク質に特徴的な構造は、た
とえば本発明のタンパク質を構成するアミノ酸配列に特
異的に見出されるアミノ酸配列を選択することによって
推測することができる。
tibodies; A Laboratory Manual, Lane, H.D.ら編」(Co
ld Spring Harber Laboratory Press出版 New York 198
9年)などに記載の方法に従って作製することができる。
つまり、精製した本発明のタンパク質、あるいはその断
片を抗原として用いて、適切な方法で動物を免疫するこ
とにより、抗原となるタンパク質を特異的に認識する抗
体を容易に作製し、精製することができる。ポリクロー
ナル抗体を得るための免疫動物としては、一般にマウ
ス、ラット、ハムスター、あるいはウサギ等が用いられ
る。いずれの場合においても、タンパク質断片を免疫原
に用いるには、KLHやアルブミンのようなキャリアータ
ンパク質と結合させることによって、免疫原性を高める
ことができる。
出に用いることができる。試料中のタンパク質を抗体に
よって検出する方法は、イムノブロット法、イムノアッ
セイ法、あるいは免疫染色法等として公知である。ま
た、これらの検出方法に用いるために、抗体を直接、あ
るいは間接的に標識する方法も公知である。標識には、
一般に酵素、放射性同位元素、あるいは蛍光物質などが
用いられる。本発明のタンパク質は、破骨細胞への成熟
にともなって発現が増強する。したがって、その免疫学
的な検出によって、破骨細胞の成熟を知ることができ
る。
害する化合物のスクリーニング方法に関する。本発明の
スクリーニング方法は、次の工程を含む。 i)本発明のポリヌクレオチドを発現する細胞に被検試料
を接触させる工程、 ii)細胞における標的ポリヌクレオチドの発現レベルを
測定し、被検試料を接触させない細胞における発現レベ
ルと比較する工程、 iii)被検試料を接触させない細胞における標的ポリヌク
レオチドの発現レベルと比較して、被検試料と接触させ
た細胞において標的ポリヌクレオチドの発現レベルを低
下させる試料を選択する工程
発明のポリヌクレオチドとは、たとえば配列番号:1、
3、5、あるいは7に記載された塩基配列のコード領域
を含むDNAを利用することができる。これらのDNAを発現
する細胞として、WO99/53023に記載の方法によって破骨
細胞前駆細胞から成熟させた破骨細胞を用いることがで
きる。あるいは、本発明のDNAを含む発現ベクターを導
入した形質転換体を用いることもできる。一方、本発明
のスクリーニングに用いる被検試料には、低分子有機化
合物やタンパク質のライブラリー、あるいは動植物や微
生物に由来する成分などを用いることができる。
レベルは、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズする
ことができるプローブを用いたノーザンブロッティング
法によって確認することができる。標的ポリヌクレオチ
ドの発現レベルは、遺伝子の発現レベルのみならずタン
パク質の発現量として追跡することもできる。
て、標的ポリヌクレオチドの発現レベルとは、タンパク
質の持つ生理活性のみならず、タンパク質そのものの発
現レベルをも含むものである。本発明のスクリーニング
における標的タンパク質の発現レベルは、たとえば本発
明の抗体を利用したウェスタンブロット法等によって比
較することができる。
される化合物は、破骨細胞成熟抑制剤として有用であ
る。本発明の破骨細胞成熟抑制剤は、前記スクリーニン
グ方法によって選択された化合物を有効成分として含
み、生理学的に許容される担体、賦形剤、あるいは希釈
剤等と混合することによって製造することができる。本
発明の破骨細胞成熟抑制剤は、骨代謝の改善を目的とし
て、経口、あるいは非経口的に投与することができる。
経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、溶
