JP4254740B2 - 光記録再生方法、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置 - Google Patents
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Description
例えば、半導体レーザに関しては、発振波長が従来の赤色レーザの635nmから400nm帯に短波長化されたGaN半導体レーザが実用化され、これにより光スポットの小径化が図られつつある。また、例えばそれ以上の短波長化については、ソニー(株)製の266nmの単一波長の光を連続発振する遠紫外固体レーザUW−1020Aなどが発売されており、更なる光スポットの小径化も図られつつある。また、これ以外にもNd:YAGレーザの2倍波レーザ(266nm帯)、ダイヤモンドレーザ(235nm帯)、GaNレーザの2倍波レーザ(202nm帯)などの研究、開発が進められている。
ニアフィールド光記録再生方式では、光記録媒体との距離(ギャップ)方向、トラッキング方向に駆動される集光レンズの安定制御を図るとともに、ナノメートルオーダーの距離で光記録媒体と安定した記録再生が行えるように、光記録媒体とその集光レンズの傾きマージンを確保すること、また光記録媒体表面を平坦にし、光記録再生装置をできる限り少ない振動で動作させ、光ディスクの面振れ量を抑制することが求められる。
またニアフィールド光記録再生方式において高転送レート化を図るには、光記録媒体と集光レンズとの距離をいかにして光学的なコンタクト状態に維持しながら高速にディスクを回転させるかが重要である。
これに対し、記録密度はそのままで、2本のトラックを同時に再生することによって信号転送レートを向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
しかしながら、ニアフィールド光記録再生方式では、上述したように集光レンズ(例えばソリッドイマージョンレンズ)と光記録媒体の距離が数10nm程度と小さいことから、光記録媒体の面振れ量の抑制や2軸アクチュエータのギャップ制御帯域の追従性が十分でなく、したがってナノメートルオーダーのギャップの変化量は高速回転させるほど問題となり、記録再生信号が悪化するため、高転送レート化を図り難い。
また、本発明による光学ピックアップ装置は、複数の光ビームを光記録媒体に近接場光として照射する近接場光照射部を有し、これら複数の光ビームのうち光記録媒体に対する走査方向の前方側に照射される光ビームの戻り光量から、光記録媒体との距離が検出され、この距離情報を基に、残りの光ビームにより、近接場光照射による記録補償及び/又は再生補償がなされる構成とする。
更に、本発明による光記録再生装置は、複数の光ビームを光記録媒体に近接場光として照射する近接場光照射部と、近接場光照射部からの戻り光量を検出する少なくとも第1及び第2の受光部を有する光学ピックアップ装置と、少なくとも近接場光照射部を光記録媒体のギャップ方向及びトラッキング方向に制御駆動する駆動制御部と、複数の光ビームのうち光記録媒体に対する走査方向の前方側に照射される光ビームの戻り光により、光記録媒体との距離を検出するギャップ検出部と、この距離情報から生成した記録補償信号及び/又は再生補償信号を、複数の光ビームを出射する光源に出力する制御部と、を有する構成とする。
このように、ギャップを検出して、その距離情報を基にいわばギャップ変化量に対応させて、記録補償及び/又は再生補償を行うことによって、従来の光記録再生方法で問題となっていたギャップの変化量の影響を抑制することができ、従来に比して安定な光記録及び/又は再生が可能となる。
本発明の光記録再生方法に用いる光学ピックアップ装置においては、図1にその一例の要部の概略構成図を示すように、光記録媒体1の表面に光学的なコンタクト状態をもって近接して配置される例えばソリッドイマージョンレンズ(SIL)より成る近接場光照射部2、光学レンズ3が順に配置されて集光レンズ4が構成されて、光記録媒体1に対して近接場光を照射する構成とされる。近接場光照射部2としては、その他ソリッドイマージョンミラー(SIM)などの近接場光を照射する各種光学手段を利用可能である。
無偏光ビームスプリッタ12、偏光ビームスプリッタ13の反射側には、レンズ18、19を介して第1及び第2の受光部20及び21が配置される。
なお、光源10としては、2以上のレーザビームを出射するマルチビームレーザ光源を用いることができる。または、1本の光ビームを出射するレーザ光源を用いて、コリメートレンズ11と無偏光ビームスプリッタ12との間に二点鎖線で示すように、回折格子、ホログラム等より成る分離部22を設けて、2以上のビームに分離する構成としてもよい。
このように、1つの光源を用いて2以上の光ビームを形成する場合は、光学系の構成を簡易化し、装置全体の構成簡易化を図ることができる。
