JP4245114B2 - 音色制御装置 - Google Patents
音色制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4245114B2 JP4245114B2 JP2000390224A JP2000390224A JP4245114B2 JP 4245114 B2 JP4245114 B2 JP 4245114B2 JP 2000390224 A JP2000390224 A JP 2000390224A JP 2000390224 A JP2000390224 A JP 2000390224A JP 4245114 B2 JP4245114 B2 JP 4245114B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- information
- amplitude information
- frequency
- formant
- band
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Electrophonic Musical Instruments (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音色を制御する音色制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、入力されたオーディオ波形信号が表わす楽音の音高(ピッチ)やフォルマントを変更して音色を制御する音色制御装置が知られている。例えば、特開平8−305392号公報には、入力されたオーディオ信号が表わす楽音のピッチとフォルマントとを独立に変更して音色を制御することにより、再生される楽音に効果を付加する技術が提案されている。この技術では、入力されたオーディオ信号の、検出されたピッチに対応する区間の音素データを切り出し、切り出された音素データを、あらかじめ設定されたフォルマント係数と検出されたピッチとに基づいた読出し速度で読み出すことにより、再生される楽音に効果を付与するということが行なわれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した技術では、音素片データの切り出しにあたり、入力されるオーディオ信号が表わす楽音のピッチを検出する必要がある。しかし、合奏した楽音に代表されるように、楽音のピッチを検出することが困難な場合があり、その場合オーディオ信号から音素片データを切り出すことは困難である。従って、その場合音高とフォルマントとを独立に変更することは困難である。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑み、楽音のピッチを検出することなく、音高とフォルマントとを独立に変更することができる音色制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の音色制御装置のうちの第1の音色制御装置は、
オーディオ波形信号を入力して、そのオーディオ波形信号から、そのオーディオ波形信号を複数の周波数帯域に分割したときの各分割帯域ごとに振幅情報と周波数情報または位相情報とを抽出する信号分析手段と、
上記各分割領域ごとの各振幅情報から、その各振幅情報の高調波成分と、その高調波成分を抑制あるいは除去したエンベロープ成分とに分離する振幅情報分離手段と、
フォルマントの変更状態をあらわすフォルマント制御パラメータを発生するフォルマント制御パラメータ発生手段と、
上記各周波数帯域の高調波成分と、上記フォルマント制御パラメータに応じた量だけ離れた周波数帯域のエンベロープ成分とを合成することにより上記各周波数帯域ごとの新たな振幅情報を再合成する振幅情報再合成手段と、
上記振幅情報再合成手段により再合成された新たな振幅情報と上記周波数情報または位相情報とに基づいてオーディオ波形信号を合成する波形信号合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の第1の音色制御装置は、例えば特開2000―66678号公報に記載されているような位相ボコーダ技術を用いて各分割帯域ごとに振幅情報と周波数情報または位相情報とを抽出するものであるが、その後、本発明の独自の工夫として、各周波数帯域の高調波成分と、フォルマント制御パラメータに応じた量だけ離れた周波数帯域のエンベロープ成分とを合成することにより各周波数帯域ごとの新たな振幅情報を再合成し、その新たな振幅情報と周波数情報または位相情報とに基づいてオーディオ波形信号を合成するものである。このため、振幅情報の、高調波成分と、その高調波成分が抑制あるいは除去されたエンベロープ成分とを独立に他の帯域に移動することができ、高調波成分の倍音関係が保存され、音高とフォルマントとをリアルタイムで独立に変更することができ、効果装置に好適に用いることができる。
