JP4247345B2 - 歯科用根管治療器具の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、根管の治療を行なうために先細テーパ状の作業部を有する歯科用根管治療器具を製造するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯科治療では、石灰化した根管壁の表面を切削すると共に切削屑や根管に充満した内容物を排除することで、根管壁の新たな面を露出させて根管を形成することが行なわれる。この根管を形成するための器具として、太さに応じた複数のサイズが設定されたファイルやリーマ等を含む歯科用根管治療器具が提供されている。
【0003】
例えば、ファイルは、比較的に小さいピッチを持った螺旋状に形成された作業部を有しており、主として押し引き操作されて根管壁を切削すると共に切削屑や内容物を排除する機能を有するものである。またリーマは比較的に大きいピッチを持った螺旋状に形成された作業部を有しており、主として回転操作されて根管壁を切削すると共に切削屑や内容物を排除する機能を有するものである。
【0004】
根管は根尖に向かって次第に細くなりつつ湾曲する形状を有しており、この湾曲形状は個人差が大きいため、歯科用根管治療器具の作業部は先細テーパ状に形成されると共に先端径の寸法に応じた複数のサイズが設定されている。そして根管治療を行う際には、押し引き操作、或いは回転操作に伴って切削深さが一定の深さに達する(切削径が大きくなる)都度、歯科用根管治療器具をサイズの大きいものに交換して治療を進行させ、切削径が目的の大きさに達したとき根管治療が終了する。
【0005】
上記ファイルやリーマを製造する方法として、予め断面形状を三角形又は四角形に形成した柱状体を刃先部分を押し潰しながらねじることで螺旋状の加工を行う技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術では、長さ方向の形状(径とテーパ)を押し潰されて小さくなる分だけ大きく研削した柱状体を形成しておき、この柱状体を成形型に挿通してねじることによって、目的のファイル,リーマを製造している。
【0006】
また先細テーパ状の作業部の径を測定する装置として、先端に直線状の接触子を設けた一対の線状接触子を対峙させると共に付勢部材によって互いに密接させる方向に付勢して構成され、この線状接触子の間に直交方向に軸状器具を割り込ませて測定する技術がある(例えば特許文献2参照)。この技術では、螺旋状に形成された刃により外形形状が波状であるにも関わらず、正確に径を測定することが出来る。
【0007】
【特許文献1】
特公昭61−53059号公報
【特許文献2】
特公平05−53361号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
先細テーパ状の歯科用根管治療器具を製造する場合、ねじり加工にかける以前の柱状体は、ねじり加工に伴う角度の変化を加味したテーパと、目的のサイズに対応した太さを持って形成されている。そしてねじり加工を施した後、先端から所定寸法離隔した複数の位置の径を測定することで、テーパと先端部分の径が規格に適応しているか否かを判定している。
【0009】
例えば、ISO3630−1983(E)にはKファイルの規格が記載されているが、この規格では作業部のテーパは2/100に設定されている。また先端部分の径は0.10mm〜0.60mmの間では0.05mmピッチ、0.60mm〜1.40mmの間では1.0mmピッチで設定されており、各規格径毎に±0.02mmの公差が設定されている。更に、作業部の長さは最低値が16mmとして設定されている。
【0010】
上記の如くISO規格では作業部の先端部分の径の公差は±0.02mmである。しかし0.60mm以下のサイズが0.05mmピッチで設定されているため、隣接するサイズの歯科用根管治療器具が互いに公差範囲の上下の限界にある場合、サイズが異なるにも関わらず寸法差は0.01mmでしかなくなり、根管を治療する際の有意性が阻害される。このため、歯科医師からは、製品の寸法精度を向上させること、公差の範囲は大きくとも±0.01mm程度であることが要求されている。
【0011】
このため、上記要求を満足させるような公差範囲を設定し、設定された公差に対応させて柱状体の精度を向上させている。しかし、精度を向上させるような加工を行うのに伴ってコストが増大し、且つ不良品も増大するという問題が発生する。
