JP4237376B2 - 電磁デテントコイル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイルに生じる電磁力によって吸着プレートを2位置間で動かす電磁デテントコイル装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば油圧切換弁を駆動するアクチュエータとして、図4に示す電磁デテントコイル装置が用いられる。
【0003】
これについて説明すると、電磁デテントコイル装置1は、コイル2に生じる電磁力により吸着プレート3を吸着するコア7を備え、吸着プレート3から延びる連結棒4を介して油圧切換弁の弁体を2位置間で駆動する。
【0004】
コイル2を囲むコア7は磁性材によって形成され、吸着プレート3に接する吸着端面8を有する。コイル2に電流を流すと、コイル2に磁界が発生し、コア7と吸着プレート3は磁気誘導により互いに引き合う力が発生する。
【0005】
図5に示すように、吸着プレート3がコア7の吸着端面8に当接した吸着位置にある状態では、吸着プレート3とコア7に渡ってコイル2の磁気回路が形成される。
【0006】
図6に示すように、コイル2に電流が流れない状態では、図示しない弁体を付勢するバネ力により吸着プレート3がコア7から所定距離だけ離れたストロークエンド位置に保持される。
【0007】
連結棒4の先端にはボルト5がナット6を介して締結される。吸着プレート3はボルト5に対して隙間を持って嵌合し、ナット6との間で軸方向に変位することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の電磁デテントコイル装置1にあっては、次のような問題点があった。
(1)コイル2の電磁力が消えるのに伴って吸着プレート3が吸着位置からストロークエンド位置に高速で移動して停止すると、吸着プレート3がナット6に衝突し、両者の衝突部から金属粉が発生したり、強度の低下を招く可能性がある。
(2)図7に示すように、吸着プレート3がコア7に吸着されて移動する過渡状態で、コア7の吸引力のアンバランスによって倒れ、ボルト5等に当たる部位から金属磨耗粉が発生する可能性がある。
(3)吸着プレート3がボルト5のネジ山に摺接する構造のため、ネジ山によって吸着プレート3が削られ、金属磨耗粉が発生する可能性がある。
(4)連結棒4にボルト5をナット6を介して締結する際、ナット6と吸着プレート3の間隔をシム等を介して管理する必要があり、組み立て作業性が悪い。
【0009】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、耐久性および生産性の高い電磁デテントコイル装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、可動体に連結される吸着プレートと、コイルに生じる電磁力により吸着プレートを吸着するコアとを備え、吸着プレートがコアに吸着される吸着位置とコアから離れるストロークエンド位置との間で移動する電磁デテントコイル装置に適用する。
【0011】
そして、吸着プレートを可動体に対してその移動方向に変位可能に支持する支持手段と、吸着プレートが可動体に対してその移動方向に変位するのに伴って伸縮する緩衝バネとを備え、支持手段として可動体に螺合するボルトと、吸着プレートを摺動可能に嵌合させるガイドチューブとを備え、ボルトをガイドチューブを介して可動体に締結することを特徴とするものとした。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、ボルトは支持手段として吸着プレートの変位を係止し、緩衝バネが吸着プレートをボルトに押し付けることを特徴とするものとした。
【0015】
第3の発明は、第1または2の発明において、吸着プレートはボルトに挿通する円筒状の円筒部と、円筒部からコアに対峙するように円盤状に拡がる円盤部とを有し、コアに対峙しない背後外周部を削除したことを特徴とするものとした。
【0016】
【発明の作用および効果】
第1の発明によると、電磁デテントコイル装置は、電磁力により吸着プレートをコアに吸着し、電磁力が消えるのに伴って吸着プレートがコアから離れ、可動体が吸着プレートと共にストロークエンド位置に移動する。
【0017】
