JP4251202B2 - 振動波形の周期の安定性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機械装置などの振動波形の周期の安定性評価方法に係り、特に、概周期性の振動を発生する機械装置などにおいて、その構成部品の異常が振動周期の安定性に影響している場合に前記異常とその程度を検出することができる振動波形の周期の安定性評価方法に関するものである。
工作機械、電車、HDD、あるいはそれらに使われるモータなどの各種の機械装置を稼動させると、いずれも周期性の振動を発生し、正常動作時にはその周期性が厳密に維持されるが、ベアリング、ブラシなどの消耗(磨耗・キズ)を含む構成部品の異常が発生すると、振動の周期性が失われ、ついには故障(暴走又は停止)に至る。
故障を予防するためには、この異常を初期段階で検知することが肝要であるが、異常の初期で消耗(磨耗・キズ)などが軽微な場合は、振動の周期性が僅かに失われた、概周期性振動となる場合が多い。
そのため、この概周期性振動の判定、即ち周期の安定性の評価に当たっては、各種の方法が用いられている。
通常用いられる方法は、振動波形をある時間幅(以下、「窓」という)についてFFT(高速フーリエ変換)により周波数領域に変換し、その基底振動周波数を算定し、これを別の窓について繰り返し、得られた基底振動周波数の「ゆらぎ」を評価するものである。
しかしながらこの方法では、窓の時間幅が概周期に比べて、大きいと「ゆらぎ」が平均化されてしまい、逆に小さいと基底振動周波数の分解能が劣化し「ゆらぎ」が歪曲されてしまい、いずれにしても適切な窓の時間幅を選ぶのが困難であった。
さらに「ゆらぎ」の程度が経時的に変化する場合が多く、その場合は少なくとも窓の最適時間幅を経時的に変動させる必要があり、そのような窓の時間幅の選択はますます困難であった。
従って、「ゆらぎ」の程度を定量的に把握することが困難であり、個別の機械装置ごと、個別の異常ごとに、熟練者のノウハウ(例えば、振動音の微妙な音色の差異)に依存するしかなかった。
例えば特許文献1には、振動波形のエンベロープを検出してこれを周波数解析する技術が開示されているが、上記の困難は必ずしも回避できるものではない。
特開2006−113003号公報
上記のような振動波形の周期の安定性評価方法における諸問題を解決するためになされた本発明の目的は、窓の時間幅をどう選ぶかに実質的に依存しないようにして基底振動周波数の「ゆらぎ」を正確に測定して概周期振動の周期の安定性の指標とする、振動波形の周期の安定性評価方法を提供することにある。
上記の課題を解決するためになされた本発明による振動波形の周期の安定性評価方法は請求項1に示すように、第1の時間T1について、近似的周期がT1の70%より大きく140%より小さい範囲にある概周期性の振動波形の時系列データに対して、第1の時間T1より大きい第2の時間T2について、ある時刻tから時刻t+T2までの時間(以下、「窓」という)に属する前記時系列データに第1のFFT(高速フーリエ変換)を施し、前記第1のFFT演算により得られた周波数スペクトルの基底振動における最大振幅値をM(t)とし、第1の時間T1より小さい第3の時間T3について、前記窓を第3の時間T3だけシフトして同様にM(t+T3)を得、第2の時間T2より大きい第4の時間T4について、時刻t=0から時刻t=T4+T2まで、複数個の順次シフトされた窓に対して得た前記最大振幅値M(t)の時系列データに第2のFFTを施し、前記第2のFFT演算により得られた周波数スペクトルの基底振動において振幅が最大となる周波数を基本周波数Fcとし、前記基底振動の周波数拡散幅DFcと前記基本周波数Fcの比である周波数拡散係数DFc/Fcを指標とすることを特徴とする。
また請求項2に示すように、前記振動波形の時系列データが、機械装置の物理的振動を観測して得られるものであり、前記周波数拡散係数により前記機械装置の部品の消耗(磨耗又はキズ、または電源の消耗)の程度を評価することを特徴とする。
また請求項3に示すように、前記機械装置がドリルを含む工作機械であり、前記機械装置の物理的振動が、前記ドリル先端の被加工物への接触・貫通により発生するものであり、前記機械装置の部品の消耗が前記ドリルを駆動するモータの部品(ブラシ、ベアリングを含む)の消耗またはモータの電源の消耗であることを特徴とする。
また請求項4に示すように、前記機械装置がリレーを含む機械装置であり、前記機械装置の物理的振動が、前記リレーのチャタリングにより発生するものであり、前記機械装置の部品の消耗が前記リレーの接点の消耗であることを特徴とする。
