JP4245080B1 - 樹脂成形品の診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋外暴露された樹脂成形品の機械特性の劣化度を簡便かつ正確に診断し、その補修や交換の適切なタイミングを判断することのできる診断方法を提供する。
【解決手段】紫外線吸収剤を含有する第一樹脂材料からなる表面層10で保護された、第二樹脂材料からなる樹脂成形品20の機械特性を推定して樹脂成形品20の劣化度を診断する方法であって、第一樹脂材料と同種または異種の樹脂材料からなり第一樹脂材料と同種または異種の紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物で保護された、第二樹脂材料からなる試験片を評価サンプルとして、樹脂組成物の紫外線透過能と試験片の機械特性との関係を示す検量線データを取得する取得工程と、表面層10の紫外線透過能を求める測定工程と、測定された表面層10の紫外線透過能と検量線データとから、樹脂成形品20の機械特性を推定する診断工程と、を含む樹脂成形品の診断方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂成形品に関する経時的な劣化の有無を診断する診断方法に関する。
近年、屋外暴露環境における構造部材として、例えば屋根等の建築資材や、自動車用等の外装材料、遮音壁等の土木材料などに樹脂材料が広く用いられている。樹脂材料は、良好な保全を実施しても老朽化の進行は避けられず、耐久性低下に対する安全性や美観の面から、老朽化した樹脂材料の補修や交換が必要となる。一般に樹脂材料は、太陽光や風雨に暴露されることで劣化して硬化する。硬化した樹脂材料は引張伸び率や引張強度、透明性などの特性が低下する。劣化がさらに進行した樹脂材料は、黄変が発生・進行するとともに、耐衝撃性が低下して風雨や異物の衝突によって破損しやすくなる。
ここで、環境負荷低減の観点から、樹脂材料の劣化度を適切に診断して好適なタイミングでその補修や交換をおこなうことが求められている。
この種の診断技術に関しては、下記に示す直接的な方法と間接的な方法とが従来知られている。
直接的な方法としては、例えば、施工された樹脂材料を取り外し、測定用の試験片を切り出して機械特性試験などの物性試験をおこなう方法が知られている。
間接的な方法としては、樹脂材料の黄変や光沢をはじめとする外観変化を検査し、その黄変度や光沢度の上昇の度合いから樹脂材料の劣化度を判断する方法が知られている。
また、下記特許文献1には、樹脂材料における超音波の伝播速度を測定し、その速度の低下度合いから樹脂材料の劣化の度合いを判断する方法が記載されている。
また、下記特許文献2には、被膜の吸収スペクトルを測定して、被膜成分に由来する吸光度と樹脂成形品の成分に由来する吸光度との比を計測して、被膜中における被膜成分の官能基量と樹脂成形品の成分の官能基量との割合を求める方法が記載されている。
特開平11−352050号公報 特開2002−22648号公報
しかしながら、上記記載の直接的な診断方法は、樹脂材料の破壊検査であるため、試験片を切り出した樹脂材料が仮に劣化していない場合でも、診断後にはその取り替えが必要になるという問題がある。
また、間接的な診断方法のうち、黄変や光沢などを観測する外観検査の場合、樹脂材料の設置環境による変動要因が大きく、また透明な樹脂材料の場合は黄変の測定が屋外では困難であるなど、検査結果から機械特性の劣化度合いを予測する精度が高くないという問題がある。また、黄変や光沢が確認された時点で樹脂材料の機械特性は一般に既に相当程度劣化してしまっていることから、樹脂材料の劣化を安全に事前予測することができないという問題がある。
また、特許文献1に記載の診断方法の場合、硬質樹脂については樹脂の硬度によって超音波の伝播速度が大きく変動して測定誤差の影響が大きくなるため、伝播速度の低下度合いを正確に判断することは困難であって診断精度が高くないという問題があった。
また、特許文献2に記載の診断方法は、樹脂成形品の耐候性を予測するものであって、実際に屋外暴露環境下で使用された樹脂成形品の劣化度合いを診断するものではない。したがって、かかる方法では、長い年月に亘って様々な環境下で風雨や紫外線に曝された樹脂成形品の劣化度合いを個別に診断することはできず、その補修や交換の適切なタイミングを判定することができないという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、屋外暴露された樹脂成形品の機械特性の劣化度を簡便かつ正確に診断し、その補修や交換の適切なタイミングを判断することのできる診断方法を提供するものである。
本発明によれば、紫外線吸収剤を含有する第一樹脂材料からなる表面層で保護された、第二樹脂材料からなる樹脂成形品の機械特性を推定して該樹脂成形品の劣化度を診断する方法であって、
前記第一樹脂材料と同種または異種の樹脂材料からなり前記紫外線吸収剤と同種または異種の紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物で保護された、前記第二樹脂材料からなる試験片を評価サンプルとして、前記樹脂組成物の紫外線透過能と前記試験片の前記機械特性との関係を示す検量線データを取得する取得工程と、
前記表面層の前記紫外線透過能を求める測定工程と、
測定された前記表面層の前記紫外線透過能と前記検量線データとから、前記樹脂成形品の前記機械特性を推定する診断工程と、
を含む樹脂成形品の診断方法が提供される。
紫外線透過能としては、代表的には、紫外線の透過率、紫外線の吸光度、または紫外線吸収剤の濃度を用いることができる。なお、ここでいう紫外線の透過率は、後述するように第二樹脂材料の劣化波長域内の紫外線の透過率を意味する。
そして、測定工程で実測される表面層の紫外線透過能と、取得工程において樹脂組成物から取得される紫外線透過能とは、同一の指標であっても互いに換算可能な異なる指標であってもよい。すなわち、測定工程においては、検量線データを構成する紫外線透過能と同一の指標を表面層から実測して紫外線透過能を求めてもよく、または、異なる指標を表面層から実測し、これを換算して紫外線透過能を求めてもよい。例えば、試験片を保護する樹脂組成物からは所定波長の紫外線に関する吸光度を取得して検量線データを取得しておき、診断対象となる表面層に関しては同じく所定波長の紫外線に関する最大透過率を実測してもよい。この場合、上記の測定工程は、表面層の最大透過率を実測する工程と、実測された最大透過率を吸光度に換算する工程とを含む。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法においては、より具体的な態様として、前記取得工程において、ともに紫外線暴露された、前記樹脂組成物に関する前記紫外線透過能と、前記試験片に関する前記機械特性とを、紫外線暴露時間ごとに対応づけて前記検量線データを取得してもよい。
