以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、本発明を適用した量子ドットによる伝送路1について説明をする。伝送路1は、例えば図1に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF2等の導電性材料により構成される基板11と、基板11の表面上において形成されている第1の量子ドット12並びに当該第1の量子ドット12の近傍において形成されている第2の量子ドット13からなる量子ドットグループ10を備えている。
量子ドットグループ10を構成する各量子ドット12、13は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。またこの各量子ドット12、13は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなり、各量子ドット12、13を構成する材料系がCuClである場合に、これらは立方体として構成され、また各量子ドット12、13を構成する材料系がGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。
この各量子ドット12,13において、構成される材料系がCuClの場合には、第1の量子ドット12の辺長が約4.6nmであり、また第2の量子ドット13の辺長が約6.3nmである。また構成される材料系がGaN又はZnOの場合には、第1の量子ドット12の半径は約7.0nmであり、また第2の量子ドット13の半径は約10.0nmである。すなわち、第2の量子ドット13は、第1の量子ドット12よりも大体積で構成され、第1の量子ドット12と第2の量子ドット13の辺長(半径)の比は、およそ1:√2で表される。また、第1の量子ドット12は、後述する共鳴効果を効率よく発揮させるべく、通常、第2の量子ドット13を中心として半径30nm以内の領域に形成されている。また第1の量子ドット12には、図示しない光照射系より光が照射される。
ちなみに構成される材料系がGaNやZnOの場合に、各量子ドット12、13における半径(r)と、基板11から突出する量子ドット12、13の厚み(h)との比は、以下の式により表される。
r:h=2〜5:1
図2は、各量子ドット12、13を構成する材料系がCuClである場合のエネルギバンド図を示している。各量子ドット12、13における量子閉じ込め準位E(nx,ny,nz)は、以下の式(1)により定義される。
この式(1)に基づき、各量子ドット12、13のE(nx,ny,nz)を計算する。このとき、第1の量子ドット12と第2の量子ドット13の辺長比は、およそ1:√2であるため、第1の量子ドット12における量子準位が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2の量子ドット13における量子準位が(2,1,1)であるときのE(211)とが等しくなる。すなわち、第1の量子ドット12の量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)は、励起子の励起エネルギー準位が共鳴する関係にある。実際これらの間で共鳴を起こさせるために、第1の量子ドット12における量子準位(1,1,1)に対応する波長をもつ光を、図示しない照射系を介して第1の量子ドット12へ照射する。
かかる共鳴が生じる場合おいて、第1の量子ドット12の量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)へ移動し、また第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)に存在する励起子が、第1の量子ドット12の量子準位(1,1,1)へ移動するが、前者の方が移動速度が速いため、見かけ上第1の量子ドット12から第2の量子ドット13へ励起子が移動することになる。そして、この第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)へ移動した励起子は、当該第2の量子ドット13の量子準位(1,1,1)へ遷移する。
すなわちこの光伝送路1は、辺長比がそれぞれ1:√2である各量子ドット12、13を基板11上に設けることにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)に励起子を注入することができる。換言すれば、量子ドット間で励起子を伝送することができる。従って図3の如く互いに大きさの異なる3つ以上の量子ドットを基板11上に形成してゆくことにより、伝送路の長さを変えて構成することも可能である。
次に各量子ドット12,13の作製方法について説明をする。各量子ドット12、13は、例えば材料系としてCuClを採用する場合において、以下に説明するブリッジマン法を用いることにより作製することができる。このブリッジマン法において、先ずCuClの粉末と、NaClの粉末を混合して約800℃の温度で融解する。次に、上下方向に温度勾配が施された炉内へ上記融解した混合粉末をつり下げ、数mm/hの速度で炉内を上下移動させることにより、混合粉末内部に温度勾配を作り出して序々に結晶化させてゆく。そして約200℃程度の温度で数分から数10分間熱処理をすると、CuClの量子ドット12、13を包含したNaCl結晶を作製することができる。ちなみに、このブリッジマン法では、熱処理温度や熱処理時間を変えることにより、生成する量子ドット12、13のサイズを自在に制御することもできる。具体的には、熱処理の温度を400℃に設定することにより、量子ドット12、13のサイズを大きく制御することができ、一方熱処理の温度を120℃に設定することにより、量子ドット12、13のサイズをより小さく制御することができる。
一方、各量子ドット12、13は、例えば材料系としてGaNやZnOを用いる場合において、例えば図4に示すように分子エピタキシー(MBE)成長法により作製することができる。このMBE成長法は、図4に示す酸化物ドット形成工程において、原子間力顕微鏡(AFM)の探針を基板11にに接近させて電圧を印加させる。これにより大気中に含まれている水分が、探針の居所電場に基づきH+と、OH−に分解し、さらにこのOH−が探針直下の基板11上において酸化物ドット31が形成される。ちなみに、この酸化物ドット31は、AFMによる電圧印加時間と、酸化時間により自在に制御することができる。次にエッチング工程において、上記作成した酸化物ドット31をエッチング液又は超音波洗浄により除去し、基板に凹部32を形成させる。最後にMBE形成工程において、Stranski−Krastanov(S−K)モードを用いて、上述した凹部32へ量子ドットを成長させる。ちなみに、MBE形成工程において、このS−Kモードによる成長時間を制御することにより、凹部32のみに対して精度よく量子ドットを成長させることが可能となる。
次に、本発明を適用した光増幅器2について説明をする。
光増幅器2は、図5に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF2等の導電性材料により構成される基板21と、基板21の表面上において形成されている1つの第2の量子ドット23並びに当該第2の量子ドット23の周囲において離散的に形成されている1つ以上の第1の量子ドット22からなる量子ドットグループ20と、光を入出射するための突出部142を有し、当該突出部142が第2の量子ドット23の近傍に位置するように配設されている光プローブ24と、第2の量子ドット近傍と基板21の側面とを連結するように基板21内に埋設されている出力側導波路25とを備えている。
光プローブ24は、図5に示すように光導波部141と、突出部142と備える。光導波部141は、コア160の周囲にクラッド161が設けられた光ファイバより構成される。コア160及びクラッド161は、それぞれSiO2系ガラスからなり、F、GeO2、B2O3等を添加することにより、コア160よりもクラッド161の屈折率が低くなるように組織制御されている。突出部142は、光導波部141の一端においてクラッド161から突出させたコア160を先鋭化させることにより構成される。
このような構成からなる光プローブ24は、図示しない外部光源から光導波部141を介して光が供給される。この光プローブ24は、突出部142を介して第2の量子ドット23へ、最小で約10ナノメータのスケールで光を入力することができる。
出力側導波路25は、第2の量子ドット23から供給される光を伝播して、出力側光ファイバ26へ供給するための導波路である。この出力側導波路25は、例えばAlやAu等の細線を利用した金属導波路で構成し、伝播する光をプラズモンとして伝搬してもよい。かかる金属導波路として構成した出力側導波路25は、例えば近接場光CVD等により基板21上に作製される。
