JP4240265B2 - 吸水体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏水または冠水などで残留する不要な水を除くのに用いる吸水体、には、河川の氾濫等での堤防のかさ上げまたは決壊の防止修復に用いる土嚢の機能を有する吸水体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
漏水または冠水などで残留する不要な水を除くのに用いる吸水体は、布などの繊維性の素材が用いられて来た。しかし、地震などの災害による水道管の破裂、水害による広範囲での大規模な浸水または工場のタンクからの漏水など、大量の水を除去しなければならないときは、かかる従来の吸水体では吸水力が十分ではなかった。
また、土嚢の機能を有する吸水体は、水害等における河川湖沼等の氾濫を防ぐ土木資材であり、従来、例えば麻袋に土を入れたものが使用されていた。かかる従来の吸水体は、重量と体積ともに大きいことから運搬が困難であるため災害現場付近で作製されていた。災害発生時には、必要な時に、必要な場所に、土嚢の機能を有する吸水体をすみやかに充当する必要があるが、従来の該吸水体ではその作製が必要量に追いつかないことが多い。また、遠方より該吸水体を運ぶ場合は車両等を用いて運ばなければならず、またその積み降ろしに労を要する。さらに、道路を崩壊などにより災害現場まで車両が通行できないこともある。このような現状においては、より多くの人類の生命財産が水害により失われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の水もしくは冠水などで残留する不要な水を除くのに用いる吸水体または土嚢の機能を有する吸水体は、重量および体積ともに大きく、運搬に労を要する。そこで、重量および体積ともに小さく、運搬し易い吸水体が求められている。本発明では、運搬時は重量および体積がともに小さく、使用時には水を吸って重量、体積および外形の形状追随性の機能を十分満たす、不要な水を除く吸水体または土嚢の機能を有する吸水体を提供することを目的とする。また、本発明は、乾燥することにより繰り返し使用でき、形状安定性のある吸水体を提供することを目的とする。また、本発明は従来の水もしくは冠水などで残留する不要な水を除くのに用いる吸水体または土嚢の機能を有する吸水体よりも吸水性の高い吸水体を提供することを目的とする。さらに、本発明は、廃棄物として処理に困っていた、例えば樹脂などの高分子廃材、または例えば金属やセラミックなどの無機質固形廃材を利用し、より付加価値の高い製品とすることにより地球環境に資することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、アクリロニトリルとスチレンおよび/または共役ジエンを含有する高分子化合物に酸性基が導入されている変性高分子化合物を用いれば、上記の目的を一挙に達成できるという思いがけない知見を得た。すなわち、かかる化合物は吸水性を有し、吸水性によりゲル状を呈することから、運搬時は重量および体積がともに小さく、使用時には水を吸って重量、体積および外形の形状追随性の機能を十分満たす機能性の高い、不要な水を除く吸収体、または土嚢の機能を有する吸収体を提供することができる。さらに、該変性高分子化合物を吸水材料として用いた吸水体は、吸水速度が従来の土嚢よりも高いので使用時の緊急性に対応できるという優れた有用性を持つ。また、該吸水体は、廃棄物として処理に困っていた、例えば樹脂などの高分子廃材、または例えば金属やセラミックなどの無機質固形廃材を再資源化利用することにより、地球環境に資することができるという利点も有する。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)(a)アクリロニトリルと(b)スチレンおよび共役ジエンの少なくとも1種類とを構成成分とする高分子化合物に酸性基が導入されている変性(吸水性)高分子化合物と、可とう性網状支持体とが、水透過性袋状体内に収容されていて、
前記変性高分子化合物が前記可とう性網状支持体に含浸若しくは付着された状態でプ レスされることにより、前記変性高分子化合物と前記可とう性網状支持体とが一体化さ れた板状体(例えばシート状体:以下、同様)を形成し、
この板状体の複数個間隙を置いて対向し、これらの板状体間に比重1以上の固形物 が挟持され、
これらの板状体の各外面が前記水透過性袋状体の内面に面している
吸水体、
)前記可とう性網状支持体が天然繊維または合成繊維からなる、前記(1)に記載の吸水体、
)前記水透過性袋状体が天然繊維または合成繊維からなる、前記(1)に記載の吸水体、
)比重1以上の固形物が天然の鉱物よりなる、前記()に記載の吸収体、
)比重1以上の固形物が廃棄物よりなる、前記()に記載の吸収体、
)比重1以上の固形物が、廃棄物を結着形成したものよりなる、前記()に記載の吸収体、
)比重1以上の固形物が、磁性を有する廃棄物よりなる、前記()に記載の吸収体、