吸着プレートがストロークエンド位置に停止するとき、吸着プレートの運動エネルギが緩衝バネの弾性エネルギに変換され、吸着プレートが可動体等に衝突することが防止される。この結果、衝突部から金属粉が発生することを回避でき、装置の耐久性を維持できる。
そして、ボルトはガイドチューブを介して可動体に締結されるため、ボルトの螺合位置がガイドチューブを介して決まり、従来装置のようにボルトの螺合位置をシム等を介して管理する必要がなく、組み立て作業性を改善して、生産性を高められる。
【0018】
第2の発明によると、吸着プレートがコアに吸着されて移動する過渡状態では、吸着プレートが緩衝バネの付勢力によってボルトに係止されているため、コアの吸引力のアンバランスによって倒れることが防止され、ボルト等に当たる部位から金属磨耗粉が発生することを回避できる。
【0021】
第3の発明によると、吸着プレートはその円盤部がコアに対峙して磁気回路を形成するため、吸着プレートに対するコアの吸着力が維持される。そして、吸着プレートはコアに対峙しない背後外周部が削除されるため、その軽量化がはかれる。吸着プレートを軽量化してその運動エネルギを小さくすることにより、緩衝バネの小型化がはかれ、さらに可動質量を削減することにより電磁デテントコイル装置の応答性を高められる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に示す電磁デテントコイル装置1は図示しない油圧切換弁の弁体を2位置間で移動させるものである。連結棒4は油圧切換弁の弁体から延びており、本発明の可動体を構成する。連結棒4は油圧切換弁に備えられる図示しない戻しバネによって電磁デテントコイル装置1から離れるストロークエンド方向に付勢されている。
【0024】
電磁デテントコイル装置1は、磁性材により円盤状に形成される吸着プレート3と、コイル2に生じる電磁力により吸着プレート3を吸着するコア7を備え、吸着プレート3をコア7に吸着される吸着位置とコア7から離れるストロークエンド位置との間で移動させる。
【0025】
コイル2は線材を円筒状に巻回して形成され、コア7の内部に収装される。コア7はチューブ14内に収装され、チューブ14が油圧切換弁の図示しないハウジング側に固定される。コイル2はリード線13を介して通電されることにより、コイル2の磁界が生じ、コア7を介して吸着プレート3を吸着する。
【0026】
吸着プレート3はその断面が矩形となる円盤状に形成され、コア7との間でコイル2の磁気回路を形成する。
【0027】
吸着プレート3は連結棒4の移動方向に変位可能に連結される。連結棒4に対する吸着プレート3の支持手段として、連結棒4に螺合するボルト5と、吸着プレート3を摺動可能に嵌合させるガイドチューブ11とを備え、ボルト5がガイドチューブ11を介して連結棒4に締結される。
【0028】
図2に示すように、ガイドチューブ11はボルト5の軸部5bに嵌合する円筒状をしており、ボルト5の頭部5aと連結棒4の端面4aの間に挟持される。ボルト5は連結棒4に螺合するネジ部5cを有するが、このネジ部5cがガイドチューブ11に覆われる。
【0029】
吸着プレート3は、ボルト5の頭部5aを着座させる座面3aと、ガイドチューブ11に摺動可能に嵌合する穴3bと、緩衝バネ12を着座させる座面3cとを有する。すなわち、ボルト5の頭部5aは吸着プレート3の変位を係止する。
【0030】
吸着プレート3と連結棒4の間に緩衝バネ12が圧縮した状態で介装される。緩衝バネ12は吸着プレート3をボルト5の頭部5aに押し付け、吸着プレート3が連結棒4の移動方向に変位するのに伴って伸縮する。
【0031】
以上のように構成されて、次に作用について説明する。
【0032】
コイル2に通電された状態で手動により戻しバネに抗して連結棒4を吸着方向に移動すると、吸着プレート3がコア7に吸着される。
【0033】
コイル2の通電が停止されコイル2に生じる電磁力が消えるのに伴って、戻しバネの付勢力によって吸着プレート3がコア7から離れ、連結棒4が吸着プレート3と共にストロークエンド位置に移動する。
【0034】