ちなみに、この出力側導波路25は、図示しない光結合用量子ドットに代替してもよい。この光結合用量子ドットは、第2の量子ドット23から出力側光ファイバ26へ長手方向に配列させた量子ドットであり、出力側光ファイバ26へ近づくにつれて、量子ドットのサイズを序々に拡大することにより、後述する共鳴効果に基づき光を伝播させてゆく。また、上述した光プローブ24の代替として、この出力側導波路25と同一の構成からなる図示しない入力側導波路を第2の量子ドット23近傍に設けてもよい。これにより、外部光源から光ファイバを介して当該入力側導波路へ光を供給することが可能となり、光プローブ24を用いることなく、第2の量子ドット23へ容易に光入力することができる。
量子ドットグループ20を構成する各量子ドット22、23は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。またこの各量子ドット22、23は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなり、各量子ドット22、23を構成する材料系がCuClである場合に、これらは立方体として構成され、また各量子ドット22、23を構成する材料系がGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。なお、この各量子ドット22、23の形状の詳細については、それぞれ量子ドット12、13の記載を引用し、説明を省略する。
このような構成からなる光増幅器2において、上述した共鳴が生じると、図6に示すように第1の量子ドット22の量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第2の量子ドット23の量子準位(2,1,1)へ見かけ上移動する。すなわちこの光増幅器2は、辺長比がそれぞれ1:√2である各量子ドット22、23を基板21上に設けることにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第2の量子ドット23の量子準位(2,1,1)に励起子を注入することができる。この注入された励起子は、図6に示すように第2の量子ドット23の量子準位(1,1,1)へ遷移する。これにより、第2の量子ドット23の量子準位(1,1,1)における励起子の密度を、第2の量子ドット23の基底準位よりも高めることができ、これら2つの量子準位間で反転分布を生成することができる。
ちなみに上述した量子ドット22、23間の共鳴効果は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位による近接場相互作用に基づくものであるため、励起子の振動子強度をより高めることができる。また、第2の量子ドット23における2つの量子準位間で遷移確率を向上させることができるため、さらに高効率に光増幅を行うことができる。なおこの共鳴効果は、電子による共鳴トンネル効果も含まれる。
この光増幅器2における各量子ドット22,23の作製方法は、量子ドット12,13の作製方法の記載を引用し、説明を省略する。
次に、本発明を適用した光増幅器2の動作について説明をする。
先ず光プローブ24を構成する突出部142から、第2の量子ドット23へ、光が供給される。この光が供給される第2の量子ドット23には、周囲に分布している第1の量子ドット22から既に励起子が注入されているため、上述した2つの量子準位間において既に反転分布が形成されている。このため第2の量子ドット23において、量子準位(1,1,1)に存在している励起子(電子)が基底準位へ誘導放出遷移する。すなわち第2の量子ドット23の量子準位(1,1,1)に共鳴する光が光プローブ24から供給されると、これら光は反転分布に応じて放出される光により増幅されることになる。第2の量子ドット23により増幅された光は、出力側導波路25へ供給され、さらには出力側光ファイバ26を介して外部へ伝搬される。
以上説明したように、本発明を適用した光増幅器2は、大きさの異なる各量子ドット22、23を基板21上に設けることにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第2の量子ドット23の量子準位(2,1,1)に励起子を注入することができ、これらが第2の量子ドット23の量子準位(1,1,1)へ遷移するため、第2の量子ドット23における量子準位(1,1,1)と基底準位との間で反転分布を形成させることができる。これにより第2の量子ドット23に注入されるナノスケールの光により、量子準位(1,1,1)から基底準位へ誘導放出遷移させて光を増幅させることができる。
特に2つの量子準位間で生成される反転分布は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位から生じる近接場相互作用に基づくものであるため、励起子の振動子強度をより高めることができ、高効率に光増幅を行うことが可能となり、ひいては単一電子レベルで且つナノスケールで光通信可能な光通信システムの実現化を促進することができる。
本発明を適用した光増幅器2は、形成される第1の量子ドット22の数を調節することにより、増幅される光強度を自在に制御することができる。第1の量子ドット22の数を増やすことにより、第2の量子ドット23へ注入される励起子数を増加させ、誘導放出される光を増加させることができるからである。
なお、本発明に係る光増幅器2は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば第1の量子ドット22は、環状に形成されている場合に限定されるものではなく、第2の量子ドット23近傍においてライン状或いは曲線状に形成されてもよいことは勿論である。
また本発明は、例えば複数の量子ドットグループにより、伝播される光を増幅する光増幅器3に適用してもよい。
図7は、光増幅器3の構成を示している。光増幅器3は、導電性の結晶からなる基板21と、基板21の表面上において形成されている1つの第2の量子ドット23並びに当該第2の量子ドット23の周囲において離散的に形成されている第1の量子ドット22からなる複数の量子ドットグループ40とを備えている。なお、この光増幅器3において、光増幅器1と同一の構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
量子ドットグループ40は、基板21上においてランダムに複数形成されている。各量子ドットグループ40は、それぞれ第2の量子ドット23を介して伝播する光を増幅し、これを出力する。
ちなみにこの量子ドットグループ40における光増幅方法は、光増幅器1における量子ドットグループ20と同様である。すなわちこの量子ドットグループ40は、形成された第2の量子ドット23の各量子準位(2,1,1)へ、第1の量子ドット22を介して励起子を注入させる。次に量子ドットグループ40は、第2の量子ドット23において量子準位(1,1,1)と、基底準位との間で反転分布を生じさせる。そして第2の量子ドット23の量子準位(1,1,1)における励起子の基底準位への誘導放出遷移に基づき、第2の量子ドット23毎に入力された光を増幅させることができる。
この量子ドットグループ40が形成された基板上には、図示しない入力側光ファイバより光が供給される。またこの量子ドットグループ40により増幅された光は、図示しない出力側光ファイバへ供給されて外部へ伝搬される。
次に、本発明を適用した光増幅器3の動作について説明をする。
先ず、入力側光ファイバから基板21の表面へ光が供給される。この供給された光は、基板21上を図7に示す伝搬方向へ伝搬し、各量子ドットグループ40における第2の量子ドット23へ供給される。この光が供給される第2の量子ドット23には、周囲に点在している第1の量子ドット22から既に励起子が注入されているため、上述した2つの準位間において既に反転分布が形成されている。このため第2の量子ドット23において、量子準位(1,1,1)に存在している励起子(電子)が基底準位へ誘導放出遷移する。すなわち第2の量子ドット23の量子準位(1,1,1)に共鳴する光が基板21表面より供給されると、これらは反転分布に応じて増幅されることになる。
増幅された光は第2の量子ドットを出射して、再び基板21上を図7に示す伝搬方向へ伝搬し他の量子ドットグループ40における第2の量子ドット23へ供給され、再度増幅される。このように複数回に渡って増幅された基板21上の光は、出力側光ファイバに集光されて外部へ供給される。
以上詳細に説明したように、本発明を適用した光増幅器3は、複数の量子ドットグループ40により、伝播される光を複数回にわたり増幅させることができるため、光強度を格段に向上させることができる。また基板21上に形成する量子ドットグループ40の数や配置を変えることにより、増幅する光強度を自在に設定することも可能となる。
また本発明を適用した光増幅器3では、量子ドット22、23を活用し、離散的なエネルギー準位から生じる近接場相互作用に基づいて、2つの量子準位間において反転分布を形成することができる。これにより、励起子の振動子強度をより高めることができるため、さらに高効率に光増幅を行うことができる。
次に、本発明を適用した光発振器9について説明をする。
