JP4247783B2 - 免疫応答を惹起するための、多数エピトープ含有抗原の再構成法および組成物 - Google Patents

免疫応答を惹起するための、多数エピトープ含有抗原の再構成法および組成物 Download PDF

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Description

本発明は、生体内において免疫応答を惹起するための及び/または向上するための方法および組成物に関わる。
全ての脊椎動物は免疫系を持つ。脊椎動物が、感染性細菌、毒素、ウィルス、その他の外来巨大分子にたいして自己を防衛する能力を免疫と言う。免疫は、非常に特異的である。この特異性は、免疫応答の基本的な特徴である。免疫系の反応の多くの場合、侵入微生物、及び、それらによって産生される毒素を破壊・除去する。これら免疫応答の性質はもともとが破壊的なものであるから、その反応は正に外来の分子に限定され、ホスト(宿主)自体の分子には向けられないことが必須である。このように、外来の分子と、自己の分子とを区別することのできる能力が、免疫系のもう一つの基本的特徴である。
本免疫系は、自然免疫と、獲得ないし特異的免疫とを区別する。自然免疫は、微生物ないし外来巨大分子に対して曝される以前に活発な防衛機構から成り、微生物ないし外来巨大分子に曝されることによって強化されず、また、生体に対して外来性の多くの物質を区別できない。自然免疫のエフェクター(実行因子)は、皮膚や粘膜のような物理的障壁、マクロファージや好中球のような食細胞、ナチュラル・キラー細胞と呼ばれるあるクラスのリンパ球、および、補体系である。補体とは、血清蛋白複合体であって、特異的、補体固定的抗体によって感作された、ある種の細菌細胞やその他の細胞にたいして破壊的に働き、その活動は、一連の相互反応によって実行され、蛋白溶解性の分裂を招く。その相互反応は、少なくとも二つの経路の内の一方、ないし、他方を取り得る。
脊椎動物においては、自然免疫機構と、特異的免疫機構とは、ホスト防衛系、すなわち免疫系において協力し、外来の侵入者を除去する。微生物、癌細胞、寄生生物およびウィルス感染細胞に加えてさらに、免疫系は、同一種ではあるが遺伝的に異なる個体から(同種移植体)、または、異なる種に属する遺伝的に異なる固体から(異種移植体)、ある被験者に移植された細胞や組織をも認識し、除去する。
後天的ないし特異的免疫は、外来物質にたいする暴露によって惹起ないし刺激される防衛機構から成る。特異的免疫機構が、外来物質にたいする防衛において従事する出来事を免疫応答と言う。脊椎動物は、二つの広範な、免疫応答のクラスを持つ。すなわち、抗体反応すなわち体液性免疫と、細胞介在性免疫応答すなわち細胞性免疫とである。体液性免疫は、B型リンパ球によって与えられる。すなわち、B細胞は、増殖・分化後、抗体(別名免疫グロブリンとも呼ばれる)を産生し、これが、血液やリンパ液中を循環する。この抗体は、それを誘発した抗原に特異的に結合する。抗体による結合は、ウィルスのような外来物質を、その物質が、標的細胞上の受容体に結合する能力を阻止することによって、不活性化する。体液性反応は、主に、細菌やウィルス感染の内の細胞外相に対して防衛する。体液性免疫においては、血清のみでも反応を伝播することができ、かつ、反応の実行者は、抗体と呼ばれる可溶性蛋白分子である。
免疫応答の第2のクラス、すなわち、細胞性免疫は、特殊な細胞、例えば、T型リンパ球の産生を含む。T細胞は、他のホスト細胞の表面における外来抗原と反応する。細胞性免疫応答は、特に、糸状菌、寄生生物、細胞内ウィルス感染、癌細胞、および、その他の外来物質にたいして有効である。事実、T細胞の大部分が、免疫において調節的な役割を演じている。すなわち、その他の白血球細胞の反応を強化したり、抑制したりしている。これらの細胞は、それぞれヘルパーT細胞およびサプレッサーT細胞と呼ばれるものであるが、まとめて調節性細胞と呼ばれる。細胞傷害性T細胞と呼ばれる他のTリンパ球は、ウィルス感染細胞を殺す。細胞傷害性T細胞と、Bリンパ球とは共に、感染にたいする防衛に直接関わり、まとめてエフェクター細胞と呼ばれる。
免疫応答の時間経過は、次のように細区分される。すなわち、意識ないし認識相であって、この時、特異的リンパ球が、外来の抗原を認識する。活性化相であって、この時、特異的リンパ球が外来抗原に反応する。エフェクター相であって、この時、抗原によって活性化されたリンパ球が、その抗原を除去するのに必要な過程を仲介する。リンパ球は、特異的免疫応答を仲介し、指示することを専門とする免疫細胞である。T細胞とB細胞は、それらがある抗原によって刺激された時にのみ形態的に区別される。
免疫系は、ホストの正常な成分ではない巨大分子の表面特徴を認識できるように進化を遂げてきた。前述したように、免疫系によって認識された外来分子(すなわち、抗体の結合した)は、それ自体が反応を惹起すると否とを問わず、「抗原」と呼ばれ、抗体の結合する、抗原部分を「抗原決定因子」、または、「エピトープ」と言う。いくつかの抗原、例えば、卵巣癌や乳癌抗原のような、腫瘍関連性抗原は、多数の抗体結合部位を持つ。これらの抗原を「多数エピトープ含有性」抗原と呼ぶ。抗原がポリペプチドであると、エピトープを直線性(すなわち、ポリペプチド鎖に沿って反復する一連の連続的なアミノ酸から成る)と分類したり、非直線性(すなわち、ポリペプチド鎖の折り畳みの結果、近くに集合させられたアミノ酸から成る)と分類するのが慣例である。非直線性エピトープはまた「構造的」とも呼ばれる。なぜなら、これらのエピトープは、ポリペプチド鎖が折り畳まれて、特定の構造、すなわち、特異的な3次元形態を取ることによって生ずるからである。抗体・抗原結合は高度に特異的な結合性を持つので、抗原間、または、同一抗原における異なるエピトープ間を区別するための主要手段としては、抗体結合特性を用いる。
遭遇するエピトープの膨大な多様性に対応するために、哺乳動物の免疫系は、約2×1012個の、極端に多数のリンパ球レパートリーを含んでいる。このレパートリーの、各リンパ球クローンは、1エピトープにたいして特異的な表面受容体を含む。哺乳類免疫系は、少なくとも 108個の異なる抗原決定因子を区別することができると推定されている。一般に、ただ一つの抗原決定因子でも、たくさんのクローンを活性化し、しかも、そのクローンの各々が、その決定因子にたいして独自の特徴的親和性を持つ抗原結合部位を生成する。数百種の抗体の産生、その各々が異なるB細胞クローンによって生成されるものであるが、そのような抗体の産生を刺激する抗原は、ポリクロナール反応を生成すると言われる。ほんの数クローンが反応する場合、その反応は、少数クローン性(オリゴクロナール)と呼ばれる。全反応が単一のBないしT細胞によって実行される場合、その反応をモノクロナール性と言う。大抵の抗原にたいする反応はポリクロナール性である。
ある外来抗原にたいする、初期ないし一次免疫応答は、免疫系が、その抗原にたいして再び反応する能力を強化する。特異的免疫性のこの特質は、免疫記憶、または、二次的免疫応答と呼ばれる。二次的免疫応答は、しばしば、一次的反応よりも有効である。
抗原に関する従来の定義は、脊椎動物のホストにおいて、特異的抗体の形成を惹起する物質、または、その物質と反応する特異的リンパ球集団の発生を惹起する物質である。しかしながら、科学においてはしばしば見られることであるが、現在では、この定義は、正確ではあるけれども、完全ではないことが知られている。例えば、現在では、いくつかの病態は、ホストの免疫応答を抑制ないし不活性化することが知られている。このような条件下では、腫瘍抗原は、抗体を惹起せず、または、特異的リンパ球も生成しない。従って、必ずしも全ての抗原が、ヒトの免疫応答を惹起することができるわけではない。
この定義の欠陥は、主に免疫応答の両面性に集中する。免疫応答の第一ステップは、外来性実体の存在の認識である。第二ステップは、複雑な連鎖的反応系列、すなわち、反応である。前述した腫瘍抗原の場合、免疫系は外来抗原の存在を認識はするが、反応はできない。また別の例では、自己と非自己を区別する免疫系能力の欠陥が、多くの自己免疫疾患の原因であるようである。繰り返すが、これは、認識上の欠陥であって、反応上の欠陥ではない。
従って、ここで用いているように、もしも抗原が免疫系によって認識されるならば、それは、抗原性を持つと言われる。さらにもしも免疫系が、その抗原にたいして活性反応を喚起することが可能ならば、それは、免疫源性を持つと言われる。免疫源性を持つ抗原は通常少なくとも5000ドールトンの分子量を持つ巨大分子(例えば、蛋白、核酸、炭水化物、および、脂質)である。これより小さい分子、例えば、ヘパリンや小型の抗原性分子も、十分な大きさを持つ搬送体分子と結合すれば免疫応答を刺激することができる。
