JP4244963B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車両に関し、特に、電圧を段階的に変更することができるバッテリを備えたものに関する。
インバータ制御されるモータジェネレータにおいて、トレードオフの関係にある高効率と大出力を両立させる方法として、モータジェネレータに電力を供給するバッテリの電圧を可変にする方法がある。この方法によれば、低負荷時にバッテリを低電圧とすることでインバータの損失を低減し、効率を高めることができる。また、大出力が必要な場合にバッテリを高電圧とすることで、逆起電圧を抑制しつつモータジェネレータに電流を流すことができ、大出力を発生させることができる。このように電圧を可変にする方法としては、DC−DCコンバータを用いる方法があるが、リアクトルが必要であり、また、スイッチ損失が発生するため、搭載性や効率の面で課題がある。
そこで、特開平5-236608号公報では、バッテリの接続状態(直列接続、並列接続)を切り換えることによってバッテリ電圧を可変にする方法を提案している。
特開平5−236608号公報
しかしながら、上記従来技術のように、バッテリの接続状態を切り換えるだけでは、電圧の急激な変化を受けて異常電流が発生し、インバータ、モータジェネレータ等に悪影響を与える可能性がある。
本発明は、このような技術的課題を鑑みてなされたもので、バッテリ電圧を変更するときの急激な電圧変化を抑え、急激な電圧変化に起因する異常電流からインバータ、モータジェネレータ等を保護することを目的とする。
本発明に係るハイブリッド車両は、駆動力源としてのエンジン及び第1のモータジェネレータと、駆動軸にクラッチを介して接続される第2のモータジェネレータと、第1のモータジェネレータと第2のモータジェネレータの間を電気的に接続する電力供給線と、スイッチを介して電力供給線の途中に接続され、電圧を段階的に変更することができるバッテリと、を備える。バッテリの電圧を変更する場合は、クラッチを解放するとともにスイッチを開放し、その後バッテリの電圧を変更し、第2のモータジェネレータの回転速度を制御することで電力供給線の電圧とバッテリの変更後の電圧の差を縮小してからスイッチを再接続する。
本発明によれば、バッテリの電圧変更はバッテリをシステムから切り離した状態で行われ、バッテリのシステムへの再接続は、電力供給線の電圧とバッテリの変更後の電圧の差を縮小した状態で行われるので、電圧の急激な変化を受けて異常電流が発生することがなく、インバータ、モータジェネレータ等を保護することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るハイブリッド車両の概略構成を示している。エンジン10は内燃機関などの原動機であり、車両を駆動するための駆動力を発生する。モータジェネレータ11、12(第1及び第2のモータジェネレータ、以下、ぞれぞれ「MG11」、「MG12」という。)は回転電機であり、エンジン10で駆動されることによって、あるいは車両の運動エネルギを回生することによって発電動作することができる。MG11、12は、バッテリ23、あるいは、発電動作状態にある一方のMGから電力供給を受けて力行動作し、車両を駆動することもできる。MG11、12はインバータ21、22により制御される。
エンジン10、MG11の駆動力は変速機13により走行状況に応じた駆動力に変更され、駆動軸14を介して駆動輪15へと伝達される。駆動軸14の途中には、ギヤ列20、クラッチ19を介してMG12が接続されており、MG12の駆動力も駆動軸14、駆動輪に伝達することができる。なお、ここではクラッチ19として摩擦クラッチを想定しているが、駆動力の伝達、遮断を切り替えることができればよく、ドグクラッチ、電磁クラッチ等、他の要素を用いても構わない。
バッテリ23は、MG11、12との間で電力の受け渡しを行い、後述するように出力端26の電圧を段階的に切り換えることができるバッテリである。バッテリ23の出力端26は、インバータ21とインバータ22の間を接続する直流ライン(電力供給線)25の途中にスイッチ24を介して接続されており、このスイッチ24を開放すれば、システム(MG11、12、インバータ22、22等)からバッテリ23を電気的に切り離すことができる。
図2はバッテリ23、スイッチ24の具体的な構成を示したものである。
バッテリ23は、2つのバッテリモジュール23aと23bで構成され、スイッチ24は2種類のスイッチ24s、24pで構成される。スイッチ24pを構成する2つのスイッチは同期して接続状態、開放状態を切り換えられるスイッチである。スイッチ24s、24pをいずれも開放すればスイッチ24が開放された状態となり、システムからバッテリ23を電気的に切り離すことができる。
