JP4250778B2 - 高温高圧流体冷却方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の利用分野】
本発明は、高温高圧流体を冷却する高温高圧流体冷却方法及び装置に関し、例えば超臨界領域の水で有害な難分解性有機物や原子力プラントの放射性物質を含む処理流体等の被処理物を処理した後の流体を冷却する方法及び装置に好都合に利用される。
【0002】
【従来の技術】
高圧容器内を水の超臨界状態にして対象物を酸化又は加水分解処理すると共にその中である程度冷却されて容器外に排出される高温高圧処理流体は、例えば特開平7−313987号公報の図1及び同公報に従来技術として示す図17のように、通常、そのままの高圧状態で冷却器に導入されて冷却されていた。
【0003】
しかしながら、このような冷却装置では、冷却器の水室、管板及び伝熱管を高圧に耐えられるだけの厚みを持ち且つ高級な材料にしなければならず、冷却装置のコストが高くなるという問題があった。又、冷却器に高圧ガス保安法の規制が適用されるため、その製造過程が煩雑になり、この点でもコスト上昇を招いた。更に、このような高温高圧処理流体は、通常、酸素、炭酸ガス、窒素等の非凝縮性ガスを含む共にとに、スラッジ成分を含んだスラリー状になっているため、伝熱管の熱交換効率を低下させたりこれにスケールを付着させるという問題があった。
【0004】
又、このような水の超臨界域での反応処理では、対象物が例えば放射性物質等の有害物質であることもあり、熱交換器において冷却媒体側に漏れたときに、その有害物質が大気環境側に出て汚染を拡大させるおそれがあった。即ち、冷却管中の高圧水が熱交換器の胴体側の冷却水中に漏れると、冷却水が冷却塔で冷却される場合には最終的に冷却塔まで汚染されたり、汚染が更に大気に拡散されるおそれがあった。
【0005】
一方、高圧冷却器を使用しない方法としては、例えば海水の濃縮・淡水化に用いられているような高温水の低圧化によるフラッシュ蒸発を利用する方法が考えられるが、その場合には、極めて大きなフラッシュ室が必要になると共に、非凝縮ガスが存在すると凝縮伝熱作用等が著しく阻害されるという問題がある。更に、非凝縮ガスの排出時にフィルタを用いる場合には、随伴される水蒸気のためにフィルタの吸着機能が低下するおそれがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術に於ける上記問題を解決し、小型で簡単な構造で製造コストが低く、効率的に熱交換でき、有害物質による汚染拡大等のおそれのない高温高圧流体冷却方法及び装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、非凝縮性ガスを含む被処理物を処理した後の超臨界水からなる高温高圧の一次流体を減圧手段に導入し、該減圧手段を経由した二次流体を前記非凝縮性ガスが放出されてほぼ大気圧条件にされる容器であって初期冷却水が入れられていると共に冷却管からなる冷却手段が配列されている容器に入れ、該容器内の流体を貯留排出手段によって前記容器内に溜めつつ排出し、前記二次流体が少なくともその沸点より低い温度になるように前記冷却手段に冷却用の水を流して前記容器内に溜められた流体を冷却する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、上記に加えて、前記容器内の流体を循環系で循環させ、該循環系を介して前記二次流体を前記容器に入れることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、高温高圧流体冷却装置が、非凝縮性ガスを含む被処理物を処理した後の超臨界水からなる高温高圧の一次流体を導入して減圧できる減圧手段と、該減圧手段を経由した二次流体が入れられると共に前記非凝縮性ガスが放出されてほぼ大気圧条件にされる容器であって前記二次流体が入れられる前に初期冷却水が入れられると共に冷却管からなる冷却手段が配列されている容器と、該容器内の流体を溜めつつ排出する貯留排出手段と、前記二次流体が少なくともその沸点より低い温度になるように冷却用の水が流されて前記容器内に溜められた前記流体を冷却する前記冷却管からなる前記冷却手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、上記に加えて、前記容器内の流体を循環させる循環系であって該循環系を介して前記二次流体が前記容器に入れられる循環系を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明の特徴に加えて、前記減圧手段は前記一次流体の圧力をほぼ一定圧力に制御する定圧弁からなることを特徴とする。