体液性免疫のエフェクターである抗体は、プラズマ細胞によって分泌され、血液の中でももっと多量な成分の一つである。プラズマ細胞は、成熟した最終段階細胞であって、比較的短い寿命を持つようである。これらの細胞は、次のようにして生成される。すなわち、抗原がヒトの免疫系に入り、一連の複雑な細胞相互作用において、Bリンパ球を活性化し、次に、Bリンパ球が増殖・分化してプラズマ細胞を形成する。各Bリンパ球は、そのDNA によって、ある単一の特異性を持つ抗体分子を生成するようにプログラムされている。Bリンパ球は、この分子について、二つの特殊形を生成する。すなわち、一つは、膜受容体として細胞膜の外表面に付着したままのもので、通常、抗原を、そのB細胞に結合させるためのものであり、もう一つは分泌されるものである。
抗体は、別に免疫グロブリンとも呼ばれるが、蛋白である。抗体は二つの主要機能を持つ。第一のものは、外来抗原を認識(と結合)することである。第二のものは、免疫系の他の要素を動員して、その外来性実体を破壊することである。
抗体の抗原認識構造は、可変ドメインであり、抗原結合を担当する。免疫系の動員構造は、これが抗体の第二の機能であるが、これは定常ドメインである。この領域は、各種のエフェクター機能を担当する。すなわち、B細胞を刺激して、増殖・分化を遂げさせること、補体細胞溶解系の活性化、オプソニゼーション、マクロファージを誘引して侵入者の貪食を促すこと、などである。各種抗体異性体は、異なる定常ドメインを持つ。従って、異なるエフェクター機能を持つ。もっともよく調べられた異性体は IgGとIgM である。
抗体そのものは、オリゴマー分子であり、その構造から、クラス(例えば、IgG)とサブクラス(例えば、IgG1)に分類される。IgG 分子は、体液性免疫応答においてもっとも重要な成分であり、2本の重(長)鎖と、2本の軽(短)鎖とが、ジスルフィド結合によって合わされて「Y」型になったものから構成される。この分子は、(「Y」型の両腕に)2個の可変域を持つ。この領域がそう名づけられたのは、各種の抗原にたいして、ある特定の個人によって生成される、ある特定のサブクラスの抗体は、この可変域において異なるが、定常域においてはそうではないからである。この可変域そのものが、比較的定常な枠組みと、超可変なループとから成る。この超可変ループが、抗体にたいして、ある特定のエピトープにたいする特異性を与える。抗体は、分子的相補性の結果、抗原のエピトープに結合する。この相互作用に直接参加する抗体部分を、「抗原結合部位」または「パラトープ」と呼ぶ。ある特定の抗体によって結合される抗原類を「認識抗原」と呼ぶ。
ある一個の動物の抗体は、別の動物の免疫系によって外来の抗原と見なされ、従って、免疫応答を引き起こす。得られた抗体の内のいくつかは、免疫化抗体の可変域のユニークなエピトープ(イディオタイプ)にたいして特異的であるので、従って抗イディオタイプ抗体と呼ばれる。これらはしばしば、免疫化抗体にたいして認識性を持つ抗原のものと同じ免疫特徴を持つ。一方、抗異性体抗体は、免疫化抗原の定常域のエピトープに結合する。
前述のように、細胞介在性免疫を調節する細胞は、Tリンパ球と呼ばれるあるクラスのリンパ球である。この細胞は、最終的には、B細胞と同じ幹細胞から由来するのであるが、極めて異なった発達の経路を取る。その経路においては胸腺が重要な役割を演ずる。さらにTリンパ球は、抗原特異的な表面受容体を発現する。もっとも、Tリンパ球が抗原を認識するやり方は、B細胞におけるそれとはやや異なるのではあるが。T細胞は、機能的には二つに分類される。すなわち、独自のエフェクター機能を持つもの(細胞傷害性リンパ球、または、「CTL」)と、調節性機能を持つものである。調節性T細胞は、B細胞からプラズマ細胞を発達させるのに必要である。Tヘルパー細胞(TH)は、免疫応答の抗原特異的な上向き方向の調節を行なう。免疫応答はさらに、活性抗原特異的な下向き方向の調節を受けることもある。動物および組織培養による研究から得られた膨大な証拠から、この抑制性調節を実行するサプレッサーT細胞集団(TS)の存在が明らかにされている。
ある個体のリンパ球は、外来抗原にたいして特異的に反応するが、その個体に生得的に備わった、潜在的には抗原となる可能性のある物質にたいして通常は反応を示さない。免疫的無反応性を、寛容と言う。自己寛容は、初期の発達段階で獲得されるもので、その時期、自己を認識する可能性のあるリンパ球は、自己抗原と接触するが、自己抗原にたいして積極的に反応する段階にまで発達することを阻止されてしまう。
免疫系は、抗原チャレンジにたいする反応を主に細胞性反応にするか(TH1 経路)、主に体液性反応にするか (TH2 経路) 、を決定する二つのサイトカイン介在性調節経路を持つ。細胞性経路は、Tヘルパー細胞によるインターロイキン2(IL-2)ないしインターフェロンγ産生によって特徴づけられる。この経路は、遅延型過敏反応(DTH) 、細胞傷害性T細胞の生産、および、マクロファージの活性化を仲介する。TH2 反応は、T細胞による各種サイトカイン、例えば、インターロイキン4(IL-4)やインターロイキン10(IL-10) の産生を促進する。この反応は、高い抗体価の特異的抗体の産生によって特定される。
この細胞介在性免疫応答、または、体液性免疫応答のいずれが優勢を占めるかは、交差調節の結果によると考えられている。すなわち、TH1 細胞は、TH2 反応の誘発を、例えば、インターロイキンγの分泌によって抑制するが、逆に、TH2細胞は、IL-2やIL-10 のようなサイトカインを生成して、TH1 反応の発生を抑制する。
TH2 反応は、実際には、ある種の疾患の経過を悪化させることがある。当技術分野においては、少量の免疫化抗原の注入によって、遅延型過敏反応がしばしば惹起され、細胞介在性免疫の存在を示すが、一方、さらに大量の抗原をワクチンとして用いると、高い抗体価で示される、さらに著明な体液性免疫応答を引き起こすことが知られている。しかしながら、この方法では、高いIgG 反応を回避し、かつ、高度の、長期の細胞性反応を実現することは困難であり、しかも、抗原によっては、小用量では、有効となるほど十分に強い細胞介在性免疫を惹起できないことがある。
通常は、免疫応答は、Bリンパ球、Tリンパ球のいずれにも特徴的なエフェクター機構に向けて進行する。しかしながら、大抵の免疫応答においては、その経過中に、BないしTリンパ球のいずれかが優勢な役割を占め、その場合、もう一方のリンパ球の実質的参加はより少なくなる。そのエフェクター機構が主にB細胞と抗体によって仲介される免疫応答は、体液性免疫応答である。T細胞が、より重要なエフェクター機能を仲介する、そのような反応は、細胞介在性、すなわち、細胞性免疫応答である。
前述のように、体液性免疫を調節する細胞は、B細胞と呼ばれるある1クラスのリンパ球である。Bリンパ球の各クローンは、膜免疫グロブリン(膜Ig類、すなわち、表面結合抗体分子)を発現するが、これが、あるBリンパ球クローンにとってユニークなエピトープを持つ抗原受容体として機能する。これら膜Ig分子は、B細胞特異性の唯一の起源である。膜Igにたいして相補的なエピトープを含む抗原は、この抗原受容体に結合する。このような抗原は別名、その抗体の認識抗原とも呼ばれる。抗原受容体(膜Ig)にたいする結合は、そのBリンパ球の分化と、クローン性増殖を招く。その子孫の内のいくつかは、成熟プラズマ細胞に分化し、これが、そのB細胞が最初に、それによって抗原に結合した膜Igにたいして、エピトープ特異性において合致する抗体の合成に専門的に従事する。
抗原の抗体にたいする結合は、可逆的である。この結合は、たくさんの比較的弱い非共有結合力、この中には、疎水性結合と水素結合、ファンデルワールス力、および、イオン相互作用が含まれるが、そのような結合力の合計によって仲介される。これらの弱い結合力は、抗原分子が、十分に接近し、その原子の内のいくつかが、抗体表面の相補的腔所に適合するほど近づいた時にのみ有効となる。4鎖性抗体単位の相補領域は、二つの同一の抗原結合部位であり、この抗原に対応する領域が抗原決定因子である。多くのの抗原性巨大分子は、たくさんの異なる抗原決定因子を持つ。
長年に渡って、生きているが、減弱されたワクチンが、インフルエンザやポリオのようなウィルス感染にたいする免疫を惹起するために用いられてきた。これらの製剤は、ワクチンを投与された個人にたいして、穏やかな、臨床水準以下の感染を引き起こす、生きたビリオン(ウィルス粒子)を含む。このような感染の経過時において、ウィルス・ベクターは、ある種のホスト細胞に侵入し、ウィルス特異的蛋白の合成をコードする。これら体内的に生成された抗原蛋白は処理されて、さらに小さなペプチドとされ、MHC クラスIおよびII抗原との関連して呈示される。これによってTH1 細胞が動員され、細胞介在性免疫応答が惹起される。