図8(a)は、光発振器9の構成を示している。光発振器9は、導電性の結晶からなる基板21と、基板21の表面上において第1の量子ドット22を長手方向に2列に配列させた第1の量子ドットライン91と、基板21の表面において上記2列に配列された第1の量子ドットライン91の間に第2の量子ドット23を長手方向に配列させた第2の量子ドットライン92と、第2の量子ドットライン92の両端に位置する反射膜93とを備えている。なお、この光発振器9において、光増幅器2と同一の構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
第1の量子ドットライン91は、配列させた第1の量子ドット22における量子準位(1,1,1)を、第2の量子ドットライン92中の第2の量子ドット23における量子準位(2,1,1)と共鳴させる。そして第1の量子ドットライン91は、各第1の量子ドット22における量子準位(1,1,1)の励起子を、当該第2の量子ドット23の量子準位(2,1,1)へ注入する。ちなみにこの第1の量子ドットライン91には、第1の量子ドット22の量子準位(1,1,1)に対応する波長の光が図示しない照射系より照射される。
第2の量子ドットライン92は、励起子が注入された第2の量子ドット23における量子準位(2,1,1)から、それぞれ第2の量子ドット23の量子準位(1,1,1)へ励起子を遷移させる。そして、当該第2の量子ドット23における量子準位(1,1,1)と、基底準位との間で反転分布を生じさせる。更にこの第2の量子ドットライン92は、量子準位(1,1,1)にある励起子を基底準位へ自然放出遷移させる。この第2の量子ドット23毎に放出された光は、第2の量子ドットライン92上を長手方向に伝搬する。
反射膜93は、基板21の端面にそれぞれ形成されたいわゆる反射ミラーであり、第2の量子ドットライン92を伝搬する光を往復反射させることにより共振させる。この反射膜93間の距離は、伝搬する光の共振条件を満たすべく、上記伝搬する光の波長の整数倍になるように設定される。ちなみにこの反射膜93は、例えば100%に近い反射率を有する誘電体多層膜であり、屈折率が大小異なる薄膜を交互に重ねて蒸着することにより得られる。
このような構成からなる光発振器9は、第2の量子ドット23内において形成された2つの量子準位間の反転分布に応じて光が放出され、この放出された光は、反転分布が形成された第2の量子ドットライン92中を往復することができる。これにより光強度は次第に増加してレーザ発振させることができる。
すなわち、本発明を適用した光発振器9は、量子ドット22、23を活用し、離散的なエネルギー準位から生じる近接場相互作用に基づいて、2つの量子準位間において反転分布を形成することができる。これにより、励起子の振動子強度をより高めることができるため、高効率に光発振を行うことができる。
この光発振器9における量子ドットライン91,92は、上述した形態に限定されるものではなく、例えば図8(b)に示すように第2の量子ドット23の周辺に離散的に第1の量子ドット22を形成してもよいことは勿論である。これにより、共鳴により第2の量子ドット23へ移動する励起子を増やすことができ、励起子の振動子強度をより高めることができるため、さらに高効率に光発振させることができる。
次に本発明を適用した波長多重装置43並びに波長分離装置45について説明をする。
図9は、本発明に係る波長多重装置43並びに波長分離装置45が適用される光通信システム4の構成を示している。この光通信システム4は、第1のナノ光デバイス42と、波長多重装置43と、光ファイバ44と、波長分離装置45と、第2のナノ光デバイス46とを備えている。
第1のナノ光デバイス42は、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing、DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing)通信方式の下、互いに波長の異なる光を多数生成し、当該生成した光を搬送波として位相変調をかけることにより光変調信号を作り出し、これらを波長多重装置43へ供給する。第1のナノ光デバイス42は、複数のデバイスユニットから構成され、各デバイスユニット毎に波長の異なる搬送波を生成してもよい。この第1のナノ光デバイス42は、量子ドットを用いることにより回折限界以下の寸法でも動作する素子であり、上述した光変調信号をナノスケールオーダーの領域を介して出射することができる。ちなみに量子ドットは、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御できる素子である。
波長多重装置43は、第1のナノ光デバイス42から供給される各光変調信号を多重化し、光ファイバ44へ送信する。光ファイバ44は、波長多重装置43及び波長分離装置45に接続され、波長多重装置43において多重化された各光変調信号を波長分離装置45へ伝送する。波長分離装置45は、光ファイバ44を介して伝送された光変調信号を波長毎にナノスケールで分離して第2のナノ光デバイス46へ供給する。なお、波長多重装置43並びに波長分離装置45の詳細については後述する。
第2のナノ光デバイス46は、量子ドットを用いることにより回折限界以下の寸法でも動作する素子である。この第2のナノ光デバイス46は、波長分離装置45よりナノスケールで波長分離されて供給される光変調信号を、光電変換して読み出す。ちなみに第2のナノ光デバイス46は、複数のデバイスユニットから構成され、各デバイスユニット毎に波長の異なる光変調信号を読み出してもよい。
すなわちこの光通信システム4では、n波の異なる波長の光を多重することにより、各波長の伝送容量のn倍の伝送容量を得ることできる。
次に本発明を適用した波長多重装置43の具体的な構成について図10を用いて説明をする。波長多重装置43は、例えばNaCl、KCl又はCaF2等の導電性材料により構成される基板431と、基板431上において形成されている1つの第2の量子ドット434並びに当該第2の量子ドット434と対になるように離散的に形成されている1つ以上の第1の量子ドット433からなる量子ドットグループ432とを備えている。ちなみにこの量子ドットグループ432において、第2の量子ドット434は、光ファイバ44側に形成され、第1の量子ドット433は、第1のナノ光デバイス42側に形成される。
また量子ドットグループ432は、第1のナノ光デバイス42から供給される搬送波の波長に応じて複数並設される。量子ドットグループ432aには、第1のナノ光デバイス42から供給される波長λaの搬送波が供給される。また量子ドットグループ432bには、第1のナノ光デバイス42から供給される波長λbの搬送波が供給される。さらに量子ドットグループ432cには、第1のナノ光デバイス42から供給される波長λcの搬送波が供給される。この量子ドットグループ432は、それぞれ供給された搬送波を、励起子を介して第1の量子ドット433から第2の量子ドット434へ伝搬させ、多重光生成領域435にて多重化し、光ファイバ44へ出射する。
量子ドットグループ432を構成する各量子ドット433、434は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。またこの各量子ドット433、434は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなり、各量子ドット433、434を構成する材料系がCuClである場合に、これらは立方体として構成され、また各量子ドット433、434を構成する材料系がGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。量子ドットグループ432は、通信帯域に対応させるべく、量子ドット433、434をInGaAs等の材料系で構成してもよい。
量子ドットグループ432を構成する各量子ドット433、434は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。またこの各量子ドット433、434は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなる。なおこの各量子ドット433、434の形状の詳細については、それぞれ量子ドット12、13の記載を引用し、説明を省略する。
すなわち、量子ドットグループ432は、各量子ドット433、434をナノスケールで構成することにより、第1のナノ光デバイス42から光変調信号をナノスケールの領域を介して受け取ることが可能となる。
図11は、各量子ドット433、434を構成する材料系がCuClである場合のエネルギバンド図を示している。各量子ドット433、434におけるE(nx,ny,nz)は、上述した式(1)により定義される。
