JP4248722B2 - 油脂分解浄化装置及びこれを用いたグリーストラップ - Google Patents

油脂分解浄化装置及びこれを用いたグリーストラップ Download PDF

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    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油脂分解浄化装置及びこれを用いたグリーストラップに関し、更に詳細には例えば厨房から出る排水中の油脂分を排水槽内において好気性微生物により分解浄化する時に酸素と排水中の油脂分を効率よく気液接触させる装置及びこれを用いたグリーストラップに関する。
【0002】
【従来の技術】
ホテル、レストラン、食堂などの比較的に規模の大きな厨房では油脂を含んだ大量の排水が流される。この種の調理場では、グリーストラップと称する油脂分解浄化槽の設置が法律で義務づけられており、通常、このグリーストラップは排水溝の末端に設置されている。
【0003】
このグリーストラップは、標準的には2つの潜り堰(容器内に貯溜する排水の水面付近に堰板を設け、この堰板の下側を流路とする堰)を設けて槽内を仕切って排水の流速を落とし、最終貯溜部でオーバーフロー管から排水させるように構成されたものである。
【0004】
このようなグリーストラップによると、排水中の油脂は、流速の低下により、及び滞留時に比重差で、2つの潜り堰で水面が区画された各貯溜部の水面に浮上して蓄積していく。このように油脂分が水面を覆って空気を遮断する結果、硫酸還元菌等により腐敗した浮上油脂と滞留水となって流下水素やメルカプタンのような悪臭を発生する。
【0005】
そのため、従来は、グリーストラップにおける各貯溜部の水面に浮いている油脂分を定期的にすくい取って清掃廃棄処理していた。しかし、このような方式では、清掃廃棄処理作業を行うのに非常に手間が掛かり、また悪臭の発生を完全に防止することもできないため、グリーストラップ内にフィルターを設置して、このフィルターに好気性の油脂類分解微生物を供給着床させて処理する方法も考えられた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、油脂分の比重は約0.92で、3槽式(貯溜部を3つ備える方式)のグリーストラップでは第2槽即ち下流側2番目の貯溜部における水面に油脂分が厚く蓄積する。そのため、水面が油脂分で覆われ、前述したように空気の供給が遮断されることから、単に分解微生物を供給しただけでは、菌は活性化せず、油脂の分解効果が発揮されない結果、油脂分は排水と共にグリーストラップから流出していた。
【0007】
そこで、グリーストラップの貯溜部にポンプで空気を強制的に供給して好気性の油脂分解微生物を活性化させるようにした浄化装置が開発されたが、空気が貯溜部の底に供給されるため、油脂分の排水中への撹拌と共に汚泥を巻き上げ、油脂分と汚泥がグリーストラップの排水口から流出してしまう結果となっている。
【0008】
一定規模以上の厨房や調理場では、乳化破壊した後の凝集フロックを加圧空気の気泡で浮上分離させ、水面より掻き寄せて汚泥として貯溜し、搬出処分する凝集加圧浮上方式の油脂分解浄化装置も用いられているが、大量の余剰汚泥の処理と強い悪臭の発生に大きな問題を残している。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、例えばレストランやホテルなどの厨房及び調理場等に設置されるグリーストラップの貯溜部の水面に浮いて蓄積される排水中の油脂分を、好気性の分解微生物を効率よく活性化させて油脂分を分解浄化する装置及びこれを用いたグリーストラップを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は油脂分解浄化装置であり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、排水槽内に貯溜する排水中に浸漬するように設置され、排水槽内の排水中に存在する油脂を分解浄化する装置であって、縦方向の通路を備える気液接触部と、この気液接触部の下部に設けられ、前記通路に連通する酸素供給室と、この酸素供給室に一端が連通され、他端が排水槽内の排水面近傍に位置して開放する油脂分吸引パイプと、酸素供給室に配置され、加圧空気供給源に接続された気泡発生手段とを含み、気液接触部が一端に入口部を又他端に出口部を備えて形成され、気液接触部の通路が、入口部から出口部へ向かって断面形状が連続的に変化し、且つ軸方向に伸長する複数の変形通路部で構成され、酸素供給室で発生させた気泡を気液接触部の入口部から各変形通路部を連続的に出口部へ向かって上昇させ、そのドリフト効果で油脂分吸引パイプの上端開放部から排水槽内の排水上面付近の油脂分を吸引して酸素供給室に取り込んで気泡と共に通路内を上昇させることにより気液接触を行わせることを特徴とする。
【0011】
<本発明における具体的構成>
本発明における油脂分解浄化装置は、前述した必須の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっても成立する。その具体的構成要素とは、気液接触部の通路が、更に、気液接触部の入口部と出口部との間に設けられ、各変形通路部を通る気液を合流分割する合流分割手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る油脂分解浄化装置では、油脂分吸引パイプが、パイプ本体の長さが変わる伸縮自在部分を備えることを特徴とする。更に、本発明における油脂分解浄化装置では、前記油脂分吸引パイプの他端開放部を、漏斗状に開いて形成することも好ましい。更にまた、本発明における排水中の油脂を分解浄化する装置では気液接触部の内面をポーラスな素材で形成することが好ましい。
【0013】