剤、乳剤、あるいは懸濁剤等の剤型とすることができ
る。非経口剤としては、注射剤、点滴剤、外用薬剤、あ
るいは座剤等の剤型を選択することができる。注射剤に
は、皮下注射剤、筋肉注射剤、あるいは腹腔内注射剤等
を示すことができる。
症状、治療効果、投与方法、処理時間、あるいは該医薬
組成物に含有される活性成分の種類などにより異なる
が、通常成人一人あたり、一回につき10μgから1000mg
の範囲で投与することができる。しかしながら、投与量
は種々の条件により変動するため、上記投与量よりも少
ない量で充分な場合もあり、また上記の範囲を超える投
与量が必要な場合もある。また、該化合物がDNAにより
コードされうるものであれば、該DNAを遺伝子治療用ベ
クターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本
発明はこれらに何ら制限されるものではない。
手法(DNAのアガロースゲル電気泳動、ライゲーション
反応、大腸菌の形質転換、DNAの制限酵素による消化、
ノザン解析など)は「Current Protocols in Molecular
Biology」 (F.M. Ausubelet al. Ed., John Wiley & S
ons. Inc. )によった。
単離 (1)ヒト破骨細胞前駆細胞の精製と破骨細胞への誘導
方法 慢性関節リウマチ患者の関節より関節液を得た。関節液
は4℃で試験管中に保存した。なお、以下の操作は原則
として無菌条件下にて行った。1〜数十mlの関節液に等
量のRPMI1640培地(GIBCO-BRL#22400またはその等価
物)を添加した後、1000〜2000rpm、4℃、5分間遠心分
離し、顆粒球やリンパ球などを含む細胞画分を得た。こ
の細胞画分を、10%牛胎仔血清を添加したDMEM(GIBCO-
BRL#12430-21またはその等価物)にて、37℃、5〜7%
CO2下で数週間培養した。この培養により、破骨細胞前
駆細胞以外の細胞は死滅し、ほぼ純粋な破骨細胞前駆細
胞を得ることができた。
地(AIM-V培地:GIBCO-BRL#87-0112400ml、RPMI1640培
地:GIBCO-BRL#22400 60ml、ヒトT-STIM with PHA:Bec
ktonDickinson#40045 40ml、非働化ウシ胎仔血清 50m
l、ペニシリン100U、100μg/mlストレプトマイシン)に
よる培養で刺激すると、37℃、48〜96時間で成熟誘導が
観察され、破骨細胞を得ることができた。形態学的観
察、TRAP染色、骨吸収能観察によって、得られた細胞が
破骨細胞であることを確認した。
K)により細胞を染色し顕微鏡を用いて観察した。この
結果、成熟前の破骨細胞前駆細胞は単球様の形態を有す
るのに対して、得られた破骨細胞は全て多核(3〜100
以上)の巨細胞であることが認められた。
よび成熟後の破骨細胞を、酒石酸耐性酸フォスファター
ゼ(Tartrate-resistant acid phosphatase:TRAP)染色キ
ット(SIGMA Co.)により染色し、顕微鏡を用いて観察
した。この結果、 成熟前の細胞(破骨細胞前駆細胞)
でもTRAP陽性であるが、成熟後の細胞(破骨細胞)は核
周囲に殊に強いTRAP陽性像があることが認められた。
細胞前駆細胞を加えて、破骨細胞への成熟のおこる条件
で培養した。培養後にヘマトキシリン(SIGMA Co.)で
象牙スライスを染色し位相差顕微鏡を用いて観察した。
成熟前の破骨細胞前駆細胞は象牙スライスに変化を及ぼ
さないのに対して、成熟後の破骨細胞はリン酸カルシウ
ムを吸収し、吸収された部分の象牙スライスは濃く染色
された。また、成熟後の破骨細胞により吸収された象牙
スライスを走査電子顕微鏡を用いて観察した結果、中央
部に吸収窩の形成が認められた。これは象牙質中のリン
