JP4239075B2 - 微生物の計測方法及び装置 - Google Patents

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Description

この発明は、試料中の微生物を培養し、形成された集落または培養成長物(以下、まとめてコロニーという。)を観察して、微生物の種類(または種類および数)を計測する方法及び装置に関する。前記微生物としては、細菌や放線菌などの原核生物、酵母やカビなどの真核生物、下等藻類、ウイルスなどが含まれる。本計測方法及び装置の利用分野としては、医療,食品製造,上下水道分野などがある。
従来、微生物の計測方法としては、培養によって目視で認識可能な集落を形成させ、これを計数する方法が採られてきた。この計測方法の場合、48〜72時間程度の計測時間を要した。ところが近年、食品分野でマスプロダクションの進展によって微生物汚染事故が大規模化しているほか、社会的にもバイオテロリズムの懸念や新型感染症の発生などが問題となっており、微生物計測に対しては、迅速化の要請が著しく高まっている。こうした背景をうけ、研究開発も活発に行なわれている。
上記計測の迅速化の要請に応える方法に関し、以下のような方法が公知である(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1は、「微生物の特徴の現れる部位の明るさおよび、または色を数値化し、これに統計的手法を用いて得られた数値と比較して、微生物の集落数および、または菌種判定を行うことを特徴とする微生物の判定方法。」を開示する。
上記特許文献1に開示された微生物の判定方法は、目視可能なレベルにまで培地で育成したコロニーを、従来目視で行なっていた観察方法を、コンピュータにより統計処理しかつ自動化した方法である。上記方法によれば、自動化により計測時間の短縮化は図れるものの、コロニーが目視可能なレベルにまで成長するまでに長時間を要する問題がある。
また、特許文献2は、「顕微鏡によって撮像された画像をディジタル変換して画像情報をえる画像処理装置が、微生物菌体の外側を検出して菌体画像を形成する画像形成手段と、この画像形成手段によって形成された前記菌体画像を2値化して画像データに変換して分別する分別手段と、記憶手段とを有し、前記画像処理装置は、記憶手段に記憶された前記画像データに基づいて、前記菌体の中心曲線を求めて、この中心曲線の両端の最短直線を求め、最短直線からの垂線で中心曲線と最短直線と間の距離が最長の垂線を求めて、この最長の垂線と中心曲線とから菌体の歪度を演算し、演算された前記歪度に基づいて、菌体を分別することを特徴とする微生物菌体の形状分別方法。」を開示する。
上記特許文献2に開示された微生物の判定方法は、増殖前の単一の微生物について、その形状から微生物種を判別する方法である。上記方法によれば、コンピュータを用いた自動化により計測時間の短縮化は図れるものの、形状がよく似た粒子が混在した場合、本来検出すべき微生物であるかの識別が困難という問題がある。
これに対して、特許文献3には、「微生物(細菌、真菌)の迅速検査法として、集落が目視サイズに達する前、微小集落(マイクロコロニー)の段階で集落をを検知する方法」が記載されている。即ち、特許文献3の記載を引用すれば、「測定対象を通過した光をエリアセンサで受け、前記エリアセンサが所定時間ごとに取得した画像を2値化して順次に2値化画像を得る2値化ステップと、基準となる前記2値化画像を画像記憶手段に記憶する画像記憶ステップと、基準となる前記2値化画像を得た後に得た前記2値化画像の中に所定の画素連結領域をそれぞれ内部に含む判定領域を設定する領域設定ステップと、基準となる前記2値化画像で前記判定領域に対応する比較領域の中に存在する前記画素連結領域の個数を計数する領域内計数ステップと、前記領域内計数ステップで計数された個数が0または1のとき、前記比較領域を前記判定領域で置き換え、前記領域内計数ステップで計数された個数が2以上のとき、前記比較領域を維持して、前記画像記憶手段に記憶された前記2値化画像を更新する更新ステップと、前記画像記憶手段に記憶された前記2値化画像の中の前記画素連結領域の個数を計数する個数計数ステップとを、有することを特徴とする個数計数方法。」が開示されている。
しかしながら、前記特許文献3に開示された方法は、微生物の個数を計数する方法であって、微生物の種類(または種類および数)を計測する方法を開示してはいない。