また、本発明は前述した特徴を備える油脂分解浄化装置を用いたグリーストラップでもある。本発明のグリーストラップでは、更に、排水槽内を、最終貯溜部である排水領域とこれに隣接する浄化領域とに区画形成すべく少なくとも1つの潜り堰が設置され、そして油脂分解浄化装置が浄化領域内に設置され、且つ排水槽内の浄化水を外部に排水するオーバーフロー管が浄化水排出排水領域内に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のグリーストラップでは、油脂分解浄化装置を浄化水排出領域内に設置し、気液接触部の出口部を介する吹出し口を、潜り堰を貫通又は越えて、浄化領域に開放するようにしてもよい。油脂分解浄化装置をこのように浄化領域内又は浄化水排出領域内のいずれかに設置する場合、この油脂分解浄化装置を前述の潜り堰に取り付けることができる。
【0015】
また、本発明のグリーストラップでは、油脂分解浄化装置に、少なくとも2つの油脂分吸引パイプを設けることができ、その場合1つの油脂分吸引パイプの上端開放部を潜り堰で仕切られた浄化水排水領域内に位置し、且つ他の油脂分吸引パイプの上端開放部を浄化領域に位置させることも好ましい。
【0016】
本発明の油脂分解浄化装置によると、この装置を排水槽の貯溜部に沈めて設置し、グリーストラップを構成する。次いで、加圧空気供給源から加圧空気を気泡発生手段に送ることにより酸素供給室で大量の気泡を連続的に発生させる。この気泡は、気液接触部の入口部から縦方向の通路を上昇して出口部から貯溜部に出る。
【0017】
酸素供給室で発生した大量の気泡が連続的に気液接触部の縦方向通路を上昇して貯溜部に出ることにより、この装置内の排水及び油脂分に気液接触部の縦方向通路を上昇する流れを起こす。このように多量の気泡が連続して上昇することに伴う装置内の排水及び油脂分の上昇流によるドリフト効果によって、油脂分吸引パイプの上端開放部から貯溜部の排水上面付近の油脂分が吸引されて酸素供給室に取り込まれる。
【0018】
そして、油脂分吸引パイプから排水上面付近に蓄積している油脂分が酸素供給室に取り込まれると、この酸素供給室で発生している大量の気泡と共に気液接触部の入口部から出口部へ縦方向通路を上昇して再び貯溜部に出る。気液接触部の縦方向通路を通る気泡と排水上面付近から吸引した油脂分等は、この縦方向通路を構成している複数の変形通路を通り、しかもこれらの各変形通路部を通過する間にその通過流は合流分割手段によって合流分割される。
【0019】
これにより、気液接触部の縦方向通路を上昇する気泡と排水上面付近から吸引された油脂分は、効率よく気液接触が起こり、これによりグリーストラップに投入された好気性の油脂分解微生物を活性化させることができると共にこの微生物による油脂分の分解浄化を促すことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の油脂分解浄化装置及びこれを用いたグリーストラップを図に示される実施形態について更に詳細に説明する。図1には本発明の第1の実施形態であり且つ基本的な構造の油脂分解浄化装置10が示されている。
【0021】
この実施形態の油脂分解浄化装置10は、内部に縦方向通路11を備える気液接触部12と、この気液接触部12の下部に設けられ、縦方向通路11に連通する酸素供給室13とを備えて構成されている。
【0022】
この酸素供給室13は、ほぼ四角形の底板と、この底板上から立設した4つの側壁とによって横断面四角形の箱状に形成された上部開放のハウジング14によって区画形成されている。上部開放のハウジング14の上端周囲にはフランジ部14aが形成されている。
【0023】
このフランジ部14a上には気液接触部12がその下端周囲に形成されたフランジ部12aをパッキンなどを介して水密的に密着するように乗せられ、フランジ部14aに取り付けられた植込みボルト15を気液接触部12のフランジ部12aのボルト挿通穴(図2)に相対的に挿通し、ナット16を螺合して締め付けることにより堅固に連結されている。
【0024】
これによりハウジング14の内部空間である酸素供給室13は気液接触部12の縦方向通路11に連通する。このハウジング14の1つの側壁には、油脂分吸引パイプ17の一端が内部の酸素供給室13に連通するように当該側壁を貫通して接続されている。この油脂分吸引パイプ17は、屈曲してほぼ垂直に立ち上がっている。
【0025】
油脂分吸引パイプ17の他端は、漏斗状に広がって吸引開放部17aとされている。勿論、漏斗状に形成された吸引開放部17aを別体品として形成し、これを油脂分吸引パイプ17の本体部分の端部に連結して構成することもできる。
【0026】
また、油脂分吸引パイプ17は、図2に示されるようにパイプ本体17bの途中に蛇腹状の伸縮自在部17cを設け、このパイプ本体17bの他端開放部17aを、その外周に沿って等間隔で配置した3つのフロート(浮き)20で排水面上に支持するようにすることも好ましい。
【0027】
このようにフロート20を取り付けてパイプ本体17bの他端開放部17aを排水面上で支持する構成にすれば、グリーストラップ内の排水レベルが変化しても、油脂分吸引パイプ17の他端開放部17aは、水面の変動に追随するため、常に水面に浮いている油脂分を吸引する最適位置に自動的に保持できる。
【0028】
なお、油脂分吸引パイプ17の他端開放部17aに取り付けるフロート20は、他端開放部17aからパイプ本体内に油脂分の流入を妨げない限り如何なる位置や取付け方を用いてもよい。また、油脂分吸引パイプ17におけるパイプ本体17bの途中に設ける伸縮自在部として、内筒と外筒を相互に摺動可能に組み付けて締付け密封リングで固定可能にした入れ子方式のものにすれば、この油脂分解浄化装置10を後述する排水槽内に最初にセットする時に、パイプ本体17bの開放部を17aを適所に位置決めすることが容易となる。
【0029】
すなわち、この油脂分解浄化装置10を排水槽内に取り付ける時、排水槽内の水面の高さに合わせてパイプ本体17bの他端開放部17aの位置を前述した適所に設定する必要があるが、前述したような入れ子方式からなる伸縮自在部を備える油脂分吸引パイプ17であれば、油脂分解浄化装置10を排水槽内に取り付けた後に、締付け密封リングを緩めて、内筒と外筒の出入り長さを調整すれば容易にパイプ本体17bの他端開放部17aの位置を所望の位置に設定することができる。
【0030】