)前記高分子化合物が、廃材から得られる(a)アクリロニトリルと(b)スチレンおよび/または共役ジエンの少なくとも1種類とを構成成分とする高分子化合物に酸性基が導入されている変性高分子化合物である、前記(1)に記載の吸収体
に関する。
【0007】
また、本発明は、
)(a)アクリロニトリルと(b)スチレンおよび共役ジエンの少なくとも1種類とを構成成分とする高分子化合物に酸性基が導入されている変性(吸水性)高分子化合物を可とう性網状支持体に含浸若しくは付着させる工程と、この状態でプレス加工することにより、前記変性高分子化合物と前記可とう性網状支持体とが一体化された板状体を形成する工程と、この板状体の複数個を間隙を置いて対向させ、これらの板状体間に比重1以上の固形物を挟持する工程と、これらの板状体を、各外面が前記水透過性袋状体の内面に面する状態で前記水透過性袋状体内に収容する工程とを有する、吸水体の製造方法、
10)前記プレス加工を加熱状態で行う、前記()に記載の吸水体の製造方法、
11)前記可とう性網状支持体を天然繊維または合成繊維によって形成する、前記()に記載の吸水体の製造方法、
12)前記水透過性袋状体を天然繊維または合成繊維によって形成する、前記()に記載の吸水体の製造方法、
13)比重1以上の固形物として、天然の鉱物を用いる、前記()に記載の吸水体の製造方法、
14)比重1以上の固形物として、廃棄物を用いる、前記()に記載の吸水体の製造方法、
15)比重1以上の固形物として、廃棄物を結着形成したものを用いる、前記()に記載の吸水体の製造方法、
16)比重1以上の固形物として、磁性を有する廃棄物を用いる、前記(14)に記載の吸水体の製造方法、
17)前記高分子化合物として、廃材から得られる(a)アクリロニトリルと(b)スチレンおよび/または共役ジエンの少なくとも1種類とを構成成分とする高分子化合物を用いる、前記()に記載の吸水体の製造方法
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、本発明を適用した、不要な水を除く吸水体または土嚢の機能を有する吸水体として、図〜図4に示すような吸水体1について説明することとする(但し、図1〜図2は本発明の参考例を示す)
本発明に係る不要な水を除く吸水体または土嚢の機能を有する吸水体1は、水透過性袋状体2と、この水透過性袋状体2に内包された、アクリロニトリルとスチレンおよび/または共役ジエンを含有する高分子化合物に酸性基が導入されている変性高分子化合物を含有する吸水性材料3と支持体4を備える。より詳しくは、本発明に係る、不要な水を除く吸水体または土嚢の機能を有する吸水体1は、比重1以上の固形物5が内在されている吸水体1の乾燥状態における断面図を図3に、吸水膨潤状態における断面図を図4に示した。乾燥状態においては図3(又は図1の断面図に示すように上記変性高分子化合物を含有する吸水性材料3aと支持体4とから構成され、吸水膨潤状態においては図4(又は図2の断面図に示すように上記変性高分子化合物を含有する吸水性材料3bと支持体4とから構成される。
【0010】
本発明において用いる(a)アクリロニトリルと(b)スチレンおよび/または共役ジエンの少なくとも1種類以上とを含有する高分子化合物としては、該化合物中にアクリロニトリルユニットを約5〜80モル%程度、好ましくは約10〜60モル%程度、さらに好ましくは約20〜50モル%程度含有しているものが好ましい。
該高分子化合物を酸処理した際に、得られる変性高分子化合物が実質的に水溶性を示すことなく吸水性高分子化合物として有効に機能するためには、上記含有量は約5モル%程度以上が好適である。また、該高分子化合物が堅くなるのを避け、本発明に係る吸水体の製造工程において該高分子化合物を小片に粉砕するのを容易とし、一方で該高分子化合物中のスチレンおよび/または共役ジエンユニットの含有量が少なくなり、酸性基の導入率が低下することを避け、吸水性、特に電解質水溶液に対する吸水性を発揮するために、上記含有量は約80モル%程度以下が好適である。
【0011】
本発明において用いる上記高分子化合物としては、アクリロニトリル以外の構成ユニットとしてスチレンおよび/または共役ジエン(例えば、ブタジエンまたはイソプレンなど)の少なくとも1種類以上を、約20〜95モル%程度、好ましくは約40〜85モル%程度、さらに好ましくは約50〜80モル%程度含有しているものが好ましい。
これらスチレンおよび/または共役ジエン構成ユニットは、該高分子化合物の酸処理を行うことにより酸性基が該化合物中に導入されるところとなり、精製する吸収性高分子化合物の吸水性、特に電解質水溶液に対する吸水性を向上させる上で必要となる。
【0012】
本発明において用いる上記高分子化合物には、上記アクリロニトリルとスチレンおよび/または共役ジエンとが所定量含有されていれば、更に別の構成ユニットが含有されていても良い。
