JP4234824B2 - 誘導電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、典型的な従来技術の誘導電動機(以下、モータ)1の断面図である。図4を参照して、従来技術のモータ1の構成について説明する。モータ1は、固定子鉄芯(以下、鉄芯)2にコイル3が巻回された固定子4を有しており、固定子4はフレーム5内に収納される。固定子4の軸線方向両端には、フレーム5にリベット12で一体に結合された軸受ハウジング6、7が配置されており、軸受ハウジング6、7には、軸受8、9が嵌合されて固定され、かご形回転子10に同軸に装着されている金属製の回転軸11を回転自在に支持している。
【0003】
かご形回転子10は、前記回転軸11に軸受13、14を介して回転自在に連結されている着磁されていない磁性材料からなる円筒体15と、円筒体15の表面に周方向に沿って交互に異なる磁極に着磁された磁性円筒体16と、前記回転軸11に固定された回転子鉄芯17と、回転子鉄芯17に装着された銅、アルミニウムなどの導体材料からなる棒状などの形状を有する複数本のバー18と、各バー18の両端に固着されたエンドリング19、20と、エンドリング19、20にボルト21、22で固定され、回転子鉄芯17、バー18、エンドリング19、20を回転軸11に対して固定するためのフレームリング23、24を備えている。
【0004】
このような従来技術のモータ1の前記円筒体15及び磁性円筒体16は、回転軸11に対して回転自在に設けられる。また、磁性円筒体16の軸線方向の長さL1は、かご形回転子10の回転子鉄芯17の軸線方向長さL2と同一の長さに定められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなモータ1において、モータ1の電源となる商用交流電源を、モータ1に直接に接続した場合、前記磁性円筒体16の外径及びかご形回転子10の回転子鉄芯17の内径を増大すると、効率及び力率は向上するが自己起動ができないという問題点を生じる。一方、前記磁性円筒体16の外径及びかご形回転子10の回転子鉄芯17の内径を減少して、回転子鉄芯17の厚みを増大すると、自己起動ができるようになるものの、効率及び力率が低下するという問題点を生じる。
【0006】
即ち、従来のモータ1において、商用交流電源をモータ1に直接に接続する場合、前記効率及び力率と自己起動とのいずれかが犠牲になってしまい両立が困難になり、この点で使用性が低いという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、効率及び力率を向上できると共に自己起動が可能になり、使用性を格段に向上することができる誘導電動機を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘導電動機は、固定子鉄芯にコイルを巻回した固定子と、前記回転軸に対して固定されたかご形回転子と、前記固定子と前記かご形回転子が収納されるフレームと、からなる誘導電動機において、前記かご形回転子は、円筒状の回転子鉄芯と、前記回転子鉄芯の外周部と両側面に配した導電材料と、回転磁性体と、を備え、前記回転子鉄芯の内周側に軸線方向に内径を違えて段が形成され、内径の大きい方を収納部とし、前記回転磁性体は、軸受を介して回転摺動可能に前記回転軸に連結される回転体と、前記回転体の外周に配し周方向に沿って交互に異なる磁極に着磁された磁性円筒体と、を備え、前記収納部に合わせて前記磁性円筒体の軸線方向長さが、前記かご形回転子の軸線方向長さより短く形成され、前記収納部側の前記回転子鉄芯部分に前記回転磁性体の磁気的影響を受ける間隔で前記回転磁性体を前記収納部に収納したことを特徴とする誘導電動機。
【0009】
【作 用】
本発明の誘導電動機のかご形回転子の鉄芯内には、周方向に沿って交互に異なる磁極が着磁され、回転軸及びかご形回転子に対して共に回転自在であって、磁極の軸線方向長さがかご形回転子の軸線方向長さよりも短い回転磁性体が配置されている。これにより、かご形回転子には、前記回転磁性体からの磁界の影響を受けない鉄芯部分が生じる。
【0010】
従って、本発明の誘導電動機では、この鉄芯部分が前記磁性体を備えていない通常の誘導電動機としての機能を実現するので、誘導電動機に商用交流電源を直接に接続した場合、本発明の誘導電動機は、前記鉄芯部分によって自己起動が可能になる。一方、本発明の誘導電動機が回転を開始した後では、かご形回転子を囲む固定子と前記回転磁性体とが磁気結合し誘導電動機の効率と力率とを向上させる。
【0011】
即ち、誘導電動機の効率と力率とを向上させるために、かご形回転子の内径と回転磁性体の外径とを増大する場合でも、回転磁性体の磁気的影響を受けない鉄芯部分で自己起動が可能になり、誘導電動機の使用性を格段に向上することができる。
【0012】