酸素供給室13には気泡発生手段18が配置され、この気泡発生手段18は油脂分解浄化装置10の外部に設置された加圧空気供給源(図示せず)と可撓性のパイプ19により接続されている。この気泡発生手段18としては、例えばポーラスセラミックからなる棒状体を使用することができる。このようなポーラスセラミックからなる気泡発生手段18は熱帯魚を飼育する水槽などで使用されているものと同じであって、既に公知のものであることからその詳細な説明は省略する。
【0031】
気液接触部12は、例えば平成10年10月27日に公開された特開平10−286448号公報に開示されている混練装置と同じ構造のものを使用したものであり、従ってその構造自体は既によく知られているものであるので簡単に説明する。すなわち、気液接触部12は、下端に入口部を又上端に出口部を備え、更にその縦方向通路は、入口部から出口部へ向かって断面形状が連続的に変化する複数の変形通路部と、気液接触部12の入口部と出口部との間に設けられ、各変形通路部を通る気液を合流分割する合流分割手段とを備えて構成されている。
【0032】
この気液接触部12は、図3に示されるように、2種類のエレメント120A、120Bを2つ縦方向に接続して構成されている。一方の種類のエレメント(第1段目のエレメント)120Aは、正方形をした両端部を備え、これら両端部には当該エレメントを相互に接続するためのフランジ部12a、12bが形成されている。
【0033】
このフランジ部12aには、複数のボルト挿通穴121が形成され、隣接するエレメント同士はこのボルト挿通穴121を利用して端部同士がボルト止めされて接続されると共に、第1段目のエレメント120Aの下部のフランジ部12aは前述したように酸素供給室13を構成するハウジング14の上部フランジ部14aと締結される。
【0034】
エレメント120Aは、同じ方向に並んで隣接配置された2つの変形通路122、123を備えている。このエレメント120Aの一方の端部には、これら2つの変形通路の各開口が長方形状に形成されている。これら長方形状の各開口が2つの変形通路122、123の各入口122a、123aとなると共に気液接触部12の入口部でもある。
【0035】
エレメント120Aの他方の端部には、前述した入口を構成する長方形状の開口とその長手方向を90度異にする長方形状の開口が形成されている。この長方形状の開口が2つの変形通路122、123の各出口122b、123bとなる。すなわち、エレメント120Aの入口側に形成された長方形状の開口と出口側に形成された長方形状の開口とはその長手方向を90度異にして形成されている。
【0036】
変形通路122、123の具体的形状について説明すると、各変形通路122、123は、その断面形状が入口122a、123aから出口122b、123bに向かって連続的に変化している。その変化の態様については、各変形通路122、123とも、任意の位置での断面積は入口122a、123aから出口122b、123bまで同じであり、断面の形状のみが連続的に変化している。
【0037】
つまり、入口122a、123aはX方向に長い長方形であり、入口122a、123aと出口122b、123bの中間部においてはその断面形状が正方形となり、出口122b、123bにおいてはX方向に対して直交するY方向に長い長方形になるように形成されている。そして、変形通路122、123の長さは同じである。従って、各変形通路122、123を通る気液は、その断面形状がX方向に長い長方形から徐々に正方形に変化させられ、そこから更にY方向に長い長方形に徐々に変化させられることになる。
【0038】
次に、もう1つの種類のエレメント120Bは、前述したエレメント120Aと実質的に同じであるが、このエレメント120Bでは図2で見て左側に位置する入口124aと下方に位置する出口124bとが変形通路124で連通し、右側に位置する入口125aと上方に位置する出口125bとが変形通路125で連通している。すなわち、このエレメント120Bは、エレメント120Aと各変形通路の各入口と各出口との連通態様を異にしている。このエレメント120Bの各出口124b、125bが気液接触部12の出口部となっている。
【0039】
このような2種類のエレメント120A、120Bを交互に接続した状態を示す図が図3である。すなわち、前述した2種類のエレメント120A、120Bは、一方のエレメント120Aの出口側端部に他方のエレメント120Bの入口側端部を、フランジ部12a、12b同士を密着させてボルトで接続される。
【0040】
従って、2種類のエレメント120A、120Bの接続部では、一方のエレメント120Aにおける変形通路122の出口122bが、他方のエレメント120Bにおける変形通路124の入口部124aの半分と他の変形通路125の入口125aの半分とに連通し、また一方のエレメント120Aにおける変形通路123の出口123bは、他方のエレメント120Bにおける変形通路124の入口124aの残りの半分と他の変形通路125の入口125aの残りの半分とに連通することになる。
【0041】
そのため、一方のエレメント120Aにおける各変形通路122、123を通過した気液の半分づつが、他方のエレメント120Bのそれぞれの変形通路124、125内に入ることにより実質的に合流することになり、しかし1つの変形通路を通った気液についてみると2つのエレメントの接続部で半分づつに分割されることになる。
【0042】
従って、2つのエレメント120A、120Bの接続部である出口側端部と入口側端部とに形成されている各変形通路の各出口と各入口とが気液の合流分割手段を構成することになる。このようなエレメント120A、120Bを交互に直列に接続すれば、それぞれの接続部に気液の合流分割手段が構成されることになる。
【0043】
このような構成の気液接触部12によると、酸素供給室13で発生した大量の気泡は油脂分吸引パイプ17からの油脂分と共に第1段目のエレメント120Aにおける入口側端部で二つに分割されて各変形通路122、123に入る。この分割された気液の各流状体断面形状は共にX方向に長い長方形である。
【0044】
次に、この1段目の中間部においては、気液の流状体断面形状は共に正方形に変化し、さらに、1段目の出口側端部においては、共に入口側の長手方向とは90度異にするY方向に長い長方形に変化する。従って、気液の各流状体断面形状は、X方向に長い長方形→正方形→Y方向に長い長方形、と変化する。この変化する過程において、有効な気液接触を起こすことになる。