ここで、検量線データに関し、樹脂組成物の紫外線透過能に関する紫外線暴露時間ごとの取得タイミングと、試験片の機械特性に関する紫外線暴露時間ごとの取得タイミングとは共通であっても互いに相違してもよい。また、紫外線透過能が取得される樹脂組成物と、試験片とは、同時に紫外線暴露に供されることを要しない。すなわち、紫外線透過能の取得に供される樹脂組成物と、機械特性が取得される試験片を保護する樹脂組成物とを個別に設けてもよい。なお、紫外線暴露は直接屋外暴露にておこなっても、人工促進暴露にておこなってもよい。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法においては、より具体的な態様として、前記診断工程において、前記表面層の前記紫外線透過能が、予め設定された劣化領域に属する場合に、前記樹脂成形品が劣化状態にあると診断してもよい。
ここで、劣化領域とは、診断対象である樹脂成形品および表面層が紫外線暴露されて、樹脂成形品の機械特性が所定以下に低下したと推定される状態をいう。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法においては、より具体的な態様として、前記検量線データに基づいて描かれた、前記樹脂組成物の前記紫外線透過能と前記試験片の前記機械特性との関係を示す検量線が変曲点を備えるとともに、
前記劣化領域の開始点が、前記変曲点よりも安全側に設定されていてもよい。
ここで、劣化領域の開始点が、前記変曲点よりも安全側に設定されるとは、経時的に低下する試験片の機械特性が変曲点を超える前の時点において、樹脂成形品が劣化している、すなわち補修または交換をすべきタイミングであると診断することを意味する。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法においては、より具体的な態様として、前記第一樹脂材料および前記樹脂組成物が、紫外線遮蔽能を有する無機フィラーを実質的に含有していないこととしてもよい。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法においては、より具体的な態様として、前記第一樹脂材料と前記樹脂組成物とが異種の樹脂材料からなってもよい。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法においては、より具体的な態様として、前記第一樹脂材料が含有する前記紫外線吸収剤と、前記樹脂組成物が含有する前記紫外線吸収剤とが異種の材料であってもよい。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法においては、より具体的な態様として、前記第二樹脂材料がポリカーボネートであってもよい。
なお、表面層や樹脂成形品をはじめとする本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
また、本発明による樹脂成形品の診断方法を説明するにあたり、複数の工程を順番に記載することがあるが、明示の場合を除き、その記載の順番は工程を実行する順番を必ずしも限定するものではない。また、複数の工程は、明示の場合を除き、個々に相違するタイミングで実行されることに限定されず、ある工程の実行中に他の工程が発生すること、ある工程の実行タイミングと他の工程の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
本発明の樹脂成形品の診断方法によれば、屋外設置された樹脂成形品の劣化の発生の有無およびその劣化度を簡便かつ正確に診断し、補修や交換の適切なタイミングを判断することができる。また、本発明の診断方法では、樹脂成形品を保護する表面層の紫外線透過能から当該樹脂成形品の機械特性を診断することから、樹脂成形品を非破壊にて検査することができる。
また、検量線データを取得する樹脂組成物と診断対象である樹脂成形品を保護する表面層、およびこれらが含有する紫外線吸収剤は、互いに同種であることに限られない。このため、予め取得された検量線データに基づいて、多くの診断対象の樹脂成形品に関して汎用的にその機械特性の劣化度を診断することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本実施形態にかかる樹脂成形品の診断方法により劣化度が診断される対象部材30を示す模式図である。
はじめに、本実施形態の診断方法の概要について説明する。
本実施形態の診断方法は、紫外線吸収剤を含有する第一樹脂材料からなる表面層10で保護された、第二樹脂材料からなる樹脂成形品20の機械特性を推定してその劣化度を診断する方法である。
そして、本実施形態の診断方法では、第一樹脂材料と同種または異種の樹脂材料からなり前記紫外線吸収剤と同種または異種の紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物で保護された、第二樹脂材料からなる試験片(第二試験片22)を評価サンプルとして、樹脂組成物の紫外線透過能と第二試験片22の機械特性との関係を示す検量線データを取得する取得工程と、表面層10の紫外線透過能を求める測定工程と、測定された表面層10の紫外線透過能と検量線データとから、樹脂成形品20の機械特性を推定する診断工程と、を含む。
次に、本実施形態の診断方法について詳細に説明する。
<対象部材>
同図(a)に示す対象部材30は、紫外線暴露環境に設置された診断対象であり、第二樹脂材料からなる樹脂成形品20の表面を、第一樹脂材料からなる表面層10で保護してなる。樹脂成形品20のうち、紫外線暴露されるのは実質的に表面層10が設けられた表面側(同図における上側)のみである。
樹脂成形品20は、一種または二種以上の樹脂材料からなる第二樹脂材料を成形してなる。