酸カルシウムが吸収されたことにより、コラーゲン繊維
が露出したことにより形成されたものである。
ク(OsteologicTM、住商ファーマ)の上で、破骨細胞前
駆細胞を成熟させ、リン酸カルシウム焼結石英ディスク
を位相差顕微鏡を用いて観察した。成熟前の破骨細胞前
駆細胞はリン酸カルシウム焼結石英ディスクに変化を及
ぼさないが、成熟後の破骨細胞はリン酸カルシウムの吸
収(結晶に空隙のできている部分)が認められた。以上
の結果より、成熟前の細胞が破骨細胞前駆細胞であるこ
と、および成熟後の細胞が破骨細胞であることが確認さ
れた。
る遺伝子の単離 ヒト破骨細胞前駆細胞と破骨細胞それぞれより、AGPC法
(Analytical Biochemistry, 162, 156-159, 1987) に
より全RNAを調製し、以降のcDNA合成の鋳型とした。cDN
A合成は基本的にはGIBCO BRL社製 SuperScript Plasmid
Systemを用いてインストラクションマニュアルに従っ
ておこなった。破骨細胞特異的遺伝子の選別のためのサ
ブトラクション法としては、Tc-RDA法、並びにSSH-RDA
法の2通りの方法を用いた。Tc-RDA法はcDNA-RDA法を簡
略かつ効率的に改良した方法である。また、SSH-RDA法
はSSH法とRDA法を組み合わせたものである。 (a)Tc-RDA法による破骨細胞新規遺伝子(#58, #89, #12
0)の単離 PCRには、以下に示すオリゴヌクレオチドをプライマー
として利用した。 R-24 5'- AGCACTCTCCAGCCTCTCACCGCA -3' ;(配列番
号:9) R-12 5'- GATCTGCGGTGA -3' ;(配列番号:10) J-24 5'- ACCGACGTCGACTATCCATGAACA -3' ;(配列番
号:11) J-12 5'- GATCTGTTCATG -3' ;(配列番号:12) N-24 5'- AGGCAACTGTGCTATCCGAGGGAA -3' ;(配列番
号:13) N-12 5'- GATCTTCCCTCG -3' ;(配列番号:14)
(テスター)からそれぞれ抽出したRNA5μgから二本鎖
cDNAを合成し、制限酵素Sau3AIで消化断片化した後、ア
タプターR(R-24およびR-12の混合物:配列番号:9お
よび10)をライゲーションした。それぞれの一部をPC
RプライマーR-24(配列番号:9)を用いたPCRで増幅し
た。PCR反応条件は10倍バッファー10μl、2.5mM dNTPs
10μl、100μM R-24 プライマー、2.5U/μl Ex Taq DNA
polymerase (宝酒造社製)2μlを混合した反応液100
μlを94℃;1分間、72℃;3分間を20回でおこなっ
た。上記の増幅cDNAのうち破骨細胞に由来するものにつ
いて、Sau3AI消化でアダプターRを切断した後、GFX PCR
purification kit(ファルマシア社製)を用いてアダ
プターRを除去し、cDNAを精製した。次にアダプターJ
(5’-ビオチン化J-24およびJ-12の混合物:配列番号:
11および12)をライゲーションした。
0.4μgとアダプターR付加破骨細胞前駆細胞cDNA 40μg
を混合、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈
殿後EE×3(30mM EPPS, 3mM EDTA, pH8.0)4μlに溶解
した。ミネラルオイル10μlを重層し、98℃、10分間の
処理でcDNAを変性後、5M NaCl 1μlを混合しヒートブ
ロックで67℃20時間インキュベートした。反応液に5μg
/μl コムギ胚芽 tRNAを 8μl混合、サブトラクション
バッファー(50mM Hepes, 2mM EDTA, 0.5M NaCl, pH7.