この式(1)に基づき、各量子ドット43、434のE(nx,ny,nz)を計算するとき、第1の量子ドット433と第2の量子ドット434の辺長比は、およそ1:√2であるため、第1の量子ドット433における量子準位が(1,1,1)であるときのE1(111)と、第2の量子ドット434における量子準位が(2,1,1)であるときのE2(211)とが等しくなる。すなわち、第1の量子ドット433の量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット434の量子準位(2,1,1)は、励起子のエネルギー準位が共鳴する関係にある。
かかる共鳴が生じる場合には、第1の量子ドット433の量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第2の量子ドット434の量子準位(2,1,1)へ見かけ上移動する。そして、この第2の量子ドット434の量子準位(2,1,1)へ移動した励起子は、さらに低準位である当該第2の量子ドット434の量子準位(1,1,1)へ遷移する。
また、第1の量子ドット433において、量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップEg1に応じた波長の搬送波を含む光変調信号を受光することにより、励起子を基底準位b1から量子準位(1,1,1)へ励起させることができる。この第1の量子ドット433は、量子準位(1,1,1)に励起された励起子を、上述の如く第2の量子ドット434における量子準位(2,1,1)へ順次注入させることができる。
すなわち、量子ドットグループ432は、第1の量子ドット433における量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップEg1に相当する波長の搬送波が入射された場合のみ、励起子を量子準位(1,1,1)へ励起させてこれを第2の量子ドット434へ移動させることができるが、他の波長の搬送波が入射されたときには励起子を量子準位(1,1,1)へ励起させることができない。このため、第1の量子ドット433における量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップ差を自在に設定することにより、第1の量子ドット433から第2の量子ドット434への励起子の移動について波長選択性をもたせることができる。これにより量子ドットグループ433は、単一の波長からなる搬送波を選択的に伝搬させることができる。
例えば量子ドットグループ432aは、エネルギーギャップEg1を、第1のナノ光デバイス42から供給される搬送波の波長λaに応じて設定する。これにより、波長λaの搬送波が供給された場合のみ上述の如く第1の量子ドット433の量子準位(1,1,1)へ励起子を励起させることができ、これを第2の量子ドット434へ移動させることができる。同様に、量子ドットグループ432bにおいて、エネルギーギャップEg1を供給される搬送波の波長λbに応じて設定し、さらに量子ドットグループ432cにおいて、エネルギーギャップEg1を供給される搬送波の波長λcに応じて設定することにより、それぞれのエネルギーギャップEg1に相当する波長の搬送波のみ励起子を励起させ、これを第2の量子ドットグループ434へ移動させることができる。
すなわち、本発明を適用した波長多重装置43では、かかる量子ドットグループ432における波長選択性を利用することにより、第1のナノ光デバイス42から入射される互いに波長の異なる搬送波からなる光変調信号を、ナノスケールで高効率に伝搬させて、多重化させることができる。
ちなみにこれら量子ドットグループ432は、各量子準位を、量子ドット433、434の体積を変更したり、或いは材質を変更することにより上述したエネルギーギャップEg1を設定してもよい。
すなわち、量子ドットグループ432間で、それぞれ形成される量子ドット433、434の体積や材質を変化させることにより、量子ドットグループ間でエネルギーギャップEg1を変化させることができる。これにより各量子ドットグループ432は、この設定されたエネルギーギャップEg1に応じた波長の搬送波が入射された場合のみ励起子を励起させることができる。ちなみに、材質を変更する場合において、例えば材料系としてInGaAsを用いる場合には、各量子ドットグループ432間で、Inの含有量を微量に変えて構成してもよい。
また、本発明を適用した波長多重装置43では、辺長比がそれぞれ1:√2である各量子ドット433、434を基板32上に形成することにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第2の量子ドット434の量子準位(2,1,1)に励起子を注入することができる。この注入された励起子は、第2の量子ドット434の量子準位(1,1,1)へ遷移する。これにより、第2の量子ドット434の量子準位(1,1,1)における励起子の密度を、第2の量子ドット434の基底準位b1よりも高めることができ、これら2つの量子準位間で反転分布を生成させることができる。
ちなみに上述した量子ドット433、434間の共鳴効果は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位による近接場相互作用に基づくものであるため、励起子の振動子強度をより高めることができる。また、第2の量子ドット433における2つの量子準位間で遷移確率を向上させることができるため、さらに高効率に各搬送波を伝搬させることができる。なおこの共鳴効果は、電子による共鳴トンネル効果も含まれる。
上述のような構成からなる波長多重装置43は、例えば以下の如く動作することができる。
先ず、第1のナノ光デバイス42から、各量子ドットグループ432を構成する第1の量子ドット433へ、互いに異なる波長の搬送波が入射される。各量子ドットグループ432におけるエネルギーギャップEg1は、第1のナノ光デバイス42から供給される搬送波の波長に応じて設定されているため、第1の量子ドット433の量子準位(1,1,1)へ励起子を励起させ、これを第2の量子ドット434へ移動させることができる。第2の量子ドット434において量子準位(2,1,1)へ移動された励起子は、そのまま第2の量子ドット434における量子準位(1,1,1)へ遷移し上述の如く反転分布が形成される。そしてこの形成された反転分布に応じて、励起子(電子)が基底準位へ自然放出遷移し、多重光生成領域435へ出射される。多重光生成領域435において、複数の量子ドットグループ432から供給され、互いに異なる波長を持つ搬送波が多重合成され、光ファイバ44へ出射される。
以上説明したように、本発明を適用した波長多重装置43は、第1のナノ光デバイス42から互いに異なる波長の搬送波をナノスケールの領域を介して受け取り、エネルギーギャップEg1に応じた波長の搬送波が入射された場合のみ励起子を励起させ、これを量子ドット433、434を介して移動させて多重合成することができる。これによりナノスケールで入力される各搬送波を高効率に合成して多重化することができ、回折限界以下の寸法でも動作可能なナノ光デバイス間で波長多重通信することができ、超微細化された波長多重通信システムを提案することができる。
なお、本発明を適用した波長多重装置43は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば図12に示すように、各量子ドットグループ432において、量子ドット437を追加してもよい。量子ドット437は、第1の量子ドット433と対になるように第1のナノ光デバイス42側において離散的に複数形成されている。量子ドット437は、第1のナノ光デバイス42から互いに異なる波長の搬送波が供給され、基底準位から励起された励起子を上述した共鳴により第1の量子ドット433へ移動させる。量子ドット437は、複数列に亘って形成してもよいことは勿論である。
また量子ドットグループ432は、図10,12に示すように3グループに限定されることはない。例えばn波の異なる波長の光を多重することにより、各波長の伝送容量のn倍の伝送容量を得るために、nグループ並設するようにしてもよい。
次に本発明を適用した波長分離装置45の具体的な構成について図13を用いて説明をする。なお、上述した波長多重装置43と同一の構成、部材には同一の番号を付して説明を引用する。
波長分離装置45は、例えばNaCl、KCl又はCaF2等の導電性材料により構成される基板431と、基板431上において形成されている1つの第2の量子ドット434並びに当該第2の量子ドット434と対になるように離散的に形成されている1つ以上の第1の量子ドット433からなる量子ドットグループ452とを備えている。ちなみにこの量子ドットグループ452において、第1の量子ドット433は、光ファイバ44側に形成され、第2の量子ドット434は、第2のナノ光デバイス46側に形成される。
また量子ドットグループ452は、第2のナノ光デバイス46へ供給する搬送波の波長に応じて複数形成される。この量子ドットグループ452は、光ファイバ44から供給された多重光を、これら複数の量子ドットグループ452により、励起子を介して第1の量子ドット433から第2の量子ドット434へ伝搬させ、互いに波長の異なる各搬送波へ分離し、第2のナノ光デバイス46へ供給する。例えば量子ドットグループ452aは、多重光入射領域455から波長λaの搬送波を分離して第2のナノ光デバイス46へ供給する。量子ドットグループ452bは、多重光入射領域455から波長λbの搬送波を分離して第2のナノ光デバイス46へ供給する。量子ドットグループ452cは、多重光入射領域455から波長λcの搬送波を分離して第2のナノ光デバイス46へ供給する。