【0012】
本発明の目的は、コストを大幅に増大させることなく精度を向上させる歯科用根管治療器具の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る歯科用根管治療器具の製造方法は、先細テーパ状に形成された作業部を有する歯科用根管治療器具を製造する方法であって、先細テーパ状の作業部を加工した後、作業部のテーパ面に沿ってテーパ状に把持する測定具によって作業部の先端から所定距離離隔した位置の径を測定し、測定した径とテーパから先端部分の径を演算し、演算した先端部分の径が目的のサイズの公差範囲に入るのに必要な研削長を演算し、演算した研削長に基づいて先端加工を施して該先端部分を所定の径寸法に仕上げることを特徴とするものである。
【0014】
また他の歯科用根管治療器具の製造方法は、先細テーパ状に形成された作業部を有する歯科用根管治療器具を製造する方法であって、先細テーパ状の作業部を予め設定された長さよりも長く加工して予め設定された長さとの差を再研削可能長とすると共に作業部の先端から所定距離離隔した位置に於ける径の下限値を目的のサイズ毎に設定しておき、先細テーパ状の作業部を加工した後、作業部のテーパ面に沿ってテーパ状に把持する測定具によって作業部の先端から所定距離離隔した位置の径を測定し、前記測定した径の値が、前 記下限値よりも大きいとき、測定した径とテーパから先端からの研削長を演算し、演算した研削長に基づいて先端加工を施して該先端部分を所定の径寸法に仕上げることを特徴とするものである
【0015】
上記歯科用根管治療器具(以下「根管治療器具」という)の製造方法では、目的の根管治療器具の作業部の断面形状に対応した断面と、ねじり加工による角度の変化を見込んだテーパを持った柱状体を形成し、この柱状体をねじり加工して作業部を形成した中間材を作成した後、該作業部の先端から予め設定された複数の位置の径を測定具によって測定することで、測定位置間のテーパを計算することが出来、且つ先端部分の径を演算することが出来る。
【0016】
演算された先端部分の径が予め設定された公差(ISO規格の公差範囲よりも狭い範囲の公差(例えば±0.01mmの範囲の公差))内にあるとき、測定された中間材は良品として認識されて所定の次工程に進行する。また演算された先端部分の径が前記公差から下方に逸脱している場合、先端部分を追加工して径を大きくすることで、目的のサイズの良品とすることが出来る。
【0017】
従って、目的のサイズの公差から逸脱することで、従来は不良品として判定されていた製品を追加工することによって製品とすることが出来、且つ高い精度を持った歯科用治療器具を製造することが出来る。
【0018】
即ち、根管治療器具では、作業部のテーパは同一であり、サイズが異なる場合には作業部の先端部分の径が変化する。従って、作業部のテーパがISO規格の公差範囲にあるという条件を満足していれば、先端部分の径をISO規格のサイズで且つ精密公差範囲の値に加工することで、この径に応じたサイズの根管治療器具として製造することが出来る。
【0019】
特に、ISO規格では作業部は長さが16mm以上と規定されているのみで最大長さを規定しているものではない。このため、作業部の長さを前記値よりも大きくしておくことによって、中間材に於ける先端部分の径が目的のサイズの規格から逸脱している場合であっても、先端部分に研削による追加工を施して該先端部分の径を大きくしてゆくことで、所望の公差範囲にある目的のサイズの製品とすることが出来る。従って、不良品を低減して歩留まりを向上させることが出来、コストを軽減することが出来る。
【0020】
作業部の径を測定するに際し、テーパ状の作業部を構成する刃に対応した山部を結ぶ線(テーパ面)に沿って測定子を設けた測定具を用いることで、ねじり加工された作業部をテーパ面に沿って把持することが可能であり、外形形状が波形の根管治療器具であっても正確な径の測定を行うことが出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、上記根管治療器具の製造方法の好ましい実施形態について図を用いて説明する。図1は根管治療器具の例としてのファイルの構成を説明する図である。図2は作業部の断面形状を説明する図である。図3はファイルを製造する工程を説明する図である。図4はねじり加工が施された作業部の径を測定する際の測定位置を説明する図である。図5は作業部の径を測定する測定子の構造を説明する図である。