6)200μlで希釈した後、ストレプトアビジン結合PCRチ
ューブに移して室温30分間インキュベートし、ビオチン
化cDNAを捕捉した。ストレプトアビジン結合PCRチュー
ブに結合しなかった余分のcDNAを洗浄バッファー(10mM
TrisHCl, 1mM EDTA, 0.5M NaCl pH8.0)200μlで5回
洗浄し除去した。洗浄液をできるだけ完全に除いた後、
上記PCR反応液(ただしプライマーはJ-24プライマー
(配列番号:11)を使用)100μlを添加し、94℃;1
分間、72℃;3分間を1サイクルとして20サイクルのPC
R増幅をおこない、First subtracted cDNA とした。
rst subtracted cDNAを精製し、Sau3AI消化によりアダ
プターJを切断した。GFX PCR purification kitで切断
したアダプターを除去した後、次にアダプターN(5’-
ビオチン化N-24および N-12の混合物:配列番号:13
および14)をライゲーションした。ビオチン化アダプ
ターN付加First subtracted cDNA 10ngとアダプターR付
加破骨細胞前駆細胞cDNA 40μgを混合した。これをフェ
ノール/クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿後EE×
3(30mM EPPS, 3mM EDTA, pH8.0)4μlに溶解した。ミ
ネラルオイル10μlを重層し、98℃、10分間の処理でcDN
Aを変性後、5M NaCl1μlを混合しヒートブロックで67
℃20時間インキュベートした。反応液に5μg/μl コム
ギ胚芽 tRNAを 8μl混合、サブトラクションバッファー
(50mM Hepes, 2mM EDTA, 0.5M NaCl, pH7.6)200μlで
希釈した後、ストレプトアビジン結合PCRチューブに移
して室温30分間インキュベートし、ビオチン化cDNAを捕
捉した。ストレプトアビジン結合PCRチューブに結合し
なかった余分のcDNAを洗浄バッファー(10mM TrisHCl,
1mM EDTA, 0.5M NaCl pH8.0)200μlで5回洗浄して除
去した。洗浄液をできるだけ完全に除いた後、上記PCR
反応液(ただしプライマーはN-24プライマー(配列番
号:13)を使用)100μlを添加、94℃;1分間、70
℃;3分間を1サイクルとして20サイクルのPCR増幅を
おこない、Second subtracted cDNA とした。
たクローンについて、破骨細胞前駆細胞と破骨細胞にお
ける発現量をノザン解析によって調べ、破骨細胞におい
て発現増強しているクローンについて塩基配列を決定
し、3種類の新規遺伝子cDNA断片(OC#58、OC#89、OC#12
0)を得た。
7-44)の単離 操作の前半は、Clontech社製「PCR-Select cDNA-RDA Su
btraction Kit」を使用し、インストラクションマニュ
アルに従って行った。後半は、cDNA-RDA法をアダプター
配列が異なる以外は原法(Hubank, M. et al., Nucleic
Acids Res., 1994, 22(25):5640-5648)どおりに行っ
た。具体的な操作については以下に述べる。使用したオ
リゴヌクレオチドは以下の通りである。(配列番号:1
5〜24はClontechキットに添付) ただし、Adaptor 1(配列番号:16)は、オリゴヌク
レオチドの35番目から44番目が下記のように2本鎖にな
っており、Adaptor 2R(配列番号:17)は、オリゴヌ
クレオチドの33番目から42番目が2本鎖になっている。 cDNA合成プライマー(配列番号:15): 5'- TTTTGTACAAGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTNN
-3' Adaptor 1(配列番号:16): 5'-CTAATACGACTCACTATAGGGCTCGAGCGGCCGCCCGGGCAGGT-3'
3'-GGCCCGTCCA-5' Adaptor 2R(配列番号:17): 5'-CTAATACGACTCACTATAGGGCAGCGTGGTCGCGGCCGAGGT-3'3'
-GCCGGCTCCA-5' PCR primer 1:5'- CTAATACGACTCACTATAGGGC -3'(配列
番号:18) ad 2S:5'- CAGCTCCACAACCTACATCATTCCGT -3'(配列番
号:19) ad 2A:5'- ACGGAATGATGT -3'(配列番号:20) ad 3S:5'- GTCCATCTTCTCTCTGAGACTCTGGT -3'(配列番