第二樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)、ポリカーボネート(PC)と他の樹脂材料とのポリマーアロイ、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)などを例示することができる。このうち、ポリマーアロイを構成する他の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルを例示することができる。
第二樹脂材料には、照射により架橋が破壊されやすい固有の劣化波長が材料ごとに存在する。
例えば、ポリカーボネートの場合、太陽光に含まれる紫外線のうち、320nm波長の紫外線が照射された場合に、もっとも劣化しやすいことが知られている。以下、太陽光に含まれる紫外線のうち、樹脂成形品20を構成する第二樹脂材料をもっとも劣化させる紫外線の波長を劣化波長という。かかる劣化波長は、第二樹脂材料の吸光特性と、太陽光における紫外線波長成分の含有比率に基づいて決定される。本実施形態においては、第二樹脂材料を有意に劣化させる紫外線の波長域(上記の劣化波長を含む)を劣化波長域というものとする。以下、断りなく紫外線と表記した場合は、第二樹脂材料に対する劣化波長域内の紫外線を意味する場合がある。
表面層10は、樹脂成形品20の表面に積層形成された耐候層であり、紫外線吸収剤(UVA)を含む第一樹脂材料から構成される。
表面層10を構成する第一樹脂材料と、樹脂成形品20を構成する第二樹脂材料とは互いに同種の樹脂材料であっても、異種の樹脂材料であってもよい。
第一樹脂材料は、紫外線透過性の樹脂材料であり、紫外線遮蔽能を有する無機フィラーを実質的に含有していない。具体的な第一樹脂材料としては、アクリル樹脂やポリエステルなどの耐候性樹脂を用いることができる。
なお、本実施形態において、紫外線遮蔽能を有する無機フィラーを第一樹脂材料が実質的に含有していないとは、紫外線遮蔽以外の目的、すなわち、耐熱性もしくは難燃性の付与、または光散乱による装飾用などの目的で、無機材料が第一樹脂材料に添加されていることを排除するものではない。
紫外線遮蔽能を有する無機フィラーの含有率は、第一樹脂材料に対して1.0wt%以下、好ましくは0.1wt%以下とすることが好ましい。
無機フィラーの含有率を1.0wt%以下とすることにより、紫外線暴露された第一樹脂材料における紫外線透過能の経時劣化が全般的に有意に観察されるため、樹脂成形品20の機械特性の劣化が高い精度で診断可能となる。さらに、無機フィラーの含有率を0.1wt%以下とすることにより、後述する警戒領域における第二樹脂材料の紫外線透過能の経時変化幅が十分に確保されるため、樹脂成形品20の劣化状態の開始点が高い精度で予測可能となる。
第一樹脂材料が含有する紫外線吸収剤の吸収波長は、樹脂成形品20の劣化波長を少なくとも含み、劣化波長域の全体をカバーするものであることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤および糖系紫外線吸収剤からなる群より選択されるいずれかの種類に属するものを用いることができる。
使用する紫外線吸収剤は特に限定されないが、紫外線吸収能や耐久性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤またはトリアジン系紫外線吸収剤が好適に用いられる。
表面層10の成形方法としては、以下の三つを例示することができる。
(1)紫外線吸収剤を含む第一樹脂材料と、第二樹脂材料とを共押し出し(二層押し出し)して表面層10および樹脂成形品20を一体成形する共押し出し方法。
(2)紫外線吸収剤を含む第一樹脂材料をフィルム状に薄膜成形し、予め成形した樹脂成形品20にこれを貼り付ける貼付方法。
(3)第一樹脂材料を有機溶剤などに溶解して紫外線吸収剤を混合し、予め成形した樹脂成形品20にこれを塗布したのち、乾燥および必要に応じて焼成する塗布方法。
表面層10の層厚さは特に限定されるものではないが、樹脂成形品20の経時劣化が生じる程度の長期間に亘り十分な耐候性が得られる厚さとする。具体的には、例えば5〜200μm程度とすることができる。
一方、対象部材30の基材となる樹脂成形品20の厚さは特に限定されず、用途に応じて例えば1〜20mmとすることができる。したがって、単純計算で、樹脂成形品20は表面層10に対して5〜4000倍の厚さを有する。このうち、樹脂成形品20と表面層10との厚さ比を10倍以上、好ましくは100倍以上とすることにより、対象部材30の機械強度は、主として樹脂成形品20の機械特性に支配されることとなる。そして、本実施形態の診断方法によれば、樹脂成形品20の機械特性の劣化が推定されるため、対象部材30全体の機械強度の低下という観点でも高い精度での推定が可能である。
屋外に設置されて紫外線暴露される対象部材30には、同図(b)に示すように表面層10に対して紫外線UVが長期間に亘り照射される。設置当初の対象部材30は、表面層10に含有されている紫外線吸収剤の働きにより、樹脂成形品20の劣化波長域内の紫外線UVが表面層10で吸収され、樹脂成形品20にはこれが到達しない。屋外設置当初、表面層10における紫外線UVの吸光度は最大であり、紫外線透過率は実質的にゼロである。
屋外設置されてから所定時間が経過すると、紫外線吸収剤が紫外線UVにより分解され、および表面層10より揮散して、表面層10の紫外線吸光度は低下していく。そして、表面層10における紫外線吸光度が低下して、紫外線透過率がゼロから正に転じると、同図(c)に示すように、対象部材30に照射された紫外線UVは表面層10を透過して樹脂成形品20に至る。
以降、樹脂成形品20は、紫外線UVの暴露により徐々に機械特性が低下し、全体として劣化していく。
<試験片>
本実施形態の診断方法では、対象部材30の診断に先駆けて、評価サンプルの紫外線暴露試験に基づいて検量線データを取得しておく。検量線データは、表面層10の紫外線透過能から樹脂成形品20の機械特性の劣化度を推定するための指標となるデータである。
図2(a)〜(c)は、評価サンプルを示す模式図である。
評価サンプルとしては、表面層10を模擬した第一試験片12と、樹脂成形品20を模擬した第二試験片22とを少なくとも用いる。
(第一試験片)
第一試験片12は、対象部材30の表面層10を構成する第一樹脂材料と同種または異種の樹脂材料からなり、表面層10と同種または異種の紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物からなる。第一試験片12を構成する樹脂材料は紫外線透過性を有し、紫外線遮蔽能を有する無機フィラーを実質的に含有していない。