腫瘍細胞は、ある種の細胞表面抗原(「腫瘍関連性抗原」)を発現する。腫瘍関連性抗原は、癌患者の血清や組織に存在する抗原である。このような抗原の多くは、胎児性組織にも、さらには、低濃度ではあるが、健康な個人の組織や血清にも発現される。組織関連性抗原の多くは、糖蛋白類、糖脂質類、または、ムコ多糖類である。多くの腫瘍抗原は、分化を終わった細胞によって生成される。それら抗原は、分化した正常細胞よりは、腫瘍細胞によってはるかに大量に生成される。ヒト免疫系は、この腫瘍抗原を生得の抗原と認識し、反応しない(「自己寛容」)。自己寛容を招く機構は部分的にしか理解されていないが、現在では、自己寛容は、大部分免疫の発達中に確立されることが明らかになっている。もしも未熟なB細胞またはT細胞が、臨界段階(例えば、細胞表面に受容体を発現した直後ではあるが、成熟する前)において、抗原特異的受容体を通じて刺激された場合、これらの細胞は、活性化されず、死ぬように導かれる。この段階は、B細胞にたいしては骨髄で起こり、T細胞にたいしては胸腺で起こる。従って、寛容は、これらの環境下で発現された自己抗原にたいしては誘発されるが、これらの環境では発現されない抗原にたいしては誘発されない。正常な個人も、いくつかの自己抗原を認識することのできる成熟B細胞を持つが、これらのB細胞は活性化されないことが明らかになっている。どうやら、適当なTヘルパー細胞TH) が欠けているらしい。
抗原を持つ腫瘍について、免疫応答が何故腫瘍を破壊できないのかという理由に関して、少なくとも四つの理論がある。1)その腫瘍を認識できるB細胞、または、細胞傷害性Tリンパ球(CTL) が存在しない、2)その腫瘍を認識できるTH細胞が存在しない、3)TH細胞よりも前にTS細胞が活性化され、それが、B細胞とCTLの活性化を阻止する、および、4)腫瘍増殖を調節する遺伝子が、誕生時から存在し、そのために、ホストは、この遺伝子産物を「外来性」のものとして取扱わない。
既存の解決策
ある腫瘍において、腫瘍抗原が十分な選択性を持って出現する場合(すなわち、腫瘍抗原が、正常細胞集団においては存在しないか、ごく少量しか存在しない場合)その腫瘍抗原は、免疫療法剤の標的の役を果たすだろうと考えられる。
このような選択的腫瘍抗原の多くは、天然においては、炭水化物か糖蛋白(ムチン)である。例えば、多くの腺癌細胞は、大量にムチンを発現し、分泌する。これは、一部は、癌細胞における解糖反応の欠陥による。癌細胞表面のムチンによって、免疫エフェクター機構は、腫瘍細胞表面に達し、それによってその腫瘍抗原に接しようとしても、その接触を物理的に阻止される。すなわち、ホストは、この腫瘍抗原を認識できない。
多くの疾患においては、病原体ないし毒素(例えば、インフルエンザ・ポリオ・狂犬病ウィルス、肺炎球菌細菌、ジフテリア・破傷風毒素)を有効に標的とし、体液性免疫機構によって、細胞外液において、抗体によって中和化することができる。すなわち、抗体は、その病原体ないし毒素と結合し、それによってそれらを非活性化ないし破壊するからである。この場合、体液性免疫応答、特にTH2 細胞を介する反応を惹起する製剤によるワクチン処置が、一般に予防目的には十分である。一方、多くの細胞内感染においては、また、ウィルス感染からの回復や、癌細胞のみにたいする選択的殺作用においては、生体を、侵入者から保護するのは、細胞介在性免疫である。
三種の免疫療法が現在研究中である。すなわち、 1) 受動性免疫療法、 2)抗原による能動性免疫療法、および、 3)抗体による能動性免疫療法である。残念ながら、その各々が部分的な成果しか収めていない。しかしながら、免疫療法は、ある段階の癌にたいしては、ピリミジンやプリン類似体のような抗増殖性化学療法剤よりも好まれる。これら類似体は、細胞成長サイクル時に使用される構成単位としてのピリミジン類、プリン類と競合する。この類似体は、成長が非周期的であったり、休止している場合には無効である。微少転移性細胞の大部分は、非周期性であるか、休止しているようである。免疫療法の細胞傷害作用は、細胞サイクルとは無関係に作用する。
「受動性免疫療法」では、患者に抗体を投与する。抗体療法は、従来から受動的と特徴づけられている。なぜなら、患者が、その抗体の生産者ではないからである。しかしながら、受動性という用語は誤解を与える。というのは、患者は、抗イディオタイプ二次抗体を生成し、これが、もとの抗原と交差反応する免疫応答チンの形で患者に投与し、それによって防衛的免疫応答を惹起するものである。サイトカインや協働分子を発現する遺伝子を組み込まれ、遺伝学的に修飾された腫瘍細胞ワクチンも従来から、腫瘍特異的免疫応答の不十分を補うために使用されている。
I.(抗体による)受動性免疫療法
腫瘍抗原は、それにたいして抗体が結合することのできる反応部位として働くことができる。腫瘍抗原にたいして、数多くの抗体が喚起・育成されている。
従来のエフェクター法としては、補体依存性細胞溶解法(CDC) 、抗体依存性細胞傷害法(ADCC)、および、食作用法(標的細胞を、免疫グロブリンでコートした後、網状内皮系によって除去)が挙げられる。
CDC 、ADCC、および、オプソニゼーションを導入するには、比較的多量の抗体が必要とされる。さらに、ヒト抗体の供給源が、目的の腫瘍に既に罹患した人々に限られる。収集すべき抗体の生産を惹起するという目的のためだけに、ある病気を個人に導入するのは非倫理的である。これらの困難のあるために、ヒト以外の供給源由来の抗体、例えば、マウス抗体が従来から用いられている。
マウス抗体のヒトにたいする投与は、「外来性」のものと認識されるために、一次抗体分子の、マウス特異的、および、マウス異性体特異的部分に向けられた、ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応を引き起こす。この免疫応答は、マウスと、ヒトの免疫グロブリンの定常域の一次アミノ酸配列に相違があることから生ずる。HAMAのIgG・IgMサブクラスのいずれも検出されている。IgG反応は、典型的IgM反応よりも、遅く現れ、かつ、長く持続し、また、プラズマファレーゼによる除去にたいする抵抗性も高い。
しかしながら、臨床的には、HAMAは、1)その後のマウス抗体の投与にたいして、アナフィラキシー反応、または、血清病様反応を招く危険率を増加させる、2)その後にマウス抗体を注入した場合、それらの抗体と複合体を形成し、体外への排泄を促し、腫瘍局在性を低下させ、肝臓・膵臓への取り込みを強化し、および・または、腫瘍を治療薬剤の側から見えないようにし、それによって、その後に注入されたマウス抗体の免疫療法効果を妨げる可能性がある、かつ、3)免疫診断剤と干渉し、それによって、問題の疾病の進行と治療経過の監視を妨げる可能性がある。
各種臨床試験が、固体腫瘍にたいする治療薬として抗体を用いている。しかしこれまでのところ一貫した反応パターンや、改善生存率は報告されていない。これと対照的に、抗体療法は、B細胞ないしT細胞リンパ腫や白血病において、完全で長期な寛解をより高頻度にもたらしている。固体腫瘍において不成功である理由の説明としては、抗原としての非均一性、また、注入抗体にたいしてばかりでなく、補体やエフェクター細胞のような二次的エフェクター分子にたいしても、上皮細胞の接触性が十分でないこと、が挙げられる。
受動性免疫の一例として、マウス・モノクロナール抗体17-1A(異性体IgG2a)を、デュークのC段階の結腸・直腸癌患者において、極小の残留疾患を標的するのに用いた。これらの患者は、治療手術を受け、明白な残留腫瘍を持たなかった。この処置は生存率を改善し、再発率を低下させはしたが、その成績は、化学療法のみ、または、放射線と併用した化学療法による処置と比べると好ましいものではなかった。
17-1A にたいする標的抗原は、膜から放出されるのではなく、従って、血清の中には検出されないというのは注意する必要がある。リーントミュラー等著(Rienthmueller et al.)「デュークC段階結腸・直腸癌手術除去における補助治療としてのモノクロナール抗体投与に関するランダム化治験」(“Randomized trialof monoclonal antibody for adjuvant therapy of resected Dukes' C colorectal carcinoma," ランセット(Lancet), 343:1177-1143(1994) を参照されたい。
II. 腫瘍抗原による能動的・特異的免疫療法 ("ASI")
ASI は、適当なやり方で発現された、ある定義された抗原による免疫化であって、それによって、その抗原にたいして特異的な免疫応答を能動的に惹起する、そのような免疫化と定義される。癌との関連で言えば、ASI は、体液的にも、細胞介在的にも、ヒト免疫応答を模倣し、そうすることによって、その腫瘍抗原を攻撃しようとする。
