JP4243757B2 - 送信制御情報を基地局に通知する移動端末装置 - Google Patents

送信制御情報を基地局に通知する移動端末装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信制御情報を基地局に通知する移動端末装置に関する。CDMA(Code Division Multiple Access )方式等の移動通信システムにおいては、通信中の各チャネルが他通信チャネルからの干渉及び自通信チャネルのマルチパスからの干渉を受け、この干渉がシステムのチャネル容量(通信容量)を制限する。
【0002】
従って、個々のチャネルの所要品質を満たす範囲で、できる限り送信電力を低くするよう送信電力制御を行うことにより、平均的な干渉を最小とし、システム全体の通信容量を増大させることができる。本発明は通信容量を増大させるように送信制御を行う技術に関する。
【0003】
【従来の技術】
通信容量を増大させるために行う従来の送信電力制御は、送信先の受信装置における各受信電力が一定となるように送信電力制御を行う。図9に上り回線における従来の送信電力制御の例を示す。CDMA移動通信システムにおいて、複数の移動端末装置(MS)からの送信信号が1つの基地局(BTS)へ到来する上り回線では、各移動端末装置(MS)の送信信号が互いに干渉となる。
【0004】
そのため、基地局(BTS)での各移動端末装置(MS)からの受信信号電力(PiAi)が一定となるように、各移動端末装置(MS)の送信電力を制御することにより、通信容量の増大を図っている。なお、ここで、Pi(i=1,2,3,4)は各移動端末装置(MS)の送信電力、Aiは各移動端末装置(MS)と基地局(BTS)との間の伝送路のチャネル値である。
【0005】
図10に下り回線における従来の送信電力制御の例を示す。基地局(BTS)から各移動端末装置(MS)への信号を送信する下り回線において、各移動端末装置(MS)で信号対干渉電力比(SIR)が一定となるように、基地局(BTS)で各移動端末装置(MS)への送信電力を制御する。直交拡散符号を使った同期システムとすると、各移動端末装置(MS)の信号対干渉電力比(SIR)iは、
(SIR)i=SF・Pi/{αi(P1+P2+P3+P4)+Ni}
と表される。ここで、Pi(i=1,2,3,4)は基地局(BTS)からの各移動端末装置(MS)への送信電力、αiは直交係数、SFは拡散比、Niは周辺セルからの干渉及び雑音電力である。
【0006】
本発明に関連する先行技術文献として以下の文献が挙げられる。
【特許文献1】
特開平10−135904号公報
【特許文献2】
特開2000−115015号公報
【特許文献3】
特開2001−268019号公報
【特許文献4】
特開2003−060562号公報
【特許文献5】
特開2000−031944号公報
【特許文献6】
特開2004−253959号公報
【非特許文献1】
矢野、玉木、加藤、“通信路容量を最大化する送信電力制御方法(1)”、2002年電子情報通信総合大会、B−5−143
【非特許文献2】
玉木、矢野、加藤、“通信路容量を最大化する送信電力制御方法(2)”、2002年電子情報通信総合大会、B−5−144
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
送信電力に対する誤り率は、フェージングのない静的な環境とフェージングによる受信レベルの変動が大きい環境とでは大きく異なる特性となる。図11は、フェージングにより受信レベルが低下したときに送信電力を大きくし、信号対干渉電力比(SIR)が一定となるように送信電力を制御した相対的な送信電力に対する誤り率(BLER)を示す。
【0008】
図11は、符号化率1/3、拘束長4のターボ符号を用いた1パスフェージング環境及び静的環境における相対的な送信電力に対する誤り率(BLER)の特性を示している。図11において、11−1の曲線はフェージングのない静的環境における誤り率(BLER)、11−2の曲線はフェージング速度が極めて速い環境における誤り率(BLER)、11−3の曲線はフェージング周波数が100Hzの環境における誤り率(BLER)、11−の曲線はフェージング周波数が10Hzの環境における誤り率(BLER)を示している。
【0009】
基地局(BTS)から各移動端末装置(MS)への信号経路である下り回線においては1対多の通信となり、干渉の起こり方は各移動端末装置(MS)毎に異なる。そして、図11に示すように、信号対干渉電力比(SIR)が一定となるように送信電力を制御した場合、送信電力に対する誤り率はフェージング速度によって大きく異なる特性となり、各移動端末装置(MS)の受信電力又は信号対干渉電力比(SIR)が一定となるように送信電力を制御することが、必ずしも通信容量を最大にするとはいえない。