載の高温高圧流体冷却装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した高温高圧流体冷却装置である超臨界処理水冷却装置の全体構成の一例を示し、図2はその冷却器の構造例を示す。又図3は、冷却すべき高温高圧流体が生成する超臨界反応装置の構造例を示す。
本装置は、臨界点近傍の温度以上の温度環境での処理として超臨界領域の水(以下「超臨界水」という)で有害な難分解性有機物や原子力プラントの放射性物質を含む被処理物等を処理した後の高温高圧の一次流体を冷却する装置であり、減圧手段としての定圧弁1、容器としての冷却器2の胴体21、貯留排出手段としての水位調整弁3、冷却手段としての冷却器2の冷却管22、等によって構成されている。なお冷却管22は多数設けられているが、図2では模擬的にU字管を1本だけ示している。
【0013】
定圧弁1は、高温高圧流体が導入されるとこれを減圧できるが、これにより、その上流側の圧力がほぼ一定圧力になるように高温高圧流体の流量が制御される。この高温高圧の一次流体は、図3に示す如く、超臨界反応装置の高圧反応容器100から取り出される流体である。
【0014】
(a)の二重管構造の容器を持つ超臨界反応装置では、水と有害物質を含んだ被処理液とから成る原料水が図示しない加熱器で加熱されて高圧反応容器100の入口101から外筒102内に導入され、外筒102と内筒103との間を上昇し、この間に内筒103を介して内部から熱供給受け、昇温して内筒103の先端部で超臨界水となって内筒103内に入り、一方、入口104から酸化剤等の酸素が導入され、原料水中の有害物質が超臨界水環境の下に内筒103内の入口側で酸化反応し、超臨界水が更に高温になり、内管内を下降する間に前記原料水で冷却され、臨界温度の近傍でそれより少し高い温度で出口105から排出される。高圧反応容器100への原料水の供給は、水の臨界圧力を越えた圧力まで昇圧できる図示しない高圧ポンプで行われ、図1に示す定圧弁1によって高圧反応容器100内の超臨界圧力が保持される。このような超臨界反応装置によれば、難分解性の有害物質が完全に無害な分子等に分解、処理される。
【0015】
(b)の三重管構造の超臨界反応装置は、(a)の装置と較べて、清浄水と被処理液とがそれぞれ入口101及び106から別個に導入されること、清浄水は常温で外筒内に入って内筒の超臨界水を冷却することによって加熱されると共に、出口107から外部に出て別の図示しない加熱器で臨界温度まで昇温されて再び入口108から内側内筒109内に導入されること、従って、容器内部での熱交換量が多くなって出口105から排出される高温高圧流体が臨界温度よりかなり低下した温度で排出されること、等の点において相違する。
【0016】
(a)、(b)の何れの場合でも、大気圧まで減圧されたときに沸点である100℃より十分高い温度として、超臨界圧力の下に臨界温度に比較的近い高温高圧の水が排出される。なお、本例の減圧手段は定圧弁1であるが、下流側の圧力を制御する減圧弁や、多段オリフィス等を定圧弁と共に又はこれに代えて使用することも可能である。
【0017】
冷却器2の胴体21は、後述するように循環系を構成する入口管23及び内部がほぼ大気圧条件にされるための大気放出管24を有する。又本例では、胴体21内に滞留する液中に存在するスラリー成分の流動化、高温・高圧流体との混合の促進、及び熱交換性能向上のために、内部の水を循環させる循環系としての循環ポンプ4、循環水ライン5及び前記入口管23が設けられていて、循環水の戻りが入口管23に導入される。そして、この循環系を構成する入口管23内に、定圧弁1を通過した水及びその飽和蒸気や非凝縮性ガスから成る二次流体を導入し、二次流体と循環水とが合流・混合・熱交換するように、循環系を介して二次流体を胴体21に入れるようにしている。又、本例の高温高圧流体は放射性物質を含むため、放射性物質を吸着できる吸着フィルタ6を設け、これを介して胴体内の非凝縮性ガスを前記大気放出管24から放出するようしている。これにより、胴体21内の上部は大気圧に近い圧力になる。
【0018】
水位調整弁3は、冷却系に二次流体相当量が追加されるため、胴体21内の流体である主として水を溜めつつ排出する。即ち、胴体21内の水位を水位検出器3aで検出し、この水位まで水を貯留しつつ胴体21内の水を排出する。この場合、本例では循環水ライン5を介して排出している。但し、胴体21内の水頭を利用して直接排出することも可能である。この胴体21内の水位は、循環水と一体となって導入される二次流体を十分冷却処理できる水量になるように定められる。胴体21から排出された水は適当に処理されるが、図1の例では放射性水タンク7に溜められ、水と沈澱物との分離やその他必要な処理をされた後処分される。