体液性反応と、CDC 、ADCC、および、食作用による従来のエフェクター法(標的細胞を免疫グロブリンでコートした後に、網状内皮系によって除去する)は上に論じた。
過去5年の間に、Tリンパ球の特異的抗原受容体によって認識される分子複合体の特徴化についてはかなりの進歩が見られた。クラスI主要組織適合性因子(“MHC") 分子の結晶構造は、結合に関わる可能性の高いペプチド結合溝ばかりでなく、この溝の中に実際にペプチドの存在することをも明らかにした。食作用後、細胞内で合成された蛋白は見かけ上細胞酵素によってペプチドに分解され、小胞体に輸送され、そこで、クラスIMHC分子の重鎖と結合する。このようなペプチド-MHC複合体はβ2-マイクログロブリンの付加によって安定化され、細胞表面に輸送され、そこで CTLの受容体によって認識される。理論的には、抗原性ペプチドは、腫瘍細胞によって特異的に発現されるいずれの細胞内蛋白由来のものであってもよい。例えば、ファン・デル・ブラッゲン(Van Der Bruggen, Pierre) 著「腫瘍拒絶抗原を求める長き探求」(The long-standing quest for tumor rejection antigens)臨床免疫学・免疫病理学雑誌(Clinical Immunology and Immunepathology), 71(3):248-252(1994)を参照されたい。
III.抗体による能動性特異的免疫療法
もしもある動物から得たある特異的抗体を、適当な第二の動物に免疫源として注入したならば、この注入された抗体は、免疫応答を惹起する(例えば、この注入された抗体にたいして抗体、すなわち、「抗抗体」を産生させる)。このような抗抗体のいくつかは、この注入された抗体の可変域のユニークなエピトープ(イディオトープ)にたいして特異的である。これらのエピトープはまとめて第一次抗体のイディオトープと呼ばれ、これらのエピトープと結合する二次(抗)抗体は、抗イディオタイプ抗体と呼ばれる。抗体の可変部分に発現するすべてのイディオトープの総計を、その抗体のイディオタイプと言う。イディオタイプは、血清学的に定義される。なぜなら、抗原のエピトープに結合する一次抗体の注入は、抗イディオタイプ抗体の産生を惹起する可能性があるからである。一次抗体と、抗イディオタイプ抗体の間の結合が、一次抗体に向けられる抗原によって抑制される場合、このイディオタイプは、結合部位性、または、エピトープ関連性である。他の二次抗体は、注入された抗体の定常ドメインのエピトープにたいして特異的であり、従って、抗異性体抗体と呼ばれる。ここで用いた抗イディオタイプ、抗イディオタイプ抗体、エピトープ、または、エピトープ性は、当技術分野においてよく認められた意味合いにおいて使用されている。
「ネットワーク」説は、免疫応答において最初に産生された抗体が、その個体が寛容を示さない、新しいユニークなエピトープを持つとし、これが、この一次抗体(Ab1) のイディオタイプにたいして向けられた第二次抗体(Ab2) の産生を招くとする。この二次抗体が同様にイディオタイプを持ち、それが、三次抗体(Ab3)の産生を招き、等などと続く。
Ab1->Ab2->Ab3
ネットワーク説はさらにこのような二次抗体(Ab2) 内のいくつかは、最初の抗原の相補体の相補体となる結合部位を持ち、従って、最初の抗原の「内部像」を再現すると言う。換言すれば、抗イディオタイプ抗体は、代理抗原となる可能性がある。
癌免疫療法実現のための従来の方法は、抗腫瘍抗体、すなわち、腫瘍細胞におけるエピトープを認識する抗体を患者に投与することであった。しかしながら、「ネットワーク」説を敷延すると、研究者は、外来的に生成された抗イディオタイプ抗体、すなわち、抗腫瘍抗体のイディオタイプにたいして喚起される抗体の直接投与を示唆される。このような方法が、米国特許第5,053,224 号(コプロウスキー等、Koprowski et al.)に開示されている。コプロウスキーは、患者の体は、この抗イディオタイプ抗体を認識するばかりでなく、最初の腫瘍エピトープをも認識する抗抗体を産生すると予想している。
抗イディオタイプ抗体には四つの大きな型がある。アルファ型は、一次抗体のパラトープから離れたエピトープに結合する。ベータ型は、そのパラトープが常に最初の抗原のエピトープを模倣するものである。ガンマ型は、一次抗体のパラトープの十分近くに結合し、その抗原結合性を干渉するものである。イプシロン型は、定常ドメイン抗原構造を模倣するイディオタイプ決定因子を認識する。さらに、抗異性体抗体は、重鎖特異的、または、軽鎖特異的である可能性がある。
このネットワーク説から、二つの治療応用が導かれる。すなわち、1)ホストによるAb2 生成を惹起する抗原となるAb1 の投与、および、2)機能的に腫瘍抗原を模倣するAb2 の投与である。
モノクロナール抗体OC125 のF(Ab')2 の静注反復投与による卵巣癌患者の能動的免疫化は、患者の内の何人かに、著明な抗イディオタイプ抗体(Ab2) 反応を惹起したことが報告されている。予備試験の成績から、Ab2 の血清高濃度は、Ab2が低度ないしまったく血清中に検出されなかったものに比べて、優れた生存率を呈したことが明らかにされた。ワーグナー等(Wagner et al.) 著、「腫瘍関連性抗原にたいする抗イディオタイプ抗体の惹起後における卵巣癌患者の臨床経過」(“Clinical course of patients with ovarian carcinoma after induction ofanti-idotypic antibodies against a tumor-associated antigen,” 腫瘍の診断と治療誌(Tumor Diagnostics & Therapie),11:1-4(1991) を参照されたい。
ヒト抗イディオタイプ・モノクロナール抗体(Ab2) は、動物において抗腫瘍細胞性反応を惹起することが示され、また、転移性結腸・直腸癌患者の生存を延引するようである。デュラン等(Durrant, L.G. et al.)著、「ヒト・モノクロナール抗イディオタイプ抗体105AD7によって免疫化された患者における、強化された細胞介在性殺作用」("Enhanced cell-mediated tumor killing in patients with human monoclonal anti-idiopathic antibody 105AD7")、癌研究(Cancer Research),54:4837-4843(1994)を参照されたい。癌免疫療法のために抗イディオタイプ抗体(Ab2) を使用する方法は、バタチャリャ−チャッテリイェ等(Bhattacharya-Chatterje, et al.)によって総覧されている(Immunol.Immunother., 38:75-82(1994)) 。
ワクチンとは、特異的免疫を惹起することによって、病態の予防、治療、ないし、寛解を実現するために、動物ないしヒトに投与される製剤である。予防性ワクチンは、将来の感染にたいしてさらに有効な防衛ができるように、免疫系をあらかじめ準備させる、または、熟成させる意図を持って、健康な個人に投与される。感染、または、感染機会の際に、ワクチン投与を受けた個人の免疫系は、二次免疫応答を喚起でき、従って、その病原体をより急速に認識・除去できる。治療ワクチンは、病気にかかった個人にたいして、それまで自ら不十分な免疫応答しか呈しなかった、または、まったく反応することのできなかった免疫系を刺激する、または、修飾する意図をもって、投与される。予防または治療ワクチンを設計する際には、第一線の防衛を与える、すなわち、急速な回復を実現する、ことにおいて最も有効な免疫応答の型を惹起することのできる製剤を選ぶことが重要である。
免疫応答の起動における第一段階は、腫瘍抗原を外来抗原とするホストの認識を生起することである。例えば、CA125 の発現は、卵巣癌と関連しているけれども、患者の免疫系は、これを外来性のものと認識することができない。本発明は、可溶性抗原を、本発明の組成物と接触させ、その組成物中の結合剤と、その可溶性抗原とを反応させることを含む。本発明によれば、抗原を結合剤と結合させることによって、ホストのその抗原にたいする認識が生成される。次に、ホストの認識が生成されることによって、その抗原にたいする免疫応答が惹起される。