これら他の構成ユニットとしては、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、α-メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸もしくはアクリル酸エステル、メタアクリル酸もしくはメタアクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニルピロリドンまたはビニルピリジン等を挙げることができる。なお、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルは、炭素数が1〜10程度のものが好ましく、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0013】
本発明において用いる上記高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、通常は約1,000〜20,000,000程度、好ましくは約10,000〜1,000,000程度である。
該高分子化合物を酸処理した際に、得られる変性高分子化合物が実質的に水溶性を示すことなく、吸水性高分子化合物として有効に機能するためには、重量平均分子量(Mw)が約1,000程度以上であることが好適である。また、共重合体に酸性基を導入するための酸処理の反応を効率よく進ませ、反応時間を短くするため、重量平均分子量(Mw)が約20,000,000程度以下であることが好適である。
【0014】
本発明において用いる上記高分子化合物として、具体的には、例えばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルアミド)樹脂、ACS(アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリレート−スチレン)樹脂、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン)ゴム等の高分子材料を用いることが好適である。これらの材料は、新たに製造された未使用の樹脂粒状物(バージンペレット)であっても良いし、特定の用途を目的として成形された使用済み樹脂または廃材であっても良い。廃材としては、例えば、樹脂原料や成形品の生産過程での排出品(半端品)、電気製品や自動車等にすでに使用された筐体や各種部品材料、またはチューブやホース、各種緩衝材などが挙げられる。該使用済み樹脂とは、上記のような廃材から回収される樹脂をいう。本発明における廃材は、工場や販売店、家庭等から出る廃材のいずれであっても良いが、家庭等からの一般廃棄物よりは、工場や販売店等から回収された、例えば半端品などの廃材の方が比較的組成がそろったものが多いためより好ましい。
【0015】
本発明において用いる上記高分子化合物は、上記高分子材料と他の樹脂とのアロイ物を用いても良く、例えば、顔染料、安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、その他補助剤等の自体公知の添加剤を含んだ使用済み樹脂または廃材を用いても良い。また、使用済み樹脂または廃材と未使用材料(バージン材料)との混合物を用いても良い。
上記アロイ物における上記高分子材料と混合可能な他の樹脂としては、自体公知の樹脂を用いてよいが、本発明の酸処理を阻害しない樹脂であることが好ましい。かかる樹脂として具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドまたはポリエステル等が挙げられる。なお、これらの樹脂の混合量は、酸処理を円滑に進めるために、上記高分子材料に対して約60重量%程度以下であることが好ましい。
【0016】
本発明において用いる上記高分子化合物は、酸性基を導入するための酸処理における便宜のため、小片にしておくことが好ましい。小片にする方法としては特に限定されないが、以下の方法を挙げることができる。例えば、粉砕機による粉砕の後、振るい分けするという方法が挙げられる。特に、上記高分子化合物がゴム成分を含んでいる場合、凍結処理後に粉砕すると好適である。また、加熱溶融して微少なビーズ状にペレタイズ(粒状化)する方法も挙げられる。
上記高分子化合物の小片のサイズとしては、約3.5メッシュ程度以下にすることが好ましい。被反応物の表面積が大きくして酸処理反応を容易に、反応時間を短くすると共に、酸処理による酸性基形成において酸性基密度を上げ、吸水性(吸水性高分子化合物としての性能)を向上させるため、上記範囲が好ましい。
【0017】
本発明の上記高分子化合物中にさらに無機物が含有されていると、酸性基を導入するための酸処理が促進される(無機顔料周辺が酸処理され易くなる、すなわち反応時に同無機顔料が該高分子化合物からはずれて酸が同高分子化合物表面に浸透し易くなる)ため、該酸処理による酸性基形成において酸性基密度が高まり、吸水性が向上する。したがって、本発明においては高分子化合物に無機物を含有させることが好ましい。
【0018】