具体的には、本実施形態の場合、表面層10と第一試験片12とは同種の樹脂材料からなり、含有する紫外線吸収剤に関しても互いに共通としている。
ここで、第一試験片12が含有する紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤および糖系紫外線吸収剤からなる群より選択されるいずれかの種類に属するものを用いることができる。
第一試験片12による表面層10の模擬精度の観点から、第一試験片12が含有する紫外線吸収剤と、表面層10が含有する紫外線吸収剤とは、同一の種類に属するものを用いることが好ましい。
ここで、本発明者らの検討によれば、紫外線吸収剤を含有する樹脂材料に関する紫外線透過能の経時変化は、樹脂材料からの紫外線吸収剤の揮散による影響が支配的であり、一般に樹脂材料や紫外線吸収剤の種別ごとの差異が与える影響は小さいことが明らかとなっている。したがって、評価サンプルとして用いられる第一試験片12と、診断に供される表面層10とが異なる樹脂材料からなってもよく、また、これらが含有する紫外線吸収剤が互いに異種のものであってもよい。
また、第一試験片12および表面層10が含有する紫外線吸収剤の初期濃度に関しても同様であり、互いに同一濃度であっても、異なる濃度であってもよい。なお、第一試験片12に関する紫外線吸収剤の初期濃度とは、評価サンプルの紫外線暴露試験の初期状態における濃度をいい、表面層10に関する初期濃度とは、屋外暴露開始時の濃度をいう。
なお、第一試験片12および表面層10の紫外線吸収剤の初期濃度は、樹脂成形品20を構成する第二樹脂材料の劣化波長域内の紫外線に対する透過率が実質的にゼロとなる程度に十分に高いことが好ましい。初期濃度を1.5〜2.0wt%とすることにより、紫外線吸収剤の種類によらず、第二樹脂材料の初期の紫外線透過率は0%となる。
第一試験片12の層厚さについては、十分な耐候性が得られる限り、表面層10と同等であっても相違してもよい。無機フィラーを実質的に含有していない第一試験片12においては、これに含有される紫外線吸収剤によって紫外線透過能が支配的に決定され、樹脂材料自体による影響は一般に無視することができる。したがって、第一試験片12の層厚さが表面層10と同等であることは要しない。
なお、第一試験片12が含有する無機フィラーの含有率に関しては、診断対象である対象部材30の表面層10と同等、すなわち同オーダーであることが好ましい。なお、表面層10および第一試験片12が含有する無機フィラーの含有率がともに1.0wt%以下である場合は、表面層10および第一試験片12の紫外線透過能に対する無機フィラーの影響が十分に小さくなるため、上記含有率は互いに相違してもよい。
第一試験片12は、図2(a)に示すように、屋外設置されて所定の照射強度にて紫外線UVに暴露され、紫外線透過能の経時変化のパターンが測定される。
具体的な測定方法は種々を採りうるが、以下の3つの方法を例示することができる。
(1)所定厚さに薄膜化した第一試験片12のサンプルの透過光について、紫外可視分光光度計を用いて紫外可視分光スペクトルを測定し、紫外線の最大透過率もしくは吸光度、または第二樹脂材料の劣化波長の紫外線の透過率を測定する透過光測定法;
(2)第一試験片12に照射した紫外線の反射光について、紫外可視分光光度計を用いて紫外可視分光スペクトルを測定し、紫外線の最大透過率もしくは吸光度、または第二樹脂材料の劣化波長の紫外線の透過率を測定する反射光測定法;
(3)有機溶媒に第一試験片12を溶解して紫外線吸収剤を抽出し、クロマトグラフィーを用いてその濃度を算出し、上記(1)による紫外線の(最大)透過率や吸光度に換算する濃度測定法。
本実施形態では、上記(3)の濃度測定法を用いて紫外線吸収剤の濃度(吸収剤濃度)をまず測定し、これを劣化波長域内の紫外線の最大透過率に換算することにより、第一試験片12の紫外線透過能を求める。ただし、紫外線透過能としては、劣化波長域内の紫外線の最大透過率に代えて、吸収剤濃度をそのまま用いてもよく、または劣化波長の吸光度を採用してもよい。紫外線透過能として吸収剤濃度や劣化波長の吸光度を用いた場合には、表面層10の紫外線暴露の開始当初から、暴露量に応じて吸光度が漸減する様子が観察されることとなる。このため、紫外線の最大透過率に代えて吸収剤濃度や紫外線吸光度を用いれば、樹脂成形品20の劣化の発生をより事前に把握することができるといえる。
(第二試験片)
図2(b)に示す第二試験片22は第二樹脂材料からなり、紫外線が照射される表面は、第一試験片12を構成する樹脂組成物によって保護されている。すなわち、第二試験片22には、紫外線吸収剤を含有する表面保護層14が設けられている。
ここで、表面保護層14および第一試験片12に関する紫外線透過能の経時変化のパターンは、本実施形態による樹脂成形品20の診断精度を有意に低下させない程度に同等、すなわち実質的に共通に構成されている。このため本実施形態においては、表面保護層14と第一試験片12は、樹脂組成物、これに含有する紫外線吸収剤の種別および初期濃度を共通としている。
したがって、図2(a)に示すように第一試験片12を個別のテストピースとして紫外線暴露試験に供するほか、積層試験片32の表層にあたる表面保護層14を第一試験片12として用いてもよい。すなわち、積層試験片32に関して紫外線暴露試験を行い、その表面保護層14を第一試験片12として所定の経過時間ごとに採取して紫外線透過能を測定し、一方、第二試験片22についても所定の経過時間ごとに機械特性を測定して検量線データを取得してもよい。
図2(b)に示すように、第二試験片22には、表面保護層14を介して紫外線UVが照射され、その機械特性の劣化度が測定される。機械特性としては、引張伸び率または引張強度を測定する。
機械特性の測定は、第二試験片22のみについておこなってもよく、または第二試験片22と表面保護層14を積層した積層試験片32についておこなってもよい。本実施形態のように第二試験片22の厚さが表面保護層14の厚さよりも1桁以上大きい積層試験片32の機械特性は、第二試験片22の機械特性が支配的となるためである。
また、表面保護層14の耐候性が第二試験片22よりも高く、第二試験片22の劣化の開始時点において表面保護層14の劣化が無視できる場合についても、第二試験片22の引張伸び率や引張強度の低下が、すなわち積層試験片32の全体の機械特性の劣化をもたらすこととなる。