【0010】
本発明は、基地局(BTS)から各移動端末装置(MS)への下り回線において、要求される所定の誤り率を満足し、できるだけ送信電力を低下させて通信路容量を増大させるように送信制御を行う技術を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による移動端末装置は、(1)誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、基地局との間の伝送路のフェージング速度を検出する手段と、該検出したフェージング速度に応じて、基地局からの送信信号の一符号化単位の長さを、フェージング速度が速いときは短く、フェージング速度が遅いときには長くするよう適応的に変化させる送信制御情報を通知する手段とを備えたものである。
【0012】
また、(2)誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、基地局からの送信信号の一符号化単内における以下の式(1)で表される評価量Cが符号化単位間で一定又は所定の範囲内の値となるように、送信制御情報を通知する手段を備えたものである。式(1)については後述する。
【0013】
また、(3)前記評価量Cが符号化単位間で一定又は所定の範囲内の値となるように、変調方式又はレペテション率若しくはパンクチャ率による符号化率を変化させる送信制御情報を通知する手段を備えたものである。
【0014】
また、(4)基地局からの送信信号の一符号化単位内のシンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎の送信電力が、以下の式(2)で表される送信電力Sとなるように送信電力を制御する送信制御情報を通知する手段を備えたものである。式(2)については後述する。
【0015】
また、(5)誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、基地局との間の伝送路のフェージング速度を検出する手段と、該検出したフェージング速度に応じて、基地局からの送信信号の一符号化単位の長さを、フェージング速度が速いときは短く、フェージング速度が遅いときには長くするよう適応的に変化させる送信制御情報を通知する手段と、基地局からの送信信号の一符号化単内における以下の式(1)で表される評価量Cが符号化単位間で一定又は所定の範囲内の値となるように、送信制御情報を通知する手段と、基地局からの送信信号の一符号化単位内のシンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎の送信電力が、以下の式(2)で表される送信電力Sとなるように送信電力を制御する送信制御情報を通知する手段とを備えたものである。式(1)及び式(2)については後述する。
【0016】
【発明の実施の形態】
下り回線においては、各移動端末装置(MS)でのフェージングやマルチパスといった伝播条件が異なる。従って、各移動端末装置(MS)の信号が互いに干渉となるCDMA移動通信システムでは、基地局(BTS)からの送信電力を小さくすることが平均的な干渉を低下させ、通信容量を増大化することとなる。
【0017】
ターボ符号のような誤り訂正能力の高い符号を用いた通信システムでは、通信容量は理論値に近い傾向となることが予想されることから、以下の式(1)で表される評価量Cが各符号化単位で一定になるように送信電力を制御した場合、各評価量Cに対する誤り率(BLER)は図2に示すようになる。
【0018】
【数3】
Figure 0004243757
ここで、Sは送信電力、Aはフェージング等の影響を示す伝送路のチャネル値、Nは干渉及び雑音電力、αは定数、Mは符号化単位のシンボル数又は複数シンボルから成るブロックのブロック数である。
【0019】
図2は、符号化率1/3、拘束長4のターボ符号を用いた1パスフェージング環境及び静的環境における誤り率(BLER)の特性を示している。図2において、2−1の曲線はフェージングのない静的な環境における誤り率(BLER)、2−2の曲線はフェージング速度が極めて速い環境における誤り率(BLER)、2−3の曲線はフェージング周波数が100Hzの環境における誤り率(BLER)、2−4の曲線はフェージング周波数が10Hzの環境における誤り率(BLER)を示している。
【0020】
