以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。
遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための可変表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。この実施の形態では、可変表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートスイッチ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられている。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する玉切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって玉貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートスイッチ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、可変表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。なお、始動入賞記憶については、後で詳しく説明する。
可変表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。この継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
停止時の可変表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。
可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。
機構板36には、中継基板30を介して可変表示部9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および景品玉の払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球基板37が設置されている。さらに、機構板36には、モータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、スピーカ27および遊技効果ランプ・LED28a,28b,28cに信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。
また、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。遊技盤6の裏面には、図3に示すように、各入賞口および入賞球装置に入賞した入賞玉を所定の入賞経路に沿って導く入賞玉集合カバー40が設けられている。入賞玉集合カバー40に導かれる入賞玉のうち、開閉板20を経て入賞したものは、玉払出装置97が相対的に多い景品玉数(例えば15個)を払い出すように制御される。始動入賞口14を経て入賞したものは、玉払出装置(図3において図示せず)が相対的に少ない景品玉数(例えば6個)を払い出すように制御される。そして、その他の入賞口24および入賞球装置を経て入賞したものは、玉払出装置が相対的に中程度の景品玉数(例えば10個)を払い出すように制御される。なお、図3には、中継基板33が例示されている。
賞球払出制御を行うために、入賞球検出スイッチ99、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22からの信号が、主基板31に送られる。主基板31に入賞球検出スイッチ99のオン信号が送られると、主基板31から賞球基板37に賞球個数信号が送られる。入賞があったことは入賞球検出スイッチ99で検出されるが、その場合に、主基板31から、賞球基板37に賞球個数信号が与えられる。例えば、始動口スイッチ17のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「6」が出力され、カウントスイッチ23またはVカウントスイッチ22のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「15」が出力される。そして、それらのスイッチがオンしない場合に入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「10」が出力される。
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球制御基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。なお、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている場合もある。
さらに、主基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、定期的(例えば、2ms毎)に基本回路53にリセットパルスを与えてゲーム制御用のプログラムを先頭から再度実行させるための定期リセット回路66と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。
なお、玉払出装置97から主基板31に入力されるスイッチ情報もあるが、図4ではそれらは省略されている。
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
図5は、表示制御基板80内の回路構成を、可変表示部9の一実現例であるCRT82および主基板31の出力バッファ回路(出力ドライバ)63とともに示すブロック図である。表示制御用CPU101は、制御データROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31から入力バッファ回路105における入力バッファ105aを介してストローブ信号が入力されると、入力バッファ105aを介して表示制御コマンドを受信する。なお、主基板31の出力バッファ回路63は、基本回路53の出力ポートから信号を入力して主基板31から出力する回路であるが、片方向(主基板31から表示制御基板80に向かう方向)にしか信号を伝えない。