本発明は、多数エピトープ含有性腫瘍関連抗原の、ある特定のエピトープにたいして結合剤を結合させることによって、その抗原を変化させ、それによって、ホストの免疫系が、以前には認識しなかったこの抗原を認識するようになり、その抗原にたいして免疫応答を喚起できるようになる、という発見を含む。本発明の一つの実施態様においては、結合剤は、ある可溶性腫瘍関連抗原に結合し、それによってホストの免疫系に、その抗原にたいする免疫応答を生起せしめる。例えば、本発明を例示するものとしてB43.13がある。これは、卵巣癌抗原CA125 にたいして、43.13 エピトープで特異的に結合する、抗体結合剤である。B43.13が一旦CA125 抗原に結合すると、抗原の構造が変化するか、または、抗原が別様に処理、および・または、輸送されるか、そのいずれかの影響を受け、それによって、その抗原は、ホストの免疫系に認識されるようになる。他の実施例としては、ただしそれらに限局されるものではないが、次のものが挙げられる.すなわち、消化管癌関連性の消化管抗原であるCA19.9に特異的に結合する結合剤、および、乳癌関連性抗原であるCA15.3に特異的に結合する結合剤である。
本発明においては、結合剤(単数または複数)と、そのような結合剤を含む組成物が与えられるが、その組成物において、結合剤は、ある特定の可溶性抗原に選択的に結合する、また、その結合剤は、その抗原における別のエピトープの発現を招き、かつここに、上記別のエピトープは、免疫応答を招来し、その反応が、その抗原を生成する細胞を抑制ないし殺害する、ことを特徴とする。
本発明の、ある好ましい実施態様においては、特定の腫瘍関連性抗原に特異的に結合する特定の抗体を含む組成物が、腫瘍によって生成される可溶性抗原に結合するのに用いられる。この可溶性抗原への結合が一旦実現されたならば、免疫系は、この抗原を「外来性」のものとして認識し、この抗原にたいして、または、この抗原に結合された結合剤にたいして、免疫応答を喚起する。免疫源性のものに変えることのできる抗原は、免疫応答を誘発ないし活性化し、それによって治療効果、そしておそらく予防効果を上げることのできる潜在的可能性を持つ。
一部、多数エピトープ含有性腫瘍関連抗原を持つことによって特徴づけられる疾患にたいしては、本発明は、可溶性抗原を、その多数エピトープ含有性抗原における単一エピトープに特異的に結合する結合剤に接触させることを含む。
この結合剤は、臨床的に重要ないずれの抗原に向けられてもよいが、できれば、腫瘍関連性抗原(TAA) にたいして向けられるのが好ましい。TAA の場合には、目的の癌としては、次のものが挙げられるが、ただし、それらに限定されるものではない。すなわち、肺、結腸、直腸、乳房、卵巣、前立腺、頭部、頚部、骨、免疫系、または、その他のいずれの解剖的所在。対象は、ヒト、または、動物であってもよい。例示的腫瘍、および、腫瘍マーカーが、米国特許第5,075,218 号に掲げられている。
本発明の方法は、可溶性、多数エピトープ含有性TAA を生成するいずれの癌をも含む。ここで用いる可溶性とは、体液、すなわち、血液、血清、腹水、唾液などにおいて検出可能ないずれの抗原をも表わすのに用いられる。本発明においては、好ましい対象癌は次のものである。すなわち、表面抗原や細胞内抗原ではなく、放出される可溶性腫瘍抗原、例えば、血流中に放出される腫瘍抗原で、多数エピトープ含有性腫瘍関連抗原で、できれば、炭水化物ないし糖蛋白(例えば、ムチン)性のものを呈示し、かつ、患者の体液において、健康な対照において通常見られる濃度以上の濃度で見出され、そのような高濃度は、患者の予後が暗い
ことを示すものであるが、それでいてまだ、免疫応答を起動するに至っていない、そのような癌である。当業者ならば周知のように、TAA の濃度が、その病気の再発を予告する程度のもの以上であるか否かを判断するための一つの方法は、患者の濃度を、健康な対照のものと比較することである。もしもTAA の濃度が健康な対照のものよりも高いならば、その患者の濃度は、その疾患における暗い予後を予告することになる。
ここで用いる結合剤(BA)とは、免疫ペアの片方、例えば、腫瘍抗原上に発現される単一エピトープに結合することのできる結合の片割れを指す。例示的結合剤としては次のものが挙げられるが、ただし、これらに限定されるものではない。すなわち、モノクロナール抗体(“MAb”)、キメラ型モノクロナール抗体(“C-MAb”)、遺伝子工学的に調製されたモノクロナール抗体(“G-MAb”)、モノクロナール抗体断片(“F(Ab)2”、“F(Ab)”および“Dab”を含むが、ただしそれらに限定されない)、モノクロナール抗体の反応部分を表わす単一鎖(SC-MAb)、腫瘍結合性ペプチド、エフェクター機能を仲介する分子に結合された上記の内のいずれのかのもの、および、上記の内のいずれかのものの模倣物である。抗体は、ポリクロナール抗体、または、モノクロナール抗体であってもよい。対象がヒト対象である場合には、抗体は、抗原にたいして有効な免疫応答を喚起することのできる動物、例えば、マウス、ラット、山羊、ウサギ、その他の適当な実験動物を免疫化することによって獲得することができる。モノクロナール抗体の場合には、免疫化された動物の抗体産生細胞を、「不滅の」、または、「不滅化された」ヒトまたは動物細胞と融合させ、それによって、その抗体を生成するハイブリドーマを得ることができる。もしも望むならば、免疫グロブリン鎖の1個以上をコードする遺伝子をクローンし、それによってその抗体を、様々なホスト細胞で生成させてもよいし、また、望むなら、その遺伝子に突然変異を起させ、それによってその配列を変え、それによってその生成される抗体の免疫特性を変えてもよい。断片、すなわち、結合剤の断片であるが、これは、通常の方法、例えば、ペプシン、パパインなどによる結合剤の蛋白分解酵素による消化によって、または、組み換えDNA 法によって入手できる。DNA 法の場合、所望の断片をコードするDNA をクローンし、各種のホストにおいて発現させる。前述の実体に、例えば紫外線を放射することによって、同様条件下における多数エピトープ含有抗原にたいする免疫応答仲介するエフェクター機能は必要ではない。
本発明のある実施態様においては、卵巣腫瘍関連抗原にたいする好適な組成物は、CA125 抗原に結合する結合剤を含む。本発明のまた別の実施態様においては、消化器癌にたいする好適な組成物は、CA19.9抗原に結合する結合剤を含む。本発明のさらにまた別の実施態様では、乳癌にたいする好適な組成物は、CA15.3抗原に結合する結合剤を含む。各種結合剤、抗体、抗原、および、抗体の調製、単離、使用の方法が米国特許第 4,471,057号(コプロウスキー(Koprowsky))および米国特許第5,075,218 号(ジェット等(Jette, et al.) に記載されている。このいずれも引用することによって本明細書に含めることとする。さらに、これら抗体の多くのものが市販されており、Centocor, Abbot Laboratories, Commissariata L'Energie Atomique, Hoffman-LaRoche, Inc., Sorin Biomedica, および、FujiRebio から入手可能である。
本発明による結合剤を含むいずれの組成物も、体内性免疫応答惹起に使用することができる。その組成物は、1個以上のアジュバント、1個以上の搬送剤、1個以上の賦形剤、1個以上の安定化剤、1個以上の撮像試薬及び/又は生理学的に受容可能な生食液を含んでいてよい。一般に、アジュバントとは、さらに著明な免疫応答を惹起するために免疫化剤と混合される物質である。アジュバントを含まない対照ワクチン処置は、体液性免疫応答を引き起こした。本組成物はさらに、製薬学的に受容可能は搬送剤を含んでいてよい。製薬学的に受容可能な搬送剤としては次のものが挙げられるが、ただしこれらに限定されるものではない。すなわち、生食液、無菌水、りん酸緩衝生食液など。その他のバッファー液、分散剤、および、患者への搬送に好適な非活性の、無毒物質を、本発明の組成物に含めてもよい。その組成物は、投与に好適な溶液であってもよく、その場合通常無菌で、好ましくない粒状物質を含まない。組成物は、通常の滅菌法によって滅菌してもよい。
本発明の方法においては、前記結合剤は、腫瘍関連抗原と接触しなければならないが、その場合、免疫学的に好適ないずれのルートから患者に投与してもよい。例えば、本結合剤を、静脈内、皮下、腹腔内、皮内、筋内、または、リンパ管内ルートを通じて、溶液、錠剤、または、噴霧の形で、患者の体内に導入してよい。リポゾーム、生分解性微少球、ミセルなども、搬送剤、ビーイクル、または、搬送系として使用してもよい。さらに、当業者には周知の体外調製法を用いて、患者から患者の血液ないし血清を取り出し、要すれば、その患者の血液中の抗原を精製するのが好ましく、次にその血液ないし血清を、本発明による結合剤を含む組成物と混合し、そして、このように処置された血液ないし血清を患者に戻してもよい。臨床家は、前記様々のルートと関連させて抗イディオタイプ反応と、抗異性体反応とを比較して、もっとも有効な投与ルートを決定することができる。本発明は、この結合剤を患者の体内に導入するにあたって、何の特定の方法に限定されるものではない。