光記録媒体1の情報記録面と対向する距離によって変動する近接場光照射部2からの反射戻り光は、光学レンズ3を介してミラー16により反射され、ビームエキスパンダー15、1/4波長板14を介してPBS13により一部の光、例えば光記録媒体1との相対的走行方向において後方に照射する光ビームの戻り光が反射されて、レンズ18により第1の受光部20に集光される。また、PBS13を通過した一部の光、すなわち光記録媒体1との相対的走行方向において、前方に照射する光ビームの戻り光は、NPBS12により反射されて、レンズ19により第2の受光部21に検出される。PBS13から反射された光を受光する第1の受光部20により例えばトラッキング信号及び再生信号が、第2の受光部21により例えば近接場光照射部2と光記録媒体1との間の距離情報であるギャップ変動信号を検出する構成とすることができる。なお、光源10として3以上の光ビームを出射する光源を用いる場合は、トラッキング信号用、記録再生用の第1の受光部20において、光ビーム本数に対応する2以上の受光部を有するフォトディテクタを用いることも可能であり、後方の光ビーム本数を2以上とすることも可能である。
なお、ギャップの検出方法としては、その他例えば静電容量の変化を検出する方法など、種々の方法を採ることができる。
図3に示すように、この光記録再生装置は、複数の光ビームを光記録媒体1に近接場光として照射する近接場光照射部2と、近接場光照射部2からの戻り光量を検出する少なくとも第1及び第2の受光部20、21を有する光学ピックアップ装置30と、少なくとも近接場光照射部を光記録媒体1のギャップ方向及びトラッキング方向に制御駆動する駆動制御部53と、光記録媒体1に対する走査方向の前方側に照射される光ビームにより、光記録媒体1との距離を検出するギャップ検出部51と、この距離情報から生成した記録補償信号及び/又は再生補償信号を複数の光ビームを出射する光源10に出力する制御部52とより構成される。光記録媒体1が例えばディスク状であれば、図示を省略するスピンドルモータに装着され、所定の回転数で回転させる回転駆動部、また回転数を制御する回転駆動制御部(図示せず)が設けられる。
また、光学ピックアップ装置30の第1の受光部20により検出された戻り光量は、RF再生信号、トラッキングエラー信号を生成する回路(図示せず)に矢印aで示すように出力される。またギャップ制御を後方の光ビームで行う場合には、ギャップエラー信号を生成する回路に同様に出力される。
また、例えば第2の受光部21において検出したギャップ変動信号SGに基づいてギャップエラー信号を駆動制御部53に入力し、この駆動制御部53においてギャップ制御信号SGSを生成し、これを駆動部17に出力して、ギャップ制御を行うことができる。
また、再生補償信号としては、例えばレーザダイオード等より成る光源の再生用の後方に照射される光ビームにおけるレーザパワー又は重畳周波数、もしくはその両方を調整する信号とすることによって、ギャップ変化量による影響によることなく、例えば光磁気記録再生方式による超解像再生などを安定して行うことができる。
なお、上述の光学ピックアップ装置は、再生のみを行う再生専用、記録のみを行う記録専用、記録と再生の両方を行うことができる記録再生用を含むものである。またこの光学ピックアップ装置は、光磁気記録方式と、ニアフィールド光再生方式を組み合わせることにより、その光学ピックアップ装置の一部に磁気コイル等を組み込んだ構成としてもよい。また、光記録再生装置は、再生のみを行う再生専用装置、記録のみを行う記録専用装置、記録と再生の両方を行うことができる記録再生用装置を含むものである。
図4A及びBは、本発明の光記録再生方法における近接場光照射部として適用可能なSILの一例の概略断面構成及び対物面側からみた概略平面構成を示す図である。図4Aに示すように、SILはその対物側とは反対側の部分が凸球面より成る球状部61とされ、この球状部61が超半球状である場合は、その厚さは、レンズ材料の屈折率をnとすると、r(1+1/n)とされる。図4Aにおいて、破線Rは、断面が半径rの円となる位置を示す。一方対物側の先端部は、平坦面とされるか、または光記録媒体に対する傾きマージンを確保するために、図4Bに示すように、例えば円錐形状、角錐形状の凸状部62、また図示しないがその他曲面状、段差形状などの凸状部を設ける構成としてもよい。この場合、対物面63の面積は、図6Bに示すように、SILの球状部61の直径に比して小さい直径の領域となる。
なお、凸状部62の図6Aに示す断面における傾斜角度、また曲面形状や段差形状とする場合はその曲率、段差位置及び高さなどは、SILすなわち近接場光照射部2に入射される光ビームの入射角度より大に設定される。例えば、SILの材料が屈折率2〜3程度のレンズ材料とされる場合、その角度は60〜80度程度である。
また、これらの材料は、アモルファス構造、もしくは単結晶の場合には立方晶構造であることが望ましい。材料がアモルファス構造、もしくは立方晶構造である場合、結晶方位によりエッチング速度やエッチング特性が変化しないため、公知である半導体などの加工に使用されるエッチング方法や装置が利用可能である。
