JP4241474B2 - 音響制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、壁面における吸音率を調整する音響制御装置に関するものである。
従来より、音楽スタジオやリスニングルームのような音響調整の必要な場所においては、音が反射する壁面に音波のエネルギーを吸収する吸音部材や、逆にエネルギーを反射する反射部材を取り付けて、壁面における吸音率の調整が行われていた。吸音率は、入射した音波のエネルギーと、入射した側に反射してこないエネルギーとの比で定義されるものであり、吸音率を調整するとは、つまり、反射音の大きさを調節することである。
このように、吸音部材や反射部材を用いて壁面における吸音率を調整する場合、一旦部材を取り付けてしまうと、その後、その壁面における吸音率を任意に変化させることができないという問題点があった。そこで、前記吸音部材や反射部材の室内側への露出面を巻き取り可能な被覆シートで覆うなどして壁面の構造を物理的に変えることにより、壁面での吸音率を変えるようにした音響制御装置も提案されている。
(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−146972号公報
しかし、上述のように吸音部材や反射部材を露出させるか否かによって壁面の吸音率を変える音響制御装置の場合、前記被覆シートのような露出調整手段が必要になるばかりでなく、その露出調整手段を駆動させて、物理的に壁面の構造を変化させなければならなかった。
そのため、結果的には限られた範囲でしか吸音率を調整することができず、より広い範囲での吸音率の調整に対応しきれなかった。しかも、前記露出調整手段やその駆動機構は、作動を繰り返すうちに故障する可能性があるため、定期的にメンテナンスを行って、常に正常に作動するようにしておく必要があった。
そこで、本発明の音響制御装置では、一端面を開口させたケーシングと前記ケーシングの開口端面側に配置され、前記開口端面への入射音波を吸音する吸音手段と、前記ケーシングの閉塞端面側に配置され、前記入射音波に向けて反射音波を放射する音波放射手段と、前記ケーシング内であって、前記音波放射手段の前方に配置され、前記音波放射手段から放射される音波を拡散する拡散体と、前記入射音波を検知する音波検知手段と、検知した入射音波に基づいて前記反射音波を生成する音波生成手段と、を備え、前記音波生成手段で生成した反射音波を前記音波放射手段から放射して、前記拡散体を介して前記ケーシングの開口端面から前記反射音波を放射するように構成した。
また、上記本発明の音響制御装置は、以下の点にも特徴を有するものである。
(1)前記拡散体は、前記開口端面に向かって開口した複数の音響管であり、当該複数の音響管は、その長さが平方剰余系列となるように配列して、前記音波放射手段から放射される反射音波を前記複数の音響管で拡散反射させるようにしたこと。
)前記音波生成手段は、前記音波放射手段から放射する反射音波に所定の響き成分を付加すること。
)前記音波放射手段は、所定周波数帯域の音波のみを放射すること。
)前記音波生成手段は、前記音波検知手段と音波放射手段との間で生じるハウリングを防止するハウリング防止手段を有すること。
請求項1記載の本発明によれば、一端面を開口させたケーシングと前記ケーシングの開口端面側に配置され、前記開口端面への入射音波を吸音する吸音手段と、前記ケーシングの閉塞端面側に配置され、前記入射音波に向けて反射音波を放射する音波放射手段と、前記ケーシング内であって、前記音波放射手段の前方に配置され、前記音波放射手段から放射される音波を拡散する拡散体と、前記入射音波を検知する音波検知手段と、検知した入射音波に基づいて前記反射音波を生成する音波生成手段と、を備え、前記音波生成手段で生成した反射音波を前記音波放射手段から放射して、前記拡散体を介して前記ケーシングの開口端面から前記反射音波を放射するように構成したので、単純な構成でありながら反射音波の大きさを自在に変えることができ、壁面における吸音率の調整可能範囲を拡大することができる。しかも、拡散体により反射音波に拡散反射性の指向特性を持たせて、単に音波放射手段から放射した反射音波とは異なるより自然に近い反射音波を生成することができる。
請求項2記載の本発明によれば、前記拡散体は、前記開口端面に向かって開口した複数の音響管であり、当該複数の音響管は、その長さが平方剰余系列となるように配列して、前記音波放射手段から放射される反射音波を前記複数の音響管で拡散反射させるようにしたので、前記音響管の配列や形状を変えることで、反射音波に様々な指向特性を持たせることができ、反射音波の特性をより細かに調整することができる。
請求項3記載の本発明によれば、前記音波生成手段は、前記音波放射手段から放射する反射音波に所定の響き成分を付加することとしたので、反射音波の特性をより細かに調整することができる。