量子ドットグループ452を構成する量子ドット433、434は、上述の如くそれぞれナノスケールで構成されているため、第1のナノ光デバイス42から光変調信号をナノスケールの領域を介して受け取ることが可能となる。
第1の量子ドット433において、図11に示すように、量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップEg1に応じた波長の搬送波の光を受光することにより、励起子を基底準位b1から量子準位(1,1,1)へ励起させることができる。この第1の量子ドット433は、量子準位(1,1,1)に励起された励起子を、上述の如く第2の量子ドット434における量子準位(2,1,1)へ順次移動させることができる。
すなわち、第1の量子ドット433は、第1の量子ドット433における量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップEg1に相当する波長の搬送波が入射された場合のみ、励起子を量子準位(1,1,1)へ励起させてこれを第2の量子ドット434へ移動させることができるが、他の波長の搬送波が入射されたときには励起子を量子準位(1,1,1)へ励起させることができない。このため、第1の量子ドット433における量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップ差を自在に設定することにより、第1の量子ドット433から第2の量子ドット434への励起子の移動について波長選択性をもたせることができる。これにより量子ドットグループ452は、単一の波長からなる搬送波を選択的に伝搬させることができる。
例えば、量子ドットグループ452aは、エネルギーギャップEg1を、光ファイバ44から供給される多重光のうち一の搬送波の波長λaに応じて設定する。これにより、波長λaの搬送波が供給された場合のみ上述の如く第1の量子ドット433の量子準位(1,1,1)へ励起子を励起させることができ、これを第2の量子ドット434へ移動させることができる。同様に、量子ドットグループ452bにおいて、エネルギーギャップEg1を供給される多重光のうち一の搬送波の波長λbに応じて設定し、さらに量子ドットグループ452cにおいて、エネルギーギャップEg1を、供給される多重光のうち一の搬送波の波長λcに応じて設定することにより、それぞれのエネルギーギャップEg1に相当する波長の搬送波のみ励起子を励起させ、これを第2の量子ドット434へ移動させることができる。
すなわち、本発明を適用した波長分離装置45では、かかる量子ドットグループ433における波長選択性を利用することにより、互いに波長の異なる搬送波を含む多重光を、ナノスケールで高効率に伝搬させて、それぞれ分離させることができる。
ちなみにこれら量子ドットグループ452は、それぞれのエネルギーギャップEg1を、量子ドット433、434の体積を変更したり、或いは材質を変更することにより自在に設定してもよい。
すなわち、量子ドットグループ52間で、それぞれ形成される量子ドット433、434の体積や材質を変化させることにより、エネルギーギャップEg1を設定することができる。これにより各量子ドットグループ452は、この設定されたエネルギーギャップEg1に応じた波長の搬送波が入射された場合のみ励起子を励起させることができる。
また、本発明を適用した波長分離装置45では、辺長比がそれぞれ1:√2である各量子ドット433、434を基板431上に形成することにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第2の量子ドット434の量子準位(2,1,1)に励起子を注入することができる。この注入された励起子は、第2の量子ドット434の量子準位(1,1,1)へ遷移する。これにより、第2の量子ドット434の量子準位(1,1,1)における励起子の密度を、第2の量子ドット434の基底準位b1よりも高めることができ、これら2つの量子準位間で反転分布を生成することかできる。
ちなみに上述した量子ドット433、434間の共鳴効果は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位による近接場相互作用に基づくものであるため、励起子の振動子強度をより高めることができる。また、第2の量子ドット433における2つの量子準位間で遷移確率を向上させることができるため、さらに高効率に各搬送波を伝搬させることができる。
上述のような構成からなる波長分離装置45は、例えば以下の如く動作することができる。
先ず、光ファイバ44から各量子ドットグループ452を構成する第1の量子ドット433へ、多重光入射領域455を介して互いに異なる波長の搬送波が入射される。各量子ドットグループ452におけるエネルギーギャップEg1は、第1のナノ光デバイス42へ供給する搬送波の波長に応じて設定されているため、当該波長の搬送波の成分のみ第1の量子ドット433の量子準位(1,1,1)へ励起子を励起させ、これを第2の量子ドット434へ移動させることができる。第2の量子ドット434において量子準位(2,1,1)へ移動された励起子は、そのまま第2の量子ドット434における量子準位(1,1,1)へ遷移し上述の如く反転分布が形成される。そしてこの形成された反転分布に応じて、励起子(電子)が基底準位へ自然放出遷移し、第2のナノ光デバイス46へ送信される。
以上説明したように、本発明を適用した波長分離装置45は、光ファイバ44から互いに異なる波長の搬送波を含む多重光を受け取り、エネルギーギャップEg1に応じた波長の搬送波が入射された場合のみ励起子を励起させ、これを量子ドット433,434を介して移動させて、第2のナノ光デバイス46へ提供することができる。これにより、各搬送波を含む多重光をナノスケールで高効率に分離することができるため、回折限界以下の寸法でも動作可能なナノ光デバイス間で波長多重通信することができ、超微細化された波長多重通信システムを提案することができる。
なお、本発明を適用した波長分離装置45は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば図14に示すように、各量子ドットグループ452において、量子ドット457を追加してもよい。量子ドット457は、第1の量子ドット433と対になるように光ファイバ44側において離散的に複数形成されている。量子ドット457は、光ファイバ44から互いに異なる波長の搬送波を含む多重光が供給され、エネルギーギャップEg1に応じた波長の搬送波が入射された場合のみ励起子を励起させ、上述した共鳴により第1の量子ドット433へ移動させる。量子ドット457は、複数列に亘って形成してもよいことは勿論である。
また量子ドットグループ432は、図13、14に示すように3グループに限定されることはない。例えばn波の異なる波長の光を多重することにより、各波長の伝送容量のn倍の伝送容量が得るために、nグループ設けるようにしてもよい。
次に本発明を適用した近接場集光器5について説明をする。なお、上述した光増幅器2と同一の構成、部材については同一の番号を付して説明を省略する。
近接場集光器5は、図15に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF2等の導電性材料により構成される基板511と、基板511の表面上において形成されている1つの第2の量子ドット13並びに当該第2の量子ドット13の周囲において離散的に形成されている1つ以上の第1の量子ドット12からなる量子ドットグループ520とを備えている。各量子ドット12,13が形成された基板511の上方には、照射光学系518が配設され、当該照射光学系518から基板511へ光が照射される。
すなわちこの近接場集光器5は、例えば図6に示すように辺長比がそれぞれ1:√2である各量子ドット12、13を基板511上に設けることにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)に励起子を注入することができる。この注入された励起子は、第2の量子ドット13の量子準位(1,1,1)へ遷移する。これにより、第2の量子ドット13の量子準位(1,1,1)における励起子の密度を、第2の量子ドット13の基底準位よりも高めることができ、これら2つの量子準位間で反転分布を生成することかできる。この生成された反転分布に応じて励起子が自然放出遷移することにより光が放出されることになる。
ナノスケールの第2の量子ドット13から放出される光は、ナノメートルサイズの極めて狭い領域において分布することになる。これにより、励起子を介して第1の量子ドット12から第2の量子ドット13へエネルギーを供給することができ、当該エネルギーに基づき放出される光をナノスケールの領域に分布させることにより見かけ上集光させることができる。ちなみに本発明では、用途に応じて各量子ドットのサイズを変えることにより、集光させるサイズを自在に調整することもできる。