そして、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D−A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。
なお、図5には、VDP103をリセットするためのリセット回路83、VDP103に動作クロックを与えるための発振回路85、および使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86も示されている。キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。
入力バッファ回路105における入力バッファ105aは、主基板31から表示制御基板80へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、表示制御基板80側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。表示制御基板80内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。さらに、片方向にしか信号を伝えない出力バッファ回路63を設けることによって、主基板31から表示制御基板80への一方向性の信号伝達をより確実にすることができる。
次に遊技機の動作について説明する。
図6は、主基板31における基本回路53の動作を示すフローチャートである。上述したように、この処理は、定期リセット回路66が発するリセットパルスによって、例えば2ms毎に起動される。基本回路53が起動されると、基本回路53は、まず、クロックモニタ制御を動作可能状態にするために、CPU56に内蔵されているクロックモニタレジスタをクロックモニタイネーブル状態に設定する(ステップS1)。なお、クロックモニタ制御とは、入力されるクロック信号の低下または停止を検出すると、CPU56の内部で自動的にリセットを発生する制御である。
次いで、CPU56は、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理を行う(ステップS2)。この例では、スタックポインタに00FFHが設定される。そして、システムチェック処理を行う(ステップS3)。システムチェック処理では、CPU56は、RAM55にエラーが含まれているか判定し、エラーが含まれている場合には、RAM55を初期化するなどの処理を行う。
次に、表示制御基板80に送出されるコマンドデータをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(表示制御データ設定処理:ステップS4)、コマンドデータを表示制御コマンドデータとして出力する処理を行う(表示制御データ出力処理:ステップS5)。
次いで、各種出力データの格納領域の内容を各出力ポートに出力する処理を行う(データ出力処理:ステップS6)。また、ランプタイマを1減ずる処理を行い、ランプタイマがタイムアウトしたら(=0になったら)、ランプデータポインタを更新するとともに新たな値をランプタイマに設定する(ランプタイマ処理:ステップS7)。
また、ランプデータポインタが示すアドレスのデータ、ホール管理用コンピュータに出力される大当り情報、始動情報、確率変動情報などの出力データを格納領域に設定する出力データ設定処理を行う(ステップS8)。さらに、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS9)。
次に、遊技制御に用いられる大当り決定用乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS10)。
図7は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り決定用=特別図柄決定用)
(2)ランダム2−1〜2−3:左右中のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当り時の図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用=特別図柄判定用)
(4)ランダム4:はずれ時にリーチするか否か決定する(リーチ判定用)
(5)ランダム5:リーチ時の変動時間を決定する(リーチ種類決定用)
なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(5)の乱数以外の乱数も用いられている。
ステップS10では、CPU56は、(1)の大当り決定用乱数および(3)の大当り図柄判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数である。
次に、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS11)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS12)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
さらに、CPU56は、スイッチ回路58を介して、各スイッチの状態を入力し、スイッチ状態に応じて必要な処理を行う(スイッチ処理:ステップS13)。また、後述するプロセスデータ中の音声データを音声制御基板70に送出する処理を行う(音声処理:ステップS14)。
基本回路53は、さらに、表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS15)。すなわち、ランダム2,4,5を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。
また、基本回路53は、賞球制御基板37との間の信号処理を行う(ステップS16)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球制御基板37に賞球個数を示す賞球制御コマンドを出力する。賞球制御基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、受信した賞球個数に応じて玉払出装置97を駆動する。
その後、基本回路53は、次に定期リセット回路66からリセットパルスが与えられるまで、ステップS17の表示用乱数更新処理を繰り返す。