【0019】
冷却管22は、二次流体が少なくともその沸点である100℃程度より低い温度になるように、胴体21内に溜められた流体である主として水を冷却する。本例では、このように冷却管22で冷却された水を循環させ、定圧弁1を出た二次流体を循環系を構成する入口管23内に導入して循環水と混合し、これによって二次流体を搬送しつつ低圧・低温化するようにしている。即ち、高温高圧水として高エネルギーを保有する一次流体が定圧弁1を通過すると、通過後の二次流体は高エネルギーが消費されることによって低温・低圧になるので、冷却器胴体21内の貯留水を例えば60℃程度に冷却し、このような貯留水を循環系で循環させ、その中に二次流体を導入して循環水と直接接触させ、これらを胴体21内に入れることにより、最終的に二次流体を100℃以下の温度及び大気圧に近い程度の圧力まで下げることができる。なお、後述するように二次流体を冷却器の胴体21内に直接導入してもよい。
【0020】
符号8a、8bはそれぞれ温度調整弁及び温度検出器である。上記のように貯留水即ち循環水を60℃程度に冷却する場合には、かなりの温度変動幅が許容されるので、このような温度制御装置を省略することも可能である。
【0021】
冷却管22が配列されている冷却器2内では、循環水及びこれと混合するか又は混合過程にある二次流体が冷却されている胴体内の水中に噴射されるためのノズル管25が設けられている。定圧弁1を通過した直後の二次流体は、減圧された水と減圧によって気化した蒸気と非凝縮ガスとの混在した流体であるが、非凝縮ガスは、ガス状態でノズル管25のノズルから噴出され、貯留水中を上昇し、前述の如く吸着フィルタ6を経由して大気放出管24から放出される。これにより、前記の如く胴体内の圧力は大気圧に近い圧力になる。符号27は水補給と器内洗浄用のノズルで、配管27a及び弁27bによって外部又は放射性水タンクから水が供給されるようになっている。
【0022】
冷却器2は、本例では冷水ユニット9及び冷却塔10によって冷却される。冷水ユニット9は、冷凍機の水冷式凝縮器及びその冷媒で冷却される冷水クーラ等を備え、冷水ポンプ9aで例えば7℃程度の冷水を冷却器2に供給する。冷却塔10は、蒸発潜熱で冷却される例えば30℃程度の冷却水を冷却水ポンプ10aで冷凍機の凝縮器に供給する。冷水ポンプ9aは、3〜4kgf/cm2 程度の吐出圧力のものにすると共に、図示していないが冷水系9bの冷却器2の出口側に圧力調整弁やオリフィス等を設け、冷水系の圧力をそのような圧力に調整することが望ましい。なお、冷水ユニット9や冷却塔10は通常の構造のものであり、詳細図示及び説明を省略する。
【0023】
このような冷水ユニットを介在させた冷却装置を使用すると、冷却器2内の水を効果的にある程度低い温度まで冷却できると共に、冷却器2と冷却塔10とを完全に分離した関係にすることができる。但し、冷水ユニットを省略して冷却塔で冷却された冷却水を冷却器の冷却用として直接使用したり、工業用水や海水その他の冷却水を使用することも可能である。
【0024】
以上のような装置による高温高圧流体冷却方法は次のように実施される。
初期状態としては、冷却器2の胴体21内に水位Lまで初期冷却水が入れられ、循環ポンプ4、冷水ユニット9及び冷却塔10が運転され、高温高圧の一次流体を冷却可能な状態にされる。なお、胴体21内の水は最初低温であるが、稼働状態になると温度が上がるため、その出口部分の温度が60℃程度になるように冷水ユニット9等が計画される。又、胴体21内の水位は、水位検出器3aで検出され水位調整弁3でほぼ一定レベルLになるように制御される。
【0025】
超臨界反応装置では、例えば図3(b)に示す高圧反応容器100で放射性物質を含んだ処理液が処理され、その出口から例えば320℃、255kgf/cm2 の高温高圧の一次流体が定圧弁1に送られる。定圧弁1はこの超臨界圧力を維持するように開度制御され、それによって酸化処理された処理液を含む一次流体が定圧弁1に送られ、これを通過して二次流体として入口管23に入れられ、循環水と一体となって最終的に冷却器2の胴体21内に入れられる。胴体21内は大気放出管24によって大気圧に近い圧力にされる。
【0026】