また、第2の量子ドット13の周囲において、多くの第1の量子ドット12が形成されているほど、第2の量子ドット13へ注入される励起子の量は多くなり、ひいては2つの量子準位間に生じさせる反転分布を強くすることができる。これにより放出される光の光強度を上げることができ、さらには用途に応じて基板11上に形成する第1の量子ドット12の数量を調整することにより、放出される光強度を変化させることもできる。
ちなみに上述した量子ドット12、13間の共鳴効果は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位による近接場相互作用に基づくものであるため、励起子の振動子強度をより高めることができる。また、量子準位を介した励起子の移動を利用することにより、上述のエネルギー移動を実現することができるため、光損失を軽減させて非常に高効率な近接場集光を実現させることができる。例えば従来の近接場光プローブでは、ナノスケールの領域において約10−6程度の効率でしか近接場集光させることができないのに対し、本発明を適用した近接場集光器5では、同じナノスケールの領域において100%近い効率で近接場集光させることができる。
これにより、本発明を適用した近接場集光器5を用いることにより、量子ドットから構成される近接場ナノ光デバイスの空間分解能を向上させることも可能となる。
なお、本発明に係る近接場集光器5は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば第1の量子ドット12は、図15に示すように第2の量子ドット13を中心として曲線状に形成されている場合に限定されるものではなく、第2の量子ドット13を中心とした円弧上に形成されていてもよい。
また本発明を適用した近接場集光器5は、図16に示すように第1の量子ドット12の外郭において、さらに外郭量子ドット531を形成してもよい。この外郭量子ドット531は、第1の量子ドット12と対になるように離散的に複数形成されている。外郭量子ドット531と第1の量子ドット12の辺長比は、およそ1:√2であり互いに励起子のエネルギー準位が共鳴する関係にある。外郭量子ドット531には、照射光学系518から基板511へ光が照射することにより励起された励起子を、第1の量子ドット12における量子準位(1,1,1)へ順次注入することができる。この第1の量子ドット13における量子準位(1,1,1)へ順次注入された励起子は、上述の如く第2の量子ドット13へ注入されることになる。
すなわち、第1の量子ドット12の周囲に多くの外郭量子ドット531が形成されているほど、第1の量子ドット12へ注入される励起子の量は多くなり、ひいては2つの量子準位間生じさせる反転分布を強くすることができる。これにより放出される光の光強度を上昇させることができる。さらに用途に応じて基板511上に形成する外郭量子ドット531の数量を調整することにより、放出される光強度をさらに細かいステップで変化させることも可能となる。
なお、外郭量子ドット531のさらに外郭においても同様に量子ドットが形成されていてもよいことは勿論である。
次に本発明を適用した光ゲート素子6について説明をする。
光ゲート素子6は、図17に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF2等の導電性材料により構成される基板611と、基板611の表面上において形成されている第2の量子ドット613並びに当該第2の量子ドット613の周囲において離散的に形成されている第1の量子ドット612、第3の量子ドット614からなる量子ドットグループ620と、信号光を出射するための突出部212が第1の量子ドット612の近傍に位置するように配設されている入射側光プローブ621と、信号光を入射させるための突出部312が第3の量子ドット14の近傍に位置するように配設されている出射側光プローブ641と、基板611上に積層され電圧制御部616を介して制御電圧Vが印加されるPN接合層615とを備えている。
入射側光プローブ621は、図17に示すように突出部212に加えて光導波部211をさらに備え、光導波部211は、コア230の周囲にクラッド231が設けられた光ファイバより構成される。コア230及びクラッド231は、それぞれSiO2系ガラスからなり、F、GeO2、B2O3等を添加することにより、コア230よりもクラッド231の屈折率が低くなるように組織制御されている。突出部212は、光導波部211の一端においてクラッド231から突出させたコア230を先鋭化させることにより構成される。
このような構成からなる入射側光プローブ621は、図示しない外部光源から光導波部211を介して信号光が供給される。この入射側光プローブ621は、突出部212を介して第1の量子ドット612へ、ナノスケールで信号光を入力することができる。
出射側光プローブ641は、図17に示すように突出部312に加えて光導波部311をさらに備え、光導波部311は、コア330の周囲にクラッド331が設けられた光ファイバより構成される。このような構成からなる出射側光プローブ641は、ナノスケールサイズの第3の量子ドット614から放出される信号光を取り出して外部へ搬送することができる。
なお、この入射側光プローブ621及び出射側光プローブ641は、図示しない光導波路に代替してもよい。この図示しない光導波路は、光源から供給される光を伝播して第1の量子ドット612へ供給し、或いは第3の量子ドット614から供給する光を外部へ伝搬する。この図示しない光導波路は、例えばAlやAu等の細線を利用した金属導波路で構成し、伝播する光をプラズモンとして伝搬してもよい。
量子ドットグループ620を構成する各量子ドット612,613,614は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。第1の量子ドット612は、入射側光プローブ621から入力される信号光を励起子に変換して、これを第2の量子ドット613へ注入する。第2の量子ドット613は、PN接合層615上に形成され、電圧制御部616から印加される制御電圧Vに応じて、第1の量子ドット613から注入される励起子を第3の量子ドット614へさらに注入し、或いは励起子を基底準位へ自然放出遷移させて光として放出させる。第3の量子ドット614は、第2の量子ドット613から注入される励起子を自然放出遷移させて光に変換し、これを信号光として出力側光プローブ641へ供給する。
この各量子ドット612,613,614は、CuCl、InGaN又はZnO等の材料系からなり、各量子ドット612,613,614を構成する材料系がCuClである場合に、これらは立方体として構成され、また各量子ドット612,613,614を構成する材料系がInGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。
この各量子ドット612,613,614において、構成される材料系がCuClの場合には、第1の量子ドット612及び第3の量子ドット614の辺長が約4.6nmであり、また第2の量子ドット613の辺長が約6.3nmである。また構成される材料系がInGaN又はZnOの場合には、第1の量子ドット612及び第3の量子ドット614の半径は約7.0nmであり、また第2の量子ドット613の半径は約10.0nmである。すなわち、第2の量子ドット613は、第1の量子ドット612及び第3の量子ドット614よりも大体積で構成され、第1,第3の量子ドット612,614と第2の量子ドット613の辺長(半径)の比は、およそ1:√2で表される。また、第1の量子ドット612並びに第3の量子ドット614は、後述する共鳴効果を効率よく発揮させるべく、通常、第2の量子ドット613を中心として半径25nm以内の領域において、離散的に形成されている。
図18は、各量子ドット612,613,614を構成する材料系がCuClである場合のエネルギバンド図を示している。第1の量子ドット612と第2の量子ドット613の辺長比は、およそ1:√2であるため、第1の量子ドット612における量子準位が(1,1,1)であるときのE1(111)と、第2の量子ドット613における量子準位が(2,1,1)であるときのE2(211)とが等しくなる。すなわち第1の量子ドット612の量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット613の量子準位(2,1,1)は、励起子の励起エネルギー準位が共鳴する関係にある。