【0045】
次に、第2段目のエレメント120Bの各長方形状入口124a、125aは、第1段目のエレメント120Aの各長方形状出口122b、123bと直角に交差している。そのため、第1段目のエレメント120Aの各出口から出た気液は、それぞれ分割されて分けられる。
【0046】
従って、第1段目のエレメント120Aにおける各変形通路122を流れてきた気液の半分と変形通路123を流れてきた気液の半分は合流して第2段目のエレメント120Bの一方の変形通路124に入って流れ、残りの半分の気液は同様に合流して他方の変形通路125に入って流れる。
【0047】
第2段目のエレメント12Bは、前述したように第1段目のエレメント120Aと実質的に同じであり、この2段目の中間部においても、気液の流状体断面形状は共に正方形に変化し、さらに、2段目の出口側端部においては、共に入口側の長手方向とは90度異にするY方向に長い長方形に変化する。従って、気液の各流状体断面形状は、X方向に長い長方形→正方形→Y方向に長い長方形、と変化する。この変化過程において、第2次的な気液接触が行われる。
【0048】
ところで、この実施形態では、前述したように種類の異なる2つのエレメント120A、120Bを交互に接続しているが、その理由について説明する。図3に示されるエレメント120Aをその一方の端部から各変形通路内を覗くと、図4に示されるように影線を除いた部分が直通した即ちストレートな貫通路として見える。
【0049】
これは、前述したように入口側端部における右側の入口122aが出口側端部における上部の出口122bに連通し、入口側端部における左側の入口123aが出口側端部における下部の出口123bに連通していることから、それらがそれぞれ部分的に重なる領域は入口から出口が直視できることは当然ではある。
【0050】
とすると、エレメント120Aの長手方向から見たときに入口122a、123aと出口122b、123bとがそれぞれ部分的に重なる領域に存在する通路部分については、気液の流状体に変形をほとんど与えることなく通過させることになる。そして、同じ形状のエレメント120Aを複数接続しても端部から変形通路を覗いたときの状態は図4に示された状態と全く変わらない。
【0051】
他方、エレメント120Bについては、前述のエレメント120Aの説明と同じ理屈により入口124a、125aと出口124b、125bとが重なる領域は図5に示される影線を除いた部分となる。これは、エレメント120Aとは異なって、入口側端部における右側の入口124aが出口側端部における下部の出口124bに連通し、入口側端部における左側の入口125aが出口側端部における上部の出口125bに連通していることから明らかである。
【0052】
そこで、この2種類のエレメント120A、120Bを図3に示されるように接続したとして、その入口側端部から変形通路を覗くと、図4と図5とを重ねたような状態となり、その結果入口から出口を直視することはできなくなる。ということは、入口から入った気液が、所謂ストレートに出口部に流れ出ることはなくなり、その結果気液接触効果をより高めることになる。
【0053】
更に、前述した実施形態で用いたエレメントは、2つの変形通路122、123又は124、125を備えたものであったが、図6に示されるように4つの変形通路131、132、133、134を備えるエレメント130を接続して気液接触部12を構成することもできる。
【0054】
このエレメント130も考え方は前述したエレメント120A、120Bと同じで、端部側の開口が全体として正方形で且つ周囲に接続用のフランジ部12a、12bを備え、更に入口側端部がX方向に長い4つの開口を形成し、これら4つの開口は各変形通路131〜134の入口131a、132a、133a、134aとされている。他方、このエレメント130の出口側端部は、入口側端部の各入口とは90度方向を異にするY方向に長い開口を形成し、各変形通路の出口131b、132b、133b、134bとされている。
【0055】
そして、図6で見て、変形通路131の入口131aは、上から2番目の出口部131bに連通し、変形通路132の入口132aは、最上部の出口132bに連通し、変形通路33の入口133aは、最下部の出口133bに連通し、変形通路34の入口134aは、上から3番目の出口134bに連通している。
【0056】
各変形通路131、132、133、134のそれぞれの長手方向における断面形状の変化については、先の実施例で示したエレメント120A、120Bの場合と基本的に同じである。ただ、エレメント130全体の輪郭としては、4つの変形通路を備えている関係で相違している。
【0057】
次に、前述した第1の実施形態に係る油脂分解浄化装置10の動作について説明する。油脂分解浄化装置10は、厨房等から出る排水を流す排水溝に接続されたグリーストラップの貯溜部に沈めて使用される。この油脂分解浄化装置10がグリーストラップ内に沈められると、この油脂分解浄化装置10内に水面に蓄積されている油脂分と共に排水が入り込む。次いで、加圧空気供給源から加圧空気を気泡発生手段18に送ることにより酸素供給室13で大量の気泡を連続的に発生させる。
【0058】
この気泡は、気液接触部12の入口部から縦方向の通路11を上昇して気液接触部12の上端部に位置するフランジ部12bに取り付けられた吹出しカバー21に形成された吹出し口21aからグリーストラップの貯溜部水面付近に吹き出される。このように、酸素供給室13で発生した大量の気泡が連続的に気液接触部12の縦方向通路11を上昇して貯溜部に出ることにより、この油脂分解浄化装置10内の排水及び油脂分に気液接触部の縦方向通路11を上昇する流れを起こす。
【0059】
前述したように多量の気泡が連続して上昇することに伴う油脂分解浄化装置10内の排水及び油脂分の上昇流によるドリフト効果によって、油脂分吸引パイプ17の上端開放部から貯溜部の排水上面付近の油脂分が吸引されて酸素供給室13に取り込まれる。そして、油脂分吸引パイプ17から排水上面付近に蓄積している油脂分が酸素供給室13に取り込まれると、この酸素供給室13で発生している大量の気泡と共に気液接触部12の入口部から出口部へ縦方向通路11を上昇して再び貯溜部に出る。