該無機物としては、カーボンブラックまたは/および酸化チタンが好ましい。これらのカーボンブラックや酸化チタンは、例えば、プラスチックの着色剤や補強剤、電気伝導性付与剤として一般に用いられているもので良い。具体的には、該カーボンブラックとしては、例えば、チャンネル法、ファーネス法、サーマル法のいずれの方法によって製造されたものでも良く、それぞれを単独で用いても良く、または複数を併用しても良い。なお、平均粒子径は、通常は約0.005〜100μm程度、好ましくは約0.01〜10μm程度である。また、該酸化チタンは、例えば、ルチル型、アナターゼ型、超微粒子チタンのいずれのタイプでも良く、それぞれを単独で用いても良く、または複数を併用しても良い。なお、平均粒子径は、通常は約0.01〜50μm程度、好ましくは約0.05〜10μm程度である。
上記高分子化合物中に含まれる上記カーボンブラックや酸化チタンの含有量は、該高分子化合物の乾燥重量に対して約0.01〜20重量%程度、好ましくは約0.05〜10重量%程度である。
【0019】
本発明の吸水体は、上述の高分子化合物に酸性基が導入されている変性高分子化合物を構成要素の一つとする。
上記高分子化合物に酸性基を導入する方法としては、例えば、該高分子化合物を酸処理する方法が挙げられる。上記高分子化合物を酸処理することにより、吸水性高分子化合物への転換が行われる。より詳しくは、高分子化合物中のアクリロニトリルの一部はアミドまたはカルボキシル基もしくはその塩になり、一方、スチレンや共役ジエンの方には酸性基が導入される。
【0020】
本発明の上記酸処理に使用する酸としては、スチレンや共役ジエンに酸性基を導入することができる無機酸が好適である。該無機酸としては、具体的に、例えば、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸等のスルホ化剤や硝酸、発煙硝酸、燐酸、塩化燐、酸化燐等が挙げられる。これらの中では、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸が好ましく、特に、約70重量%程度以上の濃硫酸がより好ましい。
また、これらの無機酸はそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。併用する場合は、混合しても良いし、逐次添加しても良い。例えば、上記高分子化合物を最初濃硫酸で処理した後、次に、無水硫酸を添加することにより、水系で形状安定な吸水性高分子化合物を得ることができる。これは、濃硫酸の処理によりまず該高分子化合物中のニトリル部分が主に加水反応をうけ、次に、無水硫酸で処理することによりスチレンや共役ジエン部が強制的にスルホン架橋されることより架橋度の高い吸水性高分子化合物が得られるためである。したがって、上記酸処理は、本発明における酸処理の好ましい態様の一つである。
【0021】
反応に用いる無機酸の量(仕込み量)としては、上記高分子化合物の重量に対して約1〜500倍程度、好ましくは約10〜200倍程度である。
スチレンや共役ジエンへの酸性基の導入率やアクリロニトリル基の加水反応率を上げることにより、酸性基の生成を促進し、かつ吸水性を持たせるために、無機酸の仕込み量は、上記高分子化合物の重量に対して約1倍程度以上が好適である。また、経済性および作業性の観点から、無機酸の仕込み量は、上記高分子化合物の重量に対して約500倍程度以下が好適である。
【0022】
本発明における上記酸処理は無機酸中で行っても良いが、有機溶媒を用いた系で行っても良い。
酸処理において使用可能な有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜2程度の脂肪族ハロゲン化炭化水素(好ましくは1,2−ジクロロエタン 、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン等)、脂肪族環状炭化水素(好ましくは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン等)、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウ、パラフィン系炭化水素(好ましくは、炭素数が約1〜7程度)、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2-ジメトキシエタン、アセトン、メチルエチルケトン、チオフェン等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜2程度の脂肪族ハロゲン化炭化水素、脂肪族環状炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウである。これら溶媒は単独で用いても良いし複数を混合して用いても良い。混合溶媒においては、その混合比率は特に制限は無い。
これら有機溶媒は、上記高分子化合物重量に対して約200倍程度未満が好適である。酸処理の反応率を上げるとともに、経済的観点からも、上記範囲が好ましい。
【0023】
また、上記酸処理の際には、所望によりルイス塩基を用いても良い。ルイス塩基としては、例えば、アルキルフォスフェート(例えば、トリエチルフォスフェートまたはトリメチルフォスフェート等)、ジオキサン、無水酢酸、酢酸エチル、パルチミン酸エチル、ジエチルエーテル、チオキサン等が挙げられる。