スイッチ24は、バッテリ23の出力端電圧VBattを変更する手段を兼ねており、スイッチ24sを接続してスイッチ24pを開放すれば、バッテリモジュール23aと23bが直列接続となり、バッテリ23の電圧VBattは高圧側に変更される。また、スイッチ24pを接続してスイッチ24sを開放すれば、バッテリモジュール23aと23bは並列接続となり、バッテリ23の電圧VBattは低圧側に変更される。スイッチ24sと24pは同時に接続されないようにする必要があり、半導体スイッチで構成されるのが望ましい。
なお、以下の説明では、簡略化のため、バッテリモジュール23a、23bを並列接続にすることを、単に「バッテリ24を並列接続にする」と表現し、直列状態にすることを単に「バッテリ24を直列接続にする」と表記する。
図3はコントローラ1の制御ブロック図のうち、特に、バッテリ23の電圧VBattを変更する可変電圧制御に関する部分を抽出したものである。
可変電圧制御指令部50では、運転者の要求駆動力(アクセルペダルの操作量APO)、バッテリ23状態推定部51からの情報、MG11、MG12の回転速度の状態などから、バッテリ電圧の変更の必要性を判断し、変更が必要であると判断されたときはエンジン10制御部52、MG11制御部61、MG12制御部62、スイッチ24制御部63に必要な指令を発する。一般的に、磁石モータは回転速度が高くなると逆起電力が発生し、電圧が低いままだと出力を出せなくなるので、MG11、MG12の回転速度が所定値を超える場合はバッテリ23を高圧側に変更するのが望ましい。逆に、半導体スイッチからなるインバータを用いたシステムでは、低回転時はシステム電圧を下げたほうが高効率となる。これは、インバータの損失が、システム電圧とMGへの供給電流で決まるためである。このため、MG11、MG12の回転速度が所定値を下回る場合はバッテリ23を低圧側に変更するのが望ましい。
バッテリ23状態推定部51では、バッテリ23の状態を検出し、並列状態および直列状態での最大充放電電力や効率を推定し、可変電圧制御指令部50に情報を伝える。一般的にバッテリは、充電状態や劣化などにより出力特性が異なるため、現状のバッテリの状態に応じた最大充放電電力や効率を推定が必要である。可変電圧制御指令部50では、MG11、12の状態や運転者の要求駆動力と、バッテリ23状態推定部51からの情報より、電圧変更の判断を行う。
電圧変更の判断の結果、昇圧判定が出されると、可変電圧制御指令部50はエンジン10制御部52へ出力補正指令を発する。このとき、補正量は出力を増加させる方向である。また、MG11制御部61およびMG12制御部62に電力バランスを保つように指令を発する。
その後、可変電圧制御指令部50は、クラッチ19制御部64へクラッチ解放指令を発し、クラッチ19を解放させ、スイッチ24制御部63にスイッチ開放指令を発し、スイッチ24を開放させる。そして、直流ライン25の電圧が昇圧後の電圧となるように、MG12に自身の運動エネルギで発電させる制御を行い(MG12の回転速度を低下させる)、この間に、バッテリ23を昇圧させる。直流ライン25の電圧がバッテリ23の昇圧後の電圧まで上昇したら、スイッチ24制御部63にスイッチ24を制御してバッテリ23をシステムに接続する指令を発する。スイッチ24は半導体スイッチであるので、必要に応じてスイッチ24にスイッチング動作を行わせ、直流ライン25とバッテリ23の間の電圧差を解消する。バッテリ23をシステムに接続したら、バッテリ23の電力余裕に応じてMG12の回転速度を制御し、クラッチ19における回転速度差を縮小してクラッチ19を締結する。
逆に、降圧判定が出されると、可変電圧制御指令部50は、クラッチ19制御部64へクラッチ解放指令を発し、クラッチ19を解放させ、スイッチ24制御部63にスイッチ開放指令を発し、スイッチ24を開放させる。そして、MG12を駆動させる(回転速度を上昇させる)ことで、直流ライン25の電圧を低下させ、この間にバッテリ23の電圧を降圧させる。直流ライン25の電圧がバッテリ23の降圧後の電圧まで低下したら、スイッチ24制御部63にスイッチ24を制御してバッテリ23をシステムに接続する指令を発し、必要に応じてスイッチ24にスイッチング動作を行わせる。その後、バッテリ23を接続し、バッテリ23の電力余裕に応じて、MG12の回転速度を制御してクラッチ19における回転速度差を縮小し、クラッチ19を締結する。
コントローラ1の上記可変電圧制御の内容をタイムチャートとフローチャートを参照しながらさらに詳しく説明する。まず、昇圧制御について説明し、その後に降圧制御の内容について説明する。