各評価量Cに対する誤り率は、同図に示すようにフェージング速度の違い及び静的環境に対して大きな差異がない特性となる。このことは、式(1)の評価量Cが、ターボ符号等の誤り訂正能力の高い符号に対する特性を表すバロメータとなり得ることを示す。
【0021】
なお、図2の計測例は式(1)の定数αを3とした計測例である。同図から分かるように、誤り率(BLER)が10-1から10-3の範囲となるのは、式(1)の評価量Cが約1.2から約1.24の範囲であり、これを信号対雑音比(Eb /N0 )に換算すると、0.2dBの変化で誤り率が2桁変化するという急峻な特性となっている。
【0022】
通信容量の理論値では、信号対雑音比(Eb /N0 )が−1.6dBとなる値を境界にエラー無しとエラー有りとに分かれるように、ターボ符号のように訂正能力の高い誤り訂正符号を使用すると、誤り率特性は式(1)の評価量C又は信号対雑音比(Eb /N0 )に対して非常に急峻な傾きを持つ特性となる。このような誤り率特性に対して、所定の誤り率を満たす最低限の評価量C又は信号対雑音比(Eb /N0 )の送信電力とすることにより、通信容量の増大化が可能となる。
【0023】
これは、各符号化単位間では式(1)の評価量Cが一定となるように送信電力を制御することが望ましいことを示している。実際には式(1)の評価量Cと誤り率との関係を表す特性曲線は、急峻とはいえ或る程度の傾きを持つため、その傾きに対応して送信電力制御を行うことにより、更に小さな送信電力で所定の誤り率を満足することが可能となる。
【0024】
図3に式(1)の評価量Cに対する誤り率(BLER)特性と送信電力との関係を示す。同図の(a)は通信路が理想的な場合の誤り率(BLER)特性を示し、同図の(b)は実際の誤り率(BLER)特性を示している。同図(a)に示すように、理想的な誤り率(BLER)特性の場合には、式(1)の評価量Cが値uとなる送信電力が最小となる。
【0025】
しかし、実際には上述のように誤り率の特性は同図(b)に示すように或る程度の傾きを持ち、誤り率(BLER)として要求される値v以下となる評価量Cの範囲w内の値となるように、送信電力を制御することにより、送信電力をより小さくすることができる。
【0026】
一方、一符号化単位内では、与えられた式(1)の評価量Cの値を、できるだけ小さな送信電力で実現することにより、通信容量を更に増大することになる。従って、一符号化単位内で各シンボル又は複数のシンボルから成る各ブロックの送信電力Siが、次の式(2)を満たすように送信制御することにより送信電力を小さく抑えることができる。
【0027】
【数4】
Figure 0004243757
ここで、Bは定数で前述の式(1)における所定の評価量Cを与える送信電力S、αは定数、Aはチャネル値、Nは干渉及び雑音電力である。
【0028】
この式(2)は注水定理というよく知られた定理から得られる送信電力制御とほぼ同様の結果となっている。以上より、符号化単位間では式(1)の評価量Cが一定となるように送信電力を制御し、符号化単位内では式(2)式に従った送信電力制御を行うことが望ましいということになる。
【0029】
【実施例】
各符号化単位間では式(1)の評価量Cが一定となるように送信電力を制御することが望ましいので、フェージングによる変動の影響を一符号化単位で十分に平均化することができれば、式(1)の評価量Cは一定となる。従って、図1に示すように、一符号化単位長Lが、フェージングによるチャネル変動の周期より充分長い長さとなるよう、フェージング速度に応じて適応的に変化させ、フェージング速度が遅いときは一符号化単位の長さを長く、フェージング速度が早いときは一符号化単位の長さを短くすることにより、式(1)の評価量Cを一定にすることが可能となる。
【0030】
具体例としては、フェージングの最大ドップラー周波数の逆数の整数倍を符号化単位とすることができる。しかし実際には、伝送する通信データの種類(例えば音声データ)により、通信遅延をできるだけ少なくする必要があるため、一符号化単位長は短い方が望ましい場合がある。
【0031】
そのため、フェージング速度に応じて符号化単位長を可変にし、各符号化単位間で式(1)の評価量Cが一定となるように送信電力を制御することにより、通信容量を大きくすると共に通信遅延を小さくすることができる。
【0032】
更に、過去のフェージング速度及び式(1)の評価量Cの値から、今回の式(1)評価量Cの値を予測し、該評価量Cが一定となるように送信電力を制御する。一例を示すと、前回の送信電力がP1 、式(1)評価量Cの値がC1 であり、基準としている評価量の値がC0 であった場合、次の式(3)により算出される送信電力Pとして送信することにより、評価量Cをできるだけ一定となるように制御し、通信容量を大きくする。
【0033】