【0007】
また、上記目的を達成する本発明の音色制御装置のうちの第2の音色制御装置は、
オーディオ波形信号を複数の周波数帯域に分割したときの各分割帯域ごとの振幅情報と周波数情報または位相情報とを、上記オーディオ波形信号の時間軸上の位置に対応づけて記憶する波形データ記憶手段と、
上記各分割領域ごとの各振幅情報から、その各振幅情報の高調波成分と、その高調波成分を抑制あるいは除去したエンベロープ成分とに分離する振幅情報分離手段と、
フォルマントの変更状態をあらわすフォルマント制御パラメータを発生するフォルマント制御パラメータ発生手段と、
上記各周波数帯域の高調波成分と、上記フォルマント制御パラメータに応じた量だけ離れた周波数帯域のエンベロープ成分とを合成することにより上記各周波数帯域ごとの新たな振幅情報を再合成する振幅情報再合成手段と、
上記振幅情報再合成手段により再合成された新たな振幅情報と上記周波数情報または位相情報とに基づいてオーディオ波形信号を合成する波形信号合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の音色制御装置は、オーディオ波形信号の時間軸上の位置に対応づけて各分割帯域ごとに振幅情報と周波数情報または位相情報とを記憶し、これら記憶された情報に基づいて、上述した第1の音色制御装置と同様に処理するものである。このため、高調波成分の倍音関係が保存され、音高とフォルマントとを独立に変更することができ、音源装置に好適に用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態の音色制御装置の回路構成を示したブロック図である。
【0011】
この音色制御装置100は、入力されるオーディオ波形信号Aが表わす楽音の音高とフォルマントとをリアルタイムで独立に変更処理することができる音色制御装置である。
【0012】
この音色制御装置100には、CPU10と、DSP(Digital Signal Processor)20とが備えられており、CPU10によってDSP20が制御され、DSP20によって、後述するようにして音高とフォルマントとが独立に変更されたオーディオ波形信号y(n)が生成される。
【0013】
また、この音色制御装置100には、ROM30と、RAM40と、操作子群50とが備えられている。ROM30には、CPU10およびDSP20の動作を行なうためのプログラムが格納されており、DSP20用のプログラムはCPU10を介してDSP20へと転送される。RAM40は、CPU10のワ―キングメモリとして用いられる。操作子群50には、図示しない音高制御操作子やフォルマント制御操作子等が備えられている。
【0014】
さらに、この音色制御装置100には、A/Dコンバータ60と、D/Aコンバータ70とが備えられている。A/Dコンバータ60は、入力されたオーディオ波形信号Aをディジタル変換してディジタルの原波形x(n)を生成し、DSP20に入力する。D/Aコンバータ70は、DSP20から出力された、音高とフォルマントとが独立に変更されたオーディオ波形信号y(n)をアナログ変換してアナログ信号Bを出力する。
【0015】
また、この音色制御装置100には、DSP20に接続されたRAM80が備えられている。このRAM80は、オーディオ信号を取り込んで音高,フォルマントをリアルタイムで変更処理するDSP20のワークメモリとして使用される。
【0016】
図2は、原波形の、1つの周波数帯域に1つの周波数成分が含まれた周波数帯域を示す図である。
【0017】
ここでは、後述の信号分析部は、それぞれの中心周波数ω0,ω1,…,ωk,…,ωp,…,ω99とする複数(ここでは100)の周波数帯域(バンド0,1,…,k,…,p,…,99)に分割されているものとする。一方、原波形が有する、基本周波数、およびその基本周波数の2倍,3倍等、倍音をあらわす整数倍の周波数成分が、前記周波数帯域の幾つかの周波数帯域にそれぞれ1周波数成分ずつ含まれる状態になっている。さらに、分割された複数の周波数帯域それぞれの各波形成分について、それぞれの波形成分の、時間経過に伴って順次変化する周波数(瞬間周波数と称する)および時間経過に伴って順次変化する振幅をあらわす周波数情報および振幅情報を抽出する。しかし、入力された原波形を、図2に示すように、基本周波数のみを含む周波数帯域、基本周波数の2倍の周波数のみを含む周波数帯域等、1つの周波数帯域にその原波形を構成する複数の周波数成分のうちの1つずつのみを含む周波数帯域に分けた場合、極めて多数の周波数帯域に分ける必要を生じ、極めて大きな回路が必要となったり、あるいは演算に要する時間が極めて長くなってしまい、現実的ではない。そこで、本実施形態では、1つの周波数帯域に原波形を構成する複数の周波数成分が含まれるように周波数帯域を分割することとする。