本発明においては、BA−抗原相互作用によって、残余のエピトープは、患者の免疫系に有効に呈示され、次のものを生起する、1)体液性反応であって、ヒト抗腫瘍抗体の産生を招く、この抗体は、注入した抗体によって抑制されるかもしれないし、されないかもしれないが、注入BAにたいして反応性を持つエピトープとは別のエピトープに結合する抗体によっては確実に抑制可能である、および、2)細胞介在性反応であって、抗原特異的細胞傷害性T細胞の産生を招く。
本発明の結合剤は、目的の多数エピトープ含有性腫瘍抗原に結合するが、それによって得られた免疫ペアを、その抗原上の別のエピトープにたいする免疫応答を導くために、または、惹起するために用いることができる。本開示の別の箇所でさらに詳細に論じるように、結合剤と多数エピトープ含有性抗原間の結合は、その抗原の構造を変え、それによって、以前には認識されなかった、その抗原上の別のエピトープを接近可能にすると信じられている。以前に認識されなかったエピトープも、一旦免疫系の因子によって認識されると、免疫系の連鎖反応を引き起こし、それは、全抗原にたいする免疫応答となる。
本発明のある実施態様においては、その体液が、内因性の、可溶性多数エピトープ含有抗原を含む癌患者を、その内因性可溶性抗原の単一エピトープに向けられた体外性結合剤を注入することによって治療する。結合後、抗原は、別様に再構成ないし処理、および・または、搬送され、それによって、その抗原上の別のエピトープを、患者の免疫系に呈示するようにする。呈示によって、患者の免疫系は、体液性、細胞性、または、体液性/細胞性併合反応を喚起・促進し、腫瘍殺作用および・または静止作用をもたらす。本発明成功の証拠は、実施例において、改善された生存倍率として示される。
以下に述べることによって限定をする意図は毛頭ないが、しかし、本発明の方法における作用機構は、本発明に基づく結合剤によって、結合される可溶性抗原の一部にもたらされる構造的変化を含むと考えられる。さらに、抗原に、その抗原上の、ある最初のエピトープに向けた結合剤を結合させることは、その抗原の構造を、第二のエピトープを呈示させる、または、活性化させるほどに変化させると考えられる。患者の免疫系が反応するのは、まさにこの第二のエピトープに対してである。また別の考えとして、結合剤-抗原相互作用は、免疫系にたいして、差別的代謝処理ないし輸送をもたらし、それによって第二のエピトープを活性化させるのかも知れない。
投与用量
本発明の方法においては、結合剤を含む組成物は、特定の腫瘍関連抗原を認識し、結合するのに十分な量投与すればよい。本発明のある好ましい実施態様においては、用量は、TAA にたいする免疫応答を生成ないし惹起するのに十分な量である。結合剤の、免疫学的ないし治療的に有効ないし受容可能な量は、特定の抗原にたいして体内で、または、体外で結合するのに十分な量であって、その抗原にたいして免疫応答を惹起することのできるものである。この反応は、新たに接触可能となったエピトープを持つ、および、呈示する腫瘍細胞を抑制、または、殺害し、それによってその抗原を産生する病気または状態を寛解ないし除去する。この免疫応答は、体液性反応、細胞介在性反応、または、その両方の形を取ることがある。本発明のある好ましい実施態様においては、モノクロナール抗体の用量は、ADCCまたはCDC を惹起するのに必要とされる用量よりも低い。
本組成物における結合剤すなわち活性剤の濃度ないし用量は、きわめて広範囲に広がる可能性がある。例えば、重量にして約0.01%未満から、約15から20%まで広がる可能性がある。前述のように、本組成物は、抗原にたいする免疫応答を刺激するのに十分な量として投与される。この使用に有効な量は、一部は、病気の程度と、患者の免疫系の状態による。一般に、本組成物は、体重1kg当たり、約 0.1μg から約2mg以上の結合剤を、さらに一般的には体重1kg当たり約1μg から約 200μg の結合剤を含む。この濃度は、通常少なくとも 0.5%であるが、特定の投与様式に従って、主に、溶液量、粘度、抗原性などに基づいていずれの量を選択してもよい。
投与は、1回を越える度数であってよいが、できれば長期にわたって3回行なうことことが好ましい。本発明の組成物は、重篤な病状、生命を脅かす、または、生命を脅かす可能性のある状態にある患者に使用されるものであるから、できれば余分量の結合剤を投与するのが好ましい。本組成物の注射のための希釈法を含めた、製剤組成物を投与するための実際の方法・プロトコールは、当業者には熟知の通りであり、あるいは、自ずから明白にされる通りである。これらの方法・プロトコールの内のいくつかは、レミントン(Remington) の、製剤科学“Pharmaceutical Science”), Mack Publishing Co. (1982)に記載されている。
結合剤は、その他の結合剤と併用して投与してもよいし、その他の治療プロトコールないし薬剤、例えば、化学療法剤と併用して投与してもよい。
本発明の結合剤の有効性を、生体内において、または、生体外において監視してもよい。体液性反応は、インビトロ(試験管内)においては、通常の免疫定量法(イムノアッセイ)によって監視することができる。この場合、反応の抗腫瘍活性は、補体仲介性細胞毒性、および・または、抗体依存性細胞毒性(ADCC)定量法によって定量できる。定量の方法論は、周知のところであり、かつ、実験免疫学教科書 (Handbook of Experimental Immunology), 第2巻、Blackwell Scientific Publication, Oxford (1986) に記載されている。その他の定量法を、患者または組織中の抗原濃度の定量のために用いてもよい。細胞介在性免疫は、生体内において、遅延型過敏反応の進行をもって、または、その他の、当業者には既知の、体内ないし試験管内手段を用いて監視することができる。その中には、次のものが含まれるが、ただしそれらに限定されるものではない。すなわち、皮膚試験反応プロトコール、リンパ球刺激定量法、腫瘍細胞にたいする患者リンパ球の毒性を測定するもので、これには、標準的な放射能放出定量によるもの、限界希釈法によるもの、あるいは、標準ELISA 定量法による、IL-2血漿濃度測定によるものがある。
ある単一エピトープにたいする抗体を注入することによって、ある抗原中に存在する多数エピトープにたいする抗体反応を惹起することの実験的証明
卵巣上皮癌の80%以上に発現される癌抗原CA125を、本発明を例証するための実施例として用いる。
CA125 は、各種抗体、その内から特に名を挙げると、例えば、OC125 、M11 、B43.13、B27.1 によって認識される。本発明においては、MAb-B43.13を用いて、CA125 特異的免疫応答を生成した。しかもこの反応は、B27.1 エピトープの認識を含んでいた。方法−病勢の活発な86人の卵巣癌患者について、CA125 にたいする抗体の有無をテストした。患者のいずれも、MAb-B43.13の注入以前にはCA125にたいして抗体を持たなかった。患者に、様々の時間間隔をおいて、MAb-B43.13の2mgを注射した(例えば、患者の幾人かについては第1表を参照されたい)。これらの患者から得た血清について、ヒト抗CA125 抗体の有無を、そのCA125 結合能によって分析した(マヂヤラカン等(R. Madiyalakan et al.))、ハイブリドーマ誌 ("Hybridoma")、14:199-203, 1995)。この抗CA125 抗体をさらに、B43.13エピトープ、または、B27.1 エピトープにたいして、それらに対応する抗体にたいする抑制能によって分類した。この分類法の理論的根拠は、次の事実に基づく。すなわち、これらの患者における抗CA125 抗体は、下記の二つの経路の内のいずれかによって生成されたものだからである。
1)もしもこの抗CA125 抗体が、前述のネットワーク説によって示唆されたようなやり方で生成されるとすると、その経路は、Ab1-Ab2-Ab3 となる。この筋書きに従うと、MAb-B43.13(Ab1) は、MAb-B43.13にたいする抗イディオタイプ(Ab2)を生成し、次に、この抗イディオタイプ抗体が、MAb-B43.13にたいする抗抗イディオタイプを生成することになる(Ab3、または、抗CA125 抗体)。さらに、この経路において生成されたAb3 抗体は、MAb-B43.13に結合し、それによってのみ抑制される。なぜなら、B43.13エピトープが、存在する唯一のエピトープであるから。
2)もしもこの抗CA125 抗体が、本発明によって示唆されたやり方で生成されるとすると、その経路は、Ab1-可溶性抗原-Ab3' となる。この筋書きに従うと、MAb-B43.13(Ab1) は、CA125 血清抗原に結合し、次にこれが抗CA125 抗体(Ab3')を生成することになる。さらに、この経路において生成されたAb3'抗体は、B27.1抗体に結合するから、B27.1 抗体によって抑制される。なぜなら前述のようにCA125 は多数エピトープ含有性であり、B43.13とB27.1 とは互いに別々のものであり、さらに、Ab3'は、抗MAb-B43.13抗体には結合しないからである。