特開2003−116593号公報(第2〜3頁、図1〜8) 特開平10−240950号公報(第2〜5頁、図1〜6) 特開2003−85533号公報(第2〜3頁、図1〜9)
前述のように、特許文献3によれば、マイクロコロニーの2値化画像の計数により、微生物の個数の計数時間の短縮化は可能であるが、微生物の種類の判別を含めた計測時間の短縮化を図ることはできない。
さらに、前記特許文献1〜3に開示された技術に共通する問題として、前記計測時間の短縮化の問題の他に、下記のような問題がある。
従来、微生物種の判別は、培養条件(培地組成、温度など)に依存している。即ち、複数種類の微生物を計測するには、種類の数だけ培地を備え、培養を行なう必要がある。また、特定の微生物を計測する場合は、目的の微生物を増殖させ、他の微生物の増殖を抑制できる選択培地を用いることが一般的である。しかしながら、選択培地では、検出対象外の微生物の増殖を抑制するために栄養成分が限定されていることにより、本来検出すべき微生物に対しても、損傷菌が増殖できないといった擬似陰性のリスクが増える。微生物計測手段を衛生管理に適用しようと考えた場合、前記擬似陰性は好ましくない性質である。このため、選択培地の使用に依らず、検出対象となる微生物を判別する方法が望まれていた。
この発明は上記の点に鑑みてなされたもので、本発明の課題は、選択培地の使用に依らず、従来に比較して短時間に、微生物の種類(または種類および数)を計測する方法及び装置を提供することにある。
上記課題は、以下により達成される。即ち、この発明は、「マイクロコロニーの段階では、コロニーの形状やその変化のパターン、変化の速度などのコロニー形成の特徴的事項が、選択培地の使用に依らず、個々の微生物の種類によってそれぞれ固有であり、この情報を微生物種の判別に利用できること」に着眼してなされたもので、請求項1の発明によれば、微生物の種類(または種類および数)を計測する方法において、以下の工程を含むことを特徴とする。
1)寒天培地に計測試料としての微生物(以下、初期試料という。)を接種する工程。
2)前記初期試料の集落または培養成長物(以下、まとめてコロニーという。)を形成し、前記コロニーが目視可能なサイズに成長する前の段階の成長物(以下、マイクロコロニーという。)の形状を検出する工程。
3)前記マイクロコロニーの形状の検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
上記方法により、詳細は後述するが、代表的な菌種やカビ等は、選択培地の使用に依らず、マイクロコロニーの形状の検出結果に基づいて容易に特定することができる。例えば、大腸菌およびサルモネラ菌は、2〜3時間で特定でき、計測の時間の大幅な短縮が可能となる。菌の数は、従来と同様の方法で、マイクロコロニーもしくは初期試料により計数できる。
また、試料中に多種の菌等の微生物を含む場合に、その種類を特定するためには、前記マイクロコロニーの形状の検出結果のみでは不十分な場合があり、この場合には、下記請求項2ないし4の計測方法が好ましい。即ち、請求項2の発明によれば、前記請求項1に記載の微生物の計測方法において、前記3)の工程に代えて、以下の工程を含むことを特徴とする。
3)前記マイクロコロニーの形状および前記初期試料の形状の検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
後述するように、前記初期試料の形状も菌種等によって種々異なるので、前記マイクロコロニーの形状と組み合わせて判定することにより、より限定的な菌種等の特定が可能となる。
さらに、請求項3の発明によれば、前記請求項2に記載の微生物の計測方法において、前記3)の工程に代えて、以下の工程を含むことを特徴とする。
3)前記マイクロコロニーの形状および前記初期試料の形状の検出結果、ならびに前記初期試料の接種開始後、前記マイクロコロニーが所定面積に到達するまでの時間の検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
上記のように、マイクロコロニーが所定面積(例えば、100μm2)に到達するまでの時間、即ち、マイクロコロニーとして検出できるまでの時間の検出結果を判定要件として追加することにより、さらに菌種等の特定が可能となる。詳細は後述する。
さらにまた、請求項4の発明によれば、前記請求項1に記載の微生物の計測方法において、前記3)の工程に代えて、以下の工程を含むことを特徴とする。