なお、ここでは、主基板31のCPU56が実行するメイン処理は、CPU56の外部から入力される定期リセット信号に応じて起動されるように構成されたが、CPU56の内部タイマが定期的に発生するタイマ割込にもとづくタイマ割込処理でメイン処理が実行されるように構成されていてもよい。また、定期的に(例えば2ms毎)信号を発生するハードウェア回路を設け、その回路からの信号をCPU56の外部割込端子に導入し、割込信号の入力に応じてメイン処理が実行されるように構成されていてもよい。
次に、始動入賞口14への入賞にもとづいて可変表示部9に可変表示される図柄の決定方法について図8〜図10のフローチャートを参照して説明する。図8は打球が始動入賞口14に入賞したことを判定する処理を示し、図9は可変表示部9の可変表示の停止図柄および変動パターン等を決定する処理を示すフローチャートである。図10は、大当りとするか否か決定する処理を示すフローチャートである。
打球が遊技盤6に設けられている始動入賞口14に入賞すると、始動口センサ17がオンする。メイン処理のステップS8の特別図柄プロセス処理において、図8に示すように、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると(ステップS41)、始動入賞記憶数が最大値である4に達しているかどうか確認する(ステップS42)。始動入賞記憶数が4に達していなければ、始動入賞記憶数を1増やし(ステップS43)、大当り決定用乱数の値を抽出する。そして、それを始動入賞記憶数の値に対応した乱数値格納エリアに格納する(ステップS44)。なお、始動入賞記憶数が4に達している場合には、始動入賞記憶数を増やす処理を行わない。すなわち、この実施の形態では、最大4個の始動入賞口17に入賞した打球数が記憶可能である。さらに、大当り図柄決定用乱数を抽出し、その値を乱数値格納エリアに格納する(ステップS45)。
図9に示すように、CPU56は、ステップS11の特別図柄プロセス処理において、可変表示部9における新たな特別図柄の可変表示を開始できる状態になると始動入賞記憶数の値を確認する(ステップS50)。始動入賞記憶数が0でなければ、始動入賞記憶数=1に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を読み出すとともに(ステップS51)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各乱数値格納エリアの値をシフトする(ステップS52)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を、始動入賞記憶数=n−1に対応する乱数値格納エリアに格納する。
そして、CPU56は、ステップS51で読み出した値、すなわち抽出されている大当り決定用乱数の値にもとづいて当たり/はずれを決定する(ステップS53)。ここでは、大当り決定用乱数は0〜299の範囲の値をとることにする。図10に示すように、低確率時には例えばその値が「3」である場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。高確率時には例えばその値が「3」,「7」,「79」,「103」,「107」のいずれかである場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。
大当りと判定されたときには、乱数値格納エリアに格納されている大当り図柄決定用乱数(ランダム3)を読み出しその値に従って大当り図柄を決定する(ステップS54)。また、リーチ種類決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ種類を決定する(ステップS57)。
はずれと判定された場合には、CPU56は、まず、リーチ判定テーブル設定処理を行った後に(ステップS55)、リーチとするか否か判定する(ステップS58)。リーチ判定テーブル設定処理については後で詳しく説明する。そして、リーチとすることを決定したときには、CPU56は、リーチ図柄の決定を行う。
この実施の形態では、ランダム2−1の値に従って左右図柄を決定する(ステップS59)。また、ランダム2−2の値に従って中図柄を決定する(ステップS60)。すなわち、ランダム2−1およびランダム2−2の値の0〜15の値に対応したいずれかの図柄が停止図柄として決定される。ここで、決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当り図柄と一致しないようにする。なお、この実施の形態では、左右中それぞれ16種類の図柄があるとする。
さらに、CPU56は、リーチ種類決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ種類を決定する(ステップS57)。ステップS58において、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2−1〜2−3の値に応じて左右中図柄を決定する(ステップS61)。
以上のようにして、始動入賞にもとづく図柄変動の表示態様が大当りとするか、リーチ態様とするか、はずれとするか決定され、それぞれの停止図柄の組合せが決定される。
なお、後で詳しく説明するが、この実施の形態では、ステップS57において決定されるリーチ種類は、リーチ時の図柄の可変表示期間を示すものである。
また、高確率状態において、次に大当りとなる確率が上昇するとともに、7セグメントLEDによる可変表示器10の可変表示の確定までの時間が短縮され、かつ、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められるようにパチンコ遊技機1が構成されていてもよいし、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たりの確率が高くなるように構成されていてもよい。また、それらのうちのいずれか一つまたは複数の状態のみが生ずるパチンコ遊技機1においても本発明は適用可能である。
