JP4243815B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、頭部や腕に装着されるウエアラブルコンピュータや携帯型のコンピュータ等の各種小型情報機器への接続に適した表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小型表示素子として汎用されている透過型カラーTFT液晶表示素子は、RGBの3原色に対応する画素を有する。例えば、解像度800×600ドットの表示素子の場合、各800個のRGBのストライプ状の画素が一列に並列する画素列を、RGBの各カラーフィルタそれぞれに対応して素子基板上に600列ずつ設けるストライプ構造が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ウエアラブルコンピュータや携帯型のコンピュータ等における表示装置は、小型、且つ、高解像度にすることが要求される。例えば、解像度800×600ドットを対角0.4インチの画面サイズで実現するには、画面寸法は約8mm×6mmとなる。そうすると、上記のようなストライプ構造の表示素子を採用した場合、1つの画素寸法は約3.3μm×10μmとなるため、各画素毎に薄膜トランジスタを必要とするTFT型では、各画素の開口率を充分に確保するのが困難になり、明瞭な虚像を形成できなくなる。
【0004】
そこで、カラー液晶表示素子に代えてモノクロ液晶表示素子を採用し、カラーフィルターに代えてRGBの光源素子を点滅制御することで3原色光を順次出射することでカラー画像を形成するフィールドシーケンシャル方式を採用することが検討されている。これにより、例えば、解像度800×600ドットを対角0.4インチの画面サイズで実現する場合、1つの画素寸法は約10μm×10μmになる。
【0005】
そのフィールドシーケンシャル方式を採用した場合、RGBの光源素子の点滅タイミングに同期して、R光源用画面、G光源用画面、B光源用画面が形成されるように液晶を駆動する必要がある。そのため、一般的なカラー画像を形成するには、R光源用画面、G光源用画面、B光源用画面をそれぞれ1秒あたり60フレーム、併せて180フレーム形成する必要がある。しかし、ガラス基板上のアモルファスSiに液晶駆動用薄膜トランジスタや電極等を作り込み、その上に液晶層を設ける従来一般的な構造では、そのような多くのフレームを形成するための高速な画面切り換えは困難である。
【0006】
そこで、単結晶Siの素子基板上に液晶駆動用薄膜トランジスタや電極等を作り込み、その上に液晶層を設ける構造とすることで、高速な画面切り換えを実現することが考えられる。
【0007】
そのような単結晶Siの基板は光は透過させることができないため、透過型液晶表示素子ではなく反射型液晶表示素子を採用する必要がある。すなわち、表示素子の画像表示面に対向する側に光源を配置し、その光源から照射された光の画像表示画面における反射光が画像表示光になる。また、小型の表示装置においては、拡大された虚像を観察者から離れた距離に結像するために、画像表示面の対向側に光学系を配置する必要がある。しかし、その画面の対向側に配置される光源と光学系の双方を表示素子に連結するための専用の部材を用いると、表示装置が大型化するという問題がある。すなわち、表示装置の小型軽量化のために光源と光学系とを如何にして共存配置させるかが実用化の上で重要な課題となっている。
【0008】
本発明は、上記問題を解決することのできる表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示装置は、画像表示面を有する反射型表示素子と、光源ユニットと、その表示素子による表示画像の拡大虚像を形成する光学系とを備える。その光学系は樹脂材からモールド成形されたプリズムを有し、そのプリズムに前記光源ユニットが埋設される。その光源ユニットから出射された光が、そのプリズムを通って前記画像表示面において反射された後にプリズム内に再進入するように、そのプリズムは表示素子に接合される。そのプリズム内に再進入した光がプリズムにより光路変更された後に観察者の眼に導かれることで、観察者からは前記表示素子よりも遠方に拡大虚像が形成される。すなわち、光源光が画像表示面において反射されることで形成される画像表示光を、プリズムにより反射と屈折の双方あるいは一方によって光路変更して観察者に眼に導くことで、拡大虚像が形成される。
本発明の構成によれば、モールド成形されるプリズムに光源ユニットを埋設し、そのプリズムを反射型表示素子に接合することで、専用の部材を用いることなく、その表示素子の画像表示面に対向して拡大光学系と光源を配置し、明瞭な拡大虚像を形成すると共に、表示装置の小型軽量化を図ることができる。
【0010】