3)前記コロニーの成長に伴う前記マイクロコロニーの形状変化パターンの検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
上記方法についても、詳細は後述するが、例えば、コウジカビやブドウ球菌などは、マイクロコロニーの形状変化パターンに特徴があり、この要件による判定も有効な場合がある。
また、前記マイクロコロニーの形状等の種類判定要件の検出は、画像計測により行なうことが好ましく、この観点から、下記請求項5の発明が好ましい。即ち、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の微生物の計測方法において、前記初期試料の形状,マイクロコロニーの形状や面積,マイクロコロニーの形状変化パターン等の検出は、前記初期試料またはマイクロコロニーの画像計測により行なうことを特徴とする。
さらに、上記画像計測により行なう計測装置としては、下記請求項6の発明が好ましい。即ち、微生物の種類(または種類および数)を計測する装置において、計測対象の標本に対してオートフォーカスを行う手段と、標本に対する照明手段と、画像計測用の撮像手段と、演算制御手段とを備え、前記演算制御手段は、前記標本に対して照明光を照射し、撮像手段によって得た画像情報に基づいて合焦度を判定し、その合焦度に応じて受光光学系または標本の少なくとも一方を駆動して合焦点位置をサーチし、合焦点位置に到達した後に、試料の画像を計測する制御機能を備え、さらに、初期試料の種類を、少なくともマイクロコロニーの形状の検出結果に基づいて判別するためのデータベースと、前記画像の計測結果と前記データベースとに基づいて、初期試料の種類を判別する微生物の種類判別機能とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、選択培地の使用に依らず、従来に比較して極めて短時間に、微生物の種類(または種類および数)を計測することができる。
次に、この発明の実施形態に関して、図1ないし図3に基いて説明する。図1は、代表的微生物の初期形状やマイクロコロニーおよびマクロコロニーの形状等の説明図、図2は、図1の説明の一部を含むマイクロコロニー形成の特徴的事項の総括的説明図、図3は、本発明に係る微生物の計測装置の模式的構成図である。なお、図1において、マイクロコロニーとは、目視で検知できるサイズに成長する前のコロニーであり、概ね100μm以下のコロニーのことを意味する。また、マクロコロニーとは、初期試料が、培養によりマイクロコロニーを経て、さらに成長し、微生物の集合が進んだ段階のマクロ状態のコロニーをいう。
まず、図1および図2に基づき、コロニーの形状やその変化のパターン、変化の速度などのコロニー形成の特徴的事項について述べる。
先に図2について述べる。図2は、微生物の特徴的情報を、幾何学的情報と時間的情報とに大別し、これらをさらに項目の欄に示すように、初期形状・サイズ,マイクロコロニーの形状(形状変化パターン),マイクロコロニーの模様,色及び形状変化パターンおよびマイクロコロニーとして検出できるまでの到達時間に分け、上記各項目毎に、具体的内容と該当微生物等を示している。なお、前記到達時間は、前述のように、マイクロコロニーが所定面積(例えば、100μm2)に到達するまでの時間を記載している。
図1は、図2の内、代表的な微生物種について、初期形状,マイクロコロニーの形状,マイクロコロニーとして検出できるまでの到達時間およびマクロコロニーの形状を示す。
図1に示すように、培養が長時間進んだ段階のマクロコロニーの形状は、微生物の増殖方向が次第にランダムになることにより、いずれも概ね円形となる。このため、マクロコロニーの形状によって微生物種の区別はできない。これに対して、マイクロコロニーの形状は、みのむし状,糸状,円形,不定形(規則性のない形)等の差異が生ずるので、このマイクロコロニーの形状を認識することにより、微生物種の区別ができるようになる。
上記マイクロコロニーの形状が類似する場合には、さらに他の要件によって区別が可能となる。例えば、マイクロコロニーの形状的特徴量が類似している腸炎ビブリオと表皮ブドウ球菌とを区別する場合には、マイクロコロニーの形状に加えて初期形状の差、即ち弧形か球状かを判別することにより区別できる。ただし、これらの画像情報全てに差異がない微生物、例えば、大腸菌とサルモネラ菌との区別は、菌種特異性のある標識、あるいは、選択培地の使用などを併せて行えばよい。