図4は昇圧制御時の動作を示すタイムチャートである。ここでは、運転者がアクセルペダルを踏み込んで要求駆動力が増大し、バッテリ23の大電力によりアシストが必要となる場合について説明する。
運転者からの要求駆動力の指令であるアクセルペダルの操作量APOが大きく変化し、大きな駆動力が要求されると、可変電圧制御指令部50において昇圧判定が発せられる。モータに比べ、エンジン10は応答性が遅いので、エンジン10の駆動力が立ち上がるまでは、低電圧のままMG12でアシストを行い、エンジン10の駆動力の立ち上がりに合わせて、MG12のアシストを減少させる。
その後、MG12のアシスト力が自身の慣性トルクと等しくなるとクラッチ19を解放する。MG12の慣性トルクを補償した状態でクラッチ19を解放するので、車両の駆動力に変化は生じない。クラッチ19を解放したらMG12の慣性補償を停止する。そして、バッテリ23からの放電電力がゼロ近傍となったらスイッチ24を開放して、バッテリ23をシステムから切り離す。バッテリ23からの電力供給が少ない状態でバッテリ23を切り離すことになるので、直流ラインの極端な電圧低下や異常な電流は発生しない。
バッテリ23を切り離した後は、MG12の運動エネルギをMG12に発電動作させる(MG12の回転速度を低下させる)ことで吸収し、MG12の発電電力によって直流ライン25の電圧を上昇させる。インバータ21および22は平滑コンデンサを有しているので、発電量増大により電荷が増し、インバー21、22の端子電圧は上昇する。この間、バッテリ23を並列接続から直列接続に切り換える。
直流ライン25の電圧がバッテリ23の直列接続時の電圧に近くなると、スイッチ24を動作させて、バッテリ23とシステムとの接続を開始する。上記MG12の回転速度制御によって直流ライン25とバッテリ23の電圧差が小さくなっているので、接続時に過大な電流が発生することはない。さらに、スイッチ24をスイッチング動作させて微小な電圧差を補正し、安全にバッテリ23を接続する。バッテリ23を接続した後は、高圧な状態で、十分なアシスト力を発揮できる。このとき、アシストを行うのはシステムに接続しているMG11である。
バッテリ23を接続した後には、MG12の再接続制御を実施する。これは昇圧制御時、MG12がシステムから切り離されており、昇圧後にMG12を用いたアシストあるいは回生を行うには、MG12を再びシステムに接続する必要があるからである。
この制御においては、バッテリ23の余裕電力を推定し、余剰電力に応じてMG12の回転速度上昇時間(以下、制御時間)を調整する。低下したMG12の回転速度を上昇させ、クラッチ19における回転速度差をゼロにするには、次式(1)で表される出力が必要である。
Figure 0004244963
TcはMG12のロストルク、Δtは制御時間である。JMG12はMG12の慣性モーメント、NClutch19はクラッチ19の駆動軸側回転速度、NMG12はMG12の回転速度であり、クラッチ19のMG12側回転速度である。式(1)からわかるように、制御時間Δtが短いほど要求出力は大きくなるので、バッテリ23の余裕電力が十分の場合に、制御時間Δtを短く設定し、余裕電力が少ない場合は、制御時間Δtを長く設定するようにする。このように、MG12の回転速度制御の応答性をバッテリ23の余裕電力に応じて変更することで、バッテリ23に過放電をさせることなく、MG12の回転速度を上昇させることができる。
図5、図6は図4に示した昇圧制御の内容を示したフローであり、コントローラ1において実行される。このフローは、アクセルペダルの操作量APOの増大を受けて、可変電圧制御指令部50より昇圧要求が発せられたときに実行される。
これによると、まず、ステップS101では、エンジン10の過渡駆動力の発生時期を推定する。これは、エンジン10の駆動力の発生遅れがあり、エンジン10の駆動力の発生遅れに合わせてMG12が低電圧でアシストを行うためである。
ステップS102では、ステップS101で求めた過渡駆動力特性に基づき、エンジン10の駆動力の増大に合わせてMG12のアシストを徐々に低下させる。
ステップS103では、ステップS102の処理により、MG12のトルクがMG12自身の慣性トルク相当まで低下したか判定する。MG12は電流値よりトルクを推定するトルクマップや高精度な回転速度センサであるレゾルバを有しているので、エンジン10よりも慣性トルクを容易に推定することができる。MG12のトルクが慣性トルク相当まで低下したら、ステップS104へ移行し、そうでない場合はステップS102に戻ってMG12の駆動力をさらに低下させる。
ステップS104ではクラッチ19を解放する。この時点では、ステップS102、S103の制御によりMG12が自身の慣性トルクに等しいトルクを発生しているので、クラッチ19を解放してもパワートレインの総イナーシャに変化は無く、運転者に違和感を与えることはない。