【0060】
気液接触部12の縦方向通路11を通る気泡と排水上面付近から吸引した油脂分等は、この縦方向通路11を構成している複数の変形通路122、123、124、125を通り、しかもこれらの各変形通路部を通過する間にその通過流は合流分割手段によって合流分割される。これにより、気液接触部12の縦方向通路11を上昇する気泡と排水上面付近から吸引した油脂分は、効率よく気液接触が起こり、これによりグリーストラップに投入された好気性の油脂分解微生物を活性化させることができると共にこの微生物による油脂分の分解浄化を促すことができる。
【0061】
このように酸素供給室13で発生した大量の気泡と当該酸素供給室に流入する油脂分を含む排水が連続的に気液接触部12の内部通路を通過してその出口部から吹出し口21aを介して排水中に放出されるため、その時点で最適に気液接触される。従って、排水槽内の汚泥を巻き上げることなく、水面に浮上している概ね油脂分を大量の酸素と効果的に気液接触させることができ、排水中に存在する好気性の分解微生物を活性化することができ、その結果油脂分の分解浄化を短時間に極めて効率的に行うことができる。
【0062】
前述した第1の実施形態に係る油脂分解浄化装置10では、基本的な構造のものを例にして原理的な説明をしたが、図7〜図10には実際に使用する状態に設計された第2の実施形態としての油脂分解浄化装置30を用いたグリーストラップ50が示されている。この実施形態に係るグリーストラップ50は、図7及び図8に示されるように上部開放の排水槽51を備え、その内部には長手方向の一端側と他端側において相互に間隔をあけて配置された潜り堰52a、52bが着脱可能に取り付けられている。
【0063】
潜り堰52a、52bとは、既に説明したようにその下端と排水槽底面との間を流路とするように水面付近に設けられた仕切り板である。これら2つの潜り堰52a、52bとの間における排水槽51の底部には、高さが排水槽51の深さの半分程度の仕切り板53が立設されている。この仕切り板53は、潜り堰とは反対に上端側を流路とし、排水槽の底面に沿う流れを遮断する。
【0064】
排水槽51内は、前述した2つの潜り壁52a、52bにより3つの領域54、55、56に区画され、排水槽51の一方の端壁と潜り堰52aとで区画される領域即ち第1槽は排水導入領域54であり、2つの潜り堰52a、52bによって区画される領域即ち第2槽は浄化領域55であり、更に潜り堰52bと排水槽51の他方の端壁とで区画される領域即ち第3槽は最終貯溜部である浄化水排出領域56である。
【0065】
排水槽51内の排水導入領域54には、この排水槽51内に排水溝から最初に流れ込む排水中に含まれる比較的に大きなゴミを取るため、無数の穴があいたプレートから形成されたゴミ取りバケット57が配置されている。排水槽51内の浄化領域55には、油脂分解浄化装置30が配置されている。
【0066】
この油脂分解浄化装置30は、図9に示されるように3つのエレメント140A、140B、140Cを縦方向に積み重ねて構成された気液接触部31を備えている。これら各エレメント140A、140B、140Cについて更に具体的に説明すると、図10に示されるように下段に位置する第1段目のエレメント140Aと上段に位置するエレメント140Cとは、図1及び図3の実施形態に示された第1段目のエレメント120Aと実質的に同じであり、そのため各部には同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
中間のエレメント140Bは、図10から明らかなように各変形通路141、142の長方形状をした入口141a、142aと出口141b、142bが下段のエレメント140Aの出口122b、123b及び上段のエレメント140Cの入口122a、123aとにそれぞれ整合するように形成されている。
【0068】
その結果、この実施形態の油脂分解浄化装置30における気液接触部31では、下段のエレメント140Aの各変形通路122、123が中間のエレメント140Bの各変形通路141、142を介してそのまま上段のエレメント140Cの各変形通路122、123に連通していることになる。
【0069】
従って、この実施形態の油脂分解浄化装置30における気液接触部31では、第1の実施形態における気液接触部12のように変形通路を流れる気液を分割合流する手段は設けられていないことになる。このように3つのエレメント140A、140B、140Cを縦方向に重ねて連結してなる気液接触部31は、その最下端のフランジ部143aと最上端のフランジ部143bとの間において各エレメントを包囲するように設けられた四角柱状のケーシング32を備えている。
【0070】
このケーシング32の上端部は、上段のエレメント140Cの上端フランジ部外周縁に封密的に接続され、各エレメントの他のフランジ部の外周縁はケーシング32の内壁に内接している。そして、ケーシング32の下端部は、下段のエレメント140Aの下端フランジ部143aに当接している。
【0071】
これにより、各エレメント140A、140B、140Cにおける各端部のフランジ部143a、143b間では、エレメントの外周囲にケーシング32により空間部が形成されている。下段のエレメント140Aと中間のエレメント140Bにおける両端部のフランジ部143a、143b、及び上段のエレメント140Cにおける下端のフランジ部143aには、それぞれ開口部144が形成されている。
【0072】
各開口部144は、各エレメント140A、140B、140Cを前述したように縦方向に配置してフランジ部143a、143b同士を密着させて積み重ね固定した時、前述したフランジ部に形成された各開口部144が相互に整合するような位置に形成されている。これにより、3つのエレメント140A、140B、140Cを重ねて相互に連結した時、図9に示されるように各エレメントの外周囲の空間部はすべて連通する。
【0073】
上段のエレメント140Cを包囲するケーシング32には、図9に示されるように、その内側に形成されている空間部に連通するニップル33が取り付けられている。このニップル33には加圧空気供給源(図示せず)から伸びるホース19が接続される。