また、本発明の誘導電動機では、前記回転磁性体の磁気的影響を受けない鉄芯部分で自己起動が可能になるので、自己起動を可能にするためにかご形回転子の内径と回転磁性体の外径とを減少させる必要が解消されるため、誘導電動機の効率と力率との低下を可及的に抑制することができる。
【0013】
また、本発明の誘導電動機では、前記回転磁性体の軸線方向長さは、かご形回転子の軸線方向長さよりも短く定められるので、誘導電動機に使用される磁性材料の量を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1〜図3は本発明の一実施例を示す図であり、図1は本実施例の誘導電動機(以下、モータ)31の断面図であり、図2はモータ31に設けられる回転磁性体の軸線方向から見た正面図であり、図3は回転磁性体の断面図である。
【0015】
以下、図1を参照して、本実施例のモータ31の全体の構成について説明する。モータ31は、固定子鉄芯(以下、鉄芯)32にコイル33が巻回された固定子34を有しており、固定子34はフレーム35内に収納される。固定子34の軸線方向両端には、フレーム35にリベット42で一体に結合された軸受ハウジング36、37が配置されており、軸受ハウジング36、37には、軸受38、39が嵌合されて固定され、かご形回転子40に同軸に装着されている直径D1の回転軸41を回転自在に支持している。
【0016】
かご形回転子40は、前記回転軸41に軸受43、44を介して回転自在に連結されている着磁されていない磁性材料からなる回転体45と、回転体45の表面に周方向に沿って交互に異なる磁極に着磁された磁性円筒体46と、前記回転軸41に固定され、軸線方向に沿う図1右方側端部で回転体45を軸受56で回転自在に支持する軸線方向長さL11の回転子鉄芯47と、回転子鉄芯47に装着された銅、アルミニウムなどの導体材料からなる棒状などの形状を有する複数本のバー48と、各バー48の両端に固着されたエンドリング49、50と、バー48の図1左方側のエンドリング49にボルト51で固定され、回転子鉄芯47、バー48、エンドリング49を、バー48の図1左方側で回転軸41に対して固定するためのフレームリング53とを備えている。前記回転体45と磁性円筒体46とが、回転磁性体55を構成する。
【0017】
回転軸41のフレームリング53と軸受43との間には、軸受43を位置決めして固定するための固定用パイプ61が装着され、回転軸41の軸受44、39の間には、軸受44を位置決めして固定するための固定用パイプ62が装着され、回転体45の図1右方側端部付近には、軸受56を固定するためのC型止め輪63が設けられる。
【0018】
以下、図2及び図3を併せて参照する。前記回転体45は磁化しない磁性材料から形成され、回転軸41の直径D1より大きな内径D2の内周部57と、内周部57の軸線方向両側に連続し、前記軸受43、44が収納される内径D3が
D3>D2 ・・・(1)
の収納部58、59と、軸線方向長さL12を有する円筒部60とを有している。円筒部60の軸線方向長さL12は、かご形回転子40の軸線方向長さL11に対して、
L11>L12 ・・・(2)
となるように短く選ばれる。また、前記収納部59の外周には、前記C型止め輪63が嵌合される溝52が形成されている。
【0019】
従って、かご形回転子40の回転子鉄芯47には、回転磁性体55から発生する磁界の影響が及ばない図1に示す長さL13の鉄芯部分64が生じることになる。
【0020】
前記磁性円筒体46は、図2に示されるように、周方向に沿ってN極とS極とが交互に着磁された6つの磁極領域を有する。このような磁極領域の形成法は、N極或いはS極に着磁された6個の磁性プレートN1、S1、N2、S2、N3、S3を磁極が交互になるように回転体45に周方向に沿って接着剤で貼り付けるなどして固定することによって実現される。この磁性円筒体46は外径D5を有する。
【0021】
このような本実施例のモータ31の固定子34のコイル33に商用交流電源を直接に接続した場合、固定子34から発生する回転磁界によって、鉄芯部分63に大きな誘導起電力を生じ、かご形回転子40に自己起動可能な始動トルクを発生させることができる。
【0022】
また、かご形回転子40が回転されている場合、固定子34からの回転磁界は、回転磁性体55から発生している磁界との相乗作用で増大されるので、前記回転磁性体55の外径D5及びかご形回転子40の内径を増大することにより、モータ31の効率及び力率が向上される。
【0023】
以上のようにして、本実施例のモータ31では、前記鉄芯部分64が前記回転磁性体55を備えていない通常の誘導電動機としての機能を実現するので、モータ31に商用交流電源を直接に接続した場合、前記鉄芯部分64によって自己起動が可能になる。一方、モータ31が回転を開始した後では、かご形回転子40を囲む固定子34と前記回転磁性体55とが磁気結合しモータ31の効率と力率とを向上させる。
【0024】