【0022】
本発明に係る根管治療器具の製造方法は、目的の根管治療器具の断面形状及びサイズに対応させた径を持った先細テーパ状の作業部を加工し、その後、作業部のテーパ面に沿ってテーパ状に把持する測定具によって、作業部の予め設定された複数の位置の径を測定し、この測定値を利用して先端部分の研削加工を施すことにより先端部分を所定のサイズの公差範囲の径に仕上げることで、根管治療器具を製造するものである。
【0023】
即ち、測定された作業部の径が目的の根管治療器具のサイズの公差範囲から逸脱している場合、この製品は不良品となる。しかし本発明では、先端部分を再加工することによって先端部分の径を大きくし、これにより、目的のサイズで且つ公差範囲にある製品とするものである。このため、不良品を減少させて歩留まりを向上させることが可能となり、コストを削減することが可能となる。
【0024】
先ず、図1,図2により根管治療器具の例としてのファイルの構成について簡単に説明する。図に示すファイルAは、医師が指先に挟んで微妙な感触をたよりに操作して根管壁を切削して成形し、この成形に伴って根管の径が大きくなるのに対応してよりサイズの大きいファイルAと交換しつつ、更に操作して患部を目的の径と形状を持った根管を成形するものである。
【0025】
このため、ファイルAは、サイズが06番(先端部分の径が0.06mm)〜140番(先端部分の径が1.40mm)の範囲で複数のサイズが設定されている。例えば、径が0.10mm以下では、0.02mm間隔でサイズが設定され、0.10mm〜0.60mmでは0.05mm間隔でサイズが設定され、0.60mm〜1.40mmでは0.10mm間隔でサイズが設定されている。
【0026】
また各サイズのファイルAでは、先端部分の径は予め設定された範囲の精密公差が許容されている。前記精密公差はISO規格の公差である±0.02mmよりも狭く、医師からの精度に対する要求を満足し得る値であり、おおよそ±0.01mmの範囲の公差として設定されている。
【0027】
しかし、本発明に係る製造方法は、目的の根管治療器具の径に対する公差範囲が前記値であるか否かを限定するものではなく、ISO規格の公差、或いはより精度の高い公差が設定された根管治療器具に適用することが可能である。
【0028】
上記ファイルAは、シャフト部1と、シャフト部1に連なる作業部2とによって構成されており、作業部2の尖端4は、サイズや作業部2の断面形状の如何に関わらず、所定の角度(例えば60度〜90度)を持った尖った端部として構成されている。
【0029】
シャフト部1は合成樹脂製のハンドル3にインサート成形されて一体化されている。シャフト部1は、ハンドル3側から作業部2に接近するのに従って断面が円形から作業部2の断面形状になるように形成され、これにより、急激な断面形状及び断面積の変化を排除して応力の集中を防止することが可能である。
【0030】
尚、ファイルAは医師により手操作されて根管の治療を行うものであるため、シャフト部1はハンドル3に一体化しているが、根管治療器具としてはこの構成に限定するものではない。例えばリーマのように回転操作して根管の治療を行う器具では、ハンドピースと呼ばれる回転工具のチャックに把持されて医師により操作されるため、図に示すハンドル3に代えてハンドピースによって良好にチャッキングし得るように構成されている。従って、シャフト部1をハンドル3に一体化するか、図示しないチャッキング機能を持った部材に一体化するかを限定するものではない。
【0031】
作業部2は、平行四辺形の断面形状を所定のねじり角でねじった螺旋構造を持った棒状の形状を有している。そして螺旋の山の頂きを軸方向に結んだとき、この山頂を連ねる線は、予め設定された2/100のテーパを有する。
【0032】
本実施例に於いて、作業部2の断面形状を平行四辺形としている。しかし、必ずしもこの断面形状に限定するものではなく、三角形、矩形等、目的の根管治療器具(例えばKファイル,Hファイル或いはリーマ等)の機能を最適に発揮し得る断面形状を持って形成される。
【0033】
例えば、本実施例のように、作業部2の断面が平行四辺形である場合、この作業部2をねじり加工することによって、対角線上に夫々鋭角2aと、鈍角2bが形成される。前記鋭角2aは作業部2が内接する円に接触して切刃としての機能を発揮し、また鈍角2bは前記円に接触することなく切刃としての機能を有していない。
【0034】