従って、もしも患者が、MAb-B43.13のみによって抑制可能な抗CA125 抗体を含むならば、それは、Ab3 を含むと分類されるし、MAb-B27.1 によって抑制可能なものはAb3'と分類される。
結 果
14名の患者が、MAb-B43.13の注入に応答して、その血清中に抗CA125 抗体を呈した(第1表)。これら14名の患者の内10名はAb3'を持っていたが、その血清中にAb3 抗体を持っていた患者は僅か2名であった。二人の患者はさらにこれら抗体を両方とも持っていた。彼らの血清中におけるAb3 の存在は、これらの抗体が、精製ウサギ抗MAb-B43.13抗体に結合能を持つことからも確認された。抗CA125 抗体を持つが、MAb-B43.13やMAbB27.1によって抑制されず、従って、CA125 にたいする抗体を持つが、その抗体は、B43.13やB27.1 以外のエピトープを認識していることを示唆される、そのような患者が二人(#2と#7)いた。
これらの結果は明らかに、ある単一のエピトープ(B43.13)にたいする抗体を患者に注入すると、全抗原にたいする抗体反応が生成され、その反応において、その抗原に存在する各種エピトープが認識されることを示す。幾人かの患者におけるAb3 の存在は、CA125 において、B43.13エピトープにたいする結合の不十分なために、過剰なB43.13エピトープが存在することを仮定することによって、すなわち、経路Iによるイディオタイプ誘発によって説明されよう。にも拘わらず、反応の主要機構は、経路IIを通じて行なわれるようである。換言すれば、機能的免疫系を持つ患者において、可溶性多数エピトープ含有抗原にたいしてモノクロナール抗体を注入することは、その抗原にたいする抗体を生成するが、その際、この生成された抗体は、異なるエピトープにたいする抗体によって抑制される。
Figure 0004247783
製剤研究においては、血液標本について、MAb-B43.13注入前、および注入後の選ばれた間隔で、CA125 濃度を分析した。注入前に高いCA125 濃度を呈した患者においては、MAb-B43.13注入直後に、循環CA125 濃度に著明な低下が認められた(第2表)。これは明らかに、結合剤は、体内に導入されるや否や、循環CA125 と相互作用を持ち、これを除去することを実証するものである。
Figure 0004247783
さらに、抗体を含む複合体となった抗原は、免疫系に効率的に呈示されるから、さらに優れた抗原特異的体液性、および、細胞性反応を生成する。このことは、実施例3および4の下記の実験で明らかにされる。
Balb/cマウスを、PBS に溶解した10μg のMAb-B43.13のi.v.注入、PBS に溶解した10,000単位のCA125 のi.v.注入、または、PBS に溶解した10μg のMAb-B43.13と10,000単位のCA125 のi.v.注入のいずれかを、3週間に1回、合計3回の注入で免疫化した。B43.13/CA125 の注入比率は、高いCA125 濃度を呈した患者で観察されたものと同様であった。後者は、第2表に示す薬理動態学的データに基づいて求めた。マウス血清で、抗CA125 抗体濃度について分析してみると、抗原・抗体複合体を注入したマウスが最も高い抗体価を示した。これらbalb/cマウスにおける抗イディオタイプ誘発を、第1図にグラフとして示す。この図は、結合剤−抗原相互作用は、結合剤のみ、または、抗原のみに比べて、抗原特異的体液性免疫応答をさらに改善するという観察事実を裏付けるものである。
同様に、結合剤を、抗原と関連させてT細胞にたいして呈示した場合にも、さらによい細胞性免疫応答が観察された。すなわち、マウスの腹腔から単離されたマクロファージを、MAb-B43.13のみ、CA125 のみ、MAb-B43.13-CA125複合体、または、対照のMAb-CA125 で刺激し、CA125 特異的マウスT細胞(CA125を注入したマウスから単離したもの)に呈示した。[3H]−サイミジン取り込みによってT細胞の増殖をモニターすると、最適刺激示数は、抗体・抗原複合体で刺激されたマクロファージの場合に観察された(第2図)。
実施例1の結論は、MAb-B43.13を注入した患者における血清CA125 濃度と、ヒト抗CA125 抗体産生の間の相関を観察することによってさらに裏付けることができる。その所見を第3表に示すが、これは、血清中に結合剤が相互作用を持つ抗原が存在すること、そのような相互作用は、抗原特異的体液性反応を導く、という結論を支持する。
Figure 0004247783
抗体注入の結果として、多数エピトープ含有性抗体反応を誘発するにあたって、血清抗原が関わったのであるが、この役割は、ウサギの実験でさらに確認された。全く血清CA125 を含まないウサギでも、MAb-B43.13を注入されると、B27.1で抑制されない抗CA125 抗体を生成した。これと対照的に、高い血清濃度の抗原CA125 を持つ卵巣癌患者は、MAb-B43.13の注入に応答して、B27.1 によって抑制可能な抗CA125 抗体を産生する。
抗体注入による抗原特異的抗腫瘍反応誘発に関する実験的証明。
ヒト抗CA125 抗体は、抗体依存性細胞性細胞傷害性("ADCC")によって、細胞溶解を引き起こす。注入されたMAb-B43.13は、それ自体、卵巣腫瘍細胞の、ADCCおよび・または補体依存性細胞溶解("CDC") を招くものではないけれども、MAb-B43.13を注入された患者における抗CA125 抗体の産生が腫瘍細胞の溶解を招く(第3図参照)。これは、31クロム放出定量法を用いて、標識した卵巣腫瘍細胞を、エフェクター細胞と、MAb-B43.13を注入した6人の患者の血清と一緒にインキュベートして調べたものである。これは、結合剤の注入は、抗原との相互作用をもたらし、その際、特異的体液性反応が、抗CA125 抗体を導き、これが、ADCCを通じて腫瘍細胞の分解を招来するという結論を支持する。この結果は明らかに、抗体注入後に抗原特異的抗腫瘍反応を生成することを立証するものである。
MAb-B43.13を注入した患者におけるCA125 特異的細胞傷害性Tリンパ球の産生。
CA125 を含む癌患者にたいして同様に結合剤を注入すると、抗原特異的 CTLの産生を導く。MAb-B43.13を注入した8名の患者から得た抹消血単核球(PBMC)について、クロム放出定量法を用いて、CA125 陽性、または、CA125 陰性卵巣腫瘍細胞にたいする細胞毒性の有無を調べた。結果を第4表に示す。細胞分解の特異性は、MAb-B43.13の、そのような分解にたいする抑制能力から、また、CA125 陰性腫瘍細胞にたいする殺作用の欠除から確認された。MAb-B43.13の投与を受けた8名の患者の内、4名の患者が(#5から#8まで)、その血液中にCA125 特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL) を持つと判断された。CA125 特異的CTL の産生は、患者における卵巣腫瘍細胞を殺すようである。
Figure 0004247783
抗CA125 抗体介在性ADCC機構、または、CA125 特異的CLT による腫瘍殺作用は、MAb-B43.13を注入された患者の生存率の増加に導く。従来から血清CA125 が高濃度であることは、予後の暗さを示す表示とされているけれども、そのような患者において抗CA125 抗体の注入と結びつけられれば、その高濃度も好結果をもたらすかも知れない。例えば、CA125 濃度が 100単位/ml を越える場合、CA125 にたいする免疫応答は20%を越えて増加し、それが次にそれら患者の延命率中央値を、39.1ヶ月から54.5ヶ月に増加させる(第5表)。従って、高濃度の多数エピトープ含有可溶性抗原を持つ患者にたいして結合剤を注入すると、抗原特異的体液性および細胞性反応を招き、それが次に腫瘍殺作用を招き、その後に生存率の改善を招くという結果になる。
Figure 0004247783
転移性疾患を持つ、ある膵臓癌患者にたいして、抗CA19.9抗体を含む組成物を反復注入した。この患者は、他の治療は受けなかったが、最初の診断後22ヶ月生存した(外科手術と注入の後19ヶ月)。これは、最初の診断後6ヶ月の生存とされる、現在の生存期間推定値と対照的である。
当業者ならば、投与用量は、様々な状況によって、大きく変わることがあることを了解している。下記は、予備的な用量指針である。