なお、上記酸処理に一度使用した無機酸や有機溶媒は、反応終了後回収してそのまま、もしくは抜き取りや蒸留等の方法により回収して再度反応に使用しても良い。
【0024】
本発明においては、上記高分子化合物を上述した酸処理に付することで、スチレンおよび/または共役ジエンユニットには酸性基が導入され、一方、アクリロニトリルユニットにおいては加水反応によりニトリル基をアミド基またはカルボキシル基に変換されることで、吸水性を有する変性高分子化合物(吸水性高分子化合物)に転換するものである。
【0025】
上記酸処理によりスチレンまたは共役ジエンユニットに導入される酸性基(イオン性基)としては、例えば、式−SOM(式中、Mは水素原子または例えばナトリウム、カリウム等の金属などのカチオンを表す。)で表される塩を形成しいてもよいスルホ基、式−PO(OM)(OM)若しくは式−CHPO(OM)(OM)(式中、MとMはそれぞれ同一または異なって、上記Mと同意義。)表される塩を形成していてもよい置換基、−NOなどを挙げることができる。その他にも、式−OSOM(式中、Mは前記と同意義)で表される塩を形成していてもよい硫酸基、式−OPO(OM)(OM)(式中、MとMはそれぞれ同一または異なって、上記Mと同意義。)で表される塩を形成していてもよいホスホ基、式−OM(式中、MはMと同意義。)で表される塩を形成していてもよい水酸基、式−COOM(式中、MはMと同意義。)で表される塩を形成していてもよいカルボキシル基等が挙げられる。これらの酸性基の中では、スルホ基またはその塩が好ましい。これら酸性基は1種類のみが該高分子化合物に導入されていても良いし、2種類以上が該高分子化合物に導入されていても良い。
【0026】
ただし、吸水性高分子化合物としての性能を満足するには、変性高分子化合物に含有される酸性基の量は、全モノマーユニットに対して約5〜95モル%程度、好ましくは約10〜70モル%程度である。変性高分子化合物が実質的に水溶性を示さず、吸水性を有効に示すためには、上記酸性基の量は全モノマーユニットに対して約95モル%程度以下が好適である。また、吸水性の効果を有効に維持するため、上記酸性基の量は、全モノマーユニットに対して約5モル%程度以上が好適である。
【0027】
上記変性高分子化合物中の酸性基がスルホ基である場合は、共重合体と前述の例えば、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸等の自体公知のスルホ化剤と直接反応させるか、もしくは、該高分子化合物を有機溶媒に溶解や分散させた状態でスルホ化剤と反応させることによりスルホ基が導入され、引き続いてこのものを塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等)で中和することでスルホン酸塩に転換することが可能となる。
また、上記変性高分子化合物中の酸性基が−PO(OH) 基である場合には、溶媒中に三酸化燐を添加し、さらに加水分解することによりまず−PO(OH)基が導入され、その後、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等)と反応させることにより同塩とすることが出来る。上記変性高分子化合物中の酸性基が−CHPO(OH) 基もしくはその塩である場合も、自体公知の方法によって上記高分子化合物にかかる酸性基を導入することができる。
上記変性高分子化合物中の酸性基が−NO基である場合には、硫酸と硝酸の混合液と上記高分子化合物と反応させることにより、上記高分子化合物にかかる酸性基を導入することができる。
【0028】
塩を形成していてもよい硫酸基を導入する方法としては、好ましくは、不飽和結合を有する上記高分子化合物を高温の硫酸水溶液と反応させることによりまず硫酸基が導入され、その後、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等)と反応させることにより硫酸塩とすることが出来る。
塩を形成していてもよいカルボキシル基を導入する方法としては、好ましくは、芳香族環を有する上記高分子化合物に、n−ブチルリチウムを添加し、次にドライアイスと反応させることによりまずカルボキシル基を導入することが可能となり、その後、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等)と反応させることによりカルボン酸塩とすることが出来る。
【0029】
塩を形成していてもよい−OPO(OH)基を導入する方法としては、好ましくは、不飽和結合を有する上記高分子化合物に三酸化燐を添加後加水分解することによりまず−OPO(OH)基が導入され、その後、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等)と反応させることにより同塩とすることが出来る。
塩を形成していてもよい水酸基を導入する方法としては、好ましくは、不飽和結合を有する上記高分子化合物と硫酸水溶液と反応させることによりまず水酸基の導入が可能となり、その後、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等)と反応させることにより同塩とすることが出来る。