上記の如き作業部2を有するファイルAでは、医師が所定のサイズのファイルAのハンドル3を把持して作業部2の尖端4を治療すべき歯に対向させて押し引き操作することで、この歯の根尖壁の表面を切削し、且つ切削された屑を排出することが可能である。そして切削深さが所定の値に到達したとき、医師はサイズの大きいファイルAと交換して再度押し引き操作することで、治療すべき歯の根管径を拡大させ、この作業を適宜繰り返すことで、治療すべき歯の根管を形成し、更に、所定の治療を施すことで、歯科治療を行うことが可能である。
【0035】
次に、本発明に係る根管治療器具の製造方法について上記ファイルAを製造する場合を例として図3により具体的に説明する。
【0036】
目的のサイズのファイルAのシャフト部1の太さに対応した太さを持った線材を直線状に整形し、同図(a)に示すように、所定の長さに切断して丸棒状の素材10を構成する。素材10の材質、即ちファイルAを構成する材質としては特に限定するものではなく、鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼或いはオーステナイト系ステンレス鋼又はニッケル−チタン(Ni−Ti)合金等を選択して用いることが可能である。
【0037】
特に、鋼,マルテンサイト系ステンレス鋼を採用した場合には、所定の作業部を形成した後、焼き入れ処理によって最適な硬度を得ることが可能である。またオーステナイト系ステンレス鋼を採用した場合には、目的のサイズのシャフト部の径よりも太い線を所定の減面率で冷間線引き加工してオーステナイト組織をファイバー状に伸長させることで、最適な硬度を得ることが可能である。
【0038】
次に素材10の作業部2に対応する部分を加工する(同図(b)参照)。この加工は、作業部2に対応する部分の断面形状を予め設定されたサイズに対応した寸法を持った平行四辺形に、且つねじり加工したとき作業部2のテーパが2/100となるように先細状に研削する。
【0039】
次いで同図(c)に示すように、素材10に於ける作業部2に対応する部分をねじり加工する。このとき、作業部2に対応するねじり加工した部分の長さを、ISO規格による16mmよりも大きい約16.5mm〜17.0mm程度、或いはこれ以上長くしておく。前述したように作業部2の長さは16mm以上であれば良く、多少長い分には不良品とはならない。
【0040】
更に、同図(d)に示すように、ねじり加工された作業部2の先端部分を砥石21によって研削することで、尖端4を形成し、これにより、素材10は作業部2が加工された中間材11となる。
【0041】
前述した素材10に対する作業部2に対応する部位の研削加工と、ねじり加工、及び尖端4の研削加工は、従来の技術で記載した特許文献1に開示される方法を実施することで行われる。しかし、本発明ではねじり部分を長くすることで作業部2に対応する部分の長さを大きくしておく。
【0042】
上記の如くして作業部2の加工が終了した後、該作業部2の複数の位置の径を測定して中間材11の作業部2の検査を行う。
【0043】
ファイルAに設定されるサイズは、図4に示す尖端4の基部5の径Sである。しかし、基部5の径Sを測定することは極めて困難であることから、尖端4から所定距離離隔した複数の位置を測定することで、作業部2のテーパ,基部5の径Sを演算している。即ち、作業部2に於ける少なくとも2点の径を測定すると共に該2点の距離を測定することでテーパを演算することが可能であり、演算されたテーパから基部5の径Sを演算することが可能である。
【0044】
作業部2に於ける上記測定点の位置は特に限定するものではないが、本実施例では、尖端4から3mmの位置6の径D3と、13mmの位置7の径D13を測定している。従って、位置7に於ける測定値D13と、位置6に於ける測定値D3の差によって作業部2のテーパを演算することが可能である。また位置6に於ける測定値D3と演算されたテーパとによって基部5の径Sを演算することが可能である。
【0045】
ねじり加工を施した中間材11の作業部2を測定する場合、該作業部2の外形形状が鋭角2a,鈍角2bが交互に配置された波型になるため、通常の測定具では精密な測定を行うことが困難である。このため、特許文献2に記載されているような測定具を用いることが可能であるが、本発明では、図5に示すように構成した測定具Bを用いている。
【0046】