例えば、可変表示部9の停止図柄の組合せが特定図柄となった場合に、大当りとなる確率は上昇しないが可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められる遊技機においても、リーチとすることが決定されたら、左右の停止図柄を特定図柄の表示態様と一致させるか否か、すなわちどの図柄でリーチ状態を発生させるかが所定の乱数等の手段によって決定される遊技機においても本発明を適用可能である。
また、この実施の形態で用いられた乱数および乱数値の範囲は一例であって、どのような乱数を用いてもよいし、範囲設定も任意である。
図11は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図11に示す特別図柄プロセス処理は、図6のフローチャートにおけるステップS11の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、その内部状態に応じて、図11に示すステップS300〜S309のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
特別図柄変動待ち処理(ステップS300):可変表示部9において、新たな特別図柄の可変表示が開始できる状態になるのを待つ。
特別図柄判定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り決定用乱数の値に応じて大当りとするかはずれとするか決定する。すなわち、図9に示された処理の前半が実行される。
停止図柄設定処理(ステップS302):左右中図柄の停止図柄を決定する。すなわち、図9に示された処理の中半が実行される。
リーチ動作設定処理(ステップS303):リーチ動作するか否か決定するとともに、リーチ用種類決定用乱数の値に応じてリーチ態様の種類を決定する。すなわち、図9に示された処理の後半が実行される。なお、ここで決定されるリーチ態様は可変表示の変動時間である。すなわち、遊技制御手段は、可変表示の変動時間を決定する。
全図柄変動開始処理(ステップS304):可変表示部9において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、表示制御基板80に対して、左右中最終停止図柄と可変表示の変動時間を指令する情報とが送信される。
全図柄停止待ち処理(ステップS305):変動期間が終了するのを待ち、変動期間が経過すると、可変表示部9において表示される全図柄を停止すべきことを示す全図柄停止コマンド(確定コマンド)が表示制御基板80に送出されるように制御する。
大当り表示処理(ステップS306):停止図柄が大当り図柄の組み合わせである場合には、内部状態(プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS309に移行するように更新する。なお、大当り図柄の組み合わせは、左右中図柄が揃った組み合わせである。また、左右図柄が揃うとリーチとなる。
大入賞口開放開始処理(ステップS307):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。
大入賞口開放中処理(ステップS308):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立したら、大当り遊技状態の終了条件が成立していなければ内部状態をステップS307に移行するように更新する。大当り遊技状態の終了条件が成立していれば、内部状態をステップS309に移行するように更新する。
大当り終了処理(ステップS309):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を行う。その表示が終了したら、内部フラグ等を初期状態に戻し、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
上述したように、始動入賞口14に打球が入賞すると、基本回路53は、ステップS11(図6参照)の特別図柄プロセス処理において、大当りとするかはずれとするか、停止図柄および可変表示期間を決定するが、その決定に応じた表示制御コマンドを表示制御基板80の表示制御用CPU101に与える。表示制御用CPU101は、主基板31からの表示制御コマンドに応じて可変表示部9の表示制御を行う。
図12は、主基板31から表示制御基板80に送信される表示制御コマンドを示す説明図である。図12に示すように、この実施の形態では、表示制御コマンドは、表示制御信号CD0〜CD7の8本の信号線で主基板31から表示制御基板80に送信される。また、主基板31と表示制御基板80との間には、ストローブ信号を送信するための表示制御信号INTの信号線、および接地レベルを供給するための信号線も配線されている。
図13は、主基板31から遊技制御基板80に与えられる表示制御コマンドの送出タイミングの例を示すタイミング図である。この例では、表示制御コマンドデータを構成する2バイトの表示制御データは、図13に示すように、2ms毎に送出される。そして、各表示制御データに同期してストローブ信号(表示制御信号INT)が出力される。表示制御用CPU101には、ストローブ信号の立ち上がりで割込がかかるので、表示制御用CPU101は、割込処理プログラムによって各表示制御データを取り込むことができる。
図14および図15は、図柄の可変表示態様を指示するための表示制御コマンドを示す説明図である。この実施の形態では、コマンド[80H,00H]〜[80H,18H]および[81H,00H]〜[81H,17H]の43種類の表示制御コマンドによって、表示制御基板80に対して43種類の可変表示パターンを指定することができる。
図14および図15に示された表示制御コマンドにおいて、「通常変動」と「通常変動短縮」とは同じ変動パターンの可変表示パターンである。また、「リーチx」と「リーチx短縮」におけるxが同じ値であれば、「リーチx」と「リーチx短縮」とは同じ変動パターンの可変表示パターンである。ただし、短縮と表示されているパターンとそうでないパターンとは、変動時間のみ異なる。なお、リーチ6,7,8,20,21,22,24の可変表示パターンについては、短縮と表示されているパターンはない。すなわち、それらについては、変動時間が短縮されたパターンは用意されていない。