【0030】
本発明における上記酸処理反応は、共重合体に上記所定量の酸性基を導入するために、以下の条件で行うことが好ましい。
反応温度は、有機溶媒の使用の有無で大きく異なるので一概には言えないが、概ね0〜200℃程度、好ましくは約30〜120℃程度である。実用性の観点から反応速度をある程度速くするため、また、良好な性能を有する吸水性高分子化合物としての変性高分子化合物を得るため、反応温度は、約0℃程度以上であることが好適である。また、熱分解によって高分子化合物の分子鎖が切断され、変性高分子化合物が水に対して溶解するようになることを避けるため、反応温度は約200℃程度以下であることが好適である。
該酸処理の反応時間は、反応温度によって大きく異なるので一概には言えないが、概ね1分〜40時間程度、好ましくは約5分〜2時間程度である。反応を充分に進行させるとともに、一方で生産効率を上げるため、上記範囲が好ましい。
【0031】
本発明においては、上記のようにして得られた反応物に対し自体公知の後処理を行ってもよい。具体的には、反応物を洗浄することが好ましい。該反応物を洗浄する方法としては、多量の水や塩基性水溶液に反応液をそのまま加えるか、または、同反応系から反応物をまずフィルター等でろ過し、このものを多量の水や塩基性水溶液に投入する等の方法が挙げられる。この時、該高分子化合物中のニトリル基は、アミド基もしくはカルボキシル基および/またはその塩に転換される。なお、上記塩基性水溶液に使用する塩基性物質としては、アルカリ金属(ナトリウム、リチウム、カリウム等)やアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)の酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の化合物が挙げられる。ただし、該吸水性を示す変性高分子化合物の吸収効果(特に電解質水溶液に対する吸収効果)およびアンモニアガス等の脱臭効果を向上させるためには、中和せずに水洗のみを行うことが望ましい。
【0032】
以上の様にして得られた反応物はゲル状であり、この後、天日、加熱、減圧、遠心、プレス等の乾燥を行い求める吸水性高分子化合物を得ることが出来る。
以上に示した処理方法により、ニトリル基と同加水反応物(アミド基もしくはカルボキシル基および/またはその塩)、および、酸性基を有する吸水性高分子化合物を得ることが出来る。このものは、未反応のニトリル基を有することにより非水溶性とゲル強度の向上が図られ、また、同ニトリル基の加水反応物と酸性基により吸水性(特に電解質水溶液に対して)が高められることになる。
【0033】
本発明では、上記の変性高分子化合物を必須要件とするが、これに単純な吸水性の機能を有する材料を併用することができる。これら材料には、公知の吸水性材料が使用できる。これら材料としては、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキシエチレン、ポリアミノ酸、ポリ(N-アルキルビニルアセトアミド)などのゲル架橋物、もしくはそのユニットを主体とした共重合物のゲル架橋物、さらには、デンプン、セルロースなどの多糖類などを含めた親水性高分子と架橋、グラフトさせた改質物などが挙げられる。中でも、本発明の目的の一つであるアクリロニトリルとスチレンまたは共役ジエンを含有する高分子化合物もしくは同使用済み樹脂もしくは廃材が、より付加価値の高い材料として有効に用いることを目指して、これらを活用したものが好ましい。
【0034】
本発明の水透過性袋状体2の素材としては、天然繊維または合成繊維の布が用いられる。天然繊維としては、例えば棉、麻または絹などを例示できる。合成繊維としては、例えばポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどが例示できる。これら繊維を単独あるいは混合して布に編み上げたものまたは織り上げたものが好ましい。しかし、場合によっては、不織布であってもよい。また、場合によっては、フィルム状体の表裏を貫通する細孔を形成したものであってもよい。
【0035】
本発明の支持体4は、上記変性高分子化合物を支持できるのであればその形状または素材は特に限定されない。ここで、「支持」とは、水透過性袋状体2の中で上記変性高分子化合物が極端に傾くことなどを防ぐため、上記変性高分子化合物が付着または含浸させることが挙げられる。
該支持体としては、具体的には可とう性網状体が好ましい。可とう性網状体4としては、天然繊維または合成繊維の布が用いられる。その素材としては、上記の水透過性袋状体2の素材と同様のものが使用できる。すなわち、天然繊維としては、例えば棉、麻または絹などを例示できる。合成繊維としては、例えばポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどが例示できる。これら繊維を単独あるいは混合して布に編み上げたものまたは織り上げたものが好ましい。しかし、場合によっては、不織布あるいは紙であってもよい。また、場合によっては、フィルム状体の表裏を貫通する細孔を形成したものであってもよい。