【0018】
図3は、図1に示すDSPを構成する信号分析部のブロック図、図4は、図3に示す信号分析部で分割される複数の周波数帯域を示す図である。
【0019】
DSP20には、図3に示す信号分析部210が備えられており、この信号分析部210には原波形x(n)が入力される。ここで、nは、時系列的に順次入力される、原波形の瞬時値をあらわす各データに付した番号である。この信号分析部210は、チャネル210_0,210_1,…,210_k,…,210_pから構成されている。この信号分析部210では、入力された原波形x(n)を、図4に示すように、各帯域内に、隣接する複数の倍音をあらわす、基本周波数の整数倍である周波数が複数存在する場合があるように複数の周波数帯域(バンド0,1,…,k,…,p)に分割し、分割された複数の周波数帯域の各波形成分について、各波形成分の、時間経過に伴って順次変化する振幅および周波数それぞれをあらわす振幅情報および周波数情報を抽出する。このように分割される周波数帯域の数(分割帯域数)を少なくして、DSP20の処理を軽くするようにしている。特に、リアルタイムで処理するにあたり、その他の処理(例えば波形の発音チャンネル数)をも考慮して、処理可能な程度に分割帯域数を少なくしている。その場合、振幅情報にも周波数成分が含まれることになるため、単純に振幅情報を他のバンドにシフトするだけでは、出力されるオーディオ波形信号y(n)の倍音関係が損なわれて、不自然な音(音痴)になってしまうが、本実施形態では、後述するようにして倍音関係が損なわれることなく処理される。尚、前述した図2に示すように、1つの周波数帯域内に、原波形x(n)の周波数成分が1つしか含まれないような狭い周波数帯域では、振幅成分に周波数情報が含まれることがないので、単純に振幅情報をシフトしても倍音関係が崩れることはないが、前述したように、極めて大きな回路が必要となったり、演算に要する時間が極めて長くなってしまい、現実的ではない。以下、信号分析部210を構成するチャネルの詳細について、図5を参照して説明する。
【0020】
図5は、図3に示す信号分析部を構成する1つのチャネルにおける波形処理を示す図である。
【0021】
図5には、複数のチャネルを代表してチャネル210_kにおける波形処理の様子が示されている。このチャネル210_kでは、入力された原波形x(n)に、そのチャネル210_kに対応する周波数帯域(バンドk)の中心周波数ωkのn番目のデータ(cos(ωkn),sin(ωkn))を乗算して実数部と虚数部に変換し、次いで、等価的にアナログ低域フィルタのインパルス応答時間に相当する時間幅の分析窓w(n)で切り出し、さらに位相微分して周波数情報を抽出するとともに、2乗加算し平方根を求めることにより振幅情報を抽出する。このような演算を、中心周波数ωkのn番目のデータ(cos(ωkn),sin(ωkn))のn、および分析窓w(n)のnを順次進めながら、即ち時間的に順次進めながら繰り返す。こうすることにより、信号分析部210を構成するチャネル210_0,210_1,…,210_k,…,210_pのそれぞれで、時間経過に伴って順次変化する周波数情報および振幅情報が抽出される。
【0022】
図6は、図1に示すDSPを構成する合成処理部のブロック図である。
【0023】
この合成処理部には、周波数情報変換部220と、振幅情報変換部230と、フォルマント制御パラメータ発生部240と、合成部250とが備えられている。合成部250は、余弦発振器250_0,250_1,…,250_k,…,250_pと変調器251_0,251_1,…,251_k,…,251_pから構成されている。
【0024】
周波数情報変換部220は、図3に示す信号分析部210を構成するチャネル210_0,210_1,…,210_k,…,210_pのそれぞれで抽出された各周波数情報を入力し、入力された各周波数情報と各バンドにおける中心周波数情報とを加算し、さらに音高の変換量を表わす情報である周波数変換比情報を乗算して合成部250を構成する余弦発振器250_0,250_1,…,250_k,…,250_pに出力する。
【0025】
振幅情報変換部230は、本発明にいう振幅情報分離手段および振幅情報合成手段の一例に相当し、図3に示す信号分析部210を構成するチャネル210_0,210_1,…,210_k,…,210_pのそれぞれで抽出された各振幅情報、およびフォルマント制御パラメータ発生部240からのフォルマント制御パラメータを入力し、後述する処理により新たな振幅情報を得て、合成部250を構成する変調器251_0,251_1,…,251_k,…,251_pに出力する。
【0026】