請求項4記載の本発明によれば、前記音波放射手段は、所定周波数帯域の音波のみを放射することとしたので、従来は実現不可能であった周波数特性を持つ反射音波を生成することができ、反射音波の特性をより細かに調整することができる。
請求項5記載の本発明によれば、前記音波生成手段は、前記音波検知手段と音波放射手段との間で生じるハウリングを防止するハウリング防止手段を有することとしたので、反射音波をより安定して生成することができる。
本発明に係る音響制御装置は、壁面への入射音波(以下、入射音ともいう)を吸音する吸音手段の背後に、前記入射音波に向けて反射音波(以下、反射音ともいう)を放射する音波放射手段を配置し、前記入射音波を音波検知手段で検知し、検知した入射音波に基づいて前記反射音波を音波生成手段で生成し、生成した反射音波を前記音波放射手段から放射するように構成したものである。
すなわち、実際に壁面に入射した音波自体はグラスウールなどの吸音手段で吸音しておき、代わりに所望の大きさに調整した音波をスピーカなどの音波放射手段から反射音として放射して、壁面における反射率、つまりは吸音率を調整可能としたものである。これは、グラスウールなどの吸音手段が、そのままでは非常に高いエネルギー透過率を持つことに着目した技術であり、本発明に係る音響制御装置は、音波放射手段を制御するアンプのボリュームを絞れば単なる吸音手段として働き、逆にボリュームを上げれば壁面への入射音と同程度の振幅の音波を放射することとなる。
このように、本発明に係る音響制御装置は、所望の大きさに調整した音波を前記音波放射手段から反射音として放射することにより壁面における吸音率を変化させるので、壁面における吸音率をより広い範囲で変化させることができる。
なお、本発明に係る音響制御装置は、その寸法を1 m 程度以内に収めることができ、音楽スタジオや録音スタジオやリスニングルームなど、比較的小規模な音響空間で好適に用いることができる。また、一般の家庭環境においても、ホームシアターシステムと組み合わせて特定の音場を形成することができる。
また、前記録音スタジオのような特殊な音響空間においては、室内全体の響きの調整というよりも、特定の壁面における反射音のみ拡散させるなど、より細分化した音場の調整が求められる。しかも、その調整内容が、時間とともに、また音場を使うエンジニアによって変化することが多いので、壁面での吸音率を調整するだけでなく、より多様な反射音の特性を本音響制御装置によって調整するようにしてもよい。
例えば、前記音波生成手段によって、前記音波放射手段から放射する反射音に所定の響き成分を付加するようにすれば、反射音の「大きさ」のみならず、「響き(残響)」も調整することができ、より細かな反射音の調整を行うことができる。
また、前記音波放射手段となるスピーカに低周波専用のものや高周波専用のものを用いて、前記音波放射手段から所定周波数帯域の音波のみが放射されるようにすれば、これまで実現が困難であった周波数特性を極端に変更した反射音を生成することもでき、より多様な反射音の調整を行うことができる。
また、前記音波放射手段の前方に、前記壁面に向かって開口した複数の音響管を配置すれば、前記音波放射手段から放射された音波を、前記音響管を通して室内に放射することができ、前記音響管の配列の仕方によって反射音の指向特性を変えることができる。例えば、前記複数の音響管を平方剰余系列に従って配列した場合と、ランダム系列に従って配列した場合と、その他の系列に従って配列した場合とで、それぞれ室内に放射される反射音の指向特性を変えることができる。そのため、音波放射手段の指向特性に左右されることなく反射音の指向特性に多くのバリエーションを持たせて、より細かな反射音の調整を行うことができる。
特に、複数の音響管をその長さが平方剰余系列となるように配列すれば、前記音波放射手段から放射される反射音に拡散反射性の指向特性を持たせることができ、単に音波放射手段から放射した反射音と比べて、より自然に近い反射音とすることができる。また、本音響制御装置では、入射音の吸音と上述した反射音の拡散反射とを所望の度合いで両立させることができる。
また、上述のように壁面における反射音の特性を変化させて音場を調整する場合、マイクロホンのような音波検知手段は壁面の近くに設置する必要があり、音波放射手段となるスピーカとの距離が近くなってフィードバック回路を形成し、ハウリングなどの望ましくない現象が生じる可能性がある。従って、前記音波生成手段に、音波検知手段と音波放射手段との間で生じるハウリングを防止するハウリング防止手段としての機能を持たせて、より安定して反射音を生成できるようにすることが望ましい。特に、IMC (Internal Model Control) という信号処理技術を導入して、フィードフォワード形式でハウリングを防止するようにすれば、より簡単な構成で効果的にハウリングを防止することができる。