好ましくは、その光源ユニットはモールド成形された樹脂製カバーを有し、そのカバーを介して前記プリズムに埋設する。そのプリズムおよびカバーの成形用樹脂は透明であれば特に限定されない。
これにより、そのプリズムの材料となる樹脂材と光源ユニットのカバーの材料となる樹脂材の屈折率を同一あるいは可及的に近いものとし、光源ユニットから出射される光をプリズム内では概ね均質な連続媒質内を進行するものとする。
【0011】
その表示素子はモノクロ反射型液晶表示素子とされ、その光源ユニットは3原色光を出射する光源素子を有し、それら光源素子は3原色光が順次出射されるように点滅制御され、その3原色光の点滅タイミングに応じて赤色光源用画面、緑色光源用画面、青色光源用画面が形成されるように前記表示素子が駆動されるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示す本発明の実施形態の表示装置1は、観察者2に眼鏡3を介して装着される。その眼鏡3は、観察者2が日常使用しているものでもよいし、度数のないレンズが取り付けられたものでもよい。その表示装置1は、本実施形態ではクランプ4により眼鏡3のレンズを解除可能に挟み込むことで取り付けられる。そのクランプ4により眼鏡3のレンズを挟む位置を変更調節することで、観察者2にとって画像を見やすい位置に表示装置1を配置できる。図示の例では、自然な装着感を得られるように、ほぼ眼前のやや下方に表示虚像が形成されるように表示装置1は眼鏡3に取り付けられている。
【0013】
その表示装置1は、ケーシング10と、このケーシング10に内蔵される図2に示す表示ユニット11を備える。その表示ユニット11は、反射型表示素子12と、光源ユニット13と、反射型表示素子12により表示される画像の拡大虚像を形成するための拡大光学系14とを備える。
【0014】
その反射型表示素子12は、本実施形態ではモノクロTFT型液晶表示素子であって、ケーブルを介し15を介して図外駆動回路を含む画像信号の発信源に接続されている。その液晶表示素子として、単結晶Si基板上に薄膜トランジスタや電極等の画素駆動素子を作り込み、その上に液晶層を設け、その液晶層を偏光板と一体のカバーガラスにより覆う構造を採用した高精密な液晶チップが用いられる。
【0015】
図3に示す光源ユニット13は、本実施形態では3原色光を出射する光源素子としてLEDを用いる。図4の(1)〜(4)は光源ユニット13の製造工程を示すもので、金属ベース21上に、複数の赤色LED22、複数の緑色LED23、複数の青色LED24が、それぞれアレイ状に配置される。その金属ベース21と同一素材から、赤色LED用電極25、緑色LED用電極26、青色LED用電極27、GND用電極28が成形される。なお、光源ユニット13の製造途中においては、その金属ベース21と電極25〜28は両端において連結部91、92を介して連結される。各LED22、23、24は対応する電極25、26、27に金ワイヤ29により接続される。
【0016】
図5に示すように、各LED22、23、24は、金属ベース21に形成された凹部21aの内面にダイボンド樹脂31により接合され、上記電極25、26、27との接続用金ワイヤ29はボンディング剤32により各LED22、23、24の電極に接合される。各LED22〜24が接合される凹部21aの内面はリフレクタとして機能し、各LED22〜24の発する光の放射強度を上げる。その凹部21a内に透明な合成樹脂製封止材39が充填される。そのベース21、LED22〜24、電極25〜28、金ワイヤ29は、モールド成形される透明合成樹脂製カバー33により被覆される。その被覆後に、図4の(4)に示すように上記連結部91、92は切断線Cに沿ってベース21と電極25〜28から切断される。
【0017】
図2に示すように、各電極25〜28がコネクタ34、ケーブル35を介して図外光源駆動回路に接続される。本実施形態ではカラー画像を形成するためにフィールドシーケンシャル方式が採用され、その駆動回路からの信号により赤色LED22と緑色LED23と青色LED24とが点滅制御されることで、3原色光が順次出射される。これらLED22〜24の点滅タイミングに応じて赤色光源用画面、緑色光源用画面、青色光源用画面が形成されるように、上記反射型表示素子12が駆動され、これによりカラー画像が形成される。なお、各LED22〜24の出射光を拡散するために、カバー33と封止材39をすりガラス状としたり、カバー33に拡散板を貼り付けても良い。
【0018】
その拡大光学系14は、合成樹脂材からモールド成形されたプリズム40を有する。そのプリズム40に光源ユニット13がカバー33を介して埋設されるように、そのプリズム40の成形時にモールド内に光源ユニット13が配置される。そのプリズム40の材料となる合成樹脂材は、上記カバー33の成形材料と屈折率が同一あるいは可及的に近いものが用いられる。