また、「リーチx」と「リーチx短縮」に対応した表示制御コマンドでは、xの値が同じであれば、CMD2の値は同じである。そして、CMD1の値は、それぞれ80(H)、81(H)である。このように、変動パターンが同じで変動時間が異なる場合には表示制御コマンドの1バイト目のみが異なるようにすれば、表示制御コマンドに応じて表示制御を行う表示制御手段の制御が容易になる。
図14および図15に示されているように、短縮パターンを有するリーチ1〜5についての短縮でない可変表示パターンの変動時間は、リーチ7,8の可変表示パターンの変動時間よりも短い。また、リーチ9〜19についての短縮でない可変表示パターンの変動時間は、リーチ19やリーチ20の可変表示パターンの変動時間よりも短い。そして、リーチ23についての短縮でない可変表示パターンの変動時間は、リーチ23,24の可変表示パターンの変動時間よりも短い。このように、短縮パターンを有する可変表示パターンの変動時間は、比較的変動時間の短いものから選定されている。
つまり、短縮変動パターンは、比較的変動時間の短い変動パターンの変動時間をさらに短縮したものとなっている。図柄の変動時間が短いということは短期間で変動が終了するということであるから、始動入賞記憶が早く減ることになる。換言すれば、始動入賞記憶が上限に達してしまう可能性が低くなって、遊技者に有利な状況を提供することができる。
また、全ての変動パターン(通常変動およびリーチ1〜24)について短縮変動パターンを用意したのでは、表示制御コマンドの総数が多くなってしまう。しかし、この実施の形態のように、全ての変動パターンのうちの一部の変動パターンについてのみ1つの変動パターンに対応した複数の可変表示パターン(この例では、変動時間が短縮された可変表示パターンと変動時間が短縮されていない可変表示パターン)を用意すれば、表示制御コマンド数を削減することができる。なお、全ての変動パターンついて複数の可変表示パターンを用意したのでは、変動パターンの種類の2倍の表示制御コマンドを用意しなければならない(変動時間が短縮された可変表示パターンと変動時間が短縮されていない可変表示パターンとがある場合)。
図16には、左図柄に関する図柄の停止を指示する表示制御コマンドが示されている。図16に示すように、2バイトの表示制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の表示制御データCMD1の値は、「8B(H)」である。なお、この実施の形態では、左右中図柄として、それぞれ12種類が存在する。
図17には、中図柄に関する図柄の停止を指示する表示制御コマンドが示されている。図17に示すように、2バイトの表示制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の表示制御データCMD1の値は、「8C(H)」である。
図18には、右図柄に関する図柄の停止を指示する表示制御コマンドが示されている。図18に示すように、2バイトの表示制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の表示制御データCMD1の値は、「8D(H)」である。
その他、可変表示部9に表示される背景や図柄を指定するための表示制御コマンドもあるが、ここでは、その説明を省略する。なお、図15に示されたコマンド[80H,2FH]は、図柄の変動期間の終了時に主基板31から表示制御基板80に送出される「全図柄停止」を指示するコマンドである。
図19は、変動開始時から変動終了時までの間に主基板31から表示制御基板80に送出される図柄変動に関する表示制御コマンドの送出タイミングを示すタイミング図である。図19に示すように、図柄の変動開始時には、変動開始を指示するための表示制御コマンドが送出される。変動開始を指示するための表示制御コマンドは、図15および図16に示されたコマンド[80H,00H]〜[81H,17H]のいずれかである。次いで、左右中図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドが送出される。そして、変動期間終了時に、「全図柄停止」を指示するコマンド[80H,1FH](=確定コマンド)が送出される。
この実施の形態では、表示制御基板80における表示制御用CPU101が、変動開始を指示するための表示制御コマンドすなわち可変表示パターンを示す表示制御コマンドを受信すると、そのコマンドに応じたあらかじめ決められている変動パターンに従って左右中図柄の可変表示制御を行う。そして、変動期間の終了時に、停止図柄が主基板31からの表示制御コマンドによる左右中図柄の停止図柄となるように、例えば、図柄の差し替え制御等も行う。
図20は、可変表示パターンの一例を示す説明図である。(A)は、短縮変動パターンではないパターンを示し、(B)は短縮変動パターンを示す。両者は同一の変動パターンであるが、変動時間のみが異なっている。変動時間を異ならせるために、例えば、高速変動期間を短縮する。その他の期間は同一である。なお、図20には、比較的単純な変動パターンが例示されているが、コマ送り変動や逆変動等の変動パターンを含む場合であっても、同一の変動パターンにおける短縮変動パターンではない可変表示パターンと短縮変動パターンとでは、例えば、変動初期の高速変動期間の長さの相違で変動時間の長短が決められる。あるいは、変動期間中の中速変動の期間や低速変動の期間(図20参照)を増減してもよい。
次に、図9のフローチャートに示されたステップS55のリーチ判定テーブル設定処理の具体的処理例を説明する。図21は、リーチ判定テーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。リーチ判定テーブル設定処理において、CPU56は、始動入賞記憶数を確認し(ステップS551)、その値が4(最大数)であれば、リーチ判定テーブルとしてテーブル2を使用することに決定する(ステップS552)。また、始動入賞記憶数の値が最大数に達していなければ、リーチ判定テーブルとしてテーブル1を使用することに決定する(ステップS553)。なお、図9に示されたステップS52において始動入賞記憶数は−1されているが、ここでチェックされる始動入賞記憶数は−1される前の値である。すなわち、ここでチェックされる始動入賞記憶数の最大値は4である。