号:21) ad 3A:5'- ACCAGAGTCTCA -3'(配列番号:22)
骨細胞(テスター)からそれぞれ抽出したポリA+RNA2μg
から2本鎖cDNAを合成し、制限酵素RsaIで消化断片化し
た後、テスターcDNAを2等分してテスター1および2と
し、それぞれにAdaptor 1および2R(配列番号:16お
よび配列番号:17)をライゲーションした。アダプタ
ー付加テスターcDNA各10ng (1.5μl)をRsaI消化ドライ
バーcDNA約300ng(1.5μl)と4×hybridization buffer 1
μlを混合、ミネラルオイルを1滴重層してハイブリダ
イゼーション(68℃、8時間)した。1stハイブリダイゼー
ション終了後速やかに、予め熱変性しておいたRsaI消化
ドライバーcDNA約200ng(1μl)、4×hybridization buff
er 1μl、H2O 2μlの混合液1μlと1stハイブリダイゼー
ション各4μlを混合、ミネラルオイルを1滴重層して68
℃、16時間ハイブリダイゼーションを行った。2ndハイ
ブリダイゼーション後、dilution buffer 105μlで希釈
し、68℃、7分間加熱した。
して予備検討を行い、飽和直前のPCRサイクル数を決定
した。PCR条件は50μl反応中10×Pfu buffer 5μl、2mM
dNTPs5μl、1μg/μl PCR primer 1(配列番号:18)
0.5μl、Pfu DNA polymerase0.5μlの組成で72℃、5分
間のFill in反応の後、反応サイクル(94℃、1分⇒60
℃、1分⇒72℃、3分)で行った。決定した最適サイクル
数で残り100μl(40本分)の2ndハイブリダイゼーション
をPCR増幅した。40本の反応液合計2mlをフェノール・ク
ロロホルム抽出、エタノール沈殿後、H2O 50μlに溶解
した。DNA濃度を測定し、約1μgを分注、RsaI消化して
アダプターを切り離した後、Gene Clean (FUNAKOSHI)に
よりDNAを精製、アダプターを除去した。
d2(配列番号:19、20の混合物)をライゲーション
した。diluted ad2 cDNA 0.3ng(1μl)、RsaI消化ドライ
バーcDNA約300ng(1μl)、4×hybridization buffer 1μ
l、H2O 1μlを混合し、98℃、2分間の熱変性後、68℃、
16時間の3rdハイブリダイゼーションを行った。dilutio
n buffer 53μlで希釈し、68℃、7分間加熱した。この
うち2.5μlを使用して上記と同様に予備検討を行い、飽
和直前のPCRサイクル数を決定した後、残りのcDNAにつ
いてPCR増幅した。増幅したcDNA断片を回収精製した
後、約1μg分をRsaI消化、Gene Cleanによりアダプター
を除去した。
d3(配列番号:21、22の混合物)をライゲーション
した。diluted ad3 cDNA 10pg(1μl)、RsaI消化ドライ
バーcDNA約300ng(1μl)、4×hybridization buffer 1μ
l、H2O 1μlを混合し、98℃、2分間の熱変性後、68℃、
16時間の3rdハイブリダイゼーションを行った。dilutio
n buffer 53μlで希釈し、68℃、7分間加熱した。この
うち2.5μlを使用して上記と同様に予備検討を行い、飽
和直前のPCRサイクル数を決定した後、残りのcDNAにつ
いてクローニングに必要な本数だけPCR増幅した。増幅
したcDNA断片を回収精製した後、pGEM-T TA cloning ki
t (Promega)を用いてクローニングした。これらについ
て前駆細胞と破骨細胞における発現量をノザン解析によ
って調べ、破骨細胞において発現増強しているクローン
について塩基配列を決定し、新規遺伝子cDNA断片(OC#7-
44)を得た。2種類のサブトラクション法により、合計4
種類の破骨細胞において発現増強する新規遺伝子を得
た。単離されたこれらの遺伝子のノザン解析の結果を図
1に示す。いずれのクローンも破骨細胞前駆細胞(pOC)
と比べて破骨細胞(OC)の方が、発現量が多いことが確認
された。
染色体座の推定 単離した4種類の新規遺伝子の全長cDNAを得るために、
破骨細胞由来粗RNAからGIBCO BRL社製 SuperScript Pla
smid Systemを用いて2本鎖cDNAライブラリーを作製
し、放射標識した各新規遺伝子cDNA断片をプローブに
用いてコロニーハイブリダイゼーションを行った。陽性