【0074】
このような気液接触部31は、第1の実施形態と同様に酸素供給室13を構成している上部開放のハウジング上端周囲に設けられているフランジ部14a上に下段のエレメント140Aのフランジ部143aをパッキンなどを介して水密的に密着するように乗せられ、ボルト及びナット等を用いて堅固に連結されている(図9)。これにより、酸素供給室13は気液接触部31の縦方向通路に連通する。
【0075】
その際、酸素供給室13を構成しているハウジングの上端周囲に設けられているフランジ部14aにも開口部144が形成されており、下段のエレメント140Aにおけるフランジ部143aに形成されている開口部144と整合する。酸素供給室13のフランジ部14aに形成されている開口部144は、酸素供給室13の一角に設けられた通路室34に連通し、この通路室34に連通するように気泡発生手段18が酸素供給室13内に設置されている。
【0076】
この実施形態の油脂分解浄化装置30は、酸素供給室13を構成するハウジング14の1つの側壁に、2つの油脂分吸引パイプ17がそれぞれその一端を酸素供給室13に連通するように当該側壁を貫通して接続されている。2つの油脂分吸引パイプ17の内、1つは浄化領域55内に位置し、他の1つは潜り堰52bの下を潜って浄化水排出領域56に位置している。また、この実施形態の油脂分解浄化装置30は、潜り壁52bに取り付けられていて、その結果潜り壁52bを排水槽51に着脱することにより同時に排水槽51内への設置と取り外しが可能となる。
【0077】
次に、前述した実施形態に係るグリーストラップ50の使用方法を油脂分解浄化装置30の動作と共に説明する。厨房等の床下に設置されたグリーストラップ50には、厨房から出る排水が排水溝を介して入り込む。その際、排水中の大きなゴミはゴミ取りバケット57により選別されて除去される。
【0078】
排水槽51に着脱可能に取り付けられた潜り堰52bに取り付けられた油脂分解浄化装置30(具体的には酸素供給室13及び気液接触部31の内部)には、排水槽51の水面に蓄積されている油脂分と共に排水が油脂分吸引パイプ17から入り込んでいる。
【0079】
次いで、加圧空気供給源から加圧空気をニップル33を介して上段のエレメント140Cにおける外周囲空間部に供給すると、加圧空気は、相互に連通している各エレメントの外周囲空間部を介して酸素供給室13の一角に形成された通路室34に導入され、この通路室34に連通するように酸素供給室13に配置された気泡発生手段18で大量の気泡を連続的に発生させる。
【0080】
この気泡の気液接触部31への流れや、これによる気液接触作用及び効果は前述した第1の実施形態に係る油脂分解浄化装置10の場合とまったく同じであるので、これ以上の説明は省略する。ただし、第2の実施形態に係る油脂分解浄化装置30では、油脂分吸引パイプ17が2つ設けれら、その1つが浄化水排出領域56に配置されている。
【0081】
この理由は、浄化水排出領域56に移動してきた排水は、本来、浄化領域55において既に油脂分が分解浄化されているのではあるが、未だ完全に分解浄化しきれずに排水表面に僅かに油脂分が残っている場合があり、そのような油脂分も吸引して分解浄化し、浄化水排出領域56の排水をほぼ完全に浄化するためである。
【0082】
このようにして排水槽51内で油脂分などが分解されて浄化された排水は、最終的に浄化水排出領域56に貯留され、排水槽51の水位の上昇に伴って随時、オーバーフロー管58から下水管に排出される。
【0083】
この第2の実施形態に係る油脂分解浄化装置30では、このように2つの油脂分吸引パイプ17を備え、その1つを浄化水排出領域56に配置したが、この発明は油脂分吸引パイプ17の設置数や配置位置に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更することができることは言うまでもない。
【0084】
前述した第2の実施形態に係るグリーストラップ50では、油脂分解浄化装置30を排水槽51の浄化領域55内に設置した場合のものであったが、次に説明する第3の実施形態のように浄化水排出領域56内に設置してもよい。このような第3の実施形態に係るグリーストラップ60は図11及び図12に示されている。
【0085】
図11に示される第3の実施形態に係るグリーストラップ60は、油脂分解浄化装置30が排水槽51の浄化水排出領域56内に設置され、気液接触部31の上端フランジ部12bに取り付けられた吹出しカバー21を、潜り堰52bを越えて、浄化領域55に突出させ、その吹出し口21aを開放している。
【0086】
そして、この油脂分解浄化装置30を構成する酸素供給室13には2つの油脂分吸引パイプ17が連通され、その1つは潜り堰52bを貫通して浄化領域55内入り吸引開放部17aを当該浄化領域55に位置決めされ、また他の1つは浄化水排出領域56内にそれぞれ設置されている。その他の構成は第2に実施形態に係るグリーストラップ50と実質的に同じであるので、同一の構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0087】
このように油脂分解装置30を排水槽51の浄化水排出領域56に設置することで、浄化水領域55を実質的に大きい容積とすることができるため、排水処理能力を同じ容量の排水槽に比べて向上させることができる。
【0088】
更に前述した第1の実施形態に係る油脂分解浄化装置10や第2の実施形態に係るグリーストラップ50のいずれも、油脂分吸引パイプ17の他端に形成された吸引開放部17aは、気液接触部12の上端部、言い換えればフランジ部12bよりも高い位置にあるように構成されたものであったが、本発明はこのような条件に限定されるものではない。
【0089】
例えば、図13及び図14に第4の実施形態として示されるグリーストラップ70における油脂分解浄化装置40のように油脂分吸引パイプ17の他端に形成された吸引開放部17aが気液接触部12の上端に位置するフランジ部12bと同じ高さに位置するか或いはそれよりも低い位置にあってもよい。油脂分吸引パイプ17における吸引開放部17aの気液接触部上端部に対する相対的な高さ位置は、気液接触部12内を通過させるエアー量と相関関係があり、従ってこのエアー量に対応して変更することができる。