図7は、図6に示す振幅情報変換部で処理されるルーチンのフローチャート、図8は、図7に示すルーチンによりフォルマントが変更処理(シフト)される様子を示す図である。尚、このルーチンは、サンプリング周期毎に割込処理として実行される。
【0027】
ここでは、図8(a)に示すように、或る時間における、或るバンドの振幅情報(破線)をmバンド数だけシフトして(下げて)、新たな振幅情報(実線)を得る場合の処理について説明する。
【0028】
図8(b)には、バンドk+mにおける振幅情報ak+m(t)と、バンドkにおける振幅情報ak(t)との双方が実線で示されている。先ず、図7に示すステップST1において、振幅情報から、その振幅情報の高調波成分と、その高調波成分を抑制したエンベロープ成分とに分離することにより、エンベロープを抽出する。具体的には、振幅情報ak+m(t),ak(t)のピーク点を検出してフィルタリング処理することによりエンベロープ抽出処理を実行し、これにより図8(b)の破線で示すエンベロープek+m(t),ek(t)を抽出する。尚、ここでは、振幅情報から高調波成分を抑制したエンベロープ成分を抽出する例で説明したが、ローパスフィルタを使用したフィルタリング処理などにより振幅情報から高調波成分を除去してエンベロープ成分を抽出してもよい。
【0029】
次に、ステップST2に進む。このステップST2では、エンベロープをフォルマント制御パラメータに従って他のバンドの振幅情報にシフト処理する。即ち、オーディオ波形信号のフォルマントをmバンド分下げる処理を行なう。詳細には、各バンド毎(k=0,…,p)に下記のような演算を行ない、各バンドの振幅情報を算出処理する。
【0030】
バンドkの振幅情報←ak(t)×(ek+m(t)/ek(t))
尚、フォルマントをmバンド分下げる場合はmは正の値をとり、mバンド分上げる場合はmは負の値をとる。
【0031】
このようにして、図8(b)におけるバンドkの振幅情報ak(t)は、図8(c)における振幅情報ak(t)’になる。また、バンドkの振幅成分はバンドk+mの振幅成分に変化する。さらに、高調波成分(振幅情報の細かい変化)はバンドkのものがそのまま使用される。尚、mはフォルマント制御パラメータに相当するもので、図1の操作子群50に設けられた図示しないフォルマント制御操作子によって設定される。その操作子の設定状態はCPU10によって検出され、設定状態に応じたフオルマント制御パラメータがDSP20の振幅情報変換部230に入力される。
【0032】
次に、ステップST3に進む。ここでは、シフト処理された振幅情報を出力する。即ち、ステップST2で算出した各バンドの振幅情報を、フォルマントのシフト処理済みの振幅情報として出力する。このようにして得られた各バンドの振幅情報は、周波数情報変換部220で得られた各バンドの周波数情報とともに、図6に示す合成部250に入力される。合成部250を構成する余弦発振器250_0,250_1,…,250_k,…,250_pは、周波数情報変換部220からの各周波数情報を入力し、各周波数情報であらわされる周波数エンベロープに従って各周波数帯域の中心周波数を時間的に変化させた余弦波を発振する。これらの余弦波は、それぞれ各変調器251_0,251_1,…,251_k,…,251_pに入力される。また、各変調器251_0,251_1,…,251_k,…,251_pには、振幅情報変換部230からの各振幅情報も入力される。各変調器251_0,251_1,…,251_k,…,251_pは、各余弦発振器250_0,250_1,…,250_k,…,250_pからの各余弦波を、各変調器251_0,251_1,…,251_k,…,251_pからの各振幅情報であらわされる振幅で振幅変調する。このようにして、各帯域において、時間変化速度が調整された後の周波数および振幅の時間変化を再現した波形が再現される。さらに合成部250では、これらの再現された波形全てを合成する。このようにして、入力された原波形x(n)が表わす楽音の音高とフォルマントが変更された楽音を表わす波形y(n)を得る。
【0033】
本実施形態の音色制御装置100は、以上のような処理により波形y(n)を得るものであるため、振幅情報の、高調波成分と、その高調波成分が抑制されたエンベロープ成分とを独立に他の帯域に移動することができ、高調波成分の倍音関係が保存され、音高とフォルマントとをリアルタイムで独立に変更することができ、効果装置に好適に用いることができる。
【0034】
図9は、本発明の第2実施形態の音色制御装置の回路構成を示したブロック図である。
【0035】