ステップS105、S106では、バッテリ23からの電流がゼロ程度になるまでMG12の駆動力を低下させ、バッテリ23からの電流がゼロ程度になったらステップS107に移行する。
ステップS107ではスイッチ24を開放し、バッテリ23をシステムから電気的に切り離す。このとき、バッテリ23とシステムとの電力の受け渡しほとんど無いので、スイッチ24を開放してバッテリ23を切り離しても異常電流は発生しない。
バッテリ23を切り離したら、図6のステップS110へ移行し、MG12の発電量を増大させてMG12の持つ運動エネルギを吸収する。すなわち、MG12を回生動作させてその回転速度を低下させる。インバータ21および22は平滑コンデンサを有しているので、発電量増大により電荷が増し、インバータ21、22の端子電圧は上昇する。この結果、直流ライン25の電圧が上昇する。また、この間に、バッテリ23の接続状態を並列接続から直列接続に変更し、バッテリ23を昇圧させる。
ステップS113では直流ライン25の電圧が目標値程度まで上昇したか判断する。目標値はバッテリ23の直列接続時の電圧あるいはその近傍に設定される値である。直流ライン25の電圧が目標値程度となったとき、ステップS114へ移行する。このとき、既にバッテリ23は直列接続に変更され、出力電圧は上昇している。
ステップS114ではバッテリ23とシステムの接続を開始する。ステップS110、S113の制御により直流ライン25の電圧は昇圧後のバッテリ23の電圧あるいはその近傍の電圧まで高められているので、スイッチ24の接続を開始しても大電流が流れることはない。
ステップS115では直流ライン25とバッテリ23との電圧を比較し、両者に差があるときはステップS114に戻ってスイッチ24のスイッチング動作の制御を行う。そして、両者の電圧が等しくなれば、スイッチ24を完全に接続し、バッテリ23の昇圧制御を終了する。
図7は、MG2の再接続制御の内容を示したフローであり、図5、図6に示したフローを実行した後に実行される。この制御は、上記昇圧制御によりMG12がシステムから切り離されるので、これをシステムに再接続するための制御である。
これによると、まず、ステップS120でバッテリ23の余裕電力を確認する。バッテリ23の余裕電力はバッテリ23の容量、充電状態等に基づき判断する。
ステップS121では、ステップS120で求めたバッテリ23の余裕電力に基づきMG12の回転速度制御の応答性(ゲイン)を決定する。応答性は、上記式(1)における制御時間Δtを変更することで行われ、バッテリ23の余裕電力が大きいほど制御時間Δtを小さく設定し、MG12の回転速度制御の応答性を高くする。
ステップS122では、クラッチ19における回転速度差がゼロになるように、MG12の回転速度制御を開始し、ステップS123でクラッチ19における回転速度差がゼロになったと判定されればステップS124へ移行する。
ステップS124では、クラッチ19を締結し、MG12をシステムに再接続する。クラッチ19における回転速度差がゼロになっているので、締結時にショックが発生することはない。
続いて、降圧制御の内容について説明する。
図8は降圧制御時の動作を示すタイムチャートである。ここでは運転者からの要求駆動力が低下したため、低電圧の高効率状態に移行する場合について説明する。
運転者がアクセルペダルを戻したことにより要求駆動力が減少し、MG11、MG12の回転速度が低い状態であるときは、インバータ損失を減らすために、バッテリ23の電圧を低電圧側に変更する必要があるので、以下に説明する降圧制御を開始する。
可変電圧制御指令部50より降圧要求が発せられると、まず、MG12のトルクをMG12自身の慣性トルクに等しくなるよう制御し(慣性補償制御)。慣性トルクに等しくなったところでクラッチ19を解放する。慣性補償制御はクラッチ19解放後に終了する。そして、バッテリ23からの放電電力がゼロ近傍となったとき、スイッチ24を開放し、バッテリ23をシステムから切り離す。
バッテリ23をシステムから切り離したら、MG12の駆動力を増大させてその回転速度を増大させる。MG12の駆動力を増すことにより、インバータ21、22のコンデンサ等に貯まった電荷が消費され、直流ライン25の電圧は低下する。このとき、MG11はトルクゼロ制御とする。また、この間、バッテリ23を直列接続から並列接続に変更し、電圧を低下させる。
直流ライン25の電圧がバッテリ23の並列接続時の電圧あるいはその近傍まで下がると、スイッチ24を動作させて、バッテリ23をシステムと接続を開始する。上記MG12の回転速度制御により直流ライン25とバッテリ23の電圧差が小さくなっているので、接続時に過大な電流が発生することはない。微小な電圧差があっても、その場合は、スイッチ24をスイッチング動作させて微小な電圧差を補正する電圧調整を行い、バッテリ23を安全に接続する。