測定具Bは、固定子31aと移動子31bを対向させて設けた測定子31と、移動子31bの移動量を表示する表示部32と、中間材11に形成された作業部2を嵌入させる溝33aが形成されたガイド部材33と、溝33aの端部に設けられ該溝33aに嵌入させた中間材11の尖端4を当接させて位置決めするストッパー34とを有して構成されている。
【0047】
測定子31を構成する固定子31aと移動子31bの対向する面31c,31dは、溝33aに沿った方向の寸法が作業部2に形成されたねじりのピッチよりも大きく且つ作業部2のテーパと同一の傾斜角度を有する傾斜面として形成されており、ストッパー34方向に向けて互いの間隔が狭くなるように配置されている。
【0048】
移動子31bの移動量を計測する機構については限定するものではないが、根管治療器具に設定されたサイズと公差を満足し得る単位で正確な計測を行うことが可能な機構であることが必要である。従って、測定単位としては0.005mm〜0.01mm程度を満足することが必要である。
【0049】
表示部32については特に限定するものではなく、移動子31bの移動量を表示針の回転によって表示する所謂ダイヤルゲージであって良く、或いは移動子31bの移動量を電子的に表示するデジタル表示部であっても良い。
【0050】
ガイド部材33に形成された溝33aは、測定子31を構成する固定子31a,移動子31bの面31c,31dの幅寸法よりも小さい寸法を持って形成されている。またストッパー34は、移動子31bの中心から作業部2を測定すべき位置までの寸法(位置6に対応して3mm、位置7に対応して13mm)に設定されている。
【0051】
即ち、本実施例では、尖端4から3mmの距離に設定された位置6の径D3を測定するための測定具Bと、尖端4から13mmの距離に設定された位置7の径D13を測定するための測定具Bと、が夫々用意されており、中間材11の測定に際しては、2個の測定具Bを用いて1本の中間材に対し順に測定することになる。
【0052】
従って、中間材11の作業部2を溝33aに嵌入させて尖端4をストッパー34に当接させることで、測定子31の中心は予め設定された位置6或いは位置7に対応することとなる。そして移動子31bを下降させることで、固定子31a,移動子31bが作業部2に於ける波型の何れかの頂部と接触する。このため、固定子31aと移動子31bとによって作業部2をテーパ面に沿って且つテーパ状に把持することが可能であり、作業部2の断面形状の如何に関わらず正確な測定を行うことが可能となる。
【0053】
上記の如くして中間材11に対する測定を行って基部5の径Sを演算した結果、目的のサイズに於ける公差範囲にある場合、この中間材は良品として認定され、図示しない次工程に進行して洗浄,乾燥,外観検査を経て柄付作業が行われ、これ等の工程を経た後、製品となる。
【0054】
また演算された基部5の径Sが公差範囲から逸脱している場合、前記径Sとサイズ及び公差範囲から、基部5の径Sが公差範囲に入るために先端部分の研削すべき長さを演算し、その後、図3(f)に示すように、砥石21によって先端部分を演算された研削長さ分研削する。
【0055】
中間材11の作業部2に対する再研削が終了した後、同図(e)に示すように尖端4から所定距離離隔した位置6,7の太さを測定し、基部5の径Sを演算する。そして、基部5の径Sが目的のサイズの公差範囲にあることを確認した後、この中間材11は図示しない次工程に進行し、複数の工程を経て製品となる。
【0056】
ここで、中間材11の作業部2に於ける位置6,7を測定した結果、基部5の径Sを演算する方法と、基部5の演算値から作業部2の先端部分を再研削する長さを演算する方法について説明する。
【0057】
例えば、目的のファイルAのサイズが10番である場合、作業部2の基部5の径Sは0.10mmであり、テーパは2/100である。このため、尖端4から3mmに設定された位置6の径D3、及び尖端4から13mmの位置7の径D13を測定することによって、(D13−D3)/10に代入してテーパを演算することが可能である。
【0058】
また尖端4から3mmにある位置6の径D3は、D3=0.10+(2/100×3)となり、0.16mmになる。また基部5の径Sは、S=D3−(2/100×3)となる。従って、位置6の径D3の測定値から基部5の径Sを演算することが可能である。
【0059】
例えば、位置6の測定値D3が0.14mmであったとすると、基部5の径Sの径は0.08mmとなる。この場合、ISO規格では−0.02mmの範囲に入ることになり良品として判定し得るが、医師から要求されている−0.01mmの範囲からは逸脱することになる。