二次流体が入口管23に導入されると、二次流体と60℃の循環水とが相互の流れ過程において接触混合する。このとき、高温の二次流体中の水の一部分が蒸発する過程で冷却水と接触して直ちに液化し、二次流体が減圧・低温化される。又、このように混合・一体化された二次流体を含む循環水は、冷却器2の胴体21内でノズル管25のノズルから噴出され、内部の水と混合して温度が低下すると共に、二次流体が含有していた非凝縮性ガスが水から分離され、前記の如く大気に放出される。その結果、胴体21内を大気圧に近い圧力にして二次流体を最終的に冷却処理することができる。
【0027】
二次流体が循環水と混合して胴体21内に入れられることによってその水位が上昇するが、前記のように水位調整弁3が開閉して水位調整し、循環水からその一部分である余剰水を排出する。冷却器内の水は、二次流体を混合・冷却した循環水の導入によって温度上昇するが、前記のように冷水ユニット9及び冷水塔10により、冷却管22を介して出口部分の温度が60℃程度になるように冷却される。この場合、冷水ユニット9の冷水ポンプ9aは、冷水を圧送するために通常ある程度の圧力を有するので、冷却管22内の圧力が胴体21内の圧力より高くなる。その結果、仮に冷却管22にリークが発生したとしても、冷水が胴体内に流出することになる。
【0028】
このような高温高圧流体冷却装置を用いた冷却方法は、次のような運転条件で実施される。なお、このような運転条件は一例であり、他の条件の運転が可能であることは勿論である。
このような運転例によれば、例えば循環水流量を200t/hとすると、320℃の一次流体に相当する熱量を持つ二次流体と循環水とが混合すると、その温度が約62℃程度になる。即ち、循環水は二次流体と混合して同温度になるまでに約2℃温度上昇する。このときの直接接触熱交換は短時間に行われるので、入口管23内で二次流体の温度及び圧力を十分低下させることができる。
【0029】
以上のような冷却装置によれば、極めて大きな容積になるフラッシュ室を設けることなく、高温高圧流体を冷却・低圧化することができる。その結果、冷却器を低圧のものにして、そのコストを低減することができる。又、従来のような高圧冷却器であることに伴う汚染処理水の外部への水漏れの可能性を大幅に低減することができる。更に、万一冷却管がリークした時でも、従来とは反対に冷却水が胴体内に流出するので、その影響が冷水ユニットや冷却塔等の冷却装置に及ぶという不具合が防止される。従って、例えば放射性物質等の有害処理物によって冷却塔が汚染されるような事故を確実に防止することができる。
【0030】
又、フラッシュ蒸発−凝縮による冷却システムや高圧冷却器では、非凝縮性ガスの存在によって熱交換性能が大きく阻害されるが、本発明の如く流体間の直接混合による熱交換によれば、非凝縮ガスの影響が解消され、発生蒸気の凝縮が瞬時に進行し、二次流体の減圧冷却処理が可能になる。更に、このような蒸気の凝縮によって冷却器から外部に流出する水蒸気が殆ど発生しないため、有害物質のための吸着フィルタへの水滴の付着がなくなってその性能を良好に維持することができる。
【0031】
更に、循環系を介して胴体側で二次流体を冷却処理するので、二次流体がスラリー・スケール成分を有する場合でも、冷却管の内側へのスケールの付着がない。又、胴体側では、滞留液を循環させることによって流動化及び攪拌効果を発生させているので、冷却管の外側へのスケール付着を防止することができる。この場合、非凝縮ガスが水中から分離浮上するときに、冷却管外面のスケール成分を攪拌し付着を抑制する効果があり、冷却器におけるスケール付着が一層効果的に防止される。
【0032】
更に、冷却器を大気圧条件にするため、従来の第1種圧力容器の規制の適用が除外され、検査その他の諸手続きが簡素化され、この点でも装置の低コスト化が図られる。又、このような冷却器によれば、従来別個に設けられている高圧冷却器及び気液分離塔を兼用することができ、装置構成を簡素化し、一層のコスト低減を図ることができる。
【0033】
図4は高温高圧流体冷却装置の他の例を示す。
この例の装置では、図1の装置に較べて、循環系を省略して二次流体を直接冷却器2の胴体21内に入れてノズル管25´で胴体内に噴出させていること、及び、胴体21内の水をその水位に基づく水頭を利用して排出していること、が相違する。但し、この例の装置でも排出ポンプを設けて胴体内21内の水を排出するようにしてもよいことは勿論である。
【0034】