シグナルを示したクローンを単離し、挿入cDNAサイズが
mRNAサイズと一致するものを選別、全長cDNAとして構造
解析した。塩基配列の決定はABI PRISM310ジェネティッ
クアナライザーおよびBig Dye Terminator Cycle Seque
ncing Ready Reaction Kit(アプライドバイオシステム
社製)を用いて行った。決定された配列と一致するEST
クラスターをデータベースUniGene(インターネットア
ドレスhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)で検索
することによってこの遺伝子の染色体座が推定されてい
るかを確認した。染色体座が判らないものに関してはRa
diation Hybrid Panel GeneBridge (Reaserch Genetics
社製)を用いてRHマッピングを行い、染色体座を推定し
た。
の全長cDNAをクローニングし、構造を決定した(配列番
号:1)。この配列はホモロジー検索プログラムBLAST
で検索したところ、ヒト11番染色体のゲノムDNAの断片
を含むPACクローンpDJ606g6(アクセション番号AC00412
6)のDNA配列上に8個のエクソンに分割されて含まれて
いた。この遺伝子は581残基のアミノ酸配列(配列番
号:2)よりなるORF (open reading frame)を有し、コ
ードされるタンパク質の分子量は約64kDaと予想され
た。データペースUniGeneの検索の結果、#89の染色体座
は、Chr.11q12-13(D11S1357-D11S913:62.5-70.9cM)の領
域であった。
pの全長cDNAをクローニングし、構造を決定した(配列
番号:3)。ORF解析からは、該遺伝子によりコードさ
れるタンパク質は、209アミノ酸(配列番号:4)、分
子量約23kDaと予想された。また、3kb mRNAに相当する3
kb cDNAもクローニング、塩基配列を決定した結果、ORF
は1kb cDNAと同一でコードされるタンパク質は配列番
号:4に等しいことが確認された。すなわち3kb mRNAは
転写終結が約2kb下流で起こったために3'非翻訳領域が
長くなったものであった。
の染色体座は不明であったのでRHマッピングを行った。
#7-44の配列の中からゲノムDNAを増幅できるプライマー
を選び、GeneBridge4 RHパネルの93種類のDNAを鋳型にP
CR増幅した。プライマーの塩基配列を次に示す。 7-44-6:5'-ATCCATGGATCACCTGGAAG-3'(配列番号:2
3) 7-44-27:5'-GTACGAATTATAAACAAACTTCCC-3'(配列番号:
24) それぞれでの#7-44断片の増幅の有無を1あるいは0で表
記したマトリックスをrhmapperプログラム(インターネ
ットアドレスhttp://www.genome.wi.mit.edu/)で解析
し、染色体上の位置を推定した。その結果、#7-44遺伝
子は3番染色体長腕のテロメア近傍Chr.3q29(D3S1265-qT
EL:228.0-233.0cM)に位置していると推定された。
の全長cDNAをクローニングし、構造を決定した(配列番
号:5)。ORF解析からは、該遺伝子によりコードされ
るタンパク質は、746アミノ酸(配列番号:6)、分子
量約85kDaと予想された。データベースUniGeneの検索の
結果、#58の染色体座はChr.9q33(D9S1821-D9S159:137.6
-142.7cM)の領域であった。
の全長のcDNAをクローニングし、構造を決定した(配列
番号:7)。ORF解析からは、該遺伝子によりコードさ
れるタンパク質は、408アミノ酸(配列番号:8)、分
子量約46kDaと予想される。データベースUniGeneの検索
の結果、#120の染色体座は、Chr.1q12-21.1(D1S514-D1S
2635:157.4-170.1cM)の領域であった。
ノ酸解析 (a) 新規遺伝子OC#89によりコードされるタンパク質 確定したヒトOC#89 cDNAの塩基配列(配列番号:1)お
よび推定されるアミノ酸配列(配列番号:2)を配列表
に示す。ヒトOC#89 cDNAは全長2,007bpからなり、3’非
翻訳領域にポリA付加シグナルが見られた。この遺伝子
は581個のアミノ酸配列よりなるORF (open reading fra
me)を有し、12カ所に疎水性の強い領域(下線)を有す
る遺伝子であることが明らかになり、膜タンパク質であ
ることが推定される。この581個のアミノ酸からなるタ
ンパク質の分子量は、計算によると63,556Daであった。