【0060】
そして、基部5の位置を作業部2の太い方向へ追い込むことによって、径Sが現在値よりも+0.02mm大きくなれば、基部5の径Sを規格値に一致させた精度の高いファイルAを製造し得ることになる。従って、基部5の径Sを+0.02mm大きくするために必要な長さを演算し、この演算結果に基づいて再研削長さを設定することで、精度の高い良品とすることが可能となる。
【0061】
上記再研削長さを演算する場合、ファイルAのテーパ(位置6と位置7との測定値D3,D13によって演算するが、以下の説明では、テーパは2/100であるものとする)とサイズから、位置6に於ける正規な値S3と測定値D3を演算の基準値として採用するものとする。
【0062】
従って、尖端4から3mm離隔した位置6に於ける正規な値S3と測定値D3の差にテーパの逆数を積算することで、基部5を規格値に一致させるのに必要な再研削長さLを演算することが可能である。即ち、
L=(S3−D3)×100/2 式1
によって再研削長さを演算することが可能である。例えば、サイズが10番の場合、規格値は0.10mmであり、正規な値S3は0.16mmである。そして測定値D3が0.14mmであったとすると、再研削長さLは
L=(0.16−0.14)×100/2
=1.00(mm) となる。
【0063】
上記の如く、本例では、尖端4を更に1mm研削して基部5を追い込むことで、該基部5の径Sを大きくし、これにより、寸法精度の高い10番のファイルAの作業部2を持った中間材11を製造することが可能である。
【0064】
しかし、中間材11の作業部2を長さ1mm再研削した場合、再研削後の作業部2の長さがISO規格の通り16mm以上確保されていることが必要である。このため、素材10のねじり加工を行う際に予め16mmよりも大きい寸法を設定しておくことで、対応することが可能となる。
【0065】
上記の如くして加工された中間材11は、次工程及び次工程に引き続く工程に進行し、所定の洗浄作業や熱処理作業、更に必要に応じて化学研磨作業や電解研磨作業等の研磨作業が施され、外観検査を経た後、シャフト部1が所定の長さとなるように切断され、更に、インサート成形されて柄が一体成形されて図1に示す正規のファイルAとして製造される。
【0066】
次に、作業部2の所定位置を測定した測定値を基準として先端部分を再研削する際の他の実施例について説明する。本実施例は、予め目的のサイズ毎に中間材11を良品とするための下限値を設定すると共に、中間材11の測定値が下限値であったと仮定して再研削に耐え得る作業部2の長さを設定しておくものである。そして、作業部2のねじり加工を行う際には、前記設定長さに対応させて作業部2を加工しておき、測定した結果が予め設定された下限値以内である場合、作業部2を再研削して良品とするものである。
【0067】
即ち、前述の第1実施例に係る製造方法が、中間材11に於ける作業部2の所定位置(位置6)を測定した測定値D3を利用して再研削長さを演算し、この演算結果に基づいて作業部2の先端部分を再研削するものであるのに対し、本実施例は、予め良品にし得る測定値の下限値を設定すると共に、この下限値のときに必要となる再研削長さを演算して予め作業部2を長くしておき、実際の測定値に基づいて再研削するものである。
【0068】
従って、第1実施例では、作業部2の長さを無視した場合、作業部2の先端部分を再研削することによって目的のサイズよりも大きいサイズのファイルを製造することも可能となる。しかし、第2実施例では、不良品として排除する限界も設定することとなり、実際の中間材11を測定した測定値から、再研削によって良品となり得るか、不良品として排除せざるを得ないかを判断することを可能としたものである。
【0069】
このため、本実施例では、作業部2の尖端4から3mm離隔した位置6に於ける正規な値S3に対し、再研削によって良品になり得る値(下限値D3d)を設定し、更に、下限値D3dの値を正規な値S3に再研削し得る長さLを設定して作業部2の長さを設定するものである。この方法は、言い方を変えると、予め作業部2の長さをISO規格である16mm以上に設定しておき、設定された長さと16mmとの差分から下限値D3dを設定するものである。
【0070】
即ち、
(作業部2の長さ)−16=再研削長さL
L(mm)=(S3−D3d)×100/2
D3d=S3−L×2/100
となる。
【0071】