かかる共鳴が生じる場合おいて、第1の量子ドット612の量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第2の量子ドット613の量子準位(2,1,1)へ移動し、また第2の量子ドット613の量子準位(2,1,1)に存在する励起子が、第1の量子ドット612の量子準位(1,1,1)へ移動するが、前者の方が移動速度が速いため、見かけ上第1の量子ドット612から第2の量子ドット613へ励起子が移動することになる。そして、この第2の量子ドット613の量子準位(2,1,1)へ移動した励起子は、さらに低準位である当該第2の量子ドット613の量子準位(1,1,1)へ遷移する。
ちなみに第1の量子ドット612において、量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップに応じた波長の信号光を受光することにより、励起子を基底準位b1から量子準位(1,1,1)へ励起させることができる。この第1の量子ドット612は、量子準位(1,1,1)に励起された励起子を、上述の如く第2の量子ドット613における量子準位(2,1,1)へ順次注入させることができる。
また式(1)に基づいて第3の量子ドット614のE(nx,ny,nz)を計算するとき、第3の量子ドット614と第2の量子ドット613の辺長比は、およそ1:√2であるため、第3の量子ドット614における量子準位が(1,1,1)であるときのE3(111)と、第2の量子ドット613における量子準位が(2,1,1)であるときのE2(211)とが等しくなる。すなわち、第3の量子ドット614の量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット613の量子準位(2,1,1)は、励起子の励起エネルギー準位が共鳴する関係にある。
すなわちこの光ゲート素子6は、辺長比がそれぞれ1:√2である各量子ドット612,613,614を基板611上に設けることにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第2の量子ドット613の量子準位(2,1,1)に励起子を注入することができる。この注入された励起子は、通常、第2の量子ドット613の量子準位(1,1,1)へ遷移する。これにより、第2の量子ドット613の量子準位(1,1,1)における励起子の密度を、第2の量子ドット613の基底準位b2よりも高めることができ、これら2つの量子準位間で反転分布を生じさせることができ、さらには、第2の量子ドット613の量子準位(1,1,1)に遷移した励起子を、基底準位b2へ自然放出遷移させることができる。
PN接合層615は、電圧制御部616から印加される制御電圧Vの極性に応じて、整流作用を有する。このPN接合層615は、例えば図19に示すようにp−GaNと、n−GaNを接合することにより得られる。
このような構成のPN接合層615において、電圧制御部616より、n−GaNを正とし、p−GaNを負とする、いわゆる逆方向バイアス電圧を印加することにより、空乏層を広げることができる。一方、PN接合層615において、電圧制御部616より、n−GaNを負とし、p−GaNを正とする、いわゆる正方向バイアス電圧を印加することにより電流を流すことができ、励起子を伝搬させることができる。
このため第2の量子ドット613について、例えば図19に示すようにPN接合面近傍に形成し、さらにInGaN等のように、GaNよりも低エネルギー状態の材質で構成することにより、正方向バイアス印加時において励起子を注入することができる。一方、逆方向バイアス印加時には、第2の量子ドット613が形成されるPN接合面近傍は空乏化されているため、励起子が移動することがなくなり、さらには、第2の量子ドット613への励起子の注入を抑えることができる。
すなわち、このPN接合体615は、電圧制御部616により印加する電圧の極性を変化させることにより、第2の量子ドット613が形成されている領域において電流をON/OFF制御することができるため、第2の量子ドット613への励起子の注入を制御することができる。
なお、第2の量子ドット613へ励起子が注入されると、当該励起子は、基底準位b2から徐々に配列するため、第2の量子ドット613の量子準位(1,1,1)と基底準位b2との励起子の密度の間に格差がなくなり、これら2つの量子準位間において反転分布が生じなくなる。その結果、第2の量子ドット613の量子準位(1,1,1)から基底準位b2へ励起子の自然放出遷移が生じなくなる。
ここで第1の量子ドット612の量子準位(1,1,1)から、第2の量子ドット613における量子準位(2,1,1)へ励起子が順次注入されてくる場合に、上記反転分布を形成することができないと、励起子が自然放出遷移できずに蓄積され、過飽和状態になってしまう。かかる場合には、第2の量子ドット613の量子準位(2,1,1)と共鳴関係にある第3の量子ドット614の量子準位(1,1,1)へ励起子がさらに移動することになる。かかる励起子が注入される第3の量子ドット614では、量子準位(1,1,1)と基底準位b3との間で反転分布を形成することができ、ひいては自然放出遷移により信号光を放出して、これを出射側光プローブ641へ供給することができる。
このように、本発明を適用した光ゲート素子6は、入射される信号光を第1の量子ドット612により励起子に変換してこれを第2の量子ドット613へ注入する。また第2の量子ドット613を整流作用を持つPN接合層615上に形成することにより、電圧制御部16から印加される制御電圧Vに応じて2つの準位間で反転分布を形成して励起子を基底準位へ自然放出遷移させて光として放出させることができる。これにより、第3の量子ドット614へ移動する励起子数を減らすことができるため、当該第3の量子ドット614から放出される信号光の強度を抑えることができ、いわゆる光ゲートとして機能させることが可能となる。またこれらの量子ドット612,613,614は、それぞれナノスケールで構成され、ナノスケールで入力される信号光に対して光ゲートとして機能させることができるため、光ゲート素子全体をナノスケールサイズもの大きさまで微細化させることも可能となる。
ちなみに上述した量子ドット612,613,614間の共鳴効果は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位による近接場相互作用に基づくものであるため、励起子の振動子強度をより高めることができる。また、第2の量子ドット613における2つの量子準位間で遷移確率を向上させることができるため、光損失を軽減させつつ、上述した光ゲート機能を実現させることができる。なおこの共鳴効果は、電子による共鳴トンネル効果も含まれる。
この各量子ドット612,613,614の作製方法については、上述した各量子ドット12、13の作製方法の記載を引用し、説明を省略する。
なお、本発明を適用した光ゲート素子6は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、例えば図20に示すように、複数の量子ドットからなる他のナノ光デバイスと直接接続されていてもよい。すなわち回折限界以下の寸法でも動作する微小なナノ光デバイスが形成されている基板上に、本発明を適用した光ゲート素子を自在に形成することにより、ナノスケール大の光通信システムの実現化を促進することも可能となる。
次に本発明を適用した波長変換素子7について説明をする。
この波長変換素子7は、図21に示すように、NaCl、KCl又はCaF2等の導電性材料により構成される基板711と、基板711の表面上において形成されている第1の量子ドット712と、第1の量子ドット712の周囲において離散的に形成されている二つの第2の量子ドット713とからなる量子ドットグループ720とを備えている。
量子ドットグループ720を構成する各量子ドット712,713は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。第1の量子ドット712は、入力される波長λ1の光を励起子に変換して、これを第2の量子ドット713へ注入する。第2の量子ドット713は、第1の量子ドット713から注入される励起子を基底準位へ自然放出遷移させてこれを光として放出し、或いは当該励起子を互いに授受する。
この各量子ドット712,713は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなり、各量子ドット712,713を構成する材料系がCuClである場合に、これらは立方体として構成され、また各量子ドット712,713を構成する材料系がGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。ちなみに、この量子ドットグループ720を構成する各量子ドット712,713は、通信帯域に対応させるべくInGaAs等の材料系で構成してもよい。