この例においては、SIL材料として、S−LAH79(オハラ(株)製、商品名)の高屈折率ガラス材料を利用し、半径rを0.45mm、その光軸に沿う厚さを0.667mmとし、その対物側の凸状部62を傾斜角度70度の円錐形状として作製した。また対物面63の平面領域の半径は40μmとした。
この場合の、記録再生用ビームの全反射光量(すなわちギャップエラー量)、ビームの記録パワーの時間変化を図7A及びBそれぞれ示す。この場合、SILの対物面63にギャップ検出兼記録再生用の1本の光ビームを照射するため、SILと光記録媒体とのギャップを検出することは可能であるが、その距離情報に基づいて、記録及び/又は再生パワーを補償することはできない。つまり、図7Bに示すようにビームの記録パワーは一定である。
その結果、図7Cに示すように、ギャップの変化量に対応した再生信号の変動が生じてしまい、ギャップの変動による信号劣化が見られる。
この場合、上述したようにSILの対物面63の半径は40μm程度であり、各光ビームの間隔を3μm程度以上確保することができる。
光記録媒体のSILに対する相対速度、すなわち線速を3m/sとすると、各光ビームの間隔が上述したように3μm程度確保できれば、Δtは1μs程度となる。したがって、十分にギャップサーボに対応することが可能であり、追従性を改善することができる。
更に、例えば光磁気記録方法において超解像再生を行う場合などにおいて、レーザパワーの他に、重畳周波数を変えてギャップ変化量に対応する補償を行うこともできる。
図10は、ギャップ検出用光ビームとして記録再生用の光ビームとは異なる波長の光を用いる場合の光学ピックアップ装置の一例の概略構成を示す。図10において、図2と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この場合は、光源10とは異なる波長の光源40を用いて、この光源40からの光をコリメートレンズ41、ビームスプリッタ42、偏光ビームスプリッタ43、1/4波長板44を介してダイクロイックプリズム45に照射し、ダイクロイックプリズム45において光源10からの光と合波して、光学レンズ3、近接場光照射部2の例えばSILを介して光記録媒体1に記録再生用の光ビーム及びギャップ検出用光ビームを照射する構成とする。光記録媒体1からのギャップ検出用光ビームの戻り光は、前述の図2において説明した例と同様に、偏光ビームスプリッタ43から漏れた光をビームスプリッタ42で反射してレンズ20を介して第2の受光部21で検出し、これによりギャップ変化量に対応する記録及び/又は再生補償を行うことができる。
Claims (7)
- 光記録媒体に近接場光を照射して記録及び/又は再生を行う光記録再生方法であって、
2以上の光ビームを前記光記録媒体上に近接場光として照射し、
前記2以上の光ビームのうち前記光記録媒体に対する走査方向の前方側に照射される光ビームの戻り光から、前記光記録媒体との距離情報を検出し、
前記距離情報を基に、残りの光ビームにより、近接場光照射による記録補償及び/又は再生補償を行う
ことを特徴とする光記録再生方法。 - 記録用の前記光ビームの光のパワー、パルス幅、パルス位相、周波数のうち少なくとも一つを調整して前記記録補償を行う
ことを特徴とする請求項1記載の光記録再生方法。 - 再生用の前記光ビームの光のパワー又は重畳周波数もしくはその両方を調整して前記再生補償を行う
ことを特徴とする請求項1記載の光記録再生方法。 - 前記光記録媒体との距離を検出する光ビームと、光記録及び/又は再生を行う光ビームの波長を異ならせる
ことを特徴とする請求項1記載の光記録再生方法。 - 1つの光源から出射された光ビームを、少なくとも前記光記録媒体との距離を検出する光ビームと、前記光記録及び/又は再生を行う光ビームに分離する
ことを特徴とする請求項1の光記録再生方法。 - 複数の光ビームを光記録媒体に近接場光として照射する近接場光照射部を有し、
前記複数の光ビームのうち前記光記録媒体に対する走査方向の前方側に照射される光ビームの戻り光量から、前記光記録媒体との距離が検出され、
前記距離情報を基に、残りの光ビームにより、近接場光照射による記録補償及び/又は再生補償がなされる
ことを特徴とする光学ピックアップ装置。 - 複数の光ビームを光記録媒体に近接場光として照射する近接場光照射部と、前記近接場光照射部からの戻り光量を検出する少なくとも第1及び第2の受光部を有する光学ピックアップ装置と、
少なくとも前記近接場光照射部を前記光記録媒体のギャップ方向及びトラッキング方向に制御駆動する駆動制御部と、
前記複数の光ビームのうち前記光記録媒体に対する走査方向の前方側に照射される光ビームの戻り光により、前記光記録媒体との距離を検出するギャップ検出部と、
前記距離情報から生成した記録補償信号及び/又は再生補償信号を、前記複数の光ビームを出射する光源に出力する制御部と、を有する
ことを特徴とする光記録再生装置。
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