検索された類似タンパク質とのアミノ酸配列の類似性解
析を遺伝子解析プログラムGenetyx(ソフトウェア開発
社製)で行ったところ、#89はマウスcAMP inducible 1
protein (Genbank accession# AC121080)と80%、ラット
ヒスチジントランスポーター(Genbank accession# AB00
0280)と51%のホモロジーを示した。また、ラットヒスチ
ジントランスポーター(Yamashita, T. et al., J. Bio
l.Chem. 272: 10205-10211, 1997)との類似性からヒトO
C#89は12回膜貫通トランスポーターファミリーのうちで
も、プロトン勾配依存性ペプチドシンポーターのサブフ
ァミリーに属する新規トランスポーターであることが推
定された。骨吸収部位におけるpH勾配を利用したペプチ
ド(例えば骨基質タンパクの分解産物など)の能動輸送
に関わっている可能性が考えられ、破骨細胞の骨吸収機
能発現に重要であると考えられた。
るタンパク質 ホモロジー検索の結果、新規遺伝子OC#7-44は4回膜貫通
のテトラスパン(Tetraspan)ファミリーに属することが
分かったが、そのいずれともホモロジーは低かった(約
30%)。テトラスパンファミリーに属する膜タンパクはC
D9、CD37、CD53、CD63、CD81、CD82、CD151など主に血
球系細胞に発現する膜蛋白であり、インテグリンなど細
胞接着因子と複合体を形成し細胞増殖や活性化の調節、
細胞凝集に関わっているものと予想されている。成熟誘
導刺激をうけた破骨細胞前駆細胞がお互い細胞融合して
多核になるために#7-44テトラスパン膜タンパクが機能
している可能性が考えられる。
タンパク質 ホモロジー検索の結果、新規遺伝子OC#58の産物は、既
知の何れのタンパク質ともホモロジーがなかった。いく
つかのESTとの相同性が見出されたが、その多くは非翻
訳領域に相当する部分であった。該タンパク質は細胞内
局在推定プログラムPSORT II(インターネットアドレス
http://psort.nibb.ac.jp:8800/)による解析の結果、5
6.5%:核、30.4%:細胞質、8.7%:細胞骨格、4.3%:液
胞であることが分かった。また、ドメイン構造検索プロ
グラムPfam(インターネットアドレスhttp://www.sange
r.ac.uk/)による解析結果から、不完全ではあるがPH
(Pleckstrin homology)ドメインを有することより、核
あるいは細胞質のシグナル伝達アダプター分子である可
能性が考えられる。
るタンパク質 ホモロジー検索の結果、新規遺伝子OC#120の後半部分約
60アミノ酸が、マウスc-Jun leucine zipper interacti
ve (PIR#B46132)とほぼ一致した。マウスで報告された
アミノ酸配列は、本発明のOC#120のマウスにおけるホモ
ログの部分配列である可能性が考えられた。タンパク質
ドメイン構造検索プログラムPfamによる解析の結果、C
末端にロイシンジッパー様のコイルドコイル構造、N末
端側に明確なPH (Pleckstrin homology)ドメインを持つ
こと、また細胞内局在推定プログラムPSORT IIによる解
析では、73.9%:核、13.0%:細胞質、4.3%:細胞骨格、
4.3%:液胞であることが分かった。したがってこの遺伝
子産物は、転写因子、あるいはシグナル伝達アダプター
分子である可能性が考えられる。
現が増強する新規な遺伝子を提供する。これらの遺伝子
やその発現産物は、破骨細胞の成熟の指標として有用で
ある。本発明の破骨細胞成熟関連因子は、破骨細胞への
成熟に伴って、この細胞自身が発現する遺伝子である。
したがって、破骨細胞の成熟状態を知る指標として、特
異的で、しかも直接的な情報を与える。本発明によれ
ば、前記破骨細胞成熟関連因子の遺伝子発現を阻害する
化合物のスクリーニング方法が提供される。本発明によ
ってスクリーニングされる該成熟関連因子の発現阻害物
質は、破骨細胞への成熟を阻害する物質として、骨粗鬆
症やリウマチにおける骨破壊等の各種骨代謝疾患の治療
に有用であると考えられる。さらに、本発明の新規遺伝
子は、その発現レベルを測定することで、骨代謝に関連
する各種疾患の診断、病態解明のための指標として有用
である。また、本発明の破骨細胞成熟関連因子は、支持
細胞非存在下で、破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への成
熟誘導に伴って発現する因子として見出されたものであ