図9に示す音色制御装置300の構成は、図1に示す音色制御装置100の構成と同じであるが、この第2実施形態の音色制御装置300では、DSP20に接続されたRAM80は、波形データを記憶しておく波形メモリと、前述した音色制御装置100と同様に変更処理のためのDSP20のワークメモリとして使用される。このRAM80には、原波形x(n)を複数の周波数帯域に分割したときの各分割帯域ごとの振幅情報と周波数情報とが、その原波形x(n)の時間軸上の位置に対応づけて記憶される。このように、RAM80に上記振幅情報と周波数情報とを記憶しておき、これらの情報に基づいて音高とフォルマントとを独立に変更してもよい。このように構成された電子楽器300は、音源装置として好適に用いることができる。その場合、特開2000−66678号公報に提案された時間軸圧縮伸長装置のように、振幅情報があらわす振幅の周期的変化の1以上の整数周期分の振幅情報を複製して追加しあるいは省略する操作を繰り返すことにより、振幅の周期的変化の周期を保存したまま、振幅情報を時間軸圧縮伸長することによりオーディオ波形信号を時間軸方向に圧縮伸長してもよい。
【0036】
図10は、図5に示す信号分析部のチャネルとは異なる信号分析部のチャネルにおける波形処理を示す図である。
【0037】
図10には、信号分析部の複数のチャネルのうちのk番目のチャネルにおける波形処理が示されており、このチャネルでは、入力された原波形x(n)に、そのチャネルに対応する周波数帯域(バンドk)の中心周波数ωkのn番目のデータ(cos(ωkn),sin(ωkn))を乗算して実数部と虚数部に変換し、次いで、等価的にアナログ低域フィルタのインパルス応答時間に相当する時間幅の分析窓w(n)で切り出し、さらにXcos>0の時、ArcTan(Xsin/Xcos)の演算を行ない、Xcos<0の時、ArcTan(Xsin/Xcos)+πの演算を行なって位相情報を抽出するとともに、2乗加算し平方根を求めることにより振幅情報を抽出する。このような演算を、中心周波数ωkのn番目のデータ(cos(ωkn),sin(ωkn))のn、および分析窓w(n)のnを順次進めながら、即ち時間的に順次進めながら繰り返す。こうすることにより、信号分析部を構成する複数のチャネルのそれぞれで、時間経過に伴って順次変化する位相情報および振幅情報が抽出される。
【0038】
図11は、図6に示す周波数情報変換部とは異なる周波数情報変換部における周波数変換処理を示す図である。
【0039】
ここでは、先ず、上述したようにして抽出された位相情報を微分して周波数情報を得る。この周波数情報は、k番目の周波数帯域(バンドk)における偏差のみの情報であるため、その周波数情報にバンドkの中心周波数情報を加算して、そのバンドkにおける中心周波数の情報を含んだ周波数情報を得、さらにあらかじめ設定された周波数変換比を乗算して、新たな周波数情報を得る。この新たな周波数情報、および図10に示す振幅情報に基づいて、音高とフォルマントとを独立に変更してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、楽音のピッチを検出することなく、音高とフォルマントとを独立に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の音色制御装置の回路構成を示したブロック図である。
【図2】原波形の、1つの周波数帯域に1つの周波数成分が含まれた周波数帯域を示す図である。
【図3】図1に示すDSPを構成する信号分析部のブロック図である。
【図4】図3に示す信号分析部で分割される複数の周波数帯域を示す図である。
【図5】図3に示す信号分析部を構成する1つのチャネルにおける波形処理を示す図である。
【図6】図1に示すDSPを構成する合成処理部のブロック図である。
【図7】図6に示す振幅情報変換部で処理されるルーチンのフローチャートである。
【図8】図7に示すルーチンによりフォルマントが変更処理(シフト)される様子を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態の音色制御装置の回路構成を示したブロック図である。
【図10】図5に示す信号分析部のチャネルとは異なる信号分析部のチャネルにおける波形処理を示す図である。
【図11】図6に示す周波数情報変換部とは異なる周波数情報変換部における周波数変換処理を示す図である。
【符号の説明】
10 CPU
20 DSP
30 ROM
40,80 RAM
50 操作子群
60 A/Dコンバータ
70 D/Aコンバータ
100,300 音色制御装置
210 信号分析部
210_0,210_1,…,210_k,…,210_p チャネル
220 周波数情報変換部
230 振幅情報変換部
240 フォルマント制御パラメータ発生部
250 合成部
250_0,250_1,…,250_k,…,250_p 余弦発振器
251_0,251_1,…,251_k,…,251_p 変調器
Claims (2)
