JP4248894B2 - 樹皮乾燥粉末を用いたマルチ資材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹皮乾燥粉末を用いたマルチ資材に関する。更に詳細には、樹皮の乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を混合してなるマルチ資材に関する。
【0002】
【従来の技術】
木材を採集した後に発生する樹皮と伐採現場で林地残渣として発生する枝葉は、抗菌性、殺虫性および雑草抑制効果を有することから、その有効利用法の開発が望まれてきたが、堆肥化されたものが土壌改良材として利用される程度であった。近年、ヒノキやスギの樹皮が有する抗菌性、殺虫性および雑草抑制効果といった成分を有効利用するため、マルチ資材や雑草抑制資材の開発が行われている。
【0003】
これまでに、それらの有用成分を工業的に抽出し、添加物として利用する試みがなされてきたが、抽出という煩雑な行程を経るため製品の高価格化を招き、普及の妨げとなってきた。一方、樹皮に簡単な加工を施しただけで有効利用できる方法が近年提案されてきている。
ヒノキあるいはスギの樹皮を農業あるいは造園用のマルチ資材として利用する提案としては次のようなものがある。スギ、ヒノキなどの樹皮から得られる繊維体と木質セルローズ、肥料などを混合してスラリー状として植生用被覆材(特許文献1)、スギ、ヒノキなどの樹木に防炎材を添加したマルチング材(特許文献2)、スギ、ヒノキ、ヒバなどの樹木の粉砕物にカゼイン、石灰などを混合した被覆土用資材(特許文献3)などが提案されている。
樹皮を細切化し、農業あるいは造園用のマルチ資材として利用する場合の課題は、以下の4点である。即ち、1)撥水性が高いため資材に通水性がなく、土壌水分が低下し、作物や樹木の生育が不良になる、2)未発酵樹皮のためC/N比が高く、使用後に土壌に敷き込むと窒素飢餓が起こり、その後作物や樹木を植えると生育不良となる、3)乾燥粉末にすると雑草抑制効果が失われる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−146293号公報
【特許文献2】
特開平9−37661号公報
【特許文献3】
特開平11−18590号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの問題点を全て解決するようなマルチ資材については、今までに提案はなされていない。
従って、本発明の課題は、生態系に優しい天然材料であり、各種の有効成分を含有する未利用材である樹皮をマルチ資材として有効利用する際に問題となる撥水性、高C/N比および雑草抑制効果の低下を一括して解決したマルチ資材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記した課題を解決することを目的として鋭意研究した結果、樹皮乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を混合することにより、樹皮粉末のもつ高撥水性および高C/N比を低減でき、更に雑草抑制効果を付与することができ、マルチ資材として利用できることを見出し本発明を完成させた。
即ち、本発明は、樹皮の乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を混合してなるマルチ資材に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とする樹皮は、いずれの種類の樹皮でもよく特に限定されず、例えばスギ、クヌギ、ヒノキ、サワラ、シラカンバ、アカマツなどが挙げられる。ヒノキ科の葉としては、ヒノキ、サワラ、ニオイヒバなどの葉が挙げられる。樹皮およびヒノキ科葉は、苗木または成木から産出されるものが用いられる。樹皮および葉の採取時期は特に限定する必要はなく、春、夏、秋、冬のいずれの時期でもよい。樹皮および葉を採取する場合の樹齢や葉齢も特に限定されず、若齢木、老齢木、若葉、古葉のいずれでもよい。
樹皮の乾燥粉末は、上記の樹皮を絶乾状態まで乾燥させたものを粉砕機、製粉機または食繊機を用いて摩砕することにより得ることができる。粉末の粒経は5mm以下が好ましく、特に1mm以下が好ましい。粒経の下限値は特に限定されず、5mm以下あるいは1mm以下であればいずれでもよい。
【0008】
ヒノキ科葉の粉末は、ヒノキ、サワラ、オイヒバなどの葉を、粉砕機、製粉機または食繊機を用いて摩砕することにより得ることができる。ヒノキ科葉の粉末は、その粒経が5mm以下が好ましく、特に1mm以下が好ましい。粒経の下限値は特に限定されず、5mm以下あるいは1mm以下であればいずれでもよい。ヒノキ科葉の粉末は、その含水率は0から100%までのいずれでもよく、含水率に影響されることなく樹皮の乾燥粉末の撥水性を抑制することができる。従って、ヒノキ科葉の粉末は、加熱下に乾燥機で乾燥して絶乾状態にしたものであっても、あるいは多くの水分を含んでいてもよい。
【0009】
樹皮の乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を混合する割合は、容積比で7:3以上がよく、特に1:1以上が好ましい。混合する方法としては、樹皮の乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を、容器の中で混合するか、あるいは乾燥させた樹皮とヒノキ科葉を粉砕機の中に入れ同時に粉末化してもよい。