以下に、本発明に係る音響制御装置Aの一実施形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2には、本発明に係る音響制御装置の一実施形態を示しており、図2に示すように、本実施形態の音響制御装置Aは、ブックケース状に一端面を開口させた扁平なケーシング1を備え、その開口端面1a側半分に両端開口の筒状に形成した複数の音響管2を収容すると共に、閉塞端面1b側半分に音波放射手段としてのスピーカ(音源)3を着脱自在に取り付けている。この音響制御装置Aの扁平な形状は、後で2次元音場での測定を行うことを想定した形状であり、全体の厚さは 25 mm である。また、上記ケーシング1と音響管2は、いずれも音響的に剛なアクリル板から形成されている。
また、図1に示すように、壁面となる前記ケーシング1の開口端面1aの近傍には音波検知手段としてのマイクロホン4を配設し、同マイクロホン4から受け取った検知信号に基づき反射音を生成する音波生成手段としての制御部5を設けている。この制御部5には、反射音の「大きさ」を調整するフィルタ7や、反射音に特定の「響き」を付加するフィルタ7を設けており、前記マイクロホン4から受け取った検知信号をこれらのフィルタ7にかけることによって、所望の「大きさ」や「響き」を持つ反射音を生成することができる。また、生成された反射音は、前記スピーカ3から放射される。
前記複数の音響管2は、その先端を前記ケーシング1の開口端面1aに向けて一列に並設している。また、各音響管2の長さ Ln は、以下の(1)式に示す1次元の平方剰余系列によって定めている。
Figure 0004241474
ここで、 c は音速、 N は素数、 n は 0 〜 N1 まで変化する整数、 ωr は任意の設計周波数である。また、ここでは、c=340 m/s、 N=11、ωr = 1,000 Hz に仮定し、各音響管2の長さは、15.5 mm を単位長さ“1”として、それぞれ1、 4、 9、 5、 3、 3、 5、 9、 4、 1、 0 という長さにしている。また、最も長い音響管2が半波長にあたる周波数、約 1,222 Hz から、音響管2の幅 20 mm が半波長にあたる約 8,500 Hz までが、この構造の設計対象周波数範囲である。
なお、上記(1)式の設計手法は、図3(a)に示すように、音響管2で構成される“well”(井戸)の深さを決めるものである。それぞれの深さの井戸の底で反射した音波は出口から再放射される際に干渉し、複雑な拡散反射状の放射パターンを生成する。ここでは、同等の効果を後方に配置したスピーカ3からの放射音で得ることを目的に、簡易的にではあるが図3(b)に示すように音響管2の底面位置を揃えて、各音響管2の先端までの長さを定めている。それぞれの音響管2を伝搬した音波が長さに応じた位相で放射され、結果的に井戸の場合と同様に干渉しあうことを目指した形状である。このように、本実施形態では、複数の音響管2を平方剰余系列に従って配列して、通過した音波を拡散反射させる拡散体6を形成している。
また、それぞれの音響管2の内部には吸音手段としてのグラスウール8を充填し、各音響管2が基本的に吸音特性を持つようにしている。なお、音波を拡散放射させる拡散体6に吸音特性をもたせた構造は既に存在するが、本実施形態の音響制御装置Aは、背後に設置したスピーカ3を用いて反射音の大きさを調整する点で大きく異なるものである。
また、前記スピーカ3は、市販の 50 mm 径のフルレンジスピーカ3であり、このスピーカ3の出力部分を図2に示すようにケーシング1の内側に差し込んだ状態で使用する。このスピーカ3からの放射音を調整することにより、壁面となるケーシング1の開口端面1aにおける吸音率を変化させることができ、さらには、前記開口端面1aから放射される音波に拡散反射に近い指向特性を持たせることができる。また、前記スピーカ3にバリエーションを持たせることで、様々な周波数帯域の、様々な音質の音を反射音として自由に放射させることが可能になる。
また、前記制御部5には、スピーカ3とマイクロホン4との間で生じるハウリングを防止するために、従来からの制御理論を用いたフィードバックシステムを採用することができる。或いは、図4に示すように、周知の Internal Model Control (IMC) の技術を導入して、予め推定したスピーカ3とマイクロホン4との間の伝達関数(インパルス応答)Gに基づき反射音を生成するようにした潜在的に安定なフィードフォワードシステムを採用することもできる。特に、後者のフィードフォワードシステムの場合、図4に示す制御部5内のフィルタ7に様々な特性を持たせることができ、意図的に長い響きを持つ拡散反射音を生成したり、時々刻々変動する反射音を生成したりするなど、壁面における反射音の特性を細かく調整することができる。