即ち、モータ31の効率と力率とを向上させるために、かご形回転子40の内径と回転磁性体55の外径D5とを増大する場合でも、回転磁性体55の磁気的影響を受けない鉄芯部分64で自己起動が可能になり、モータ31の使用性を格段に向上することができる。
【0025】
また、本実施例のモータ31では、前記回転磁性体55の磁気的影響を受けない鉄芯部分64で自己起動が可能になるので、自己起動を可能にするためにかご形回転子40の内径と回転磁性体55の外径D5とを減少させる必要が解消されるため、モータ31の効率と力率との低下を可及的に抑制することができる。
【0026】
また、本実施例のモータ31では、前記回転磁性体55の軸線方向長さL12は、かご形回転子40の軸線方向長さL11よりも短く定められるので、モータ31に使用される磁性材料の量を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
【0027】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で広範な変形例を含むものである。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、誘導電動機のかご形回転子の鉄芯内には、周方向に沿って交互に異なる磁極が着磁され、回転軸及びかご形回転子に対して共に回転自在であって、軸線方向長さがかご形回転子の軸線方向長さよりも短い回転磁性体が配置されている。これにより、かご形回転子には、前記回転磁性体からの磁界の影響を受けない鉄芯部分が生じる。
【0029】
従って、本発明の誘導電動機では、この鉄芯部分が前記磁性体を備えていない通常の誘導電動機としての機能を実現するので、誘導電動機に商用交流電源を直接に接続した場合、本発明の誘導電動機は、前記鉄芯部分によって自己起動が可能になる。一方、本発明の誘導電動機が回転を開始した後では、かご形回転子を囲む固定子と前記回転磁性体とが磁気結合し誘導電動機の効率と力率とを向上させる。
【0030】
即ち、誘導電動機の効率と力率とを向上させるために、かご形回転子の内径と回転磁性体の外径とを増大する場合でも、回転磁性体の磁気的影響を受けない鉄芯部分で自己起動が可能になり、誘導電動機の使用性を格段に向上することができる。
【0031】
また、本発明の誘導電動機では、前記回転磁性体の磁気的影響を受けない鉄芯部分で自己起動が可能になるので、自己起動を可能にするためにかご形回転子の内径と回転磁性体の外径とを減少させる必要が解消されるため、誘導電動機の効率と力率との低下を可及的に抑制することができる。
【0032】
また、本発明の誘導電動機では、前記回転磁性体の軸線方向長さは、かご形回転子の軸線方向長さよりも短く定められるので、誘導電動機に使用される磁性材料の量を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のモータ31の断面図である。
【図2】モータ31に設けられる回転磁性体55の軸線方向から見た正面図である。
【図3】回転磁性体55の断面図である。
【図4】従来技術のモータ1の断面図である。
【符号の説明】
31 モータ
32 固定子鉄芯
33 コイル
34 固定子
40 かご形回転子
45 回転体
46 磁性円筒体
47 回転子鉄芯
55 回転磁性体
64 鉄芯部分
D2 回転磁性体55の内径
D5 回転磁性体55の外径
L11 回転子鉄芯47の長さ
L12 回転磁性体55の長さ
Claims (1)
- 固定子鉄芯にコイルを巻回した固定子と、
前記回転軸に対して固定されたかご形回転子と、
前記固定子と前記かご形回転子が収納されるフレームと、からなる誘導電動機において、
前記かご形回転子は、円筒状の回転子鉄芯と、前記回転子鉄芯の外周部と両端部に配した導電材料と、回転磁性体と、を備え、前記回転子鉄芯の内周側に軸線方向に内径を違えて段が形成され、内径の大きい方を収納部とし、
前記回転磁性体は、軸受を介して回転摺動可能に前記回転軸に連結される回転体と、前記回転体の外周に配し周方向に沿って交互に異なる磁極に着磁された磁性円筒体と、を備え、前記収納部に合わせて前記磁性円筒体の軸線方向長さが、前記かご形回転子の軸線方向長さより短く形成され、前記収納部側の前記回転子鉄芯部分に前記回転磁性体の磁気的影響を受ける間隔で前記回転磁性体を前記収納部に収納したことを特徴とする誘導電動機。
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JP29325698A Expired - Fee Related JP4234824B2 (ja) | 1998-10-15 | 1998-10-15 | 誘導電動機 |
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1998
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