また請求項5に示すように、前記機械装置が車輪を含む機械装置であり、前記機械装置の物理的振動が、前記車輪の軸受け摩擦により発生するものであり、前記機械装置の部品の消耗が前記車輪の軸受け部品(ベアリングを含む)の消耗であることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る振動波形の周期の安定性評価方法によれば、窓の時間幅T2を概周期T1に比べて「ゆらぎ」が平均化されない程度に小さくとって第1のFFT演算を行い、その際、分解能が劣化している基底振動周波数を使わない。
その代わりに、基底振動周波数に対応する最大振幅値を用い、窓を順次スタガーして得られる最大振幅値の時系列データを、周波数分解能が十分出せる時間T3にわたって得て、これに対して第2のFFT演算を行い、その基底振動周波数及びその周波数拡散係数を高い分解能をもって得ることができるので、精度のよい定量的な、振動波形の周期の安定性評価方法を提供することができる。
以下、本発明に係る実施の形態と効果を、図1ないし図10に従って具体的に説明する。
対象とする振動波形は、概周期性、即ち、理想的な周期振動に対して、その周期に1周期ごとに少しずつ変動(「ゆらぎ」)を与えたものであり、「ゆらぎ」の範囲は、ここでは、ある概周期T1に対して、例えば70%から140%の範囲にある。
図1は第1の実施例に係る、振動波形の周期の安定性評価方法による、安定性指標としての周波数拡散係数を得るためのフローチャートである。
全体のフローはフロー(1)とフロー(2)に分けられる。
フロー(1)では、最初にステップS1で、対象とする機械装置の振動を圧力センサにより検出し、次にステップS2で、圧力センサからの微弱な電気信号をアンプにより増幅する。
次にスレッド1のステップS10で、時刻sの初期値を設定した後、ステップS11で、アンプの出力信号をA/D変換し、サンプルデータD(s)を得る。
ここで時刻sはs=0で始まる、刻みΔTでデジタイズされたサンプリング時刻である。
次にステップS12で、サンプルデータD(s)をリングメモリに書き込む。
次にステップS13で、時刻sをΔTだけシフトし、ステップS13で時刻sが所定の時刻T4+T2を越えない間はステップS11に戻り、S11、S12を繰り返す。
ここで、後述するように、T4は最後の「窓」の開始時刻(最初の「窓」の開始時刻を0とする)、T2は「窓」の時間幅である。
この結果、サンプルデータはD(0)、D(ΔT)、D(2ΔT)・・・の順にシフトしながらリングメモリに格納され、D(T4+T2)を格納するまで続けられる。
一方、フロー(2)では、スレッド2のステップS20、S21で、各々時刻tと窓上の時刻uの初期値を設定した後、ステップS22で、サンプルデータD(t)をリングメモリから読み出し、ステップ23で、窓上の時刻uをΔTだけシフトして、ステップS24で時刻uが所定の時刻T2を越えない間はステップS22に戻り、S22、S23を繰り返す。
この結果、時刻tに始まる1つの窓[t、t+T2]に関するサンプルデータD(t)〜D(t+T2)がリングメモリから順次読み出される。
窓の時間幅T2は、対象とする振動波形の概周期T1より大きく、好ましくは概周期T1の1.4倍より大きい。
最後のD(t+T2)が読み出された時点で、リングメモリ中の先頭のD(t)はシフト先がなく、消去されてもよい。
次にステップS31で、窓[t、t+T2]に関する時系列データD(t)〜D(t+T2)に対して第1のFFT演算が行われ、ステップS32で、第1のFFT演算の結果である周波数特性から基底振動の最大振幅値M(t)を得る。
次にステップ33で、時刻tを窓のシフト量T3だけシフトして、ステップS34で、時刻tがT4を越えない間はステップS21に戻り、次の窓[t+T3、t+T3+T2]に関する時系列データD(t+T3)〜D(t+T3+T2)がリングメモリから読み出され、その窓に関する基底振動の最大振幅値M(t+T3)を得、これを繰り返す。
ここで、窓のシフト量T3は、求める周波数拡散係数の精度により決まるが、相次ぐ窓の一部が互いに重畳するように、少なくとも窓の時間幅T2より小さい。
スレッド1では、リングメモリへの格納(書き込み)だけが行われ、スレッド2では、リングメモリからの読み出しだけが行われる。
リングメモリとして、直列書き込み機能と並列読み出し機能が非同期で実行可能なFIFO(First−In−First−Out)メモリを使うと、さらに高速演算処理が可能になる。
ステップS41では、上記スレッド2で得られた、データM(0)、M(T3)、M(2・T3)、・・・M(T4)に対して第2のFFT演算が行われる。
時間T4は、周波数の分解能を確保するために十分大きく、少なくとも「窓」の時間幅T2よりも大きくとられる。