この装置によれば、循環系は使用されないが、図1の装置とほぼ同様の運転方法で二次流体を目的とする圧力及び温度まで減圧・低温化することができる。この場合、二次流体が通常高温気体及びその飽和水として高速でノズル管25´から噴出され、内部の貯留水を攪拌・流動化させるので、二次流体がある程度スラリー成分を含む場合でも、その固形化を防止することができる。
【0035】
なお以上では、図2に示す如く冷却器2が通常の円筒型のものである例を示したが、冷却器の胴体側を大気圧条件にするため、例えば角形等の他の形状にすることもできる。又、図1、2の例では、冷却管22を胴体21内に備えた通常の熱交換器形状の冷却装置の例を示したが、水溜め部分を独立の容器にして、溜められた水を外部に配置した熱交換器によって循環冷却するようにしてもよい。その場合には、胴体内の気液分離作用を更に容易化することができる。
【0036】
又、以上では一次流体が超臨界処理水である場合について説明したが、本発明は、100℃以上で370℃程度までの温度及びその飽和蒸気圧の下に被処理物を処理する湿式触媒酸化処理及び湿式酸化処理によって処理された後の高温高圧流体や、その他の高温高圧流体であって冷却過程に混合冷却方式を使用できるものに対して広く適用することができる。なお、減圧冷却処理すべき高温高圧流体が被処理物を湿式触媒酸化処理、湿式酸化処理又は臨界点近傍の温度以上の温度環境での処理の何れかで処理した後の流体である場合には、これらが有害物質を含む可能性が高いことから、これらの流体に対して本発明を適用すれば、被処理流体の冷却過程における冷却媒体側への漏れを防止できるという効果が一層有用なものとなる。
【0037】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、まず、例えば超臨界領域の水で被処理物を処理した後の流体のような高温高圧の一次流体を減圧手段に導入することにより、減圧手段の下流側の圧力を低下させることが可能になる。次に、減圧手段を経由した二次流体をほぼ大気圧条件にされる容器に入れるので、二次流体を容器内で低圧にすることが可能になる。このように二次流体が導入されることになる容器内の流体を貯留排出手段によって容器内に溜めつつ排出するので、容器内では二次流体が一定時間滞留することになる。
【0038】
そして、冷却手段により、導入された二次流体を少なくともその沸点より低い温度として、水を主成分とする場合には100℃程度より低い温度になるように、容器内の流体を冷却するので、容器内では、高温高圧流体の圧力が大気圧近傍まで低下したとしても、その主成分である水を飽和温度以下に下げ、溜められている水中に凝縮させることができる。そしてこの場合、溜められた水と二次流体とは、流体同士の接触によって熱交換が行われるので、その効率が極めて良い。その結果、二次流体は、減圧手段によって減圧作用を受けつつ、圧力低下−蒸発−貯留水との接触・混合による凝縮、という過程を高速で繰り返しつつ大気圧近傍まで圧力及び温度が低下することになる。その結果、減圧・減温のための大きな容積のフラッシュ室が不要になり、冷却装置が小型化される。
【0039】
上記の如く、減圧された二次流体が沸点より低い温度まで冷却されるため、容器内は実質的に前記沸点に対応する圧力である大気圧以上の圧力にはならない。従って、高温高圧流体冷却装置の運転・操作の安全性が確保される。又、このような冷却手段を備えた容器は、労働省の安全規則における第一種圧力容器の定義の1つである「大気圧における沸点を超える温度の液体を保有する容器」に該当しなくなる。その結果、本装置の実際の設計、製作に当たっては、前記安全規則を適用するための検討や諸手続き、製造検査等の実施を回避することができ、装置の設計、製作の容易化とコスト低減を図ることができる。
【0040】
このように容器内の貯留水を冷却する冷却手段としては、通常、ある程度の圧力を持った冷却水を流すように計画された冷却管で構成されるので、冷却手段側の圧力を容器内の圧力より高くすることができる。その結果、有害物質を含むことが多い二次流体の冷却手段側への漏れを防止することができる。更に、混合接触熱交換であると共に、フラッシュ蒸発が大幅に抑制された熱交換が行われるので、非凝縮性ガスが存在しても、通常のフラッシュ蒸気の凝縮時のように凝縮作用を低下させることがない。
【0041】
又、胴体内を被冷却流体にするため、冷却管内にはスケールが付着しない。その結果、管内の清掃等の保守作業を少なくすることができる。なお、二次流体がスケール成分を多く含んでいる場合には、容器内に滞留される水を循環させることにより、冷却管の外側へのスケールの付着を防止することができる。この場合、非凝縮性ガスが存在すれば、大気圧条件にするために大気に排出されるときに、容器内に滞留している二次流体中のスラリー状のスケール成分を攪拌除去する作用をする。その結果、管外へのスケールの付着が効果的に抑制される。