次に、上記構成の音響制御装置Aから放射された音波がどのような指向特性を持つかを調べた。
図5に示すように、大きさが 2 m × 2 m の2次元無響室9において、壁面の一部を音響制御装置Aに置き換え、同音響制御装置Aからの距離が 0.5 m となる円周上に5 度刻みで175 度まで受音点10を設けた。そして、音響制御装置Aに設置したスピーカ3から各受音点10までのインパルス応答を測定し、その周波数分析を行うことで 1/3 オクターブバンドごとのレベルを算出した。また比較のために、同じ性能を持つスピーカ3の先端に矩形の管を取り付けたものを前記音響制御装置Aの代わりに2次元無響室9に差し込み、スピーカ3を単体で駆動した場合の指向特性も測定した。
図6にその測定結果を示しており、(a)がスピーカ3を単体で用いた場合の測定結果、(b)が音響制御装置Aを用いた場合の測定結果である。1,000 Hz 以下の低周波数においては、両者に違いは見られず、いずれもほぼ全方向に均一の指向性を持っていることが明らかである。しかし、1,000 Hz を超えて高周波数になるに従って違いが大きくなり、特に 2,500 Hz 以上では、スピーカ3単体の場合と比較して、音響制御装置Aから放射される音波には比較的ブロードに広がる指向性が見られる。
このように、音響制御装置Aから放射された音波は、スピーカ3単体から放射された音波と比べてブロードに広がる指向性を有することが明らかになった。なお、ここでは、測定を簡単なものとするために2次元の音場を仮定して測定を行ったが、結果はそのまま実際の3次元の音場へ拡張可能である。
続いて、本実施形態の音響制御装置Aが単体でどの程度の吸音特性を有するかを調べるため、2次元の模型残響室11を製作し、残響室法吸音率の測定を試みた。
図7に示すように、1.96 m × 0.93 m × 0.025 m の扁平な空間をアクリル板で製作し、2次元の残響室11とした。また、残響室11の厚みをなす壁面の一部に測定用スピーカ12を取り付け、さらに、残響室11内の音場に5箇所の受音点13を設けた。そして、残響室11の厚みをなす全ての壁面を音響的に剛なアクリル板14で構成した場合(図8では(x)で示す)の残響時間 T1 と、壁面の一部(長さ1.96 mの壁面中、 0.565 m)を本実施形態の音響制御装置Aに置き換えた場合(図8では(y)で示す)の残響時間T2 とを測定し、それらの差から残響室法吸音率を算出した。具体的には、それぞれの場合について測定用スピーカ12から各受音点13までのインパルス応答を測定し、逆二乗積分によって残響時間を求めた。
まず、2次元拡散音場を仮定した残響公式を導き、これを用いて計算を試みた。この場合の残響室法吸音率 αr は、以下の(2)式で与えられる。
Figure 0004241474
ここで、 K は定数でこの場合 c を音速として K=6 π ln 10 / c 、S は音場の面積でこの場合 S=0.93 × 1.96 [m2]、 L は音場の周長で L = 2 × ( 1.96 + 0.93 ) [m]、 Lm は音響制御装置Aの長さで Lm = 0.565 [m] である。なお、壁面の一部を音響制御装置Aに置き換えて残響時間 T2 を測定するに際しては、音響制御装置Aに用いているスピーカ3に、測定用スピーカ12と同じ電圧を供給した場合(図8では(z)で示す)についても測定を行っている。この場合、二つのスピーカ3,12から各受音点13までのインパルス応答を同時に測定することになる。
図8(a)には、残響時間の算出結果を示している。図示するように、境界面(壁面)が音響的に剛なアクリル板14である場合(図中、(x))と比較して、境界面(壁面)を音響制御装置Aに置き換えた場合(図中、(y),(z))は、すべての周波数における残響時間が短くなっており、本実施形態の音響制御装置Aが、基本的に吸音手段としての特性を持っていることが明らかである。なお、3,150 Hz における極端に短い残響時間の原因については不明である。
図8(b)には、上記図8(a)に示す残響時間を元に算出した残響室法吸音率を示している。図中には、音響制御装置Aを使用していない場合の平均吸音率(図中、(x))も合わせて示しているが、この平均吸音率の値が測定した全周波数帯域で 0.3 以上の大きな値を示している。これは、2次元の拡散音場を仮定した残響理論が、狭い空間における過剰減衰などの要因をうまく取り込めていないために生じた結果であると考えられる。また、音響制御装置Aの吸音率(図中、(y),(z))もほとんどの周波数で 1 を大きく超えており、本実施形態の音響制御装置Aが、潜在的に大きな吸音力を有していることを示している。