最後にステップS42では、上記第2のFFT演算から基底振動の基本周波数Fcと、その周波数拡散幅DFcを得て、両者の比、DFc/Fcをもって求める概周期の安定性指標とする。
もとの概周期性の振動波形の周波数の「ゆらぎ」を平均化してしまわず反映するためには、個々の窓の時間幅T2はあまり大きくとれない。
従って、ステップS31で得られる周波数特性の周波数分解能は、必ずしも高くない。
しかしながら、本実施例では周波数特性のうち、そのような分解能の低い周波数値を使わず、基底振動の最大振幅値M(t)だけを使い、しかも十分長い時間T4にわたって、M(t)の時系列データM(0)、M(T3)、M(2・T3)、・・・M(T4)を得ることができる。
従って、このような時系列データから得られる周波数特性の周波数分解能は十分に高くできるので、得られた概周期の安定性指標DFc/Fcは精度が高い。
本発明のさらに具体的な実施の形態を、ケースA、B、C、D、Eに分けて、各々以下の実施例2〜6により説明する。
いずれも、対象とする機械装置はドリルを備えた工作機械であり、ドリルが一定の時間間隔で被加工物である鉄板に孔を開けている場合に生じる工作機械の振動を想定する。
工作機械がドリルの駆動系にあるモータを含めて正常に稼動している場合は、振動波形の基底振動の基本周波数は上記一定の時間間隔の逆数に相当し、「ゆらぎ」がない、即ち、FFTによる周波数特性において、基底振動の基本周波数及びその倍調波の振幅だけが顕著に大きく(波形の「山がシャープ」)、基本周波数の近傍の周波数拡散幅が実質的にゼロになる。
しかしながら、工作機械になんらかの異常がある場合、特にモータに異常がある場合は、基底振動周波数に「ゆらぎ」を生じ(波形の「山がくずれる」)、周波数拡散幅と基本周波数の比である周波数拡散係数が実質的にゼロでなくなる。
(以下実施例2〜6では、周波数拡散幅を「基本周波数の両側において振幅が基底振動における最大振幅の4分の1になる2つの周波数の差」として定義するが、周波数拡散幅の定義はこれに限定されるものではない。)
本実施例2〜6では、この「ゆらぎ」を正確にかつ定量的に捉えることができることが分かる。
本実施例はケースAの場合であり、図2、図3を参照すると、図2は正常な場合、図3はモータのベアリングの消耗に相当する異常が生じている場合である。
図2において、図2(a)はもととなる振動波形を示し、約200msの周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に「ゆらぎ」が殆どない。
即ち、概周期T1=200ms、であり、ここでは、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
図2(b)は、図2(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値M(t)を順次プロットした結果である。
もとの振動波形の周期性を反映して、本図のMの波形も周期性がよいことが視認できる。
事実、図2(b)をFFT演算して得られる図2(c)は、楕円内に示すように、シャープな基底周波数特性を示し、周波数拡散係数は約0.2である。
(図2(c)において、基底振動の基本周波数Fc=6.800(相対値)、基本周波数での最大振幅=20目盛(相対値)、4分の1値幅DFc(5目盛での周波数拡散幅)=1.36(相対値)、従って周波数拡散係数DFc/Fc=0.2)
一方図3において、図3(a)は異常が生じている場合の振動波形を示し、約170msの概周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に150〜180ms程度の「ゆらぎ」がある。
即ち、概周期T1=170ms、であり、ここでも、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
しかしながら、「ゆらぎ」の程度を視認によって定量的に把握するのは困難である。
図3(b)は、図3(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値M(t)を順次プロットした結果である。
もとの振動波形の概周期の「ゆらぎ」を反映して、本図のM(t)の波形も周期性が崩れていることが視認できる。
事実、図3(b)をFFT演算して得られる図3(c)は、楕円内に示すように、山が崩れた基底周波数特性を示し、基底周波数での最大振幅値が14.5目盛と低下しているだけでなく、周波数拡散係数は約0.7となり、周波数の「ゆらぎ」の程度が定量的に把握でき、周波数拡散係数が概周期の安定性指標として好適に使えることが分かる。
本実施例はケースB、即ち、上記実施例2の場合よりもモータの回転数を上げた場合であり、図4、図5を参照すると、図4は正常な場合、図5はモータに過負荷をかけた場合である。