【数5】
Figure 0004243757
ここで、αは定数、Aはチャネルの値、Nは干渉及び雑音電力を表す。
【0034】
上記の送信電力制御のフローを図4に示す。基地局(BTS)で送信電力P1 で送信信号を送信し、該送信信号を移動端末装置(MS)で受信し、移動端末装置(MS)では式(1)の評価量Cの値C1 、チャネル値A及び干渉電力Nを測定する(ステップ4−1)。
【0035】
次に移動端末装置(MS)では、送信電力P1 、式(1)の評価量Cの値C1 、チャネル値A及び干渉電力Nから、式(3)を用いて今回の送信電力Pを算出する(ステップ4−2)。そして、算出した送信電力Pを、送信電力要求値Pとして基地局(BTS)へ通知し、基地局(BTS)は通知された送信電力要求値Pの電力で送信信号を送信する(ステップ4−3)。
【0036】
式(1)の評価量Cと誤り率との特性関係を表す曲線の傾きは急峻ではあるが、実際にはある傾きを有するので、要求される誤り率に対する式(1)の評価量Cの値と、略エラーフリーとなる式(1)の評価量Cの値との間の範囲の値となるように送信電力を制御することにより、送信電力をより小さくして通信容量を増大する。
【0037】
具体例を示すと、誤り率10-1以下となるように伝送するシステムにおいて、誤り率が10-1となる式(1)の評価量Cの値がC0,min であるとし、誤り率が10-3(10-1に対しては略エラーフリー)となる式(1)の評価量CがC0,max であるとし、また、前回の送信電力がP1 であるとし、式(1)の評価量Cの値C1 が、C0,min からC0,max の範囲内である場合は、前回の送信電力P1 をそのまま今回の送信電力Pとし、この範囲を超えた場合に式(3)を用いて送信電力を算出する。
【0038】
上記の送信電力制御のフローを図5に示す。基地局(BTS)で送信電力P1 で送信信号を送信し、該送信信号を移動端末装置(MS)で受信し、移動端末装置(MS)では式(1)の評価量Cの値C1 、チャネル値A及び干渉電力Nを測定する(ステップ5−1)。次に、式(1)の評価量Cの値C1 が、C0,min とC0,max との間の範囲内であるか否かを判定する(ステップ5−2)。
【0039】
範囲内であれば、今回の送信電力Pを前回の送信電力値P1 とする(ステップ5−3)。範囲外であれば、前回の送信電力P1 、前回の式(1)の評価量Cの値C1 、チャネル値A及び雑音電力Nから式(3)を用いて送信電力Pを算出する(ステップ5−4)。ステップ5−3又は5−4により得られる送信電力Pを、送信電力要求値Pとして基地局(BTS)へ通知し、基地局(BTS)は通知された送信電力要求値Pの電力で送信信号を送信する(ステップ5−5)。
【0040】
次に、送信電力を制御するのではなく、符号化率を変化させることにより、式(1)の評価量Cが一定となるようにして通信容量を増大させる実施例について説明する。符号化率は、レートマッチング処理におけるレペテション率又はパンクチャ率を変えることにより変化させることができる。レペテションとは送信ビット系列に対して一定周期で送信ビットを繰り返し挿入する処理であり、パンクチャとは送信ビット系列から一定周期で送信ビットを抜き取る処理である。
【0041】
式(1)は以下の式(4)のように変形される。
【数6】
Figure 0004243757
ここで、Rはレペテション率又はパンクチャ率を表す。
【0042】
そして、式(4)の評価量Cが所定の値となるようにレペテション率又はパンクチャ率Rを選択して符号化率を制御する。具体例としては、パンクチャ率として0.5又は1を選択する通信システムにおいて、前回のパンクチャ率0.5及び1のそれぞれの式(4)の評価量Cの値C1 (0.5) 、C1 (1) を計算して、所定の基準値C0 に近い方のパンクチャ率を採用する。
【0043】
図6に上記送信制御のフローを示す。移動端末装置(MS)において、パンクチャ率0.5及び1のそれぞれに対応した式(4)の評価量Cの値C1 (0.5) 、C1 (1) を計算する(ステップ6−1)。そして、計算した値C1 (0.5) 、C1 (1) の何れかが所定の基準値C0 に近いかを判定する(ステップ6−2)。
【0044】
パンクチャ率0.5に対する式(4)の評価量Cの値C1 (0.5) が所定の基準値C0 に近い場合には、パンクチャ率0.5とする送信要求を基地局(BTS)へ通知する(ステップ6−3)。パンクチャ率1に対する式(4)の評価量Cの値C1 (1) が所定の基準値C0 に近い場合には、パンクチャ率1とする送信要求を基地局(BTS)へ通知する(ステップ6−4)。
【0045】