【0010】
このようにヒノキ科葉の粉末を混合した樹皮の乾燥粉末は、高撥水性および高C/N比が改善されるとともに、雑草抑制効果を有するようになり、マルチ資材として極めて有効に利用することができる。従って、作物、草花、樹木等を植えた地表の土壌表面を覆って、保温、断熱を図り、地表表面からの水分の蒸散を抑え、雑草などの発芽、生育を抑制するマルチ資材として有効に使用できる。また、道路、公園、花壇、河川、法面などにも適用して雑草などの発芽、生育を抑制することができる。
【0011】
マルチ資材として土壌表面に散布する場合、対象とする土壌に、樹皮乾燥粉末とヒノキ科葉粉末の混合物が通常400g/m2以上、特に800g/m2以上となる量を散布するのが好ましい。該混合粉末に水等を加えた後、ペレット状に加工してマルチ資材として用いてもよい。更には、該混合粉末を固形剤、例えば、酢酸ビニルなどと一緒にして用いることもできる。固化剤を添加することにより得られるマルチ資材は、風雨による流亡を抑制することができため、特に法面等の傾斜地でマルチ資材として好適に使用することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
茨城県つくば市においてヒノキ、スギ、サワラ、クヌギ、シラカンバ、アカマツから樹皮を、またヒノキ科の葉としてヒノキおよびサワラより、また比較としてアラカシおよびアオキより葉を採集した。また、北海道紋別市においてヒノキ科のニオイヒバより葉を採集し、材料として用いた。
採集した樹皮は、表面を軽く水洗した後、105℃に設定した通風乾燥機中で絶乾状態にした後、ミルを用いて粉末にした。また、採集した葉は、枝に付けた状態で、105℃に設定した通風乾燥機中で絶乾状態にした後、人力により枝から葉を採集した。その後、ミルを用いて粉末にした。
【0013】
(1)吸水性試験
マルチ資材の場合、土壌改良材のような保水性機能は要求されないが、撥水性がないこと、即ち吸水性が要求される。そこで、以下の試験を行った。
上記の操作により得られた粉末を、表1の割合でビニール袋の中に入れ混合した。混合した各粉末1gずつを平底試験管(直径40mm×高さ130mm)に入れた後、蒸留水30mlをゆっくり注水した。注水直後、3、24時間の試験体の吸水状態を目視により、、表1の下に示したように、0、+、++、+++の3段階の評価で表した。結果を表1に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
表1から明らかなように、樹皮粉末とヒノキ葉粉末を容積比率で3:7以上で混合することにより撥水性の改善が認められ、特に5:5、即ち1;1で混合することが効果的であった。
【0016】
(2)植物発芽試験
各種の樹皮粉末と葉粉末を混合し、発芽抑制効果を検討した。上記の撥水性試験の結果から、樹皮乾燥粉末と葉粉末の混合割合は、容積比で1:1とした。縦6.5cm×横6.5cm×高さ5.0cmのプラスチック容器内に100mlの赤玉土(小粒)を入れた後、水道水50mlを潅水した。その上に白クローバーの種子20粒を播種し、その上から約1mlの水道水を霧吹きを用いて噴霧した。播種後、混合粉末10ml(950g/m2)を土壌表面に均等に散布した。育成は、25℃±2℃、湿度70%の恒温室内に設置した育苗棚で行い、育苗棚は3,000lux、16時間日長に設定した。また、対照区として、粉末を散布しない処理区を設けた。播種後14日間の発芽率を図1に示した。
図1から分かるように、樹皮乾燥粉末にヒノキ科葉の粉末を混合することにより、樹皮乾燥粉末に発芽抑制効果を付与することができるが、樹皮乾燥粉末のみの処理区やヒノキ科以外の葉粉末と樹皮乾燥粉末を混合した処理区では発芽抑制効果が認められなかった。
【0017】
(3)C/N比測定
ヒノキあるいはスギ樹皮乾燥粉末にヒノキ葉の粉末を容積比1:1で混合した粉末について、C/Nコーダーを用いてC/N比を測定した。通常C/N比は35以上が好ましいとして評価される。結果を表2に示した。
【0018】
【表2】
【0019】
表2から分かるように、ヒノキ葉粉末を混合することにより、樹皮乾燥粉末単体の資材に比べ混合粉末の資材のC/N比は低い。
【0020】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したとおり、本発明によれば、樹皮乾燥粉末にヒノキ科の葉粉末を混合することにより、樹皮をマルチ資材として利用する場合に問題であった撥水性および高C/N比を改善でき、且つ天然材料の性質を残したまま雑草抑制効果を付与することができ、破棄物であった樹皮を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、各樹皮乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を混合した場合の発芽抑制効果の結果を示したグラフである。
Claims (2)
- 樹皮の乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を混合してなるマルチ資材であって、樹皮の乾燥粉末とヒノキ科葉の粉末を容積比で、樹皮の乾燥粉末7に対して、ヒノキ科葉の粉末が3以上を混合してなるマルチ資材。
- 樹皮の乾燥粉末およびヒノキ科葉の粉末の粒径がそれぞれ1mm以下である、請求項1のマルチ資材。
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