2mg用量のMAb-B43.13を最高10回まで注入された 100名を越える患者について、回顧的な分析を行なったところ、これらの患者の内の幾人かについて、a)予想外に長い生存時間で特徴づけられる、意外な病気経過が見られること、および、b)重大な傷害性反応や毒性が全く見られないこと、が明らかになった。
MAb-B43.13の体内における作用機構を理解し、評価するために免疫学的研究を行なった。これらの研究から、2mg用量のMAb-B43.13を注入された患者において抗イディオタイプ誘発の起こる程度は、注入回数や、病気の臨床段階とは無関係であることが明らかになった。しかしながら、抗イディオタイプ誘発は、患者の血清中に存在する循環CA125 の濃度には依存する。さらに実験を続けたところ、相当の血清CA125 を持つ患者にMAb-B43.13を注入すると、抗原・抗体複合体の形成を招き、さらに抗原エピトープの呈示と、その腫瘍にたいする、抗原特異的体液性・細胞性反応を生ずることが証明された。
これらの研究から、有効用量としては、可能な循環 CA125抗原すべてを、免疫系に好適に輸送・呈示するのに十分な量の抗体しか必要でないことが明らかになった。インビトロ(試験管内)実験によって、1ngのMAb-B43.13は、10単位のCA125 に結合することが示された。体重1kg当たり40mlの血漿を仮定すると、60kgの患者に2mgのMAb-B43.13を注入することによって、血清中のCA125 の約8,333U/ml が結合され得る。今日までに調べた卵巣癌患者の全てにおいて、その血清中のCA125 は、8,333U/ml よりもはるかに低かったことからすると、2mgのMAb-B43.13の注入は、必要な免疫応答を誘発するには十分以上ということになる。さらに、病気を免疫シンチグラフィー的に確認するために、放射線標識したMAB-B43.13を与えた患者において、画像の結果は、血清CA125 は高いにも拘わらず見事なものであり、腫瘍による特異的取り込みにたいして過剰なMAB-B43.13の存在することを示していた。
さらに、選ばれた間隔で多数回注入を行なうことは、患者にたいして最適効果をもたらすようである。それは、CA125 が、病気の全経過を通じて生産されているからである。
最後に、回顧的な分析から、2mg用量は、治療効果を持つらしいこと、患者(>100)のいずれも何ら重大な副作用や、傷害性反応を示さないこと、が明らかになった。もしも全HAMA反応が抗イディオタイプ誘発を示すものであるとすると、2mg用量は、所期の治療効果をもたらすのに十分なほど有意に高濃度の抗イディオタイプ抗体を産生する。選ばれた間隔で2mgのMAb-B43.13を多数回注入することは、異性体性HAMA誘発性毒性を招くことなく、抗イディオタイプ抗体を、好ましい治療濃度に維持するようである。
従って、MAb-B43.13の有効用量、すなわち、治療的に受容可能な量の範囲は、2mgを含むが、ただしこれに限定されない。
本発明による結合剤を含む組成物は、本発明の結合剤の内の少なくとも一つを、その免疫源的ないし治療的量を含む組成物において特に有効となる。免疫源的ないし治療的量とは、ホストの体液性、細胞性、または、体液・細胞併合性の免疫反応を刺激する量である。ホスト免疫反応は、腫瘍関連性抗原上において、結合剤の結合するエピトープとは別のエピトープにたいする増加活性を含む。本発明の組成物は、悪性腫瘍の発達の危険性のある対象者にたいして、または、悪性腫瘍の診断を与えた対象者にたいして、抗腫瘍ワクチンとして投与される。これらの組成物は、免疫反応を惹起する製剤組成物を調製するのに使用してもよい。
本発明の組成物によってマウスを免疫化した後に得られる結果が、その他の組成物と比較したときに優れることを示す。 本発明の組成物によるマクロファージ刺激作用が、その他の組成物と比較したときに優れることを示す。 本発明の組成物を投与することによって招来した腫瘍細胞溶解を示す。

Claims (27)

  1. 抗体および多数エピトープ生体内腫瘍関連性抗原の複合体を含む治療用組成物であって、該抗体は抗原上の第1のエピトープに特異的で、該抗原は有効なホストの免疫応答を惹起せず、該抗体は抗原上の第1のエピトープに特異的に結合して抗体/抗原ペアを形成し、それによって有効なホストの免疫応答を抗原上の第2のエピトープに対して惹起する治療用組成物。
  2. 抗体ホストの体重1kg当たり0.1μg〜200μgの量で該組成物中に存在する請求項1に記載の治療用組成物。
  3. ホスト免疫応答が細胞性免疫応答および体液性免疫応答から成ることを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の治療用組成物。
  4. ホスト免疫応答が細胞性免疫応答から成ることを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の治療用組成物。
  5. ホスト免疫応答が体液性免疫応答から成ることを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の治療用組成物。
  6. 多数エピトープ抗原が可溶性抗原であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の治療用組成物。
  7. 可溶性抗原がヒトの癌と関連していることを特徴とする、請求項6に記載の治療用組成物。
  8. 抗原がムチンである、請求項6に記載の治療用組成物。
  9. 抗体が異種抗体であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の治療用組成物。
  10. 抗体がマウスのモノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項9に記載の治療用組成物。
  11. 抗体がホスト中にイソタイプHAMA誘発性細胞毒性を誘起しないことを特徴とする、請求項10に記載の治療用組成物。
  12. 抗体がB43.13であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の治療用組成物。
  13. 抗体が予め放射線に曝されていることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の治療用組成物。
  14. 抗体が予め紫外放射線に曝されていることを特徴とする、請求項13に記載の治療用組成物。
  15. 抗原がCA125であることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれかに記載の治療用組成物。
  16. ホスト血清中のCA125のレベルが100U/mlより高いことを特徴とする、請求項15に記載の治療用組成物。
  17. 抗体がホストの体重1kg当たり0.1μg〜2mgの量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項1および3乃至16のいずれかに記載の治療用組成物。
  18. 抗体がホストの体重1kg当たり1μg〜200μgの量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項17に記載の治療用組成物。
  19. さらに1種類以上のアジュバント、1種類以上の搬送剤、1種類以上の賦形剤、1種類以上の安定化剤、1種類以上の撮影試薬、1種類以上の医薬的に許容される搬送剤および/もしくは生理学的に受容される食塩水を含むことを特徴とする、請求項1乃至18のいずれかに記載の治療用組成物。
  20. 抗体が還元されていないことを特徴とする、請求項1乃至19のいずれかに記載の治療用組成物。
  21. 抗体が放射線標識されていないことを特徴とする、請求項1乃至20のいずれかに記載の治療用組成物。
  22. さらに化学療法剤を含むことを特徴とする、請求項1乃至21のいずれかに記載の治療用組成物。
  23. 癌の治療のための薬物の製造における、請求項1乃至22のいずれかに記載の治療用組成物の使用。
  24. 抗体がモノクロナール抗体、キメラ型モノクロナール抗体、遺伝子工学的に調製されたモノクロナール抗体、F(Ab) 2 、F(Ab') 2 、F(Ab)、Dab、もしくはモノクロナール抗体の反応部分を表わす単一鎖を含む、請求項1乃至22のいずれかに記載の治療用組成物。
  25. 抗体がADCCまたはCDCを惹起しない、請求項1および3乃至22のいずれかに記載の治療用組成物。
  26. 抗体がそれ自体ADCCまたはCDCを惹起しない、請求項25に記載の治療用組成物。
  27. 抗体の用量が、ADCCまたはCDCを惹起するのに必要とされる用量よりも低い、請求項25に記載の治療用組成物。
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