また、式(1)の評価量Cが所定の値となるように送信制御する手段として、変調方式を変化させる構成とすることができる。変調方式を変化させる場合は、それぞれの変調方式に対応した受信SIRを式(1)に提供し、式(1)の評価量Cが所定の値となる変調方式を選択することにより、通信容量を大きくすることができる。
【0046】
変調方式又は符号化率を変化させる何れの構成の場合でも、式(1)又は式(4)の評価量Cの値が或る所定の範囲内である場合は、変調方式又は符号化率を変化させず、該範囲を超えた場合に、最適な変調方式又は符号化率を選択する構成とすることができる。
【0047】
具体例としては、誤り率10-1以下となるように伝送するシステムにおいて、誤り率が10-1となる式(1)の評価量Cの値がC0,min であり、誤り率が10-3(10-1に対しては略エラーフリー)となる評価量Cの値がC0,max であるとした場合、パンクチャ率0.5に対する式(4)の評価量Cの値C1 (0.5) 、パンクチャ率1に対する式(4)の評価量Cの値C1 (1) が、値C0,min からC0,max の範囲内である場合は、前回のパンクチャ率を選択し、片方のみがこの範囲内に入る場合には、この範囲内に入る方のパンクチャ率を選択し、両方の値がこの範囲内に入らない場合は、この範囲に近い方のパンクチャ率を選択する構成とすることができる。
【0048】
図7に上記送信制御のフローを示す。移動端末装置(MS)において、パンクチャ率0.5及び1のそれぞれに対応した式(4)の評価量Cの値C1 (0.5) 、C1 (1) を計算する(ステップ7−1)。C1 (0.5) 、C1 (1) がC0,min からC0,max の範囲内であるか否かを判定する(ステップ7−2)。この範囲内である場合は前回と同じパンクチャ率の送信要求を基地局(BTS)に通知する(ステップ7−3)。
【0049】
上記範囲外である場合、C1 (0.5) がC0,min からC0,max の範囲内であるか否かを判定する(ステップ7−4)。C1 (0.5) がこの範囲内である場合は、パンクチャ率0.5の送信要求を基地局(BTS)に通知する(ステップ7−7)。C1 (0.5) がこの範囲外である場合、C1 (1) がC0,min からC0,max の範囲内であるか否かを判定する(ステップ7−5)。
【0050】
1 (1) がこの範囲内である場合は、パンクチャ率1の送信要求を基地局(BTS)に通知する(ステップ7−8)。C1 (1) がこの範囲外である場合は、C1 (0.5) とC1 (1) とで何れがC0,min からC0,max の範囲に近いかを判定する(ステップ7−6)。
【0051】
1 (0.5) の方がこの範囲に近ければ、パンクチャ率0.5の送信要求を基地局(BTS)に通知する(ステップ7−7)。C1 (1) の方がこの範囲に近ければ、パンクチャ率1の送信要求を基地局(BTS)に通知する(ステップ7−8)。
【0052】
以上、符号化単位間において式(1)の評価量Cを一定又は或る範囲の値となるように、送信制御する実施例について説明したが、符号化単位内ではシンボル毎又は複数シンボルを1つのブロックとしたブロック毎に、式(2)に従った送信電力制御を行うことにより送信電力を小さく、通信容量を大きくすることができる。
【0053】
具体例としては、符号化単位間で式(1)又は式(4)の評価量Cを一定値とする送信電力Sを算出し、その符号化単位における平均送信電力Sに対して式(2)に従い(式(2)における定数Bは式(1)におけるSに相当する)、例えば10シンボルのブロック毎の送信電力を決定する。
【0054】
また、符号化単位間で式(1)の評価量Cが一定となる通信システムにおいては、符号化単位を意識することなく、全てのシンボル毎又はブロック毎に式(2)に従った電力制御を行うことにより、送信電力を小さくし、通信容量を大きくすることができる。
【0055】
上記の送信制御を行う処理フローの一例を図8に示す。移動端末装置(MS)において、チャネル値A及び干渉電力Nを測定する(ステップ8−1)。チャネル値A、干渉電力N及び定数B(符号化単位内又は通信中で固定値)から式(2)を用いて送信電力を決定する(ステップ8−2)。決定した送信電力を要求値として基地局(BTS)へ通知する(ステップ8−3)。各符号化単位毎に決められた式(1)の評価量Cは常に一定値のものとなる。
【0056】
(付記1) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、基地局との間の伝送路のフェージング速度を検出する手段と、該検出したフェージング速度に応じて、基地局からの送信信号の一符号化単位の長さを、フェージング速度が速いときは短く、フェージング速度が遅いときには長くするよう適応的に変化させる送信制御情報を通知する手段と、を備えたことを特徴とする移動端末装置。