バッテリ23接続後は、バッテリ23が低圧な状態となっているのでインバータ21、22における損失を低減し、高効率な走行が可能となる。その後、MG12の回転速度制御を行い、クラッチ19の回転速度と一致したときにクラッチ19を締結し、MG12をシステムに再接続する。
図9は図8に示した降圧制御の内容を示したフローであり、コントローラ1において実行される。このフローは、アクセルペダルの操作量APOの減少を受けて、可変電圧制御指令部50より降圧要求が発せられたときに実行される。
これによると、まず、ステップS401、S402では、MG12の駆動力を低下させ、MG12の駆動トルクがMG12自身の慣性トルク程度まで低下したかどうかを判定する。慣性トルク程度まで低下すればステップS403へ移行する。
ステップS403ではクラッチ19を解放する。MG12はステップS401、S402の制御によりMG12の駆動トルクがMG12自身の慣性トルクに制御されているので、MG12を解放してもショックが発生することはない。クラッチ19を解放したら、MG12の慣性補償制御を終了する。
ステップS404では、スイッチ24を開放してバッテリ23をシステムから電気的に切り離す。このとき、バッテリ23とシステムと間で電力の受け渡しはほとんど無いので、スイッチ24を開放してバッテリ23を切り離しても異常電流は発生しない。
ステップS405では、MG12の駆動力を増大させてMG12の回転速度を上昇させる。バッテリ23が切り離された状態でMG12を駆動すると、インバータ21、22のコンデンサ等に貯まった電荷が消費され、直流ライン25の電圧が低下する。また、このとき、バッテリ23を直列接続から並列接続に切り換え、バッテリ23の電圧を低下させる。
ステップS406では直流ライン25の電圧が目標値程度まで低下したか判定する。目標値はバッテリ23の並列接続時の電圧あるいはその近傍に設定される値である。直流ライン25の電圧がバッテリ23の並列接続時の電圧よりも高い場合は、ステップS404へ戻ってMG12の駆動力をさらに増大させ、直流ライン25の電圧をさらに低下させる。直流ライン25の電圧が目標値程度となったらステップS407へ移行する。
ステップS407ではスイッチ24を制御してバッテリ23の接続を開始する。そして、ステップS408では直流ライン25とバッテリ23との電圧を比較し、電圧差があるときはスイッチ24をスイッチング動作させ、電圧が等しくなったら完全接続としてバッテリ23の降圧制御を完了する。
降圧制御完了後は、MG12がシステムから切り離されているので、図7と同様のMG12の再接続制御を実行する。すなわち、MG12を回転速度制御し、クラッチ19における回転速度差がゼロになったところでクラッチ19を締結し、MG12をシステムに再接続する。これにより、MG12を利用した駆動、回生が可能になる。
以上、本発明の実施の形態の動作及び制御内容について説明したが、本発明の作用効果をまとめると次のようになる。
本発明によれば、バッテリ23の電圧を変更する場合、クラッチ19を解放するとともにスイッチ24を開放した後にバッテリ23の電圧を変更する。そして、MG12の回転速度を制御することで直流ライン25の電圧とバッテリ19の変更後の電圧の差を縮小し、両者の電圧が近づいたところでスイッチ24を接続する。具体的には、バッテリ23の電圧を高圧側に変更する場合は、駆動軸14から解放されたMG12の回転速度を低下さてせ(発電、回生動作)、直流ライン25の電圧を上昇させ、逆に、低圧側に変更する場合は、駆動軸14から解放されたMG12の回転速度を上昇させて(力行動作)、直流ライン25の電圧を低下させる。これにより、バッテリ23の電圧切換え時に、電圧の急激な変化を受けて異常電流が発生することがなく、インバータ、モータジェネレータ等を保護することができる。
また、クラッチ19を解放する前に、MG12のトルクがMG12自身の慣性トルクに等しくなるようMG12をトルク制御するようにしたので、クラッチ解放時にパワートレインの総イナーシャが変化することよる違和感を抑えることができる。
また、バッテリ23の電圧変更後は、MG12を速度制御し、クラッチ19における回転速度差を縮小させた後にクラッチ19を締結するようにした。これによれば、容易にクラッチ19を締結でき、MG12締結後はMG12を再びアシスト、回生に利用することができる。このとき、バッテリ23の出力余裕が大きいほどMG12の回転速度制御の応答性を高く設定するようにすれば、大出力バッテリを有する場合等でバッテリの出力余裕が大きいときは、MG12の回転速度を速やかに変更し、MG12がシステムに接続されるまでの時間を短縮することができる。