【0090】
図13及び図14に示される第4の実施形態に係るグリーストラップ70についても、油脂分吸引パイプ17における吸引開放部17aを気液接触部12の上端フランジ部12bよりも低い位置になるように構成したこと以外は、実質的に第1の実施形態に係る油脂分解装置や第2及び第3の実施形態に係るグリーストラップにおける油脂分解浄化装置と実質的に同じであるので、同一又は相当する構成部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0091】
前述した第1の実施形態の油脂分解浄化装置10及び第2〜第4第2の各実施形態に係るグリーストラップ50、60、70における油脂分解浄化装置30、40の気液接触部12、31は、鉄、ステンレス、プラスチックなど種々の素材から製造することができる。その場合、気液接触部12、31の内面、言い換えれば気液が通過する縦方向通路の内表面をポーラスな素材で形成することが好ましい。
【0092】
気液が通過する縦方向通路の内表面をポーラスな素材で形成する方法としては、例えば鉄、ステンレス又はプラスチック等で作られた気液接触部の内面を発泡ポリエチレン或いは発泡硬質ウレタンで被覆する方法、又は成形性のある発泡材で気液接触部そのものを製造する方法などを挙げることができる。
【0093】
このように気液接触部12、31の内表面をポーラスな素材で形成すると、気液接触部12、31の内表面に好気性の油脂分解微生物が着床し、縦方向通路11を通過する大量の気泡によって十分な酸素の供給がなされ、微生物を活性化すると共に微生物自体の繁殖を促すことができる。
【0094】
【実施例】
(実施例1)
グリーストラップの第2槽(浄化領域)を想定する容器内に人工的に作った排水を満たし、その中に図1に示す油脂分解浄化装置10を所定の状態に沈め、実験を行った。人工排水中の成分とその濃度は表1に示す。
【表1】
Figure 0004248722
【0095】
人工排水中の油脂分、菌数、pH等を実験開始前と開始後に順次測定し、この油脂分解浄化装置の有意性を確認した。サンプリングは、水槽中にプロペラ型撹拌機を設置して、700rpmで3分間攪拌した後、攪拌状態のまま分取した。その実験結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0004248722
【0096】
なお、この表2において、油脂分解率の測定方法は、サンプル100mlを分取し、明治製菓(株)指定の、n-ヘキサンによる抽出方法で測定した。また、一般性菌数、BN菌数、芽胞菌数は、サンプル50mlを分取し、明治製菓(株)指定の標準寒天培地を使用したコロニーカウント方式により測定した。更に、pHは、pHメーターにより測定した。そして、エアー流量は、使用したエアーポンプの能力により想定した。
【0097】
表2の測定データから、この実施形態に係る油脂分解浄化装置を利用して好気性の油脂分解微生物を活性化させることにより人工排水中の油脂分が時間の経過と共に減少し、この油脂分解浄化装置による油脂分解の有意性が確認された。
【0098】
(実施例2)
グリーストラップは、流入する油脂を排水槽内で阻集して、最終貯溜部である浄化水排出領域(第3槽)から油脂分を減少させた排水として外部に排出する機能が要求されている。空気調和衛生工学会規格(HASS)217では、0.5%のラードを含む流入水を70回、間欠的に流入させて、各回の阻集効率が85%以上、累積阻集効率が90%以上のグリーストラップを合格とする試験方法を規定している。
【0099】
図11及び図12に示される第3の実施形態に係るグリーストラップ60と同じように3槽からなり且つ容量が160リットルのグリーストラップの第3槽(浄化水排出領域56)内に、断面積25平方センチの気液接触部31を持つ油脂分解浄化装置30をその底面が潜り堰52b下部より約1cm高くなるように取り付けた。
【0100】
気液接触部31の出口に、5センチ角の中空筒からなる吹出しカバー21を図9に示されるように横方向に向け且つその底面が予定する最低水位より6cm上に位置するように取り付けた。その際、この吹出しカバー21は潜り堰52aを直角に貫通し、その先端である吹出し口21aを第2槽即ち浄化領域55に潜り堰52aから第2槽の浄化領域55内に3cm突出させて設置した。
【0101】
このような構成のグリーストラップを用いて油脂分解浄化装置30の気液接触部31にエアーを毎分80リットル供給しながら、HASS 217による阻集効率試験を行った結果、図15の特性図から明らかなように各回の阻集効率85%以上、累積阻集効率90.5%を得た。この結果、油脂分解浄化装置を用いた容量160リットルで且つ上述した構成のグリーストラップが、HASSの規格を完全に満足していることが明らかとなった。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における排水中の油脂分を分解浄化する装置によれば、例えばレストランやホテルなどの厨房及び調理場等に設置されるグリーストラップの貯溜部の水面に浮いて蓄積される排水中の油脂分を、好気性の分解微生物を効率よく活性化させて分解浄化することができる。
【0103】
更に、本発明のグリーストラップによれば、排水中の油脂分を、好気性の分解微生物を効率よく活性化させて分解浄化する油脂分解浄化装置を備えていることから、貯溜部の底に沈殿している汚泥を巻き上げるようなこともなく、貯溜部の油脂分を効率よく分解浄化し、浄化された排水のみを排水口から流出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る油脂分解浄化装置を概略的に示す正面図である。
【図2】図1に示される油脂分解浄化装置において油脂分吸引パイプを示す平面図である。
【図3】図1に示される油脂分解浄化装置で使用される気液接触部の具体的な構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示される1つの種類のエレメントを入口側端部から内部の各変形通路を見た状態を概略的に示す平面図である。