上記と同様に、マイクロコロニーの形状および初期形状の情報のみの場合、セレウス菌と枯草菌との区別、ならびに黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌との区別もできないこととなるが、これらの場合には、マイクロコロニーとして検出できるまでの到達時間の差の情報によって区別できる。例えば、セレウス菌は2h、枯草菌は5〜6hである。なお、この到達時間に関しては、図2の下段に、他の菌等の詳細を示す。
一方、図1の下段に示すコウジカビの場合には、黒い頭(胞子)が膨張して発芽し、発芽部が成長して白い足(菌糸)が形成される経過をたどるので、前記形状変化パターンの検出結果に基づいて、特定できる。図2の中段には、前記コウジカビの経過の時間的情報を含む詳細を示す。なお、形状変化パターンに関しては、ブドウ球菌も特徴的で、図2のマイクロコロニーの形状が円形の欄に示すように、同心円状に成長する形状変化パターンを有する。また、他の幾何学的情報として、図2に示すマイクロコロニーの模様があるが、必要に応じて、これらの情報も組み合わせることができる。
次に、図3について述べる。図3に示す本発明の計測装置は、計測対象の標本(試料1)に対してオートフォーカスを行う手段7と、照明光2で示す標本に対する照明手段と、撮像素子5で示す画像計測用の撮像手段と、演算制御手段6とを備える。計測の際、前記演算制御手段6は、前記標本に対して照明光2を照射し、撮像手段によって得た画像情報に基づいて合焦度を判定し、その合焦度に応じて受光光学系または標本の少なくとも一方を駆動して合焦点位置をサーチし、合焦点位置に到達した後に、試料1の画像を計測する制御機能を備え、さらに、初期試料の種類を判別するためのデータベースと、前記画像の計測結果と前記データベースとに基づいて、初期試料の種類を判別する微生物の種類判別機能とを備える。なお、図3において、3は対物レンズ、4は結像レンズである。
上記画像計測により、微生物の種類判別が可能となるが、その詳細を以下に述べる。まず、画像から抽出できる情報の基本的特徴量としては、面積,周囲長がある。また、前記形状に関して画像から抽出できる微生物の種類判別に有効な特徴量としては、1)複雑度、2)円形度、3)縦横比、4)重心位置および5)輝度の標準偏差などがある。
前記形状に関わる特徴量の詳細は、下記のとおりである。
1)複雑度:(周囲長)2/面積で計算される量。図形が真円であればこの値は最も小さい4πとなり、円形度とは逆に、図形が複雑になるほど値は大きくなる。
2)円形度:4π×面積/(周囲長)2で計算される量。図形が真円であれば1。図形が複雑になるほど値は小さくなる。
3)縦横比:図形に外接する長方形の縦の辺の長さと横の辺の長さとの比。画像の水平・垂直座標軸に平行な長方形を用いる場合、慣性主軸(最も長い距離がとれる軸)に平行な長方形を用いる場合などがある。
4)重心位置:図形に含まれる全画素の座標の加重平均として計算される座標位置。
5)輝度の標準偏差:図形に含まれる全画素がその輝度の標準偏差。図形領域の模様の特徴(むら)を反映した値となる。
前記画像から抽出できる形状に関わる特徴量を用いて計測するこの発明の実施例に関して、以下に述べる。基本的な判断アルゴリズムとして、まず形状情報による判別を行い、それで区別できないものは成長速度の差異で判別し、さらにそれでも区別ができないものについては、選択培地を用いて所望の微生物のみを成長させる条件を加える。
代表的な菌に関わる実施例について、図4〜図8に基づき以下に述べる。図4は代表的微生物(A大腸菌,Bセレウス菌,C表皮ブドウ菌,D腸炎ビブリオ,Eコウジカビ)に関してマイクロコロニーの形状に関わる特徴量をまとめた図、図5〜図8は、それぞれ、図4に示す特徴量の時間経過による変化、即ち、複雑度の変化,円形度の変化,縦横比の変化,輝度の標準偏差の変化を示す図である。
(実施例1:大腸菌の計測例)