なお、この例では、保留記憶手段として、始動入賞記憶数は入賞時にカウントアップされ図柄の変動開始時にカウントダウンされるカウンタが用いられることになるが、保留記憶手段として他の手段を用いてもよい。例えば、大当り決定用乱数が格納される乱数値格納エリアの使用数(例えば保留4なら4つのエリアを使用している)、始動入賞記憶表示器18の点灯状態(点灯個数に応じた情報は一般にRAMに設定されている)等の始動入賞記憶数を特定可能な他の情報を用いてもよい。さらに、ランプ制御基板35におけるランプ制御手段が始動入賞記憶表示器18の点灯を制御するように構成されている場合には、ランプ制御手段に送出した保留個数を指示するコマンドの内容を用いることができる。また、始動入賞時の保留数を記憶しておいて、それにもとづいてテーブルを振り分けてもよい。
図22は、リーチ判定テーブルの一例を示す説明図である。図22に示すように、テーブル1には、値が「0〜104」のいずれかであればリーチすることに決定し、値が「105〜1530」のいずれかであればリーチしないことに決定することが示されている。また、テーブル2には、値が「0〜69」のいずれかであればリーチすることに決定し、値が「70〜1530」のいずれかであればリーチしないことに決定することが示されている。
図9に示されたフローチャートにおけるステップS58では、ランダム3(リーチ判定用乱数)の値がリーチ判定テーブルにおけるリーチすることに対応した値と一致すればリーチすることに決定され、ランダム3の値がリーチ判定テーブルにおけるリーチしないことに対応した値と一致すればリーチしないことに決定される。
このように、この実施の形態では、始動入賞記憶数が上限値に達している場合には、少なくとも始動入賞記憶数が下限値(=0)のときにリーチとなる確率よりも、リーチとなる確率が低く設定されている。従って、可変表示部9における図柄変動の開始条件の成立の記憶数が上限値になっている場合には、すなわち、図柄変動を開始できる状態の保留記憶数が最大になっている場合には、リーチ状態になりにくくなっている。従って、次々に図柄の変動が開始できる状態では、実質的に図柄の変動時間が短縮され、単位時間当たりの変動開始回数が高くなっている。また、はずれ時にリーチとなる確率が低くなるので、リーチの信頼度を向上させることができる。
この実施の形態では、図9のフローチャートに示されているように、リーチとするか否かを決定した後に停止図柄の決定が行われている(ステップS58,S59,S60)。すなわち、リーチ演出を含む演出パターンに関する決定がなされてから、表示結果の決定が行われる。このように、表示結果の決定よりも前に演出パターンに関する決定が行われるように構成されている場合には、状況に応じたリーチ発生確率の設定が容易になる。
また、大当りとするか否かの決定が行われ、大当りとしないことに決定されたた後に、リーチ演出を含む演出パターンに関する決定がなされる(ステップS53,S58)。このように構成した場合には、大当りとしないにも関わらずリーチ状態になるといった状況を減らすことができる。すなわち、演出パターンに関する決定がなされた後に大当りとするか否かの決定が行われる場合には、大当りとしないにも関わらずリーチ状態になるといった状況の発生率を調整することが難しいが、この実施の形態の場合には、大当りとしないにも関わらずリーチ状態になるといった状況の発生率を容易に調整することができる。
さらに、リーチ演出を含む演出パターンに関する決定がなされるタイミングは可変表示開始に関連するタイミングであり、そのようなタイミングで始動入賞記憶数に応じたリーチ発生確率の制御を行うので(ステップS55)、リーチ発生確率の制御のための始動入賞記憶数の把握を容易に行うことができる。
また、大当りとしない場合に、始動入賞記憶数が最大値になっている場合、または、所定値以上である場合には、リーチ状態にならないようにしてもよい。図23は、そのような制御を実現するためのリーチ判定テーブルの一例を示す説明図であり、図24は、リーチ判定テーブル設定処理(図9のステップS55)を示すフローチャートである。
この場合には、CPU56は、リーチ判定テーブル設定処理において、まず、確変状態であるか否か確認する(ステップS555)。確変状態であれば、始動入賞記憶数を確認し(ステップS556)、その値が2以上であれば、リーチ判定テーブルとしてテーブル2を使用することに決定する(ステップS557)。また、始動入賞記憶数の値が2に達していなければ、リーチ判定テーブルとしてテーブル1を使用することに決定する(ステップS558)。
また、確変状態でなければ、始動入賞記憶数の値が4であれば(ステップS551)、リーチ判定テーブルとしてテーブル2を使用することに決定する(ステップS552)。また、始動入賞記憶数の値が2に達していなければ、リーチ判定テーブルとしてテーブル1を使用することに決定する(ステップS553)。
図23に示されたリーチ判定テーブルのテーブル2には、リーチ判定用乱数の値が幾つであってもリーチしないことが設定されている。従って、テーブル2を使用することに決定された場合にはリーチ状態にならない。
なお、この実施の形態では、確変状態では始動入賞記憶数が2であればリーチがかからないように制御され、通常状態では始動入賞記憶数が4であればリーチがかからないように制御されたが、確変状態でも通常状態でも始動入賞記憶数の同じ値(例えば4)をチェックするようにしてもよい。また、2や3という数値は一例であって他の値を用いてもよい。
図25は、図9に示されたリーチ種類決定処理(ステップS57)の一例を示すフローチャートである。この例では、リーチ種類決定処理において、主基板31のCPU56は、図26〜図28に示す6種類のテーブルA〜Eを用いる。
テーブルAは、大当りとする場合であって短縮変動パターンを選択しないときに用いるテーブルである。テーブルBは、大当りとする場合であって短縮変動パターンを選択可能な状態で用いるテーブルである。また、テーブルC,Eは、大当りとしない場合であって短縮変動パターンを選択しないときに用いるテーブルである。テーブルDは、大当りとしない場合であって短縮変動パターンを選択可能なテーブルである。そして、テーブルFは、短縮変動パターンのみを選択可能なテーブルである。
この実施の形態では、一例として、大当りとしない場合に、始動入賞記憶数が上限値に達していればテーブルD,Fを用い、始動入賞記憶数が上限値に達していなければテーブルC,Eを用いることにする。CPU56は、使用テーブル中の各値とリーチ種類決定用乱数の値とを比較することによってリーチ種類を決定する。