そして、表面保護層14の紫外線吸光度が経時的に低下して紫外線透過率が正に転じる、すなわち実質的にゼロでなくなると、照射された紫外線UVは図2(c)に示すように表面保護層14を透過して第二試験片22に至る。これ以降、第二試験片22は紫外線照射によって劣化を始め、機械特性が低下していくこととなる。
<診断方法>
本実施形態の診断方法では、取得工程において、樹脂組成物(第一試験片12、表面保護層14)の紫外線透過能の経時的な変化と、第二試験片22の機械特性の経時的な変化とを関連づけた検量線データを求める。つぎに、測定工程において、表面層10の紫外線透過能を求める。そして、診断工程において、測定された表面層10の紫外線透過能と検量線データとから、樹脂成形品20の機械特性を推定する。
(取得工程)
取得工程においては、ともに紫外線暴露された、樹脂組成物に関する紫外線透過能と、第二試験片22に関する機械特性とを、紫外線暴露時間ごとに対応づけて検量線データを取得する。
検量線データとしては、樹脂組成物の紫外線透過能と第二試験片22の機械特性とを対応付けたテーブル、検量線(グラフ)または数式などの形式で予め算出しておくことができる。
樹脂組成物の紫外線透過能と第二試験片22の機械特性とは、正または負の相関を有する。
そして、本実施形態の診断方法においては、樹脂組成物(表面保護層14)を紫外線が透過し始めてから、すなわち第二試験片22の紫外線暴露が開始してから、第二試験片22の機械特性は所定期間に亘って漸減した後に急落するという特異なパターンをとることが、本発明者らの検討により明らかとなっている。そして、本発明者らの知見によれば、持続的な紫外線暴露をうけた多くの樹脂材料(第二樹脂材料)について、同様に、所定量の紫外線が照射された時点でその機械特性が急激に低下することが明らかとなっている。
そして、本実施形態では、樹脂組成物(表面保護層14)の紫外線透過率が正に転じてから、これに保護された第二試験片22の機械特性が急落するまでのタイムラグに着目し、樹脂組成物(表面保護層14)の紫外線透過能に基づいて第二試験片22の機械特性の劣化度合いを推定している。これにより、第二試験片22の機械特性が急激に低下する前の安全側における劣化診断を可能にしている。
なお、検量線データとしては、表面層10と第一試験片12の紫外線透過能、または、第二試験片22と樹脂成形品20の機械特性に関して、互いに換算するための換算テーブルや換算式を組み合わせて用いてもよい。
例えば、第一試験片12に関する紫外線吸光度と第二試験片22に関する引張伸び率とを対応付けた検量線データを算出しておき、対象部材30の表面層10から実測した紫外線透過率に基づいて、樹脂成形品20の引張伸び率や引張強度を推算することとしてもよい。紫外線透過率と紫外線吸光度、および引張伸び率と引張強度とは互いに所定の精度で換算可能だからである。
(測定工程)
測定工程においては、表面層10の紫外線透過能を求める。具体的には、第一試験片12と同様に、上述の透過光測定法、反射光測定法または濃度測定法等により、表面層10の紫外線透過能として、樹脂成形品20(第二樹脂材料)の劣化波長域内の紫外線に対する吸光度、紫外線透過率または吸収剤濃度を実測する。
そして、実測された表面層10の紫外線透過能を、必要に応じて検量線の指標値(本実施形態の場合、最大透過率)に変換した上で、樹脂成形品20が劣化状態にあるか否かを診断する。
なお、紫外線の吸光度および吸収剤濃度は、屋外暴露の開始時点から徐々に低下していく。一方、表面層10の紫外線透過率は、吸光度や吸収剤濃度が十分に高い間は実質的にゼロの状態を保つ。そして、吸光度が所定以下となったときに、紫外線透過率は正に転じる。そして、吸光度または吸収剤濃度を測定した場合には、公知の方法により紫外線透過率に換算することができる。また、紫外線透過率がゼロでない場合については、紫外線透過率の測定値から公知の方法により吸光度を換算することが可能である。
(診断工程)
診断工程においては、表面層10の紫外線透過能が、予め設定された劣化領域に属する場合に、樹脂成形品20が劣化状態にあると診断する。具体的には、樹脂成形品20の劣化領域の下限値にあたる開始点を検量線に対して予め設定しておき、測定工程で求められた表面層10の紫外線透過能と開始点との大小関係により、樹脂成形品20が相当程度に劣化した状態にあるか否かを診断する。
劣化領域の開始点は、検量線データに対して種々の観点で設定することができる。
また、診断工程においては、樹脂成形品20が相当程度に劣化した状態にあり補修や回収が必要と判断される寿命領域のほか、樹脂成形品20の劣化度の高低に応じて、警戒領域および安全領域を設けてもよい。例えば、表面層10における紫外線の最大透過率がゼロである間を安全領域と定めることができる。そして、樹脂成形品20への紫外線照射が開始してから、劣化状態の開始点までの間を警戒領域と定めることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
<紫外線吸収剤の経年変化>
図2(b)に示す積層試験片32を作成し、JIS K7219のA法(直接暴露)に基づいて屋外暴露試験をおこなった。
評価サンプルである第二試験片22を構成する第二樹脂材料としてはポリカーボネートを用いた。第二試験片22の表面を被覆する表面保護層14としては、アクリル樹脂材料に対して1.5〜2.0wt%の濃度で紫外線吸収剤を混合してなる樹脂組成物を用いた。表面保護層14の厚さは0.05mmとし、第二試験片22の厚さは5mmとした。
紫外線吸収剤には、二種類のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、およびトリアジン系紫外線吸収剤の、合計三種類を用いた。これらの紫外線吸収剤は、いずれも市販されている。
図3は、紫外線暴露開始からの経過期間を横軸、紫外線吸収剤の初期濃度を100%とした場合の残存濃度(保持率)を縦軸としたグラフである。経過期間は規格化している。同図より、紫外線吸収剤は種別により減少速度が異なることが分かる。
<積層試験片の引張伸び率の経年変化>
図4は、上記三種類の紫外線吸収剤を含む表面保護層14で第二試験片22を被覆した積層試験片32の伸びの経年変化を示すグラフである。横軸は紫外線暴露開始からの規格化された経過期間であり、縦軸は初期の引張伸び率を100%とした場合の引張伸びの保持率である。
なお、引張伸び率の測定は、JIS K7162に基づいておこなった。