(付記2) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、基地局からの送信信号の一符号化単内における前述の式(1)で表される評価量Cが符号化単位間で一定又は所定の範囲内の値となるように、送信制御情報を通知する手段を備えたことを特徴とする移動端末装置。
(付記3) 前記評価量Cが符号化単位間で一定又は所定の範囲内の値となるように、変調方式又はレペテション率若しくはパンクチャ率による符号化率を変化させる送信制御情報を通知する手段を備えたことを特徴とする付記2に記載の移動端末装置。
(付記4) 基地局からの送信信号の一符号化単位内のシンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎の送信電力が、前述の式(2)で表される送信電力Sとなるように送信電力を制御する送信制御情報を通知する手段を備えたことを特徴とする付記2又は3に記載の移動端末装置。
(付記5) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、基地局との間の伝送路のフェージング速度を検出する手段と、該検出したフェージング速度に応じて、基地局からの送信信号の一符号化単位の長さを、フェージング速度が速いときは短く、フェージング速度が遅いときには長くするよう適応的に変化させる送信制御情報を通知する手段と、基地局からの送信信号の一符号化単内における前述の式(1)で表される評価量Cが符号化単位間で一定又は所定の範囲内の値となるように、送信制御情報を通知する手段と、基地局からの送信信号の一符号化単位内のシンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎の送信電力が、前述の式(2)で表される送信電力Sとなるように送信電力を制御する送信制御情報を通知する手段とを備えたことを特徴とする移動端末装置。
(付記6) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムにおいて、フェージング速度を検出するステップと、該検出したフェージング速度に応じて、一符号化単位の長さを、フェージング速度が速いときは短く、フェージング速度が遅いときには長く、適応的に変化させる送信制御を行うステップを含むことを特徴とする送信制御方法。
(付記7) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムにおいて、符号化単内の平均電力又は前述の式(1)の評価量Cが、符号化単位間で一定となるように送信電力を制御するステップを含むことを特徴とする送信制御方法。
(付記8) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムにおいて、符号化単内の平均電力又は前述の式(1)の評価量Cが、所定の範囲内の値となるように送信電力を制御するステップを含むことを特徴とする送信制御方法。
(付記9) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムにおいて、前述の式(1)の評価量Cが、符号化単位間で一定となるように変調方式又は符号化率を変化させるステップを含むことを特徴とする送信制御方法。
(付記10) 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムにおいて、前述の式(1)の評価量Cが、所定の範囲内の値となるように変調方式又は符号化率を変化させるステップを含むことを特徴とする送信制御方法。
(付記11) 付記2乃至5に記載の送信制御方法において、一符号化単位内の送信電力を前述の式(2)に従った送信電力で、シンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎に制御するステップを含むことを特徴とする送信制御方法。
(付記12) 付記1に記載の送信制御方法において、全てのタイミングの送信電力を前述の式(2)に従った送信電力となるように、シンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎に制御するステップを含むことを特徴とする送信制御方法。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基地局(BTS)から各移動端末装置(MS)への下り回線において、フェージング速度に応じて、基地局からの送信信号の一符号化単位の長さを適応的に変化させることにより、所定の誤り率を満足し、通信遅延をできるだけ少なくして送信電力を低下させ、通信路容量を増大させることができる。