【図5】図3に示される他の1つの種類のエレメントを入口側端部から内部の各変形通路を見た状態を概略的に示す平面図である。
【図6】本発明の油脂分解浄化装置において気液接触部として使用可能な別なエレメント即ち内部に4つの変形通路を備えるエレメントを示す斜視図である。
【図7】本発明のグリーストラップを示す断面図である。
【図8】図7に示されるグリーストラップを示す平面図である。
【図9】図7及び図8に示される本発明のグリーストラップを構成する他の第2の実施形態に係る油脂分解浄化装置の断面図である。
【図10】図9に示される油脂分解浄化装置を構成する気液接触部の構成を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るグリーストラップを示す図8と同様な平面図である。
【図12】図11に示されるグリーストラップを示す図7と同様な断面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態であるグリーストラップを示す図8と同様な平面図である。
【図14】図12に示されるグリーストラップに用いられる油脂分解浄化装置を示す図9と同様な断面図である。
【図15】本発明の実施例として図11及び図12に示される構造を備える容量160リットルのグリーストラップによるグリース阻集効率試験の特性図である。
【符号の説明】
10 油脂分解浄化装置(第1の実施形態)
11 縦方向通路
12 気液接触部
12a フランジ部
12b フランジ部
13 酸素供給室
14 ハウジング
14a フランジ部
15 植込みボルト
16 ナット
17 油脂分吸引パイプ
17a 他端開放部
17b パイプ本体
17c 伸縮自在部
18 気泡発生手段
19 加圧空気供給パイプ
20 フロート
21 吹出しカバー
21a 吹出し口
30 油脂分解浄化装置
31 気液接触部
32 ケーシング
33 ニップル
34 通路室
40 油脂分解浄化装置
50 グリーストラップ(第2の実施形態)
51 排水槽
52a 潜り堰
52b 潜り堰
53 仕切壁
54 排水導入領域
55 浄化領域
56 浄化水排出領域
57 ゴミ取りバケット
58 オーバーフロー管
60 グリーストラップ(第3の実施形態)
70 グリーストラップ(第4の実施形態)
120A、120B エレメント
122、123 変形通路
140A、14B、140C エレメント

Claims (10)

  1. 排水槽内に貯溜する排水中に浸漬するように設置され、前記排水槽内の排水中に存在する油脂を分解浄化する装置であって、縦方向の通路を備える気液接触部と、この気液接触部の下部に設けられ、前記通路に連通する酸素供給室と、この酸素供給室に一端が連通され、他端が前記排水槽内の排水面近傍に位置して開放する少なくとも1つの油脂分吸引パイプと、前記酸素供給室に配置され、加圧空気供給源に接続された気泡発生手段とを含み、前記気液接触部が一端に入口部を又他端に出口部を備えて形成され、前記気液接触部の前記通路が、前記入口部から前記出口部へ向かって断面形状が連続的に変化し、且つ軸方向に伸長する複数の変形通路部で構成され、前記酸素供給室で発生させた気泡を前記気液接触部の前記入口部から前記各変形通路部を連続的に前記出口部へ向かって上昇させ、そのドリフト効果で前記油脂分吸引パイプの上端開放部から前記排水槽内の排水上面付近の油脂を吸引して前記酸素供給室に取り込んで気泡と共に前記通路内を上昇させることにより気液接触を行わせることを特徴とする油脂分解浄化装置。
  2. 前記気液接触部の前記通路が、更に、前記気液接触部の前記入口部と前記出口部との間に設けられ、前記各変形通路部を通る気液を合流分割する合流分割手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の油脂分解浄化装置。
  3. 前記油脂分吸引パイプの他端開放部が、漏斗状に開いて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の油脂分解浄化装置。
  4. 前記油脂分吸引パイプが、パイプ本体の長さが変わる伸縮自在部分を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油脂分解浄化装置。
  5. 前記気液接触部の内面が、ポーラスな素材で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油脂分解浄化装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載された油脂分解浄化装置が前記排水槽の内部に設置され、排水槽内の排水中に存在する油脂分を分解浄化するグリーストラップ。
  7. 前記排水槽内を、最終貯溜部である浄化水排出領域とこれに隣接する浄化領域とに区画形成すべく少なくとも1つの潜り堰が前記排水槽の水面側での流れを遮断するように設置され、前記油脂分解浄化装置が前記浄化領域内に設置され、且つ前記排水槽内の浄化水を外部に排水するオーバーフロー管が前記浄化水排出領域内に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のグリーストラップ。
  8. 前記油脂分解浄化装置が前記浄化水排出領域内に設置され、前記気液接触部の前記出口部を介する吹出し口を、前記潜り堰を貫通又は越えて、前記浄化領域に開放し、且つ前記オーバーフロー管が前記浄化水排出領域内に設けられていることを特徴とす
    る請求項に記載のグリーストラップ。
  9. 前記油脂分解浄化装置が少なくとも2つの前記油脂分吸引パイプを備え、その1つの前記油脂分吸引パイプの前記上端開放部が前記潜り堰で仕切られた前記浄化水排出領域内に位置し、且つ他の前記油脂分吸引パイプの前記上端開放部が前記浄化領域に位置していることを特徴とする請求項7又は8に記載のグリーストラップ。
  10. 前記油脂分解浄化装置が前記潜り堰に取り付けられていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のグリーストラップ。
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