この結果より、紫外線吸収剤を相違させた場合も、所定の年月が経過することにより積層試験片32の引張伸び率が変曲点をまたいで急激に低下するという傾向において一致していることが分かった。
なお、表面保護層14の引張剛性は第二試験片22に対して無視しうる程度であるため、積層試験片32の引張伸び率の低下は、すなわち第二試験片22の引張伸び率の低下を意味している。
ただし、図4に示すように、紫外線吸収剤の種別によって、第二試験片22の引張強度に関する変曲点を迎える経過年数は相違する。
<積層試験片の引張伸び率と紫外線透過能との関係>
これに対し、表面保護層14による紫外線透過能と積層試験片32の引張伸び率との関係をプロットすることにより、紫外線吸収剤の種別の相違による診断結果への影響を排除することができる。換言すると、表面保護層14による紫外線透過能と積層試験片32の引張伸び率に関する特性図は線状(検量線)をなす。
図5は、横軸を表面保護層14の紫外線透過率とし、縦軸を積層試験片32の引張伸びの保持率とした検量線のグラフである。なお、同図では、上記三種の紫外線吸収剤に関する試験結果を統合してプロットし、検量線を合わせ描きしている。
これらの結果より、表面保護層14による紫外線透過能と積層試験片32の引張伸び率とは、いずれも紫外線吸収剤の種別によらず高い相関があることがわかった。また、表面保護層14が所定の紫外線透過能をまたぐことで、紫外線吸収剤の種別によらず積層試験片32の引張伸び率が急激に低下することがわかった。
具体的には、図5が示すように表面保護層14の紫外線透過率が10ないし20%を上回ると、積層試験片32の引張伸び率は急激に低下した。
このように、表面保護層14の紫外線透過率などの紫外線透過能を指標として、積層試験片32または第二試験片22の引張伸び率との相関関係を求めて検量線を予め取得しておくことにより、紫外線吸収剤の初期濃度が不明の診断対象に対しても劣化診断が可能となる。
<施工品の診断>
図6は、上記した積層試験片32に関してJIS K7219のA法(直接暴露)に基づいて屋外暴露試験をおこなって得られた検量線と、紫外線暴露環境が互いに異なる屋外に設置された施工品である10種類の対象部材30に関する測定結果とをプロットしたグラフである。
横軸には表面保護層14または表面層10の紫外線透過率をとり、縦軸には第二試験片22または樹脂成形品20の引張伸びの保持率をとっている。
対象部材30は、基材である樹脂成形品20にポリカーボネートを用いている点で積層試験片32と共通している。樹脂成形品20の引張伸びの保持率は、JIS K7162に基づいて施工品より測定した引張伸びの値を、ポリカーボネートの初期状態で除して求めたものである。
また、表面層10の厚さは200μm以下であり、その引張剛性が対象部材30の機械特性に対して無視できる点で積層試験片32と共通している。
また、対象部材30の表面層10に含まれる紫外線吸収剤の種別は、施工品である対象部材30ごとに異なる。
図6に示す検量線は、紫外線透過率が35%程度において変曲点IPを有している。
そして、10種類の施工品から測定された紫外線透過率および引張伸びの保持率は、いずれも検量線によく一致し、変曲点IPの前後において対象部材30の機械特性が良好な領域Aと、機械特性が劣化した領域Bとに明確に区別することができることが分かった。
また、10種類の施工品は、それぞれ紫外線暴露環境および紫外線吸収剤の種別が異なる診断対象であるが、いずれも検量線によく一致した。したがって、本実施例においては、紫外線暴露環境や紫外線吸収剤の種別という変動要因は診断結果に影響を及ぼさないことが分かった。
本実施例においては、樹脂成形品20が劣化していることを示す劣化領域の開始点を、変曲点IPよりも安全側に設定する。
図6において安全側とは、引張伸び率が初期状態に近い状態を意味し、図中の領域Aに相当する。
すなわち、本実施例においては、診断対象である表面層10から求められた紫外線の最大透過率が、35%以下に設定された所定値を超えた場合に、これに保護された樹脂成形品20が劣化状態にあると診断する。
より具体的には、所定期間(例えば数ヶ月から数年)ごとに測定タイミングが設けられて経時的に求められた表面層10の最大透過率が、次回の測定タイミングにおいて変曲点IPを跨ぐと予想される時点を、樹脂成形品20の劣化領域の開始点(図中、点C)と定めるとよい。
そして、表面層10における紫外線の最大透過率が開始点よりも大きくなる領域を、樹脂成形品20が劣化した寿命領域と診断することができる。
一方、紫外線暴露の開始から、劣化領域の開始点(点C)までの間については、安全領域または警戒領域と定めることができる。
本実施例の場合は、表面層10における紫外線の最大透過率がゼロである間を、樹脂成形品20の安全領域と定めることができる。そして、紫外線の最大透過率が正に転じてから劣化領域の開始点(点C)に至るまでの、領域Aに属する間を、樹脂成形品20の警戒領域と定めることができる。
本実施例によれば、図6に示す特性図(検量線)を用いることで、施工された対象部材30が上記の安全領域、警戒領域、または寿命領域のいずれに属するかが一目で判断でき、劣化の度合いを把握することができる。
なお、上記実施例において、樹脂組成物(表面保護層14)が含有する紫外線吸収剤の初期濃度を増減させた場合、表面保護層14を紫外線が透過して第二試験片22が紫外線暴露されるまでの経過年数は変動するものの、第二試験片22の紫外線暴露が開始して以降の機械特性の経時変化の態様は変わらない。よって、樹脂組成物が含有する紫外線吸収剤の初期濃度が十分に高い(例えば紫外線の最大透過率がゼロである期間を有する)場合は、これを増減させた場合も、図6に示す検量線の形状は不変である。
このため、診断対象である表面層10が含有する紫外線吸収剤の初期濃度と、評価サンプルである表面保護層14が含有する紫外線吸収能の初期濃度が相違する場合でも、測定時点における表面層10の紫外線吸収能と、図6に示す検量線データとに基づいて、樹脂成形品20の機械特性を推定してその劣化度を診断することができる。
図7は、上記した積層試験片32に関して屋外暴露試験をおこなって得られた結果より、横軸を表面保護層14または表面層10に含まれる紫外線吸収剤の濃度(wt%)として、図6と同様に検量線を求めたグラフである。また、同図には、屋外設置された施工品である10種類の対象部材30に関する測定結果をこれにプロットしている。