大腸菌が成長する際の形状的特徴を図4のAにまとめた。大腸菌の場合、複雑度(図5のA)は成長開始段階では約20の値を示し、増殖に従って増大し、増殖開始後3〜4時間でピークとなり、その後、減少する。この形状変化のパターンは、大腸菌が増殖の初期段階で図1に示したようなみのむし状の形になるのに伴って複雑度が増大し、その後、成長方向がランダムになるに従って形状の異方性が低下していく(円形に近づいていく)ことに由来している。円形度(図6のA)は複雑度の逆関数であるため、増減の挙動は複雑度と反対になる。縦横比(図7のA)を複雑度と同様な特徴量として用いることもできる。輝度の標準偏差(図8のA)はマイクロコロニー領域の模様(ムラ)を反映する特徴量であり、模様がハッキリしているマイクロコロニー、すなわち、輝度のバラツキが大きいマイクロコロニーで大きな値となる。大腸菌の場合、輝度の標準偏差は5〜15程度という比較的低い値をとる。マイクロコロニーの重心位置はマイクロコロニーの成長パターンによって、増殖段階によらず常にマイクロコロニー領域内に含まれる場合と、増殖にしたがってコロニー領域内から外れることのある場合とに分けられる。大腸菌の場合は、常にマイクロコロニーの重心はマイクロコロニーの領域内に含まれる。これらの特徴量に該当する場合、当該のマイクロコロニーを大腸菌と判別することができる。
ただし、これらの特徴量について大腸菌と差異がない微生物、サルモネラ菌との区別は、菌種特異性のある標識、あるいは、選択培地の使用などを併せて行うこととなる。
(実施例2:セレウス菌の計測例)
セレウス菌が成長する際の形状的特徴を図4のBにまとめた。セレウス菌の成長パターンの特徴は、マイクロコロニーが糸状になる点にある。この特徴に由来して、形状の特徴量は以下のような挙動を示す。複雑度(図5のB)は、成長開始段階では、大腸菌など他の微生物同様に約20の値を示すが、増殖に従って2時間程度で急激に増大していく。円形度(図6のB)は、複雑度とは反対に、2時間程度で減少する。縦横比(図7のB)は、複雑度と同様に2時間程度で急激に増大する。輝度の標準偏差(図8のB)は、30〜35程度と比較的高く、マイクロコロニー領域の模様(ムラ)がハッキリしていることを示している。マイクロコロニーの重心位置は、マイクロコロニーが糸状になるために、増殖の途中でマイクロコロニー領域内から外れることがある。これらの特徴量に該当する場合、当該のマイクロコロニーをセレウス菌と判別することができる。
セレウス菌と同属で形状がほぼ同じ枯草菌を識別するには、マイクロコロニーとして検出できるまでの到達時間の差異を用いる。セレウス菌は約2時間、枯草菌は5〜6時間程度でマイクロコロニーを検出できる。
(実施例3:表皮ブドウ球菌の計測例)
表皮ブドウ球菌が成長する際の形状的特徴を図4のCにまとめた。表皮ブドウ球菌の成長パターンの特徴は、マイクロコロニーが円状に成長する点にある。この特徴に由来して、形状の特徴量は以下のような挙動を示す。複雑度(図5のC)は、成長開始から常に15〜20程度の値を示す。円形度(図6のC)は、0.6〜0.9程度の値を示す。縦横比(図7のC)は、常に約1である(円形をたもっている)。輝度の標準偏差は5〜15程度という比較的低い値をとる(図8のC)。マイクロコロニーの重心位置は、マイクロコロニーが円形を保っていることから、常にマイクロコロニーの領域内に含まれる。さらに、表皮ブドウ球菌はマイクロコロニーが増殖前の単一の菌があった位置を中心に、同心円状に成長する。このため、重心位置の絶対座標は、増殖過程を経ても変化しない。これらの特徴量に該当する場合、当該のマイクロコロニーを表皮ブドウ球菌と判別することができる。
表皮ブドウ球菌と同属で形状がほぼ同じ黄色ブドウ球菌を識別するには、セレウス菌と枯草菌との識別と同様に、マイクロコロニーとして検出できるまでの到達時間の差異を用いる。表皮ブドウ球菌は約7時間なのに対して、黄色ブドウ球菌は4〜5時間程度でマイクロコロニーを検出できる。
(実施例4:腸炎ビブリオの計測例)
腸炎ビブリオは、マイクロコロニーの形状が不定形(規則性のない形)であるが、上で述べてきたマイクロコロニーの形状的特徴量は表皮ブドウ球菌と類似している。差異のある点は、輝度の標準偏差(図4のDの当該欄)であり、表皮ブドウ球菌が5〜15という値(図8のC)なのに対して、腸炎ビブリオは25〜40程度の比較的高い値を示す(図8のD)。さらに他の判別手段としては、増殖前の単一の菌の形状情報を加えることができる。すなわち、腸炎ビブリオは弧菌とよばれる弧形をしており、表皮ブドウ球菌の球形とは形状が異なるため、これを判別情報とすることができる。
(実施例5:コウジカビの計測例)