リーチ種類決定処理において、主基板31のCPU56は、まず、ランダム5(リーチ種類決定用乱数)の値を抽出する(ステップS571)。すなわち、ランダム5を生成するためのカウンタの値を抽出する。ランダム5は、0〜99の範囲をとりうる(図7参照)。大当りとすることに決定されている場合には(ステップS572)、高確率状態(確変状態)であるのか否か確認する(ステップS573)。例えば、確変状態を生じさせる図柄の組合せ(確変図柄)で大当りが発生すると、所定の終了条件が成立するまで確変状態となっている。
確変状態でなければ、図26(A)に示すテーブルAに従って可変表示パターンを決定する(ステップS574)。すなわち、ステップS571で抽出された乱数値に応じたリーチ種類がテーブルAの内容に応じて決定される。テーブルAには「リーチx短縮」が設定されていないので(xはリーチ種類の番号を示す。)、この状態では、短縮変動パターンが選択されることはない。
確変状態であれば、図26(B)に示すテーブルBに従って可変表示パターンを決定する(ステップS575)。テーブルBには「リーチx短縮」が設定されているので、確変状態では、短縮変動パターンが選択されうる。なお、大当りである場合には無条件でテーブルAが選択されるようにしてもよい。そのようにすれば、大当りの演出を十分に行うことができる。
大当りとすることに決定されていない場合には、CPU56は、やはり、確変状態であるのか否か確認する(ステップS576)。確変状態でなければ、始動入賞記憶数が最大値(この例では4)に達しているか否か確認する(ステップS577)。最大値に達していなければ図27(C)に示すテーブルCを用いてリーチ種類を決定する(ステップS578)。テーブルCには「リーチx短縮」が設定されていないので、この状態では、短縮変動パターンは選択されない。また、最大値に達していれば図27(D)に示すテーブルDを用いてリーチ種類を決定する(ステップS579)。テーブルDには「リーチx短縮」が設定されているので、確変状態では、短縮変動パターンが選択されうる。
また、確変状態でも、始動入賞記憶数が最大値に達しているか否か確認する(ステップS580)。最大値に達していなければ図28(E)に示すテーブルEを用いてリーチ種類を決定する(ステップS581)。テーブルEには「リーチx短縮」が設定されていないので、この状態では、短縮変動パターンは選択されない。最大値に達していれば図28(F)に示すテーブルFを用いてリーチ種類を決定する(ステップS582)。テーブルFには「リーチx短縮」のみが設定されているので、確変状態では、短縮変動パターンが選択される。
以上のように、この例では、大当りとしない場合でも、リーチする場合には、遊技状態(確変か否か)に応じて、かつ、始動入賞記憶数に応じてリーチ選択制御が異なっている。すなわち、始動入賞記憶数が最大値に達している場合には比較的短いリーチパターンが選択され、始動入賞記憶数が最大値に達している場合には比較的長いリーチパターンが選択されるように各テーブルが構成されている。このようにすれば、長いリーチ(信頼度の高いリーチ)の信頼度を向上させることができる。
なお、この実施の形態では、確変時にも通常時(非確変時)にも始動入賞記憶数が最大値に達しているか否かのチェックが行われたが、確変時と通常時とで、チェック個数を変えてもよい。例えば、ステップS577(通常時)では「4」になっているか否かを確認し、ステップS580(確変時)では「2」になっているか否かを確認するようにしてもよい。このようにすれば、確変中の始動入賞記憶の消化効率を、通常時(低確率時)に比べてさらに向上させることができる。
さらに、図29に示すように、始動入賞記憶数が最大値になっている場合とそうでない場合とで同じリーチパターンが用いられるようにテーブルを構成し、始動入賞記憶数が最大値になっている場合(テーブルD)には、比較的時間が短いリーチパターンが選択されやすいように構成してもよい。
上記の各実施の形態では、図9に示されたように、リーチ演出を行うか否かを決定した後に停止図柄を決定した。しかし、停止図柄を先に決定し、決定された図柄に応じてリーチ演出が行われるの否かが決定される場合でも、始動入賞記憶数が所定値になっているときにはリーチがかかりにくくすることができる。図30は、そのような制御を行うことができる可変表示部9の可変表示の停止図柄および変動パターン等を決定する処理を示すフローチャートである。
この場合には、CPU56は、ステップS53で大当りとしないことに決定したときには、ランダム2−1〜2−3を抽出する(ステップS62)。また、左停止図柄図柄に対応したランダム2−1の値と右停止図柄図柄に対応したランダム2−3の値とを比較する(ステップS63)。それらが一致していれば、始動入賞記憶数を確認する(ステップS64)。そして、始動入賞記憶数が最大値に達していればランダム2−3の値を+1する(ステップS65)。すなわち、左右図柄を一致しないものとしてリーチとしないことにする。
始動入賞記憶数が最大値に達していなければリーチとすることに決定し(ステップS66)、リーチ図柄の決定を行う。すなわち、ランダム2−1〜2−3が示す値に応じた図柄番号の図柄を左右中図柄とする(ステップS67)。
ここで、ランダム2−2の値に応じて決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数(抽出したランダム2−2)の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当り図柄と一致しないようにする(ステップS68,S69)。そして、リーチ種類を決定する(ステップS55)。
ランダム2−1の値とランダム2−3の値とが同じでない場合、または、同じであっても始動入賞記憶数が最大値に達していてランダム2−3の値がずらされた場合には、ランダム2−1〜2−3の値に応じて左右中図柄を決定する(ステップS61)。この場合、ランダム2−1の値とランダム2−3の値とが一致していないので、リーチしないことに決定されている。
なお、ここでは、大当りとしない場合、始動入賞記憶数が最大値になっているときに左右図柄が一致した場合には常に右図柄をずらすようにしたが、所定の割合で右図柄をずらすようにしてもよい。その場合には、大当りとしない場合で始動入賞記憶数が最大値になっているときに、リーチ状態になることもあるが、リーチ発生確率を、少なくとも始動入賞記憶数の下限値に比べて低くすることができる。