積層試験片32の表面保護層14には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を、初期濃度1.5wt%で混合した。
図7に示すように、紫外線吸収剤の濃度と対象部材30の機械特性との関係を示す検量線にも変曲点IPが存在することが分かった。本実施例の場合、0.25wt%程度を変曲点IPとしている。
また、図6と同様に、変曲点IPの前後において、診断対象である対象部材30の機械特性が良好な領域Aと、機械特性が劣化した領域Bとに明確に区別することができることが分かる。
以上より、診断対象に関する表面層10の紫外線遮蔽能として、診断時点における表面層10の紫外線吸収剤の濃度を用いた場合も、評価サンプルから得られた検量線を用いて対象部材30の劣化診断が可能であることが分かる。
また、樹脂組成物(表面保護層14)が含有する紫外線吸収剤の種別を変えた場合も、図5に示すように検量線の傾向は不変であり、変曲点IPにあたる表面保護層14の紫外線透過能(最大透過率)の数値も大きく変動するものではない。したがって、表面保護層14と表面層10とが含有する紫外線吸収剤の異同によらず、図5〜7に示す検量線を汎用的に用いて、診断対象である樹脂成形品20が変曲点IPを超える程度に劣化しているか否かを診断することができる。
表面保護層14を構成する樹脂材料と、表面層10を構成する第一樹脂材料の異同に関しても同様であり、これが互いに異種である場合も、図5〜7に示す検量線を汎用的に用いて、診断対象の樹脂成形品20の機械特性の劣化度合いを診断することができる。
上記実施形態および実施例(以下、本実施形態という)にかかる樹脂成形品20の診断方法の作用効果について説明する。
本実施形態の樹脂成形品の診断方法は、評価サンプルから取得された検量線データと、表面層10の紫外線透過能とから樹脂成形品20の機械特性が推定される。これにより、診断対象である樹脂成形品20が屋外設置されてからの経過年数が不明であったとしても、その劣化度が診断される。
また、本実施形態の診断方法では、樹脂成形品20が表面層10で保護されているため、風雨や土砂などの外部環境による汚損の影響が排除される。これにより、樹脂成形品20の劣化は、表面層10を透過する要因、すなわち紫外線暴露による架橋破壊による影響が支配的となる。したがって、本実施形態のように、樹脂成形品20を保護する表面層10の紫外線透過能に基づいて、樹脂成形品20の機械特性を推定することが可能である。
そして、本実施形態では、表面層10の紫外線透過能を測定することで、その時点における樹脂成形品20の機械特性の劣化度が診断される。また、診断時における表面層10の紫外線透過能を測定する本実施形態によれば、樹脂成形品20や表面層10の紫外線暴露環境、すなわち設置場所が日向であったか日陰であったかを問わず、樹脂成形品20の機械特性の劣化度を推定することができる。これにより、紫外線暴露による劣化の進行が遅い日陰に設置された樹脂成形品20と、劣化の進行が速い日向に設置された樹脂成形品20とで、それぞれ同等程度まで機械特性が劣化した時点で、当該樹脂成形品20が劣化したものと診断される。
したがって、本実施形態の診断方法によれば、設置からの経過年数に基づいて劣化を一律に診断する方法とは異なり、樹脂成形品20の紫外線暴露環境に応じた劣化診断が可能であるため、未劣化の樹脂成形品20を補修・交換してしまう虞がなく、環境負荷の低減が図られる。
また、本実施形態の診断方法では、検量線データを取得する取得工程において、ともに紫外線暴露された、樹脂組成物に関する紫外線透過能と、第二試験片22に関する機械特性とを、紫外線暴露時間ごとに対応づけて検量線データを取得している。かかる検量線データを用いることにより、表面層10を構成する第一樹脂材料および表面層10の層厚さ、これに含有される紫外線吸収剤の種別や初期含有量、表面層10や樹脂成形品20の紫外線暴露環境(紫外線照射強度)などの種々の要因によらず、樹脂成形品20の劣化診断が可能になる。これは、第一試験片12を構成する樹脂組成物の紫外線遮蔽能と第二試験片22の機械特性とを、紫外線暴露時間に基づいて対応づけたことにより、上記種々の要因によらず、検量線データに基づいて描かれた検量線(特性図)が同様の形状をなすことに起因する。
したがって、評価サンプルと診断対象における表層部分の成分や寸法の相違、および評価サンプルの紫外線暴露試験環境と診断対象の屋外暴露環境との相違によらず、表面層10から測定された紫外線透過能と検量線データに基づいて、本実施形態によれば樹脂成形品20の劣化度が診断される。
また、本実施形態の診断方法では、劣化領域の開始点が、検量線の変曲点IPよりも安全側に設定されている。これにより、樹脂成形品20の劣化による機械特性の低下を安全に回避することができる。
また、黄変や光沢をはじめとする外観検査による従来の診断方法では、黄変や光沢が観察された時点において既に相当程度に樹脂成形品の機械特性が劣化していることが予想される(図2を参照)ところ、本実施形態によれば劣化領域の開始点を自在に設定することが可能であり、これを機械特性の変曲点IPよりも安全側に設定することができる。
また、本実施形態の診断方法では、表面層10(第一樹脂材料)および第一試験片12(樹脂組成物)が、紫外線遮蔽能を有する無機フィラーを実質的に含有していない。これにより、表面層10および第一試験片12は、紫外線吸収剤の経時的な揮散に応じて紫外線透過能が顕著に変動し、本実施形態の診断方法によって樹脂成形品20の劣化度を精度よく測定することができる。
また、本実施形態の診断方法では、第二樹脂材料としてポリカーボネートを用いている。ポリカーボネートは耐衝撃性や透明性に優れ、天窓やカーポートなど採光性を要する構造部材として汎用されているものの、紫外線照射による経時的な黄変や機械特性の低下が顕著な問題となるため、本方法が好適に用いられる材料である。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば上記実施形態において、表面層10を構成する第一樹脂材料と、第一試験片12を構成する樹脂組成物とを異種の樹脂材料で形成してもよい。
また、第一樹脂材料が含有する紫外線吸収剤と、樹脂組成物が含有する紫外線吸収剤とを異種の材料としてもよい。
このように、表面層10と第一試験片12とで樹脂材料や紫外線吸収剤を相違させた場合も、本実施形態によれば樹脂成形品20の機械特性を推定してその劣化度を診断することができる。すなわち、数少ない検量線データに基づいて、多種多様な樹脂成形品20の劣化診断が可能になる。