【0036】
この場合、上記支持体4、好ましくは可とう性網状体は、上記水透過性袋状体2に比較して、貫通孔の占有率は、高いことが好ましく、これにより、前記吸水性の変性高分子化合物を前記支持体に付着あるいは含浸させることにより、前記吸水性の変性高分子化合物を前記支持体に固定することができる。これにより、本発明に係る吸水体を吸水使用し、使用後乾燥して再び使用するというように繰り返し使用しても、前記吸水性の変性高分子化合物が前記吸水体内部において偏るなどの型崩れを防止することができ、繰り返し使用の回数を高めることができるという利点がある。
【0037】
本発明の支持体に前記吸水性の変性高分子化合物を付着あるいは含浸させることにより固定する方法としては、前記支持体に、吸水膨潤状態の前記吸水性の変性高分子化合物の水分散系を塗布乾燥するという方法を挙げることができる。また、前記方法としては、前記支持体に、非膨潤状態の前記吸水性の変性高分子化合物の有機液体への分散系を塗布乾燥するという方法を挙げることができる。これにより、塗布乾燥の操作の簡便化ならびに使用エネルギー削減を行うことができるので、本発明において好適に用いられる。また、前記方法として、前記支持体に、水または有機液体を含ませ、乾燥状態の前記吸水性の変性高分子化合物を付着させ乾燥させるという方法を挙げることができる。
以上のような方法により、支持体に前記吸水性の変性高分子化合物を付着または含浸させることにより固定したシート状体は、静圧プレスまたはローラーにより圧縮操作を行うことにより得られる。この場合、室温において行うこともできるが、室温以上の加熱状態において行うことがより有効である。
【0038】
本発明においては、水透過性袋状体の中に比重1以上の固形物を存在せしめる。このようにすることにより、本発明の吸水体を土嚢として用いた場合に、特に設置初期段階において、水等に流されにくくなるという利点がある。
本発明の比重1以上の固形物としては、天然の鉱物よりなるもの、廃棄物よりなるもの、廃棄物を結着形成したものが挙げられる。これらの素材としては、金属、セラミクス、ガラスまたはこれらを相互に結着したものが挙げられる。これら結着には、比重1以下の高分子材料を用いることができる。結着に用いる高分子材料としては特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、カゼインもしくはポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロンもしくはメトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂もしくはエポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
【0039】
本発明では、上記の比重1以上の固形物として、磁性を有するものを用いることができる。この磁性により、磁気的に本発明に係る吸水体を吸引して、クレーン等で移動輸送を可能にすることができるという利点がある。また、この磁性により、土嚢を識別することが可能となるという利点もある。
磁性を有するものとしては、フェリ磁性、フェロ磁性または寄生磁性を有するものが挙げられる。より具体的に、フェロ磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルトもしくはこれらの合金、またはこれらを含有する合金、さらには、遷移金属もしくはその合金、さらには、希土類元素を含有した合金を挙げることができる。さらに、フェリ磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、ヘマタイト、マンガン亜鉛フェライト、マンガンニッケルフェライト、バリウムフェライトまたはストロンチウムフェライトなどがある。これらは、天然の鉱物よりなるもの、廃棄物よりなるもの、廃棄物を結着形成したものを用いてよい。これらは、比重が一般の無機系素材に比較して、大きく吸水体の重量を高めることができ、吸水状態の吸水体でもその重量を相対的に高める効果がある。また、これら素材は、使用済みの電気機器のインダクター素子やスピーカーやテレビの偏向ヨークより得ることができ、電子機器の解体処理において処理しにくい部材であるため、その有効活用の観点からも有益である。
【0040】
【実施例】
ここで、実際に本発明に係わる吸水体として実施例に試料を作製し、比較のものとその評価を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
濃硫酸(96重量%)30重量部中に、ABS樹脂廃材1重量部を加え、80℃で20分間反応させた。なお、ABS樹脂廃材として、8mmカセットテープガードパネルの黒色部分に用いられ、スチレンの含有量が52モル%、アクリロニトリルの含有量が28モル%、ブタジエンの含有量が20モル%含有され、さらにカーボンブラックを2重量%含有する樹脂を、冷凍シュレッダーにより粉砕した16〜32メッシュの分級物を用いた。