この音場を高さ 0.025 m の3次元音場と考え、通常の残響室法吸音率の計算式を用いて算出した残響室法吸音率を図8(c)に示す。音響制御装置Aを使用していない場合の平均吸音率(図中、(x))は 0.02 前後で妥当な値と考えられるが、音響制御装置Aの吸音率(図中、(y),(z))はやはり 1 を大きく超えており、本実施形態の音響制御装置Aが、潜在的に大きな吸音面積をもつ構造体であることが示唆されている。また、単に音響制御装置Aのスピーカ3を駆動する(インパルスを放射する)だけでは残響時間に大きな影響を与えないことも明らかである。
このように、本実施形態の音響制御装置Aに関し、反射音として放射される音波の指向特性を2次元の無響室において測定すると共に、吸音特性を2次元の残響室11において測定した結果、本実施形態の音響制御装置Aから放射される音波は、単にスピーカ3単体から放射された音波と比べてブロードな指向性を持つことが明らかとなった。また、本実施形態の音響制御装置Aは基本的に大きな吸音力を持つことが明らかになった。
なお、ここでは、音響管2を平方剰余系列に配列した音響制御装置Aに関してのみ前記指向特性や吸音特性の測定を行ったが、吸音特性の測定結果に関しては、音響管2の配列や形状を変えた音響制御装置Aにおいても適用される。また、指向特性に関しては、単なる直管を並べたり、断面積の異なる音響管2を並べたりするなど、スピーカ3の前方に配置する音響管2の形状や配列を変えることによって、バリエーションに富んだ指向特性を再現することができる。
本発明に係る音響制御装置の一実施形態の説明図である。 本発明に係る音響制御装置の一実施形態の斜視による説明図である。 本発明に係る音響制御装置の一実施形態の音響管配列を示す説明図であり、(a)は設計公式から得られる音響管の深さを示す説明図、(b)は実際の音響制御装置における音響管の長さを示す説明図である。 他実施形態としての音響制御装置の説明図である。 音響制御装置から放射される音波の指向特性を測定する方法を示す説明図である。 音響制御装置から放射される音波の指向特性を測定した結果を示す図であり、(a)はスピーカ単体での測定結果を示す図、(b)は音響制御装置での測定結果を示す図である。 音響制御装置における吸音率の測定方法を示す説明図である。 音響制御装置における吸音率の測定結果を示す図であり、(a)は残響時間を示す図、(b)は2次元残響公式から求めた吸音率を示す図、(c)は3次元残響公式から求めた吸音率を示す図である。
符号の説明
A 音響制御装置
1 ケーシング
1a 開口端面
1b 閉塞端面
2 音響管
3 スピーカ
4 マイクロホン
5 制御部
6 拡散体
7 フィルタ
8 グラスウール
9 2次元無響室
10 受音点
11 残響室
12 測定用スピーカ
13 受音点
14 アクリル板

Claims (5)

  1. 一端面を開口させたケーシングと
    前記ケーシングの開口端面側に配置され、前記開口端面への入射音波を吸音する吸音手段と、
    前記ケーシングの閉塞端面側に配置され、前記入射音波に向けて反射音波を放射する音波放射手段と、
    前記ケーシング内であって、前記音波放射手段の前方に配置され、前記音波放射手段から放射される反射音波を拡散する拡散体と、
    前記入射音波を検知する音波検知手段と、
    検知した入射音波に基づいて前記反射音波を生成する音波生成手段と、を備え、
    前記音波生成手段で生成した反射音波を前記音波放射手段から放射して、前記拡散体を介して前記ケーシングの開口端面から前記反射音波を放射することを特徴とする音響制御装置。
  2. 前記拡散体は、前記開口端面に向かって開口した複数の音響管であり、当該複数の音響管は、その長さが平方剰余系列となるように配列して、前記音波放射手段から放射される反射音波を前記複数の音響管で拡散反射させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の音響制御装置。
  3. 前記音波生成手段は、前記音波放射手段から放射する反射音波に所定の響き成分を付加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音響制御装置。
  4. 前記音波放射手段は、所定周波数帯域の音波のみを放射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響制御装置。
  5. 前記音波生成手段は、前記音波検知手段と音波放射手段との間で生じるハウリングを防止するハウリング防止手段を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の音響制御装置。
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