例えば、作業部2の長さを17mmに設定した場合、作業部2に於ける再研削長さLは1mmとなる。従って、サイズが10番である場合、
D3d=0.16−1×2/100
=0.14(mm)
となる。
【0072】
従って、中間材11の作業部2に於ける位置6を測定して測定値D3を得たとき、この測定値D3が上記値以下である場合には、再研削しても良品とすることが出来ず、測定段階で排除することが可能となる。
【0073】
本実施例に於いて、作業部2の長さは必ずしも一定値を有する必要はなく、個々の中間材11毎に測定することで、再研削長さLを演算しても良い。この場合、作業部2の長さを個々の中間材11毎に把握することによって、個々の中間材11に対し正確に再研削可能長さLを演算して精度の高いファイルAを製造することが可能である。
【0074】
上記の如く、再研削することによって良品となり得る中間材11に対して砥石21による再研削を行い、再度所定位置を測定して良品となった中間材11は図示しない次工程以下の工程を経て精度の高いファイルAとして製造される。尚、上記実施例においては作業部をねじり加工によって形成する根管治療器具について説明しているが、上記根管治療器具に限定するものではなく、先細テーパ状であり、作業部の先端部分を再研削することで良品にし得るものであれば、目的の異なる器具であっても適用することが可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る根管治療器具の製造方法では、作業部をテーパ状に把持して測定する測定子によって作業部の所定位置の径を測定し、このときの測定結果を利用して作業部の先端部分を再研削することで、サイズの基準となる部位を作業部の太い方向に追い込むことで太くすることが出来る。
【0076】
このため、加工された作業部の基準となる部位が目的のサイズの径よりも細い場合、再加工によって良品とすることが出来、不良品を低減させて歩留りの向上をはかることが出来る。従って、作業部を再研削する手数がかかるものの、不良品が減少することから、コストを削減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】根管治療器具の例としてのファイルの構成を説明する図である。
【図2】作業部の断面形状を説明する図である。
【図3】ファイルを製造する工程を説明する図である。
【図4】ねじり加工が施された作業部の径を測定する際の測定位置を説明する図である。
【図5】作業部の径を測定する測定子の構造を説明する図である。
【符号の説明】
A ファイル
B 測定具
S 基部の径
S3 正規の径
D3 尖端から3mmの位置の測定値
D3d 良品に再研削し得る下限値
D13 尖端から13mmの位置の測定値
1 シャフト部
2 作業部
2a 鋭角
2b 鈍角
3 ハンドル
4 尖端
5 基部
10 素材
11 中間材
21 砥石
31 測定子
31a 固定子
31b 移動子
31c,31d 面
32 表示部
33 ガイド部材
33a 溝
34 ストッパー

Claims (2)

  1. 先細テーパ状に形成された作業部を有する歯科用根管治療器具を製造する方法であって、先細テーパ状の作業部を加工した後、作業部のテーパ面に沿ってテーパ状に把持する測定具によって作業部の先端から所定距離離隔した位置の径を測定し、測定した径とテーパから先端部分の径を演算し、演算した先端部分の径が目的のサイズの公差範囲に入るのに必要な研削長を演算し、演算した研削長に基づいて先端加工を施して該先端部分を所定の径寸法に仕上げることを特徴とする歯科用根管治療器具の製造方法。
  2. 先細テーパ状に形成された作業部を有する歯科用根管治療器具を製造する方法であって、先細テーパ状の作業部を予め設定された長さよりも長く加工して予め設定された長さとの差を再研削可能長とすると共に作業部の先端から所定距離離隔した位置に於ける径の下限値を目的のサイズ毎に設定しておき、先細テーパ状の作業部を加工した後、作業部のテーパ面に沿ってテーパ状に把持する測定具によって作業部の先端から所定距離離隔した位置の径を測定し、前記測定した径の値が、前記下限値よりも大きいとき、測定した径とテーパから先端からの研削長を演算し、演算した研削長に基づいて先端加工を施して該先端部分を所定の径寸法に仕上げることを特徴とする歯科用根管治療器具の製造方法
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