【0019】
そのプリズム40は、光の透過面41と、第1、第2反射面42、43と、屈折面44とを有する。その透過面41は反射型表示素子12の画像表示面12aと対向する。そのプリズム40の透過面41と反射型表示素子12のカバーガラスとが、プリズム40の成形材料と屈折率が同一あるいは可及的に近い透明接着剤を介して接合される。これにより、図2において矢印で示すように、光源ユニット13から出射される光は、プリズム40を通って透過面41から画像表示面12aに至り、その画像表示面12aにおいて反射されることで画像表示光となる。その画像表示光は、プリズム40内に再進入し、第1、第2反射面42、43における反射と屈折面44における屈折により光路が変更される。その屈折面44の通過によりプリズム40から出射された画像表示光が観察者2の眼に導かれる。本実施形態では、その画像表示面12aは上向きとされ、光源ユニット13からの光は下方に向かうに従い観察者2に近接するように進行し、画像表示面12aにおいて反射されることで画像表示光となり、その画像表示光は上方に向かうに従い観察者2に近接するように進行し、第1反射面42において反射されることで上方に向かうに従い観察者2から離れるように進行し、第2反射面43において反射されることで上方に向かうに従い観察者2に近接するように進行し、しかる後に屈折面44において屈折される。その第1、第2反射面42、43と屈折面44の中の少なくとも一面が非球面とされることで、観察者2からは反射型表示素子12よりも前遠方に拡大虚像が形成される。
【0020】
上記構成によれば、モールド成形されるプリズム40に光源ユニット13を埋設することで、専用の部材を用いることなく、反射型表示素子12の画像表示面12aに対向して拡大光学系14と光源ユニット13を配置し、明瞭な拡大虚像を形成すると共に表示装置1の小型軽量化を図ることができる。
【0021】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、表示装置は眼鏡を介して観察者に装着されるものに限定されず、例えば、観察者の頭部や腕等にバンド、ベルト、ヘルメット、専用マウント等を介して装着されたり、腕時計、携帯電話、PDA、ハンディターミナル等に組み込まれるものでもよく、また、観察者の身体に装着されるのではなく、携帯されるものであって視認時に眼前に位置されるものでもよい。拡大光学系のプリズムの形状や反射面や屈折面の数は特に限定されない。拡大光学系は構成要素としてプリズムに加えて他のレンズ等の光学素子を有していてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、明瞭な拡大虚像を形成できる小型軽量の表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の表示装置の使用状態を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態の表示装置の要部の斜視図
【図3】本発明の実施形態の光源ユニットの斜視図
【図4】(1)〜(4)は本発明の実施形態の光源ユニットの製造工程を示す斜視図
【図5】本発明の実施形態の光源ユニットの部分断面図
【符号の説明】
1 表示装置
12 反射型表示素子
13 光源ユニット
14 光学系
22、23、24 LED
33 合成樹脂製カバー
40 プリズム
Claims (3)
- 画像表示面を有する反射型表示素子と、
光源ユニットと、
その表示素子による表示画像の拡大虚像を形成する光学系とを備え、
その光学系は樹脂材からモールド成形されたプリズムを有し、
そのプリズムに前記光源ユニットが埋設され、
その光源ユニットから出射された光が、そのプリズムを通って前記画像表示面において反射された後にプリズム内に再進入するように、そのプリズムは表示素子に接合され、
そのプリズム内に再進入した光がプリズムにより光路変更された後に観察者の眼に導かれることで、観察者からは前記表示素子よりも遠方に拡大虚像が形成される表示装置。 - その光源ユニットはモールド成形された樹脂製カバーを有し、そのカバーを介して前記プリズムに埋設される請求項1に記載の表示装置。
- その表示素子はモノクロ反射型液晶表示素子とされ、その光源ユニットは3原色光を出射する光源素子を有し、それら光源素子は3原色光が順次出射されるように点滅制御され、その3原色光の点滅タイミングに応じて赤色光源用画面、緑色光源用画面、青色光源用画面が形成されるように前記表示素子が駆動される請求項1または2に記載の表示装置。
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