- オーディオ波形信号を入力して、該オーディオ波形信号から、該オーディオ波形信号を複数の周波数帯域に分割したときの各分割帯域ごとに振幅情報と周波数情報または位相情報とを抽出する信号分析手段と、
前記各分割領域ごとの各振幅情報から、該各振幅情報の高調波成分と、該高調波成分を抑制あるいは除去したエンベロープ成分とに分離する振幅情報分離手段と、
フォルマントの変更状態をあらわすフォルマント制御パラメータを発生するフォルマント制御パラメータ発生手段と、
前記各周波数帯域の高調波成分と、前記フォルマント制御パラメータに応じた量だけ離れた周波数帯域のエンベロープ成分とを合成することにより前記各周波数帯域ごとの新たな振幅情報を再合成する振幅情報再合成手段と、
前記振幅情報再合成手段により再合成された新たな振幅情報と前記周波数情報または位相情報とに基づいてオーディオ波形信号を合成する波形信号合成手段とを備えたことを特徴とする音色制御装置。 - オーディオ波形信号を複数の周波数帯域に分割したときの各分割帯域ごとの振幅情報と周波数情報または位相情報とを、前記オーディオ波形信号の時間軸上の位置に対応づけて記憶する波形データ記憶手段と、
前記各分割領域ごとの各振幅情報から、該各振幅情報の高調波成分と、該高調波成分を抑制あるいは除去したエンベロープ成分とに分離する振幅情報分離手段と、
フォルマントの変更状態をあらわすフォルマント制御パラメータを発生するフォルマント制御パラメータ発生手段と、
前記各周波数帯域の高調波成分と、前記フォルマント制御パラメータに応じた量だけ離れた周波数帯域のエンベロープ成分とを合成することにより前記各周波数帯域ごとの新たな振幅情報を再合成する振幅情報再合成手段と、
前記振幅情報再合成手段により再合成された新たな振幅情報と前記周波数情報または位相情報とに基づいてオーディオ波形信号を合成する波形信号合成手段とを備えたことを特徴とする音色制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000390224A JP4245114B2 (ja) | 2000-12-22 | 2000-12-22 | 音色制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000390224A JP4245114B2 (ja) | 2000-12-22 | 2000-12-22 | 音色制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002189472A JP2002189472A (ja) | 2002-07-05 |
JP4245114B2 true JP4245114B2 (ja) | 2009-03-25 |
Family
ID=18856630
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000390224A Expired - Fee Related JP4245114B2 (ja) | 2000-12-22 | 2000-12-22 | 音色制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4245114B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2362375A1 (en) * | 2010-02-26 | 2011-08-31 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der Angewandten Forschung e.V. | Apparatus and method for modifying an audio signal using harmonic locking |
JP5772739B2 (ja) * | 2012-06-21 | 2015-09-02 | ヤマハ株式会社 | 音声処理装置 |
JP6896513B2 (ja) * | 2017-06-15 | 2021-06-30 | アルパイン株式会社 | 車内通話装置、車内通話システム、及び車内通話の制御方法 |
CN111816198A (zh) * | 2020-08-05 | 2020-10-23 | 上海影卓信息科技有限公司 | 改变语音音调和音色的变声方法和系统 |
-
2000