この各量子ドット712,713において、構成される材料系がCuClの場合には、第1の量子ドット712の辺長が約4.6nmであり、また第2の量子ドット713の辺長が約6.3nmである。また構成される材料系がGaN又はZnOの場合には、第1の量子ドット712の半径は約7.0nmであり、また第2の量子ドット713の半径は約10.0nmである。すなわち、すなわち第2の量子ドット713は、第1の量子ドット712よりも大体積で構成され、第1の量子ドット712と第2の量子ドット713の辺長(半径)の比は、およそ1:√2で表される。また、第2の量子ドット713は、後述する共鳴効果を効率よく発揮させるべく、通常、第1の量子ドット712を中心として半径30nm以内の領域において、望ましくは半径10nm以内の領域において、離散的に2つ形成されている。この2つ形成された第2の量子ドット713のうち、一方を第2の量子ドット713aとし、他方を第2の量子ドット713bとする。
このように量子ドットグループ720は、各量子ドット712、713をナノスケールで構成することにより、ナノスケールで入力される光の波長を変換することができ、或いは変換した光の波長をナノスケールで放出することができる。
なお、これらの各量子ドット712、713の作製方法は、上述した各量子ドット12、13の記載を引用して説明を省略する。
ちなみに、この量子ドットグループを構成する各量子ドット712,713に対しては、図17に示すような入射側光プローブ621、出射側光プローブ641により光を入出力させる。
入射側光プローブ621は、図示しない外部光源から光が供給される。この入射側光プローブ621は、図21に示すように、突出部212を介して第1の量子ドット712へ、光をナノスケールで入力することができる。同様に出射側光プローブ621は、第2の量子ドット713から放出されるナノスケールの光を取り出してこれを外部へ搬送することができる。
なお、この入射側光プローブ621、出射側光プローブ641は、図示しない光導波路に代替してもよい。この図示しない光導波路は、光源から供給される光を伝播して第1の量子ドット712へ供給し、或いは第2の量子ドット712から供給する光を外部へ伝搬する。この図示しない光導波路は、例えばAlやAu等の細線を利用した金属導波路で構成し、伝播する光をプラズモンとして伝搬してもよい。
次に、各量子ドット712,713のエネルギー準位について説明をする。図22は、各量子ドット712、713を構成する材料系がCuClである場合のエネルギバンド図を示している。
式(1)に基づき、各量子ドット712、713のE(nx,ny,nz)を計算する。このとき、第1の量子ドット712と第2の量子ドット713の辺長比は、およそ1:√2であるため、第1の量子ドット712における量子準位が(1,1,1)であるときのE1(111)と、第2の量子ドット713における量子準位が(2,1,1)であるときのE2(211)とが等しくなる。すなわち、第1の量子ドット712の量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット713の量子準位(2,1,1)は、励起子のエネルギー準位が共鳴する関係にある。
かかる共鳴が生じる場合おいて、見かけ上第1の量子ドット712から第2の量子ドット713へ励起子が移動することになる。そして、この第2の量子ドット713の量子準位(2,1,1)へ移動した励起子は、さらに低準位である当該第2の量子ドット713の量子準位(1,1,1)へ遷移する。すなわち、この第1の量子ドット712における量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット713における量子準位(1,1,1)とは、相互に結合することになる。
また、第1の量子ドット712において、量子準位(1,1,1)と基底準位b1とのエネルギーギャップEg1に応じた波長λ1の光を受光することにより、励起子を基底準位b1から量子準位(1,1,1)へ励起させることができる。そして、第1の量子ドット712における量子準位(1,1,1)へ励起された励起子は、第2の量子ドット713における量子準位(1,1,1)へと結合してゆく。
すなわち、第2の量子ドット713の量子準位(1,1,1)における励起子の密度を、第2の量子ドット713の基底準位よりも高めることができ、これら2つの量子準位間で反転分布を生じさせることができ、第2の量子ドット713の量子準位(1,1,1)に遷移した励起子を基底準位へ自然放出遷移させることができる。かかる励起子の自然放出遷移が生じると、量子準位(1,1,1)と基底準位のエネルギー差に相当する波長の光が放出されることになる。なお第2の量子ドット713aから放出される光の波長をλ2とし、第2の量子ドット713bから放出される光の波長をλ3とする。
ここでエネルギー保存の法則の観点から、光が供給される第1の量子ドット712におけるEg1は、光を放出する第2の量子ドット713aの量子準位(1,1,1)と基底準位b2とのエネルギーギャップEg2、及び第2の量子ドット713bの量子準位(1,1,1)と基底準位b3とのエネルギーギャップEg3の和に等しいことが必要となる。ここでエネルギーEは、E=hc/λで表されるため、エネルギー的に平衡を保つためには、Eg1に相当する波長λ1と、Eg2に相当する波長λ2及びEg3に相当する波長λ3との間で、以下の(2)式に示す関係が成り立つことが必要となる。
1/λ1=1/λ2+1/λ3 ・・・・・・(2)
ちなみに、第1の量子ドット712は、第2の量子ドット713よりも体積が小さいため、同一の量子準位(1,1,1)であっても、λ1<λ2となる。従って、1個のフォトンにより励起された1つの励起子が第2の量子ドット713aに移動して波長λ2の光が放出されても、この第2の量子ドット713aは、放出すべきエネルギーが余剰している状態にある。このため、第2の量子ドット713aにある励起子は、さらに第2の量子ドット713bへと移動し、上述の如く2つの量子準位間で反転分布を形成して波長λ3の光を放出する。
すなわち、第1の量子ドット712における量子準位(1,1,1)は、複数の第2の量子ドット713a、713bにおける量子準位(1,1,1)と相互に結合し、第1の量子ドット712において励起された励起子が第2の量子ドット713aに移動して波長λ2の光が放出し、さらにエネルギー余剰分に相当する励起子が第2の量子ドット713bへ移動して波長λ3の光を放出することにより、エネルギー的に平衡を保つことができる。これにより、ナノスケールで入力される波長λ1の光を、互いに異なる波長λ2、λ3の光に変換して放出することが可能となる。
このように本発明を適用した波長変換素子1では、体積が異なる各量子ドット712、713を基板711上に形成することにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、第1の量子ドット712の量子準位と、複数の第2の量子ドット713の量子準位とを結合させることができる。これにより、1個のフォトンにより励起された1つの励起子を、エネルギー保存の法則を満たすように複数の第2の量子ドット713へ移動させ、それぞれにおいて形成された反転分布に応じた異なる波長の光を放出することができるため、入力された光の損失を抑えて高効率に波長変換することができる。またこの波長変換素子1を構成する各量子ドット712、713は、ナノメータサイズで構成されているため、ナノスケールで入力される光であっても効率よく波長変換することができる。
なお、本発明を適用した波長変換素子7は、上述した実施の形態に限定されるものではない。上述の如く第1の量子ドット712における量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット713における量子準位(1,1,1)とを結合させて、励起子を移動させる場合のみならず、他の量子準位或いはサブレベルを介して励起子を移動させてもよい。
また、第2の量子ドット713は、基板上711において2つ形成されている場合のみならず、3つ以上形成されていてもよい。これにより、ある一定の確率で量子準位間の結合を作り出すことができ、これらで波長変換させることで、多帯域にわたる光を作り出すことも可能となる。
また第1の量子ドット712と第2の量子ドット713の辺長比も上述の如く1:√2に限定されるものではなく、第1の量子ドット712の体積が、第2の量子ドット713の体積よりも小さくなれば、いかなる辺長比であってもよい。また、各量子ドット712、713間で体積を変えて構成する場合のみならず、材質を変えることにより、量子準位のレベルを設定してもよい。このとき、例えば量子ドットの材質としてInGaAsを用いる場合には、Inの含有量を変化させることにより、構成してもよい。
また第2の量子ドット713は、量子準位(1,1,1)と基底準位b2とのエネルギーギャップEg2、Eg3を、それぞれ体積や材質を変化させることにより、放出する光の波長λ2、λ3を設定し直すことも可能である。これにより、放出する光の波長λ2、λ3を同等にしてもよいことは勿論である。
1 伝送路、2,3 光増幅器、4 光通信システム、5 近接場集光器、6 光ゲート素子、7 波長変換素子、9 光発振器、43 波長多重装置、45 波長分離装置、12,22,433,612,712 第1の量子ドット、13,23,434,613,713 第2の量子ドット、614 第3の量子ドット、11,21,431,511,611,711 基板