また、上記実施形態においては、樹脂成形品20の劣化領域の開始点に関して、検量線の変曲点IPに対して安全側に設けるという観点からその位置を設定しているが、本発明はこれに限られない。
例えば、樹脂成形品20がJIS K6735に規定された呼び歪みを満足する最後の測定時点を、劣化領域の開始点と定めてもよい。すなわち、第二試験片22の引張破壊時呼び歪みが上記既定値の下限値に一致した場合に相当する第一試験片12の指標値(最大透過率)を検量線から予め算出しておく。そして、表面層10における最大透過率がこれに一致した場合を、樹脂成形品20の劣化領域の開始点と診断してもよい。
また、樹脂成形品20において耐衝撃性が低下するのは、一般に引張伸び率や引張強度が低下した後のタイミングである。よって、樹脂成形品20の機械特性として引張伸び率や引張強度を採用して得られた検量線に基づいて樹脂成形品20の劣化度を診断する場合については、樹脂成形品20の劣化領域の開始点を検量線の変曲点IPよりも所定幅内であれば危険側に設定することも可能である。具体的には、所定期間(例えば1年)ごとに測定時点が設けられて求められた表面層10の紫外線透過能が、変曲点IPを跨いだ次の時点を、樹脂成形品20の劣化領域の開始点と定めてもよい。
表面層10に含有される紫外線吸収剤の初期濃度は、対象部材30の屋外設置の開始時に表面層10における紫外線透過率が実質的にゼロとなる程度に十分に高くし、樹脂成形品20の劣化領域の開始点に至るまでの期間を長く確保することが好ましい。ただし、本実施形態の診断方法に関しては、対象部材30の屋外設置の開始時に表面層10における紫外線透過率がゼロを超えるものであってもよい。かかる場合、樹脂成形品20の劣化診断結果は安全側にシフトする。
したがって、紫外線吸収剤の初期濃度が十分に高い(例えば初期状態における紫外線の最大透過率がゼロである)第一試験片12に基づいて算出された検量線を用いて樹脂成形品20の劣化診断をおこなう限り、表面層10における紫外線吸収剤の初期濃度の程度によらず、樹脂成形品20の劣化度を安全側で診断することが可能である。
本実施形態では、第二樹脂材料からなる樹脂成形品20の片面にのみ表面層10が設けられた対象部材30を例示したが、本発明の診断方法はこれに限られない。樹脂成形品20の両面に表面層10が設けられた対象部材30について紫外線露光による劣化を診断する場合は、いずれか一方側の表面層10が劣化領域や警戒領域に至ったと診断されたことをもって対象部材30が劣化した、または劣化が開始していると判断するとよい。これは、樹脂成形品20の両面のうち一方側においてでも硬化がはじまることにより、樹脂成形品20全体の機械特性が顕著に低下するためである。
本発明の実施形態にかかる診断方法に用いられる対象部材を示す模式図である。 (a)〜(c)は、検量線データを算出する試験片を示す模式図である。 紫外線暴露開始からの経過期間を横軸、紫外線吸収剤の初期濃度を100%とした場合の残存濃度(保持率)を縦軸としたグラフである。 三種類の紫外線吸収剤をそれぞれ含む表面保護層で第二試験片を被覆した積層試験片の伸びの経年変化を示すグラフである。 横軸を表面保護層の紫外線透過率とし、縦軸を積層試験片の引張伸びの保持率とした検量線のグラフである。 積層試験片に関して屋外暴露試験をおこなって得られた検量線と、屋外設置された施工品である10種類の対象部材に関する測定結果とをプロットしたグラフである。 横軸を表面保護層または表面層に含まれる紫外線吸収剤の濃度として、図6と同様に検量線を求めたグラフである。
符号の説明
10 表面層
12 第一試験片
14 表面保護層
20 樹脂成形品
22 第二試験片
30 対象部材
32 積層試験片
IP 変曲点

Claims (8)

  1. 紫外線吸収剤を含有する第一樹脂材料からなる表面層で保護された、第二樹脂材料からなる樹脂成形品の機械特性を推定して該樹脂成形品の劣化度を診断する方法であって、
    前記第一樹脂材料と同種または異種の樹脂材料からなり前記紫外線吸収剤と同種または異種の紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物で保護された、前記第二樹脂材料からなる試験片を評価サンプルとして、前記樹脂組成物の紫外線透過能と前記試験片の前記機械特性との関係を示す検量線データを取得する取得工程と、
    前記表面層の前記紫外線透過能を求める測定工程と、
    測定された前記表面層の前記紫外線透過能と前記検量線データとから、前記樹脂成形品の前記機械特性を推定する診断工程と、
    を含む樹脂成形品の診断方法。
  2. 前記取得工程において、ともに紫外線暴露された、前記樹脂組成物に関する前記紫外線透過能と、前記試験片に関する前記機械特性とを、紫外線暴露時間ごとに対応づけて前記検量線データを取得することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の診断方法。
  3. 前記診断工程において、前記表面層の前記紫外線透過能が、予め設定された劣化領域に属する場合に、前記樹脂成形品が劣化状態にあると診断する請求項1または2に記載の樹脂成形品の診断方法。
  4. 前記検量線データに基づいて描かれた、前記樹脂組成物の前記紫外線透過能と前記試験片の前記機械特性との関係を示す検量線が変曲点を備えるとともに、
    前記劣化領域の開始点が、前記変曲点よりも安全側に設定されている請求項3に記載の樹脂成形品の診断方法。
  5. 前記第一樹脂材料および前記樹脂組成物が、紫外線遮蔽能を有する無機フィラーを実質的に含有していないことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の樹脂成形品の診断方法。
  6. 前記第一樹脂材料と前記樹脂組成物とが異種の樹脂材料からなる請求項1から4のいずれかに記載の樹脂成形品の診断方法。
  7. 前記第一樹脂材料が含有する前記紫外線吸収剤と、前記樹脂組成物が含有する前記紫外線吸収剤とが異種の材料である請求項1から6のいずれかに記載の樹脂成形品の診断方法。
  8. 前記第二樹脂材料がポリカーボネートである請求項1から7のいずれかに記載の樹脂成形品の診断方法。
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