【0042】
請求項2の発明においては、上記に加えて、容器内の流体を循環系で循環させ、循環系を介して二次流体を容器に入れるので、二次流体を流速をもって流れている循環水に連続的に混合させて冷却処理すると共に、最終的に容器に入れ、非凝縮性ガスを含有する場合にはこれを分離浮上させて最終冷却処理をすることができる。その結果、二次流体の処理性能が極めて良くなる。又、容器内の流体を循環系で循環させるので、二次流体がスラリー状のスケール成分を含有していても、容器内の流体の循環による流動化及び攪拌効果により、スラリー状のスケール成分の滞留や冷却手段の冷却管等の外面へのスケール付着を極めて効果的に防止することができる。
【0043】
請求項3の発明においては、高温高圧流体冷却装置が所定の機能を備えた減圧手段、容器、貯留排出手段及び冷却手段を有するので、請求項1の発明の方法の効果と同様に、小型で簡単な構造の装置により、冷却媒体側への高温高圧流体の漏れをなくして汚染の拡大を確実に防止し、スケールの付着を防止して熱交換性能を良好に維持する等の諸効果を得ることができる。
【0044】
請求項4の発明においては、容器内の流体を循環させる循環系を設け、この循環系を介して二次流体が容器に入れられるようにするので、上記に加えて、二次流体の冷却処理性能を一層向上させると共に、スラリー状のスケール成分の冷却手段の冷却管等への付着を一層効果的に防止することができる。
【0045】
請求項5の発明においては、一次流体の圧力を一定圧力に制御する定圧弁を利用するので、超臨界反応装置等において反応条件を維持するための定圧弁を減圧手段として利用することができる。その結果、請求項1乃至4の発明の効果に加えて、部品共用によって装置全体における部品点数を減らし、装置のコスト低減や維持管理の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した高温高圧流体冷却装置の全体構成の一例を示す説明図である。
【図2】上記装置に用いられる冷却器の構造例を示す説明図である。
【図3】(a)及び(b)は高温高圧流体が生成する超臨界反応装置の高圧反応容器の説明図である。
【図4】本発明を適用した高温高圧流体冷却装置の全体構成の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 定圧弁(減圧手段)
3 水位調整弁(貯留排出手段)
4 循環ポンプ(循環系)
5 循環水ライン(循環系)
21 冷却器の胴体(容器)
22 冷却管(冷却手段)
23 入口管(循環系)
Claims (5)
- 非凝縮性ガスを含む被処理物を処理した後の超臨界水からなる高温高圧の一次流体を減圧手段に導入し、該減圧手段を経由した二次流体を前記非凝縮性ガスが放出されてほぼ大気圧条件にされる容器であって初期冷却水が入れられていると共に冷却管からなる冷却手段が配列されている容器に入れ、該容器内の流体を貯留排出手段によって前記容器内に溜めつつ排出し、前記二次流体が少なくともその沸点より低い温度になるように前記冷却手段に冷却用の水を流して前記容器内に溜められた流体を冷却する、ことを特徴とする高温高圧流体冷却方法。
- 前記容器内の流体を循環系で循環させ、該循環系を介して前記二次流体を前記容器に入れることを特徴とする請求項1に記載の高温高圧流体冷却方法。
- 非凝縮性ガスを含む被処理物を処理した後の超臨界水からなる高温高圧の一次流体を導入して減圧できる減圧手段と、該減圧手段を経由した二次流体が入れられると共に前記非凝縮性ガスが放出されてほぼ大気圧条件にされる容器であって前記二次流体が入れられる前に初期冷却水が入れられると共に冷却管からなる冷却手段が配列されている容器と、該容器内の流体を溜めつつ排出する貯留排出手段と、前記二次流体が少なくともその沸点より低い温度になるように冷却用の水が流されて前記容器内に溜められた前記流体を冷却する前記冷却管からなる前記冷却手段と、を有することを特徴とする高温高圧流体冷却装置。
- 前記容器内の流体を循環させる循環系であって該循環系を介して前記二次流体が前記容器に入れられる循環系を有することを特徴とする請求項3に記載の高温高圧流体冷却装置。
- 前記減圧手段は前記一次流体の圧力をほぼ一定圧力に制御する定圧弁からなることを特徴とする請求項3又は4に記載の高温高圧流体冷却装置。
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