- 2000-12-22 JP JP2000390224A patent/JP4245114B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002189472A (ja) | 2002-07-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2487426C2 (ru) | Устройство и способ преобразования звукового сигнала в параметрическое представление, устройство и способ модификации параметрического представления, устройство и способ синтеза параметрического представления звукового сигнала | |
US5485543A (en) | Method and apparatus for speech analysis and synthesis by sampling a power spectrum of input speech | |
JP5283757B2 (ja) | オーディオ信号のスペクトルの複数の局部重心周波数を決定するための装置及び方法 | |
US20010044721A1 (en) | Converting apparatus of voice signal by modulation of frequencies and amplitudes of sinusoidal wave components | |
US7933768B2 (en) | Vocoder system and method for vocal sound synthesis | |
JPH09185392A (ja) | 音程変換装置 | |
US6564187B1 (en) | Waveform signal compression and expansion along time axis having different sampling rates for different main-frequency bands | |
JP2001084000A (ja) | 波形再生装置 | |
JP3649197B2 (ja) | 楽音生成装置および楽音生成方法 | |
JP4245114B2 (ja) | 音色制御装置 | |
JPH04358200A (ja) | 音声合成装置 | |
US6208969B1 (en) | Electronic data processing apparatus and method for sound synthesis using transfer functions of sound samples | |
Tay | Audio signal processing via harmonic separation using variable Laguerre filters | |
Arroabarren et al. | Instantaneous frequency and amplitude of vibrato in singing voice | |
JP5163606B2 (ja) | 音声分析合成装置、及びプログラム | |
JP2006113487A (ja) | 楽音データ生成方法及び装置 | |
JP4513556B2 (ja) | 音声分析合成装置、及びプログラム | |
JP4170459B2 (ja) | 波形信号の時間軸圧縮伸長装置 | |
JP4012410B2 (ja) | 楽音生成装置および楽音生成方法 | |
JPH05119782A (ja) | 音源装置 | |
JP2000003200A (ja) | 音声信号処理装置及び音声信号処理方法 | |
Arroabarren et al. | Analysis and synthesis of vibrato in lyric singers | |
JP2861358B2 (ja) | 楽音合成装置 | |
JPH1031496A (ja) | 楽音発生装置 | |
JP2689765B2 (ja) | ノイズ付与装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071210 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081211 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081224 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090105 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120116 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130116 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |