JP4243680B2 - Foreign insert selection marker - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外来挿入遺伝子が正しく翻訳される組換え体のみを選択的にスクリーニングするためのDNAあるいはRNA断片、これらの断片を有するベクター、およびこれら断片あるいはベクターを少なくとも含むスクリーニング試薬キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、従来の大腸菌等を形質転換するためのベクターにおいては、外来挿入遺伝子が挿入された形質転換体をスクリーニングするために、マーカー遺伝子としてβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を用いる方法が知られている。この方法では、発現されたガラクトシダーゼによる指示薬の分解により培地上に生育したコロニーの色が青色に着色するが、外来遺伝子の挿入によってβ−ガラクトシダーゼの発現が抑制され、青色に着色しなくなることを指標にする方法がある(非特許文献1)。
【0003】
また、トポイソメラーゼやコリシンE1遺伝子など、大腸菌の致死遺伝子を利用し、翻訳領域に外来DNAが挿入されることによって、該遺伝子の発現が抑制され、外来DNAを保持するクローンのみを選択的に生育させる方法も知られている(特許文献1)。
しかし、βガラクトシダーゼなどを用いた発色による選択では、培地にX-Gal(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-beta-D-galactopyranoside)などの発色物質を添加する必要があるばかりでなく、挿入断片を保持しない形質転換体も生育することから、多くの形質転換体を分離するためには広い寒天培地の面積を必要とした。一方、致死遺伝子を用いた場合には、挿入断片を保持しない形質転換体は死滅することから、形質転換体を分離するための培地面積を減少したり、液体培地を用いた選択も可能にする。
【0004】
一方、遺伝子の機能を解析する場合には、遺伝子の発現産物(タンパク質)の性質や活性を解析するか、または遺伝子の産物が発現した状態での宿主の性質の変化を解析する必要がある。この目的のために、多くの場合、タンパク質の発現が可能な所謂発現ベクターが用いられる。また、例えば、多数の遺伝子の機能を解析するために、ゲノムDNAなどの多数の遺伝子を含むDNAを断片化し、ベクターに挿入してライブラリーを作製することがよく行われるが、この場合、タンパク質がコードされない領域が挿入されたり、あるいは遺伝子がコードされている領域であっても6分の5の確率で本来の読み枠とは異なる読み枠でDNA断片が挿入されたクローンが生じてしまう。この様なクローンは、本来の長鎖のペプチドは合成されないが、最初の翻訳終止コドン(読み枠のズレにより生じた終止コドン)が現われるまで翻訳が進み、自然界に存在しないペプチドが合成されることになる。これらのペプチドは、往々にして予期されない生化学的・生理学的活性を有することがあり、正しい生理活性を有しない遺伝子がスクリーニングされるのを妨害したり、偽陽性のバックグラウンドが増大する原因となり、スクリーニングが不成功に終わったり効率を減少させる原因となっていた。
【0005】
【非特許文献1】
Sambrook,J. et al. (1989) Molecular Cloning: a laboratory manual. second edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY
【特許文献1】
特開昭57-139095号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消することにあり、外来挿入遺伝子断片を保持する組換え体において、該外来挿入遺伝子断片がコードするペプチド、ポリペプチドあるいはタンパク質の方向および読み枠が正しく翻訳される組換え体のみを、効率的にスクリーニング可能な手段を提供するものであって、これにより、本来生体内では産生されることのないペプチドの発現を抑止することを可能とし、また、発現したペプチド、ポリペプチドあるいはタンパク質が有する機能を用いたスクリーニングする場合において、自然界には存在しないあるいは予期されない遺伝子を選択する可能性を極力排除しようとするものである。また、本発明の課題は、不要なクローンを排除することにより、スクリーニングに必要なライブラリーを構成する独立した形質転換体の数を減少させる手段を提供するものである
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、いわゆるトランスレーショナルカップリングを応用し、挿入する外来遺伝子の翻訳が正しく行われたときのみマーカー遺伝子を発現させることにより、目的とする外来遺伝子が正しく保持された組換え体のみを、極めて効率的にスクリーニングすることができることを見いだし本発明を完成させるに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(1) マーカー遺伝子と、該マーカー遺伝子の上流に、外来遺伝子挿入部位を有するとともに該外来遺伝子挿入部位の下流に翻訳終止コドンが3個配置され、かつ各翻訳終止コドンがそれぞれ読み枠をずらせて配置されているDNAマーカー材料であって、該マーカー遺伝子が、コリシンに対するイミュニティー遺伝子であり、該イミュニティー遺伝子の開始コドンの上流10bp以内に、上記3個の翻訳終止コドンが配置されるとともに、最下流の翻訳終止コドンがイミュニティー遺伝子の翻訳開始コドンと読み枠をずらせて重複して配置され、マーカー遺伝子がトランスレーショナルカップリングにより、挿入される外来遺伝子全長の翻訳に依存して翻訳されることを特徴とする、DNAマーカー材料。
(2) 外来遺伝子挿入部位が、2個の同一又は異なる制限酵素切断部位からなるとともに、該制限酵素切断部位間の塩基配列中に翻訳終止コドンを有し、該2個の制限酵素切断部位を切断して外来DNAを挿入することによって該翻訳終止コドンが除かれることを特徴とする請求項1に記載のDNAマーカー材料。
(3) 請求項1又は2に記載のDNAマーカー材料の塩基配列を含むベクター。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、トランスレーショナルカップリングを応用し、挿入する外来遺伝子全長にわたって翻訳が終結されることなく行われたときのみマーカー遺伝子を発現させることにより、目的とする外来遺伝子が正しく保持された組換え体のみスクリーニングすることが可能であるように設計されたDNAマーカー材料あるいは該DNAマーカ材料の塩基配列を有するベクターに関するものである。
【0010】
トランスレーショナルカップリングとは、2つの遺伝子が近接している時に、上流側に位置する遺伝子が翻訳されることによって、下流側の遺伝子も翻訳される現象である。また、上流側の遺伝子がの翻訳レベルが減少すると、下流側の遺伝子の翻訳レベルもこれに伴って減少する。このとき隣り合う2つの遺伝子の翻訳は結合しており、トランスレーショナルカップリングされているという。
【0011】
これまでに、トランスレーショナル・カップリングを用いることにより、外来遺伝子断片にコードされるタンパク質を発現させるためのベクターはあった(Sergey, V. et al., Gene, 88, 121-126, 1990)。しかしこれらは、元々ベクターに組込まれており、トランスレーショナル・カップリングの上流側に位置する遺伝子の翻訳によって、その下流に挿入されたDNA断片にコードされるタンパク質を発現させようとするものであり、従来のHis-tagやGST (Glutathion-S-Transferase)など、ベクター上にコードされるペプチドやタンパク質などと融合させて発現させる場合と基本的に変わることはなく、挿入される遺伝子断片の翻訳読み枠は挿入される位置により特異的に決定されている。
【0012】
以上のように、これまでのトランスレーショナル・カップリングを利用した上記ベクターでは、単に挿入DNA断片にコードされたタンパク質を発現させるために用いただけであったが、本発明は、トランスレーショナル・カップリングを、組換え体のスクリーニングに初めて利用するものであり、極めて革新的かつ極めて実用的である。
【0013】
本発明の上記DNAマーカー材料においては、マーカー遺伝子の上流側に外来遺伝子挿入部位を有し、挿入される外来遺伝子が方向および読み枠において正しく挿入され、その遺伝子全長がペプチドへ翻訳された場合のみ、トランスレーショナルカップリングによりマーカー遺伝子のポリペプチドへの翻訳がなされ、発現されるように設計される。このため外来遺伝子の下流側、マーカー遺伝子の翻訳開始点近傍に終止コドン(TAA,TAG,TGA)を配置し、外来遺伝子が挿入された場合、この外来遺伝子とマーカー遺伝子が、終止コドンを介して接続し、外来遺伝子の翻訳がこのマーカ遺伝子の翻訳開始点近傍でなされた場合にのみ、マーカ遺伝子の翻訳がなされるように設計する。
【0014】
本発明においては、あらかじめこのようなDNAマーカー材料を調製し、これをプラスミド等のベクターに挿入して組換えベクターを得、この組換えベクターに外来遺伝子を導入してもよいが、DNAマーカ材料の調製、そのベクターへの挿入工程を行うことなく、ベクター上で直接上記DNAマーカー材料の塩基配列を有するよう調製し、これに外来遺伝子を導入して組換えベクターを得てもよい。
【0015】
このようにして得られた組換えベクターは、適当な宿主に導入されるが、この際、外来遺伝子が、ベクターの読み枠と一致しないように導入されたものあるいは逆方向に導入されたものは、外来遺伝子の翻訳において、その読み枠のずれ、あるいは塩基配列の逆方向の翻訳により、外来遺伝子の塩基配列中に終止コドンを生じてしまう可能性が高い。例えば、機能ドメインをコードするような数百bp程度のDNA断片では、理論的には501 bpのDNA断片は167アミノ酸をコードするが、全コドンの中で終止コドンをコードする確率は3/64=約0.0469なので、167x0.0469=約7.8となり、平均でおおよを8個の終止コドンが現われることになる。従って、外来遺伝子が、ベクターの読み枠と一致しないように導入されたものあるいは逆方向に導入された場合には、翻訳はほぼ確実に外来挿入断片中でストップし、翻訳はこの偽の終止コドンでストップし、上記マーカー遺伝子の翻訳開始点近傍での外来遺伝子の翻訳がなされないため、トランスレーショナルカップリングが起こらず、マーカ遺伝子の翻訳・発現は起こらない。これに対して、外来遺伝子が、読み枠、方向ともに正しく導入された場合には、挿入された外来遺伝子の全長が翻訳されて、上記マーカー遺伝子の翻訳開始点近傍に設けた終止コドンに至るまで翻訳は継続し、トランスレーショナルカップリングが起こり、マーカー遺伝子が発現する。これらの関係について以下に例示する。
【0016】
〔読み枠が正しい場合〕
【化1】

Figure 0004243680
【0017】
〔読枠にずれがある場合〕
【化2】
Figure 0004243680
【0018】
〔外来遺伝子が逆方向に挿入された場合〕
【化3】
Figure 0004243680
【0019】
このマーカー遺伝子は、その発現の有無により、宿主の生育、増殖、着色、発光、走化性、走磁性等において、指示薬の存在下あるいは非存在下に識別可能な変化をもたらすものであればいずれでもよく、マーカー遺伝子の発現がみられたものは、外来遺伝子が読み枠および方向において正しく挿入された確率が高いものであって、これにより外来遺伝子が読み枠および方向において正しく挿入されたもののみスクリーニングが可能となる。
【0020】
上記例示において、マーカ遺伝子の翻訳開始点近傍に設けた終止コドンは、挿入する外来遺伝子の全長が翻訳された時点で翻訳を終結させるものでありるから、この終止コドンは外来遺伝子の読み枠と一致させる必要があり、このため、挿入する外来遺伝子の全長が明らかであり、終止コドンの読み枠が外来遺伝子の読み枠と一致しない場合には、この外来遺伝子の読み枠と合わせるために付加的な塩基配列を終止コドンの上流に付加する。しかし、そのような操作を省くため、読み枠を各々ずらせた3個以上の終止コドンを設けるのが好ましい。
【0021】
Figure 0004243680
【0022】
また、これら終止コドンは外来遺伝子の翻訳ポリペプチドにおいて、余分のアミノ酸配列が付加しないよう設けるものであり、読み枠を一致させるための核酸の付加は、外来遺伝子の発現ポリペプチドの構造に変化を生じないようできるだけ少ない方が好ましい。
さらに、これら終止コドンの配置位置は、外来遺伝子の下流側であればよく、マーカー遺伝子の翻訳開始点の上流側、下流側とを問わない。マーカー遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)とその近傍に位置する翻訳終止コドンの距離については、マーカー遺伝子の翻訳が、外来挿入遺伝子断片の翻訳とトランスレーショナル・カップリングされていればよく、特に制限はないが、翻訳終止コドンが翻訳開始コドン(ATG)の上流に位置する場合には45 bp以下であることが好ましく、より好ましくは20 bp以下、さらに好ましくは10 bp以下である。また、翻訳終止コドンが翻訳開始コドン(ATG)の下流に位置する場合には、1000 bp以下であることが好ましく、より好ましくは200 bp以下、さらに好ましくは40 bp以下である。該翻訳終止コドンが該翻訳開始コドンの下流に配置する場合には、該終止コドンがマーカー遺伝子の翻訳を終結させてはならない。このためには、例えば、以下に例示するように、該終止コドンがマーカー遺伝子の翻訳読みとは異なる読み枠になるように設計し、該終止コドンの挿入によってマーカー遺伝子の発現タンパク質中のアミノ酸が変化しないように設計される方が好ましい。
【0023】
【化4】
Figure 0004243680
但し、上記塩基配列中例示において、 / は、外来遺伝子の読み枠を表し、: はマーカ遺伝子の読み枠を表す。
【0024】
なお、この場合、マーカー遺伝子の発現タンパク質の活性に重要ではないアミノ酸であれば、終止コドンの挿入によって該アミノ酸の変化が伴っても良い。さらに、翻訳終止コドンとマーカー遺伝子の翻訳開始コドンはその配列において重複してもよい。
外来遺伝子の挿入部位の設計は特に限定するものはなく、従来と同様に制限酵素により切断されるように設計する。本発明のDNA あるいはこれを有するベクターにおいては、同一若しくは異なる2個の制限酵素に認識され切断される部位を設けるのが好ましく、この制限酵素切断部位間の塩基配列には、終止コドンを設ける。この終止コドンは、プラスミドの読み枠と一致するように設け、外来遺伝子が導入されば、これら2個の切断部位間の塩基配列は取り除かれ、この終止コドンは取り除かれる。
【0025】
したがって、この終止コドンの配置により、外来遺伝子が挿入していない場合、この上流からの翻訳は、この終止コドンで終結し、翻訳はマーカー遺伝子の翻訳開始部位近傍では外来遺伝子の翻訳がなされないため、トランスレーショナルカップリングは起こらず、マーカー遺伝子の翻訳・発現は行われない。したがって、この外来遺伝子の挿入されていないベクターを保有する組換え体も識別可能となり、さらに、この外来遺伝子の全長が翻訳可能領域か否かも判定できる。
また、本発明においては、少なくとも、上記のDNAマーカー材料あるいはこのマーカー材料の塩基配列を有するベクターと、このマーカ材料あるいはベクター中のマーカー遺伝子の発現の有無を識別するための指示薬とを含む遺伝子組換え体スクリーニングキットも提供する。
【0026】
以下に、本発明について、図1を参照しつつ、大腸菌に対する毒性タンパク質であるコリシンを指示薬とし、コリシンの毒性を中和するイミュニティ遺伝子をマーカー遺伝子として用いる場合を例にとり、さらに詳細に説明する。
本発明においては、例えば、外来遺伝子断片を大腸菌に保持させるベクターとしてプラスミドを用い、このプラスミドにイミュニティー遺伝子を挿入しておく。このイミュニティ遺伝子は、外来遺伝子挿入断片の期待される転写・翻訳の方向に対して下流に配置される。また、イミュニティ遺伝子は翻訳開始コドンを有し、その近傍に1個以上の翻訳終止コドン(II)が配置される。この終止コドンの(II)の上流には2個の制限酵素認識部位を配置し、外来遺伝子挿入部位とする。この2個の制限酵素認識部位間には終止コドン(I)をプラスミドの翻訳読み枠と合わせて配置する。外来遺伝子断片が挿入されると、終止コドン(I)は削除される。
【0027】
外来遺伝子挿入断片がコードするペプチド、ポリペプチドあるいはタンパク質は、挿入断片の上流に位置しプラスミドに内在されているか、あるいは挿入断片そのものが保持するプロモーターおよび翻訳開始シグナルより発現される。さらに、外来遺伝子断片の方向および翻訳の読み枠および方向が正しく認識され、自然界の状態と同様に正しくあるいは期待された翻訳がなされた場合には、上記したように、読み枠のずれあるいは挿入方向の誤りによる偽の終止コドンが生じないため、挿入遺伝子断片内で翻訳が終結することなく、マーカー遺伝子の翻訳開始部位近傍に位置する終止コドン(II)まで翻訳が継続し、トランスレーションカップリングが生じ、イミュニティ遺伝子の翻訳・発現が行われる。また、外来遺伝子が挿入されていない場合には、翻訳は終止コドン(I)により、終結し、翻訳は終止コドン(II)まで至らず、イミュニティ遺伝子の翻訳・発現は生じない。
【0028】
ただし、外来遺伝子断片は、完全長cDNAのように本来の遺伝子が備える翻訳終止コドンを有する物ではなく、タンパク質の機能ドメインやエピトープをコードしうる断片化したDNA断片が好んで用いられる。断片化DNAの長さについて特に制限はないが、好ましくは9〜3000 bp、より好ましくは45〜1500 bp、さらに好ましくは200〜1000 bpである。また、断片化に用いられるDNA材料としては、ゲノムDNAであってもcDNAであってもよい。断片化の方法としては、通常用いられるいずれの方法でも良く、細管内を高速に通過させることによる機械的な細断、超音波、DNase I、制限酵素などが利用可能である。また、人為的に設計された合成DNA断片や、人為的に変異を導入したDNA断片も用いることができる。
【0029】
前記イミュニティ遺伝子の翻訳開始コドンの近傍に位置する翻訳終止コドンは、上記したように好ましくは3個であり、翻訳の3種類の読み枠の全てに対して翻訳が終結するように、各終止コドンは、読み枠をずらして配置される。しかし、正しく翻訳されたときの読み枠が1通りあるいは2通りに限定されている場合には、1個あるいは2個でも目的は達成される。また、3個より多くの翻訳終止コドンを配置することも可能であるが、翻訳の原理上から、有効に機能する翻訳終止コドンは3個になる。
【0030】
イミュニティー遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)とその近傍に位置する翻訳終止コドン(II)との距離については、上記したように、イミュニティー遺伝子の翻訳と、外来挿入遺伝子断片の翻訳は結合されて(トランスレーショナル・カップリングされて)いればよく、特に制限はないが、翻訳終止コドン(II)が翻訳開始コドン(ATG)の上流に位置する場合には45 bp以下であることが好ましく、より好ましくは20 bp以下、さらに好ましくは10 bp以下である。また、上記説明においては、翻訳終止コドン(II)が翻訳開始コドン(ATG)の上流側に配置される場合について述べたが、本発明においては上記したように、翻訳終止コドンを翻訳開始コドン(ATG)の下流に配置してもよく、この場合には、翻訳開始コドン(ATG)と翻訳終止コドン(II)との距離は、1000 bp以下であることが好ましく、より好ましくは200 bp以下、さらに好ましくは40 bp以下であり、イミュニティー遺伝子の翻訳と、外来挿入遺伝子断片の翻訳は結合されている(トランスレーショナル・カップリングされている)必要がある。また、該翻訳終止コドンが該翻訳開始コドンの下流にある場合には、該終止コドンがイミュニティタンパク質の翻訳を終結させることにより不活性型にしてはならないこと、およびそのための手段は上記したとおりである。
【0031】
本発明において、マーカー遺伝子として、上記コリシンに対するイミュニティー遺伝子を用いたDNA マーカー材料あるいは該マーカーの塩基配列を有するプラスミドを用いて、外来遺伝子による遺伝子組換え操作を行う場合には、選択培地としてコリシン含有培地を用いる。
これにより、外来遺伝子が導入されていないプラスミドあるいはベクターを持つ大腸菌、外来遺伝子の読み枠が本来のものと一致していないプラスミドあるいはベクターを持つ大腸菌、あるいは外来遺伝子の挿入が逆であるプラスミドあるいはベクターを持つ大腸菌においては、イミュニティー遺伝子が発現できず、大腸菌に対する毒性タンパク質であるコリシンにより死滅する。したがって、このコリシン含有培地において増殖した大腸菌は、外来遺伝子が正しく導入され、本来のポリペプチドを発現しているものであり、これを採取することにより極めて効率的にスクリーニングを行うことが可能となる。
【0032】
なお、この例においては、大腸菌に対して致死性を示すタンパク質の致死性を中和する遺伝子をマーカー遺伝子として用いて例示しているが、特に致死性を示すタンパク質を用いる必要はなく、何らかの物質を培地に添加する必要はなく、特定の条件を設定する必要もない。マーカー遺伝子としては、その発現が検出あるいは観察される遺伝子など、該遺伝子が発現していない状態と区別できる遺伝子であればよく、好ましくは該遺伝子を発現する宿主の生育速度が該遺伝子を発現していない宿主に比較して有意に向上させることが可能な遺伝子である。本発明に用いるマーカ遺伝子としては、例えば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールなどの抗生物質に対する耐性遺伝子(薬剤耐性マーカー)、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、ウラシルなどのアミノ酸等の合成系に関る必須遺伝子の不活化変異株に対する相補性遺伝子(栄養要求性マーカー)、ラクトースやガラクトースなどの糖の資化性に関する遺伝子などのポジティブセレクションマーカーが好んで用いられるが、β−ガラクトシダーゼ遺伝子などの適当な基質を用いることにより発色反応を触媒する酵素の遺伝子、適当な基質を添加することによって発色や発光を引起こすルシフェラーゼなどの遺伝子、蛍光を発するグリーン・フルオレッセント・プロテイン(GFP)遺伝子等が挙げられる。
【0033】
また、本発明は大腸菌に限定されるものではなく、上記のようなマーカー遺伝子が利用可能であればいかなる生物種にも利用可能である。
さらに、本発明は、以上説明したような生物を用いたスクリーニングに限定されるものではなく、試験管内であってもトランスレーショナル・カップリングが起こる系であればよい。例えば、大腸菌とファージを利用した試験管内転写翻訳系など、生細胞内と類似の翻訳系を試験管内に構築した場合、生細胞内と同様にトランスレーショナルカップリングが起きると推察されるが、本発明はこの様な場合にも利用可能である。この場合には、マーカー遺伝子からのタンパク質の発現の有無によって、外来挿入遺伝子断片が正しく挿入されその全長が翻訳されたベクターあるいは外来遺伝子保持ベクター、DNAあるいはRNAが、これを発現しないベクターあるいは外来遺伝子保持ベクター、DNAあるいはRNAと試験管内で区別できればよく、例えば、マーカー遺伝子として、例えば、蛍光を発するグリーン・フルオレッセント・プロテイン(GFP)や、適当な基質を添加することによって発色や発光を引起こすルシフェラーゼなどのタンパク質をコードする遺伝子を用いることができる。試験管内で実施される場合においては、挿入遺伝子断片を保持するあるいは保持しない単一種あるいは複数種のベクター、DNAあるいはRNAを容器あるいはカプセルなどで隔離することによって、多数の挿入遺伝子断片を保持するあるいは保持しない単一あるいは複数のベクター、DNAあるいはRNAについて、一斉にスクリーニングを行うことができる。ベクターおよび挿入遺伝子断片は、DNAであってもRNAであっても良く、化学合成、PCR、転写、細胞からの抽出など、適当な手段によって用意される。ただし、RNAを用いる場合には、転写翻訳系とともに逆転写系を共存させることが必要である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0034】
【実施例1】
(1)コリシンE3およびイミュニティE3遺伝子(配列番号14)を有するプラスミドpSH350((1)Toba,M., Masaki,H., & Ohta,T.; Primary structure of the ColE2-P9,and ColE3-CA38 lysis genes. J. Biochem., 99,(2),591-596,1986. (2)Akutsu,A., etal. J. Bacteriol., 171, 6430-6436, 1989.)を鋳型として、下記の2回のPCRによって、所定のDNA断片を得た。このPCRにおいては、1sfn-tgatg-imm、2sfn-tgatg-imm、3sfn-tgatg-imm、ImE3REco、Xba-HA2、Xba-t-HA2をそれぞれ合成し、プライマーあるいは鋳型として用いた。これらの塩基配列を、ぞれぞれ、順に配列番号1、2、3、4、5、6として配列表に示した。以下の表1に1回目のPCR条件を示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004243680
上記で得られた3種類の各PCR産物をそれぞれ鋳型として、2回目のPCRを行った。
表2に2回目のPCR条件を示す。
【0036】
【表2】
Figure 0004243680
上記2回のPCRにより、下記の6種類のPCR産物を得た。該PCR産物を、用いたプライマーとともに表3に示す。
【0037】
【表3】
Figure 0004243680
【0038】
次に、上記で得られた6種類のPCR産物をXba IとEco R Iで消化し、pUC19の対応する制限酵素部位にリガーゼを用いて連結した後、大腸菌XLI-Blue MRF'に形質転換した。6種類のそれぞれの形質転換体よりプラスミドを回収し、LI-COR社製Model 4200L DNAシークエンサーを用いて、プラスミドに挿入されたDNA断片の配列を確認した。図2は、上記の結果得られた6種のHAimmシリーズのDNA断片の構造をその塩基配列中に示した図である。また、6種の挿入DNAの構造の模式図を図3に示す。この第3図中、Xba I、Sfi IおよびEcoR Iは、それぞれの制限酵素で切断される配列であり(第2図にその塩基配列が示されている。)、このXba IとSfi Iは外来遺伝子の挿入部位として設けられている。
【0039】
また、第3図中HAはHA tagをコードする配列(第2図中のHA tag領域)を、下線部はイミュニティーE3遺伝子(第2図中、ImmE3領域)の翻訳開始コドンを示す。また、これらの挿入断片は、プラスミドベクターに由来するプロモーターおよび翻訳開始シグナルにより、転写と翻訳によって発現されるが、太文字部は、それぞれのプラスミド上の翻訳読み枠における終止コドン(tga)示す。これら6種の挿入DNA 断片はいずれも終止コドンとして各々を読み枠をずらした終止コドンを3個配置している。また、HAimm-1、HAimm-t1、HAimm-2およびHAimm-t2に存在するccあるいはcは、終止コドン中翻訳読み枠をずらすための付加的な塩基配列である。また、HAimm-t1 、HAimm-t2 、 HAimm-t3のXba IとSfiIとの間に塩基配列中、太字で示したtaaは、終止コドンであ
Figure 0004243680
造を示すとともに、挿入されるDNA断片の塩基配列中に終止コドンがある場合の結果を見るために設けたものである。一方、HAimm-1 、HAimm-2 、 HAimm-3は、挿入したDNA 断片の塩基配列中に終止コドンがない場合を想定したものである。
【0040】
(2)0.1%グルコースあるいは0.2 mM IPTG(isopropyl-b-D-thiogalactopyranoside)あるいはそのいずれも含まない3種類のLB寒天培地を作製し、それぞれに、図4Aに示されたように中央に縦線状にコリシンE3タンパク質を塗布した。この3種類の寒天培地のそれぞれに、図4Aに示されたように各形質転換体を横線上に左から右に向けて塗布した。また、これらの形質転換体以外に、イミュニティーE3遺伝子を保持しないプラスミド(gal4)、およびイミュニティーE3遺伝子が常に発現するように構築されたプラスミド(ImE3)の各形質転換体をコントロールとして、上記の形質転換体と同様に塗布した。
【0041】
上記の形質転換体を塗布した寒天培地を37℃で一昼夜インキュベートし、縦線上に塗布されたコリシンE3タンパク質の両側の各形質転換体の生育を観察した。この結果を図4に示す。イミュニティーE3遺伝子が恒常的に発現しているプラスミド(ImE3)を有する形質転換体は、いずれのプレートにおいても塗布された全領域にわたって旺盛に生育していた。また、イミュニティーE3遺伝子を持たないプラスミド(gal4)を有する形質転換体は、コリシンE3が塗布された領域よりも右側にはほとんど生育が見られなかった。
【0042】
一方、HAimmシリーズのプラスミドを有する各形質転換体については、グルコース、IPTGの存在下・非存在下に関らず、いずれの場合にも、Xba IとSfi Iの間に、プラスミドの読み枠と一致する翻訳終止コドン(taa)が存在しない場合(HAimm-1、HAimm-2およびHAimm-3)の方が、存在する場合(HAimm-t1、HAimm-t2およびHAimm-t3)に比較して、その生育が明確に良好であった。特に、IPTGによって転写を誘導した場合においては、この翻訳終止コドンが存在しない場合にはイミュニティーE3遺伝子を恒常的に発現するプラスミドを保持する形質転換体と同等の生育を示したのに対して、この翻訳終止コドン(taa)が存在する場合にはほとんど生育が見られなかった。
【0043】
以上により、本発明によって製作されたプラスミドは、Xba IおよびSfi Iサイトをクローニング部位として用いることにより、この間に挿入されたDNA断片の全長が翻訳された場合にのみ、生育が可能であることが示された。
【0044】
【実施例2】
pHN301プラスミドを鋳型として、3Sfn-tgatg-imm(配列番号3)とImE3NotEco(配列番号15)のプライマーペアーを用いてPCRを行った。次に、このPCR産物を20倍希釈して鋳型とし、SfiTAA(配列番号16)とImE3NotEco(配列番号15)のプライマーペアーを用いてPCRを行った。さらに、このPCR産物を20倍希釈して鋳型とし、BamSfi(配列番号17)とImE3NotEco(配列番号15)のプライマーペアーを用いてPCRを行った。上記の合計3回のPCRにより、ImE3Sfi2の配列(配列番号18)よりなるDNA断片を得た。なお、3回のPCRは全て下記表4に示す温度条件を用いた。
【0045】
【表4】
Figure 0004243680
【0046】
得られたImE3Sfi2(配列番号18)断片の構造を図5に示す。ImE3Sfi2は、その両末端側にBamHIとEcoRIの認識部位を有し、BamHIサイトの下流側に外来遺伝子の挿入部位である2つのSfiI認識部位を有し、この間にそれぞれ読み枠をずらした3個の終止コドン(TAA)を配置している。2個目のSfiIの下流側は3個の終止コドン(TGA)を介してイミュニテイ遺伝子(Immunity E3)に連結している。3番目の終止コドンとイミュニテイ遺伝子(Immunity E3)の開始コドン(ATG)は読み枠をずらせて重複して配置されている。
【0047】
このDNA断片をBamHIとEcoRIで消化し、pUC19の対応する制限酵素部位にリガーゼを用いて連結した後、大腸菌XLI-Blue MRF'に形質転換した。形質転換体よりプラスミドを回収し、LI-COR社製Model 4200L DNAシークエンサーを用いて、プラスミドに挿入されたDNA断片の配列を確認した。こうして得られた正しい塩基配列を有するプラスミドをpTLCと命名した。このプラスミドpTLCの構造を図6に示す。図中の記号は図5と同様である。
【0048】
次に、このベクターの評価用の挿入断片として、アビジン遺伝子を有するDNA断片であって、配列中に停止コドンを有しないAvd1Sfi2(配列番号19)、Avd2Sfi2(配列番号20)、Avd3Sfi2(配列番号21)、および停止コドンを有するAvd1Sfi2-t(配列番号22)、Avd2Sfi2-t(配列番号23)、Avd3Sfi2-t(配列番号24)を作製した。これらAvdSfiシリーズの構造を、図7に示す。すなわち図7中、Sfi IはpTLCベクターに挿入するための制限酵素切断部位を、TAAは挿入断片中で翻訳が集結するように人為的に挿入された終止コドンを、-、C、CCはアビジン遺伝子の翻訳がpTLCベクターに継続される場合に、翻訳が異なる読み枠となるようにするための挿入塩基を示す。以上より、Avd1Sfi2はpTLCベクターに継続される翻訳読み枠が1番目の挿入断片を、Avd1Sfi2-tはpTLCベクターに継続される翻訳読み枠が1番目で上記の人為的終止コドンを有する挿入断片を、Avd2Sfi2はpTLCベクターに継続される翻訳読み枠が2番目の挿入断片を、Avd2Sfi2-tはpTLCベクターに継続される翻訳読み枠が2番目で上記の人為的終止コドンを有する挿入断片を、Avd3Sfi2はpTLCベクターに継続される翻訳読み枠が3番目の挿入断片を、Avd3Sfi2-tはpTLCベクターに継続される翻訳読み枠が3番目で上記の人為的終止コドンを有する挿入断片である。
【0049】
これらの各断片を、pTLCベクターの対応する制限酵素部位にリガーゼを用いて連結した後、Bio-Rad社 Gene Pulserを用いてエレクトロポレーション法によって大腸菌XLI-Blue MRF'に形質転換した。エレクトロポレーション後に、定法通り直ちにSOC培地を添加して37℃で1時間静置した後、最終濃度が1 mMとなるようにIPTGを添加して、さらに37℃で6時間静置した。この形質転換体懸濁液に、最終濃度が1 mg/mlとなるようにコリシンE3を添加し、各形質転換体のそれぞれ等量づつを100 mg/mlのアンピシリンと0.2 mM IPTGを含むLB寒天培地に塗布した。また、対照として、コリシンE3を添加しないで同様の操作を行った。この操作により、6種類のプラスミドによる形質転換体のそれぞれについて、コリシンE3と添加した場合としない場合の2種類、合計12種類の寒天培地による培養の結果を得た。さらに、外来断片を挿入していないpTLCベクターそのものの形質転換体を調製し、コリシンE3を線上に縦方向に塗布した寒天培地上に、これらの形質転換体を横方向に線上に塗布した。図中の1、12、16、47、48はこれらの形質転換体を表す。また、gal4とimmE3は、実施例1におけるgal4とimmE3と同じ形質転換体を表す。この寒天培地を37℃で一昼夜保温し、生育してきたコロニーを観察したところ、図8の結果を得た。これにより、Avd1Sfi2、Avd2Sfi2、Avd3Sfi2を保持する形質転換体は、Avd1Sfi2-t、Avd2Sfi2-t、Avd3Sfi2-tを保持する形質転換体に比較して10〜100倍の数のコロニーを形成した。また、DNA断片を挿入しないpTLCベクターは、同様の操作によってコロニーを形成しなかった。以上より、pTLCベクターは、挿入断片の全長が翻訳された場合にのみ、生育可能な形質転換体を得られることが証明された。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、特に発現ライブラリーの構築および利用について、翻訳の方向あるいは読み枠が正しくないことによって生じる自然界に存在しないあるいは発現が好ましくないアミノ酸配列を有するペプチド、ポリペプチドあるいはタンパク質を生産する宿主を排除することにより、正しい生理活性を有しない遺伝子のスクリーニングあるいは偽陽性のバックグラウンドが増大することを防止する。また、指示物質として宿主に対する致死物質、およびマーカー遺伝子として致死物質に対する抵抗遺伝子を用いれば、外来遺伝子断片が挿入されているクローンのみを特異的に生育させることが可能であることから、極めて効率的にスクリーニングを行うことができる。
【0051】
【配列表】
Figure 0004243680
Figure 0004243680
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【0052】
さらに、本発明によれば、試験管内であってもトランスレーショナル・カップリングが起こる系であれば利用することが可能であり、挿入遺伝子断片を保持する単一種あるいは複数種のベクター、DNAあるいはRNAを容器あるいはカプセルなどで隔離することによって、多数の挿入遺伝子断片を保持する単一あるいは複数のベクター、DNAあるいはRNAについて、一斉にスクリーニングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マーカ遺伝子としてコリシンに対するイミュニティー遺伝子を用いて、本発明のDNAマーカー材料を構築した場合および外来遺伝子を挿入した場合の各構造を示す概念図である。
【図2】実施例1において作製したHAimmシリーズの各DNA断片の構造を示す図である。
【図3】実施例1において作製した挿入DNA断片の構造を示す模式図である。
【図4】実施例1において作製された6種の挿入DNA断片を保持する形質転換体のコリシンによる耐性を他の断片と比較して示した培養試験の結果を示す写真である。
【図5】実施例2において作製されたImE3Sfi2の構造を示す図である
【図6】実施例2において作製されたpTLCベクターの構造を示す図である。
【図7】実施例2において作製されたAvdSfiシリーズの各DNA断片の構造を示す図である。
【図8】実施例2において作製されたAvd1Sfi2、Avd2Sfi2、Avd3Sfi2、Avd1Sfi2-t、Avd2Sfi2-t、Avd3Sfi2-tを挿入したpTLCベクターを保持する形質転換体の増殖結果を表す図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a DNA or RNA fragment for selectively screening only recombinants in which a foreign inserted gene is correctly translated, a vector having these fragments, and a screening reagent kit containing at least these fragments or vectors.
[0002]
[Prior art]
For example, in a conventional vector for transforming E. coli or the like, a method using a β-galactosidase gene as a marker gene is known in order to screen for a transformant having a foreign inserted gene inserted therein. In this method, the color of the colony grown on the medium is colored blue by the degradation of the indicator by the expressed galactosidase, but the expression of β-galactosidase is suppressed by the insertion of the foreign gene, indicating that it does not color blue. (Non-patent document 1).
[0003]
In addition, by using a lethal gene of E. coli such as topoisomerase and colicin E1 gene, foreign DNA is inserted into the translation region, so that the expression of the gene is suppressed and only clones holding the foreign DNA are selectively grown. A method is also known (Patent Document 1).
However, in the selection by color development using β-galactosidase etc., it is not only necessary to add a coloring substance such as X-Gal (5-bromo-4-chloro-3-indolyl-beta-D-galactopyranoside) to the medium. Since a transformant that does not retain the inserted fragment also grows, a large agar medium area is required to isolate many transformants. On the other hand, when a lethal gene is used, transformants that do not retain the inserted fragment die, so the area of the medium for separating the transformants can be reduced, and selection using a liquid medium is also possible. .
[0004]
On the other hand, when analyzing the function of a gene, it is necessary to analyze the property and activity of an expression product (protein) of the gene, or to analyze changes in host properties when the gene product is expressed. For this purpose, so-called expression vectors capable of protein expression are often used. In addition, for example, in order to analyze the functions of a large number of genes, DNA containing a large number of genes such as genomic DNA is often fragmented and inserted into a vector to prepare a library. A region in which a DNA fragment has not been encoded is inserted, or even in a region where a gene is encoded, a clone in which a DNA fragment is inserted in a reading frame different from the original reading frame is generated with a probability of 5/6. In such clones, the original long-chain peptide is not synthesized, but translation proceeds until the first translation stop codon (stop codon generated by the shift in the reading frame) appears, and a peptide that does not exist in nature is synthesized. become. These peptides often have unexpected biochemical and physiological activity, preventing the screening of genes that do not have the correct physiological activity and increasing the false positive background. , Screening was unsuccessful and was a cause of reduced efficiency.
[0005]
[Non-Patent Document 1]
Sambrook, J. et al. (1989) Molecular Cloning: a laboratory manual.second edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 57-139095
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to solve the above-mentioned problems of the prior art, and in a recombinant holding a foreign inserted gene fragment, the direction and reading frame of the peptide, polypeptide or protein encoded by the foreign inserted gene fragment Provides a means for efficiently screening only recombinants that are correctly translated, thereby enabling to suppress the expression of peptides that are not originally produced in vivo, Further, in the case of screening using the function of the expressed peptide, polypeptide or protein, an attempt is made to eliminate as much as possible the possibility of selecting a gene that does not exist in nature or is unexpected. Another object of the present invention is to provide means for reducing the number of independent transformants constituting a library necessary for screening by eliminating unnecessary clones.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
As a result of diligent research to solve the above problems, the present inventors applied so-called translational coupling, and expressed the marker gene only when the foreign gene to be inserted was correctly translated. It has been found that only recombinants in which foreign genes to be correctly retained can be screened extremely efficiently, and the present invention has been completed.
[0008]
  That is, the present invention is as follows.
(1) A marker gene, having a foreign gene insertion site upstream of the marker gene, three translation stop codons arranged downstream of the foreign gene insertion site, and each translation stop codon having a different reading frame A DNA marker material that is arranged, wherein the marker gene is an immunity gene for colicin;The three translation stop codons are arranged within 10 bp upstream of the start codon of the immunity gene, and the most downstream translation stop codon is arranged overlapping the translation start codon of the immunity gene with a reading frame shifted, Marker geneA DNA marker material which is translated by translational coupling depending on the translation of the full length of a foreign gene to be inserted.
(2) The foreign gene insertion site consists of two identical or different restriction enzyme cleavage sites, and has a translation stop codon in the base sequence between the restriction enzyme cleavage sites. The DNA marker material according to claim 1, wherein the translation termination codon is removed by cutting and inserting foreign DNA.
(3)  Claim 1 or 2A vector comprising the base sequence of the DNA marker material described in 1.
[0009]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in more detail.
The present invention applies translational coupling, and expresses a marker gene only when translation is performed without termination over the entire length of the foreign gene to be inserted, whereby the target foreign gene is correctly retained. The present invention relates to a DNA marker material designed so that only recombinants can be screened or a vector having a base sequence of the DNA marker material.
[0010]
Translational coupling is a phenomenon in which, when two genes are close to each other, a downstream gene is also translated by translating a gene located upstream. Further, when the translation level of the upstream gene decreases, the translation level of the downstream gene also decreases accordingly. At this time, the translation of two adjacent genes is linked and is translationally coupled.
[0011]
So far, there have been vectors for expressing proteins encoded by foreign gene fragments by using translational coupling (Sergey, V. et al., Gene, 88, 121-126, 1990). ). However, these are originally incorporated into vectors and are intended to express the protein encoded by the DNA fragment inserted downstream by translation of the gene located upstream of the translational coupling. Yes, it is basically the same as when fused with peptides or proteins encoded on vectors such as conventional His-tag and GST (Glutathion-S-Transferase). The translation reading frame is specifically determined by the insertion position.
[0012]
As described above, the above-described vectors using translational coupling have been used only for expressing the protein encoded by the inserted DNA fragment. Coupling is the first use for screening recombinants and is very innovative and very practical.
[0013]
In the above DNA marker material of the present invention, only when the foreign gene insertion site is upstream of the marker gene, the inserted foreign gene is correctly inserted in the direction and reading frame, and the entire length of the gene is translated into a peptide It is designed so that the marker gene is translated into a polypeptide by translational coupling and expressed. Therefore, when a stop codon (TAA, TAG, TGA) is placed downstream of the foreign gene and near the translation start point of the marker gene, and the foreign gene is inserted, the foreign gene and the marker gene are inserted via the stop codon. It is designed that the marker gene is translated only when the foreign gene is translated in the vicinity of the translation start point of the marker gene.
[0014]
In the present invention, such a DNA marker material may be prepared in advance and inserted into a vector such as a plasmid to obtain a recombinant vector, and a foreign gene may be introduced into this recombinant vector. The preparation may be carried out directly on the vector so as to have the base sequence of the above DNA marker material without carrying out the preparation and insertion into the vector, and a foreign vector may be introduced into this to obtain a recombinant vector.
[0015]
The recombinant vector thus obtained is introduced into an appropriate host. At this time, a foreign gene introduced so that it does not coincide with the reading frame of the vector or a reverse gene is introduced. In translation of a foreign gene, there is a high possibility that a stop codon is generated in the base sequence of the foreign gene due to a shift in the reading frame or translation in the reverse direction of the base sequence. For example, in a DNA fragment of about several hundred bp that encodes a functional domain, a DNA fragment of 501 bp theoretically encodes 167 amino acids, but the probability of encoding a stop codon among all codons is 3/64. Since it is about 0.0469, it becomes 167x0.0469 = about 7.8, and on average, about 8 stop codons appear. Thus, if the foreign gene is introduced so that it does not match the reading frame of the vector or is introduced in the reverse direction, translation almost certainly stops in the foreign insert, and translation is the false stop codon. Since the foreign gene is not translated in the vicinity of the translation start point of the marker gene, translational coupling does not occur, and translation / expression of the marker gene does not occur. In contrast, when the foreign gene is correctly introduced in both reading frame and orientation, the entire length of the inserted foreign gene is translated until the stop codon provided near the translation start point of the marker gene. Translation continues, translational coupling occurs, and the marker gene is expressed. These relationships are illustrated below.
[0016]
[When reading frame is correct]
[Chemical 1]
Figure 0004243680
[0017]
[If there is a gap in the reading frame]
[Chemical formula 2]
Figure 0004243680
[0018]
[When a foreign gene is inserted in the opposite direction]
[Chemical 3]
Figure 0004243680
[0019]
This marker gene can be any marker gene that can be discriminated in the presence or absence of an indicator in the presence, absence or presence of an indicator, depending on the presence or absence of its expression. However, if the expression of the marker gene is observed, there is a high probability that the foreign gene has been correctly inserted in the reading frame and direction, and only the foreign gene has been correctly inserted in the reading frame and direction. Screening becomes possible.
[0020]
In the above example, the stop codon provided in the vicinity of the translation start point of the marker gene is one that terminates translation when the entire length of the foreign gene to be inserted is translated. Therefore, if the total length of the foreign gene to be inserted is clear and the reading frame of the stop codon does not match the reading frame of the foreign gene, an additional amount is added to match the reading frame of the foreign gene. Is added upstream of the stop codon. However, in order to omit such an operation, it is preferable to provide three or more stop codons each shifted in reading frame.
[0021]
Figure 0004243680
[0022]
These stop codons are provided so that extra amino acid sequences are not added in the translation polypeptide of the foreign gene, and the addition of a nucleic acid to match the reading frame changes the structure of the expression polypeptide of the foreign gene. It is preferable that it is as small as possible so that it does not occur.
Further, these stop codons may be arranged on the downstream side of the foreign gene, regardless of whether they are upstream or downstream of the translation start point of the marker gene. Regarding the distance between the translation start codon (ATG) of the marker gene and the translation stop codon located in the vicinity thereof, it is sufficient that the translation of the marker gene is translationally coupled to the translation of the foreign inserted gene fragment. However, when the translation stop codon is located upstream of the translation initiation codon (ATG), it is preferably 45 bp or less, more preferably 20 bp or less, and even more preferably 10 bp or less. When the translation stop codon is located downstream of the translation start codon (ATG), it is preferably 1000 bp or less, more preferably 200 bp or less, and even more preferably 40 bp or less. If the translation stop codon is located downstream of the translation start codon, the stop codon must not terminate the translation of the marker gene. For this purpose, for example, as illustrated below, the stop codon is designed to be in a reading frame different from the translational reading of the marker gene, and the amino acid in the expressed protein of the marker gene is changed by insertion of the stop codon. It is preferable to design so as not to change.
[0023]
[Formula 4]
Figure 0004243680
However, in the above examples of base sequences, / represents a reading frame for a foreign gene, and: represents a reading frame for a marker gene.
[0024]
In this case, if the amino acid is not important for the activity of the expressed protein of the marker gene, the amino acid may be changed by insertion of a stop codon. Furthermore, the translation stop codon and the translation start codon of the marker gene may overlap in the sequence.
The design of the insertion site of the foreign gene is not particularly limited, and it is designed to be cleaved by a restriction enzyme as in the conventional case. In the DNA of the present invention or a vector having the same, a site that is recognized and cleaved by two identical or different restriction enzymes is preferably provided, and a stop codon is provided in the base sequence between the restriction enzyme cleavage sites. This stop codon is provided so as to coincide with the reading frame of the plasmid, and when a foreign gene is introduced, the base sequence between these two cleavage sites is removed, and this stop codon is removed.
[0025]
Therefore, if no foreign gene is inserted due to the arrangement of this stop codon, translation from this upstream is terminated at this stop codon, and translation is not performed near the translation start site of the marker gene. Translational coupling does not occur and the marker gene is not translated or expressed. Therefore, it is possible to identify a recombinant carrying a vector into which this foreign gene has not been inserted, and it is possible to determine whether or not the full length of this foreign gene is a translatable region.
In the present invention, at least a gene set comprising the above DNA marker material or a vector having the base sequence of the marker material, and an indicator for identifying the presence or absence of expression of the marker gene in the marker material or vector. A recombinant screening kit is also provided.
[0026]
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to FIG. 1 by taking, as an example, a case where colicin, which is a toxic protein against E. coli, is used as an indicator and an immunity gene that neutralizes the toxicity of colicin is used as a marker gene.
In the present invention, for example, a plasmid is used as a vector for retaining a foreign gene fragment in E. coli, and an immunity gene is inserted into this plasmid. This immunity gene is located downstream with respect to the expected transcription / translation direction of the foreign gene insertion fragment. Further, the immunity gene has a translation start codon, and one or more translation stop codons (II) are arranged in the vicinity thereof. Two restriction enzyme recognition sites are arranged upstream of (II) of this stop codon to serve as a foreign gene insertion site. Between these two restriction enzyme recognition sites, a stop codon (I) is arranged together with the translation reading frame of the plasmid. When a foreign gene fragment is inserted, the stop codon (I) is deleted.
[0027]
The peptide, polypeptide or protein encoded by the foreign gene insert is located upstream of the insert and is endogenous to the plasmid, or expressed from a promoter and translation initiation signal carried by the insert itself. Furthermore, if the direction of the foreign gene fragment and the reading frame and direction of the translation are correctly recognized and the translation is correct or expected in the same manner as in the natural world, the reading frame is shifted or inserted as described above. Since no false stop codon is generated due to an error in the translation, translation does not end within the inserted gene fragment, translation continues to the stop codon (II) located near the translation start site of the marker gene, and translational coupling occurs. And the immunity gene is translated and expressed. When no foreign gene is inserted, translation is terminated by the stop codon (I), translation does not reach the stop codon (II), and immunity gene translation / expression does not occur.
[0028]
However, the foreign gene fragment is preferably a fragmented DNA fragment that can encode a functional domain or epitope of a protein, rather than a product having a translation termination codon of the original gene as in the full-length cDNA. Although there is no restriction | limiting in particular about the length of fragmented DNA, Preferably it is 9-3000 bp, More preferably, it is 45-1500 bp, More preferably, it is 200-1000 bp. The DNA material used for fragmentation may be genomic DNA or cDNA. As a fragmentation method, any of the commonly used methods may be used, and mechanical shredding by passing through a capillary at high speed, ultrasound, DNase I, restriction enzyme, and the like can be used. In addition, artificially designed synthetic DNA fragments and artificially introduced DNA fragments can also be used.
[0029]
The number of translation stop codons located in the vicinity of the translation start codon of the immunity gene is preferably three as described above, and each stop codon is such that the translation is terminated for all three types of translation frames. Are arranged with the reading frame shifted. However, if the number of reading frames when translated correctly is limited to one or two, the purpose can be achieved with one or two. It is possible to arrange more than three translation stop codons, but from the principle of translation, there are three translation stop codons that function effectively.
[0030]
Regarding the distance between the translation start codon (ATG) of the immunity gene and the translation stop codon (II) located in the vicinity thereof, as described above, the translation of the immunity gene and the translation of the foreign inserted gene fragment are combined (trans The translation termination codon (II) is preferably 45 bp or less, more preferably when the translation stop codon (II) is located upstream of the translation start codon (ATG). Is 20 bp or less, more preferably 10 bp or less. In the above description, the case where the translation stop codon (II) is arranged upstream of the translation start codon (ATG) has been described, but in the present invention, as described above, the translation stop codon (translation start codon ( In this case, the distance between the translation initiation codon (ATG) and the translation termination codon (II) is preferably 1000 bp or less, more preferably 200 bp or less, More preferably, it is 40 bp or less, and the translation of the immunity gene and the translation of the foreign inserted gene fragment need to be linked (translationally coupled). In addition, when the translation stop codon is downstream of the translation start codon, the stop codon must not be inactivated by terminating the translation of the immunity protein, and the means for this are as described above. is there.
[0031]
In the present invention, when a gene recombination operation using an exogenous gene is performed using a DNA marker material using the immunity gene for colicin as described above or a plasmid having the base sequence of the marker as a marker gene, the selection medium contains colicin. Use medium.
Thus, E. coli having a plasmid or vector into which no foreign gene has been introduced, E. coli having a plasmid or vector whose foreign gene reading frame does not match the original, or a plasmid or vector in which the insertion of the foreign gene is reversed. In E. coli having, the immunity gene cannot be expressed, and it is killed by colicin, which is a toxic protein against E. coli. Therefore, Escherichia coli grown in this colicin-containing medium has a foreign gene correctly introduced and expresses the original polypeptide, and it can be screened very efficiently by collecting this. .
[0032]
In this example, a gene that neutralizes the lethality of a protein that is lethal to Escherichia coli is used as a marker gene. However, it is not necessary to use a protein that shows lethality, and any substance may be used. Is not necessary to be added to the medium, and it is not necessary to set specific conditions. The marker gene may be any gene that can be distinguished from a state in which the gene is not expressed, such as a gene whose expression is detected or observed, and preferably the growth rate of a host that expresses the gene expresses the gene. It is a gene that can be significantly improved compared to non-hosts. As the marker gene used in the present invention, for example, a resistance gene (drug resistance marker) for antibiotics such as ampicillin, kanamycin, tetracycline, chloramphenicol, and a synthetic system such as amino acids such as methionine, arginine, histidine, tryptophan, uracil, etc. Positive selection markers such as complementation genes (auxotrophic markers) for inactivated mutants of essential genes and genes relating to sugar assimilation such as lactose and galactose are preferred, but β-galactosidase gene etc. Gene of enzyme that catalyzes color reaction by using appropriate substrate, gene such as luciferase that causes color development or light emission by adding appropriate substrate, Green fluorescent protein (GFP) gene that emits fluorescence Etc. The.
[0033]
The present invention is not limited to Escherichia coli, and can be used for any biological species as long as the marker gene as described above is available.
Furthermore, the present invention is not limited to screening using organisms as described above, and any system in which translational coupling occurs even in a test tube may be used. For example, if a translation system similar to that in a living cell is constructed in a test tube, such as an in vitro transcription translation system using E. coli and phage, it is assumed that translational coupling occurs in the same way as in a living cell. The present invention can also be used in such a case. In this case, depending on the presence or absence of protein expression from the marker gene, a vector in which the foreign inserted gene fragment is correctly inserted and its full length translated, or a foreign gene-retaining vector, DNA or RNA that does not express this, or a foreign gene It is only necessary to be able to distinguish it from a retention vector, DNA or RNA in a test tube. For example, as a marker gene, for example, green fluorescent protein (GFP) that emits fluorescence or an appropriate substrate is added to induce color development or luminescence. A gene encoding a protein such as luciferase to wake up can be used. When performed in vitro, a large number of inserted gene fragments can be retained by isolating single or multiple types of vectors, DNA or RNA with containers or capsules, with or without the inserted gene fragments. Single or multiple vectors, DNA or RNA that are not retained can be screened simultaneously. Vectors and inserted gene fragments may be DNA or RNA, and are prepared by appropriate means such as chemical synthesis, PCR, transcription, and extraction from cells. However, when RNA is used, it is necessary to allow a reverse transcription system to coexist with a transcription / translation system.
Examples of the present invention are shown below, but the present invention is not limited to the examples.
[0034]
[Example 1]
(1) Plasmid pSH350 having colicin E3 and immunity E3 genes (SEQ ID NO: 14) ((1) Toba, M., Masaki, H., & Ohta, T .; Primary structure of the ColE2-P9, and ColE3-CA38) lysis genes. J. Biochem., 99, (2), 591-596, 1986. (2) Akutsu, A., etal. J. Bacteriol., 171, 6430-6436, 1989.) A predetermined DNA fragment was obtained by PCR twice. In this PCR, 1sfn-tgatg-imm, 2sfn-tgatg-imm, 3sfn-tgatg-imm, ImE3REco, Xba-HA2, and Xba-t-HA2 were respectively synthesized and used as primers or templates. These base sequences are shown in the sequence listing as SEQ ID NOs: 1, 2, 3, 4, 5, 6 in order. Table 1 below shows the first PCR conditions.
[0035]
[Table 1]
Figure 0004243680
A second round of PCR was performed using each of the three PCR products obtained above as templates.
Table 2 shows the second PCR conditions.
[0036]
[Table 2]
Figure 0004243680
The following six PCR products were obtained by the above two PCRs. The PCR products are shown in Table 3 along with the primers used.
[0037]
[Table 3]
Figure 0004243680
[0038]
Next, the six PCR products obtained above were digested with Xba I and Eco RI, ligated to the corresponding restriction enzyme sites of pUC19 using ligase, and then transformed into E. coli XLI-Blue MRF ′. Plasmids were recovered from each of the six types of transformants, and the sequence of the DNA fragment inserted into the plasmid was confirmed using a Model 4200L DNA sequencer manufactured by LI-COR. FIG. 2 is a diagram showing the structure of six types of DNA fragments of the HAimm series obtained as a result of the above in its base sequence. Moreover, the schematic diagram of the structure of 6 types of insertion DNA is shown in FIG. In FIG. 3, Xba I, Sfi I and EcoR I are sequences cleaved by the respective restriction enzymes (the base sequence is shown in FIG. 2). Xba I and Sfi I are It is provided as an insertion site for foreign genes.
[0039]
In FIG. 3, HA represents a sequence encoding HA tag (HA tag region in FIG. 2), and the underlined portion represents the translation initiation codon of the immunity E3 gene (ImmE3 region in FIG. 2). In addition, these inserted fragments are expressed by transcription and translation by a promoter derived from a plasmid vector and a translation initiation signal, and the bold letters indicate a stop codon (tga) in the translation reading frame on each plasmid. Each of these six types of inserted DNA fragments has three stop codons each having a reading frame shifted as a stop codon. Further, cc or c present in HAimm-1, HAimm-t1, HAimm-2 and HAimm-t2 is an additional base sequence for shifting the translation reading frame in the stop codon. In addition, taa shown in bold in the base sequence between Xba I and SfiI of HAimm-t1, HAimm-t2, and HAimm-t3 is a stop codon.
Figure 0004243680
This is provided to show the structure and the results when there is a stop codon in the base sequence of the inserted DNA fragment. On the other hand, HAimm-1, HAimm-2, and HAimm-3 are assumed to have no stop codon in the base sequence of the inserted DNA fragment.
[0040]
(2) Three types of LB agar medium containing neither 0.1% glucose nor 0.2 mM IPTG (isopropyl-bD-thiogalactopyranoside) or any of them were prepared, and each was vertically lined in the center as shown in FIG. 4A. Colicin E3 protein was applied. As shown in FIG. 4A, each of the three types of agar medium was coated with each transformant on the horizontal line from left to right. In addition to these transformants, the above-mentioned traits were used with each transformant of a plasmid (gal4) that does not carry the immunity E3 gene and a plasmid (ImE3) constructed so that the immunity E3 gene is always expressed. It applied like the conversion body.
[0041]
The agar medium coated with the transformant was incubated overnight at 37 ° C., and the growth of each transformant on both sides of the colicin E3 protein coated on the vertical line was observed. The result is shown in FIG. The transformant having a plasmid (ImE3) in which the immunity E3 gene is constantly expressed grew vigorously over the entire coated area in any plate. In addition, the transformant having a plasmid (gal4) having no immunity E3 gene hardly grew on the right side of the region coated with colicin E3.
[0042]
On the other hand, for each transformant having the HAimm series plasmid, the reading frame of the plasmid between Xba I and Sfi I, regardless of the presence or absence of glucose and IPTG. When there is no matching translation stop codon (taa) (HAimm-1, HAimm-2 and HAimm-3), compared to when it exists (HAimm-t1, HAimm-t2 and HAimm-t3), Its growth was clearly good. In particular, when transcription was induced by IPTG, in the absence of this translation termination codon, it showed growth equivalent to that of a transformant carrying a plasmid that constitutively expresses the immunity E3 gene. When this translation termination codon (taa) was present, almost no growth was observed.
[0043]
As described above, the plasmid produced according to the present invention can be grown only when the full length of the DNA fragment inserted therebetween is translated by using the Xba I and Sfi I sites as cloning sites. Indicated.
[0044]
[Example 2]
PCR was performed using the pHN301 plasmid as a template and a primer pair of 3Sfn-tgatg-imm (SEQ ID NO: 3) and ImE3NotEco (SEQ ID NO: 15). Next, this PCR product was diluted 20 times to serve as a template, and PCR was performed using a primer pair of SfiTAA (SEQ ID NO: 16) and ImE3NotEco (SEQ ID NO: 15). Furthermore, this PCR product was diluted 20 times to serve as a template, and PCR was performed using a primer pair of BamSfi (SEQ ID NO: 17) and ImE3NotEco (SEQ ID NO: 15). A DNA fragment comprising the sequence of ImE3Sfi2 (SEQ ID NO: 18) was obtained by the above-mentioned three times of PCR. The temperature conditions shown in Table 4 below were used for all three PCRs.
[0045]
[Table 4]
Figure 0004243680
[0046]
The structure of the obtained ImE3Sfi2 (SEQ ID NO: 18) fragment is shown in FIG. ImE3Sfi2 has BamHI and EcoRI recognition sites on both ends, and two SfiI recognition sites that are foreign gene insertion sites downstream of the BamHI site. The stop codon (TAA) is arranged. The downstream side of the second SfiI is linked to an immunity gene (Immunity E3) via three stop codons (TGA). The third stop codon and the start codon (ATG) of the immunity gene (Immunity E3) are overlapped by shifting the reading frame.
[0047]
This DNA fragment was digested with BamHI and EcoRI, ligated to the corresponding restriction enzyme site of pUC19 using ligase, and then transformed into E. coli XLI-Blue MRF ′. The plasmid was recovered from the transformant, and the sequence of the DNA fragment inserted into the plasmid was confirmed using a Model 4200L DNA sequencer manufactured by LI-COR. The plasmid having the correct base sequence thus obtained was named pTLC. The structure of this plasmid pTLC is shown in FIG. The symbols in the figure are the same as those in FIG.
[0048]
Next, as an insert fragment for evaluation of this vector, a DNA fragment having an avidin gene, which does not have a stop codon in the sequence, Avd1Sfi2 (SEQ ID NO: 19), Avd2Sfi2 (SEQ ID NO: 20), Avd3Sfi2 (SEQ ID NO: 21) ), And Avd1Sfi2-t (SEQ ID NO: 22), Avd2Sfi2-t (SEQ ID NO: 23), and Avd3Sfi2-t (SEQ ID NO: 24) having stop codons. The structure of these AvdSfi series is shown in FIG. That is, in FIG. 7, Sfi I is a restriction enzyme cleavage site for insertion into a pTLC vector, TAA is an artificially inserted stop codon so that translation is concentrated in the inserted fragment,-, C and CC are avidin. When a gene is continued to be translated into a pTLC vector, the insertion base is shown so that the translation becomes a different reading frame. From the above, Avd1Sfi2 is the first translation reading frame continued in the pTLC vector, and Avd1Sfi2-t is the first translation reading frame continued in the pTLC vector and has the above-mentioned artificial stop codon. Avd2Sfi2 is the insertion fragment with the second translation reading frame continued in the pTLC vector, Avd2Sfi2-t is the second translation reading frame continued in the pTLC vector with the above-mentioned artificial termination codon, Avd3Sfi2 Is the insertion fragment with the third translation reading frame continued in the pTLC vector, and Avd3Sfi2-t is the insertion fragment with the third artificial reading codon and the third translation reading frame continued in the pTLC vector.
[0049]
Each of these fragments was ligated to the corresponding restriction enzyme site of the pTLC vector using ligase, and then transformed into E. coli XLI-Blue MRF ′ by electroporation using Bio-Rad Gene Pulser. After electroporation, the SOC medium was immediately added as usual and allowed to stand at 37 ° C. for 1 hour, then IPTG was added so that the final concentration was 1 mM, and the mixture was further allowed to stand at 37 ° C. for 6 hours. To this suspension of transformants, colicin E3 was added so that the final concentration was 1 mg / ml, and an equal amount of each transformant was added to LB agar containing 100 mg / ml ampicillin and 0.2 mM IPTG. It was applied to the medium. As a control, the same operation was performed without adding colicin E3. By this operation, the results of culturing each of the six types of plasmid transformants with 12 types of agar medium, with or without colicin E3, were obtained. Furthermore, a transformant of the pTLC vector itself into which no foreign fragment had been inserted was prepared, and these transformants were applied on the line in the horizontal direction on an agar medium coated with colicin E3 in the vertical direction on the line. 1, 12, 16, 47 and 48 in the figure represent these transformants. Moreover, gal4 and immE3 represent the same transformants as gal4 and immE3 in Example 1. This agar medium was kept at 37 ° C. overnight, and the grown colonies were observed. The results shown in FIG. 8 were obtained. Thereby, the transformants holding Avd1Sfi2, Avd2Sfi2, and Avd3Sfi2 formed 10 to 100 times as many colonies as the transformants holding Avd1Sfi2-t, Avd2Sfi2-t, and Avd3Sfi2-t. Moreover, the pTLC vector into which no DNA fragment was inserted did not form colonies by the same operation. From the above, it was proved that the pTLC vector can obtain a viable transformant only when the full length of the inserted fragment is translated.
[0050]
【The invention's effect】
The present invention relates to a host that produces a peptide, polypeptide, or protein having an amino acid sequence that does not exist in nature or is unfavorable in expression, which is caused by an incorrect translation direction or reading frame, particularly for the construction and use of an expression library. By eliminating, it prevents the screening of genes not having the correct physiological activity or the increase of false positive background. In addition, if a lethal substance for the host is used as the indicator substance and a resistance gene for the lethal substance is used as the marker gene, only clones into which the foreign gene fragment has been inserted can be specifically grown. Screening can be performed.
[0051]
[Sequence Listing]
Figure 0004243680
Figure 0004243680
Figure 0004243680
Figure 0004243680
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Figure 0004243680
Figure 0004243680
Figure 0004243680
Figure 0004243680
[0052]
Furthermore, according to the present invention, any system in which translational coupling occurs even in a test tube can be used, and a single species or a plurality of types of vectors, DNA or By isolating RNA in a container or a capsule, single or multiple vectors, DNA or RNA carrying a large number of inserted gene fragments can be screened simultaneously.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a conceptual diagram showing each structure when a DNA marker material of the present invention is constructed and a foreign gene is inserted using an immunity gene for colicin as a marker gene.
2 is a diagram showing the structure of each DNA fragment of the HAimm series prepared in Example 1. FIG.
3 is a schematic diagram showing the structure of an inserted DNA fragment prepared in Example 1. FIG.
FIG. 4 is a photograph showing the results of a culture test in which the transformants carrying the six inserted DNA fragments prepared in Example 1 are compared with other fragments for resistance to colicin.
5 is a view showing the structure of ImE3Sfi2 produced in Example 2. FIG.
FIG. 6 is a diagram showing the structure of the pTLC vector prepared in Example 2.
7 is a view showing the structure of each DNA fragment of the AvdSfi series prepared in Example 2. FIG.
FIG. 8 is a graph showing the growth results of transformants carrying pTLC vectors inserted with Avd1Sfi2, Avd2Sfi2, Avd3Sfi2, Avd1Sfi2-t, Avd2Sfi2-t, and Avd3Sfi2-t prepared in Example 2.

Claims (3)

マーカー遺伝子と、該マーカー遺伝子の上流に、外来遺伝子挿入部位を有するとともに該外来遺伝子挿入部位の下流に翻訳終止コドンが3個配置され、かつ各翻訳終止コドンがそれぞれ読み枠をずらせて配置されているDNAマーカー材料であって、該マーカー遺伝子が、コリシンに対するイミュニティー遺伝子であり、該イミュニティー遺伝子の開始コドンの上流10bp以内に、上記3個の翻訳終止コドンが配置されるとともに、最下流の翻訳終止コドンがイミュニティー遺伝子の翻訳開始コドンと読み枠をずらせて重複して配置され、マーカー遺伝子がトランスレーショナルカップリングにより、挿入される外来遺伝子全長の翻訳に依存して翻訳されることを特徴とする、DNAマーカー材料。A marker gene, having a foreign gene insertion site upstream of the marker gene, and having three translation stop codons arranged downstream of the foreign gene insertion site, and each translation stop codon being arranged with a different reading frame The marker gene is an immunity gene for colicin , the three translation stop codons are arranged within 10 bp upstream of the start codon of the immunity gene , and the most downstream translation stop The codon is arranged overlapping the translation start codon of the immunity gene and shifted in reading frame, and the marker gene is translated by translational coupling depending on the translation of the full length of the inserted foreign gene. , DNA marker material. 外来遺伝子挿入部位が、2個の同一又は異なる制限酵素切断部位からなるとともに、該制限酵素切断部位間の塩基配列中に翻訳終止コドンを有し、該2個の制限酵素切断部位を切断して外来DNAを挿入することによって該翻訳終止コドンが除かれることを特徴とする請求項1に記載のDNAマーカー材料。  The foreign gene insertion site consists of two identical or different restriction enzyme cleavage sites, has a translation stop codon in the base sequence between the restriction enzyme cleavage sites, and cleaves the two restriction enzyme cleavage sites The DNA marker material according to claim 1, wherein the translation stop codon is removed by inserting foreign DNA. 請求項1又は2に記載のDNAマーカー材料の塩基配列を含むベクター。A vector comprising the base sequence of the DNA marker material according to claim 1 or 2 .
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