【0058】
また、基地局からの送信信号の一符号化単内における式(1)の評価量Cが符号化単位間で一定又は所定の範囲内の値となるように、送信制御することにより、送信電力を低下させ、通信路容量を増大させることができる。
【0059】
また、一符号化単位内のシンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎の送信電力が、式(2)で表される送信電力Sとなるように送信電力を制御することにより、送信電力を低下させ、通信路容量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるチャネル変動速度に対応して一符号化単位の長さを変化させる実施形態の説明図である。
【図2】本発明による式(1)の評価量Cに対する誤り率の特性の一例を示す図である。
【図3】本発明による式(1)の評価量Cに対する誤り率の特性と送信電力との関係を表す図である。
【図4】本発明による符号化単位間の送信電力決定のフローの一例を示す図である。
【図5】本発明による符号化単位間の送信電力決定のフローの一例を示す図である。
【図6】本発明による符号化単位間の送信信号の符号化率決定のフローの一例を示す図である。
【図7】本発明による符号化単位間の送信信号の符号化率決定のフローの一例を示す図である。
【図8】本発明による符号化単位内の送信電力決定のフローの一例を示す図である。
【図9】従来の上り回線における送信電力制御の例を示す図である。
【図10】従来の下り回線における送信電力制御の例を示す図である。
【図11】相対的な送信電力に対する誤り率特性の例を示す図である。
【符号の説明】
L 一符号化単位長
C 式(1)の評価量
MS 移動端末装置
BTS 基地局
Ai チャネル値
Pi 送信電力

Claims (4)

  1. 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、
    基地局からの送信信号の一符号化単内における下記の式(1)で表される評価量Cが符号化単位間で、誤り率を基に定めた一定又は所定の範囲内の値となるように、送信制御情報を通知する手段を備えたことを特徴とする移動端末装置。
    Figure 0004243757
    ここで、Sは基地局からの送信信号の送信電力、Aは基地局との間の伝送路のチャネル値、Nは干渉及び雑音電力、αは定数、Mは符号化単位のシンボル数又は複数シンボルからなるブロック数である。
  2. 前記評価量Cが符号化単位間で、誤り率を基に定めた一定又は所定の範囲内の値となるように、変調方式又はレペテション率若しくはパンクチャ率による符号化率を変化させる送信制御情報を通知する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の移動端末装置。
  3. 基地局からの送信信号の一符号化単位内のシンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎の送信電力が、下記の式(2)で表される送信電力Sとなるように送信電力を制御する送信制御情報を通知する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動端末装置。
    Figure 0004243757
    ここで、Bは定数、αは定数、Aは基地局との間の伝送路のチャネル値、Nは干渉及び雑音電力である。
  4. 誤り訂正能力の高い符号を用いた移動通信システムに使用される移動端末装置において、
    基地局との間の伝送路のフェージング速度を検出する手段と、該検出したフェージング速度に応じて、基地局からの送信信号の一符号化単位の長さを、フェージング速度が速いときは短く、フェージング速度が遅いときには長くするよう適応的に変化させる送信制御情報を通知する手段と、
    基地局からの送信信号の一符号化単内における請求項1記載の式(1)で表される評価量Cが符号化単位間で、誤り率を基に定めた一定又は所定の範囲内の値となるように、送信制御情報を通知する手段と、
    基地局からの送信信号の一符号化単位内のシンボル毎又は複数のシンボルから成るブロック毎の送信電力が、請求項3記載の式(2)で表される送信電力Sとなるように送信電力を制御する送信制御情報を通知する手段とを
    備えたことを特徴とする移動端末装置。
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