ただし本実施例では、被加工物である鉄板の配置が上記実施例1の場合と異なり、ドリルが鉄板に当たる衝撃の周期も異なる。
図4において、図4(a)はもととなる振動波形を示し、実質的に約100msの周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に「ゆらぎ」が殆どない。(図4(a)(b)では横軸が50ms/DIVであることに留意)
ただし鉄板の配置が異なる結果として振動は実施例1の場合よりも速やかに減衰している。
本実施例でも、上記実施例1と同じく概周期T1、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、200ms、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
図4(b)は、図4(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値Mを順次プロットした結果である。
もとの振動波形の周期性を反映して、本図のMの波形も周期性がよいことが視認できる。
事実、図4(b)をFFT演算して得られる図4(c)は、楕円内に示すように、シャープな基底周波数特性を示し、周波数拡散係数は約0.2である。
一方図5において、図5(a)は異常が生じている場合の振動波形を示し、約100msの概周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に90〜110ms程度の「ゆらぎ」がある。
即ち、概周期T1=100ms、であり、ここでも、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
しかしながら、「ゆらぎ」の程度を視認によって定量的に把握するのは困難である。
図5(b)は、図5(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値Mを順次プロットした結果である。
もとの振動波形の概周期の「ゆらぎ」を反映して、本図のM(t)の波形も周期性が崩れていることが視認できる。
事実、図3(b)をFFT演算して得られる図3(c)は、楕円内に示すように、山が崩れた基底周波数特性を示し、周波数拡散係数は約0.5である。
ただし本実施例では、基底周波数での最大振幅値が20目盛であって、正常な場合と同等であり、「ゆらぎ」の程度は上記実施例1の場合ほど大きくないことが分かる。
本実施例はケースCの場合であり、図6、図7を参照すると、図6は正常な場合、図7は上記実施例2と同じくモータのベアリングの消耗に相当する異常が生じている場合である。
ただし本実施例では、上記実施例2と異なり、鉄板が工作機械本体に対してより強固に固定されている。
図6において、図6(a)はもととなる振動波形を示し、実質的に約200msの周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に「ゆらぎ」がない。
ただし鉄板が強固に固定されている結果として振動は実施例1の場合よりも速やかに減衰している。
本実施例でも、上記実施例2と同じく概周期T1、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、200ms、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
図6(b)は、図6(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値Mを順次プロットした結果である。
もとの振動波形の周期性を反映して、本図のMの波形も周期性がよいことが視認できる。
事実、図6(b)をFFT演算して得られる図6(c)は、楕円内に示すように、(最大振幅値が18目盛と、上記実施例1の場合よりは若干低いがシャープな基底周波数特性を示し、周波数拡散係数は約0.3である。
一方図7において、図7(a)は異常が生じている場合の振動波形を示し、約200msの概周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に160〜240ms程度の「ゆらぎ」がある。(図7(a)(b)では横軸が200ms/DIVであることに留意)
即ち、概周期T1=200ms、であり、ここでも、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
しかしながら、「ゆらぎ」の程度を視認によって定量的に把握するのは困難である。
図7(b)は、図7(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値Mを順次プロットした結果である。