ることから、従来のストローマ細胞、および骨芽細胞と
関連した因子とは違う新規なものである。よって該因子
は、骨吸収抑制の新たな標的分子となり、従来の薬剤と
は作用機序の異なる、新たな薬剤の研究開発に貢献する
と考えられる。
ける発現量をノザン解析した結果を示す図。図中pOC、O
Cはそれぞれ単核破骨細胞、多核破骨細胞を表す。U937
は単球系骨髄性白血病細胞株(ATCC#: CRL-1593.2)を表
す。
Claims (15)
- 【請求項1】 下記(a)または(b)のいずれかに記
載のポリヌクレオチド。 (a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、お
よび配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列のコード
領域を含むポリヌクレオチド。 (b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、お
よび配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列から
なるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - 【請求項2】 下記(c)または(d)のいずれかに記
載のポリヌクレオチドであって、破骨細胞への成熟にと
もなって破骨細胞前駆細胞において発現が増強するポリ
ヌクレオチド。 (c)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、お
よび配列番号:7のいずれかに記載の塩基配列からなる
DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
ポリヌクレオチド。 (d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、お
よび配列番号:8のいずれかに記載のアミノ酸配列にお
いて1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、お
よび/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質
をコードするポリヌクレオチド。 - 【請求項3】請求項1または2に記載のいずれかのポリ
ヌクレオチドによってコードされるタンパク質。 - 【請求項4】請求項1または2に記載のいずれかのポリ
ヌクレオチドが挿入されたベクター。 - 【請求項5】請求項4に記載のベクターを保持する形質
転換体。 - 【請求項6】請求項5に記載の形質転換体を培養し、発
現産物を回収する工程を含む、請求項3に記載のタンパ
ク質を製造する方法。 - 【請求項7】配列番号:1、配列番号:3、配列番号:
5、および配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリ
ヌクレオチドのいずれか、またはその相補鎖とハイブリ
ダイズするポリヌクレオチドであって、少なくとも14
ヌクレオチドの鎖長を有するポリヌクレオチド。 - 【請求項8】請求項7に記載のポリヌクレオチドからな
る請求項1に記載のポリヌクレオチド合成用プライマ
ー。 - 【請求項9】請求項7に記載のポリヌクレオチドからな
る請求項1に記載のポリヌクレオチド検出用プローブ。 - 【請求項10】配列番号:1、配列番号:3、配列番
号:5、および配列番号:7に記載のポリヌクレオチド
のいずれか、もしくはその一部に対するアンチセンスDN
A。 - 【請求項11】請求項3に記載のタンパク質に対する抗
体。 - 【請求項12】請求項11に記載の抗体からなる破骨細
胞の検出用試薬。 - 【請求項13】請求項1に記載のポリヌクレオチドの発
現を指標とする破骨細胞の同定方法。 - 【請求項14】次の工程を含む、破骨細胞への成熟過程
を阻害する化合物のスクリーニング方法。 i)標的遺伝子として請求項1に記載のポリヌクレオチド
のいずれかを発現する細胞に被検試料を接触させる工
程、 ii)細胞における標的遺伝子の発現レベルを測定し、被
検試料を接触させない細胞における発現レベルと比較す
る工程、 iii)被検試料を接触させない細胞における標的遺伝子の
発現レベルと比較して、被検試料と接触させた細胞にお
いて標的遺伝子の発現レベルを低下させる試料を選択す
る工程 - 【請求項15】請求項14に記載の方法によって選択さ
れた化合物を主成分として含む、破骨細胞成熟抑制剤。
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