図1の下段に示すコウジカビの場合には、胞子が膨張して発芽し、発芽部が成長して菌糸が形成される経過をたどる。これに由来して、図4のEのような形状的特徴を示す。複雑度(図5のE)は、成長開始から発芽に至るまで、大腸菌など他の微生物同様に約20の値を示すが、発芽後は急激に増大していく。円形度(図6のE)は、複雑度とは反対に、発芽後、減少する。縦横比(図7のE)は、複雑度と同様に、発芽後、増大する。輝度の標準偏差(図8のE)は、30〜40程度と比較的高い。マイクロコロニーの重心位置は、発芽までは常にマイクロコロニー領域内にあるが、発芽後、菌糸の成長過程においては、マイクロコロニー領域内から外れることがある。これらの特徴量に該当する場合、当該のマイクロコロニーをコウジカビと判別する。これらの特徴量は、セレウス菌の特徴量と類似しているが、両者は成長を始めるまでの時間の違いで区別することができる。
この発明の実施形態に関わる代表的微生物の初期形状やマイクロコロニーおよびマクロコロニーの形状等の説明図。 マイクロコロニー形成の特徴的事項の総括的説明図。 本発明に係る微生物の計測装置の模式的構成図。 代表的微生物に関してマイクロコロニーの形状に関わる特徴量をまとめた図。 図4に関わり、時間経過による複雑度の変化を示す図。 図4に関わり、時間経過による円形度の変化を示す図。 図4に関わり、時間経過による縦横比の変化を示す図。 図4に関わり、時間経過による輝度の標準偏差の変化を示す図。
符号の説明
1 試料
2 照明光
3 対物レンズ
4 結像レンズ
5 撮像素子
6 演算制御手段
7 オートフォーカス手段

Claims (6)

  1. 微生物の種類(または種類および数)を計測する方法において、以下の工程を含むことを特徴とする微生物の計測方法。
    1)寒天培地に計測試料としての微生物(以下、初期試料という。)を接種する工程。
    2)前記初期試料の集落または培養成長物(以下、まとめてコロニーという。)を形成し、前記コロニーが目視可能なサイズに成長する前の段階の成長物(以下、マイクロコロニーという。)の形状を検出する工程。
    3)前記マイクロコロニーの形状の検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
  2. 請求項1に記載の微生物の計測方法において、前記3)の工程に代えて、以下の工程を含むことを特徴とする微生物の計測方法。
    3)前記マイクロコロニーの形状および前記初期試料の形状の検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
  3. 請求項2に記載の微生物の計測方法において、前記3)の工程に代えて、以下の工程を含むことを特徴とする微生物の計測方法。
    3)前記マイクロコロニーの形状および前記初期試料の形状の検出結果、ならびに前記初期試料の接種開始後、前記マイクロコロニーが所定面積に到達するまでの時間の検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
  4. 請求項1に記載の微生物の計測方法において、前記3)の工程に代えて、以下の工程を含むことを特徴とする微生物の計測方法。
    3)前記コロニーの成長に伴う前記マイクロコロニーの形状変化パターンの検出結果に基づいて、前記初期試料の種類を判別する工程。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の微生物の計測方法において、前記初期試料の形状,マイクロコロニーの形状や面積,マイクロコロニーの形状変化パターン等の検出は、前記初期試料またはマイクロコロニーの画像計測により行なうことを特徴とする微生物の計測方法。
  6. 微生物の種類(または種類および数)を計測する装置において、計測対象の標本に対してオートフォーカスを行う手段と、標本に対する照明手段と、画像計測用の撮像手段と、演算制御手段とを備え、
    前記演算制御手段は、前記標本に対して照明光を照射し、撮像手段によって得た画像情報に基づいて合焦度を判定し、その合焦度に応じて受光光学系または標本の少なくとも一方を駆動して合焦点位置をサーチし、合焦点位置に到達した後に、試料の画像を計測する制御機能を備え、さらに、初期試料の種類を、少なくともマイクロコロニーの形状の検出結果に基づいて判別するためのデータベースと、前記画像の計測結果と前記データベースとに基づいて、初期試料の種類を判別する微生物の種類判別機能とを備えることを特徴とする微生物の計測装置。
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