もとの振動波形の概周期の「ゆらぎ」を反映して、本図のM(t)の波形の周期性が崩れていることが視認できる。
事実、図7(b)をFFT演算して得られる図7(c)は、楕円内に示すように、山が崩れた基底周波数特性を示し、最大振幅値は13目盛、周波数拡散係数は約0.6である。
本実施例はケースD、即ち、上記実施例3において観測時間T4を増加した場合であり、図8、図9を参照すると、図8は正常な場合、図9はモータの駆動電圧が変動している場合である。
図8において、図8(a)はもととなる振動波形を示し、上記実施例3の場合と同じく、実質的に約100msの周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に「ゆらぎ」が殆どない。
本実施例でも、上記実施例1と同じく概周期T1、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、200ms、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
図8(b)は、図8(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値Mを順次プロットした結果である。
もとの振動波形の周期性を反映して、本図のMの波形も周期性がよいことが視認できる。
事実、図8(b)をFFT演算して得られる図8(c)は、楕円内に示すように、最大振幅値は13.3目盛となり、かなり低下しているが、シャープな基底周波数特性を示し、周波数拡散係数は約0.2である。
一方図9において、図9(a)は異常が生じている場合の振動波形を示し、約100msの概周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっても周波数に80〜140ms程度の「ゆらぎ」がある。
即ち、概周期T1=100ms、であり、ここでも、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
しかしながら、「ゆらぎ」の程度を視認によって定量的に把握するのは困難である。
図9(b)は、図5(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値Mを順次プロットした結果である。
もとの振動波形の概周期の「ゆらぎ」を反映して、本図のM(t)の波形も周期性が崩れていることが視認できる。
事実、図3(b)をFFT演算して得られる図3(c)は、楕円内に示すように、山が崩れた基底周波数特性を示し、最大振幅値が8目盛と低下しているだけでなく、周波数拡散係数は約0.8である。
本実施例はケースEの場合であり、図10を参照すると、上記実施例2において、同一条件でさらに長時間動作させ、モータの電源が消耗した場合である。
図10において、図10(a)はもととなる振動波形を示し、約70msの周期でドリルが鉄板に当たるたびにその衝撃による減衰振動が発生しており、視認によっては周波数に「ゆらぎ」が大きくあるようには見えない。
即ち、概周期T1=70ms、であり、ここでは、窓の時間幅T2、窓のシフト量T3を各々、500ms、20msにとっている。(T3<T1<T2)
図10(b)は、図10(a)の波形を窓ごとにFFT演算し、得られた周波数特性(図示せず)から基底周波数の最大振幅値M(t)を順次プロットした結果である。
図10(b)では、もとの振動波形では視認し難かった概周期の「ゆらぎ」を反映して、M(t)の波形も周期性が崩れていることが視認できる。
事実、図3(b)をFFT演算して得られる図3(c)は、楕円内に示すように、山が崩れた基底周波数特性を示し、基底周波数での最大振幅値が10目盛と低下しているだけでなく、周波数拡散係数は約1.0となり、基底周波数の「ゆらぎ」の程度が大変大きいことが定量的に把握でき、周波数拡散係数が概周期の安定性指標として好適に使えることが分かる。
以上実施例1において、一般的な概周期振動に対して、本発明による振動波形の周期の安定性評価方法を適用する手順の一例を示し、実施例2〜6においては、対象とする機械装置がドリルを備えた工作機械であり、ドリルが一定の時間間隔で被加工物である鉄板に孔を開けている場合に生じる工作機械の振動から、特にモータのベアリングの消耗、モータの過負荷、又はモータの電源の消耗などの異常の存在を予知できることを示した。
しかしながら、本発明は、上記の具体例に限定されず、同様の手順に従い、リレーのチャタリングに起因する振動からリレーの接点の消耗を予知する際に適用することができる。
また、同様の手順に従い、車輪の軸受け摩擦に起因する振動から車輪の軸受け部品の磨耗を予知する際に適用することができる。