吸着プレート3がストロークエンド方向に速度vで移動するとき、質量mの吸着プレート3には運動エネルギm×v2/2が発生するが、吸着プレート3がストロークエンド位置に停止するとき、吸着プレート3の運動エネルギは、緩衝バネ12の弾性エネルギk×Δx2/2(k:緩衝バネ12のバネ定数、Δx:撓み量)に変換される。こうして吸着プレート3がストロークエンド位置に停止するときに生じる衝撃は、緩衝バネ12が収縮することによって吸収され、吸着プレート3が連結棒4に衝突することが防止される。この結果、衝突部から金属粉が発生することを回避でき、吸着プレート3等の強度を維持できる。
【0035】
吸着プレート3がコア7に吸着されて移動する過渡状態では、吸着プレート3が緩衝バネ12の付勢力によってボルト5の頭部5aに押し付けられているため、コア7の吸引力のアンバランスによって倒れることが防止され、ボルト5等に当たる部位から金属磨耗粉が発生することを回避できる。
【0036】
吸着プレート3はガイドチューブ11に摺動可能に嵌合しているため、吸着プレート3がボルト5のネジ部5cに摺接せず、ネジ山によって吸着プレート3が削られることを回避できる。
【0037】
ボルト5はガイドチューブ11を介して連結棒4に締結されるため、ボルト5の螺合位置がガイドチューブ11を介して決まり、従来装置のようにボルト5の螺合位置をシム等を介して管理する必要がなく、組み立て作業性を改善できる。
【0038】
次に図3に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0039】
吸着プレート3はガイドチューブ11を摺動可能に嵌合させる円筒状の円筒部3dと、円筒部3dからコア7に対峙するように円盤状に拡がる円盤部3eとを有し、コア7に対峙しない背後外周部を削除する構造とする。
【0040】
この場合、吸着プレート3はその円盤部3eがコア7に対峙して磁気回路を形成するため、吸着プレート3に対するコア7の吸着力が維持される。そして、吸着プレート3はコア7に対峙しない背後外周部が削除されるため、例えば数十gr程度の軽量化がはかれる。こうして吸着プレート3の質量が削減されて運動エネルギが小さくなることにより、緩衝バネ12の小型化がはかれ、さらに可動質量を削減して電磁デテントコイル装置の応答性を高めることができる。
【0041】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す電磁デテントコイル装置の断面図。
【図2】同じく図1の一部を拡大した断面図。
【図3】他の実施の形態を示す電磁デテントコイル装置の断面図。
【図4】従来例を示す電磁デテントコイル装置の断面図。
【図5】同じく吸着プレートが吸着位置にある状態を示す断面図。
【図6】同じく吸着プレートがストロークエンド位置にある状態を示す断面図。
【図7】同じく過渡状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 電磁デテントコイル装置
2 コイル
3 吸着プレート
3d 円筒部
3e 円盤部
4 連結棒(可動体)
5 ボルト
7 コア
11 ガイドチューブ
12 緩衝バネ
Claims (3)
- 可動体に連結される吸着プレートと、コイルに生じる電磁力により前記吸着プレートを吸着するコアとを備え、前記吸着プレートが前記コアに吸着される吸着位置と前記コアから離れるストロークエンド位置との間で移動する電磁デテントコイル装置において、前記吸着プレートを前記可動体に対してその移動方向に変位可能に支持する支持手段と、前記吸着プレートが前記可動体に対してその移動方向に変位するのに伴って伸縮する緩衝バネと、を備え、前記支持手段として前記可動体に螺合するボルトと、前記吸着プレートを摺動可能に嵌合させるガイドチューブとを備え、前記ボルトを前記ガイドチューブを介して前記可動体に締結することを特徴とする電磁デテントコイル装置。
- 前記ボルトは前記支持手段として前記吸着プレートの変位を係止し、前記緩衝バネが前記吸着プレートを前記ボルトに押し付けることを特徴とする請求項1に記載の電磁デテントコイル装置。
- 前記吸着プレートは前記ボルトに挿通する円筒状の円筒部と、前記円筒部から前記コアに対峙するように円盤状に拡がる円盤部とを有し、前記コアに対峙しない背後外周部を削除したことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁デテントコイル装置。
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