反応終了後、系中の固形物をグラスフィルターでろ過し、水洗の後、1規定の水酸化ナトリウム溶液50重量部で中和し、さらに十分な水で水洗し、濾液のpHが8以下になったところで取り出し、循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。この操作により黒色の固形物が得られた。硫黄の元素分析結果より、この固形物中のスルホ基は、全モノマーユニット中の33モル%であることが確認された。また、ナトリウムの含有量は、スルホ基とほぼ等モル比(1.1)であった。上記の黒色固形物を粉砕し、平均粒径0.8mmであった。
これを、シクロヘキサンに分散し、ガーゼにディップコーティングし乾燥することにより、吸水性の変性高分子化合物を支持体に含浸させた。この乾燥状態のシート状体を裁断し、100℃の静圧でプレスしたシート状体片を、積層して、厚めの棉布で作製した袋に入れ封じた。
【0042】
〔比較例1〕
実施例おいて調製した、同重量の前記の粉砕した黒色固形物を、前記と同形状の同一の棉布で作製した袋に入れ封じ、吸水体を作製した。
実施例1および比較例1で得られた吸水体を、水深1cmの均一な水面に配し、その吸水膨潤と天日による乾燥を5回繰り返した。その結果、比較例では、少量ではあるが、前記吸水性の変性高分子化合物のしみ出しが観察され、さらに、前記吸水体内での前記吸水性の変性高分子化合物の分布に偏りが生じた。これに対し、実施例の吸水体では、前記吸水性の変性高分子化合物のしみ出しが観察されず、さらに、前記吸水体内での前記吸水性の変性高分子化合物の分布に偏りが生じなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る吸水体は、従来の水もしくは冠水などで残留する不要な水を除くのに用いる吸水体または土嚢の機能を有する吸水体よりも吸水性が高く、大量の水を吸水しなければならない場合や迅速に吸水しなければならない場合にも十分に対応できる。また、純水だけでなく、海水・汚水・泥水などの電解質を含有する水に対しても適用できるので、海辺の堤防のかさ上げまたは決壊の防止修復、または工場から漏水などに対しても適用できる。
また、本発明は、運搬時は重量および体積がともに小さく、使用時には水を吸って重量、体積および外形の形状追随性の機能を十分満たす、特に土嚢として有用な吸水体を提供する。
さらに、本発明に係る吸水体は、くり返し使用できるという利点がある。
【0044】
本発明に係る吸水体は、使用済み樹脂や廃材を用いて作製することができ、また所望により含有される比重1以上の固形物も電子機器の解体処理において処理しにくい部材を用いて作製することができるので、地球環境に資することができるという利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例る吸水体の乾燥時の断面図を示す。
【図2】 本発明の参考例る吸水体の吸水膨潤時の断面図を示す。
【図3】比重1以上の固形物を含有する本発明に係る吸水体の乾燥時の断面図を示す。
【図4】比重1以上の固形物を含有する本発明に係る吸水体の吸水膨潤時の断面図を示す。
【符号の説明】
1 吸水体
2 水透過性袋状体
3 吸水性材料
4 支持体
5 比重1以上の固形物

Claims (6)

  1. (a)アクリロニトリルと(b)スチレンおよび共役ジエンの少なくとも1種類とを構成成分とする高分子化合物に酸性基が導入されている吸水性高分子化合物と、可とう性網状支持体とが、水透過性袋状体内に収容されていて、
    前記吸水性高分子化合物が前記可とう性網状支持体に含浸若しくは付着された状態で プレスされることにより、前記吸水性高分子化合物と前記可とう性網状支持体とが一体 化された板状体を形成し、
    この板状体の複数個間隙を置いて対向し、これらの板状体間に比重1以上の固形物 が挟持され、
    これらの板状体の各外面が前記水透過性袋状体の内面に面している
    吸水体。
  2. 前記固形物が天然の鉱物、廃棄物または廃棄物の結着体からなる、請求項に記載の吸水体。
  3. 前記固形物が、磁性を有する廃棄物からなる、請求項に記載の吸水体。
  4. (a)アクリロニトリルと(b)スチレンおよび共役ジエンの少なくとも1種類とを構成成分とする高分子化合物に酸性基が導入されている吸水性高分子化合物を可とう性網状支持体に含浸若しくは付着させる工程と、この状態でプレス加工することにより、前記吸水性高分子化合物と前記可とう性網状支持体とが一体化された板状体を形成する工程と、この板状体の複数個を間隙を置いて対向させ、これらの板状体間に比重1以上の固形物を挟持する工程と、これらの板状体を、各外面が前記水透過性袋状体の内面に面する状態で前記水透過性袋状体内に収容する工程とを有する、吸水体の製造方法。
  5. 前記固形物として、天然の鉱物、廃棄物または廃棄物の結着体を用いる、請求項に記載の吸水体の製造方法。
  6. 前記固形物として、磁性を有する廃棄物を用いる、請求項に記載の吸水体の製造方法。
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