以上のように、停止図柄を先に決めて、決定された図柄に応じてリーチするか否かを決めるように構成されている場合でも、始動入賞記憶数が最大値になっているときにはリーチが発生しにくくなるような制御を行うことができる。このようにすれば、始動入賞記憶の消化効率をより向上させることができる。
上記の各実施の形態では、始動入賞記憶数が最大値または所定値になっている場合にはリーチにしないように制御したり、演出時間が短いリーチパターンが選択されやすくなるように制御したが、リーチ状態にしない場合にも、始動入賞記憶数に応じて通常の変動パターンを選択するか短縮変動パターンを選択するかを決めるようにしてもよい。
図31は、そのような制御を行うことができる可変表示部9の可変表示の停止図柄および変動パターン等を決定する処理を示すフローチャートである。この場合には、CPU56は、リーチしないことに決定した場合には(ステップS58)、はずれ変動設定処理を行う(ステップS70)。
図32は、はずれ変動設定処理の一例を示すフローチャートである。はずれ変動設定処理において、CPU56は、まず、確変状態であるか否か確認する(ステップS701)。確変状態であれば、通常短縮変動(図15参照)を行うことに決定する(ステップS702)。なお、通常短縮変動とは、例えば、通常変動において減速期間がなくなったような変動パターンである。すなわち、左右中図柄が高速変動から一時に停止するような変動パターンである。
確変状態でなければ、始動入賞記憶数を確認し(ステップS705)、その値が4であれば、通常短縮変動を行うことに決定する(ステップS706)。また、始動入賞記憶数の値が4に達していなければ、通常変動(図14参照)を行うことに決定する(ステップS707)。
このように、非確変状態でリーチしない場合であっても、始動入賞記憶数が多い場合に図柄の変動期間を短縮するようにすれば、始動入賞記憶数が多い場合にリーチを発生しにくくしたり変動期間の短いリーチが選択されやすくしたりする制御と相まって、始動入賞記憶数が多い場合の単位時間当たりの変動開始回数を上げることができる。
なお、この実施の形態では、始動入賞記憶数が4(最大値)であれば通常短縮変動が行われるように制御されたが、最大値以外の他の値を用いてもよい。
以上のように、上記の各実施の形態では、始動入賞記憶すなわち保留記憶手段が記憶する始動条件の成立数に応じて図柄の変動時間を短縮するか否かの決定を行う変動時間短縮決定手段を備えた構成になっているので、始動条件の成立数が多数であって可変表示部9における図柄の変動が次々に行われうる状況では各変動における変動時間が短縮される。よって、始動条件の成立数が多数である場合にリーチがかかりにくくなる制御とともに、変動時間を短縮する制御が行われることによって、図柄の変動が次々に行われうる状況では、単位時間当たりの図柄回転数が小さな値となって遊技者によって有利な遊技環境を提供することができる。
さらに、特別遊技状態(上記の例では確変状態)であるか否かによって変動時間を短縮する制御を変えているので、特別遊技状態では遊技者により有利になるように制御することができる。遊技者により有利になるように制御するとは、例えば、変動時間が短縮される制御を行う条件となる始動入賞記憶数を少なくしたり、変動時間が短い変動パターンが選択されやすくするといった制御である。
なお、上記の各実施の形態では、特別遊技状態として確変状態を例にとったが、特別遊技状態はいわゆる時短状態であってもよい。
また、上記の各実施の形態では、可変表示部9における可変表示を開始するのに関連したタイミングで始動入賞記憶数を確認するようにしたが、可変表示が開始されてから始動入賞記憶数を確認するようにしてもよい。図33は、そのような制御を行うことができる特別図柄プロセス処理の概略処理を示すフローチャートである。
この例では、特別図柄プロセス処理において、CPU56は、変動開始条件が成立すると(ステップS111)、変動開始コマンドを表示制御基板80に送出する制御を行う(ステップS112)。そして、左図柄の停止タイミングが到来すると(ステップS113)、リーチすることになっているか否か確認し(ステップS114)、リーチすることになっていれば、この時点で、始動入賞記憶数を確認する(ステップS115)。
始動入賞記憶数が4であれば、短縮リーチパターンを選択する(ステップS116)。また、始動入賞記憶数が4になっていなければ、通常(短縮でない)リーチパターンを選択する(ステップS117)。そして、以後の変動パターンを示すコマンドを表示制御基板80に送出する制御を行う(ステップS118)。また、左右中の停止図柄を示すコマンドを表示制御基板80に送出する制御を行う(ステップS119)。
その後、図柄停止タイミングが到来すると(ステップS120)、確定コマンドを表示制御基板80に送出する制御を行う(ステップS121)。
このような制御によれば、リーチ期間を短縮するか否かの判断は、変動開始後所定期間が経過したときに行われる。変動開始後に始動入賞記憶数が増えることもあるので、変動開始時にリーチ期間を短縮するか否かの判断を行う場合に比べて、より遊技者に有利な遊技環境を提供することができる。
なお、遊技制御手段は、可変表示部における表示結果を決定する表示結果決定手段を含み、リーチ演出決定手段は、表示結果決定手段の決定結果に応じてリーチ演出を含む演出を行うか否かの決定を行い、決定結果に応じてリーチ演出を含む演出を行うことに決定された場合であっても保留記憶手段が記憶する変動開始の条件の成立数が上限値である場合にはリーチ演出を含む演出を行わないことにするように構成されていてもよい。そのように構成されている場合には、先に可変表示の表示結果を決定しその後にリーチとするか否かを決定するように構成されている場合であっても、保留記憶手段が記憶する変動開始の条件の成立数が上限値である場合に変動開始頻度を高くする制御を行うことができる。
また、リーチ演出決定手段がリーチ演出を含む演出を行わないことに決定した場合に表示結果決定手段が決定した表示結果を変更する表示結果変更手段を備えていてもよい。そのように構成されている場合には、先に可変表示の表示結果を決定しその後にリーチとするか否かを決定するときに、容易に変動開始頻度を変更することができる。