本発明による振動波形の周期の安定性評価方法を適用すると、色々な機械装置において観測される概周期性の振動波形から、振動波形を視認しただけでは必ずしも判別が不可能な周波数の「ゆらぎ」を定量的に検出し、その機械装置の部品の消耗を早い段階で予知できるので、機械装置の安定性評価、保守点検を効率的かつ的確に行うことができ、産業上利するところが大である。
実施例1に係る、振動波形の周期の安定性評価方法のフローチャートである。 実施例2に係る正常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例2に係る異常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例3に係る正常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例3に係る異常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例4に係る正常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例4に係る異常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例5に係る正常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例5に係る異常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。 実施例6に係る異常な場合の(a)原振動波形、(b)最大振幅値波形、(c)FFT演算結果である。
符号の説明
T1 第1の時間(概周期)
T2 第2の時間(「窓」の時間幅)
T3 第3の時間(「窓」のシフト量)
T4 第4の時間(総観測時間)
ΔT (サンプリング時間の)刻み
D(s)、D(t)、D(u) 時刻s、t、uにおけるサンプルデータ
M(t) 基底振動における最大振幅値
Fc 基底振動における基本周波数
DFc 基底振動における基本周波数
DFc/Fc 周波数拡散係数

Claims (5)

  1. 第1の時間T1について、近似的周期がT1の70%より大きく140%より小さい範囲にある概周期性の振動波形の時系列データに対して、
    第1の時間T1より大きい第2の時間T2について、ある時刻tから時刻t+T2までの時間(以下、「窓」という)に属する前記時系列データに第1のFFT(高速フーリエ変換)を施し、前記第1のFFT演算により得られた周波数スペクトルの基底振動における最大振幅値をM(t)とし、
    第1の時間T1より小さい第3の時間T3について、前記窓を第3の時間T3だけシフトして同様にM(t+T3)を得、
    第2の時間T2より大きい第4の時間T4について、時刻t=0から時刻t=T4+T2まで、複数個の順次シフトされた窓に対して得た前記最大振幅値M(t)の時系列データに第2のFFTを施し、
    前記第2のFFT演算により得られた周波数スペクトルの基底振動において振幅が最大となる周波数を基本周波数Fcとし、
    前記基底振動の周波数拡散幅DFcと前記基本周波数Fcの比である周波数拡散係数DFc/Fcを指標とすることを特徴とする振動波形の周期の安定性評価方法。
  2. 前記振動波形の時系列データが、機械装置の物理的振動を観測して得られるものであり、前記周波数拡散係数により前記機械装置の部品の消耗(磨耗又はキズ、または電源の消耗)の程度を評価することを特徴とする請求項1に記載の振動波形の周期の安定性評価方法。
  3. 前記機械装置がドリルを含む工作機械であり、前記機械装置の物理的振動が、前記ドリル先端の被加工物への接触・貫通により発生するものであり、前記機械装置の部品の消耗が前記ドリルを駆動するモータの部品(ブラシ、ベアリングを含む)の消耗またはモータの電源の消耗であることを特徴とする請求項2に記載の振動波形の周期の安定性評価方法。
  4. 前記機械装置がリレーを含む機械装置であり、前記機械装置の物理的振動が、前記リレーのチャタリングにより発生するものであり、前記機械装置の部品の消耗が前記リレーの接点の消耗であることを特徴とする請求項2に記載の振動波形の周期の安定性評価方法。
  5. 前記機械装置が車輪を含む機械装置であり、前記機械装置の物理的振動が、前記車輪の軸受け摩擦により発生するものであり、前記機械装置の部品の消耗が前記車輪の軸受け部品(ベアリングを含む)の消耗であることを特徴とする請求項2に記載の振動波形の周期の安定性評価方法。
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