また、スイッチ24が半導体スイッチで構成した。上記の通り、バッテリ接続時に電圧差が解消されているので、容量の小さな半導体素子であってもスイッチングで電圧調整が可能である。
なお、上記構成は本発明が適用可能な構成の一例を示したものに過ぎず、本発明はその他の構成のハイブリッド車両、例えば、図10、図11に示した構成のハイブリッド車両に対しても上記制御を適用することができる。
図10は、MG11と変速機14の間にクラッチ16が介装されており、クラッチ16と変速機13の間にMG12がクラッチ19、金属ベルト27を介して接続される構成であり、図11は、MG12が駆動軸14ではなく、第2の駆動輪18に接続する駆動軸17にクラッチ19を介して接続される構成である。これらの構成であっても上記制御を適用することにより、バッテリ電圧変更時の異常電流の発生を抑え、インバータ、モータジェネレータ等を保護することができる。
本発明に係るハイブリッド車両の概略構成図である。 バッテリ、スイッチの具体的な構成を示した図である。 コントローラの制御ブロック図である。 昇圧制御時の動作を示したタイムチャートである。 昇圧制御の内容を示したフローチャートである。 同じく昇圧制御の内容を示したフローチャートである。 MG12の再接続制御の内容を示したフローチャートである。 降圧制御時の動作を示したタイムチャートである。 降圧制御の内容を示したフローチャートである。 本発明を適用可能なハイブリッド車両の別の例を示した図である。 本発明を適用可能なハイブリッド車両のさらに別の例を示した図である。
符号の説明
1 コントローラ
10 エンジン
11 第1のモータジェネレータ(MG11)
12 第2のモータジェネレータ(MG12)
13 変速機
14 駆動軸
15 駆動輪
19 クラッチ
21、22 インバータ
23 バッテリ
24 スイッチ
25 直流ライン(電力供給線)

Claims (7)

  1. 駆動力源としてのエンジン及び第1のモータジェネレータと、
    駆動軸にクラッチを介して接続される第2のモータジェネレータと、
    前記第1のモータジェネレータと前記第2のモータジェネレータの間を電気的に接続する電力供給線と、
    スイッチを介して前記電力供給線の途中に接続され、電圧を段階的に変更することができるバッテリと、
    前記バッテリの電圧を変更する場合、前記クラッチを解放するとともに前記スイッチを開放し、その後前記バッテリの電圧を変更し、前記第2のモータジェネレータの回転速度を制御することで前記電力供給線の電圧と前記バッテリの変更後の電圧の差を縮小してから前記スイッチを再接続する可変電圧制御手段と、
    を備えたことを特徴とするハイブリッド車両。
  2. 前記可変電圧制御手段は、前記バッテリの電圧を高圧側に変更する場合、前記第2のモータジェネレータの回転速度を低下させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
  3. 前記可変電圧制御手段は、前記バッテリの電圧を低圧側に変更する場合、前記第2のモータジェネレータの回転速度を上昇させることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車両。
  4. 前記可変電圧制御手段は、前記クラッチを解放する前に、前記第2のモータジェネレータのトルクがその慣性トルクに等しくなるよう前記第2のモータジェネレータをトルク制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のハイブリッド車両。
  5. 前記可変電圧制御手段は、前記バッテリの電圧変更後、前記第2のモータジェネレータを速度制御し、前記クラッチにおける回転速度差を縮小してから前記クラッチを締結することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のハイブリッド車両。
  6. 前記可変電圧制御手段は、前記バッテリの出力余裕が大きいほど、前記バッテリの電圧変更後の前記第2のモータジェネレータの速度応答性を高く設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のハイブリッド車両。
  7. 前記スイッチが半導体スイッチで構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のハイブリッド車両。
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